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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01F
管理番号 1315262
審判番号 不服2015-5100  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-17 
確定日 2016-06-01 
事件の表示 特願2013- 98677「変圧器冷却装置及びこれを含む変圧器アセンブリー」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日出願公開、特開2013-243359〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成25年5月8日(パリ条約に基づく優先権主張 平成24年5月22日 韓国(KR))の出願であって、平成26年2月24日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年5月21日付けで手続補正がなされたが、同年12月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成27年3月17日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。

2.平成27年3月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年3月17日付けの手続補正を却下する。
[理 由]
(1)補正後の本願発明
平成27年3月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1,3,5,7が削除され、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
磁性部材と、前記磁性部材に結合されるコイル装着部及び前記コイル装着部の外側に備えられるコイルを有する変圧器が固着される第1プレートと、
前記第1プレートの下側に離隔されて配置される第2プレートと、
前記第1プレートと第2プレートとの間に規定され、冷却水が流動する流入流路と排出流路を有する冷却水流路と、
前記流入流路に冷却水が流入するようにする冷却水流入部と、
前記排出流路から冷却水が流出するようにする冷却水流出部と、
が備えられ、
前記磁性部材には、互いに結合されて前記コイルとコイル装着部とを収容するための収容空間を形成する第1磁性部及び第2磁性部が備えられ、
前記第1プレートには、
前記第1プレートの上方に突出されて前記第1磁性部に接する第1突出部と、
前記第1突出部から離隔して前記第1プレートの上方に突出され、前記第2磁性部に接する第2突出部と、
前記第1突出部と第2突出部との間に陥没するように形成され、前記コイル装着部及びコイルが装着される陥没部とが備えられ、
前記コイル装着部には、前記コイルが装着される装着空間及び前記装着空間を相互異なる大きさに区画する区画リブが備えられ、
前記第1プレートまたは第2プレートには、前記流入流路と排出流路を区画する流路区画部が備えられる、変圧器冷却装置。」
と補正された。

上記補正は実質的に、
ア.本件補正前の請求項6を独立形式として本件補正後の請求項1とするとともに、
イ.本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「冷却水流路」について、「流入流路と排出流路を有する」ことの限定を付加し、
ウ.同じく本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である、磁性部材が備える「第1磁性部及び第2磁性部」について、「互いに結合されて前記コイルとコイル装着部とを収容するための収容空間を形成する」ことの限定を付加し、
エ.同じく本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「コイル装着部」について、「前記コイルが装着される装着空間及び前記装着空間を相互異なる大きさに区画する区画リブが備えられ」ることの限定を付加し、
オ.同じく本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1プレート」または「第2プレート」について、「前記流入流路と排出流路を区画する流路区画部が備えられる」ことの限定を付加し、
カ.さらに、拒絶査定時における記載不備の指摘を受けて、第2プレートが第1プレートの「下側」に離隔されて配置されるものであることを明確にし、
キ.同じく拒絶査定時における記載不備の指摘を受けて、第1突出部及び第2突出部が第1プレートの「上方」に突出されてなるものであることを明確にするものであるとみることができる。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2008-311284号公報(以下、「引用例」という。)には、「リアクトル」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
冷却器と、該冷却器上に載置固定された放熱性台座と、コイルを具備した姿勢で該放熱性台座上に載置固定されたリアクトルコアと、該放熱性台座上において該リアクトルコアまわりに形成された樹脂モールド体と、を少なくとも具備し、
前記放熱性台座が、所定の減衰率と所定の熱伝導率を有する金属または合金から形成されてなる、リアクトル。」

イ.「【0010】
ここで、リアクトルコアは、磁性を有するI型コアとU型コアとが接着剤にて接合された形態、ギャップ板がエアギャップからなる形態などがある。I型コア、U型コアは、珪素鋼板を積層してなる積層体から形成してもよく、軟磁性金属粉末または軟磁性金属酸化物粉末が樹脂バインダーで被覆された磁性粉末を加圧成形してなる圧粉磁心から形成してもよい。・・・・・(以下、略)・・・・・」

ウ.「【0011】
本発明のリアクトルは、従来のリアクトルの構成部材であるハウジングを省略し、冷却器とその上方の放熱性台座をたとえば一体に固定し、放熱性台座上にコイルが形成されたリアクトルコアを載置した姿勢でリアクトルコアまわりに樹脂モールド体を形成してなるものであり、従来のリアクトルに比してその構成部品点数が低減され、製造工程数の低減によって製造歩留まりを向上させるものである。」

エ.「【0012】
さらに、リアクトルコアを直接載置する放熱性台座は、所定の放熱性能と振動減衰性能の双方を備えた素材から成形されている。」

オ.「【0015】
また、冷却器はたとえばその内部にラジエータ等からのクーリング水やクーリングエアが循環する構造を呈しており、その上方に位置する放熱性台座を効果的にクーリングするものである。」

カ.「【0022】
図1は、本発明のリアクトルの一実施の形態の縦断図であり、図2はそのII-II矢視図である。リアクトル10は、その下方から、内部にラジエータ等からのクーリング水Wを還流させる冷却器1と、この冷却器1に固定された放熱性台座2、この放熱性台座2の上面でエポキシ系の接着剤5を介して接着固定され、コイル6が形成されたリアクトルコア3、コイル6を含むリアクトルコア3と放熱性台座2の露出上面とを封止するための樹脂モールド体4から大略構成されている。」

・上記引用例に記載の「リアクトル」は、上記「ア.」、「ウ.」、「カ.」の記載事項、及び図1、図2によれば、冷却器1と、冷却器1上に一体に固定された放熱性台座2と、コイル6を具備した姿勢で放熱性台座2上に載置固定されたリアクトルコア3と、放熱性台座2上においてリアクトルコア3まわりに形成された樹脂モールド体4と、を少なくとも具備するリアクトル10に関するものである。
・上記「イ.」の記載事項によれば、リアクトルコア3は、例えば磁性を有するI型コアとU型コアとが接着された形態である。
そして、上記「エ.」、「カ.」の記載事項、及び図1、図2によれば、リアクトルコア3は、放熱性台座2の上面に接着剤5を介して直接載置固定されるものである。
・上記「オ.」、「カ.」の記載事項、図1、図2によれば、冷却器1は、その内部(上板と下板の間)をラジエータ等からのクーリング水Wが循環する構造を有する。
・図1によれば、コイル6は、リアクトルコア3に装着されたボビン(巻枠)を介して当該リアクトルコア3に巻回されていることが見てとれる。
・図1によれば、放熱性台座2の上面には、ボビン(巻枠)及びコイル6の下部がはまる凹部が形成され、当該凹部の両側には相対的に突出してリアクトルコア3の一部とそれぞれ接着剤5を介して接する2つの凸部が形成されている。

したがって、特にリアクトルコア3が、I型コアとU型コアとが接着された形態である場合に着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「内部(上板と下板の間)をラジエータ等からのクーリング水が循環する構造を有する冷却器と、
前記冷却器上に一体に固定された放熱性台座と、
前記放熱性台座上に接着剤を介して直接載置固定されたリアクトルコアであって、ボビン(巻枠)を介して巻回されたコイルを有するリアクトルコアと、
前記放熱性台座上において前記リアクトルコアまわりに形成された樹脂モールド体と、を少なくとも具備し、
前記リアクトルコアは、磁性を有するI型コアとU型コアとが接着された形態からなり、
前記放熱性台座の上面には、前記ボビン(巻枠)及び前記コイルの下部がはまる凹部が形成され、当該凹部の両側には相対的に突出して前記リアクトルコアの一部とそれぞれ前記接着剤を介して接する2つの凸部が形成されている、リアクトル。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
ア.引用発明における「リアクトルコア」、「ボビン(巻枠)」、「コイル」、「クーリング水」は、それぞれ本願補正発明における「磁性部材」、「コイル装着部」、「コイル」、「冷却水」に相当し、
引用発明における「内部(上板と下板の間)をラジエータ等からのクーリング水が循環する構造を有する冷却器と、前記冷却器上に一体に固定された放熱性台座と、前記放熱性台座上に接着剤を介して直接載置固定されたリアクトルコアであって、ボビン(巻枠)を介して巻回されたコイルを有するリアクトルコアと、前記放熱性台座上において前記リアクトルコアまわりに形成された樹脂モールド体と、を少なくとも具備し」によれば、
(a)引用発明の「ボビン(巻枠)を介して巻回されたコイルを有するリアクトルコア」、すなわち、「リアクトルコア」と「ボビン(巻枠)」と「コイル」とから構成されてなるものが、本願補正発明でいう「変圧器」に相当し、
(b)引用発明における、内部をラジエータ等からのクーリング水が循環する構造を有する冷却器の「上板」及びこれに一体に固定された「放熱性台座」が、本願補正発明でいう「第1プレート」に相当し、また、引用発明おける冷却器の「下板」が、本願補正発明でいう「第2プレート」に相当するとみることができ、
引用発明における冷却器の内部である「上板と下板の間」は、クーリング水が流れるのであるから、本願補正発明でいう「冷却水流路」に相当するものである。
(c)さらに、引用発明における冷却器の内部である「上板と下板の間」には、ラジエータ等からのクーリング水が循環する構造を有することから、当該冷却器には、ラジエータ等からクーリング水を流入させるための「冷却水流入部」と、ラジエータ等へクーリング水を流出させるための「冷却水流出部」とが備えられることは当然のことである。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、後述の相違点はあるものの「磁性部材と、前記磁性部材に結合されるコイル装着部及び前記コイル装着部の外側に備えられるコイルを有する変圧器が固着される第1プレートと、前記第1プレートの下側に離隔されて配置される第2プレートと、前記第1プレートと第2プレートとの間に規定され、冷却水が流動する冷却水流路と、前記冷却水が流入するようにする冷却水流入部と、前記冷却水が流出するようにする冷却水流出部と」が備えられてなるものである点で共通するといえる。

イ.引用発明における「I型コア」、「U型コア」は、それぞれ本願補正発明でいう「第1磁性部及び第2磁性部」のうちの一方、他方に相当し、
引用発明における「前記リアクトルコアは、磁性を有するI型コアとU型コアとが接着された形態からなり」によれば、
引用発明における磁性部材のI型コアとU型コアとが接着、すなわち結合されて形成される環状コアで囲まれた内側の空間は、ボビン(巻枠)やこれを介して巻回されるコイルの一部を収容する空間であり、本願補正発明でいう「収容空間」に相当するといえ、
本願補正発明と引用発明とは、「前記磁性部材には、互いに結合されて前記コイルとコイル装着部とを収容するための収容空間を形成する第1磁性部及び第2磁性部」が備えられるものである点で一致する。

ウ.引用発明における、放熱性台座の上面に形成された「2つの凸部」、「凹部」が、それぞれ本願補正発明でいう「第1突出部」及び「第2突出部」、「陥没部」に相当するといえ、
引用発明における「前記放熱性台座の上面には、前記ボビン(巻枠)及び前記コイルの下部がはまる凹部が形成され、当該凹部の両側には相対的に突出して前記リアクトルコアの一部とそれぞれ前記接着剤を介して接する2つの凸部が形成されている」によれば、
引用発明の「リアクトルコア」は、I型コアとU型コアとが接着された形態であることを考慮すると、当該I型コアの少なくとも一部と一方の凸部とが接着剤を介して接し、U型コアの少なくとも一部と他方の凸部とが接着剤を介して接するものと解されることから、
本願補正発明と引用発明とは、「前記第1プレートには、前記第1プレートの上方に突出されて前記第1磁性部に接する第1突出部と、前記第1突出部から離隔して前記第1プレートの上方に突出され、前記第2磁性部に接する第2突出部と、前記第1突出部と第2突出部との間に陥没するように形成され、前記コイル装着部及びコイルが装着される陥没部と」が備えられるものである点で一致するということができる。

エ.そして、引用発明における「ボビン(巻枠)」にコイルが巻回される空間、すなわち本願補正発明でいう「装着空間」が備えられることは自明であり、
本願補正発明と引用発明とは、「前記コイル装着部には、前記コイルが装着される装着空間」が備えられるものである点で共通する。
ただし、本願補正発明ではさらに「前記装着空間を相互異なる大きさに区画する区画リブ」が備えられるものであるのに対し、引用発明ではそのような区画リブを備えていない点で相違する。

オ.また、引用発明における「リアクトル」は、コイルを有するリアクトルコア(すなわち「変圧器」)で発生する熱を、一体に固定された放熱性台座及び冷却器でもって放熱するとともに冷却する機構を備えるものであるから、本願補正発明でいう「変圧器冷却装置」と表現することもできることは明らかである。

よって、本願補正発明と引用発明とは、
「磁性部材と、前記磁性部材に結合されるコイル装着部及び前記コイル装着部の外側に備えられるコイルを有する変圧器が固着される第1プレートと、
前記第1プレートの下側に離隔されて配置される第2プレートと、
前記第1プレートと第2プレートとの間に規定され、冷却水が流動する冷却水流路と、
前記冷却水が流入するようにする冷却水流入部と、
前記冷却水が流出するようにする冷却水流出部と、
が備えられ、
前記磁性部材には、互いに結合されて前記コイルとコイル装着部とを収容するための収容空間を形成する第1磁性部及び第2磁性部が備えられ、
前記第1プレートには、
前記第1プレートの上方に突出されて前記第1磁性部に接する第1突出部と、
前記第1突出部から離隔して前記第1プレートの上方に突出され、前記第2磁性部に接する第2突出部と、
前記第1突出部と第2突出部との間に陥没するように形成され、前記コイル装着部及びコイルが装着される陥没部とが備えられ、
前記コイル装着部には、前記コイルが装着される装着空間が備えられる、変圧器冷却装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
コイルが装着される装着空間が備えられるコイル装着部について、本願補正発明では、さらに「前記装着空間を相互異なる大きさに区画する区画リブ」が備えられる旨特定するのに対し、引用発明では、そのような区画リブを備えていない点。

[相違点2]
本願補正発明では、冷却水流路が「流入流路と排出流路を有」し、冷却水流入部から冷却水が「前記流入流路」に流入し、冷却水流出部から冷却水が「前記排出流路」から流出し、さらに、第1プレートまたは第2プレートに「前記流入流路と排出流路を区画する流路区画部」が備えられる旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
[相違点1]について
コイルが巻回されるコイル装着部(ボビン)に、一次コイル、二次コイルをそれぞれ巻回する空間を相互異なる大きさに区画する区画リブ(つば、あるいはフランジ)を設けてなる構成は、例えば特開平8-203752号公報(特に段落【0003】?【0004】5行、図5、図6を参照。「中間のつば2C」が区画リブに相当。)、実願平2-123556号(実開平4-80023号)のマイクロフィルム(特に、4頁20行?5頁7行、第1図、第2図を参照。「フランジ1b」が区画リブに相当。)に見られるように周知のものであり、引用発明においても、かかる周知の構成を採用し、ボビン(巻枠)に装着空間を相互異なる大きさに区画する区画リブが備えられたものとすることは当業者であれば適宜なし得る設計的な事項にすぎない。

[相違点2]について
配管上の利便性のため冷却水流入部と冷却水流出部とを同じ方向(同一側面側)に配置するためや、冷却水が流れる流路の長さをより確保するために、流路空間内に流入流路と排出流路を区画する流路区画部(仕切り板、あるいは隔壁)を設け、冷却水の流れがU字状に形成されるようにすることは、例えば特開2003-234589号公報(特に段落【0021】?【0023】、図1を参照。「隔壁17」が流路区画部に相当。)、特開2005-11983号公報(特に段落【0014】?【0016】、図4を参照。「仕切り板14」が流路区画部に相当。)、特開2005-116815号公報(特に段落【0005】、図20を参照。「仕切り1502」が流路区画部に相当。)に見られるように周知の技術事項であり、引用発明においても、冷却器の内部を構成する上板と下板のいずれか一方に流入流路と排出流路を区画する流路区画部を設け、相違点2に係る構成とすることは当業者であれば容易になし得ることである。

そして、上記各相違点を総合的に判断しても本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び周知の技術事項から当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。

(5)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成27年3月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年5月21日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
磁性部材と、前記磁性部材に結合されるコイル装着部及び前記コイル装着部の外側に備えられるコイルを有する変圧器が固着される第1プレートと、
前記第1プレートの一側に離隔されて配置される第2プレートと、
前記第1プレートと第2プレートとの間に規定され、冷却水が流動する冷却水流路とが備えられ、
前記磁性部材には第1磁性部及び第2磁性部が備えられ、
前記第1プレートには、
前記第1プレートの一側に突出されて前記第1磁性部に接する第1突出部と、
前記第1プレートの他側に突出されて前記第2磁性部に接する第2突出部と、
前記第1突出部と第2突出部との間に陥没するように形成され、前記コイル装着部及びコイルが装着される陥没部とが備えられる、変圧器冷却装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、少なくとも前記「2.」で検討した本願補正発明から、
ア.発明特定事項である「冷却水流路」について、「流入流路と排出流路を有する」ことの限定を省き、
イ.同じく発明特定事項である、磁性部材が備える「第1磁性部及び第2磁性部」について、「互いに結合されて前記コイルとコイル装着部とを収容するための収容空間を形成する」ことの限定を省き、
ウ.同じく発明特定事項である「コイル装着部」について、「前記コイルが装着される装着空間及び前記装着空間を相互異なる大きさに区画する区画リブが備えられ」ることの限定を省き、
エ.同じく発明特定事項である「第1プレート」または「第2プレート」について、「前記流入流路と排出流路を区画する流路区画部が備えられる」ことの限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明から少なくとも周知の技術事項に相当する事項を省いたものである本願発明も、同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-12-24 
結審通知日 2016-01-05 
審決日 2016-01-18 
出願番号 特願2013-98677(P2013-98677)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01F)
P 1 8・ 575- Z (H01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小池 秀介瀧内 健夫松田 直也  
特許庁審判長 森川 幸俊
特許庁審判官 ゆずりは 広行
井上 信一
発明の名称 変圧器冷却装置及びこれを含む変圧器アセンブリー  
代理人 鶴田 準一  
代理人 青木 篤  
代理人 中村 健一  
代理人 南山 知広  

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