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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1315311
審判番号 不服2015-18612  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-14 
確定日 2016-06-21 
事件の表示 特願2010-217621「入力装置及び入力装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月12日出願公開、特開2012- 73785、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成22年9月28日の出願であって、平成26年5月19日付けで拒絶理由が通知され、同年7月28日付けで手続補正がなされ、同年12月26日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成27年7月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1-8に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「【請求項1】
タッチ入力の入力位置を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
スリープモードにおいて、前記荷重検出部が所定の荷重基準を満たす押圧荷重を検出した場合、前記入力位置にホームポジションキーが配置されるように仮想的なユーザインタフェースを生成するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする入力装置。」


第3 原査定の理由の概要

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1,5
・引用文献等 1,3
・備考
新たに引用する引用例3の【0045】等に記載が見られるように、スリープモードにおいて荷重検出(圧力検出)を行って何らかの処理を行うことは単なる周知技術であることに鑑みれば、引用例1において当該周知技術を採用し上記請求項に係る発明をなすことは当業者にとって容易である。

本願請求項1に係る発明と引用例1(特開平09-330175号公報)に記載された発明とは、スリープモードで荷重を検出する点でのみ異なるものの、タッチパネル装置でスリープモードに移行した後何らかの操作を検知して復帰することは、例えば特開2008-107906号公報段落33乃至36や、特開2010-152685号公報の段落62等に散見されるとおり、極めて一般的な周知技術に過ぎず、本願請求項1に係る発明は引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものというほかない。
なお出願人は平成27年3月9日付け意見書にて、先の拒絶理由通知で引用した引用例3は、スタイラスペンのスリープモードに係るものであって、タブレット型コンピュータのスリープモードでは無い旨の主張を行っているものの、当該スリープモード及びスリープモードからの復帰という一連の処理に関しては、上記のとおり単なる周知技術に過ぎないから、当該主張は採用の限りでは無い。


・請求項 2,6
・引用文献等 1,3
・備考
引用例1の【0056】?【0072】等参照。

・請求項 3,7
・備考
触感呈示部を設けて触感を呈示することは、さらに新たに引用する引用例4などにもみられるように、単なる周知技術に過ぎない。

・請求項 4,8
・引用文献等 1?4
・備考
引用例2の【0059】等参照。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開平09-330175号公報
2.特開2005-149197号公報
3.特開2010-086542号公報
4.特開2010-146516号公報


第4 当審の判断
1.刊行物の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-330175号公報公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審において付加した。)(下線は、当審において付加した。)

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ、ワードプロセッサなどの情報処理装置に関する。特に、小型軽量化を図りつつ、かつ、効率よく入力作業を行うための情報処理装置及びその操作方法に関する。」(2頁2欄)

イ.「【0007】本発明の目的は、小型薄型でありながら入力効率のよい情報処理装置及びその操作方法を提供することにある。すなわち、機械的なキーボードを持たない装置においても、それがあると同等以上の効率で文字等の入力が可能な情報処理装置及びその操作方法を提供することにある。」(3頁3欄)

ウ.「【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明により電子メールを送信する実施例を図1?図32を用いて詳述する。
【0010】各図面において、同一符号は同一対象物を表す。
【0011】図1は本実施例による情報処理装置の斜視図、図2は本実施例の情報処理装置の構成を示すブロック図、図3?図10は本実施例の圧力分布検出を説明するための図、図11?図16は、本実施例の操作フローを示す図、図17?図32は本実施例の操作の各段階における表示画面例を示す図である。
【0012】図1において、本装置200は、内部を本体装置ケース201によって一部ないし全体を覆った構造をとっている。装置のサイズは、B5からA4程度であり、容易に持ち運ぶことができる大きさである。表示装置202は、本体装置ケース201に嵌合されている。表示装置202の上に透明のタブレット装置240が載置されている。タブレット装置240が透明なので、使用者は、本装置200の外部から表示装置202の表示内容を見ることができる。24Cはタブレット装置カット部であり、表示装置202の上にタブレット装置240が載置されていることの説明のために設けたもので、実際にはカットされていない。
【0013】表示画面に表示されたキーボード(以下、「仮想キーボード」という)430は、図1の例では、表示装置202上に表示されるカーソル415の位置に、文字列を挿入するためのものである。
【0014】220はマウス装置であり、228はペンである。421は使用者の左手、422は右手である。
【0015】図2は、本実施例による仮想キーボードが適用されるタブレット付情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【0016】図2を参照して本装置の構成を説明する。
【0017】図2において、電源209は本装置の電子部品各部に電力を供給するためのものであり、電源ボタン210は電源209を制御するためのものである。クロック211は、本装置各部を同期して動作させるための発振装置である。制御装置224は、マウス装置220への入力信号に対して必要な処理を行い、その信号を中央処理装置231へ伝達する機能をもつ。操作者は、タブレット装置240の入力面を指やペン等で押すことによりデータを入力することができる。タブレット装置圧力分布処理モジュール241は、タブレット装置240への入力信号を処理して中央処理装置231に送ると共に、表示装置202上の仮想キーボード等の表示状態等の情報を中央処理装置231から受け取る機能をもつ。二次記憶装置234は必要なデータを、外部から中央処理装置231に供給する機能等をもつ。表示装置202は、中央処理装置231内の表示用メモリに書き込まれたデータを、装置外部に対して表示するためのものである。」(3頁4欄?4頁委5欄)

エ.「【0019】図3は、図2のタブレット装置圧力分布処理モジュール241を詳細に説明するためのブロック図である。242は被圧キー検出部、243は後処理モジュール、244は制御装置である。また、240はタブレット装置である。
【0020】本装置のタブレット装置240は、透明板状の入力装置であり、格子状のグリッドが配置されている。すべての格子点にかかる圧力を同時に検知することが可能である。この圧力を検知する格子点を感圧点とよぶ。
【0021】タブレット装置240から、全感圧点の圧力データが一定の時間間隔にて被圧キー検出部242へ入力される。
【0022】被圧キー検出部242は一定の時間間隔にて、修飾キーや機能キーを含む各キーについて、押されているとみなせるかの情報を後処理モジュール243に渡す。それとともに、被圧キー検出部242は表示キーボード等の位置または種類を更新するかどうか、或いは更新するならば、表示装置のどの位置にどの種類のキーボードを表示するかの情報を中央処理装置231に伝える。キーボードの種類としては、QWERTYキーボードやテンキー等がある。
【0023】後処理モジュール243は、被圧キー検出部242から受け取った各キーのデータの立ち上がり、立ち下がり等を見る。それにより、修飾キーを含む各キーごとに、新規に押されたか、継続して押されているか等を検出し、結果を中央処理装置231に伝える。修飾キーとは、コントロールキーやシフトキー等のことである。」(4頁5欄)

オ.「【0032】以下、状態遷移図である図8?図10を用いて、被圧キー検出部242の動作を説明する。
【0033】 ・・・・<中 略>・・・・
【0034】 ・・・・<中 略>・・・・
【0035】 ・・・・<中 略>・・・・
【0036】 ・・・・<中 略>・・・・
【0037】使用者は本装置において、少なくとも2種類のテンプレートを表示させることができる。一つはQWERTY型の仮想キーボード430であり、もう一つは仮想テンキーである。
【0038】画面2001において、次の2種類のいずれかの呼び出し操作を入力すると、QWERTY型の仮想キーボード430或いは仮想テンキーが表示される。
【0039】QWERTY型の仮想キーボード430を表示させる呼び出し操作は、次の条件(1)?(4)を全て満たすものである。
【0040】(1)本装置がQWERTY型の仮想キーボード430も仮想テンキーも表示していない状態であること。
【0041】(2)8本の指で弱く押された状態が一定時間以上続くこと。ここでいう8本の指で弱く押された状態とは、山の個数が8であり、かつ、8つの山すべてについて頂点の圧力pがP1≦p≦P2を満たすことである。
【0042】(3)山の頂点の x 座標の小さい方から4点が「ほぼ一直線上かつ、指間隔くらいの間隔」であること。ここで、「ほぼ一直線上」とは、例えばその4点の最小2乗法による直線からの距離が、その4点全てについて8mm以内ということである。また、「指間隔くらいの間隔」とは、例えば隣り合う山の頂点同士の間隔が19mmから22mmということである。
【0043】(4)山の頂点の x 座標の大きい方から4点が「ほぼ一直線上かつ、指間隔くらいの間隔」であること。」(4頁6欄?5頁7欄)


カ.「【0073】次に図11?図32を用いて本発明に基づいた情報処理装置の操作例につき詳述する。
【0074】図11?図16は、本実施例による情報処理装置の操作フローを示す図である。
【0075】図11?図16において、「A:」に続く部分は使用者の意図や、使用者による装置への入力を、「B:」に続く部分は使用者の入力等に対する装置の反応を表すものとする。
【0076】ステップ1000?1010について説明する。
【0077】使用者は図2に示した電源ボタン210を押して、電源209の電力を本装置の電子部品各部に供給可能な状態にするとともに本装置を起動する。すると、本装置は表示装置に図17に示すような初期画面400を表示する。
【0078】電子メールを読む例を説明する。使用者はマウス装置220或いは同様のポインティング装置(以下、マウス装置220等と呼ぶ)を用いてマウスポインタ225の操作あるいは同等の操作を行い、電子メール起動アイコン401を選択かつ実行する。
【0079】ステップ1011について説明する。本装置は、電子メールソフトウエアを起動し、図18に示すような利用者名・パスワード入力ウインドウ410を表示装置に表示し、使用者に対して、カーソル415の位置に利用者名等の入力を促す。
【0080】ステップ1020について説明する。使用者は利用者名を表す文字列を入力したい。使用者は、図19に示すように、現在一般に使われている通常のキーボードに左右の手を置くときのように、使用者の左手421と使用者の右手422の10本の指のうち、親指を除く8本の指を、左右の人差し指同士を十分に離した状態で置く。ここで「十分に離す」とは、後からQWERTY型の仮想キーボードを表示したときに、QWERTY型の仮想キーボードの左手用の部分と、右手用の部分が重なり合わないだけの距離を離しながら、という意味である。QWERTY型の仮想キーボードについては、後述する。
【0081】ステップ1021について説明する。本装置はタブレット装置240に指が8本置かれたと判断し、図20に示すように、タブレット装置上の右手421と左手422がおかれた位置がそのままホームポジションとなる位置に、その使用者の指に合ったキーピッチのQWERTY型の仮想キーボード430を表示する。
【0082】ホームポジションとは、QWERTY型のキーボードの場合、左手の人指し指がFキーの位置、右手の人指し指がJキーの位置となる指の置き方のことである。
【0083】本実施例によれば、使用者は表示装置上に手を置いた位置をそのままホームポジションとすることができる。このため、手指の位置をホームポジションの位置に合わせる調整のために、視線をQWERTY型の仮想キーボード430の表示部分へ移動し、手指を動かす必要がない。すなわち、使用者は、文字列の挿入地点から視線を離さずにQWERTY型の仮想キーボード430を使うことが可能である。よって、使用者の視覚的な疲労を減少でき、さらに、手指の位置を調整したり、視点を移動したりする分の操作時間を短縮することができる。
【0084】また、キーピッチとは、横方向に隣り合って並んだ任意の2つのキーの中心間の距離のことである。
【0085】太さをはじめとして、指の形態は個人により異なるので、キーボードのキーピッチは可変であることが望ましい。
【0086】従来の仮想キーボードの場合、(1)使用者ごとにあらかじめ適切なキーピッチを登録しておく、或いは、(2)制御パネル等を用いて、何らかの操作を使用者が明示的に行い調整する等の操作が必要であった。
【0087】しかし、本装置は、使用者にあったキーピッチを、タブレット装置240へ接触する指同士の距離をもとに決定するので、キーピッチの指定が、直接的かつ自動的に行える。
【0088】さらに、指の太さは指毎に異なるので、自然に指を開いた状態での隣り合う指同士の距離は、指毎に異なると考えられる。本装置は、キーピッチを隣り合う各指の間隔に自動的に合わせた仮想キーボード430を提供することも可能である。これにより、手指の無理な動きを軽減し、身体的負担を低減することができる。」(6頁10欄?7頁11欄)

上記刊行物1の記載を統合すると、刊行物1では、上記ウ.に記載されるように、「本発明により電子メールを送信する実施例を図1?図32を用いて詳述する」ものであって、上記オ.に記載されるように、「QWERTY型の仮想キーボード430を表示させる呼び出し操作」では、段落【0040】?【0043】に記載される「条件(1)?(4)」が満たされる必要があることから、上記カ.に記載される、「利用者名・パスワード」を入力するために、「QWERTY型の仮想キーボード430」を表示する際にも、該「条件(1)?(4)」が満たされているもと認められる。

以上総合すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

〈引用発明〉

「内部を本体装置ケース201によって一部ないし全体を覆った構造をとっており、文字列を挿入するためのものであるキーボード(以下、「仮想キーボード」という)430が表示される表示装置202は、本体装置ケース201に嵌合され、前記表示装置202の上に透明のタブレット装置240が載置されている、文字等の入力が可能な情報処理装置であって、
前記情報処理装置は、操作者が、入力面を指やペン等で押すことによりデータを入力することができる前記タブレット装置240と、前記タブレット装置240への入力信号を処理して中央処理装置231に送ると共に、前記表示装置202上の上記仮想キーボード等の表示状態等の情報を前記中央処理装置231から受け取る機能をもつタブレット装置圧力分布処理モジュール241と、必要なデータを、外部から前記中央処理装置231に供給する機能等をもつ二次記憶装置234と、中央処理装置231内の表示用メモリに書き込まれたデータを、情報処理装置外部に対して表示するための前記表示装置202からなり、
前記タブレット装置240は、透明板状の入力装置であり、格子状のグリッドが配置され、すべての格子点にかかる圧力を同時に検知することが可能であり、この圧力を検知する格子点を感圧点とよばれ、
前記タブレット装置圧力分布処理モジュール241は、被圧キー検出部242、後処理モジュール243、制御装置244からなり、
前記被圧キー検出部242は一定の時間間隔にて、修飾キーや機能キーを含む各キーについて、押されているとみなせるかの情報を前記後処理モジュール243に渡し、それとともに、表示キーボード等の位置または種類を更新するかどうか、或いは更新するならば、表示装置のどの位置にどの種類のキーボードを表示するかの情報を前記中央処理装置231に伝えるものであって、キーボードの種類としては、QWERTYキーボードやテンキー等があり、
前記後処理モジュール243は、前記被圧キー検出部242から受け取った各キーのデータの立ち上がり、立ち下がり等を見て、それにより、修飾キーを含む各キーごとに、新規に押されたか、継続して押されているか等を検出し、結果を前記中央処理装置231に伝えるものであって、
本情報処理装置は、少なくとも2種類のテンプレートを表示させることができ、一つはQWERTY型の仮想キーボード430であり、もう一つは仮想テンキーであって、、
前記タブレット装置240において、次の2種類のいずれかの呼び出し操作を入力すると、QWERTY型の仮想キーボード430或いは仮想テンキーが表示され、
前記QWERTY型の仮想キーボード430を表示させる呼び出し操作は、次の条件(1)?(4)を全て満たすものであり、
(1)情報処理装置がQWERTY型の仮想キーボード430も仮想テンキーも表示していない状態であり、
(2)8本の指で弱く押された状態が一定時間以上続くこと、ここでいう8本の指で弱く押された状態とは、山の個数が8であり、かつ、8つの山すべてについて頂点の圧力pがP1≦p≦P2を満たすことであり、
(3)山の頂点の x 座標の小さい方から4点が「ほぼ一直線上かつ、指間隔くらいの間隔」であること、ここで、「ほぼ一直線上」とは、例えばその4点の最小2乗法による直線からの距離が、その4点全てについて8mm以内ということである。また、「指間隔くらいの間隔」とは、例えば隣り合う山の頂点同士の間隔が19mmから22mmということであり、
(4)山の頂点の x 座標の大きい方から4点が「ほぼ一直線上かつ、指間隔くらいの間隔」であり、
前記情報処理装置において、電子メールソフトウエアを起動し、利用者名・パスワード入力ウインドウ410を表示装置に表示し、カーソル415の位置に利用者名等の入力を行うには、
使用者が、現在一般に使われている通常のキーボードに左右の手を置くときのように、使用者の左手421と使用者の右手422の10本の指のうち、親指を除く8本の指を、左右の人差し指同士を十分に離した状態で置き、上記(1)?(4)の条件が満たされた際に、
前記情報処理装置がタブレット装置240に指が8本置かれたと判断し、タブレット装置上の右手421と左手422がおかれた位置がそのままホームポジションとなる位置に、その使用者の指に合ったキーピッチのQWERTY型の仮想キーボード430を表示するものであり、
前記ホームポジションとは、QWERTY型のキーボードの場合、左手の人指し指がFキーの位置、右手の人指し指がJキーの位置となる指の置き方のことである、
情報処理装置。」


2.対比

本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明の「情報処理装置」は、「文字等の入力が可能な」ものであるから、本願発明の「入力装置」に相当する。

イ.引用発明の「タブレット装置240」は、「入力面を指やペン等で押すことによりデータを入力することができ」、また、「QWERTY型の仮想キーボード430を表示させる呼び出し操作」が入力されるものであり、該「呼び出し操作」では、「指」の本数、「直線上」であることを検出する必要があることから、「タブレット装置240」は、指の押された位置を検出しているものと認められ、引用発明の「タブレット装置240」は本願発明の「タッチ入力の入力位置を検出するタッチセンサ」に相当する。

ウ.引用発明の「タブレット装置240」の「感圧点」は、「圧力を検知する」ものであり、本願発明の「タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部」に相当する。

エ.引用発明の「仮想キーボード430」は、本願発明の「仮想的なユーザインタフェース」に相当する。
そして、引用発明の「情報処理装置」は、「(2)8本の指で弱く押された状態が一定時間以上続くこと、ここでいう8本の指で弱く押された状態とは、山の個数が8であり、かつ、8つの山すべてについて頂点の圧力pがP1≦p≦P2を満たすこと」を含む「(1)?(4)の条件」が満たされるときに、「タブレット装置上の右手421と左手422がおかれた位置がそのままホームポジションとなる位置に、その使用者の指に合ったキーピッチのQWERTY型の仮想キーボード430を表示するもの」である。
ここで、引用発明の「前記タブレット装置240への入力信号を処理して中央処理装置231に送る」「タブレット装置圧力分布処理モジュール241」の「被圧キー検出部242」は、「表示キーボード等の位置または種類を更新するかどうか、或いは更新するならば、表示装置のどの位置にどの種類のキーボードを表示するかの情報を前記中央処理装置231に伝えるものであって、キーボードの種類としては、QWERTYキーボードやテンキー等」であるから、該「被圧キー検出部242」が、「前記タブレット装置240への入力信号を処理」して、上記「タブレット装置上の右手421と左手422がおかれた位置がそのままホームポジションとなる位置に、その使用者の指に合ったキーピッチのQWERTY型の仮想キーボード430」の生成を行っているものと認められる。
してみれば、引用発明の「被圧キー検出部242」と、本願発明の「制御部」は、「前記荷重検出部が所定の荷重基準を満たす押圧荷重を検出した場合、前記入力位置にホームポジションキーが配置されるように仮想的なユーザインタフェースを生成するように制御する制御部」の点で共通する。

よって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致、ないし相違している。

(一致点)

「タッチ入力の入力位置を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部が所定の荷重基準を満たす押圧荷重を検出した場合、前記入力位置にホームポジションキーが配置されるように仮想的なユーザインタフェースを生成するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする入力装置。」


(相違点)
上記「制御部」の「前記荷重検出部が所定の荷重基準を満たす押圧荷重を検出した場合、前記入力位置にホームポジションキーが配置されるように仮想的なユーザインタフェースを生成するように制御する」ことが、本願発明では、「スリープモードにおいて」行われるのに対して、引用発明では、どのようなモードで行われるか特定されていない点。


3.判断

当審は次のとおり判断する。

下のア.?ウ.に示す理由で、引用発明において上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは、当業者といえども容易に推考し得たこととはいえない。

したがって、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

ア.引用発明を開示する刊行物1には、引用発明において上記相違点に係る本願発明の構成を採用することについての記載も、それを示唆する記載もない。

イ.原査定で引用された特開2010-086542号公報、特開2008-107906号公報、特開2010-152685号公報(以下、「刊行物2」、「刊行物3」、「刊行物4」という。)にも記載されるように、タッチパネル装置でスリープモードに移行した後何らかの操作を検知して復帰すること自体は周知技術と認められ、引用発明においても、スリープモードを設け、スリープモードに移行した後何らかの操作を検知して復帰することは、当業者が容易に想到し得たことである。
しかしながら、引用発明において、スリープモードを設け、スリープモードに移行した後何らかの操作を検知して復帰するようにしたとしても、それによって構成されるのは、スリープモードから復帰後のモードで「荷重検出部が所定の荷重基準を満たす押圧荷重を検出」するように動作するものにとどまり、上記相違点に係る本願発明の構成までは導出されない。
なぜならば、引用発明における押圧荷重の検出は、刊行物1の図8に示されるようなキーボードが表示されていない状態からキーボードを表示させるための操作を検知するために行われるものであって、そのようなスリープモードからの復帰のための操作以外の操作を検知するための検出を、スリープモードにおいて行うことまでは、上記周知技術によっては示唆されないからである。
また、仮に、「荷重検出部が所定の荷重基準を満たす押圧荷重を検出」をスリープモードで行うことに想到し得たとしても、引用発明において「入力位置にホームポジションキーが配置されるように仮想的なユーザインタフェースを生成する」ためには、上記「条件(1)?(4)」の全ての条件が満たされなければならないことから、「スリープモード」から復帰のための「何らかの操作」としては、上記「条件(1)?(4)」の全ての条件を満たす操作を行う必要があるが、上記刊行物2?4には、そのような操作を行うことは記載されておらず、そのような操作を行うことまでが周知技術であったとは認められない。
したがって、上記刊行物2?4に記載される技術の存在をもっては、引用発明において上記相違点に係る本願発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったとはいえない。

ウ.ほかに引用発明において上記相違点に係る引用発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる根拠は見当たらない。

本願の請求項5に係る発明は、本願発明を「入力装置の制御方法」の観点から記載したものに過ぎず、また、請求項2-4に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであり、請求項6-8は、請求項5に係る発明をさらに限定したもので、本願発明と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明することができたとはいえない。


第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1-8に係る発明は、いずれも、当業者が引用発明に基づいて容易に発明することができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-06-07 
出願番号 特願2010-217621(P2010-217621)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 慎一  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 稲葉 和生
山澤 宏
発明の名称 入力装置及び入力装置の制御方法  
代理人 杉村 憲司  
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