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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 F16K
管理番号 1315550
審判番号 不服2015-12022  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-24 
確定日 2016-06-06 
事件の表示 特願2011- 17868「ソレノイドバルブ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月23日出願公開,特開2012-159117〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件審判に係る出願(以下,「本願」と言う。)は,平成23年1月31日の特許出願であって,平成26年10月31日付けで拒絶の理由を通知したところ,指定した期間内に応答がなかったので,平成27年3月20日付けで拒絶査定がされたところ(発送日:平成27年3月24日),これに対して,平成27年6月24日に本件審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。

2.平成27年6月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年6月24日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)本件補正後の本願補正発明
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,次のように補正された。
ア.本件補正前
「固定鉄芯と,
前記固定鉄芯の回りに設けられたソレノイドコイルと,
前記固定鉄芯と前記ソレノイドコイルの吸引力により可動するピン部を有する可動鉄芯と,
前記可動鉄芯の内穴に設けられ前記固定鉄芯から該可動鉄芯が離隔するスプリングと,
前記可動鉄芯により流体の流れを制御するようにされた弁部と,
を備えたソレノイドバルブにおいて,
前記可動鉄芯には,前記スプリングの挿入穴と前記可動鉄芯のピン部固定穴とが略同一内径の貫通穴に形成されていることを特徴とするソレノイド。」(本願の願書に添付された特許請求の範囲参照。)
イ.本件補正後
「固定鉄芯と,
前記固定鉄芯の回りに設けられたソレノイドコイルと,
前記固定鉄芯と前記ソレノイドコイルの吸引力により可動する,ピンを有した可動鉄芯と,
前記可動鉄芯の貫通穴に設けられ前記固定鉄芯から該可動鉄芯を離隔するスプリングと,
前記可動鉄芯により流体の流れを制御するようにされた弁部と,
を備えたソレノイドバルブにおいて,
前記可動鉄芯の貫通穴は,前記スプリングの挿入穴と前記ピンの固定穴とにより略同一内径に形成された貫通穴であって,かつ前記ピンはピン圧入部とフランジ部を備えたピンであって,前記ピン圧入部が前記可動鉄芯の貫通穴に圧入されることで前記フランジ部が前記可動鉄心の端面に固定されていることを特徴とするソレノイドバルブ。」
ウ.上記補正は,補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「ピン部」について,それが「ピン圧入部とフランジ部を備えたピン」であることを限定した上で「前記ピン圧入部が前記可動鉄芯の貫通穴に圧入されることで前記フランジ部が前記可動鉄心の端面に固定されている」と言う限定事項を付加したことを含むものであって,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
エ.そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」と言う。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(2)刊行物
ア.原査定の拒絶の理由に引用文献1として示された特開2000-240826号公報(以下「刊行物」という。)は,「方向制御シート弁およびその組み立て方法」に関するものであって,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0017】
【発明の実施の形態】図1は,直接制御方式の3ポート2位置方向制御弁1の断面図である。この3ポート2位置方向制御弁1はカートリッジ構成で実施されており,弁穴4を備えた弁ケース2を有している。弁穴4には圧力接続部Pと,作動接続部Aと,タンク接続部Tとが開口している。圧力接続部Pは軸線方向において弁穴4に開口しており,他方作動接続部Aとタンク接続部Tとは星形の半径方向の穴として形成されている。図1に図示した3ポート2位置方向制御弁は,いわゆる1-ボール弁として実施されており,2つの弁座8,10を付設した弁体6を有している。次に,これら弁座8,10について詳細に説明する。
【0018】図1に図示した基本位置では,弁体6は凸子12により,図1で右側に図示した弁座8に対し押圧される。凸子12は電磁石16の接極子14と一体に形成されており,圧縮ばね18により弁体6に接触する位置へ付勢される。
【0019】以下に詳細に説明する電磁石16は引張り型磁石として実施されているので,電磁石16を通電すると,凸子12は圧縮ばね18の緊張力に抗して弁体6から離間することができる。
【0020】電磁石16は深絞りのハウジング20を有し,ハウジング20内にはコイル24を備えたコイル体22が収容されている。コイル体22は,図1で左側に図示した端部部分に,電磁石16に給電するためのプラグ26を有している。コイル体22には金属円板28が射出成形されている。
【0021】図1によれば,コイル体22はその右側の端面に開口する軸穴を有し,この軸穴の中に管32が挿着されている。管32は極鉄心34を有し,極鉄心34の1つの端面は金属円板28に当接し,他の端面は磁気的に非伝導性の材料からなる板片36を備えている。磁心34は管32に密に挿着されている。極鉄心34の,図1で右側の端部部分には,軸方向の袋穴が形成され,その内側の端面で前記圧縮ばね18が支持されている。これに対応して板片36は,圧縮ばね18が貫通する破断部を有している。
【0022】さらに図1からわかるように,管32とコイル体22とはほぼ板片36の領域において傾斜肩部38を介して半径方向へ拡大されている。この半径方向に拡大されたコイル体22および管32の領域は,延設部40を受容するために用いる。この延設部40を介して弁ケース2は電磁石16と結合しており,より厳密に言えば,コイル体22およびハウジング20と結合されている。
【0023】弁ケース2を貫通している軸穴4では接極子14が案内されており,その,極鉄心34に向いている端部部分は,半径方向へ拡大されている。接極子14の,半径方向へ拡大している部分は,遊びを持って軸穴4で案内されている。接極子14には中心穴42が貫通している。中心穴42は,図1で左側の端面のほうへ拡大している。この拡大部により形成される環状端面に圧縮ばね18が係合している。
【0024】中心穴42に開口する半径方向の穴46を備えた環状溝44は,接極子14の半径方向拡大部分の領域に形成されている。接極子14は弁座8,10のほうへ向いている端部部分で先細りになっているので,凸子12が形成される。この先細りになっている領域には横穴48が形成されており,この横穴48において中心穴42が終わっている。横穴48は,ほぼタンク接続部Tの領域で弁穴に連通している。
【0025】圧縮ばね18を収容するためのばね空間と,環状溝44に隣接している弁ケース2の周壁とによって形成される空間は,穴42,46,48とタンク接続部Tを介してタンクと連通しているので,これらの領域には無視できるほどのタンク圧しか発生せず,他方電磁石16の可動部材の潤滑が保証されている。」
・「【0042】図5に図示した方向制御型シートバルブ上述の実施形態と異なっているのは,接極子14と凸子12が互いに一体的に形成されているのではなく,別個の部材であることである。接極子14は中心穴42を有し,中心穴42は接極子14を軸線方向に貫通しており,中心穴42に凸子12が圧入されている。中心穴42の壁は少なくとも1つの縦溝88を有し,縦溝88により,圧縮ばね18を収容しているばね空間90がタンク接続部Tと連通している。
【0043】接極子14と凸子12は別個の部材であるので,圧縮ばねの付勢力は力依存位置への凸子12の圧入により簡単かつ正確に設定することができる。凸子12は,接極子14をストッパー上に載置したときに圧縮ばね18の力が所定の力に達するまで接極子14内へ圧入される。これにより,圧力保護用の調整公差が非常に小さい。また,ブシュにおいても接極子14においても同軸性の必要性が少ないので,個々の部材のコストが節約される。
【0044】極鉄心34は,前述の実施形態とは異なり,その中心を貫通している軸線方向の穴92を有し,この軸線方向の穴92のなかに,筒状部分94を備えた管32が突出している。筒状部分94は鍋状に形成されている。筒状部分94の底部で圧縮ばね18が支持されている。低部は金属円板28から間隔を持って位置し,金属円板28には極鉄心34が接している。」
イ.上述した事項全体から,まず,電磁石16により操作される方向制御シート弁が把握される。
次に,電磁石16は,極鉄心34の回りに設けられたコイル24に通電すると,その吸引力により接極子14が可動するものであると理解できる。
また,弁体6及び弁座8は,接極子14により流体の流れを制御するようにされたものであると把握できる。
さらに,接極子14の中心穴42には,極鉄心34から当該接極子14を離隔する圧縮ばね18が挿入されるとともに凸子12が圧入により固定されていることが把握できる。そして,図5の記載内容も徴すれば,接極子14の中心穴42は,圧縮ばねが挿入される部位と凸子が圧入により固定される部位とで略同一内径に形成されていると理解できる。
ウ.上述した事項を踏まえ,本願補正発明の表現にならって整理すると,刊行物には,次の発明が記載されていると認めることができる(以下,この発明を「刊行物記載の発明」と言う。)。
「極鉄芯と,
前記極鉄芯の回りに設けられたコイルと,
前記極鉄芯と前記コイルの吸引力により可動する,凸子を有した接極子と,
前記接極子の中心穴に設けられ前記極鉄芯から該接極子を離隔する圧縮ばねと,
前記接極子により流体の流れを制御するようにされた弁体及び弁座と,
を備えた電磁石により操作される方向制御シート弁において,
前記接極子の中心穴は,前記圧縮ばねの挿入される部位と前記凸子の圧入固定される部位とにより略同一内径に形成された中心穴であって,かつ前記凸子は前記接極子の中心穴に圧入されることで前記接極子に固定されている電磁石により操作される方向制御シート弁。」
(3)刊行物2
ア.本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2009-156312号公報(以下,「刊行物2」と言う。)は,「ソレノイドバルブ」に関するものであって,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0007】
図1に示すように,固定鉄芯11は断面凹状の空間部15を有する円筒部16と,前記空間部15の開口端17に設けられた鍔部18と,を備える。空間部15の円筒部16の底部19にはドレーン用の貫通穴20が設けられている。固定鉄芯11の円筒部16の外側16a及び鍔部18の円筒部外周面18aに接するようにソレノイドコイル12が嵌挿されている。ソレノイドコイル12はプラスチック製のボビン12aに巻き線12bが巻かれている。ボビン12aの上端12cが鍔部18に対向して配置され,ボビン12aの内径12dが円筒部外周面18aに嵌挿されている。ボビン12aの下端には断面L字で円筒状の鉄製のヨーク21が固定されている。ボビン12aの下方から端子部22が半径方向に突出し外部から電力が供給される。
【0008】
固定鉄芯11の下端11a及びボビン12aの内径12eに沿って移動可能に可動鉄芯13が設けられている。固定鉄芯11と可動鉄芯13との間にはシム23が設けられ,固定鉄芯11と可動鉄芯13とが直接接触しないようにされている。可動鉄芯13は凹状穴13aを有する中空円筒状であり,底部にピン13bが固定されている。凹状穴13aにはスプリング24が設けられ,スプリング24の上部が固定鉄芯11の下端11aにシム23を介して当接し,スプリング24のスプリング力により可動鉄芯13と固定鉄芯11が離隔するようにされている。可動鉄芯13及びヨーク21の下部に弁部14が設けられている。弁部14は上部に鍔14aを有し,鍔14a,ヨーク21,ソレノイドコイル12,固定鉄芯11の鍔部18がカバー25の両端部25a,25bで挟持するように加締め固定されている。」
・「【0011】
可動鉄芯13のピン13bはその先端がばね部材24の弾発力によりボール31に当接可能にされており,巻き線12bに通電することにより,固定鉄芯11側に吸引されボール31と接触しないようにされる。
図1の右側に示すようにソレノイドコイル12が非励磁の場合には,ボール31はスプリング24のスプリングによりピン13bに押し圧されて圧力ポート側弁座30に着座し,圧力ポート29と負荷ポート33を遮断し,負荷ポート33とタンクポート34とを連通させる。
図1の左側に示すようにソレノイドコイル12が励磁され,ピン13bがボール31と離れているときは,ボール31は圧力ポート29の圧力に押され,タンクポート側弁座32に着座し,圧力ポート29と負荷ポート33を連通し,負荷ポート33とタンクポート34を遮断させる。これにより,ソレノイドコイル12のON-OFFにより流路を切り換える3方向2位置のノーマルクローズ弁を提供する。」
イ.上述した事項及び図1の記載内容から,ピン13bには,可動鉄芯の貫通穴に挿入されるピン固定部とフランジ部とが備えられており,当該ピン固定部が当該可動鉄芯の貫通穴に挿入された状態で当該フランジ部が当該可動鉄心の端面に固定されていることが把握できる。
ウ.上述した事項を踏まえ,本願補正発明の表現にならって整理すると,刊行物2には,次の発明が記載されていると認めることができる(以下,この発明を「刊行物2記載の発明」と言う。)。
「固定鉄芯と,
前記固定鉄芯の回りに設けられたソレノイドコイルと,
前記固定鉄芯と前記ソレノイドコイルの吸引力により可動する,ピンを有した可動鉄芯と,
前記可動鉄芯の貫通穴に設けられ前記固定鉄芯から該可動鉄芯を離隔するスプリングと,
前記可動鉄芯により流体の流れを制御するようにされた弁部と,
を備えたソレノイドバルブにおいて,
前記ピンはピン固定部とフランジ部を備えたピンであって,前記ピン固定部が前記可動鉄芯の貫通穴に挿入された状態で前記フランジ部が前記可動鉄心の端面に固定されているソレノイドバルブ。」
(4)対比・判断
ア.本願補正発明と刊行物記載の発明を対比する。
(ア)刊行物記載の発明の「極鉄心」,「コイル」,「接極子」,「弁体及び弁座」は,それぞれ,本願補正発明の「固定鉄芯」,「ソレノイドコイル」,「可動鉄芯」,「弁部」に相当する。
刊行物記載の発明の「中心穴」,「凸子」,「圧縮ばね」は,それぞれ,本願補正発明の「貫通穴」,「ピン」,「スプリング」に相当する。
刊行物記載の発明の「圧縮ばねの挿入される部位」,「凸子の圧入固定される部位」は,それぞれ,本願補正発明の「スプリングの挿入穴」,「ピンの固定穴」に相当する。
刊行物記載の発明の「前記凸子は前記接極子の中心穴に圧入されることで前記接極子に固定されている」なる態様と本願補正発明の「前記ピンはピン圧入部とフランジ部を備えたピンであって,前記ピン圧入部が前記可動鉄芯の貫通穴に圧入されることで前記フランジ部が前記可動鉄心の端面に固定されている」なる態様とは,「前記ピンは前記可動鉄芯の貫通穴に圧入されることで前記可動鉄心に固定されている」という限りで一致している。
刊行物記載の発明の「電磁石により操作される方向制御シート弁」は,本願補正発明の「ソレノイドバルブ」に相当する。
(イ)そうすると,両者の一致点及び相違点は,次のとおりである。
[一致点]
「固定鉄芯と,
前記固定鉄芯の回りに設けられたソレノイドコイルと,
前記固定鉄芯と前記ソレノイドコイルの吸引力により可動する,ピンを有した可動鉄芯と,
前記可動鉄芯の貫通穴に設けられ前記固定鉄芯から該可動鉄芯を離隔するスプリングと,
前記可動鉄芯により流体の流れを制御するようにされた弁部と,
を備えたソレノイドバルブにおいて,
前記可動鉄芯の貫通穴は,前記スプリングの挿入穴と前記ピンの固定穴とにより略同一内径に形成された貫通穴であって,かつ前記ピンは前記可動鉄芯の貫通穴に圧入されることで前記可動鉄心に固定されているソレノイドバルブ。」
[相違点]
本願補正発明では,ピンはピン圧入部とフランジ部を備えたピンであって,当該ピン圧入部が可動鉄芯の貫通穴に圧入されることで当該フランジ部が当該可動鉄心の端面に固定されているのに対して,刊行物記載の発明では,ピンに関してそのように特定されたものではない点。
イ.相違点について検討する。
(ア)刊行物2記載の発明は,刊行物記載の発明及び本願補正発明と同じ技術分野に属し且つ基本的構成が共通するものと言えるものであって,特に,可動鉄芯に対するピンの固定に関して,ピン固定部とフランジ部を備えたピンを用いて当該フランジ部が当該可動鉄心の端面に固定される構成を採用したものである。
刊行物記載の発明において,同じ技術分野に属し且つ基本的構成が共通する刊行物2記載の発明,特にそのピン固定部とフランジ部を備えたピンを用いて当該フランジ部が可動鉄心の端面に固定される構成を考慮して,ピンをピン圧入部とフランジ部を備えたピンとして,当該ピン圧入部が可動鉄芯の貫通穴に圧入されることで当該フランジ部が当該可動鉄心の端面に固定されている構成を採用すること自体は,当業者にとって格別の創作能力を要さずになし得た範囲内の事項である。
すなわち,刊行物記載の発明において,上記相違点に係る本願補正発明の構成を採用することは,当業者が格別の創作能力を要さずになし得たことである。
(イ)刊行物2記載の発明では,可動鉄芯に対するピンの固定に際して,フランジ部が存在することによって当該ピンの当該可動鉄芯の貫通穴への挿入の程度に限度があること,すなわち当該ピンが奧に深く入り込み過ぎないようになっていることは,当業者にとって自明の事項である。
そうすると,本願明細書の記載の限りでは,本願補正発明の構成によって,刊行物記載の発明及び刊行物2記載の発明からみて格別顕著な効果がもたらされると言うこともできない。
(ウ)したがって,本願補正発明は,刊行物記載の発明及び刊行物2記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明し得たものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(5)小括
よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成27年6月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本件に係る出願の各請求項に係る発明は,本願の願書に添付された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ,その請求項1は「2.(1)ア.」に記載したとおりである(以下,この請求項1に係る発明を「本願発明」と言う。)。
(2)刊行物
刊行物及びその記載事項並びに刊行物記載の発明は,「2.(2)」に記載したとおりである。
(3)対比・判断
本願発明と刊行物記載の発明を対比すると,「2.(3)ア.」での検討を踏まえれば,本願発明では「ピン」に関して「ピン圧入部とフランジ部を備えたピンであって,当該ピン圧入部が可動鉄芯の貫通穴に圧入されることで当該フランジ部が当該可動鉄心の端面に固定されている」との発明特定事項が備えられていないので,両者の間で,実質的に相違する点はない。
すなわち,本願発明と刊行物記載の発明の発明特定事項において実質的に相違するところはない。
したがって,本願発明は,刊行物記載の発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定に該当するものである。

4.むすび
以上のとおりであるから,本願発明は,特許法第29条第1項第3号の規定に該当するので,特許を受けることができない。
したがって,本願は,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-04-07 
結審通知日 2016-04-08 
審決日 2016-04-19 
出願番号 特願2011-17868(P2011-17868)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F16K)
P 1 8・ 121- Z (F16K)
P 1 8・ 113- Z (F16K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 昌弘冨永 達朗  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 新海 岳
前田 浩
発明の名称 ソレノイドバルブ  
代理人 梅本 幸作  

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