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審決分類 審判 全部無効 1項1号公知  A63C
管理番号 1315950
審判番号 無効2012-800137  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-08-31 
確定日 2014-06-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4048178号発明「スノーボード用ビンディング」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4048178号に係る出願は、平成13年6月14日に出願した特願2001-179623号(以下「原出願」という。)の一部を平成16年1月29日に新たな特許出願としたものであって、平成19年11月30日に設定登録がなされたものである。
そして、本件無効審判請求に係る手続の経緯は、以下のとおりである。
平成24年8月31日 無効審判請求書提出
平成24年11月30日 答弁書、訂正請求書提出
平成25年1月7日 弁駁書提出(請求人)
平成25年1月17日 上申書提出(請求人)
平成25年3月11日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
平成25年3月12日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
平成25年3月26日 口頭審理
平成25年4月9日 上申書提出(請求人)

第2 訂正請求について
1.訂正の内容
被請求人が平成24年11月30日付けの訂正請求書により請求する訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり一群の請求項ごとに訂正しようとするものであって、その請求の内容は以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「上記バンド15の他端が上記バックルを介して上記一方及び他方のバンドの他方に固定されている」を、
「上記バンド15の他端が上記バックルを介して上記一方及び他方のバンドの他方に固定されており、上記ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできる」(下線は審決で付した。以下同じ。)と訂正する。

(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0008】の
「上記バンド15の他端が上記バックルを介して上記一方及び他方のバンドの他方に固定されている」を、
「上記バンド15の他端が上記バックルを介して上記一方及び他方のバンドの他方に固定されており、上記ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできる」と訂正する。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、バンド15に関して、その締付けの態様を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。同様に、請求項1を引用する請求項2?4に係る発明を減縮するものである。
そして、訂正事項1は、願書に添付した明細書(段落【0013】、段落【0016】)、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2には、訂正事項1により訂正する特許請求の範囲の記載と、発明の詳細な説明の記載とを整合させるためのものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.小括
したがって、一群の請求項についての本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3 本件訂正後の特許発明
上記のとおり、一群の請求項についての本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1ないし4発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下、それぞれ「本件訂正発明1」、「本件訂正発明2」、「本件訂正発明3」、及び「本件訂正発明4」という。また、これらを総称して「本件訂正発明」という。)。
「【請求項1】
ベースプレート1と、このベースプレート1の一側にその一端を取り付けた一方のバンド9aと、上記ベースプレート1の他側にその一端を取り付けた他方のバンド9bと、ブーツの爪先の上部分を締付ける部分とブーツの爪先の先端を締付ける部分とよりなるバンド15と、バックル16とより成り、上記バンド15の一端が上記一方及び他方のバンドの一方に固定され上記バンド15の他端が上記バックルを介して上記一方及び他方のバンドの他方に固定されており、上記ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできることを特徴とするスノーボード用ビンディング。
【請求項2】
上記バンド15にパッドが固定されていることを特徴とする請求項1記載のスノーボード用ビンディング。
【請求項3】
上記バンド15に連結部材が固定されていることを特徴とする請求項1記載のスノーボード用ビンディング。
【請求項4】
上記パッドが上記ブーツの爪先の上部分を締付ける部分19とブーツの爪先の先端を締付ける部分20を有することを特徴とする請求項2記載のスノーボード用ビンディング。」

第4 請求人の主張及び証拠方法
請求人は、「特許第4048178号の特許請求の欄に記載された請求項1ないし4に記載された発明についての特許を無効とする。審判請求費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、無効理由の概要は以下のとおりであって、本件特許は無効とすべきである旨主張している。
本件訂正発明は、甲第2号証に示されているものと同一であるから、本件訂正発明は特許法第29条第1項第1号の規定に該当し、同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。(以下「無効理由」という。)

また、上記無効理由を立証するための証拠方法は、以下のとおりである。
(証拠方法)
甲第1号証:特許第4048178号公報(本件特許公報)
甲第2号証:DRAKE MATRIXの写真撮影報告書
甲第3号証:DRAKEカタログ
(以上、審判請求書に添付して提出された。)
甲第4号証:「SIA Snow Sports Book」の8頁、及び62頁
甲第5号証:「THE SIA SNOW SPORTS SHOW March 9-13,2001」の展示図
甲第6号証:SIAトレードショー出展時の写真
甲第7号証:ISPO日本事務局ウェブサイト(http://www.ispo.jp/)
甲第8号証の1:「スポーツの世界 ワールドスポーツトレードメッセに関する訪問者情報」と題するFAX
甲第8号証の2:ISPOの出展者情報・展示物に関するFAX
甲第9号証:Val Surfのウェブサイト(http://www.valsurf.com/history.html、http://www.valsurf.com/bindings/)
甲第10号証:Val Surfがノースウェーブに対して行ったオーダーフォーム
甲第11号証:ジョン P.マルコスキー氏の陳述書
甲第12号証:スノーボードに関するインターネット上のフォーラム(掲示板)
甲第13号証:米国特許第5172924号明細書
甲第14号証:「Free run 4」(2001年4月1日発行)の表紙
甲第15号証:ジャスティン ヘベル氏の陳述書
甲第16号証:「MOMENT OF TRUTH」、及び「Represent」の動画視聴報告書
甲第17号証の1:「TRANSWORLD Snowboarding MATCH.01」の74頁
甲第17号証の2:甲第17号証の1に記載されている写真を拡大表示したもの
甲第18号証:「Snowboarder」(SEPTEMBER 2000)
甲第19号証:「TRANSWORLD Snowboarding APRIL.01」の69頁、122頁
甲第20号証:「TRANSWORLD Snowboarding NOVEMBER.2001」の47頁
(以上、弁駁書に添付して提出された。)
甲第21号証:実験の様子を撮影した「DVD」
甲第22号証:実験に使用した「輪ゴム付き付箋」
甲第23号証:甲第21号証に格納されている動画のビデオ視聴報告書
(以上、口頭審理陳述要領書に添付して提出された。)
なお、被請求人は、甲第1ないし23号証の成立を認めている。

第5 被請求人の主張及び証拠方法
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、上記請求人の主張に対し、本件特許を無効とすべき理由はない旨の主張をしている。

また、上記無効理由に反論するための証拠方法は、以下のとおりである。
(証拠方法)
[書証]
乙第1号証:回答書
(以上、答弁書に添付して提出された。)
なお、請求人は、乙第1号証の成立を認めている。

第6 本件無効理由についての当審の判断
1.スノーボードビンディング・ドレーク(DRAKE)のMATRIX(以下「MTX」という。)について
(1)公知性・公用性について
甲第2号証には、MTXの右側、左側、前方、後方、上方及び裏側(底側)等を撮影した写真1ないし9が示されており、写真4、及び5(2頁)から、MTXの裏側(底側)に、時計の文字盤のように1から12の数字が配列され、その中心部分には、数字の「00」が刻まされており、数字の「00」を挟むように下向きの矢印が数字の「7」を指して刻まれているとの事実が認められる。
しかしながら、甲第2号証には、これらの数字、矢印、及び矢印(以下「これらの数字等」という。)の意味や定義を示す記載や示唆はなく、また、これらの数字等の意味や定義を裏付ける他の証拠もないから、甲第2号証の写真4、及び5に示されたこれらの数字等の意味や定義は、明らかでないものであって、これらの数字等をMTXの製造日や頒布日と認めることはできない。
また、甲第3号証の5枚目の下側には、「MATRIX FEATURES」、つまり「MTX」が示されているとの事実は認められるが、甲第3号証には、その発行日や頒布日を示す記載や示唆はないものであって、明らかでない。
また、甲第4号証には、アメリカスノースポーツ産業協会(SAI)が、ウィンタースポーツ産業界唯一の、全米会員制非営利業界団体であること(8頁)、「Northwave North America Inc」(以下「ノースウェーブ」という。)の欄に「BRANDS:・・・DRAKE・・・」と記載されていること(62頁)から、ノースウェーブが、ブランドとして「DRAKE」を取り扱っていたとの事実が認められ、また、甲第5号証には、「THE SIA SNOW SPORTS SHOW March 9-13,2001」と記載され、その図には、「Northwave」と記載されていることから、2001年3月9?13日に開催された「THE SIA SNOW SPORTS SHOW」にDRAKEを取り扱っているノースウェーブが出展していたとの事実が認められる。
また、甲第7号証には、「ISPO日本事務局ではISPO関連展示会へのご出展ならびにご来場の方々をサポートをさせて頂いております。」(3頁)と記載され、甲第8号証の1には、「スポーツの世界 ワールドスポーツトレードメッセに関する訪問者情報 ispo2001冬季 2001年2月4?7日 新メッセミュンヘン」と記載され、甲第8号証の2には、「展示物 出展者「ノースウェーブ」 ブランド ドレイク ispo2001」と記載されているから、2001年2月4?7日に開催された「スポーツの世界 ワールドスポーツトレードメッセ ispo2001冬季」にDRAKEを取り扱っているノースウェーブが出展していたとの事実が認められる。
また、甲第9号証には、「1962年に・・・当時において本当に国内初のサーフィンとスケートボードの店を開いた・・・バルサーフは世界最古のサーフィン・スケート・スノーショップであること・・・」と記載され、甲第10号証には、「Sold To:VAL SURF」、及び「Order Date 02/27/01」(1枚目)、並びに「Model」の欄に「Matrix-Large」、「Matrix-Medium」(2枚目)と記載され、また、甲第11号証には、「私は、2001年2月27日に弊社の代表ダグ・コーガーより、バルサーフからの発注表を受け取りました。」と記載されているから、2001年2月27日にバルサーフという小売店からノースウェーブに対して、「Matrix-Large」、及び「Matrix-Medium」の発注を行ったとの事実が認められる。
しかしながら、2001年3月9?13日に開催された「THE SIA SNOW SPORTS SHOW」、及び2001年2月4?7日に開催された「スポーツの世界 ワールドスポーツトレードメッセ ispo2001冬季」において、甲第4?8の2号証をみても、甲第3号証を頒布したことを示す記載や示唆はないことから、その頒布日は明らかでなく、また、これを裏付ける他の証拠もない。また、甲第9?11の2号証をみても、甲第3号証に示されている「MTX」や上記の「THE SIA SNOW SPORTS SHOW」、及び「スポーツの世界 ワールドスポーツトレードメッセ ispo2001冬季」において「MTX」をみて発注したことを示す記載や示唆はないものであって、「MTX」をみて発注したことは明らかでなく、また、これを裏付ける他の証拠もない。
したがって、甲第2号証に示された「MTX」は、本件の原出願前に公然知られた状態であったものとは認められない。

(2)構造について
甲第2号証に示されている写真1?9等によれば、以下の事実が認められる。
ア.甲第2号証の写真1をみると、スノーボード用ビンディングであって、ベースプレートを備えている。
イ.甲第2号証の写真2、3をみると、ベースプレートの一側(正面から向かって右側)にその一端を取り付けた第1のバンドを備えている。
ウ.甲第2号証の写真1、2をみると、ベースプレートの他側(正面から向かって左側)にその一端を取り付けた第2のバンドを備えている。
エ.甲第2号証の写真1?3、平成25年4月9日付け上申書第5頁の写真1?3をみると、第3のバンドの一端が、第1のバンドに固定され、第3のバンドの他端がバックルを介して第2のバンドに固定されている。
オ.甲第2号証の写真1?3、7?9、審判請求書第8?10頁の写真をみると、第3のバンド(青い部分)は、2本のバンド(一方のバンド、他方のバンド)からなり、その裏面(ブーツ側)には、パッドが固定されていると共に、一方のバンドと他方のバンドとは連結部材で連結されて固定されている。また、第3のバンド(青い部分)は、パッドを介して、ブーツの爪先の先端と爪先の上部分の間の丸みをおびた部分に掛けられており、一方のバンドは、ブーツの丸みをおびた部分の内の爪先の上部分側をとおり、他方のバンドは、ブーツの丸みをおびた部分の内の爪先の先端側をとおっている。
カ.乙第1号証の別紙の1枚目の「第3のバンドの側面図」、「第3のバンドを上面から見た図」、2枚目の「第3のバンドを下面から見た図」をみると、パッドの上縁部分、及び下縁部分がブーツから密着せずに離れている。
上記「オ.」及び「カ.」から、第3のバンドは、ブーツの丸みをおびた部分の内の爪先の上部分側をとおる一方のバンドと爪先の先端側をとおる他方のバンドとから構成され、一方のバンドと他方のバンドとは連結部材で連結されて固定されると共に、その裏面(ブーツ側)には、パッドが固定されて、第3のバンド、連結部材、及びパッドにより、ブーツの爪先の先端と爪先の上部分の間の丸みをおびた部分を締付けていると認められる。しかしながら、一方のバンドがブーツの爪先の上部分を締付け、他方のバンドがブーツの爪先の先端を締付けていること、すなわち一方のバンドがブーツの爪先の上部分を締付ける部分となっており、他方のバンドがブーツの爪先の先端を締付ける部分となっており、第3のバンドがブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできるものであるとまで認定することはできない。
請求人は、「MTX」の第3のバンドがブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできること証明するために、輪ゴム付き付箋を第3のバンドとブーツの爪先の上部分、及び爪先の先端部分の間にそれぞれ挟み込んで、その状態で輪ゴムを引っ張り、付箋がバンドから抜けてしまうか否か実験(甲第21?23号証参照。以下「本件実験」という。)を行い、輪ゴムを15cm以上引っ張っても、いずれの付箋も第3のバンドから抜けることなく挟み込まれた状態であったことから、第3のバンドがブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできる旨主張している(口頭審理陳述要領書第3頁第7行?第7頁第4行)。しかしながら、本件訂正明細書に「爪先方向に遊びを生ずることなくブーツを確実にスノーボード用ビンディングに固定できる」(段落【0013】)と記載されているように、実際にスノーボードを使用した際に、バンド15は、爪先方向に遊びを生ずることなくブーツを確実にスノーボード用ビンディングに固定できるように締付けなければならないものであるから、本件訂正発明において、「ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできる」とは、実際にスノーボードを使用した際に、ブーツからバンド15に対してかかる力に抗して爪先方向に遊びを生ずることなくブーツを確実にスノーボード用ビンディングに固定できるような締付け力で、バンド15によりブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けることと解される。してみると、本件実験においては、第3のバンドに対して、実際にスノーボードを使用した際に、滑降中のプレーヤーの体の動き等によって生じるブーツから第3のバンドにかかる大きな力が付与されていないことから、実際にスノーボードを使用した際に、爪先方向に遊びを生ずることなくブーツを確実にスノーボード用ビンディングに固定できる、つまりブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を締付けできることを証明したことにはならない。また、付箋が、第3のバンド、連結部材、及びパッドによりなるもののどこの位置で固定されているのかも明らかでない。したがって、本件実験の結果、いずれの付箋も第3のバンドから抜けることがないことをもって、第3のバンドがブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を(同時に)締付けできるとまで認定することはできない。

したがって、「MTX」は、以下のとおりのものと認められる。
「ベースプレートと、このベースプレートの一側にその一端を取り付けた第1のバンドと、上記ベースプレートの他側にその一端を取り付けた第2のバンドと、ブーツの丸みをおびた部分の内の爪先の上部分側をとおる一方のバンドと爪先の先端側をとおる他方のバンドとよりなる第3のバンドで、一方のバントと他方のバントとは連結部材で連結されて固定されると共に、その裏面には、パッドが固定されている第3のバンドと、バックルとより成り、上記第3のバンドの一端が上記第1のバンドに固定され上記第3のバンドの他端が上記バックルを介して上記第2のバンドに固定されているスノーボード用ビンディング。」(以下検討の便宜上「公知発明」という。)

2.本件訂正発明が公知発明であるか否かについて
上記1.(1)のとおり、公知発明は、本件の原出願前に公然知られた状態であったものとは認められないが、さらに本件訂正発明が公知発明であるか否かについて検討する。
(1)本件訂正発明1と公知発明との対比・判断
本件訂正発明1と公知発明とを対比すると、
後者における「ベースプレート」は、その構造、機能、作用等からみて、前者における「ベースプレート1」に相当し、以下同様に、「第1のバンド」は「一方のバンド9a」に、「第2のバンド」は「他方のバンド9b」に、「第3のバンド」は「バンド15」に、「バックル」は「バックル16」に、それぞれ相当する。
したがって、両者は、
「ベースプレート1と、このベースプレート1の一側にその一端を取り付けた一方のバンド9aと、上記ベースプレート1の他側にその一端を取り付けた他方のバンド9bと、バンド15と、バックル16とより成り、上記バンド15の一端が上記一方及び他方のバンドの一方に固定され上記バンド15の他端が上記バックルを介して上記一方及び他方のバンドの他方に固定されているスノーボード用ビンディング。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
バンド15に関して、本件訂正発明1は、「ブーツの爪先の上部分を締付ける部分とブーツの爪先の先端を締付ける部分とよりなる」、及び「上記ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできる」のに対し、公知発明は、「ブーツの丸みをおびた部分の内の爪先の上部分側をとおる一方のバンドと爪先の先端側をとおる他方のバンドとよりなる」が、第3のバンドが、ブーツの爪先の上部分を締付ける部分とブーツの爪先の先端を締付ける部分とよりなり、上記ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできるか否か明らかでない点。

そうすると、公知発明は、本件訂正発明1を特定するために必要な「ブーツの爪先の上部分を締付ける部分とブーツの爪先の先端を締付ける部分とよりなる」、及び「上記ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできる」との発明特定事項を具備していない。
したがって、本件訂正発明1が、公知発明であるとすることはできない。
なお、甲第12?20号証をみても、「ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできる」ベルトが記載や示唆されているとはいえない。

(2)本件訂正発明2?4と公知発明との対比・判断
本件訂正発明2?4は、何れも本件訂正発明1を引用して本件訂正発明1を更に限定したものであって、上記のとおり、本件訂正発明1が、公知発明であるとすることはできないから、同様に本件訂正発明2?4は、公知発明であるとすることはできない。

3.小括
よって、本件訂正発明は、本件の原出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明ではないから、本件訂正発明についての特許は、無効理由により無効とすることはできない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件訂正についての特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スノーボード用ビンディング
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレート1と、このベースプレート1の一側にその一端を取り付けた一方のバンド9aと、上記ベースプレート1の他側にその一端を取り付けた他方のバンド9bと、ブーツの爪先の上部分を締付ける部分とブーツの爪先の先端を締付ける部分とよりなるバンド15と、バックル16とより成り、上記バンド15の一端が上記一方及び他方のバンドの一方に固定され上記バンド15の他端が上記バックルを介して上記一方及び他方のバンドの他方に固定されており、上記ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできることを特徴とするスノーボード用ビンディング。
【請求項2】
上記バンド15にパッドが固定されていることを特徴とする請求項1記載のスノーボード用ビンディング。
【請求項3】
上記バンド15に連結部材が固定されていることを特徴とする請求項1記載のスノーボード用ビンディング。
【請求項4】
上記パッドが上記ブーツの爪先の上部分を締付ける部分19とブーツの爪先の先端を締付ける部分20を有することを特徴とする請求項2記載のスノーボード用ビンディング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスノーボード用ビンディングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のスノーボード用ビンディングの説明図であって、1はスノーボード本体(図示せず)に固定されるベースプレート、2はブーツ、3は上記ブーツ2の後面に対接されるよう上記ベースプレート1の後端に固定されたバックサポート、4は上記バックサポート3の内側面に取り付けられたクッション、5は上記ブーツ2の甲部を締め付けるため上記ベースプレート1に設けたアンクルストラップ、6は上記アンクルストラップ5の内側面に取り付けられたアンクルストラップパッド、7はブーツ2のつま先を締め付けるため上記ベースプレート1に設けたトゥーストラップ、8は上記トゥーストラップ7の内側面に取り付けられたトゥーストラップパッドを示す。
【0003】
図8は上記トゥーストラップ7の詳細説明図であって、9aはその一端を上記ベースプレート1の一側の立ち上がり部10に固定した一方のバンド、9bは上記ベースプレート1の他側の立ち上がり部10にその一端を固定した他方のバンド、11は上記一方のバンド9aの遊端に連結したバックル、12はこのバックル11に連結したラチェットベルト、13は上記他方のバンド9bに上記ラチェットベルト12を連結するために設けたラチェット爪を有するロック部を示す。
【0004】
なお、アンクルストラップ5は、上記トゥーストラップ7と同一の構成を有する。
【0005】
このような従来のスノーボード用ビンディングにおいてはベースプレート1にブーツ2を装着するとき、上記アンクルストラップ5及びトゥーストラップ7のラチェットベルト12とロック部13の係合を外し、一方及び他方のバンド9a、9bを両手で互いに分離した後、ブーツ2を上記ベースプレート1にその上方から乗せ、図8、図9に示すようにラチェットベルト12をラチェット爪を有するロック部13に挿入し、バックル11を締めてブーツの甲及びつま先をベースプレート1に固定せしめている。
【特許文献1】特開平9-678号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来のビンディングにおいては、トゥーストラップ7は爪先の上部から締め付けているだけであるため、爪先方向では遊びが出てしまい、十分にブーツを締付けることができなかった。
【0007】
本発明は上記のような欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスノーボード用ビンディングは、ベースプレート1と、このベースプレート1の一側にその一端を取り付けた一方のバンド9aと、上記ベースプレート1の他側にその一端を取り付けた他方のバンド9bと、ブーツの爪先の上部分を締付ける部分とブーツの爪先の先端を締付ける部分とよりなるバンド15と、バックル16とより成り、上記バンド15の一端が上記一方及び他方のバンドの一方に固定され上記バンド15の他端が上記バックルを介して上記一方及び他方のバンドの他方に固定されており、上記ブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けできることを特徴とする。
【0009】
上記バンド15にパッドが固定されていることを特徴とする。
【0010】
上記バンド15に連結部材が固定されていることを特徴とする。
【0011】
上記パッドは、クッション性を有することを特徴とする。
【0012】
上記パッドは、伸縮性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記のように本発明のスノーボード用ビンディングにおいては、爪先の上部と爪先を同時に締付けることができ、爪先方向に遊びを生ずることなくブーツを確実にスノーボード用ビンディングに固定できる等大きな利益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明のスノーボード用ビンディングにおいては、従来のトゥーストラップ7のバンド9a、9bの一方例えば9aの遊端にブーツの爪先の上部分を締付ける一方のベルト14aと、ブーツの爪先の先端を締付ける他方のベルト14bとよりなるバンド15の一端を固定し、このバンド15の他端にバックル16を取り付け、このバックル16にバンド9bの他端を挿入し締め付けるようにすると共に、上記ベルト14aと14bの下側に伸縮自在なパッドまたは連結部材17を固定せしめる。上記ベルト14a及び14bとしては多少伸縮できる材質のものが好ましい。
【0016】
この実施例においては、上記一方のベルト14a及び他方のベルト14b並びにパッド17の、ブーツの爪先の上部分を締付ける部分19と、爪先の先端を締付ける部分20とによりブーツの爪先部分の上部分及び先端部分を同時に締付けることができる。
【0017】
なお、上記一方のベルト14a及び他方のベルト14bの各両端部を互いに一体に形成しても良いが、図3及び図4に示すように一方の端部を一体とし、他方の端部をピン18により互いに傾動自在に枢支せしめてもよい。
【0018】
また、上記パッド17は、図5に示すように厚手のクッション性のあるものとしても良く、また、図6に示すように伸縮性のある薄い生地としても良い。
【0019】
上記のように本発明のスノーボード用ビンディングにおいては、爪先の上部と爪先を同時に締付けることができ、爪先方向に遊びを生ずることなくブーツを確実にスノーボード用ビンディングに固定できる等大きな利益がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のスノーボード用ビンディングの説明用側面図である。
【図2】図1に示す本発明のスノーボード用ビンディングの要部の平面図である。
【図3】図2に示すバンドの変形を示す平面図である。
【図4】図2に示すバンドの変形を示す平面図である。
【図5】図2のA-A線断面図である。
【図6】図5に示すパッドの変形を示す説明図である。
【図7】従来のスノーボード用ビンディングの側面図である。
【図8】従来のスノーボード用ビンディングの正面図である。
【図9】図8に示す従来のスノーボード用ビンディングの説明用正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ベースプレート
2 ブーツ
3 バックサポート
4 クッション
5 アンクルストラップ
6 アンクルストラップパッド
7 トゥーストラップ
8 トゥーストラップパッド
9a 一方のバンド
9b 他方のバンド
10 立ち上がり部
11 バックル
12 ラチェットベルト
13 ロック部
14a 一方のベルト
14b 他方のベルト
15 バンド
16 バックル
17 パッド又は連結部材
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2013-04-24 
結審通知日 2013-04-30 
審決日 2013-05-20 
出願番号 特願2004-21212(P2004-21212)
審決分類 P 1 113・ 111- YAA (A63C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大澤 元成鉄 豊郎  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 鈴木 秀幹
吉野 公夫
登録日 2007-11-30 
登録番号 特許第4048178号(P4048178)
発明の名称 スノーボード用ビンディング  
代理人 澤木 紀一  
代理人 鮫島 正洋  
復代理人 幸谷 泰造  
代理人 澤木 誠一  
代理人 和田 祐造  
代理人 澤木 誠一  
代理人 澤木 紀一  
代理人 伊藤 雅浩  

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