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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1316131
審判番号 不服2015-20626  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-18 
確定日 2016-07-05 
事件の表示 特願2013- 28090「情報配信装置、情報配信システムおよび情報配信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月28日出願公開、特開2014-157493、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年2月15日の出願であって、平成27年1月15日付けで拒絶理由が通知され、平成27年3月19日付けで手続補正がなされたが、平成27年8月13日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年11月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成27年11月18日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「ネットワークに接続された無線LANアクセスポイント経由で無線端末へ広告コンテンツを含む情報配信を行う配信手段と、
無線端末による前記無線LANアクセスポイント経由の前記ネットワークの利用状態を示す利用情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された利用情報に基づき、その後に前記配信手段によって行われる前記無線LANアクセスポイント経由での無線端末への情報配信に関する条件を設定する設定手段と、
を備え、
前記利用情報には、前記無線LANアクセスポイントと前記ネットワークとの通信のデータ量の情報が含まれ、
前記無線LANアクセスポイント経由での無線端末への情報配信に関する条件には、前記広告コンテンツの配信に対する対価の条件、前記無線端末に配信する前記広告コンテンツの配信回数上限の条件、および、前記無線端末に関する条件の少なくとも一つが含まれることを特徴とする情報配信装置。」
とする補正(以下、「補正事項」という。下線は補正箇所を示す。)を含んでいる。

2.補正の適否
本件補正のうちの補正事項は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「情報配信」について、「広告コンテンツを含む情報配信」と限定し、同じく「前記無線LANアクセスポイント経由での無線端末への情報配信に関する条件」について、「その後に前記配信手段によって行われる」との限定を付加し、同じく「利用情報」について、「利用情報には、前記無線LANアクセスポイントと前記ネットワークとの通信のデータ量の情報が含まれ」と限定し、同じく「端末に配信する情報の条件」について、「前記広告コンテンツの配信回数上限」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
出願当初明細書の段落【0017】の「利用情報に基づき、情報配信に関する条件を設定する。」、段落【0020】の「情報配信に関する条件には、例えば、情報配信に対する対価や無線端末3に配信する情報などの条件が含まれる。・・・また、無線端末3に配信する情報の条件には、例えば、無線端末3へ配信する広告コンテンツの配信回数上限や配信対象の条件が含まれる。」、段落【0022】の「無線LANアクセスポイント2経由でのネットワーク利用状態に応じて情報配信に関する条件を設定する。」、段落【0023】の「無線LANアクセスポイント2経由のデータ送受信量が多い無線LANアクセスポイント2経由のアクセスほど広告料を高くする。」、段落【0024】の「また、無線LANアクセスポイント2経由のデータ送受信量が多い無線LANアクセスポイント2経由のアクセスほど情報配信料を安くする。」との記載によれば、「広告料」は、その後の配信手段によって行われる広告コンテンツの配信に対する対価であるから、その後に配信手段によって行われる無線LANアクセスポイント経由での無線端末への情報配信に関する条件である「広告料」を設定することは、出願当初の明細書に記載されている事項であり、補正事項が新規事項の追加であるとも認められないので、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。
さらに同法同条第4項に違反するところもない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-86770号公報(以下、「引用例」という。)には、ア.?オ.のとおりの記載がある。
ア.【請求項1】
携帯端末と、各通信可能領域内で無線通信網を介して前記携帯端末と通信可能な1以上の無線アクセスポイントと、ネットワークを介して前記無線アクセスポイントと接続されている情報提供サーバと、を有する情報提供システムであって、
前記無線アクセスポイントは、
前記各通信可能領域に関連した内容の情報コンテンツを取得するための取得要求情報を前記各通信可能領域内にてブロードキャスト配信する取得要求情報配信手段を有し、
前記携帯端末は、
前記取得要求情報を受信する配信情報受信手段と、
前記取得要求情報受信手段により前記取得要求情報が受信されると、現在位置する前記通信可能領域に関連した情報コンテンツの取得が可能な旨の画面情報を表示する表示手段と、
前記画面情報表示時に、前記情報コンテンツの取得要求を前記情報提供サーバに送信する情報取得要求手段とを有し、
前記情報提供サーバは、
1以上の前記情報コンテンツを格納する情報コンテンツ格納手段と、
前記携帯端末から前記情報コンテンツの取得要求を受信し、該受信した取得要求に基づいて、前記1以上の情報コンテンツから該当する情報コンテンツを抽出する情報コンテンツ抽出手段と、
前記抽出された情報コンテンツを前記携帯端末に送信する情報コンテンツ送信手段と、
を有することを特徴とする情報提供システム。
イ.【請求項7】
前記情報提供サーバに接続された情報提供課金サーバをさらに有し、
前記情報提供サーバは、
前記情報コンテンツ送信手段による前記情報コンテンツの送信履歴を格納する送信履歴格納手段と、
前記格納された送信履歴を前記情報提供課金サーバへ送信する送信履歴送信手段とを有し、
前記情報提供課金サーバは、
前記情報提供サーバから前記送信履歴を受信すると、該受信した送信履歴に基づいて、前記情報コンテンツの内容に関連した事業を展開する事業者から前記情報提供サーバを管理する事業者へ支払われる情報配信サービスの利用料金を算出するサービス利用料金算出手段を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報提供システム。
ウ.【0046】
情報提供サーバ30は、携帯端末10からの情報取得要求に対して情報を提供する機能を備える情報処理装置であって、例えば、ワークステーションなどのハイエンドPCなどであるとしてもよい。情報提供サーバ30は、情報提供事業者により管理される。
情報提供サーバ30は、制御部31と、通信部32と、情報格納部33と、アクセス履歴格納部34とを有して構成される。
制御部31は、通信部32、情報格納部33およびアクセス履歴格納部34を含む情報提供サーバ30の各部位を制御する。制御部31は、例えばCPUおよびCPUに処理を実行させるためのプログラムの格納領域とを有して構成されるとしてもよい。
通信部32は、ネットワーク40を介して無線アクセスポイント20、50、60と情報の送受信を行う部位である。
情報格納部33は、ネットワーク40を介して送受信する情報を格納する部位である。情報格納部33は、情報コンテンツを、各情報コンテンツを特定するための識別情報である情報コンテンツIDとともに格納する。この情報コンテンツには、AP設置場所事業者が、自身で設置した無線アクセスポイントの圏内で自身が展開する事業(店舗経営など)の内容および広告などが示されているとしてもよい。
アクセス履歴格納部34は、情報格納部33に格納されている情報コンテンツへの取得要求が通信部32により受信された回数(または取得要求に応じて送信した回数)を、情報コンテンツごとに(情報コンテンツIDごとに)それぞれ格納する。
エ.【0054】
図4は、本発明の実施例1における携帯端末10の表示部14の画面遷移を示す図である。図4の(a)は、携帯端末10が無線アクセスポイント圏外に位置している場合の表示部14による待ち受け画面表示を示し、(b)は、携帯端末10が無線アクセスポイント圏内に位置している場合の表示部14による待ち受け画面表示を示し、(c)は、携帯端末10の表示部14による情報コンテンツの内容の画面表示を示す。
図4の(a)および(b)に示されるように、携帯端末10が無線アクセスポイント20のアクセスポイント圏外からアクセスポイント圏内に移動すると、通信部12は、無線アクセスポイント20からブロードキャスト配信されているエントリボタン情報を受信し、表示部14はその受信されたエントリボタン(図4の(b)では「スポット情報」と書かれたボックス)を表示する。
また、図4の(a)では、携帯端末10はアクセスポイント圏外であるため、当該表示はない。
【0055】
次に、携帯端末ユーザが、操作部15を操作して画面上のエントリボタンを選択すると(ステップS104/Yes)、無線通信部12は、エントリボタン画面情報と一緒に受信した情報コンテンツの配信元アドレス(これは情報提供サーバ内を指している)宛に情報コンテンツの取得要求を行う(ステップS105)。
【0056】
情報提供サーバ30の通信部32は、携帯端末10からの情報コンテンツの取得要求を受信すると(ステップS106/Yes)、制御部31は、その取得要求で指定されたアドレスの情報コンテンツを情報格納部33から抽出する(ステップS107)。
【0057】
次に、通信部32は、抽出された情報コンテンツを携帯端末10へ配信する(ステップS108)。
【0058】
携帯端末10の無線通信部12が配信された情報コンテンツを受信すると(ステップS109/Yes)、情報格納部13は、その受信された情報コンテンツを格納する。次に、表示部14は、その受信された情報コンテンツを表示する(ステップS110)。
図4の(c)には、その受信された情報コンテンツの表示部14による表示例が示されている。携帯端末10は、この情報コンテンツに示されている「オススメ情報」、「○○がお買い得」などの各種項目(GUIなどで表示)をさらに選択することにより、情報提供サーバ30に格納されている他の情報コンテンツ(webページなど)を取得することができる。
このようにして、携帯端末ユーザは、自身が位置するアクセスポイント圏内の無線アクセスポイント20固有の情報コンテンツを取得する。このことにより、携帯端末ユーザは、自身の現在位置近隣の店舗などの情報を容易に取得することが可能となる。
【0059】
また、制御部11は、情報格納部13に格納されたエントリボタン情報の一覧を示す情報であるエントリボタンリストを生成し、情報格納部13は、そのリストを格納するとしてもよい。
この場合、携帯端末ユーザが操作部15を操作して表示部14にエントリボタンリストを表示させ、その一覧から取得を希望する情報コンテンツのエントリボタン情報を選択すると、表示部14は、その選択されたエントリボタン画面情報を表示する。
このことにより、携帯端末ユーザは、無線アクセスポイント20の圏外へ移動しても、自身が希望する情報コンテンツを取得することができる。
なお、情報コンテンツの取得要求および情報コンテンツは、無線アクセスポイントを介して送受信されるとしてもよいし、ネットワーク40の基地局(図示せず)を介して送受信されるとしてもよい。
オ.【0065】
図6は、本発明の実施例1における情報提供課金サーバ80による課金処理の流れを示すフローチャートである。以下、図6に沿って、本実施例において、サービス利用料金を従量料金制とした場合の情報提供課金サーバ80による課金処理について説明する。
【0066】
まず、情報提供サーバ30の制御部31は、取得要求に応じて携帯端末10へ情報コンテンツを配信するごとに、その配信した回数を1カウントアップして、アクセス回数として、情報コンテンツごとに情報格納部34へ書き込む(ステップS201)。
【0067】
次に、情報提供サーバ30の通信部32は、情報コンテンツの配信履歴を例えば一定期間ごとに情報提供課金サーバ80へ送信する(ステップS202)。
ここで、情報コンテンツの配信履歴には、少なくとも各情報コンテンツを特定するための情報コンテンツIDと、そのIDにより特定される情報コンテンツへのアクセス回数を示す情報とが含まれているものとする。
【0068】
情報提供課金サーバ80の通信部82が情報コンテンツの配信履歴を受信すると(ステップS203/Yes)、制御部81は、その受信された配信履歴に含まれるアクセス回数の値を、同様に配信履歴に含まれる情報コンテンツIDに基づいて、情報格納部83により管理されるサービス利用状況データベース(以下、サービス利用状況DB)に書き込む(ステップS204)。
【0069】
図7は、本発明の実施例1におけるサービス利用状況DBの一例を示す図である。図7に示されているように、サービス利用状況DBでは、情報コンテンツのIDと、その情報コンテンツ配信の依頼元のAP設置場所事業者のIDと、その情報コンテンツのデータ量と、その情報コンテンツへのアクセス回数とが、情報コンテンツごとに管理されている。
【0070】
次に、制御部81は、例えば一定期間ごとに、サービス利用状況DBを参照してサービス利用料金を算出する(ステップS205)。
例えば、制御部81は、料金のベースとなる基本料金にアクセス回数を乗じてサービス利用料金を算出するとしてもよいし、その基本料金にアクセス回数を乗じたものにさらに、その情報コンテンツのデータ量に基づいた係数を乗じてサービス利用料金を算出するとしてもよい。
なお、上記の基本料金およびデータ量に応じた係数を示す情報は、予め情報格納部83に格納されており、制御部81は、その情報を用いてサービス利用料金の算出処理を行うものとする。また、上記の係数は、データ量が大きくなるほど大きな値に設定されているとしてよい。

記載ア.およびイ.によれば、引用例に記載された「情報提供システム」は、携帯端末と、各通信可能領域内で無線通信網を介して携帯端末と通信可能な無線アクセスポイントと、ネットワークを介して無線アクセスポイントと接続される情報提供サーバと、情報提供課金サーバとからなるシステムである。
記載ウ.によれば、情報コンテンツには、AP設置場所事業者が、自身で設置した無線アクセスポイントの圏内で自身が展開する事業(店舗経営など)の内容および広告などが示され、情報提供サーバのアクセス履歴格納部34は、情報格納部33に格納されている情報コンテンツへの取得要求が通信部32により受信された回数(または取得要求に応じて送信した回数)をアクセス回数として、情報コンテンツごとに(情報コンテンツIDごとに)格納する。
記載エ.によれば、携帯端末は、無線アクセスポイント圏内に移動すると、取得要求により、情報提供サーバからの情報コンテンツを無線アクセスポイントを介して受信する。
記載オ.によれば、情報提供課金サーバは、情報提供サーバから、情報コンテンツIDとそのIDにより特定される情報コンテンツへのアクセス回数を含む情報配信履歴を受信し、情報提供課金サーバに設けたサービス利用状況DBにアクセスポイント設置場所事業者と、情報コンテンツへのアクセス回数とを情報コンテンツごとに管理し、一定期間ごとにサービス利用料金を算出する。
以上によれば、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
〈引用発明〉
「携帯端末と、各通信可能領域内で無線通信網を介して携帯端末と通信可能な無線アクセスポイントと、ネットワークを介して無線アクセスポイントと接続される情報提供サーバと、情報提供課金サーバとからなる情報提供システムであって、
携帯端末は、無線アクセスポイント圏内に移動すると、取得要求により情報提供サーバからの情報コンテンツを無線アクセスポイントを介して受信し、
前記情報コンテンツには、無線アクセスポイント設置場所事業者が、自身で設置した無線アクセスポイントの圏内で自身が展開する事業(店舗経営など)の内容および広告なども示され、
前記情報提供サーバは、情報コンテンツへの携帯端末からの取得要求が受信された回数をアクセス回数として、情報コンテンツごとにアクセス履歴格納部に格納しており
情報提供課金サーバは、情報提供サーバから、情報コンテンツIDとそのIDにより特定される情報コンテンツへのアクセス回数を含む情報配信履歴を受信し、情報提供課金サーバは、情報提供課金サーバに設けたサービス利用状況DBにアクセスポイント設置場所事業者と、情報コンテンツへのアクセス回数とを情報コンテンツごとに管理し、一定期間ごとにサービス利用料金を算出する情報提供システム。」

(2)対比
補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「携帯端末」、「無線アクセスポイント」、それぞれ、補正発明の「無線端末」、「無線LANアクセスポイント」に相当する。
また、引用発明の「情報提供サーバ」により配信される「情報コンテンツ」は、アクセスポイント設置場所業者の広告を含んでもよいから、引用発明の「携帯端末と、各通信可能領域内で無線通信網を介して無線アクセスポイントと接続される情報提供サーバ」は、補正発明の「ネットワークに接続された無線LANアクセスポイント経由で無線端末へ広告コンテンツを含む情報配信を行う配信手段」に相当する。
また、引用発明の「情報提供システム」は、補正発明の「情報配信装置」と同様に、「情報配信装置」ともいい得るものである。
また、引用発明の「情報コンテンツへの携帯端末からの取得要求が受信された回数」である「アクセス回数」と、補正発明の「無線端末による無線LANアクセスポイント径由のネットワークの利用状態を示す利用情報」とは、いずれも、「無線端末による無線LANアクセスポイント径由のネットワークを利用した利用情報」である点で共通する。
また、引用発明の「アクセス回数」は、情報コンテンツの取得要求が受信された回数であるから、引用発明の「情報提供サーバ」は、利用情報を取得する「取得手段」といえる構成を有している。
してみると、両者は、以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
ネットワークに接続された無線LANアクセスポイント経由で無線端末へ広告コンテンツを含む情報配信を行う配信手段と、
無線端末による前記無線LANアクセスポイント経由の前記ネットワークを利用した利用情報を取得する取得手段と、
を備える情報配信装置。

〈相違点1〉
取得手段で取得する利用情報は、補正発明では「無線LANアクセスポイントと前記ネットワーク利用状態を示」すものであり、「無線LANアクセスポイントとネットワークの通信データ量の情報」が含まれるのに対し、引用発明では、「情報コンテンツへのアクセス回数」である点。
〈相違点2〉
補正発明では「前記取得手段によって取得された利用情報に基づき、その後に前記配信手段によって行われる前記無線LANアクセスポイント経由での無線端末への情報配信に関する条件を設定する設定手段」を備え、当該設定手段により情報配信の条件を設定し、当該条件には「前記広告コンテンツの配信に対する対価の条件、前記無線端末に配信する前記広告コンテンツの配信回数上限の条件、および、前記無線端末に関する条件の少なくとも一つが含まれる」のに対し、引用発明では情報配信の条件を設定していない点。

(3)判断
上記相違点1,2について検討する。
原査定で引用された引用文献のいずれにも、相違点1に係る構成である無線LANアクセスポイントとネットワークとの通信のデータ量の情報を含む利用情報は記載されていない。
そして、相違点2に係る構成である、配信条件を設定する設定手段を備えていない引用発明において、「無線LANアクセスポイントとネットワークとの通信のデータ量の情報を含む利用情報」に基づいて、配信条件に関する条件を設定することが当業者にとって容易であったということはできない。

したがって、補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
ほかに、補正発明を特許出願の際独立して特許を受けることができないものというべき理由を発見しない。
よって、本件補正の補正事項は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。

3.むすび
本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1-5に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-06-20 
出願番号 特願2013-28090(P2013-28090)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 55- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 古河 雅輝  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 高瀬 勤
千葉 輝久
発明の名称 情報配信装置、情報配信システムおよび情報配信方法  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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