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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01M
管理番号 1316216
審判番号 不服2015-12495  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-02 
確定日 2016-06-23 
事件の表示 特願2010-202748「燃料電池システム、モータ、空気圧縮機、ポンプ、モータの設計方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月22日出願公開、特開2012- 59592〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成22年9月10日の出願であって、平成26年3月27日付けで拒絶理由が通知され、平成26年4月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成26年11月4日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成26年12月16日付けで意見書が提出されたが、平成27年3月31日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成27年7月2日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。

第2.平成27年7月2日付けの手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成27年7月2日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
〔理由〕
1.本願補正発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次に示す《補正前》の記載から、次に示す《補正後》の記載に補正された。
《補正前》
燃料電池システムであって、
燃料電池と、
前記燃料電池の電池化学反応に供する反応ガスの供給排出系機構と、
前記燃料電池を冷却する冷却水の循環系機構と
を備え、
前記供給排出系機構および/または前記循環系機構に用いられるモータの少なくとも1つは、
略円筒形のロータを備え、
前記ロータの軸方向の長さをL、該ロータの径方向の長さをDとしたとき、L/Dの値は0.5以上6以下である
燃料電池システム。

《補正後》
燃料電池システムであって、
燃料電池と、
前記燃料電池の電池化学反応に供する反応ガスの供給排出系機構と、
前記燃料電池を冷却する冷却水の循環系機構と
を備え、
前記供給排出系機構および/または前記循環系機構に用いられるモータの少なくとも1つは、
略円筒形のロータを備え、
前記ロータの軸方向の長さをL、該ロータの径方向の長さをDとしたとき、前記燃料電池システムの負荷増大時に該モータの回転数を増加させるための加速分電力を低減するように、L/Dの値は0.5以上6以下の範囲で設定される
燃料電池システム。
(下線は、補正箇所に対して当審が付したものである。)

上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定する事項である「L/Dの値は0.5以上6以下」について限定する「前記燃料電池システムの負荷増大時に該モータの回転数を増加させるための加速分電力を低減するように」及び「の範囲で設定される」との事項を付加するものである。
そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が異なるものではないから、上記補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-168464号公報(以下「引用文献1」という。)には、「燃料電池システムの制御装置」の発明に関して、次の記載がある。

(ア)段落0001?0004
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池システムに係り、特に、過負荷を避けるために出力電流を制限する燃料電池システムの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に燃料電池システムは、燃料電池本体に酸化剤ガスとしての空気を供給するコンプレッサや、空気及び燃料ガスを加湿するための加湿器に加湿用純水を供給する純水ポンプ、燃料電池本体の温度を適温に維持するための冷却水を循環させる冷却水ポンプ等の電動補機を備えている。また、移動体用の燃料電池システムでは、燃料電池起動時及び起動後定常の発電状態に達するまでの低発電能力時に、これらの電動補機に電力を供給するバッテリを備えている。
【0003】燃料電池起動直後の暖機中は、燃料ガス及び空気の圧力が十分でなかったり、燃料電池本体の反応膜温度が充分上昇していない等の理由により、その発電能力が定格発電能力に達せず、低発電能力状態にある。このような状態では、燃料電池の発電電力で補機類が必要とする電力を賄えず、無理に燃料電池から電力を取り出そうとすると、燃料電池に劣化を生じることがある。
【0004】このため、特開平11-154520号公報に開示されている従来技術によれば、図10に示すように、燃料電池1から補機5へ電力を供給する経路上のDC/DCコンバータ4に入力電流制限機構を設け、DC/DCコンバータ4の通過電流を制限することで、燃料電池1から補機5への出力を制限していた。

(イ)段落0005?0007
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に電動補機の起動時には、過渡的に消費電力が通常時よりも多くなる(以下、起動時のピーク電力と称する)。これは所謂突入電流の影響や、モータなどの回転機器の場合は回転数を定格値まで上昇させるための加速に消費される電力の影響による。従って、通常時の消費電力付近に許容最大電力を設定しておくと、起動時に許容最大電力を超えてしまうことが考えられる。
【0006】しかしながら、上記従来技術では、DC/DCコンバータ4の通過電流を制限するだけで、補機5の消費電力を制限していない構成となっていた。従って通過電流を制限をしても補機5としては大きな電力を消費し続けようとする。
【0007】そのために、DC/DCコンバータ4の通過電流が制限された状態で補機5を動かそうとすると、補機5に対する指令状態と補機5の動作状態との間にアンマッチが生じ、コントローラ6にリセットがかかったりする不都合が生じるという問題点があった。

(ウ)段落0010?0011
【0010】以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、簡単な構成で補機類の起動時のピーク電力を低減し、燃料電池及びバッテリの過負荷を防止することができる燃料電池システムの制御装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、燃料電池と、該燃料電池の運転維持に必要な電動補機と、該電動補機の動作を制御する制御装置と、を備えた燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、システム起動時に前記電動補機の動作量の指令値の単位時間当たりの変化量を制限する起動制御手段を備えたことを要旨とする燃料電池システムの制御装置である。

(エ)段落0016
【0016】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、燃料電池と、該燃料電池の運転維持に必要な電動補機と、該電動補機の動作を制御する制御装置と、を備えた燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、システム起動時に前記電動補機の動作量の指令値の単位時間当たりの変化量を制限する起動制御手段を備えたことにより、システム起動時のピーク電力が小さくなり、突入電流の影響を抑制して燃料電池及びバッテリの過負荷を回避することができるという効果がある。

(オ)段落0022?0025
【0022】図1において、燃料電池システムは、燃料電池(本体)1と、駆動モータ等の主負荷3と、燃料電池1と主負荷3との電気的接続を断続するジャンクションボックス2と、燃料電池1が発電した直流電圧をバッテリ7の電圧に変換するDC/DCコンバータ4と、電動補機5と、燃料電池システムの制御装置であるコントローラ6と、バッテリ7とを備えている。
【0023】燃料電池1は、コントローラ6の指示する発電量を発電するように、水素と空気の圧力、流量などが図示しない圧力調整弁、電動補機の一つであるコンプレッサ52で制御される。また、燃料電池1の発電に伴う熱を取り除くために、冷却水が循環する。この冷却水は、電動補機5の一つである冷却水ポンプ51により循環され、冷却水流量はコントローラ6より指示される。
【0024】バッテリ7は、燃料電池1の起動前および起動直後の低発電能力時にコントローラ6や電動補機5の電力供給源となるとともに、燃料電池1の発電能力に余裕があるときに燃料電池の発電電力で充電される。DC/DCコンバータ4は、コントローラ6の指示により起動し、燃料電池1で発電された電力を電動補機5やコントローラ6、バッテリ7、に供給するために電圧を変換する。ジャンクションボックス2はコントローラ6の指示により、主負荷3と燃料電池1とを電気的に接続/遮断する。
【0025】コントローラ6は、システム起動時に電動補機5の動作量の指令値の単位時間当たりの変化量を制限する起動制御手段8を備えている。起動制御手段8は、バッテリ7の出力可能電力を推定するバッテリ出力可能電力推定手段9と、燃料電池1の発電可能な電力を推定する発電可能電力推定手段10とを備えている。
【0026】そして、起動制御手段8は、バッテリ出力可能電力推定手段9が推定したバッテリ7の出力可能電力と、発電可能電力推定手段10が推定した燃料電池1の発電可能な電力とに基づいて、システム起動時に電動補機5の動作量の指令値の単位時間当たりの変化量を制限することにより、システム起動時の過渡的なピーク所要電力量を削減している。

(カ)段落0038?0042
【0038】第1実施形態の効果を図3に示す。IGN ONにより図3(b)のコンプレッサ回転数基本値(破線)が演算される。このコンプレッサ回転数基本値を指示値としてコンプレッサを制御した場合、消費電力は図3(a)の破線で示す電力Aのようになる。起動直後に大きなピーク電力が出ているのは、コンプレッサを加速するために、定常状態で必要な電力よりも多くの電力が必要となるためである。このピーク電力が図3(a)のバッテリ使用可能電力を超えると、急激にバッテリ電圧が低下し、その他の電動補機5やコントローラ6などが動作できなくなり、最終的には起動不能になってしまうことがである。
【0039】本実施形態では図3(b)グラフの太線のように、バッテリ使用可能電力でコンプレッサ回転数指令値の単位時間当たりの変化量を制限して制御する。これにより、図3(a)の実線で示す電力Bのようにコンプレッサを加速するために要する電力を削減し、バッテリ使用可能電力の範囲内に収めることができる。
【0040】また、DC/DCコンバータ4のONにより、燃料電池1から電力が取り出され始めると、燃料電池1を冷却するために、冷却水ポンプ51の回転数基本値(図4(b)グラフの破線)が演算される。この冷却水ポンプ回転数基本値を指示値として冷却水ポンプ51を制御した場合、消費電力は図4(a)の破線で示す電力Aのようになる。起動直後に大きなピークが出ているのは、冷却水ポンプ51を加速するために、定常状態で必要な電力よりも多くの電力が必要となるためである。このピークが図4(a)グラフの燃料電池(FC)発電可能電力を超えると、急激に燃料電池1のセル電圧が低下し、燃料電池1の性能劣化などの一因となることがある。
【0041】本実施形態では図4(b)に実線で示すように、燃料電池発電可能電力を代表する値で、冷却水ポンプ回転数指令値の単位時間当たりの変化量を制限し制御する。これにより、図4(a)の実線で示す電力Bのように冷却水ポンプを加速するために要する電力を削減し、燃料電池発電可能電力の範囲内に収めることができる。
【0042】以上、説明したように、起動が困難な条件においても、起動用のバッテリ7の大型化などの必要なく、燃料電池システムを起動することができる。また、起動に際し、燃料電池1への負担を軽減できることから、システムの耐久性の向上が期待できる。

3.引用発明
引用文献1の上記記載事項及び図面から把握される事項を、本願補正発明の記載に倣って整理すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「燃料電池システムであって、
燃料電池1と、
燃料電池1に供給する水素と空気の圧力、流量などを、コントローラ6の指示に基づいて制御する圧力調整弁及び電動補機5の一つであるコンプレッサ52と、
燃料電池1の発電に伴う熱を取り除くために、コントローラ6の指示する冷却水流量の冷却水を循環させる電動補機5の一つである冷却水ポンプ51と備えた、
燃料電池システム。」

4.本願補正発明と引用発明との対比
(1)構成要素の対比
本願補正発明と引用発明との構成要素を対比する。
ア.引用発明の「燃料電池1に供給する水素と空気」及び「水素と空気の圧力、流量などを、コントローラ6の指示に基づいて制御する圧力調整弁及び電動補機5の一つであるコンプレッサ52」は、それぞれ本願補正発明の「燃料電池の電池化学反応に供する反応ガス」及び「反応ガスの供給排出系機構」に相当する。
イ.引用発明の「燃料電池1の発電に伴う熱を取り除く」及び「コントローラ6の指示する冷却水流量の冷却水を循環させる電動補機5の一つである冷却水ポンプ51」は、それぞれ本願補正発明の「燃料電池を冷却する」及び「冷却水の循環系機構」に相当する。
ウ.引用発明の「電動補機5の一つであるコンプレッサ52」及び「電動補機5の一つである冷却水ポンプ51」と、本願補正発明の「前記供給排出系機構および/または前記循環系機構に用いられるモータ」とは、「前記供給排出系機構および/または前記循環系機構に用いられる電動補機」の点で共通する。

(2)一致点及び相違点
上記構成要素の対比を踏まえると、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
《一致点》
「燃料電池システムであって、
燃料電池と、
前記燃料電池の電池化学反応に供する反応ガスの供給排出系機構と、
前記燃料電池を冷却する冷却水の循環系機構と
を備え、
前記供給排出系機構および/または前記循環系機構に用いられる電動補機を備えた
燃料電池システム。」

《相違点》
供給排出系機構および/または循環系機構に用いられる電動補機に関して、本願補正発明では、「モータの少なくとも1つ」であって、「略円筒形のロータを備え」、「ロータの軸方向の長さをL、該ロータの径方向の長さをDとしたとき、燃料電池システムの負荷増大時に該モータの回転数を増加させるための加速分電力を低減するように、L/Dの値は0.5以上6以下の範囲で設定される」ものであるのに対し、引用発明では、そのような特定がなされていない点。

5.相違点の検討
コンプレッサや冷却ポンプ等の電動補機に「モータ」を用いることは通常行われることである。
そして、引用文献1には、電動補機の起動時には「モータなどの回転機器の回転数を定格値まで上昇させるための加速に消費される電力」などのため、「過渡的に消費電力が通常時よりも多くなる」という問題があるので、コンプレッサや冷却水ポンプの回転数指令値の単位時間当たりの変化量を制限する制御を行うことにより、これらコンプレッサや冷却水ポンプを加速するために要する電力を削減することが記載されている(段落0005、0038?0042。上記2(イ)、(カ)参照)。
一方、モータの「ロータのL/D比を大きくして、ロータの慣性モーメント(イナーシャ)を小さく」することにより、モータなどの回転機器を加速するために要する電力を削減でき、その結果、モータの応答性(制御性)を向上させることは、電気及び機械の技術分野において、周知の事項である。例えば、原審の平成26年3月27日付け拒絶理由通知で一般的に行われている技術を示す文献として例示された特開2003-324915号公報の段落0004には、L/D比を大きくしてロータ径を小さくすると慣性モーメントが小さくなり、モータの起動や停止に要する電力が少なくなることが示唆されており、原査定の拒絶の理由で引用された特開平3-286775号公報の1頁下左欄14?16行、4頁下右欄1?20行、第12図、第13図などには、L/D比を大きくすると慣性モーメントが小さくなりモータの制御性に優れた作動が可能になることが記載されており、原審の平成26年3月27日付け拒絶理由通知で一般的に行われている技術を示す文献として例示された国際公開2005/037519号のフロントページの「要約」欄、明細書8?10頁の段落[0041]?[0051]には、L/D比(γm)を大きくすると応答性を高くできることが記載されている。
そして、前記特開平3-286775号公報の図13には、ロータのL/D比を0.5?4の範囲とすることが示されており、前記国際公開2005/037519号の段落[0047]、[0048]には、ロータのL/D比(γm)を3?5の範囲とすることが記載されている。
さらに、コンプレッサ(圧縮機)などに用いるモータにおいて、略円筒形のロータを備え、そのロータの軸方向の長さをL、該ロータの径方向の長さをDとしたときの、L/Dの値として0.5以上6以下の範囲内の値を選択することも、当業者に常套されている(以下、「常套手段」という。必要があれば、本願明細書に特許文献2として示された特開2008-99380号公報の図1、図3、図4及び段落0052の0.7未満や、特開2005-210898号公報の図1、図3、図4及び段落0063?0065の1.1未満を参照のこと。)。
また、モータなどの回転機器に要する電力が、「過渡的に通常時よりも多くなる」のは、電動補機の起動時だけでなく、「燃料電池システムの負荷増大時に該モータの回転数を増加させる」時にも生じることは、当業者にとって自明である。
これらのことを考慮すれば、引用発明において、「供給排出系機構および/または循環系機構に用いられる電動補機」の少なくとも1つを「略円筒形のロータを備え」るモータとし、引用文献1に記載された「『モータなどの回転機器の回転数を定格値まで上昇させるための加速に消費される電力』のため、『過渡的に消費電力が通常時よりも多くなる』という問題」を解決すべく、「燃料電池システムの負荷増大時に該モータの回転数を増加させる」時に生じる加速分電力を低減するように、径方向の長さDを小さくするとともに、L/Dの値として常套される値を選択して、相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に推考し得たことである。
しかも、本願補正発明が奏する効果も、引用発明、上記周知の事項及び上記常套手段から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明、上記周知の事項及び上記常套手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6.小括
本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3.本願発明について
1.本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年4月24日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の1《補正前》に記載されたとおりのものと認められる。

2.引用文献の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1、その記載事項及び引用発明は、上記第2の2及び3に記載したとおりである。

3.対比・検討
本願発明は、上記第2の1で検討した本願補正発明から、「L/Dの値は0.5以上6以下」について限定する「前記燃料電池システムの負荷増大時に該モータの回転数を増加させるための加速分電力を低減するように」及び「の範囲で設定される」との事項を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定する事項を全て含み、さらに他の特定する事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2の4及び5に記載したとおり、引用発明、上記周知の事項及び上記常套手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、上記周知の事項及び上記常套手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-04-19 
結審通知日 2016-04-26 
審決日 2016-05-09 
出願番号 特願2010-202748(P2010-202748)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01M)
P 1 8・ 575- Z (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武市 匡紘関口 哲生永石 哲也  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 藤井 昇
新海 岳
発明の名称 燃料電池システム、モータ、空気圧縮機、ポンプ、モータの設計方法  
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所  

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