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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W |
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管理番号 | 1316404 |
審判番号 | 不服2015-14463 |
総通号数 | 200 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-07-31 |
確定日 | 2016-07-19 |
事件の表示 | 特願2013-553467「ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月16日国際公開、WO2012/109072、平成26年 4月24日国内公表、特表2014-510449、請求項の数(21)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2012年(平成24年)2月1日(優先権主張 2011年(平成23年)2月8日 米国,2011年(平成23年)7月11日 米国,2012年(平成24年)1月31日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成26年7月25日付けで拒絶理由が通知され,平成27年1月29日付けで意見書とともに手続補正書の提出がなされ,同年3月24日付けで拒絶査定され,同年7月31日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正がなされ,同年9月8日付けで前置報告書が作成され,平成28年1月22日付けで上申書の提出がなされたものである。 第2 本件補正 1.本件補正の概要 平成27年7月31日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は,以下のように,「<本件補正前の特許請求の範囲>」における記載を,「<本件補正後の特許請求の範囲>」におけるように記載を変更するものである。(下線は請求人が付与。) <本件補正前の特許請求の範囲> 【請求項1】 ブロードキャストデータに関係するデバイスをカウントするための方法であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係するブロードキャストデータについての登録要求を受信することと、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求を前記受信することに部分的に基づいて登録カウントを増分することと、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントに部分的に基づいてデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定することと を備える、方法。 【請求項2】 前記登録カウントに部分的に基づいて前記ブロードキャストデータのためにマルチキャスト通信を利用すべきかどうかを決定することをさらに備える、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記デバイスから登録解除要求を受信することと、 前記登録解除要求を前記受信することに部分的に基づいて前記登録カウントを減分することと をさらに備える、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記デバイスのカウントを要求することを決定することに基づいて、1つまたは複数の基地局にカウント要求を送信することをさらに備える、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)であり、 前記デバイスのカウントを要求することを決定することに部分的に基づいて、カウントを要求するようにマルチキャスト協調エンティティに示すことをさらに備える、 請求項1に記載の方法。 【請求項6】 ブロードキャストデータに関係するデバイスをカウントするための装置であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係するブロードキャストデータについての登録要求を受信するための手段と、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求に部分的に基づいて登録カウントを増分するための手段と、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントに部分的に基づいてデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定するための手段と を備える、装置。 【請求項7】 前記登録カウントに部分的に基づいて前記ブロードキャストデータのためにマルチキャスト通信を利用すべきかどうかを決定するための手段をさらに備える、請求項6に記載の装置。 【請求項8】 前記受信するための手段が、前記デバイスから登録解除要求を受信し、前記増分するための手段が、前記登録解除要求に部分的に基づいて前記登録カウントを減分する、請求項6に記載の装置。 【請求項9】 前記決定するための手段が、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに基づいて、1つまたは複数の基地局にカウント要求を送信する、請求項6に記載の装置。 【請求項10】 前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)であり、 前記決定するための手段が、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに部分的に基づいて、カウントを要求するようにマルチキャスト協調エンティティに示す、 請求項6に記載の装置。 【請求項11】 ワイヤレス通信のための装置であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係するブロードキャストデータについての登録要求を受信することと、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求に部分的に基づいて登録カウントを増分することと、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントに部分的に基づいてデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定することと を行うように構成された少なくとも1つのプロセッサと、 前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリと を備える、装置。 【請求項12】 前記少なくとも1つのプロセッサが、前記登録カウントに部分的に基づいて前記ブロードキャストデータのためにマルチキャスト通信を利用すべきかどうかを決定するようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。 【請求項13】 前記少なくとも1つのプロセッサが、 前記デバイスから登録解除要求を受信することと、 前記登録解除要求を前記受信することに部分的に基づいて前記登録カウントを減分することと を行うようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。 【請求項14】 前記少なくとも1つのプロセッサが、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに基づいて、1つまたは複数の基地局にカウント要求を送信するようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。 【請求項15】 前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)であり、 前記少なくとも1つのプロセッサが、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに部分的に基づいて、カウントを要求するようにマルチキャスト協調エンティティに示すようにさらに構成された、 請求項11に記載の装置。 【請求項16】 ブロードキャストデータに関係するデバイスをカウントするためのコンピュータ可読記憶媒体であって、 少なくとも1つのコンピュータに、コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係するブロードキャストデータについての登録要求を受信させるためのコードと、 前記少なくとも1つのコンピュータに、前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求に部分的に基づいて登録カウントを増分させるためのコードと、 前記少なくとも1つのコンピュータに、前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントに部分的に基づいてデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定させるためのコードと を備える、コンピュータ可読記憶媒体。 【請求項17】 ブロードキャストデータに関係するデバイスをカウントするための装置であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係するブロードキャストデータについての登録要求を受信するための登録情報受信構成要素と、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求に部分的に基づいて登録カウントを増分するためのデバイスカウント構成要素と、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントに部分的に基づいてデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定するためのカウント要求決定構成要素と を備える、装置。 【請求項18】 前記登録カウントに部分的に基づいて前記ブロードキャストデータのためにマルチキャスト通信を利用すべきかどうかを決定するためのブロードキャスト決定構成要素をさらに備える、請求項17に記載の装置。 【請求項19】 前記登録情報受信構成要素が、前記デバイスから登録解除要求を受信し、前記デバイスカウント構成要素が、前記登録解除要求に部分的に基づいて前記登録カウントを減分する、請求項17に記載の装置。 【請求項20】 前記カウント要求決定構成要素が、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに基づいて、1つまたは複数の基地局にカウント要求を送信する、請求項17に記載の装置。 【請求項21】 前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)であり、 前記カウント要求決定構成要素が、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに部分的に基づいて、カウントを要求するようにマルチキャスト協調エンティティに示す 請求項17に記載の装置。 <本件補正後の特許請求の範囲> 【請求項1】 ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための方法であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係する前記ブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信することと、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求を前記受信することに部分的に基づいて登録カウントを増分することと、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントに部分的に基づいて、前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定することと を備え、前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)である、方法。 【請求項2】 前記登録カウントに部分的に基づいて前記ブロードキャストデータサービスのためにマルチキャスト通信を利用すべきかどうかを決定することをさらに備える、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記デバイスから登録解除要求を受信することと、 前記登録解除要求を前記受信することに部分的に基づいて前記登録カウントを減分することと をさらに備える、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記デバイスのカウントを要求することを決定することに基づいて、1つまたは複数の基地局にカウント要求を送信することをさらに備える、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記デバイスのカウントを要求することを決定することに部分的に基づいて、カウントを要求するようにマルチキャスト協調エンティティに示すことをさらに備える、 請求項1に記載の方法。 【請求項6】 ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための装置であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係する前記ブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信するための手段と、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求に部分的に基づいて登録カウントを増分するための手段と、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントに部分的に基づいて、前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定するための手段と を備え、前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)である、装置。 【請求項7】 前記登録カウントに部分的に基づいて前記ブロードキャストデータサービスのためにマルチキャスト通信を利用すべきかどうかを決定するための手段をさらに備える、請求項6に記載の装置。 【請求項8】 前記受信するための手段が、前記デバイスから登録解除要求を受信し、前記増分するための手段が、前記登録解除要求に部分的に基づいて前記登録カウントを減分する、請求項6に記載の装置。 【請求項9】 前記決定するための手段が、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに基づいて、1つまたは複数の基地局にカウント要求を送信する、請求項6に記載の装置。 【請求項10】 前記決定するための手段が、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに部分的に基づいて、カウントを要求するようにマルチキャスト協調エンティティに示す、 請求項6に記載の装置。 【請求項11】 ワイヤレス通信のための装置であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係するブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信することと、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求に部分的に基づいて登録カウントを増分することと、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントに部分的に基づいて、前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定することと を行うように構成された少なくとも1つのプロセッサと、 前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリと を備え、前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)である、装置。 【請求項12】 前記少なくとも1つのプロセッサが、前記登録カウントに部分的に基づいて前記ブロードキャストデータサービスのためにマルチキャスト通信を利用すべきかどうかを決定するようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。 【請求項13】 前記少なくとも1つのプロセッサが、 前記デバイスから登録解除要求を受信することと、 前記登録解除要求を前記受信することに部分的に基づいて前記登録カウントを減分することと を行うようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。 【請求項14】 前記少なくとも1つのプロセッサが、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに基づいて、1つまたは複数の基地局にカウント要求を送信するようにさらに構成された、請求項11に記載の装置。 【請求項15】 前記少なくとも1つのプロセッサが、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに部分的に基づいて、カウントを要求するようにマルチキャスト協調エンティティに示すようにさらに構成された、 請求項11に記載の装置。 【請求項16】 ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするためのコンピュータ可読記憶媒体であって、 少なくとも1つのコンピュータに、コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係する前記ブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信させるためのコードと、 前記少なくとも1つのコンピュータに、前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求に部分的に基づいて、登録カウントを増分させるためのコードと、 前記少なくとも1つのコンピュータに、前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントに部分的に基づいて、前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定させるためのコードと を備え、前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)である、コンピュータ可読記憶媒体。 【請求項17】 ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための装置であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係する前記ブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信するための登録情報受信構成要素と、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求に部分的に基づいて登録カウントを増分するためのデバイスカウント構成要素と、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントが閾値よりも大きい場合に、前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求することを決定するためのカウント要求決定構成要素と を備える、装置。 【請求項18】 前記登録カウントに部分的に基づいて前記ブロードキャストデータサービスのためにマルチキャスト通信を利用すべきかどうかを決定するためのブロードキャスト決定構成要素をさらに備える、請求項17に記載の装置。 【請求項19】 前記登録情報受信構成要素が、前記デバイスから登録解除要求を受信し、前記デバイスカウント構成要素が、前記登録解除要求に部分的に基づいて前記登録カウントを減分する、請求項17に記載の装置。 【請求項20】 前記カウント要求決定構成要素が、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに基づいて、1つまたは複数の基地局にカウント要求を送信する、請求項17に記載の装置。 【請求項21】 前記カウント要求決定構成要素が、前記デバイスのカウントを要求することを決定することに部分的に基づいて、カウントを要求するようにマルチキャスト協調エンティティに示す 請求項17に記載の装置。 <本件補正後の請求項1に係る発明について> 本件補正は,本件補正前の請求項1に係る発明に関して,本件補正前に「ブロードキャストデータ」とあったのを「ブロードキャストデータサービス」とするものである。 これは,本件明細書において,例えば,「【0066】[0087] MCE606は、ブロードキャストデータサービスのためのデバイス登録に関する情報を取得するための登録情報受信構成要素610と、ブロードキャストデータサービスを受信するために登録されたデバイスのカウントを決定するためのデバイスカウント構成要素612とを含むことができる。MCE606はまた、場合によっては、そこからブロードキャストデータサービスを受信しているデバイスの1つまたは複数の基地局にカウントを要求するためのカウント要求決定構成要素614、および/またはブロードキャストデータサービスを提供すべきかどうかを決定するためのブロードキャスト決定構成要素616を含むことができる。」等の記載を参酌すると,「誤記の訂正」ということができる。 更に,本件補正は,本件補正前の請求項1に係る発明に対し,「前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)である」との事項を附加するものである。 これは,本件補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「コアネットワーク構成要素」が,「ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)」であるとの限定を附すものである。 以上によると,本件補正は,請求項1に係る発明に対し,「誤記の訂正」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであると解される。 <本件補正後の請求項6,11,16に係る発明について> 本件補正後の請求項6,11,16に係る発明についても,上記「<本件補正後の請求項1に係る発明について>」に述べたことと同様である。 よって,本件補正は,請求項6,11,16に係る発明に対し,「誤記の訂正」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであると解される。 <本件補正後の請求項17に係る発明について> 本件補正は,本件補正前の請求項17に係る発明に関して,本件補正前に「ブロードキャストデータ」とあったのを「ブロードキャストデータサービス」とするものである。 更に,本件補正は,「カウント要求決定構成要素」が,本件補正前において「前記登録カウントに部分的に基づいてデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定するため」のものであったのを,「前記登録カウントが閾値よりも大きい場合に、前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求することを決定するため」のものとするものである。 これは,「カウント要求決定構成要素」が決定するのが,「デバイスのカウントを要求すべきかどうか」であったのを「要求すること」に限定するものであり,更に,本件補正後のように,「デバイスのカウントを要求する」のが,「登録カウントが閾値よりも大きい場合」であって,当該「デバイス」が「ブロードキャストデータサービスを受信する」ものであるとの限定を附加するものである。 以上によると,本件補正は,請求項17に係る発明に対し,「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであると解される。 2.本件補正に関するまとめ 以上のとおりであるから,本件補正は,特許請求の範囲について,「誤記の訂正」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そこで,本件補正後の請求項1,6,11,16及び17に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するか否か)について検討する。 第3 引用発明 1.引用刊行物及び記載事項 原査定の理由に「引用文献1」として引用された「国際公開第2008/023792号」(2008年(平成20年)2月28日国際公開。以下「引用文献」と呼ぶ。)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審が付与。) (1) 記載事項1 技術分野 [0001] 本発明は、マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービス(Multimedia Broadcast/Multicast Service: MBMS)を提供するコアネットワーク装置、無線通信基地局装置及び無線通信方法に関する。 (2) 記載事項2 [0023] 図2に、2つの転送方法の概念図を示す。1つめは、図2の右側に示すように、シングルセル転送(Single Cell Transmission: SCT)と呼ばれ、ユーザの有無を確認するために、カウントを行い、ユーザがいるセルにのみデータ送信する。また、セルエッジ等において品質が劣化した時には、再送や変調方式の変更を行うことにより、ユーザの受信品質の向上を図るものである。 [0024] 2つめは、図2の左側に示すように、マルチセル転送(Multi Cell Transmission:MCT)と呼ばれ、ユーザの有無に関係なく、同一の周波数エリア(Single Frequency Network:SFN)に属する複数の基地局が同期してデータ送信し、セル間ダイバーシチ合成によりユーザの受信品質の向上を図るものである。 非特許文献1: 3GPP TS 23.246 “3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects, Multimedia Broadcast/Multicast Service (MBMS), Architecture and functional description”, 2006-06 非特許文献2: 3GPP TS 25.346 “3rd Generation Partnership Project, Technical Specification Group Radio Access Network, Introduction of the Multimedia Broadcast Multicast Service (MBMS) in the Radio Access Network (RAN), Stage 2”, 2006-06 非特許文献3: 3GPP TS 25.331 “3rd Generation Partnership Project, Technical Specification Group Radio Access Network, Radio Resource Control (RRC), Protocol Specification”, 2006-06 発明の開示 発明が解決しようとする課題 [0025] しかしながら、上述したMBMSの提供方法では、サービスに応じてMCTまたはSCTを選択するため、以下のような問題を有する。 [0026] MCTにおいては、SFNエリアに対してマルチメディアデータを転送するのみなので、SFNエリアに存在するユーザの数が少ない場合には、ユーザのいないセルへのデータ配信量が多くなり、ネットワーク全体の無線リソースの利用効率が低下してしまう可能性がある。 [0027] また、SCTにおいては、特定ユーザグループに対してのみデータを転送するため、カウントを行うが、このカウントでは、ユーザはNode Bとの間にRRCコネクションを確立する必要があり、バッテリを消費してしまう。そのため、あるエリアに存在するユーザの数が多い場合には、そのエリア内のほとんどのセルにユーザが存在し、MCTに比べて、不必要なカウントを行う分、UEのバッテリ消費量が増大してしまう可能性がある。 [0028] 本発明の目的は、UEのバッテリ消費を増大させることなく、ネットワーク全体の無線リソースの利用効率の向上を図るコアネットワーク装置、無線通信基地局装置及び無線通信方法を提供することである。 (3) 記載事項3 発明の効果 [0032] 本発明によれば、UEのバッテリ消費を増大させることなく、ネットワーク全体の無線リソースの利用効率の向上を図ることができる。 (4) 記載事項4 [0035] (実施の形態1) 図3は、本発明の実施の形態1に係るネットワークの構成を示す図である。図3に示すネットワークは、端末(User Equipment: UE)100、無線基地局装置(Evolved NodeB: eNB)120、移動管理装置(Mobility Management Entity: MME)140、ユーザプレーン装置(User Plane Entity: UPE)160及びブロードキャスト/マルチキャストサービスセンタ(Broadcast Multicast Service Center: BM-SC)180から構成され、eNB120、MME140及びUPE160は、それぞれIPネットワークを介して接続されている。 [0036] eNB120は、無線資源の割り当て及び管理を担当するとともに、アップリンクを介してUE100の物理階層から転送される情報を受信し、逆に、ダウンリンクを介してUE100にデータを転送する。eNB120は、UE100のための無線アクセスネットワークのアクセスポイントの役割を担当する。 [0037] MME140は、位置登録エリア(Tracking Area: TA)単位でのUE100の位置を管理するとともに、UE100との間で、RABの設定、修正及び解放に関するシグナリングを行う。MME140は、UE100のネットワーク接続手順の中で割り当てられ、UE100のMBMSに関連するコンテキストを保持する。MME140は、あるMBMSエリア内に複数存在し、ユーザ毎に接続するMMEが異なる。 [0038] UPE160は、外部ネットワークとのゲートウェイの役割を果たし、RABの設定に従ってダウンリンクパケットをUE100が接続中のeNBへと転送し、アップリンクパケットをパケットの宛先アドレスに従い適切な外部ネットワークへ転送する。UPE160は、あるMBMSエリア内にMBMS毎に1つだけ存在し、MBMSに関連するコンテキストを保持する。 [0039] BM-SC180は、MBMSコンテンツサーバとUPE160の間に位置し、セッション種別、サービスの開始及び終了に関する情報やMBMSデータをUPE160に転送する。 [0040] 図4は、図3に示したMME140の構成を示すブロック図である。図4において、入力部141は、BM-SC180、UPE160及びeNB120から入力した信号をユーザ情報管理部142に通知する。 [0041] ユーザ情報管理部142は、UE100のMBMS受信性能と、BM-SC180から通知されたMBMS登録応答に含まれる、該サービスに要求されるUE100の性能とを比較する。この比較の結果、UE100のMBMS受信性能が、該サービスに要求されるUE100の性能よりも上回った場合、該サービスとUE100の属する位置登録エリアに関する識別子をユーザ数カウント部143に通知する。なお、UE100のMBMS受信性能が、該サービスに要求されるUE100の性能を下回った場合は、BM-SC180及びUE100に対して、処理の中止を通知する。 [0042] ユーザ数カウント部143は、サービス毎に参加しているユーザ数を位置登録エリア単位でカウントし、ユーザ情報管理部142から通知されたサービス及び位置登録エリア識別子に従って、ユーザ数を更新する。更新したユーザ数は出力部144に出力される。このように、MME140はUEの位置登録を代用して、ユーザ数をカウントすることができる。 [0043] 出力部144は、ユーザ数カウント部143から出力されたユーザ数をMBMS登録更新に含め、MBMS登録更新をUPE160に送出する。 [0044] 図5は、図3に示したUPE160の構成を示すブロック図である。図5において、入力部161は、BM-SC180、MME140及びeNB120から入力した信号をパラメータ部162及びユーザ数カウント部163に通知する。特に、入力部161は、MBMS登録更新に含まれ、サービス毎の位置登録エリア単位のMBMSユーザ数をユーザ数カウント部163に通知する。 [0045] パラメータ部162は、データパスに関する様々なパラメータを管理し、パラメータの設定に従い、BM-SC180から入力されたサービスデータを出力部165から出力する。 [0046] ユーザ数カウント部163は、サービス毎に参加しているユーザ数を位置登録エリア単位でカウントする。MME140はMBMSエリアに複数存在するため、UPE160で管理しているユーザ数は、それぞれのMMEから通知されたユーザ数の合計値となる。よって、UPE160は、MBMSエリア内に存在する該サービスへの参加ユーザ数を位置登録エリア単位で知ることができる。MBMS登録更新を受信したユーザ数カウント部163は、該サービスに参加しているユーザ数を更新し、更新したユーザ数をユーザ数比較部164に出力する。 [0047] ユーザ数比較部164は、ユーザ数カウント部163から出力されたユーザ数と、予め定められた閾値とを位置登録エリア毎に比較する。比較の結果、ユーザ数が閾値以上であれば、その位置登録エリアにおける転送モードとしてMCTを選択し、閾値未満であればSCTを選択する。選択されたMCT又はSCTを示す識別子が出力部165に出力される。 [0048] 通知手段としての出力部165は、パラメータ部162から出力されたサービスデータ、ユーザ数比較部164から出力されたMCT又はSCTを示す識別子をeNB120に出力する。 [0049] 次に、ユーザのマルチキャスト加入グループへの加入手順について説明する。図6は、マルチキャスト加入グループへの加入手順を示すシーケンス図である。 [0050] ステップ(以下「ST」と省略する)201では、サービス案内を受けたUE100は、MME140に対してマルチキャスト加入要求を送出する。このマルチキャスト加入要求には、加入したいマルチキャストグループを示す識別子が含まれる。 [0051] ST202では、マルチキャスト加入要求を受信したMME140は、BM-SC180との間でユーザの承認手順を行う。この承認手順は、ユーザの加入者契約情報を元に行われ、ユーザが正しくサービスを受けることが可能かどうかを判断する。 [0052] 承認手順が成功裡に終了した場合、ST203において、MME140は、UE100にMBMSコンテキスト活性化要請を送出する。 [0053] ST204では、MBMSコンテキスト活性化要請を受信したUE100は、MBMSコンテキスト活性化要求をMME140に送出する。MBMSコンテキスト活性化要求には、UE100自身のMBMSを受けるための性能などが含まれる。 [0054] MBMSコンテキスト活性化要求を受信したMME140は、該UE100が該サービスのマルチキャストグループへの最初の参加者であった場合、ST205において、BM-SC180にMBMS登録要求を送出する。該UE100が該サービスのマルチキャストグループへの最初の参加者ではなかった場合、ST205及びST206の処理は行われない。MBMS登録要求には、MBMSデータを配信するためのUPE160の識別子が含まれる。 [0055] ST206では、MBMS登録要求を受信したBM-SC180は、該サービスに要求されるUE100の性能を含んだMBMS登録応答をMME140に送信する。 [0056] ST207では、MME140がサービス毎に参加しているユーザ数を位置登録エリア単位でカウントし、MMEユーザ数を更新する。ST208では、MME140がMBMS登録更新をUPE160に送出する。MBMS登録更新には、更新した位置登録エリア単位のMBMSユーザ数が含まれる。 [0057] ST209では、UPE160が、MBMSエリア内に存在するサービスへの参加ユーザ数を位置登録エリア単位でカウントし、UPEユーザ数を更新する。ST210では、MME140が、MBMSコンテキスト活性化受付をUEに送信する。 [0058] 以上の処理により、ユーザのマルチキャスト加入グループへの加入手順が終了する。なお、MMEユーザ数更新は、ユーザのマルチキャストグループからの離脱や、UE100の位置登録エリアの更新時にも同様に更新され、その更新結果はUPE160に通知され、UPE160においてもUPEユーザ数更新が行われる。 [0059] 次に、セッションスタート手順について図7を用いて説明する。BM-SC180は、あるMBMSのサービス開始を検出すると、ST301において、セッションスタート要求をUPE160に送出する。 [0060] ST302では、セッションスタート要求を受信したUPE160のユーザ数比較部164において、MBMSエリア内に存在する該サービスへの参加ユーザ数と、予め定められた閾値とが位置登録エリア毎に比較される。参加ユーザ数が閾値以上であれば、その位置登録エリアにおける転送モードとしてMCTが選択され、閾値未満であればSCTが選択される。 [0061] MCTが選択された場合、すなわち、位置登録エリアあたりに多数のユーザが存在する場合には、ST303及びST304において、出力部165を通して、サービス通知がeNB120及びUE100に通知され、UE100はその位置登録エリアのどこにいてもサービスを受けることが可能となり、以降の処理は必要としない。 [0062] 一方、ユーザ数比較部164において、SCTが選択された場合、すなわち、位置登録エリアあたりに少数のユーザしか存在しない場合には、ユーザのいるeNB120にのみMBMSユーザデータを配信するため、ST303及びST304において、位置登録エリア全般にUEの存在を確認する手順、カウントを実行する。 [0063] なお、ST303のセッションスタート要求には、MCTないしSCTを示す識別子が含まれており、セッションスタート要求を受信したeNB120は、それにより、サービス通知を行うかカウントを行うかの判断を行う。また、ST304のNotification/Counting通知にも、同様にカウントを行うか否かを示す情報が含まれており、UE100は、それによりカウントに応じるか否かを判断する。 [0064] UE100は、MBMSに関するサービス通知から該当サービスに対してカウントが行われているという情報を受けると、自分が該当MBMSの受信を望んでいることをeNB120に通知するため、ST305では、eNB120に対してRRC接続を設定する。ここで、RRC接続要求メッセージを利用して、UE100が該当MBMSの受信を望んでいることをeNB120に通知する。 [0065] eNB120は、RRC接続要求メッセージを転送したUEを認識することにより、セル内で特定MBMSを要求するユーザの存在を認識し、1人でもユーザがいる場合には、ST306において、MBMS無線ベアラを確立する。 [0066] ST307では、eNB120は、eNB120とUPE160との間のIPネットワークにおいて、IPマルチキャストツリーを構成するために、マルチキャストグループ参加要求をUPE160に送出する。 [0067] マルチキャストグループ参加要求を受信した各IPルータ及びUPE160は、該サービスへの参加ユーザがいる出力インタフェースを記憶することにより、以降、必要な出力インタフェースにのみ該MBMSデータを転送する。 [0068] 以上により、一連のセッションスタート手順は終了し、BM-SC180から出力されるMBMSデータは、UPE160へと送られ、UPE160からは、MBMSユーザの存在するeNB120にのみ送られ、最終的にマルチキャストグループに参加しているUE100のもとへ送られる。 [0069] 次に、上記セッションスタートにより設定したMBMSデータの配信経路の維持に関して説明する。セッションスタート手順のST305において確立したUE100とeNB120とのRRC接続は、制御シグナルのみを送受信する制御プレーンに限定される。 [0070] RRC接続を制御プレーンに限定するとは、制御プレーンのみアクティブな状態のことであり、RRCメッセージの送受信に関する無線リンク制御(Radio Link Control: RLC)及びメディアアクセス制御(Media Access Control: MAC)に関するエンティティのみを有し、UE100のユーザプレーンデータの送受信に必要なチャネル品質の報告(CQI報告)及び下り共通制御チャネルの監視等を一切行わない状態を指す。 [0071] 従って、UE100は移動しない限り、MBMSに関する制御信号及びサービスデータの受信以外には、信号の送受信を一切行わないので、バッテリ消費量を低く抑えることができる。また、MBMSデータは、該MBMSに適した間隔で間欠受信(DRX)されるので、バッテリ消費量をさらに低く抑えることができる。 [0072] なお、制御プレーンのみアクティブな状態は、eNB120とUE100との間に限られており、UE100の位置管理を行うMME140には、一切の情報が提供されないので、MME140は、位置登録エリア単位でのUE100の位置管理を続けることになる。 [0073] eNB120は、UE100とのRRC接続を保持するため、UE100をセル単位で位置管理することができる。従って、UE100が隣接する他のeNBに移動した場合には、通常のハンドオーバ手順を実行し、UE100とのRRC接続を移動先のeNBへと移管させる。これにより、移動先のeNBは、自身の配下にMBMSユーザが移動してきたことを検出し、該サービスを提供していなければ、マルチキャストグループ参加要求を出力して、新たにサービスを提供する。また、移動元のeNBは、マルチキャストグループに参加しているUE100が他にいなければ、UPE160に対して該マルチキャストグループからの離脱を表明する。 [0074] 通常、アクティブ状態のUE100は、隣接セルの受信品質の測定を行い、その測定結果を定期的に又はイベント毎にeNB120に通知する。 [0075] ここで、UE100が隣接セルとの境界付近にいると仮定する。UE100から報告された隣接セル受信品質測定結果を受信したeNB120は、UE100がある隣接セルとの境界付近にいることを検出する。 [0076] 一般に、SCTでは、セルエッジに存在するユーザの受信品質は劣化することが知られている。そこで、セルエッジにユーザが存在する場合は、SCTからMCTへとモードを切り替え、セル間ダイバーシチ合成を行う。 (5) 記載事項5 [0082] ここで、上述したeNB120の構成について説明する。図9において、入力部121は、UE100、MME140、UPE160及びeNB120から入力した信号をパラメータ部122、セルエッジ検出部123及びマルチキャスト処理部124に通知する。 [0083] パラメータ部122は、UE100、MME140、UPE160及びeNB120とのシグナリングにより設定された各種パラメータを管理し、MBMSデータは、パラメータ部122により指定されたパラメータに従い、転送手段としての出力部125より出力される。 [0084] 測定結果を受信したs-eNBのセルエッジ検出部123は、UE100がある隣接セルとの境界にいることを検出し、該隣接セルの識別子をマルチキャスト処理部124に出力する。 [0085] マルチキャスト処理部124は、自装置がs-eNBである場合、セルエッジ検出部123から出力された隣接セルの識別子に基づいて、隣接セルを管理するt-eNBにマルチキャストグループへの参加要請を出力部125を通して送出する。 [0086] また、マルチキャスト処理部124は、自装置がt-eNBである場合、グループ参加要請を受信し、該MBMSに参加するリソースがあれば、マルチキャストグループ参加要求を出力部125を通してUPE160に送出する。 [0087] このように実施の形態1によれば、複数のセルを含む位置登録エリア毎に、位置登録を行ったUE数をカウントし、カウントしたUE数が所定の閾値以上であれば、MCTを選択し、カウントしたUE数が所定の閾値未満であれば、SCTを選択することにより、UE数に応じてSCTとMCTとを適切に切り替えることができるので、MCTによる無駄なデータ配信を削減することができると共に、SCTによる無駄なカウントを削減することができ、バッテリ消費を低減することができる。 [0088] なお、本実施の形態では、UPE160において、MBMSエリア内に存在する該サービスへの参加ユーザ数と、予め定められた閾値とを位置登録エリア毎に比較しているが、複数存在するMMEのうち、選択されたある特定のMMEが、同様にユーザ数の比較を行うようにしてもよい。 [0089] なお、本実施の形態では、UE100からの受信品質測定結果からUE100がある隣接セルとの境界にいることを検出するが、UE100が受信品質劣化時に、eNB120に送出する欠損データの再送を促すNACKを利用して、eNB120がNACK受信時に隣接セルにマルチキャストグループへの参加を要請するようにしてもよい。 [0090] なお、本実施の形態では、図7のST302に示したユーザ数比較処理を位置登録エリア単位のUE数で行っているが、複数の位置登録エリア単位で行ってもよい。 (6) 記載事項6 [0154] 上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。 [0155] また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。 [0156] また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。 [0157] さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。 産業上の利用可能性 [0159] 本発明にかかるコアネットワーク装置、無線通信基地局装置及び無線通信方法は、UEのバッテリ消費を増大させることなく、ネットワーク全体の無線リソースの利用効率の向上を図ることができ、MBMSを提供する伝送制御システムに適用できる。 (7) 記載事項7 請求の範囲 [1] マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービス(MBMS)へ参加するユーザ数を位置登録エリア単位でカウントするユーザ数カウント手段と、 カウントされた前記ユーザ数と所定の閾値とを比較し、前記ユーザ数が前記閾値以上の場合、同一周波数エリアに属する複数の無線通信基地局装置が同期してMBMSデータを転送するマルチセル転送を選択し、前記ユーザ数が前記閾値未満の場合、前記MBMSに参加するユーザをセル内に含む単一の無線通信基地局装置がMBMSデータを転送するシングルセル転送を選択するユーザ数比較手段と、 選択されたマルチセル転送又はシングルセル転送を配下の無線通信基地局装置に通知する通知手段と、 を具備するコアネットワーク装置。 (当審注 [2]から[12]は省略。) [13] コアネットワーク装置が、マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービス(MBMS)へ参加するユーザ数を位置登録エリア単位でカウントするユーザ数カウント工程と、 カウントされた前記ユーザ数と所定の閾値とを比較し、前記ユーザ数が前記閾値以上の場合、同一周波数エリアに属する複数の無線通信基地局装置が同期してMBMSデータを転送するマルチセル転送を選択し、前記ユーザ数が前記閾値未満の場合、前記MBMSに参加するユーザをセル内に含む単一の無線通信基地局装置がMBMSデータを転送するシングルセル転送を選択するユーザ数比較工程と、 選択されたマルチセル転送又はシングルセル転送を前記コアネットワーク装置配下の無線通信基地局装置に通知する通知工程と、 無線通信基地局装置が前記マルチセル転送又は前記シングルセル転送の指示をコアネットワーク装置から取得する取得工程と、 シングルセル転送の指示を取得した場合に限り、前記無線通信基地局装置が管理するセルについてカウントするカウント工程と、 前記カウントの結果、ユーザが存在するセルにおいてMBMSデータを転送する転送工程と、 を具備する無線通信方法。 2.引用発明 上記(1)から(7)に摘記した記載事項を踏まえると,引用文献には,次の発明(以下「引用発明」)が記載されているといえる。 <引用発明> 端末(User Equipment:UE)100,無線基地局装置(Evolved NodeB:eNB)120,移動管理装置(Mobility Management Entity:MME)140,ユーザプレーン装置(User Plane Entity:UPE)160及びブロードキャスト/マルチキャストサービスセンタ(Broadcast Multicast Service Center:BM-SC)180から構成され,eNB120,MME140及びUPE160は,それぞれIPネットワークを介して接続されているネットワークにおける方法であって, サービス案内を受けたUE100は,MME140に対してマルチキャスト加入要求を送出し(ST201),このマルチキャスト加入要求には,加入したいマルチキャストグループを示す識別子が含まれ, マルチキャスト加入要求を受信したMME140は,BM-SC180との間でユーザの承認手順を行い(ST202),この承認手順は,ユーザの加入者契約情報を元に行われ,ユーザが正しくサービスを受けることが可能かどうかを判断し, 承認手順が成功裡に終了した場合,MME140は,UE100にMBMSコンテキスト活性化要請を送出し(ST203), MBMSコンテキスト活性化要請を受信したUE100は,MBMSコンテキスト活性化要求をMME140に送出し(ST204),MBMSコンテキスト活性化要求には,UE100自身のMBMSを受けるための性能などが含まれ, MBMSコンテキスト活性化要求を受信したMME140は,該UE100が該サービスのマルチキャストグループへの最初の参加者であった場合,BM-SC180にMBMS登録要求を送出し(ST205),該UE100が該サービスのマルチキャストグループへの最初の参加者ではなかった場合,BM-SC180にMBMS登録要求を送出せず,MBMS登録要求には,MBMSデータを配信するためのUPE160の識別子が含まれ, MBMS登録要求を受信したBM-SC180は,該サービスに要求されるUE100の性能を含んだMBMS登録応答をMME140に送信し(ST206), MME140がサービス毎に参加しているユーザ数を位置登録エリア単位でカウントし,MMEユーザ数を更新し(ST207), MME140がMBMS登録更新をUPE160に送出し(ST208),MBMS登録更新には,更新した位置登録エリア単位のMBMSユーザ数が含まれ, UPE160が,MBMSエリア内に存在するサービスへの参加ユーザ数を位置登録エリア単位でカウントし,UPEユーザ数を更新し(ST209), MME140が,MBMSコンテキスト活性化受付をUEに送信し(ST210), BM-SC180は,あるMBMSのサービス開始を検出すると,セッションスタート要求をUPE160に送出し(ST301), セッションスタート要求を受信したUPE160のユーザ数比較部164において,MBMSエリア内に存在する該サービスへの参加ユーザ数と,予め定められた閾値とが位置登録エリア毎に比較され,参加ユーザ数が閾値以上であれば,その位置登録エリアにおける転送モードとしてMCTが選択され,閾値未満であればSCTが選択され(ST302), MCTが選択された場合,すなわち,位置登録エリアあたりに多数のユーザが存在する場合には,出力部165を通して,サービス通知がeNB120及びUE100に通知され,UE100はその位置登録エリアのどこにいてもサービスを受けることが可能となり,以降の処理は必要とせず, 一方,ユーザ数比較部164において,SCTが選択された場合,すなわち,位置登録エリアあたりに少数のユーザしか存在しない場合には,ユーザのいるeNB120にのみMBMSユーザデータを配信するため,位置登録エリア全般にUEの存在を確認する手順,カウントを実行し, なお,UPE160が出力する「セッションスタート要求」には,MCTないしSCTを示す識別子が含まれており,セッションスタート要求を受信したeNB120は,それにより,サービス通知を行うかカウントを行うかの判断を行い,また,Notification/Counting通知にも,同様にカウントを行うか否かを示す情報が含まれており,UE100は,それによりカウントに応じるか否かを判断する, 方法。 第4 当審の判断 1.本願第1発明に関する対比及び検討 (1) 対比 <はじめに> 本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願第1発明」という。同様に,本件補正後の請求項6,11,16及び17に記載された発明を,それぞれ,「本願第6発明」,「本願第11発明」,「本願第16発明」及び「本願第17発明」という。)を特定する事項である「コアネットワーク構成要素」は,「ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)」(以下「BM-SC」という。)である。 このことは,本願第1発明が,次のように換言できることを示している。 ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための方法であって, BM-SCにおいて,デバイスに関係する前記ブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信することと, 前記BM-SCにおいて,前記登録要求を前記受信することに部分的に基づいて登録カウントを増分することと, 前記BM-SCにおいて,前記登録カウントに部分的に基づいて,前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定することと を備える,方法。 これも踏まえ,本願第1発明と,引用発明を比較すると次のことがいえる。 <ア> 引用発明における「UE」は「デバイス」といえる。 <イ> 引用発明における「UE」も,本願第1発明と同様の「ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンタ(Broadcast Multicast Service Center:BM-SC)」からサービスを受けるものであることは明白であるから,「ブロードキャストサービス」を受けることができるものであるといえる。つまり,該「UE」は,「ブロードキャストサービスに関係する」ものであるということができる。 <ウ> 引用発明には,「UE」が,「MBMSコンテキスト活性化要求」を「MME140」に送出することによって,「MME140」がサービス毎に参加しているユーザ数を位置登録エリア単位でカウントし,MMEユーザ数を更新し,そして,「MME140」がMBMS登録更新をUPE160に送出し,「UPE160」が,MBMSエリア内に存在するサービスへの参加ユーザ数を位置登録エリア単位でカウントし,UPEユーザ数を更新することが開示されている。 ここで,「参加ユーザ数」の意味するところが,「ユーザ」が有する「UE」から,「ユーザ」が「参加したい」あるいは「加入したい」マルチキャストグループを示す識別子を含む「マルチキャスト加入要求」を送出した「UE」の数であることは明らかである。 このことは,引用発明において,「参加ユーザ数」をカウントすることが,「UE」をカウントすることといい得ることを示している。 <エ> 上記<ア>から<ウ>に述べたことを踏まえると,引用発明と本願第1発明は,「ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための方法」である点において共通するといい得る。 <オ> 引用発明における「MME」は,「該UE100が該サービスのマルチキャストグループへの最初の参加者であった場合,BM-SC180にMBMS登録要求を送出」する。 このことは,「BM-SC」が,「MME」の送出した「MBMS登録要求」を受信するといい得ることを示している。 つまり,引用発明には,「BM-SCにおいて,デバイスに関係するブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信すること」が開示されているということができる。 <カ> 上記<ア>から<オ>より,本願第1発明と引用発明は次の点で共通し,相違するといえる。 [本願第1発明との共通点] ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための方法であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係する前記ブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信すること、 を備え、前記コアネットワーク構成要素は、ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンター(BM-SC)である、方法。 [本願第1発明との相違点] [相違点1] 本願第1発明においては,「前記登録要求を前記受信することに部分的に基づいて登録カウントを増分する」のが,「BM-SC」である「前記コアネットワーク構成要素」であるのに対し,引用発明における「BM-SC」にはそのような特定がない点。 [相違点2] 本願第1発明においては,「前記登録カウントに部分的に基づいて、前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定する」のが,「BM-SC」である「前記コアネットワーク構成要素」であるのに対し,引用発明における「BM-SC」にはそのような特定がない点。 (2) 検討 ア 相違点1について 本願第1発明おける「登録カウント」の意味するところが,「ブロードキャストサービスを受信するために登録されたデバイスのカウント」であることは明白である(本願明細書【0074】等参照。)。 これに照らして引用発明をみるに,引用発明において,「BM-SCに登録されたUEのカウント」を行うのは,「MME140」における「ユーザ数カウント部143」(以下「MMEカウント部」という。)と,「UPE160」における「ユーザ数カウント部163」(以下「UPEカウント部」という。)である。 そして,引用文献には,「本実施の形態では、UPE160において、MBMSエリア内に存在する該サービスへの参加ユーザ数と、予め定められた閾値とを位置登録エリア毎に比較しているが、複数存在するMMEのうち、選択されたある特定のMMEが、同様にユーザ数の比較を行うようにしてもよい。」との記載はあるが,「BM-SC」で比較を「行うようにしてもよい」とする記載も示唆も発見しない。 また,引用発明において,「BM-SC」に「デバイスのカウント」をする機能を移替することは,該「BM-SC」が,新たな機能を備えることを意味し,新たな負担を有することを意味する。そして,このような負担が生じる機能の変更をする技術的理由を,引用発明からは見いだすことができず,更に,周知であるということができる理由も発見しない。 以上のことから,引用発明における「BM-SC」を,相違点1のように構成することを,当業者が容易に想到しえたということはできない。 イ 相違点2ついて 上記「ア 相違点1について」に述べたとおり,引用発明の「BM-SC」において,「登録要求を受信すること」に部分的に基づいて「登録カウントを増分すること」,及び該「登録カウント」に部分的に基づいて,「ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求すべきかどうかを決定すること」は,当業者が容易に想到し得ない技術的事項である。 そして,引用発明における「BM-SC」に,「決定すること」の機能を新たに備えさせるように変更する技術的理由を,引用発明から見いだすことはできず,更に,周知であるということができる理由も発見しない。 以上のことから,引用発明における「BM-SC」を,相違点2のように構成することを,当業者が容易に想到し得たということはできない。 ウ まとめ 以上のとおりであり,また,本願第1発明のように構成したことよる効果を,当業者が引用発明から予測することができたともいえない。 したがって,引用発明に基づいて,本願第1発明を当業者が容易に発明をすることができたということはできない。 2.本願第6発明に関する対比及び検討 本願第6発明は,「ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための装置」に係るものであり,実質的に,本願第1発明を「装置」に係る発明とするものであると解される。 そうすると,上記「1.本願第1発明に関する対比及び検討」に述べたのと同様に,本願第6発明を,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。 3.本願第11発明に関する対比及び検討 本願第11発明は,「ワイヤレス通信のための装置」に係るものであるところ,該「装置」は,実質的に,本願第1発明を実行するのが,「少なくとも1つのプロセッサ」を備えるものである。 そうすると,上記「1.本願第1発明に関する対比及び検討」に述べたのと同様に,本願第11発明を,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。 4.本願第16発明に関する対比及び検討 本願第16発明は,「ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするためのコンピュータ可読記憶媒体」に係るものであるところ,該「コンピュータ可読記憶媒体」には,「少なくとも1つのコンピュータ」に,実質的に,本願第1発明に係る方法を,該「少なくとも1つのコンピュータ」に,実行させる「コード」が記憶されたものであると解される。 そうすると,上記「1.本願第1発明に関する対比及び検討」に述べたのと同様に,本願第16発明を,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたということはできない。 5.本願第17発明に関する対比及び検討 (1) 対比 <はじめに> 本願第17発明における「コアネットワーク構成要素」については,既に検討した本願第1発明のように,「BM-SC」であるとの特定はない。 そこで,はじめに,「コアネットワーク構成要素」が技術的に意味するところを確認する。 3GPP TR21.905 V10.0.0(2009-09)には次の記載がある。 Core network: An architectural term relating to the part of 3GPP System which is independent of the connection technology of the terminal (eg radio, wired). (当審訳 コアネットワーク:端末(例えば,無線,有線)の接続技術に無関係である3GPPシステムの一部に関係するアーキテクチャ用語) 特開2006-246087号公報(平成18年9月14日公開)には,次の記載がある。 【0021】 図1は、本実施の形態のデータフレーム転送装置(コアネットワークのエッジノード)が接続(収容)されるシステムの全体構成を示すブロック図である。図1を用いて本実施の形態のシステムの全体構成を説明する。ここでは、IP網(外部データ通信ネットワーク)4?9のコアネットワーク10が、イーサネット(登録商標)網である場合を例に説明する。なお、コアネットワークとは、ネットワーク同士を結ぶ大容量の基幹通信回線のことであり、例えば、インターネットサービスプロバイダ内の接続拠点間を結ぶ回線や、プロバイダと他のプロバイダやIX(Internet eXchange、事業者間相互接続ポイント)を結ぶ回線等である。本実施の形態では、このコアネットワーク10が接続する外部データ通信ネットワークがIP網4?9である場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。 【0033】高速コアネットワーク23は、高速無線リンク21を介して端末装置7との間で伝送される情報を取得し、その情報を高速の伝送速度で伝送する高速通信網である。ここで、コアネットワークとは、端末装置7と通信を行い、端末装置7からの情報を他の通信網へ伝送したり、他の通信網からの情報を端末装置7に伝送するネットワークで、端末装置7の位置登録制御、呼の発生に応じてチャネルを割り当てる呼制御、サービス品質(QoS)を制御するQoS制御等を行うネットワークをいう。本実施形態では、高速コアネットワーク23としてパケット交換網を用いる。高速コアネットワーク23は、PPM(Packet Processing Module、パケット加入者系装置)23aと、PGW(Packet Gateway Module、パケット関門中継装置)23bと、M?SCP(Mobile-Service Control point、サービス制御局)23cと、中継回線23dとから構成される。PPM23aとPGW23bは、パケット交換手段である。このように、高速コアネットワーク23は、パケット交換手段のような高速伝送手段を備えることにより、高速伝送サービスを提供することができる。 【0065】 [0086] 図6に、ワイヤレスネットワークにおいてブロードキャストデータを受信すべきデバイスをカウントするための例示的なワイヤレス通信システム600を示す。システム600は、説明したように、ワイヤレスネットワークへのアクセスを受信するために、基地局604と通信するデバイス602を含む。さらに、システム600は、MCE606、BM-SC608などの1つまたは複数のコアネットワーク構成要素、および/または示されない他の構成要素(たとえば、1つまたは複数のゲートウェイ、MME、または他の接続管理ノード)を含むことができ、基地局604は、アクセスを行うためにそれらの構成要素と通信することができる。説明したように、基地局604は、1つまたは複数のブロードキャストサービスに関係する信号をブロードキャストすることができ、MCE606、BM-SC608などは、サービスを提供することに関係する、1つまたは複数の機能を与えることができる。 そうすると,「コアネットワーク構成要素」とは,該「コアネットワーク」を構成する要素を意味することは明らかである。このことを踏まえると,上記 以上のことも踏まえて,本願第17発明と引用発明を比較すると次のことがいえる。 <ア> 引用発明における「移動管理装置(Mobility Management Entity:MME)140」,「ユーザプレーン装置(User Plane Entity:UPE)160」及び「ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンタ(Broadcast Multicast Service Center:BM-SC)180」は,いずれも「コアネットワーク」を構成するものであるといえることは明らかである。つまり,「MME」,「UPE」及び「BM-SC」は,いずれも「コアネットワーク構成要素」であるということができる。 <イ> 引用発明における「UE」は「デバイス」といえる。 <ウ> 引用発明における「UE」も,「ブロードキャスト/マルチキャストサービスセンタ(Broadcast Multicast Service Center:BM-SC)」からサービスを受けるものであることは明白であるから,「ブロードキャストサービス」を受けることができるものであるといえる。つまり,該「UE」は,「ブロードキャストサービスに関係する」ものであるということができる。 <エ> 引用発明には,「UE」が,「MBMSコンテキスト活性化要求」を「MME140」に送出することによって,「MME140」がサービス毎に参加しているユーザ数を位置登録エリア単位でカウントし,MMEユーザ数を更新し,そして,「MME140」がMBMS登録更新をUPE160に送出し,「UPE160」が,MBMSエリア内に存在するサービスへの参加ユーザ数を位置登録エリア単位でカウントし,UPEユーザ数を更新するこが開示されている。 ここで,「参加ユーザ数」の意味するところが,「ユーザ」が有する「UE」から,「ユーザ」が「参加したい」あるいは「加入したい」マルチキャストグループを示す識別子を含む「マルチキャスト加入要求」を送出した「UE」の数であることは明らかである。 このことは,引用発明において,「参加ユーザ数」をカウントすることが,「UE」をカウントすることといい得ることを示している。 <オ> 引用発明は,「方法」に係る発明として特定するところ,「装置」に係る発明としても特定し得るものであることは明らかである。 そして,上記<イ>から<エ>に述べたことも踏まえると,引用発明と本願第17発明は,「ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための装置」である点において共通するということができる。 <カ> 引用発明における「MME140」は,「UE100が該サービスのマルチキャストグループへの最初の参加者であった場合」,「BM-SC180」に「MBMS登録要求を送出」する。 このことから,引用発明における「BM-SC」は,「MME」の送出した「MBMS登録要求」を受信するための「構成要素」を備えているということができるものである。そうすると,上記<ア>に述べたことを踏まえると,引用発明には,「コアネットワーク構成要素において,デバイスに関係するブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信するための登録情報受信構成要素を備える」ことが開示されているということができる。 更に,引用発明における「MME140」は,「BM-SC180から通知されたMBMS登録応答を基にし,UE100の属する位置登録エリアに関する識別子をユーザ数カウント部143(「MMEカウント部」)に通知して,サービス毎に参加しているユーザ数をカウントし、ユーザ数を更新し,更新したユーザ数をMBMS登録更新に含め、MBMS登録更新をUPE160に送出する」機能を備えている(上記「第3 引用発明」の「1.」の「(4) 記載事項4」の[0041]から[0043]参照。)。 そして,引用発明における「UPEカウント部」(「UPE160」の「ユーザ数カウント部163」)は,「MME140はMBMSエリアに複数存在するため、それぞれのMMEから通知されたユーザ数の合計値」を管理するものである(同[0046]参照。)。 これらのことから,引用発明には,「UPEカウント部」を,「UPE」である「コアネットワーク構成要素」において,「登録要求に部分的に基づいて登録カウントを増分するためのデバイスカウント構成要素」を備えることが開示されているということができる。 <キ> 上記<ア>から<カ>より,本願第17発明と引用発明は次の点で共通し,相違するといえる。 [本願第17発明との共通点] ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための装置であって、 コアネットワーク構成要素において、デバイスに関係する前記ブロードキャストデータサービスについての登録要求を受信するための登録情報受信構成要素と、 前記コアネットワーク構成要素において、前記登録要求に部分的に基づいて登録カウントを増分するためのデバイスカウント構成要素と、 を備える、装置。 [本願第17発明との相違点] 本願第17発明では,「前記コアネットワーク構成要素において、前記登録カウントが閾値よりも大きい場合に、前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求することを決定するためのカウント要求決定構成要素」を発明特定事項として有するのに対し,引用発明において「前記コアネットワーク構成要素」に該当するといえる「MME」,「UPE」及び「BM-SC」において,「前記登録カウントが閾値よりも大きい場合に、前記ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求することを決定するためのカウント要求決定構成要素」を備えるとの特定がない点。 (2) 検討 上記相違点について検討するに,引用発明において,「ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求することを決定する」のは,「UPE」における「ユーザ数比較部」であると解することができる。この点において,該「ユーザ数比較部」は「カウント要求構成要素」ということができる。 しかし,引用発明において,「ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウント」をするのは,「SCT」が選択され,該「SCT」を示す識別子が出力された場合である。 つまり,引用発明において,「ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求することを決定する」のは,「ユーザ数」が「閾値未満の場合」である。 そして,引用発明において,「ブロードキャストデータサービスを受信するデバイスのカウントを要求することを決定する」のを,本願第17発明のように「閾値より大きい場合」とする技術的理由を発見しない。 以上のことは,引用発明をもとに,相違点のように構成することは,当業者が容易に想到し得たということができないことを示しているといえる。 以上のとおりであり,また,本願第17発明のように構成したことによる効果を,当業者が予測することができたということもできない。 したがって,引用発明に基づいて,本願第17発明を当業者が容易に発明をすることができたということはできない。 6.本件補正後の請求項2から5,7から10,12から15,18から21に記載された発明について 本件補正後の請求項2から5,7から10,12から15,18から21に記載された発明は,同請求項1,6,11,16,17に記載された発明を直接的又は間接的に引用するものである。 そうすると,該請求項1,6,11,16,17に記載された発明を,当業者が容易に発明をすることができたものであるということができないのであるから,これらの発明を引用する発明も,当業者が容易に発明をすることができたものであるということができないのは当然である。 7.本件補正後の各請求項に係る発明に関するまとめ 上記「1.」から「6.」に述べたとおりであって,ほかに特許を受けることができない理由も発見しない。 よって,本件補正後の請求項1から21に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 したがって,本件補正を,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものとして,却下することはできない。 また,ほかに,本件補正を却下すべき理由を発見しない。 第5 本件出願 以上のとおりであって,本件出願の請求項1から21に係る発明は,本件補正後の特許請求の範囲の請求項1から21に記載された事項により特定されるとおりのものであり,これら発明は,特許を受けることができるものである。 また,本件出願を拒絶すべきものであるということができる理由も発見しない。 第6 むすび 以上のとおり,本件出願の請求項1から21に係る発明は,特許を受けることができるものである。 また,本件出願について拒絶をすべき理由も発見しない。 したがって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-07-04 |
出願番号 | 特願2013-553467(P2013-553467) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04W)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 冨永 達朗、遠山 敬彦 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
近藤 聡 古市 徹 |
発明の名称 | ブロードキャストデータサービスに関係するデバイスをカウントするための方法および装置 |
代理人 | 奥村 元宏 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |