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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1316659
審判番号 不服2014-26830  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-26 
確定日 2016-07-08 
事件の表示 特願2009- 74726「発光および伝達用の機器、方法、およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月 3日出願公開、特開2009-282502〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成21年3月25日(パリ条約による優先権主張 2008年3月27日 米国)に出願したものであって、平成24年3月21日付けの拒絶理由通知に対して平成24年8月23日付けで手続補正がなされ、平成25年6月28日付けの最後の拒絶理由通知に対して平成26年1月6日付けで手続補正がなされたが、平成26年8月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年12月26日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、平成27年7月28日付けで上申書が提出されたものである。

第2 平成26年12月26日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成26年12月26日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正

本件補正は、特許請求の範囲の請求項10について、本件補正前に、
「【請求項10】
照明および伝達用のシステムであって、
人のスペースにそれぞれ離して配置された複数の固体発光パネルを備え、前記複数の固体発光パネルは、複数の固体発光体を含み、前記複数の固体発光パネルで受け取った入力信号に応答して、第1のモードで照明を提供し、第2のモードで情報を伝達するように構成され、前記システムはさらに、
前記複数の固体発光パネルの少なくとも1つに前記入力信号を送出するように構成された発光パネル群コントローラを備え、
前記複数の固体発光パネルの少なくとも1つにおける前記複数の固体発光体は、前記第1のモードに対応する第1の色の複数の発光器と、前記第2のモードに対応する第2の色の複数の発光器とを備え、
前記発光パネル群コントローラはさらに、前記複数の固体発光パネルに一連の前記入力信号を送出することによって前記第2のモードで動的な情報を伝達するように構成されることを特徴とするシステム。」
とあったところを、

「【請求項10】
照明および伝達用のシステムであって、
人のスペースにそれぞれ離して配置された複数の固体発光パネルを備え、前記複数の固体発光パネルは、複数の固体発光体を含み、前記複数の固体発光パネルで受け取った入力信号に応答して、第1のモードで照明を提供し、第2のモードで情報を伝達するように構成され、前記システムはさらに、
前記複数の固体発光パネルの少なくとも1つに前記入力信号を送出するように構成された発光パネル群コントローラを備え、
前記複数の固体発光パネルの少なくとも1つにおける前記複数の固体発光体は、前記第1のモードに対応する第1の色の複数の発光器と、前記第2のモードに対応する第2の色の複数の発光器とを備え、
前記発光パネル群コントローラはさらに、前記複数の固体発光パネルに一連の前記入力信号を送出することによって前記第2のモードで動的な情報を伝達するように構成され、
前記第2の色は、伝達される前記情報に固有であることを特徴とするシステム。」
とすることを含むものである(なお、下線は補正箇所を示す。)。

本件補正について検討する。

本件補正前の請求項10の発明特定事項である「第2の色」について、「前記第2の色は、伝達される前記情報に固有であ」ることを追加して限定するものである。

よって、本件補正は、本件補正前の請求項10に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項10に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)について以下に検討する。


2 引用例及びその記載事項

(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の基礎となる出願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-248687号公報(平成19年9月27日公開、以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

a 「【0001】
本発明は、照明器による表示システムに関するものである。」

b 「【0007】
<実施の形態1>
本実施の形態に係る照明器による表示システムの構成を図1のブロック図で示す。図に示すように、照明器1と、照明器制御装置11と、電灯線12と、警報監視装置13と、センサ14とを備える。」

c「【0009】
図2は、照明器1の構成をブロック図で示したものである。照明器1は、発光素子アレイ2と、発光素子アレイ制御部3と、電力供給部4と、蓄電部5と、電灯線通信モジュール6と、記憶部7とを備えている。発光素子アレイ2には、白色LED素子等の複数の発光素子8がマトリクス状に配列されている。」

d「【0010】
<モード制御>
本実施の形態に係る照明器による表示システムは、照明器1における発光素子アレイ2の発光を、照明モードと表示モードとで制御可能な制御手段を備える。照明モードとは、発光素子アレイ2における複数の発光素子8を全面発光させることにより、照明器1による照明を行なうモードである。図3は、照明モードで制御した発光素子アレイ2を示したものである。1つの四角形は1つの発光素子8を表しており、白色の四角は、発光素子8が発光していることを表す。表示モードとは、発光素子アレイ2における複数の発光素子を選択的に発光させることにより、照明器1を表示器として用いて所望の表示を行なうモードである。図4、図5は、表示モードで制御した発光素子アレイ2を示したものである。黒色の四角は、発光素子8が発光していないことを表す。図4には文字「火災」、図5には図形「→」がそれぞれ表示されている。記憶部7には、図4、図5のように発光素子8を選択的に発光させるパターンが複数記憶されている。
【0011】
この照明モードおよび表示モードを制御する制御手段は、照明器1の内部に設けた発光素子アレイ制御部3と、照明器1の外部に設けた照明器制御装置11によって構成される。電灯線12は、接続された機器の間を通信する通信線としての機能を持つ。照明器1の電灯線通信モジュール6は、電灯線12から信号を読み出し、その信号を発光素子アレイ制御部3に送信する。これらにより、照明器制御装置11は、電灯線12を介して発光素子アレイ制御部3と通信が可能となっている。この発光素子アレイ制御部3は、照明器制御装置11から電灯線12を介して送信される制御信号に応じて、発光素子アレイ2の発光を照明モードと表示モードで制御する。」

e「【0014】
センサ14で火災が検知された場合、警報監視装置13は、火災が発生したことを公衆回線を通して外部に報知する。それとともに、照明器制御装置11は、センサ14の検知信号に応答して、照明器1を表示モードで制御するための制御信号を、電灯線12を介して発光素子アレイ制御部3に送信する。この場合、発光素子アレイ制御部3は、発光素子アレイ2を表示モードで制御することにより、照明器1は図4、図5のように所望の表示を行なう。」

f「【0020】
<実施の形態2>
図6は、本実施の形態に係る照明器による表示システムの構成を示したものであり、複数の照明器1が一の照明器制御装置11と接続され、複数のセンサ14が警報監視装置13に接続されている。これらを用いるために、照明器制御装置11と、照明器1の電灯線通信モジュール6には、下記で示す機能が加わる。その他の構成は、実施の形態1に係る照明器による表示システムと同様であり、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
複数の照明器1はグループ化されており、照明器制御装置11はそのグループ単位で制御信号を生成する。制御信号の送信方式として、照明器制御装置11は、電灯線12を介したマルチキャスト方式で制御信号を、複数の照明器1の発光素子アレイ制御部3に送信する。このマルチキャスト方式は、制御信号にアドレスを添付する方式である。照明器1には、同一グループ内では同じアドレスが、異なるグループ間では異なるアドレスが与えられる。電灯線通信モジュール6は、自己の照明器1に与えられたアドレスに対応する制御信号を電灯線12から読み出し、読み出した制御信号を発光素子アレイ制御部3に送信する。
【0022】
さらに、照明器制御装置11は、火災を検知したセンサ14の位置に基づいて、火災を回避する避難経路を動的に導出する。そして、導出結果に基づいて、照明器制御装置11は、所定の避難口などに向かう避難経路を示す矢印を、複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、各照明器1の発光素子アレイ制御部3に送信する。避難経路を示す矢印は「↑」、「↓」、「→」、「←」などである。
【0023】
以上からなる照明器による表示システムの動作を図7、図8を用いて説明する。図7、図8は、屋内に複数の照明器1を設けた図である。破線は屋内空間を8つの屋内ブロック21a?21hに分けたものである。ここでは、複数の照明器1を、屋内ブロックごとにグループ化している。また、1ブロックには1つのセンサ14を設けている。
【0024】
図7は、屋内に火災が発生していないときの図である。センサ14は火災を検知しないため、発光素子アレイ制御部3は、照明器制御装置11から制御信号を受信しない。この場合、発光素子アレイ制御部3は、発光素子アレイ2を照明モードで制御する。こうして、全ての照明器1は、図3のように全面発光による照明を行なう。図7は、照明器1が所望の表示を行なわずに、照明器として用いられていることを表す。
【0025】
図8は、屋内ブロック21dにおいて火災が発生しているときの図である。ブロック21dに設けられたセンサ14が火災を検知すると、照明器制御装置11は、火災を検知したセンサ14の位置に基づいて、避難口15,16までの避難経路を動的に導出する。そして、照明器制御装置11は、導出結果に基づいて、避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、電灯線12を介して各照明器1の発光素子アレイ制御部3に送信する。」

g「【0027】
このように、本実施の形態に係る照明器による表示システムは、実施の形態1と同様の効果を得られることに加え、災害発生場所に応じて適切な避難経路を示す矢印を表示することができる。これにより、災害から安全に避難することができる。また、照明器1を個々に制御するのではなく、グループごとに制御することができる。これにより、制御信号の通信量を減らすことができるため、非常に多くの照明器を設置した場合でも、制御信号を送信する時間を短縮することができる。なお、図8で照明器全てを避難経路を示す矢印を表示させたが、一部に「火災」、「警告」などの文字を表示するようにしてもよい。」

ア 上記aの「【0001】本発明は、照明器による表示システムに関するものである。」との記載、上記bの「【0007】<実施の形態1>‥‥‥照明器による表示システムの構成を図1のブロック図で示す。図に示すように、照明器1と、照明器制御装置11と、‥‥‥センサ14とを備える。」との記載から、引用例1には、「照明器1と、照明器制御装置11と、センサ14を備える表示システム」が記載されているということができる。

イ 上記cの【0009】の記載から、引用例1には、「照明器1は、発光素子アレイ2と、発光素子アレイ制御部3と、記憶部7とを備え、発光素子アレイ2には、白色LED素子等の複数の発光素子8が配列されている」ことが記載されているといえる。

ウ 上記dの【0010】の記載から、「照明器1における発光素子アレイ2の発光を、照明モードと表示モードとで制御可能な制御手段を備え、照明モードとは、発光素子アレイ2における複数の発光素子8を全面発光させることにより、照明器1による照明を行なうモードであり、表示モードとは、発光素子アレイ2における複数の発光素子を選択的に発光させることにより、照明器1を表示器として用いて所望の表示を行なうモードであり、記憶部7には、発光素子8を選択的に発光させるパターンが複数記憶されている」ことが記載されているといえる。

エ 上記fの「【0023】‥‥‥図7、図8は、屋内に複数の照明器1を設けた図である。破線は屋内空間を8つの屋内ブロック21a?21hに分けたものである。ここでは、複数の照明器1を、屋内ブロックごとにグループ化している。‥‥‥」との記載において、上記fの【0021】の記載から、「複数の照明器1はグループ化されており、照明器制御装置11はそのグループ単位で制御信号を生成する。」ものであるから、引用例1には、「屋内に複数の照明器1を設けるにあたり、屋内空間を複数の屋内ブロックに分け、屋内ブロックごとに複数の照明器1をグループ化して設け、照明器制御装置11は、そのグループ単位で制御信号を生成する」ことが記載されているといえる。

オ(ア)上記fの【0024】の記載から、引用例1には、「屋内に火災が発生していないとき、発光素子アレイ制御部3は、照明器制御装置11から制御信号を受信することなく、発光素子アレイ制御部3は、発光素子アレイ2を照明モードで制御する」ことが記載されているといえる。

(イ)上記fの【0025】の記載から、引用例1には「火災が発生しているとき、照明器制御装置11は、火災を検知したセンサ14の位置に基づいて、避難口15,16までの避難経路を動的に導出し、照明器制御装置11は、導出結果に基づいて、避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、発光素子アレイ制御部3に送信する」ことが記載されているといえる。
ここで、上記eの「【0014】センサ14で火災が検知された場合、‥‥‥照明器制御装置11は、‥‥‥照明器1を表示モードで制御するための制御信号を、‥‥‥発光素子アレイ制御部3に送信する。この場合、発光素子アレイ制御部3は、発光素子アレイ2を表示モードで制御することにより、照明器1は図4、図5のように所望の表示を行なう。」との記載から、火災が発生しているときは、発光素子アレイ制御部3は、「発光素子アレイ2を表示モードで制御する」ものであるということができる。
したがって、引用例1には、「火災が発生しているとき、照明器制御装置11は、火災を検知したセンサ14の位置に基づいて、避難口15,16までの避難経路を動的に導出し、照明器制御装置11は、導出結果に基づいて、避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、発光素子アレイ制御部3に送信し、発光素子アレイ2を表示モードで制御する」ことが記載されているといえる。

(ウ)そして、引用例1の「表示システム」は、「照明器1と、照明器制御装置11と、センサ14を備える」ものであって(上記(イ))、ここで、上記dの「【0011】この照明モードおよび表示モードを制御する制御手段は、照明器1の内部に設けた発光素子アレイ制御部3と、照明器1の外部に設けた照明器制御装置11によって構成される。」との記載から、「照明器1」と「照明器制御装置11」とは、個別のものということができ、また、「照明器1」の内部に「発光素子アレイ制御部3」を備えるから、照明器制御装置11が制御信号を発光素子アレイ制御部3に送信することは、照明器制御装置11が制御信号を照明器1に送信すると捉えることができる。

(エ)したがって、上記(ア)及び(イ)第3段落の引用例1の記載において、引用例1の「発光素子アレイ制御部3」を「照明器1」に置き換えると、引用例1には、「屋内に火災が発生していないとき、照明器1は、照明器制御装置11から制御信号を受信することなく、照明器1は、発光素子アレイ2を照明モードで制御し、火災が発生しているとき、照明器制御装置11は、火災を検知したセンサ14の位置に基づいて、避難口15,16までの避難経路を動的に導出し、照明器制御装置11は、導出結果に基づいて、避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、照明器1に送信し、発光素子アレイ2を表示モードで制御」することが記載されているということができる。

カ 上記gの「【0027】‥‥‥なお、図8で照明器全てを避難経路を示す矢印を表示させたが、一部に「火災」、「警告」などの文字を表示するようにしてもよい。」との記載から、引用例1には、「矢印の表示に代えて、一部に「火災」、「警告」などの文字を表示してもよい」ことが記載されているといえる。

したがって、上記引用例1に記載された事項、図面の記載、及び上記アないしカを総合すると、引用例1には、次の事項が記載されている(以下、引用発明という。)。


「照明器1と、照明器制御装置11と、センサ14を備える表示システムであって、
照明器1は、発光素子アレイ2と、発光素子アレイ制御部3と、記憶部7とを備え、発光素子アレイ2には、白色LED素子等の複数の発光素子8が配列され、
照明器1における発光素子アレイ2の発光を、照明モードと表示モードとで制御可能な制御手段を備え、
照明モードとは、発光素子アレイ2における複数の発光素子8を全面発光させることにより、照明器1による照明を行なうモードであり、
表示モードとは、発光素子アレイ2における複数の発光素子を選択的に発光させることにより、照明器1を表示器として用いて所望の表示を行なうモードであり、記憶部7には、発光素子8を選択的に発光させるパターンが複数記憶され、
屋内に複数の照明器1を設けるにあたり、屋内空間を複数の屋内ブロックに分け、屋内ブロックごとに複数の照明器1をグループ化して設け、
照明器制御装置11は、そのグループ単位で制御信号を生成し、
屋内に火災が発生していないとき、照明器1は、照明器制御装置11から制御信号を受信することなく、照明器1は、発光素子アレイ2を照明モードで制御し、
火災が発生しているとき、照明器制御装置11は、火災を検知したセンサ14の位置に基づいて、避難口15,16までの避難経路を動的に導出し、照明器制御装置11は、導出結果に基づいて、避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、照明器1に送信し、発光素子アレイ2を表示モードで制御し、矢印の表示に代えて、一部に「火災」、「警告」などの文字を表示してもよい、
表示システム。」


(2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の基礎となる出願前に頒布された刊行物である特開昭48-90694号公報(昭和48年11月26日公開、以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。

a「第1図は建築物内の通路における避難誘導灯の配設態様の一例を示す図である。図において(1)は通路たとえば廊下、(2)は壁で、この壁(2)には複数個の避難誘導灯(3a)、(3b)、(3c)、…が一定間隔で配設されている。そして、上記各避難誘導灯には、一般の誘導灯と同様に避難方向をたとえば矢印などを表示した標識板(4)を前面に具備していてよいが、内部にはそれぞれたとえば第2図に示すような構成を可とするせん光発生装置(5)が収納されている。」(2頁左上欄5行ないし14行)

b「順次発生するトリガ信号の時間間隔ごとに避難誘導灯(3)は(3a)から(3b)、(3c)、…と順次にせん光を発生する。このため、建築物内の通路には避難方向に沿って流動するせん光が繰り返えし生じるので、避難者は煙中においても十分にせん光を視認し得るから、このせん光の流動方向を追つて行けば、容易に避難口に到達することができる。」(3頁左上欄9行ないし15行)

上記a、bから、引用例2には、次の技術的事項が記載されているということができる。

「建築物内の通路における避難誘導灯であって、各避難誘導灯は、避難方向をたとえば矢印などを表示した標識板(4)を前面に具備し、内部にはせん光発生装置(5)が収納され、順次発生するトリガ信号の時間間隔ごとに避難誘導灯(3)は(3a)から(3b)、(3c)、…と順次にせん光を発生し、建築物内の通路には避難方向に沿って流動するせん光が繰り返し生じる」点。


3 対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明は、「表示システム」であって、「表示モードとは、‥‥‥照明器1を表示器として用いて所望の表示を行なうモードであり」、所望の表示として、具体的には、「「矢印」、「火災」、「警告」などの文字を表示」するものであるから、伝達用の表示を行うものということができる。
したがって、引用発明の「照明モード」と「表示モード」を有する「表示システム」は、本願補正発明の「照明および伝達用のシステム」に相当する。

(2)引用発明は「屋内に複数の照明器1を設けるにあたり、屋内空間を複数の屋内ブロックに分け、屋内ブロックごとに複数の照明器1をグループ化して設」けるものであり、ここで、「屋内」は、人のスペースということができ、また、屋内ブロックごとに複数の照明器1をグループ化して設けるものであるから、照明器1は、屋内にそれぞれ離して配置されるものと捉えることができる。
そして、引用発明1は「照明器1は、発光素子アレイ2と、‥‥‥を備え、発光素子アレイ2には、白色LED素子等の複数の発光素子8が配列され」るものであるから、引用発明1の「照明器1」は、本願補正発明の「固体発光パネル」に相当する。
よって、引用発明の「複数の照明器1」は、本願補正発明の「人のスペースにそれぞれ離して配置された複数の固体発光パネル」に相当する。

(3)引用発明は「照明器1は、発光素子アレイ2と、‥‥‥を備え、発光素子アレイ2には、白色LED素子等の複数の発光素子8が配列され」ることから、「発光素子アレイ2」は、白色LED素子等の複数の発光素子8を含むものであって、ここで、白色LED素子等の発光素子は、固体発光体ということができ、また、「照明器1」は、本願補正発明の「固体発光パネル」に相当するから(上記(2))、引用発明の「複数の照明器1」は、本願補正発明の「前記複数の固体発光パネルは、複数の固体発光体を含」むものであるということができる。

(4)引用発明は、「屋内に火災が発生していないとき、照明器1は、照明器制御装置11から制御信号を受信することなく、」「照明モードで制御し、火災が発生しているとき、照明器制御装置11は、」「避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、照明器1に送信し、」「表示モードで制御」するものということができ、ここで、「照明器制御装置11」から送信される「制御信号」は、照明器1(本願補正発明の「固体発光パネル」に相当(上記(2))。)からみて、「入力信号」といえるから、本願補正発明の「入力信号」に相当するといえる。
そして、「照明モード」、「表示モード」は、それぞれ、本願補正発明の、照明を提供する「第1のモード」、情報を伝達する「第2のモード」に相当するから、引用発明の「屋内に火災が発生していないとき、照明器1は、照明器制御装置11から制御信号を受信することなく、照明器1は、発光素子アレイ2を照明モードで制御し、火災が発生しているとき、照明器制御装置11は、火災を検知したセンサ14の位置に基づいて、避難口15,16までの避難経路を動的に導出し、照明器制御装置11は、導出結果に基づいて、避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、照明器1に送信し、発光素子アレイ2を表示モードで制御」することと、本願補正発明の「前記複数の固体発光パネルで受け取った入力信号に応答して、第1のモードで照明を提供し、第2のモードで情報を伝達するように構成され」ることとは、「前記複数の固体発光パネルへの入力信号に関連して、第1のモードで照明を提供し、第2のモードで情報を伝達するように構成され」である点で共通する。

(5)引用発明は、「屋内に複数の照明器1を設けるにあたり、屋内空間を複数の屋内ブロックに分け、屋内ブロックごとに複数の照明器1をグループ化して設け、照明器制御装置11は、そのグループ単位で制御信号を生成」するものであり、ここで、グループ化して設けられる複数の照明器1は、「発光パネル群」といえ、また、「制御信号」は本願補正発明の「入力信号」に相当するものであるから(上記(4))、引用発明の「避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、照明器1に送信」する「照明器制御装置11」は、本願補正発明の「前記複数の固体発光パネルの少なくとも1つに前記入力信号を送出するように構成された発光パネル群コントローラ」に相当する。

(6)引用発明は、「発光素子アレイ2には、白色LED素子等の複数の発光素子8が配列され」るものであって、ここで、「白色LED素子」を、赤色、緑色、青色のLEDを用いて構成することは常套手段であるから、「白色LED素子等の複数の発光素子8」(本願補正発明の「固体発光体」に相当(上記(2))。)は、第1の色の複数の発光器と、第2の色の複数の発光器を備えるものということができる。
また、引用発明は、「照明器1は、発光素子アレイ2と、」「を備え」るものであるから、引用発明の「発光素子アレイ2には、白色LED素子等の複数の発光素子8が配列され」ることは、照明器1(本願補正発明の「固体発光パネル」に相当(上記(2))。)し、白色LED素子等の複数の発光素子8が配列されるということができる。
したがって、引用発明の「発光素子アレイ2には、白色LED素子等の複数の発光素子8が配列され」ることと、本願補正発明の「前記複数の固体発光パネルの少なくとも1つにおける前記複数の固体発光体は、前記第1のモードに対応する第1の色の複数の発光器と、前記第2のモードに対応する第2の色の複数の発光器とを備え」ることとは、「前記複数の固体発光パネルの少なくとも1つにおける前記複数の固体発光体は、第1の色の複数の発光器と、第2の色の複数の発光器とを備え」る点で共通する。

(7)引用発明は、「照明器制御装置11は、火災を検知したセンサ14の位置に基づいて、避難口15,16までの避難経路を動的に導出し、照明器制御装置11は、導出結果に基づいて、避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号を、照明器1に送信し、発光素子アレイ2を表示モードで制御」するものであって、「照明器制御装置11」、「制御信号」、「照明器1」、「表示モード」は、それぞれ、本願補正発明の「発光パネル群コントローラ」(上記(5))、「入力信号」(上記(4))、「固体発光パネル」(上記(2))、「第2のモード」(上記(4))に相当し、また、「避難経路を示す矢印を複数の照明器1がそれぞれ表示するための制御信号」は、一連の制御信号と捉えることができるから、本願補正発明の「前記発光パネル群コントローラはさらに、前記複数の固体発光パネルに一連の前記入力信号を送出することによって前記第2のモードで動的な情報を伝達するように構成され」ることとは、「前記発光パネル群コントローラはさらに、前記複数の固体発光パネルに一連の前記入力信号を送出することによって前記第2のモードで情報を伝達するように構成され」る点で共通する。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の<一致点>及び<相違点>を有する。

<一致点>
「照明および伝達用のシステムであって、
人のスペースにそれぞれ離して配置された複数の固体発光パネルを備え、前記複数の固体発光パネルは、複数の固体発光体を含み、前記複数の固体発光パネルで受け取った入力信号に関連して、第1のモードで照明を提供し、第2のモードで情報を伝達するように構成され、前記システムはさらに、
前記複数の固体発光パネルの少なくとも1つに前記入力信号を送出するように構成された発光パネル群コントローラを備え、
前記複数の固体発光パネルの少なくとも1つにおける前記複数の固体発光体は、第1の色の複数の発光器と、第2の色の複数の発光器とを備え、
前記発光パネル群コントローラはさらに、前記複数の固体発光パネルに一連の前記入力信号を送出することによって前記第2のモードで情報を伝達するように構成される、
システム。」

<相違点>ア
本願補正発明が、前記複数の固体発光パネルへの入力信号に「応答して、」第1のモードで照明を提供し、第2のモードで情報を伝達するように構成されるのに対し、引用発明は、照明モード(本願補正発明の「第1のモード」に相当。)で制御する際には、照明器制御装置11から制御信号を受信することがないことでもって照明モードの制御を行っている点。

<相違点>イ
複数の発光器について、本願補正発明が、「前記第1のモードに対応する」第1の色の複数の発光器と、「前記第2のモードに対応する」第2の色の複数の発光器であるのに対し、引用発明は、このような特定がない点。

<相違点>ウ
第2のモードで情報を伝達することについて、本願補正発明が、前記第2のモードで「動的な」情報を伝達するのに対し、引用発明は、このような特定がない点。

<相違点>エ
本願補正発明が、「前記第2の色は、伝達される前記情報に固有である」のに対し、引用発明は、このような特定がない点。


4 判断

<相違点>アについて
一般に、複数の制御モードから特定の制御モードを選択する際に、当該制御モードを選択するための制御信号に応答して選択することは周知慣用手段であるから、引用発明の照明モード(本願補正発明の「第1のモード」に相当。)においても、照明モードとするための制御信号(本願補正発明の「入力信号」に相当。)を送信するようにすることは、当業者が適宜なし得る事項である。
また、引用例1の段落【0011】には、「この発光素子アレイ制御部3は、照明器制御装置11から‥‥‥送信される制御信号に応じて、発光素子アレイ2の発光を照明モードと表示モードで制御する。」とも記載されており、このことからも、引用発明において、照明モードとするための制御信号(本願補正発明の「入力信号」に相当。)を送信するようにすることは、当業者が適宜なし得る事項である。

よって、本願補正発明の<相違点>アに係る構成のようにすることは格別なことではない。

<相違点>イについて
引用発明は、「発光素子アレイ2には、白色LED素子等の複数の発光素子8が配列され」るものであって、ここで、「白色LED素子」を、赤色、緑色、青色のLEDを用いて構成することは常套手段である(上記3(6))。
そして、白色LED素子を用いた表示装置において、白色を表示したり、赤、緑等の色を表示したりすることは、周知慣用手段であり、また、このような色表示を、表示内容に応じて変更すること(例えば、注意を促したいときは赤色で表示するなど。)も普通になされていることであるから、「白色LED素子等の複数の発光素子8が配列」された「発光素子アレイ2」を有する引用発明においても、「照明モード」(本願補正発明の「第1のモード」に相当。)においては、照明モードに対応する白色で表示し、「表示モード」(本願補正発明の「第2のモード」に相当。)においては、表示内容を白色以外の色で表示するようにすることは、当業者が適宜なし得る事項である。

よって、本願補正発明の<相違点>イに係る構成のようにすることは格別なことではない。

<相違点>ウについて
本願補正発明の「前記第2のモードで動的な情報を伝達する」ことに対応する、本願明細書の「【0075】いくつかの実施形態では、発光パネル群コントローラ920は、第2のモードに対応する動的なやり方で複数の固体発光パネル900を協調して制御するように構成し得る。例えば、経路および/または目的地に対応する固体発光パネル900を、ある方向を指すように順に動作させ、それによって脱出経路の方向を示すことができる。」との記載、「【0081】いくつかの実施形態では、固体発光パネル1120B、1120D、および1120Fは、出口1112に向かう点滅列を提供するように動的に動作させることができる。‥‥‥」との記載によれば、本願補正発明の「前記第2のモードで動的な情報を伝達する」ことは、経路および/または目的地に対応する固体発光パネルを、ある方向を指すように順に動作させ、それによって脱出経路の方向を示し、固体発光パネルが出口に向かう点滅列を提供するように動的に動作させるものであるということができる。
そして、表示装置をある方向を指すように順に動作させ、所定の方向に向かう点滅列を提供するように動的に動作させることは、例えば、引用例2に記載されている(上記2(2)引用例2の技術的事項)ように周知技術であるから、引用発明の「複数の照明器1」においても、同様の動的動作を行うようにすることは、当業者が容易になし得る事項である。

よって、本願補正発明の<相違点>ウに係る構成のようにすることは格別なことではない。

<相違点>エについて
一般に、表示装置において、伝達しようとする情報において、注意を喚起する等のために、文字や記号の色を赤色で表示するなど、色を変えることは周知慣用手段であり、また、例えば電車内でのLED表示装置においては、注意や警告に関する文字等を赤色で表示することなども普通に行われていることから、引用発明の矢印、火災、警告等を表示装置により表示するにあたり、その表示内容に応じた色により表示することは、当業者が適宜なし得る事項である。
また、誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年3月17日消防庁告示第二号)において、「第五 構造及び性能 一(六)表示面のシンボル、文字及び色彩は、次によること。ロ通路誘導灯(階段に設けるものを除く。)にあっては、白色の地に避難の方向を示す別図第二のシンボル(略)とすること。」、および「別図第2 避難の方向を示すシンボル (1)避難口誘導灯又は避難口に設ける誘導標識に用いるもの 備考1 シンボルの色彩は緑色とし、シンボルの地の色彩は白色とする。」(当審注:別図第2には、避難の方向を示すシンボルとして矢印が示されている。)とされていることからも、その表示内容に応じた色により表示することは、当業者が適宜なし得る事項である。

よって、本願補正発明の<相違点>エに係る構成のようにすることは格別なことではない。


なお、請求人は、平成27年2月12日付けで補正された審判請求書3.(d)において、「ここで、「動的な情報」とは、伝達される情報が動的であって一定の情報に限られるものでないことを表し、より具体的には明細書[0039]-[0040]に記載されているとおり、本願発明の固体発光パネルは、あるときは「EXIT」の文字を表示して出口を示し、あるいは「矢印」の像を形成して進むべき進路を示し、はたまた「SALE」などの文字を表すことによって商業イベントを示すなど、他にも明細書[0040]にはイベントの開始および終了の時間および/または状況を指示することができるものであることが記載されている。このように本願発明の照明用発光パネルにより表示される情報は多様性を有するという特徴があるが、このことをより明確にするために、審判請求と同時に提出した手続補正書による補正により、第2のモードに対応する第2の色の発光器のその第2の色は、「伝達される前記情報に固有である」という発明特定事項を付加している。すなわち、伝達される情報が多様であり、これに対応する固有の第2の色を用いることで、その多様性がより明らかになることを表している。これに対して、引用文献1に記載された発明においては、確かに、災害発生時における表示モードでは、災害発生場所に応じて適切な避難経路を動的に導出し、導出結果に基づいた表示がされることが記載されているものの、表示されるのはあくまでも避難経路であり、本願の請求項1、5、および10に記載された「動的な情報」とはまったく異質なものであって、本願発明のような情報の多様性は想定すらされていない。このことは、その他の引用文献2-5に記載され、原査定において周知技術とされている「避難方向に沿って順次発光体を点灯させること」から容易想到とすることができるものでもない。」と主張している。

しかしながら、本願特許請求の範囲の請求項10に記載の「動的な情報」が、請求人が主張するように、「あるときは「EXIT」の文字を表示して出口を示し、あるいは「矢印」の像を形成して進むべき進路を示し、はたまた「SALE」などの文字を表すことによって商業イベントを示すなど、他にも明細書[0040]にはイベントの開始および終了の時間および/または状況を指示することができるもの」であって、災害発生時以外に多様な情報を伝達し得るものであるとしても、一般に、LED表示装置は、特定の内容のもののみしか表示できないものではなく、種々の内容を表示することができるものであって、引用発明の表示システムにおいても、「矢印」以外に、「火災」、「警告」などの文字を表示し得るものであるから、請求人の前記主張を採用することができない。
また、例えば、上記「<相違点>エについて」の項において記載したように電車内でのLED表示装置においても、注意事項等を表示しない場合にあっては、ニュースや広告をも表示しているものであるから、引用発明において、火災発生に係る以外の内容を表示することも格別の困難性を有しない。


そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願補正発明が奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。


5 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明

平成26年12月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項10に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1 」の本件補正前の「請求項10」として記載したとおりのものである。

2 引用例

原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2[理由]2 引用例及びその記載事項」に記載したとおりである。

3 対比・判断

本願発明は、本願補正発明から、上記「第2 1 本件補正」で検討した本件補正に係る限定を削除するものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、更に他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 [理由] 4 判断」に示したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-10 
結審通知日 2016-02-12 
審決日 2016-02-29 
出願番号 特願2009-74726(P2009-74726)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 537- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 浩史  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 酒井 伸芳
清水 稔
発明の名称 発光および伝達用の機器、方法、およびシステム  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  

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