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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F16H
管理番号 1316812
審判番号 不服2016-912  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-20 
確定日 2016-08-02 
事件の表示 特願2011-267002「ベルト駆動装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月17日出願公開、特開2013-119880、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月6日の出願であって、平成27年5月25日付けで拒絶理由が通知され、平成27年8月3日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年10月9日付け(発送日:平成27年10月20日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年1月20日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年1月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「【請求項1】
それぞれの外周に回転方向において凹凸状の噛合歯が形成されて歯付きプーリとして構成された駆動プーリならびに第1および第2の従動プーリと、
内面が上記噛合歯に噛み合う凹凸歯とされるとともに外面がフラットな面に形成され、内面側が上記駆動プーリならびに上記第1および第2の従動プーリに当接するように掛け回された無端状の歯付きベルトと、
上記歯付きベルトの外面に当接するベルト走行面を有し、このベルト走行面の幅方向における中間部が両端部よりも大径となるように膨出する形状とされており、且つ、上記歯付きベルトの外面側から当該歯付きベルトに張力を付与するアイドラプーリと、を備え、
上記歯付きベルトの移動経路のうち上記第1および第2の従動プーリの間において上記歯付きベルトが掛け回された区間が直線移動区間として設定されており、
上記アイドラプーリは、上記歯付きベルトの移動方向において上記駆動プーリを挟んだ両側に対をなして配置されており、
上記歯付きベルトには、上記直線移動区間において往復動させられるキャリッジが設けられており、
上記歯付きベルトの内面の上記凹凸歯は、当該歯付きベルトの幅方向に対して傾いて形成されており、
上記駆動プーリならびに上記第1および第2の従動プーリのそれぞれの上記噛合歯は、上記凹凸歯に対応するようにそれぞれの軸線方向に対して傾いていることを特徴とする、ベルト駆動装置。」
とする補正である。(下線は、出願人が付したものである。)

2 補正の適否
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「歯付きベルト」について「外面がフラットな面に形成され、内面側が上記駆動プーリならびに上記第1および第2の従動プーリに当接するように掛け回された」との限定を付加し、「アイドラプーリー」について「歯付きベルトの外面側から当該歯付きベルトに張力を付与する」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。


(1)刊行物の記載事項
ア 刊行物1
原査定の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2006-123135号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面(特に【図8】参照。)とともに、次の(ア)及び(イ)の事項が記載されている。

(ア)「【0015】
好ましい実施の形態においては、上記駆動機構は、互いに逆方向に同期回転する1対の駆動プーリを具備しており、上記1対の出力ベルトは、それぞれが上記1対の駆動プーリの一方ずつに掛け回されていることにより、互いに逆方向に同期回転させられるとともに、上記一対の出力ベルトのうち、上記移動行程に対して両外側に位置し、かつ上記移動行程の平行線に沿って延びる区間が、上記1対の往復動区間となっている。
【0016】
好ましい実施の形態においては、上記1対の駆動プーリは、上記移動行程上に並んで配置されており、上記各駆動プーリは、同軸上に配置されたギアと連結されているとともに、これらのギアが噛み合わされていることにより、上記1対の駆動プーリが互いに逆方向に同期回転させられる構成となっている。
【0017】
このような構成によれば、上記駆動機構について、上記移動部材をスムーズに駆動可能な構成としつつ、比較的簡素な構造とすることが可能であり、軽量化および低コスト化に有利である。」

(イ)「【0045】
図8に示すように、第1駆動機構3Aは、第3伝動軸31、第4伝動軸32、1対の出力ベルト41a,41bを具備している。図6に示すように、上位ハウジング10a内に
おいて、第1伝動軸251の上端に設けられたプーリ251aと第3伝動軸31の上端に設けられたプーリ31bとには、ベルト40が掛け回されている。これにより、第1伝動軸251からの駆動力が第3伝動軸31へと伝達される。第3伝動軸31は、中壁13にベアリング37を介して移動行程GL上の垂直O1を中心として回転可能に支持されている。第3伝動軸31の下端は、下位ハウジング10b内に位置している。第4伝動軸32は、中壁13にベアリング38を介して移動行程GL上の垂直軸O2を中心として回転可能に支持されている。このように、第3伝動軸31および第4伝動軸32は、移動行程GL上に並んで配置されており、下位ハウジング10b内にほぼ同寸法だけ突出している。
【0046】
第3伝動軸31および第4伝動軸32の下端には、駆動プーリ31a,32bおよびギア31c、32cが形成されている。ギア31c、32cは、互いに噛み合っており、これにより第1伝動軸251からの駆動力により、第3伝動軸31と第4伝動軸32とが互いに逆方向に同期して回転させられる構成となっている。駆動プーリ31a,32aのそれぞれには、出力ベルト41a,41bが掛け回されている。出力ベルト41a,41bは、それぞれ1対ずつのプーリ33a,33b,34a,34bにも掛け回されている。1対ずつのプーリ33a,33bは、側壁12に沿ようにして移動工程GLを挟んで対称に配置されている。また、1対ずつのプーリ33a,33bのそれぞれは、下位ハウジング10bの長手方向両端に離間して配置されている。一対ずつのプーリ34a,24bは、それぞれが第3伝動軸31および第4伝動軸32から移動工程GLと垂直な方向に離間して配置されている。出力ベルト41a,41bは、1対ずつのプーリ33a,33bをその内側に含むように掛け回されている。一方、一対ずつのプーリ34a,34bは、出力ベルト41a,41bの外側に位置している。出力ベルト41a,41bは、これらのプーリ34a,34bに掛け回されることにより、第3伝動軸31および第4伝動軸32の側へと引き出されて、駆動プーリ31a,32aに掛け回されている。これにより、出力ベルト41a,41bのうち、1対ずつのプーリ33a,33b間に掛けられた区間は、移動行程GLを挟んで離間しつつ、移動行程GLの平行線に沿って延びる区間3Aa,3Abとなっている。第3伝動軸31および第4伝動軸32に駆動力が伝達されると、駆動プーリ31a,32aは、互いに逆方向R1,R2に同期して回転させられる。このとき、区間3Aa,3Abにおいては、出力ベルト41a,41bの進行方向は、ともに方向N1となり同方向である。このように、区間3Aa,3Abは、移動行程GLを挟んで離間しつつ、出力ベルト41a,41bが同方向に同期して往復動する1対の往復動機構を構成している。出力ベルト41a,41bのうち区間3Aa,3Abにある部分に第1移動部材2Aの1対の連結部材24aが連結されており、これにより、第1移動部材2Aは、第1駆動機構3Aにより移動行程GLに沿って移動自在とされている。」

(ウ)【図8】の出力ベルト41bの掛け回し方及びプーリ34bの配置からみて、「プーリ34b」は、出力ベルト41bの外面側から当該出力ベルト41bに張力を付与する機能を有すると認められる。

上記記載事項(ア)、(イ)、上記認定事項(ウ)及び図示内容を総合し、補正発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、ベルト駆動装置に関して、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「駆動プーリ31a及び2つのプーリ33bと、
内面側が上記駆動プーリ31a及び2つのプーリ33bに当接するように掛け回された無端状の出力ベルト41bと
上記出力ベルト41bの外面に当接するベルト走行面を有し、且つ、上記出力ベルト41bの外面側から当該出力ベルト41bに張力を付与するプーリ34bと、を備え、
上記出力ベルト41bの移動経路のうち上記2つのプーリ33bの間において上記出力ベルト41bが掛け回された区間3Abが直線移動区間として設定されており、
上記プーリ34bは、上記出力ベルト41bの移動方向において上記駆動プーリ31aを挟んだ両側に対をなして配置されており、
上記出力ベルト41bには、上記直線移動区間において往復動させられる第1移動部材2Aの連結部材24aが設けられている、ベルト駆動装置。」

イ 刊行物2
原査定の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開昭55-51148号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに、次の(エ)の事項が記載されている。

(エ)「本発明はかかる従来の欠点を除去するものであり、離間したスプロケット1,1間に懸回されるタイミングベルト2に於て、該ベルトの歯筋5とスプロケット1の回転軸6との傾きθ_(0)がほぼ該ベルトの軸直角ピッチP及びベルト巾bとの間にθ_(0)≧tan^(-1)P/bなる関係あるものとして構成される(第2図?第3図)。そして本発明のタイミングベルトに噛合するスプロケットも前記θ_(0)と同じだけ傾斜したねじれ歯を有する。
このような本発明のタイミングベルトが前記スプロケットに噛合う際には、その噛合点が一点以上で噛み合い初め且つ連続的に該噛合点が移動して、スプロケットにつる巻き状に巻込まれる。これはベルトの歯筋の傾きθ_(0)が前記の如くθ_(0)≧tan^(-1)P/b(θ_(0)は常時一個所で噛合が行なわれる臨界角)に設定された結果であり、そのために噛合が全体として連続的に行なわれ、従来のような断続的で、且つ衝撃的な噛合がなくなり振動及び騒音が消滅する。さらにタイミングベルトは弾性ゴム基材をその本体としているから本発明のベルトの歯がスプロケットに螺旋状に巻込まれると、該ベルトはスプロケットの回りにほぼ真円状に懸回され、そのためスプロケット上の本発明のタイミングベルト背面の各点はスプロケット軸の中心から全て等距離となり、その結果従来のタイミングベルトがローラーチェンの伝動の如きチェンの各部で前述のような脈動的走行を行なっていた(第1図から明かな如く)のに対し、本発明のタイミングベルトは該ベルトの各部に於て脈動を起すことなく定速走行が確保され、原動スプロケット及び従動スプロケットの回転むらが生じない効果を有する。」(第2ページ左上欄第1行ないし右上欄第13行。)

ウ 刊行物3
原査定の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である実願平2-123140号(実開平4-80952号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに、次の(オ)の事項が記載されている。

(オ)「しかしながら、ガイドプーリ21は外周面21bが球面形状であるので、例えば軸23がシャーシ12に傾斜して支持された場合、第5図に示すようになる。即ち、ガイドプーリ21の軸心Cが第5図中1点鎖線で示すようにシャーシ12より垂直方向に延びる中心線Dに対してある角度θ傾斜した場合、ガイドプーリ21は軸心Cを中心に回転するが、外周面21bが同一半径rの球面であるのでベルト20の走行位置は変動しない。
従って、ガイドプーリ21を支持する軸23が圧入された取付部12bの加工精度あるいは軸23の組付精度がバラツイてガイドプーリ21の軸心Cが傾斜しても外周面21bの回転位置が変動せず、ベルト20はガイドプーリ21の傾斜に拘わりなく安定走行する。
上記説明ではガイドプーリ21の外周面21bを球面形状としたが、これ以外のプーリにも適用することができる。例えばモータ18の出力軸18aに圧入されたプーリ19の場合、上下の鍔部を無くして外周部19aを球面形状としても良い。」(第8ページ第4行ないし第9ページ第5行。)

エ 刊行物4
原査定の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開平9-4686号公報(以下、「刊行物4」という。)には、図面とともに、次の(カ)の事項が記載されている。

(カ)「【0038】そして、このように、ベルト押え22をローラ30で構成し、そのローラ30の矢印g、h方向のストロークS11を歯丈H11以下に設定して、ローラ30を圧縮コイルバネ33によってタイミングベルト707の外周に矢印g方向から弾性的に押圧するように構成した場合は、タイミングベルト707の経年変化による伸びによりベルトの歯飛びも未然に防止することができる。」

オ 刊行物5
原査定の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2004-84709号公報(以下、「刊行物5」という。)には、図面とともに、次の(キ)の事項が記載されている。

(キ)「【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1及び図2により説明する。図1はプーリ45の断面図、図2は同じく斜視図である。
図において、45aはフレーム41に取り付けられた支持体で、プーリ45の軸10が取り付けられている。11,12は軸10と外周部13との間に設けられたベアリング、14は軸10の端部に取り付けられた偏芯カバーであり、軸10とベアリング12の間に挿入される挿入部の厚さがa>bであるため、このカバー14を回すことにより、ベアリング12の偏芯量を調整することができる。」

カ 刊行物6
原査定の拒絶理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2009-74648号公報(以下、「刊行物6」という。)には、図面とともに、次の(ク)の事項が記載されている。

(ク)「【0013】
ドライブプーリ12の噛込み側には、ジャンピング防止ローラ20が設けられている。ジャンピング防止ローラ20は、固定式のテンショナ24の一部である。すなわち、本実施形態のジャンピング防止ローラ20は、タイミングベルト18のジャンピングを防止するのみならず、テンショナ24の一部として、タイミングベルト18の背面18Sを押圧して張力を調整する。」

(2)対比
補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「駆動プーリ31a」は、その技術的意義及び機能からみて、補正発明の「駆動プーリ」に相当し、以下同様に、「2つのプーリ33b」は「第1および第2の従動プーリ」に、「プーリ34b」は「アイドラプーリ」に、「区間3Ab」は「区間」に、「第1移動部材2Aの連結部材24a」は「キャリッジ」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「出力ベルト41b」と補正発明の「歯付きベルト」とは、「ベルト」という限りで共通する。

したがって、補正発明と引用発明とは、
「駆動プーリならびに第1および第2の従動プーリと、
内面側が上記駆動プーリならびに上記第1および第2の従動プーリに当接するように掛け回された無端状のベルトと、
上記ベルトの外面に当接するベルト走行面を有し、且つ、上記ベルトの外面側から当該ベルトに張力を付与するアイドラプーリと、を備え、
上記ベルトの移動経路のうち上記第1および第2の従動プーリの間において上記ベルトが掛け回された区間が直線移動区間として設定されており、
上記アイドラプーリは、上記ベルトの移動方向において上記駆動プーリを挟んだ両側に対をなして配置されており、
上記ベルトには、上記直線移動区間において往復動させられるキャリッジが設けられている、ベルト駆動装置。」
の点で一致し、以下の相違点1及び相違点2で相違する。

[相違点1]
補正発明の駆動プーリならびに第1および第2の従動プーリは「それぞれの外周に回転方向において凹凸状の噛合歯が形成されて歯付きプーリとして構成」され、ベルトは「内面が上記噛合歯に噛み合う凹凸歯とされるとともに外面がフラットな面に形成」された「歯付きベルト」であって、「上記歯付きベルトの内面の上記凹凸歯は、当該歯付きベルトの幅方向に対して傾いて形成されており、上記駆動プーリならびに上記第1および第2の従動プーリのそれぞれの上記噛合歯は、上記凹凸歯に対応するようにそれぞれの軸線方向に対して傾いている」のに対し、引用発明の駆動プーリ31a、2つのプーリ33b及び出力ベルト41bは、歯が形成されていない点。

[相違点2]
補正発明のアイドラプーリは、「ベルト走行面の幅方向における中間部が両端部よりも大径となるように膨出する形状」であるのに対し、引用発明のプーリ34bは、このような形状でない点。

(3)判断
以下、相違点1及び相違点2について検討する。

ア 相違点1について
上記刊行物2の記載事項(エ)から、原動スプロケット及び従動スプロケットの外周と、タイミングベルトの内周に、「傾斜したねじれ歯」を設けることで、同期した状態で、回転むらなく動力伝達可能であることが把握できる。
そして、刊行物1の段落【0016】の「上記1対の駆動プーリが互いに逆方向に同期回転させられる構成となっている。」との記載及び段落【0017】の「上記移動部材をスムーズに駆動可能な構成としつつ、」との記載に照らせば、第1移動部材2Aの連結部材24aが取り付けられる出力ベルト41bは、同期した状態で、回転むらなく動力伝達できる必要があると解される。
そうであれば、引用発明の出力ベルト41bについて、同期が可能で、回転むらが生じないようにするために、引用発明の駆動プーリ31a及び2つのプーリ33bの外周及び出力ベルト41bの内周に、上記刊行物2に記載された「傾斜したねじれ歯」を設け、上記相違点1の補正発明の構造とすることは、当業者が容易になし得たと認められる。

イ 相違点2について
本願の明細書の段落【0036】の
「中間部が両端部より膨出しており、ベルト走行面43aの中間部において出力ベルト44に作用する張力は、他の部位よりも高い。ベルトは走行時に張力の高い方に寄る性質があるため、本実施形態の出力ベルト44が往復動する際には、図11に表れているように、当該出力ベルト44は、ベルト走行面43aの中央寄りに位置するように矯正される。」との記載、
段落【0038】の
「出力ベルト44の走行時には、上記した凹凸歯441の傾きに起因して幅方向の一方に片寄りやすい。」との記載及び
「ここで、アイドラプーリ43によって出力ベルト44を幅方向の中央寄りに戻す矯正作用については、アイドラプーリ43が、駆動プーリ41に対してベルト走行方向の上流側に位置する場合よりも下流側に位置する場合の方が大きい。」との記載から、
補正発明の「アイドラプーリ」の「ベルト走行面の幅方向における中間部が両端部よりも大径となるように膨出する形状」は、「駆動プーリ」によって生じた「歯付きベルト」の片寄りを、中央寄りに戻す「矯正作用」を目的とした形状であることがわかる。

一方、刊行物3に記載された「ガイドプーリー」の「球面形状」は、「ガイドプーリ21の軸心C」が「ある角度θ傾斜した場合」でも「ベルト20の走行位置は変動しない」ようにするためのものであり、他のプーリーによって生じたベルトの片寄りを矯正することまでも考慮した形状であるとは認められない。

また、刊行物3に記載された「ガイドプーリー」の形状を、引用発明の「プーリ34b」に適用する動機付けがない。

さらに、刊行物2ないし6には、「ベルト走行面の幅方向における中間部が両端部よりも大径となるように膨出する形状」のプーリによって、他のプーリで生じたベルトの片寄りを矯正する技術思想は開示されていない。

してみると、補正発明の上記相違点2は、当業者といえども容易になし得たとはいえない。

ウ まとめ
したがって、補正発明は、引用発明及び刊行物2ないし6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし4に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、補正発明は、上記第2の2(3)ウのとおり、引用発明及び刊行物2ないし6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
また、補正発明を直接又は間接的に引用する本願の請求項2ないし4に係る発明は、補正発明をさらに限定したものであるから、補正発明と同様に、引用発明及び刊行物2ないし6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-07-19 
出願番号 特願2011-267002(P2011-267002)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F16H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 稲垣 彰彦  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 内田 博之
小関 峰夫
発明の名称 ベルト駆動装置  
代理人 吉田 稔  
代理人 鈴木 泰光  
代理人 臼井 尚  
代理人 土居 史明  
代理人 鈴木 伸太郎  
代理人 小淵 景太  
代理人 田中 達也  

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