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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A47C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A47C
管理番号 1316824
審判番号 不服2014-26048  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-19 
確定日 2016-08-02 
事件の表示 特願2011-518941「空調されるベッドアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 1月21日国際公開、WO2010/009422、平成23年11月24日国内公表、特表2011-528579、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、2009年7月17日(パリ条約による優先権主張 2008年7月18日、米国)の国際出願であって、平成23年4月8日付け、及び平成24年7月17日付けで手続補正がされ、原審において平成25年10月18日付けで拒絶理由が通知され、平成26年4月22日付けで手続補正がされ、平成26年8月1日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、同年12月19日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、当審において平成27年9月2日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由1」という。)が通知され、平成28年1月8日付けで手続補正がされ、さらに、当審において平成28年1月28日付けで2回目の拒絶理由(以下「当審拒絶理由2」という。)が通知され、同年5月31日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし20に係る発明は、平成28年5月31日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める(以下本願の請求項1に係る発明を「本願発明1」といい、同様に本願の請求項2?20に係る発明のそれぞれを「本願発明2」?「本願発明20」という。)。

「【請求項1】
上部の芯材表面および下部の芯材表面を有しており、前記上部の芯材表面から前記下部の芯材表面まで延びた少なくとも1つの通路を備えている、芯材、
前記芯材の前記上部の芯材表面に沿ってまたは近くに位置しており、前記芯材の前記少なくとも1つの通路と流体連通状態にある、少なくとも1つの流体分配部材であって、前記少なくとも1つの流体分配部材内において流体を受け入れ、少なくとも部分的に分配するように構成されている、少なくとも1つの流体分配部材、および
前記少なくとも1つの流体分配部材に隣接して位置している少なくとも1つの快適化層、
を備えている上方部分と、
少なくとも1つの流体モジュールにより移送される流体の相対湿度レベルを検出するように構成されている少なくとも1つの湿度センサと、
前記流体モジュール内に位置している熱電デバイス内に位置している少なくとも1つの温度センサと、
前記少なくとも1つの湿度センサで検知された相対湿度と前記少なくとも1つの温度センサによって検知された前記熱電デバイスの部分の温度とに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御するように構成された制御装置と、
を備えており、
前記少なくとも1つの通路は、流体移送デバイスを備えた前記少なくとも1つの流体モジュールから空気を受け入れるように構成されており、前記流体移送デバイスは、前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材に流体を移送するか、または前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材から流体を移送するかを選択して前記流体を移送するように構成されており、
前記制御装置は、調整された流体内での凝結物の発生を防ぐために、前記少なくとも1つの流体モジュールを制御し、作動するように構成されている、空調されるベッド。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流体モジュールは、前記流体移送デバイスにより移送される流体に対し加熱または冷却を選択して実行するように構成されている温度調整デバイスをさらに有している、請求項1に記載のベッド。
【請求項3】
前記少なくとも1つの流体分配部材は、スペーサ布と連続気泡フォームのうち少なくとも一方を備えている、請求項1または2に記載のベッド。
【請求項4】
前記少なくとも1つの通路は、前記芯材の内部を通る、請求項1から3のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項5】
前記少なくとも1つの快適化層は、キルト層、粘弾性フォーム、ポリウレタンフォーム、形状記憶フォーム、および他の熱可塑性材料のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項1から4のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項6】
前記少なくとも1つの流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御するように構成されている主制御装置をさらに有している、請求項1から5のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項7】
前記ベッドの少なくとも1つの作動パラメータをユーザが調節することが可能となるように構成されている少なくとも1つの遠隔制御装置をさらに備えている、請求項1から6のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項8】
前記少なくとも1つの遠隔制御装置は、(a)無線式遠隔制御装置と(b)前記ベッドに配線されている遠隔制御装置のうちの少なくとも一方を有している、請求項7に記載のベッド。
【請求項9】
前記流体モジュールにより移送される流体の温度を検出するように構成されている少なくとも1つの温度センサをさらに備えている、請求項1から8のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項10】
前記芯材の前記少なくとも1つの通路の内に少なくとも部分的に位置している前記通路インサートをさらに有している、請求項1から9のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項11】
前記上方部分は、下方部分上に位置するように構成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項12】
前記下方部分をさらに有している、請求項11に記載のベッド。
【請求項13】
前記少なくとも1つの流体モジュールは、前記下方部分上または内部に位置している、請求項11または12に記載のベッド。
【請求項14】
前記下方部分は、少なくとも1つの下方部分開口を備えている上部表面を備えており、前記少なくとも1つの下方部分開口は、前記芯材の前記少なくとも1つの通路のうちの少なくとも1つと位置がそろい、流体連通状態になるように構成されている、請求項11から13のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項15】
前記少なくとも1つの流体分配部材は、前記流体が相互間で流通しないように水力学的に隔離された少なくとも2つの区域に区分されている、請求項1から14のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項16】
前記水力学的に隔離された区域の少なくとも1つには、その中で前記流体を分配するように構成された少なくとも1つのスペーサ部材が設けられている、請求項15に記載のベッド。
【請求項17】
前記水力学的に隔離された区域はそれぞれ、異なる流体モジュールと流体連通状態にあり、それにより、各前記水力学的に隔離された区域が個別に制御されるように構成されている、請求項15または16に記載のベッド。
【請求項18】
前記流体分配部材は、縫いシーム(SEW SEAMS)、ステッチ(STITCH)、接着剤のビード、または窓枠構造を用いて、前記流体が相互間で流通しないように水力学的に隔離された少なくとも2つの区域に区分されている、請求項15から17のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項19】
上部の芯材表面および下部の芯材表面を有しており、前記上部の芯材表面から前記下部の芯材表面まで延びた少なくとも1つの通路を備えている、芯材、および
前記芯材の前記上部の芯材表面に沿ってまたは近くに位置しており、前記芯材の前記少なくとも1つの通路と流体連通状態にある、少なくとも1つの流体分配部材であって、前記流体分配部材内において流体を受け入れ、少なくとも部分的に分配するように構成されている、少なくとも1つの流体分配部材
を備えている上方部分と、
少なくとも1つの流体モジュールの中に位置する熱電デバイスの中に位置する少なくとも1つの温度センサと、
前記少なくとも1つの流体モジュールにより移送される前記流体の相対湿度を検知するように構成されている少なくとも1つの湿度センサと、
を備えており、
前記少なくとも1つの通路は、流体移送デバイスを備えた前記少なくとも1つの流体モジュールから空気を受け入れるように構成されており、前記流体移送デバイスは、前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材に流体を移送するか、または前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材から流体を移送するかを選択して前記流体を移送するように構成されており、
前記少なくとも1つの温度センサは、前記少なくとも1つの温度センサに隣接した前記熱電デバイスの部分の温度を検出するように構成されており、前記少なくとも1つの温度センサによって検出される温度は、前記少なくとも1つの流体モジュールにより移送される前記流体の温度に関連し、
前記少なくとも1つの流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータは、凝結物の発生を防ぐために前記少なくとも1つの湿度センサによって検知された相対湿度と前記少なくとも1つの温度センサによって検出された温度とに少なくとも部分的に基づいて調整されるように構成されている、空調されるベッド。
【請求項20】
上部の芯材表面および下部の芯材表面を有しており、前記上部の芯材表面から前記下部の芯材表面まで延びた少なくとも1つの通路を備えている、芯材、および
前記芯材の前記上部の芯材表面に沿ってまたは近くに位置しており、前記芯材の前記少なくとも1つの通路と流体連通状態にある、少なくとも1つの流体分配部材であって、
前記少なくとも1つの流体分配部材内において流体を受け入れ、少なくとも部分的に分配するように構成されている、少なくとも1つの流体分配部材
を備えている上方部分と、
流体移送デバイスと熱電デバイスとを備える少なくとも1つの流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御するように構成された主制御装置と、
前記少なくとも1つの流体モジュールによって移送される流体の相対湿度を検知するように構成された少なくとも1つの湿度センサと、
前記熱電デバイスの内部の温度を検出するように構成された少なくとも1つの温度センサと、
を備えており、
前記流体移送デバイスは、前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材に流体を移送するか、または前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記流体分配部材から流体を移送するかを選択して前記流体を移送するように構成されており、
前記少なくとも1つの通路は、前記少なくとも1つの流体モジュールから空気を受け入れるように構成されており、
前記主制御装置は、前記少なくとも1つの湿度センサによって検知された相対湿度と前記少なくとも1つの温度センサによって検出された前記熱電デバイス内の温度とに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを調整するように構成され、
前記主制御装置は、凝結物の発生を防ぐために、前記少なくとも1つの流体モジュールを制御し、作動するように構成され、
前記少なくとも1つの湿度センサで検知される前記少なくとも1つの流体モジュールによって移送される流体の相対湿度と、前記少なくとも1つの温度センサによって検知される前記熱電デバイスの内部の温度が、前記少なくとも1つの流体モジュールの作動を調整するのに用いられる、空調されるベッド。」

第3 原査定の理由について
1.原査定の理由の概要
本願の請求項1ないし20に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:国際公開第2008/046110号(引用文献1)
2:特開昭56-97416号公報(引用文献2)
3:特開2004-174138号公報(引用文献3)

本願請求項1の発明は、以下の点で、引用文献1の発明と相違し、残余の点で両発明は一致している。

相違点
本願請求項1の発明は、少なくとも1つの流体モジュールにより移送される流体の湿度レベルを検出するように構成されている少なくとも1つの湿度センサと、作動方式によって、かつ前記少なくとも1つの湿度センサで検知された湿度に少なくとも部分的に基づいて前記少なくとも1つの流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御するように構成された制御装置と、を備えており、前記制御装置は、作動方式に基づいて、凝結物の発生を防ぐために、前記少なくとも1つの流体モジュールを制御するに対して、引用文献1のものでは、少なくとも1つの流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御するように構成された制御装置を備えているが、湿度センサを備えることの記載はなく、さらに、凝結物の発生を防ぐために流体モジュールを制御することの記載もない点。

上記相違点について検討すると、当該技術分野において、湿度センサで検知された湿度に少なくとも基づいて、流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御装置により制御することは、引用文献2、引用文献3にもあるように周知の技術であり、このような制御を行うことにより、流体モジュール内に結露の発生を抑制することを期待することは、当該技術分野における周知の事項である(参考例 特開平06-014825号公報、この参考例を、以下「刊行物4(引用文献4)」という)。
よって、本願請求項1の発明は、引用文献1の発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
同様の理由により、本願請求項19、20の発明は、引用文献1の発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
さらに、拒絶理由に指摘したように、引用文献1の段落[0108]に、流体の温度を検出する温度センサについて開示されるとともに、引用文献1の「flow conditioning member 70A, 70B」は、2つの区域に区分されている。
そして、引用文献1に記載された「thermoelectric devices 50A, 50B, 50C」、「bellows 47A, 47B, 47C」は、それぞれ本願発明の「温度調整デバイス」、「通路インサート」に相当し、段落[0109]には、遠隔制御装置についても記載されている。
したがって、本願請求項2-18は、引用文献1の発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2.原査定の理由の判断
(1)刊行物の記載事項
ア.<刊行物1(引用文献1)>
刊行物1には、図面と共に次の事項が記載されている。(原文の後の括弧{}内に記載したものは、当審での訳文である。)
「[0023] FIG. 10 illustrates a perspective view of a combined fluid module for use in a climate controlled bed in accordance with one embodiment;」
{「[0023]図10は、一つの実施形態による温度調整ベッドにおいて使用するための複合流体モジュールの斜視図を示す。」}
「 [0031] With reference to the schematic illustration of FIG. 1, a bed 10 can include a climate control system. In the depicted embodiment, the bed 10 includes a lower portion 20 and an upper portion 60 situated above the lower portion 20. In some embodiments, the lower portion 20 comprises a frame 22, a spring box and/or any other member configured to support a mattress, cushion and/or any other portion of the upper portion 60. Preferably, the lower and upper portions 20, 60 are sized, shaped and otherwise configured to securely be positioned adjacent to one another. In other embodiments, the lower and upper portions 20, 60 comprise a unitary member.」
{「[0031]図1の概略図を参照すると、ベッド10は温度調整システムを含み得る。示された実施形態においては、ベッド10は下部20と、下部20の上に配置される上部60を含む。いくつかの実施形態においては、下部20は、フレーム22、スプリングボックス及び/又は、マットレス、クッション及び/又は上部60の他の部分を支持するように構成される他の部材を備える。好ましくは、下部及び上部20、60は、互いに隣接して確実に位置するようなサイズ、形状であり、構成される。他の実施形態では、下部及び上部20、60は、単一部材を備える。}
「[0033] As illustrated in FIG. 1, the interior space 21 of the frame 22 or other component of the lower portion 20 can include a fluid transfer device 40 (e.g., blower, fan, etc.), a thermoelectric device 50 (e.g., Peltier device), conduits 44, 46, 48 configured to hydraulically connect the various components and/or the like. In addition, the frame 22 preferably includes one or more inlets 24 and outlets 28 through which air or other fluid can enter or exit the interior space 21. Thus, as is described in greater detail herein, air or other fluid can enter the interior space 21 of the lower portion 20 through one or more inlets 24, be delivered by a fluid transfer device 40 past a thermoelectric device 50 for temperature conditioning and be directed toward the upper portion 60.」
{[0033]図1に示されるように、フレーム22の内部スペース21又は下部20の他の構成要素は、流体移送装置40(例えば、ブロア、ファン等)、熱電装置50(例えば、ペルチェ素子)、様々な構成要素を水圧で接続するように構成される導管44、46、48等を含み得る。更に、フレーム22は好ましくは空気又は他の流体が内部スペース21へ出入りする一つ以上の入口24及び出口28を含む。従って、本文で更に詳細に説明されるように、空気又は他の流体が一つ以上の入口24を通して下部20の内部スペース21に入ることができ、温度調整のために、熱電装置50を通過して流体移送装置40によって送出され、上部60に向かって方向付けられる。」}
「[0036] With continued reference to FIG. 1, the upper portion 60 can include a cushion member 64, such as a mattress, a pillow and/or the like. In some embodiments, the cushion member 64 comprises foam and/or one or more other materials capable of at least partially deforming when subjected to a force. A plurality of springs or other resilient members can be used to provide the desired level of resiliency to the upper portion 60, either in lieu of or in addition to the use of resilient materials (e.g., foam). Alternatively, the cushion member 64 can be replaced with a rigid or semi-rigid member that provides less or no resiliency.
[0037] In some embodiments, the cushion member 64 comprises a recessed area 66 along its top surface. In FIG. 1, the recessed area 66 is positioned near the middle of the cushion member 64 and does not extend to the edges of the cushion member 64. However, the size, dimensions, shape, location and other details of the recessed area 66 can be varied as desired or required by a particular application. Further, a cushion member 64 or an equivalent structure can include two or more recessed areas 66 along its top surface.」
{「[0036]更に、図1を参照すると、上部60は、マットレス、ピロー等のクッション部材64を含む。いくつかの実施形態においては、クッション部材64は、発泡材及び/又は力を受けると少なくとも部分的に変形できる一つ以上の材料を備える。複数のスプリング又は他の弾性部材を使用して、弾性材料(例えば、発泡材)の使用の代わりに、又は加えて、上部60の所望のレベルの弾性を設けることができる。この代わりに、クッション部材64を、少ない弾性又は弾性がない剛性又は半剛性部材に置き換えることができる。
[0037]いくつかの実施形態では、クッション部材64はその上面に沿って窪み部66を備える。図1においては、窪み部66はクッション部材64の中央付近に位置し、クッション部材64の縁まで延在しない。しかし、窪み部66のサイズ、寸法、形状、位置及び他の詳細は所望により、又は特定の用途で必要なように変化させることができる。更に、クッション部材64又は同等の構造は、その上面に沿って二つ以上の窪み部66を含み得る。」}
「[0038] As illustrated in FIG. 1, the bed 10 can include a fluid conduit 46 that permits air or other fluid to be delivered from the fluid transfer device 40 to the recessed area 66 of the cushion member 64. The air or other fluid being transferred to the recessed area 66 can be selectively temperature-conditioned (e.g., cooled, heated). In order to accommodate any relative movement (e.g., vertical shifting) between the lower portion 20 and the upper portion 60 (e.g., cushion member 64), the fluid conduit 46 can include bellows or other deformable members as illustrated in FIG. 1. Thus, the fluid conduit 46 can move (e.g., compress, extend, rotate, twist, etc.) as the cushion member 64 in which it is positioned changes shape and position.
[0039] According to some embodiments, the recessed areas 66 of a cushion member 64 and/or any other component of the climate-controlled bed 10 can be configured to receive one or more flow conditioning members 70 or flow distribution members. The terms flow conditioning member and flow distribution members, which can be used interchangeably herein, are broad terms that can include any device, component, item or system capable of changing the flow pattern, direction or distribution of a fluid. As illustrated in FIG. 1, a single flow conditioning member 70 can be sized and shaped to fit generally snugly within a particular recessed area 66. However, in other arrangements, two or more flow conditioning members 70 can be placed within a single recessed area 66. In FIG. 1, the cushion member 64 and the flow conditioning member 70 situated therein form a substantially smooth top surface. Alternatively, the height, other dimensions and/or other characteristics of the flow conditioning member 70 can be selected so that the top surface of the combination of the cushion member 64 and flow conditioning member 70 is not smooth or flat. For example, in some embodiments, the height of the flow conditioning member 70 can be greater or less than the depth of the recessed area 66. Further, the width, length, shape and/or any other dimension of the flow conditioning member 70 can be different than the corresponding dimension of the recessed area 66.」
{「[0038]図1に示されるように、ベッド10は、空気又は他の流体を流体移送装置40からクッション部材64の窪み部66へ送出できるようにする流体導管46を含み得る。窪み部66へ移送される空気又は他の流体を、選択的に温度調整(例えば、冷却、加熱)できる。下部20と上部60(例えば、クッション部材64)の相対移動に対応するために、図1に示されるように、流体導管46はベローズ又は他の変形可能な部材を含み得る。従って、流体導管46は、それが内部に位置するクッション部材64が形状及び位置を変化させると、移動(例えば、圧縮、拡張、回転、捩る等)することができる。
[0039]いくつかの実施形態によると、クッション部材64の窪み部66及び/又は温度調整ベッド10の他の構成要素は、一つ以上の流れ調整部材70又は流れ分散部材を受容するように構成することができる。流れ調整部材及び流れ分散部材という用語は、ここでは入れ替え可能に使用することができ、流体の流れパターン、方向又は分散を変更することができるいずれかの装置、構成要素、品目又はシステムを含み得る広い用語である。図1に示されるように、単一の流れ調整部材70は、特定の窪み部66内に概ねぴったりと嵌め込まれるサイズ及び形状にすることができる。しかし、他の配列においては、二つ以上の流れ調整部材70を単一の窪み部66内に配置することができる。図1においては、その内部に配置されるクッション部材64及び流れ調整部材70は、実質的に滑らかな上面を形成する。これに対して、クッション部材64及び流れ調整部材70の組み合せの上面が滑らか又は平坦にならないように、流れ調整部材70の他の寸法及び/又は他の特性を選択することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、流れ調整部材70の高さを窪み部66の深さより大きく、又は小さくすることができる。更に、流れ調整部材70の幅、長さ、形状及び/又は他の寸法を、窪み部66の対応する寸法と異なるようすることができる。」}
「[0041] The flow conditioning member 70 can include a porous structure that is configured to receive a volume of air or other fluid from one or more inlets and distribute in a more even manner toward the side closest to the occupant. Thus, the flow conditioning member 70 can be used to advantageously spread the air (or other fluid) flow along its top surface as the air approaches an occupant.」
{「[0041]流れ調整部材70は、一つ以上の入口から空気又は他の流体の体積を受容し、使用者へ最も近い側面に向かう方法で分散するように構成される。従って、流れ調整部材70を使用して、空気が使用者へ近づくとき、その上面に沿って有利に空気(又は、他の流体)を拡散して流すことができる。」}
「[0045] As discussed, the flow conditioning member 70 can be in fluid communication with the fluid transfer device 40 and the fluid conduits 44, 46 placed therebetween. In addition, where temperature conditioning of air or other fluid being delivered by the fluid transfer device 40 is desired, the air or other fluid can pass through or past a thermoelectric device 50, as illustrated in the schematic of FIG. 1. In the illustrated embodiment, the fluid transfer device 40 and the thermoelectric device 50 are positioned within the interior space 21 of the lower portion 20. In alternative embodiments, however, one or more of these components and/or subcomponents of the climate control system can be positioned in another location (e.g., outside of the interior space 21, within a separate compartment, etc.). For example, in arrangements where the bed 10 includes a plurality of legs, the fluid transfer device 40, the fluid conduits, the thermoelectric device 50 and/or other items can be secured beneath the lower portion 20 of the bed 10. Also, where the bed includes a full foam or latex mattress, the blower and/or the thermoelectric device can be embedded within a portion or a surface of the mattress.」
{「[0045]論じられたように、流れ調整部材70は流れ移送装置40、及びそれらの間に配置される流体導管44、46と連通することができる。更に、空気又は他の流体の温度調整が流体移送装置40によって行われることが望ましい場合には、空気又は他の流体は、図1の概略に示されるように、熱電装置50を通過することができる。示された実施形態では、流体移送装置40及び熱電装置50は下部20の内部スペース2内に配置される。しかし、代わりの実施形態では、温度調整システムのこれらの構成要素及び/又はサブコンポーネントの一つ以上は、他の位置(例えば、内部スペーサ21の外部、別の区画部の内部)に配置することができる。例えば、ベッド10が複数の脚を含む配列においては、流体移送装置40、流体導管、熱電装置50及び/又は他の品目をベッド10の下部20の下に固定することができる。また、ベッドがフルフォーム又はラテックスマットレスを含む場合には、ブロア及び/又は熱電装置をマットレスの一部又は表面内に埋め込むことができる。」}
「[0046] The embodiments described and/or illustrated herein can use a thermoelectric device 50 for temperature conditioning (e.g., selectively healing and/or cooling) the fluid flowing through the device.」
{「[0046]本文で説明され、及び/又は図示される実施形態は、熱電装置50を使用して、装置を通過して流れる流体を温度調整(例えば、選択的に加熱及び/又は冷却)する。」}
「[0050] With continued reference to FIG. 1, the bed 10 can include one or more top members 80 generally situated above the cushion member 64 and the flow conditioning member 70. In some embodiments, the top member 80 preferably comprises an air-permeable material so that air or other fluid exiting the top surface of the flow conditioning member 70 can be directed through the top member 80 toward an occupant. For example, the top member 80 can include one or more layers of air-permeable foam, a scrim or the like. Alternatively, a top member 80 can include a less air-permeable material or a substantially non air-permeable material. In such arrangements, the top member 80 can advantageously include a plurality of orifices or other openings that permit air or other fluid flow to move from the top surface of the flow conditioning member 70 towards the occupant of the bed 10.」
{「[0050]更に、図1を参照すると、ベッド10は概ね、クッション部材64及び流れ調整部材70の上に配置される一つ以上の上部部材80を含み得る。いくつかの実施形態では、上部部材80は好ましくは空気透過性材料を備えて、流れ調整部材70の上部表面から出る空気又は他の流体を、使用者へ向かって上部部材80を通過するように誘導する。例えば上部部材80は、空気透過性発泡材、スクリム等の一つ以上の層を含む。又は、上部部材80は低い空気透過性材料又は実質的に非空気透過性材料を含み得る。このような配置において上部部材80は、空気又は他の流体が流れ調整部材70の上面からベッド10の使用者へ向かって移動できる、複数のオリフィス又は他の開口を、有利に含み得る。」}
「[0107] The various embodiments described herein can include one or more control strategies or features to further enhance the operation and function of the climate-controlled bed assembly. For example, the bed can include a control system that is configured to regulate the air temperature and/or velocity of the temperature-conditioned fluid. In some embodiments, this can be accomplished by modifying the speed of a fluid transfer device (e.g., fan, blower, etc.) and/or varying the direction and/or magnitude of electrical current being delivered to the system's thermoelectric devices. Accordingly, the climate controlled bed can include one or more control schemes which regulate the operation of the various components of the climate control system. In some embodiments, the climate control system can be incorporated into the climate controlled bed assembly (e.g., either directly on the bed, via a separate controller and/or the like).
[0108] With continued reference to the system's control features, the climate- controlled bed assembly can be configured to measure and record the temperatures at one or more locations or of one or more system components. Such data can be advantageously incorporated into a control scheme. For example, the temperature at or near the surface of the bed (e.g., the temperature which most accurately assesses what an occupant feels) can be measured and provided to a control module for display, automatic temperature adjustment and/or the like. Further, the control components of the system can be in the form of a closed loop.」
{「[0107]本文で説明される様々な実施形態は、温度調整ベッドアセンブリの作動及び機能を更に向上させる、一つ又はそれ以上の管理方法又は特徴を含み得る。例えば当該ベッドは、熱調整流体の空気温度及び/又は速度を規制するように構成される、制御システムを含み得る。いくつかの実施形態では、これは、流体移送装置(例えば、ファン、ブロア等)の速度を修正し、及び/又はシステムの熱電装置へ送られる電流の方向及び/又は大きさを変化させることによって達成される。従って、温度調整ベッドは、温度調整システムの様々な構成要素の作動を規制する一つ以上の制御機構を含み得る。いくつかの実施形態では、温度調整システムを温度調整ベッドアセンブリ内に組み込むことができる(例えば、別のコントローラ等を介してベッド上のいずれかの方向で)。
[0108]更に、システムの制御の特徴を参照すると、一つ又はそれ以上の場所で、又は一つ又はそれ以上のシステム構成要素において、温度を測定し記録するように、温度調整ベッドアセンブリを構成することができる。このようなデータは有利に制御機構内に組み込むことができる。例えば、当該ベッドの表面付近の温度(例えば、最も正確に使用者がどう感じるかを評価する温度)が、測定され、表示、自動温度調整等のために制御モジュールへ提供される。更に、システムの制御構成要素は、閉ループの形式にすることができる。」}

上記の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「温度調整システムを含む温度調整ベッドであって、ベッド10は下部20と、下部20の上に配置される上部60を含み、
下部20は、フレーム22を備え、フレーム22の内部スペース21は、複合流体モジュールを構成する流体移送装置40(例えば、ブロア、ファン等)、熱電装置50(例えば、ペルチェ素子)、様々な構成要素を接続する導管44、46、48を含み、
上部60は、クッション部材64を含み、クッション部材64はその上面に沿って窪み部66を備え、クッション部材64の内部に位置する流体導管46は、空気又は他の流体を流体移送装置40からクッション部材64の窪み部66へ送出できるようにしており、
クッション部材64の窪み部66は、一つ以上の流れ調整部材(流れ分散部材)70を受容するように構成され、流れ調整部材70は、一つ以上の入口から空気又は他の流体の体積を受容し、使用者へ最も近い側面に向かう方法で分散するように構成され、流れ調整部材70と流体移送装置40との間に配置される流体導管44、46と連通し、
空気又は他の流体の温度調整が流体移送装置40によって行われることが望ましい場合には、空気又は他の流体は、熱電装置50を通過することができ、熱電装置50を使用して、装置を通過して流れる流体を温度調整(例えば、選択的に加熱及び/又は冷却)するもので、
ベッド10はクッション部材64及び流れ調整部材70の上に配置される一つ以上の上部部材80を含み、上部部材80は、空気透過性発泡材、スクリム等の一つ以上の層を含み、
温度調整ベッドは、温度調整システムの様々な構成要素の作動を規制する一つ以上の制御機構を含み、一つ又はそれ以上のシステム構成要素において、温度を測定し記録する、温度調整ベッド。」

イ.<刊行物2(引用文献2)>
刊行物2には、図面と共に次の事項が記載されている。
「就寝者の身体を包囲する寝具部材と、該寝具部材内の就寝者身体近傍に所定温度及び湿度の空気流を生ぜしめる空気調和装置と、上記空気流の温度及び湿度を測定する計測装置と、上記空気調和装置の動作を制御する制御装置とから成り、上記制御装置は、空気流の温度及び湿度が各々所定パターンに従って変化するよう予め目標値を設定し、該目標値と上記計測装置の出力信号とを比較して空気流がパターン所定の温度及び湿度となるように上記空気調和装置の動作を制御するよう構成されて成ることを特徴とする安眠装置。」(第1頁左下欄第5?15行)
「快適な睡眠を実現するには、特に温度及び湿度を睡眠に最適な状態に保持する必要がある。」(第1頁右下欄第11?12行)
「空気調和装置20は、送風機21、加熱・冷却装置22及び調湿装置23とから成り、上記送風路15に接続され、該送風路15を経て所定温度及び湿度の空気を寝具部材10内に送り、該寝具部材10内の就寝者身体1の近傍に第1図乃至第3図に矢印で示すような空気流を生ぜしめる。
加熱・冷却装置22は、送風機21から送られる空気を所定温度に加熱・冷却するもので、例えば、加熱・冷却源と熱交換器の組合せから成る。加熱・冷却は、外部の空気のみを加熱・冷却する方法、空気を循還使用する方法、外部の空気を熱交換器を介して排風により予備加熱・冷却する方法とがあり、いずれを採用しても良いが、加熱・冷却効率の点で後二者が優れている。
調湿装置23は、除湿・加湿機能を備え、空気流を後述する制御装置で設定される湿度に保持して、発汗による湿気を除去し、又、乾燥し過ぎないよう適度な湿気を補充して皮膚、粘膜等を保護すると共に、蒸発熱による皮膚の冷却を防止する。」(第3頁左上欄第4行?同右上欄第4行)
「計測装置30は、温度センサ31及び検出回路32と湿度センサ33及び検出回路34とがら成り、上記空気流の温度及び湿度を測定する。温度センサ31及び湿度センサ33は、第1図の実施例では排風路16内に設置されているが、これは、空気流の温度及び湿度を、就寝者身体1からの放熱状態、発汗状態による変化を含めて測定するためである。したがって、この目的を達するならば、他の位置、例えば寝具部材10内、保温カバー13の開放端部等に設置することもできる。」(第3頁右上欄第12行?同左下欄第3行)

上記の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「寝具部材と、該寝具部材内の就寝者身体近傍に所定温度及び湿度の空気流を生ぜしめる空気調和装置と、上記空気流の温度及び湿度を測定する計測装置と、上記空気調和装置の動作を制御する制御装置とから成る安眠装置であって、
空気調和装置20は、送風機21、加熱・冷却装置22及び調湿装置23とから成り、加熱・冷却装置22は、送風機21から送られる空気を所定温度に加熱・冷却するもので、加熱・冷却は、外部の空気のみを加熱・冷却するか、空気を循還使用するか、外部の空気を熱交換器を介して排風により予備加熱・冷却するかのいずれかで行ない、調湿装置23は、除湿・加湿機能を備え、発汗による湿気を除去し、又、乾燥し過ぎないよう適度な湿気を補充して皮膚、粘膜等を保護すると共に、蒸発熱による皮膚の冷却を防止し、
計測装置30は、温度センサ31及び検出回路32と湿度センサ33及び検出回路34とから成り、上記空気流の温度及び湿度を、就寝者身体1からの放熱状態、発汗状態による変化を含めて測定する安眠装置。」

ウ.<刊行物3(引用文献3)>
刊行物3には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【請求項7】
マットレスや治療用寝台などの寝床に形成され寝床よりも上側及び/若しくは下側の空間に複数箇所で開放された送風路と、該送風路の上流端部に設けられイオンを発生するイオン発生装置と、該イオン発生装置から発生したイオンを前記送風路に送り出す送風手段とから成る環境調整装置。」
「【0031】
マットレス1の片隅には、制御ボックス4が取り付けられている。制御ボックス4は、マットレス1の周囲よりも外側へ出っ張っている。制御ボックス4の上面には、ツマミやスイッチ類、湿度センサー11や臭気センサー12などのセンサー類が設けられるともに、LED表示器の点灯を視認する窓(図示せず)が形成されている。」
「【0038】
図6は、制御ブロック図である。湿度センサー11、臭気センサー12及び重量センサー13は、制御部7に接続され、検出結果を制御部7に出力するようになっている。
【0039】
制御部7は、湿度センサー11、臭気センサー12及び重量センサー13の出力に基づいて、イオン発生装置21の高圧パルス駆動回路26や送風ファン10のファンモーター14の駆動を制御する。そのような制御のタイミングは、タイマー17によって決められる。
【0040】
図7は、マットレス1使用時の動作の一例を示すフローチャートである。マットレス1を電源に接続し、制御ボックス4上面の運転スイッチ(図示せず)を入れると、各種センサーが機能を開始する。まず、ステップ#10で湿度センサー11により、マットレス1の周辺の湿度が検出され、制御部7に入力される。制御部7は、ステップ#11でこの入力に基づいてマットレス1の周辺の湿度をあらかじめ設定した湿度の値と比較する。
【0041】
湿度が所定値よりも高いときは、ステップ#11の肯定判定となり、ステップ#12の除菌モードに入ってイオン発生装置21の高圧パルス駆動回路26及び送風ファン10のファンモーター14に通電し、正負イオンを含む空気がチューブ3に送り込まれる。
【0042】
チューブ3の下流端3yは閉じられ、行き止まりになっているため、チューブ3内に満たされた空気は支流となる複数のチューブ3Aを上昇し、マットレス1の上面の抜け穴5から漏れ出るように正負イオンがじわじわと放出される。これにより、正負イオンの濃度の高い空気層がマットレス1上に形成され、空気中のカビや菌が不活化される。したがって、マットレス1は絶えず無菌に近い空気に包まれることとなるため、カビや菌の付着を防止し、マットレス1を清潔に保つことができる。その後、ステップ#13に進む。
【0043】
逆に、検出された湿度が所定値以下の場合は、ステップ#11の否定判定となり、カビや菌が発生しにくいと判断し、制御部は高圧パルス駆動回路26とファンモーター14には通電せずに、ステップ#13に進む。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。
「マットレスなどの寝床に形成され寝床よりも上側及び/若しくは下側の空間に複数箇所で開放された送風路と、該送風路の上流端部に設けられイオンを発生するイオン発生装置と、該イオン発生装置から発生したイオンを前記送風路に送り出す送風手段とから成る環境調整装置であって、
マットレス1の片隅には、制御ボックス4が取り付けられて、制御ボックス4の上面には、湿度センサー11が設けられ、
マットレス1の周辺の湿度が検出され、湿度が所定値よりも高いときは、正負イオンを含む空気が送られて正負イオンの濃度の高い空気層がマットレス1上に形成され、空気中のカビや菌が不活化される環境調整装置。」

エ.<刊行物4(引用文献4)>
原査定で、「流体モジュール内に結露の発生を抑制する」点が周知の事項であることを示す参考例として指摘された、上記刊行物4には図面と共に次の事項が記載されている。
「【請求項1】 ベッド台の上板の上にマットが載せられた寝台において、ベッド台の上板の下方にダクトが設けられ、このダクトの上壁とベッド台の上板とにそれぞれ通孔が設けられ、この両方の通孔が接続され、ダクトの出口近傍に吸引装置が設けられていることを特徴とする寝台。」
「【0018】次に、図4に示す実施例について説明する。図4に示す実施例ではダクト4aの管状体45aの前にケーシング8が取り付る。このケーシング8の中には乾燥装置9が設けられている。この乾燥装置9は内部に冷却装置とヒーターが取り付けられていて、室内の空気を一旦冷却装置で冷却して、空気の中の水分を取り除いた後、ヒーターで再び元の温度に加熱して、乾燥空気となすものである。
【0019】又、マット3aの内部に湿度センサー91が取り付けられていて、湿度センサー91が取り付けられている場所が予め設定した湿度になると、この湿度センサーがこの湿度を感知して吸引装置5aと乾燥装置9が稼働し、予め設定した湿度以下になると吸引装置5aと乾燥装置9が止まるようになっている。・・・
【0020】この図4に示す実施例では、湿度センサー91が取り付けられている場所が予め設定した湿度になると、この湿度を湿度センサー91が感知して、吸引装置5aが自動的に稼働する。すると、乾燥装置9によって乾燥された乾燥空気がダクト4a内を通過する。・・・
【0021】このように、この実施例では乾燥装置9がダクト4aの入口近傍にあるから、マット3aや布団から湿気が実施例1?3に示す実施例より速く乾燥すると共に、ダクト4a内が結露することがないし、又、湿度センサー91が取り付けられているから、いつも布団およびマットが快適な状況になっていることが、図1?3に示す実施例と異なる。・・・
【0022】
【発明の効果】本発明寝台では、ベッド台の上板の下方にダクトが設けられ、このダクトの上壁とベッド台の上板とにそれぞれ通孔が設けられ、この両方の通孔が接続され、ダクトの出口近傍に吸引装置が設けられているから、吸引装置を稼働させると、室内の空気が布団やマットを通してダクトの中に吸引されて、ベッド台の上板の上のマットや布団が乾燥する。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献4には、次の事項(以下「引用文献4記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。
「ベッド台の上板の上にマットが載せられた寝台において、ベッド台の上板の下方にダクトが設けられ、このダクトの上壁とベッド台の上板とにそれぞれ通孔が設けられ、この両方の通孔が接続され、ダクトの出口近傍に吸引装置が設けられている寝台であって、
マット3aの内部に湿度センサー91が取り付けられていて、湿度センサー91が取り付けられている場所が予め設定した湿度になると、吸引装置5aと乾燥装置9が稼働し、室内の空気が布団やマットを通してダクトの中に吸引されて、ベッド台の上板の上のマットや布団が乾燥すると共に、乾燥装置9によって乾燥された乾燥空気がダクト4a内を通過することにより、ダクト4a内が結露することがない寝台。」

(2)本願発明1について
ア.対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
後者における「上部60」は、その構造や機能、作用等からみて、前者における「上方部分」に相当し、以下同様に、「クッション部材64」は「芯材」に、「クッション部材64の内部に位置する流体導管46」は「上部の芯材表面から前記下部の芯材表面まで延びた通路」に、「流れ調整部材(流れ分散部材)70」は「流体分配部材」に、「流れ調整部材70の上に配置される上部部材80」は「流体分配部材に隣接して位置している快適化層」に、「複合流体モジュール」は「流体モジュール」に、「流体移送装置40」は「流体移送デバイス」に、「熱電装置50」は「熱電デバイス」に、「温度調整システムの様々な構成要素の作動を規制する制御機構」は「流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御するように構成された制御装置」に、「温度調整ベッド」は「空調されるベッド」に、それぞれ相当している。
そして、後者で「クッション部材64の内部に位置する流体導管46は、空気又は他の流体を流体移送装置40からクッション部材64の窪み部66へ送出できるようにしており」「クッション部材64の窪み部66は、一つ以上の流れ調整部材(流れ分散部材)70を受容するように構成され、流れ調整部材70は、一つ以上の入口から空気又は他の流体の体積を受容し、使用者へ最も近い側面に向かう方法で分散するように構成され、流れ調整部材70と流体移送装置40との間に配置される流体導管44、46と連通し」としているところから、後者の「流れ調整部材(流れ分散部材)70」も、前者の「流体分配部材」と同様に、クッション部材64(芯材)の上部の表面に沿ってまたは近くに位置しており、クッション部材64の内部に位置する流体導管46(前記芯材の前記少なくとも1つの通路)と流体連通状態にあり、流れ調整部材70(流体分配部材)内において流体を受け入れ、少なくとも部分的に分配するように構成されているといえる。
また、後者において、「熱電装置50を使用して、装置を通過して流れる流体を温度調整(例えば、選択的に加熱及び/又は冷却)する」ためには、前者と同様に、熱電装置50(熱電デバイス)内に位置している少なくとも1つの温度センサの存在していることは明らかである。

したがって、両者は、
「上部の芯材表面および下部の芯材表面を有しており、前記上部の芯材表面から前記下部の芯材表面まで延びた少なくとも1つの通路を備えている、芯材、
前記芯材の前記上部の芯材表面に沿ってまたは近くに位置しており、前記芯材の前記少なくとも1つの通路と流体連通状態にある、少なくとも1つの流体分配部材であって、前記少なくとも1つの流体分配部材内において流体を受け入れ、少なくとも部分的に分配するように構成されている、少なくとも1つの流体分配部材、および
前記少なくとも1つの流体分配部材に隣接して位置している少なくとも1つの快適化層、
を備えている上方部分と、
前記流体モジュール内に位置している熱電デバイス内に位置している少なくとも1つの温度センサと、
前記少なくとも1つの温度センサによって検知された前記熱電デバイスの部分の温度とに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つの流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御するように構成された制御装置と、
を備えており、
前記少なくとも1つの通路は、流体移送デバイスを備えた前記少なくとも1つの流体モジュールから空気を受け入れるように構成されており、前記流体移送デバイスは、前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材に流体を移送するように構成されている、空調されるベッド。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願発明は「少なくとも一つの流体モジュールにより移送される流体の相対湿度レベルを検出するように構成されている少なくとも1つの湿度センサ」を備え、「前記少なくとも1つの湿度センサで検知された相対湿度」と熱電デバイスの部分の温度とに基づいて、流体モジュールの作動パラメータを制御し、「制御装置は、調整された流体内での凝結物の発生を防ぐために、前記少なくとも1つの流体モジュールを制御し、作動するように構成されている」のに対し、
引用発明1では「湿度センサ」及び「流体内での凝結物の発生を防ぐ」ことについての言及がなく、温度センサによって検知された温度に基づいて、流体の「温度調整(例えば、選択的に加熱及び/又は冷却)」の制御をするにとどまる点。
[相違点2]
本願発明では、流体移送デバイスは「前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材に流体を移送するか、または前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材から流体を移送するかを選択して」流体を移送するように構成されるのに対し、引用発明1では、専ら「クッション部材64の内部に位置する流体導管46は、空気又は他の流体を流体移送装置40からクッション部材64の窪み部66(内の流れ調整部材70)へ送出できる」ように構成されており、流れ調整部材70から流体移送装置40へ流体を移送する選択の余地はない点。

イ.判断
上記の相違点1について検討する。
上記(1)イのとおり、引用発明2は、「温度センサ31及び湿度センサ33」を備える計測装置30を用いて、寝具部材内の就寝者身体近傍に生ぜしめる空気流の温度及び湿度を測定して、「送風機21から送られる空気を所定温度に加熱・冷却する」と共に、調湿装置23を用いて、「発汗による湿気を除去し、又、乾燥し過ぎないよう適度な湿気を補充して皮膚、粘膜等を保護する」というものである。
また、上記(1)ウのとおり、引用発明3では「湿度センサー11が設けられ」て、「マットレス1の周辺の湿度が検出され」るが、「湿度が所定値よりも高いときは、正負イオンを含む空気が送られて正負イオンの濃度の高い空気層がマットレス1上に形成され、空気中のカビや菌が不活化される」ために湿度検出されている。
してみると、寝具において、湿度センサで検知された湿度に少なくとも基づいて、流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御装置により制御することは、周知の技術事項(以下「周知の技術事項1」という。)である。
また、上記(1)エのとおり、引用文献4記載の事項は、マットの内部に「湿度センサー91」が取り付けられていて、予め設定した湿度になると吸引装置と乾燥装置が稼働し、「乾燥装置9によって乾燥された乾燥空気がダクト4a内を通過することにより、ダクト4a内が結露することがない」というにとどまり、マットや布団に送る空気の加熱や冷却については全く言及していない。
以上を踏まえると、仮に上記に示した引用文献4記載の事項、つまり寝具において、流体モジュール内に結露の発生を抑制することが、周知の技術事項(以下「周知の技術事項2」という。)であるとしても、上記周知の技術事項1の周知例として挙げられた引用発明2は、湿度センサにより湿度を測定して、「発汗による湿気を除去し、又、乾燥し過ぎないよう適度な湿気を補充して皮膚、粘膜等を保護する」ものであり、また上記周知の技術事項1の周知例として挙げられた引用発明3は、湿度センサにより湿度を測定して、「空気中のカビや菌が不活化する」ものであるから、上記周知の技術事項2を根拠として、上記周知の技術事項1であるとしても、必ずしも上記周知の技術事項2であるとすることはできない。
加えて、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項を導き出すためには、上記周知の技術事項1に上記周知の技術事項2を適用しなければならず、いわゆる容易の容易となってしまう。
また、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項とする根拠もない。
したがって、上記相違点2を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、並びに上記の周知の事項1、及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(3)本願発明2ないし20について
本願発明2ないし18は、本願発明1をさらに限定したものであるし、また本願発明19、及び20は、上記相違点1、2で指摘した本願発明1の発明特定事項と同様の発明特定事項を備えているので、本願発明2ないし20も、本願発明1と同様に、引用発明1、並びに上記の周知の事項1、及び2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

(4)小括
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審で指摘した拒絶理由について
1.当審拒絶理由1の概要
本願の請求項1ないし20に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


刊行物1:国際公開第2008/046110号(引用文献1)
2:特開昭56-97416号公報(引用文献2)
5:特開2000-60681号公報(引用文献5)
6:特開平10-227508号公報(引用文献6)

本願請求項1に係る発明と引用発明1とは、次の点で相違する。
(相違点) 本願請求項1に係る発明は、「少なくとも1つの流体モジュールにより移送される流体の湿度レベルを検出するように構成されている少なくとも1つの湿度センサ」を使用して、「作動方式によって、かつ前記少なくとも1つの湿度センサで検知された湿度に少なくとも部分的に基づいて前記少なくとも1つの流体モジュールの少なくとも1つの作動パラメータを制御する」と共に、「前記制御装置は、作動方式に基づいて、凝結物の発生を防ぐために、前記少なくとも1つの流体モジュールを制御し、作動するように構成されている」のに対し、引用発明1は湿度センサや湿度に関する制御に言及していない点。

上記の相違点について検討すると、引用文献2で「快適な睡眠を実現するためには、特に温度及び湿度を睡眠に最適な状態に保持する必要がある。」としているように、ベッドの空調を行うに際して、適所に湿度センサ等を配置して、温度のみならず湿度の制御にも留意することの優位性は明らかであり、また、引用文献5、6にも示されるとおり、およそ空調システムの構築に際して、空調装置の内外における結露(凝結物の発生)の防止を図る制御態様(作動方式)を採用することは、空調関係の技術分野において周知技術あるいは常套手段といえるものである。してみれば、引用文献2、5、6に記載されている発明(以下「引用発明2、5、6」という。)は、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項を示唆するものということができ、引用発明1において、当該示唆するところに基づいて、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到しうる程度の設計的事項といえる。
よって、本願発明は、引用発明1、2、5、6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願の請求項2ないし18に係る発明(本願発明2ないし18)、同じく請求項19、20に係る発明(本願発明19、及び20)も、本願発明と同様に、引用発明1、2、5、6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2.当審拒絶理由1の判断
(1)刊行物の記載事項
ア.<刊行物1、2>(引用文献1、2)の記載事項と、引用発明1、2の認定は、上記第3の「2.原査定の理由について」において指摘したとおりである。
イ.<刊行物5(引用文献5)>
刊行物5には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0006】
【課題を解決するための手段】[1] 上記目的を達成するために、請求項1記載の車両用座席の冷暖房装置(1)は、座席(2)の表面域に設けられた一又はそれ以上のヒートパイプ(11)と、前記ヒートパイプの一端側に設けられた冷却素子(12)と、前記ヒートパイプの他端側に設けられた加熱素子(13)とを備えた車両用冷暖房装置において、車室内の温度を検出する温度センサ(16)と、車室内の湿度を検出する湿度センサ(17)と、前記座席の温度を検出する座席温度センサ(14)と、前記温度センサからの車室内温度と湿度センサからの車室内湿度とに基づいて車室内空気の露点を求め、前記座席温度センサからの座席温度が所定の露点領域になったときは前記冷却素子の作動を停止する制御手段(15)と、を有することを特徴とする。
【0007】本発明の冷暖房装置では、冷房用としての冷却素子と暖房用としての加熱素子とがヒートパイプの端部にそれぞれ設けられ、冷房を望む場合には冷却素子を作動させることでヒートパイプの一端側が冷却され、この冷熱がヒートパイプによって他端側まで急速に伝わることになる。また、暖房を望む場合には加熱素子によってヒートパイプの他端側を加熱することで、この加熱がヒートパイプによって一端側まで急速に伝わることになる。
【0008】このように、本発明の冷暖房装置によれば、冷房および暖房の何れにおいても熱の伝達速度が速く、しかもヒートパイプ、冷却素子および加熱素子といった単純な構成であるためコンパクトになって座席内に収納することもできる。
【0009】ただし、冷房時の過冷却によって座席に結露が生じるおそれがあるため、本発明の冷暖房装置では、温度センサで検出された車室内温度と湿度センサで検出された車室内湿度とに基づいて現在の車室内空気の露点を求め、座席温度センサで検出される座席温度が所定の露点領域になったときは冷却素子の作動を停止するので、こうした座席への結露を未然に防止することができる。」
「【0032】詳細は以下の通りである。図9は本発明の冷暖房装置の制御フローを示すフローチャート、図10は本発明の冷暖房装置の温度制御の一例を示すグラフである。
【0033】夏期などのように室内温度が高く冷房が必要とされる環境下、特に長時間駐車したようなときは室内温度が異常に高温となっており通常のエアコンだけでは室内を急速に冷房することは困難である。こうした場合には、コントローラ15からの制御指令によって、ペルチェ素子12に電力を供給するとともに、送風ファン122を作動させるが、本実施形態では、その前に結露防止ルーチンが実行される。
【0034】すなわち、図9のステップ1にて所定の指導条件チェック(イニシャライズ)が実行されたのち、ステップ2にて冷房運転か暖房運転かを判断する。この判断は、たとえば既載のエアコンの温度設定値などによって行うことができる。ステップ2で冷房運転である場合には、ステップ3にて温度センサ16、湿度センサ17およびヒートパイプ11に設けられた温度センサ14からの情報を取り込み、ステップ4では、このうちの温度センサ16および湿度センサ17から検出された室内温度および室内湿度から現在の室内空気の露点を演算する。
【0035】そして、ステップ5にて、温度センサ14で検出された座席温度がもし露点温度より低い場合にはペルチェ素子12への電力の供給を停止する。この制御ルーチンは、冷暖房装置1の稼働中においても常に実行されている。これにより、座席2に生じる結露を未然に防止することができ、衣服が濡れたり不快感を感じることが防止される。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献5には、次の発明(以下「引用発明5」という。)が記載されているものと認められる。
「座席(2)の表面域に設けられたヒートパイプ(11)と、前記ヒートパイプの一端側に設けられた冷却素子(12)と、前記ヒートパイプの他端側に設けられた加熱素子(13)とを備えた車両用冷暖房装置において、車室内の温度を検出する温度センサ(16)と、車室内の湿度を検出する湿度センサ(17)と、前記座席の温度を検出する座席温度センサ(14)と、前記温度センサからの車室内温度と湿度センサからの車室内湿度とに基づいて車室内空気の露点を求め、前記座席温度センサからの座席温度が所定の露点領域になったときは前記冷却素子の作動を停止する制御手段(15)と、を有する車両用座席の冷暖房装置(1)であって、
温度センサで検出された車室内温度と湿度センサで検出された車室内湿度とに基づいて現在の車室内空気の露点を求め、座席温度センサで検出される座席温度が所定の露点領域になったときは冷却素子の作動を停止することにより、座席への結露を未然に防止して、衣服が濡れたり不快感を感じることが防止される車両用座席の冷暖房装置。」

ウ.<刊行物6(引用文献6)>
刊行物6には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0002】
【従来の技術】近年、空気調和機はその制御を行うマイクロコンピュータの進歩に伴い、より複雑な制御が可能であり、信頼性追及によりさらに高機能化されている。その一例として従来のこの種の空気調和機について、図を用いてその動作を説明する。
【0003】図10は空気調和機の冷凍サイクルの概略を示す系統図・・・である。
【0004】前記の図10に示すような従来例の冷凍サイクルにおいて、圧縮機1から吐出された冷媒は、室外熱交換器3,減圧装置4,室内熱交換器2と流れ、圧縮機1に再び吸入される。圧縮機1にはその運転周波数を変更する圧縮機周波数出力部8、室内熱交換器2の近傍には室内側ファン5とそれを駆動する室内側ファンモータ7および室内吸込温度センサ10,室内側ファン速度センサ11、さらに室外熱交換器3には室外側ファン6が配置され、それらを制御する制御回路9より構成されている。
【0005】ここで制御回路9は、室内吸込温度センサ10により検出された室内吸込温度、室内側ファン速度センサ11で検出された室内側ファンのファン速度、および予め設定したファン速度を比較してある一定条件を満たした場合に、露付制御信号を発生する。この露付制御信号により、圧縮機1の運転周波数を圧縮機周波数出力部8により低下させる。この結果、室内熱交換器2の蒸発温度が上昇して吹き出し温度を上昇させることになり、高温多湿条件下において露付を防ぐことができる。」
「【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態における空気調和機の冷凍サイクルの概略を示す系統図である。・・・
【0015】前記従来例と同様に、その冷凍サイクルにおいて圧縮機1から吐出された冷媒は、室外熱交換器3,減圧装置4,室内熱交換器2と流れ、圧縮機1に再び吸入される。さらに、圧縮機1には圧縮機周波数出力部8、室内熱交換器2には室内側ファン5と室内側ファンモータ7および室内吸込温度センサ10,室内側ファン速度センサ11,室内吸込湿度センサ12,室内吹出温度センサ13、また室外熱交換器3には室外側ファン6と室外温度センサ14が配置され、それらの検出値によって空気調和機を制御する制御回路9より構成される。
【0016】前記のように構成される本実施の形態の制御回路9において、各センサにより検出された室内の吸い込み温湿度,室内の吹き出し温度,室外の外気温度,ファン速度や運転時間等を用いて、圧縮機周波数出力部8により圧縮機1の運転周波数を変更,制御するものである。・・・より具体的な例として、以下にその実施例を示し説明する。
【0017】
【実施例】
(実施例1)図2は本実施の形態における実施例1で空気調和機の要部である制御回路を示すブロック図であり、図2において、1は圧縮機、8は圧縮機周波数出力部、9は制御回路、10は室内吸込温度センサ、12は室内吸込湿度センサ、13は室内吹出温度センサ、15は室内吸込温度センサ10により検出された室内吸込温度Sと室内吸込湿度センサ12により検出された室内吸込湿度Hから空調露点Rを計算する空調露点算出手段、16は空調露点算出手段15より求められた空調露点Rと室内吹出温度センサ13より検出された室内吹出温度Fを判定する室内温度比較手段である。また、図3は前記制御回路の動作を説明するフローチャートである。
【0018】本実施例1は制御回路9において、室内吸込温度センサ10により検出された室内吸込温度Sと室内吸込湿度センサ12により検出された室内吸込湿度Hより空調露点算出手段15が求めた空調露点Rと、室内吹出温度センサ13より検出された室内吹出温度Fを比較判定する室内温度比較手段16を備えている。
【0019】以下に、前記図2に示すように構成されるブロック図の動作を図3のフローチャートを用いて説明する。冷房運転の開始と共に(S1)、室内吸込温度Sは室内吸込温度センサ10により検出、室内吸込湿度Hは室内吸込湿度センサ12より検出、および室内吹出温度Fは室内吹出温度センサ13により検出される(S2)。次に、室内吸込温度センサ10により検出された室内吸込温度Sと室内吸込湿度センサ12により検出された室内吸込湿度Hから空調露点Rが空調露点算出手段15にて計算される(S3)。室内吹出温度センサ13より検出された室内吹出温度Fと空調露点算出手段15で求められた空調露点Rを室内温度比較手段16で比較する(S4)。そして、空調露点Rと室内吹出温度Fを比較して、R≧Fであれば、圧縮機1の運転周波数を圧縮機周波数出力部8により、例えば20Hz低下させる(S5)。
【0020】つまり、室内吹出温度Fが空調露点Rに達した場合のみ圧縮機1の周波数を変更して冷凍能力を低下させ、吹き出し温度を上昇させることにより、室内の温湿度に影響されることなく、不必要な室内空調の上昇を避けつつ確実に霧の吹き出しや室内側ファン5の結露等を防止することができる。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献6には、次の発明(以下「引用発明6」という。)が記載されているものと認められる。
「室外熱交換器3,減圧装置4,室内熱交換器2、圧縮機1により構成され、圧縮機1には圧縮機周波数出力部8、室内熱交換器2には室内側ファン5と室内側ファンモータ7および室内吸込温度センサ10,室内側ファン速度センサ11,室内吸込湿度センサ12,室内吹出温度センサ13、また室外熱交換器3には室外側ファン6と室外温度センサ14が配置され、それらの検出値によって空気調和機を制御する制御回路9を備える空気調和機であって、
制御回路9において、室内吸込温度センサ10により検出された室内吸込温度Sと室内吸込湿度センサ12により検出された室内吸込湿度Hより求めた空調露点Rと、室内吹出温度センサ13より検出された室内吹出温度Fとを比較判定し、室内吹出温度Fが空調露点Rに達した場合のみ圧縮機1の周波数を変更して冷凍能力を低下させて、吹き出し温度を上昇させることにより、確実に霧の吹き出しや室内側ファン5の結露等を防止することができる空気調和機。」

(2)本願発明1について
ア.対比
上記第3の「原査定の理由について」において既に指摘したように、本願発明と引用発明1との相違点は、次のとおりである。
[相違点1]
本願発明は「流体モジュールにより移送される流体の相対湿度レベルを検出するように構成されている少なくとも1つの湿度センサ」を備え、「前記少なくとも1つの湿度センサで検知された相対湿度」と熱電デバイスの部分の温度とに基づいて、流体モジュールの作動パラメータを制御し、「制御装置は、調整された流体内での凝結物の発生を防ぐために、前記少なくとも1つの流体モジュールを制御し、作動するように構成されている」のに対し、
引用発明1では「湿度センサ」及び「流体内での凝結物の発生を防ぐ」ことについての言及がなく、温度センサによって検知された温度に基づいて、流体の「温度調整(例えば、選択的に加熱及び/又は冷却)」の制御をするにとどまる点。
[相違点2]
本願発明では、流体移送デバイスは「前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材に流体を移送するか、または前記少なくとも1つの通路を通って前記上方部分の前記少なくとも1つの流体分配部材から流体を移送するかを選択して」流体を移送するように構成されるのに対し、引用発明1では、専ら「クッション部材64の内部に位置する流体導管46は、空気又は他の流体を流体移送装置40からクッション部材64の窪み部66(内の流れ調整部材70)へ送出できる」ように構成されており、流れ調整部材70から流体移送装置40へ流体を移送する選択の余地はない点。

イ.判断
上記相違点1について検討する。
引用発明5は、温度センサと湿度センサとを用いて、車室内空気の露点を求め、座席温度が所定の露点領域になったときは冷却素子の作動を停止することにより、座席への「結露を未然に防止する」というものであり、引用発明6は、室内吸込温度センサ及び室内吸込湿度センサの検出値に基づいて求めた空調露点Rと、室内吹出温度センサより検出された室内吹出温度Fとを比較して、室内吹出温度Fが空調露点Rに達した場合のみ吹き出し温度を上昇させることにより、霧の吹き出しや室内側ファンの「結露等を防止する」というもので、いずれの発明も湿度センサの利用や結露の防止に言及している。
しかしながら、引用発明5の湿度センサは、車室内湿度を検出するものであり、また引用発明6の湿度センサ(室内吸込湿度センサ)は、室内湿度を検出するものであって、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項である「流体モジュールにより移送される流体の相対湿度レベルを検出する」ものではない。
また、引用発明1、及び2は、寝具の技術分野に属するものであるのに対して、引用発明5、6は、それぞれ車両用座席、室内に使用する空気調和機の技術分野に属するものであるから、引用発明1、及び2と引用発明5、及び6とは、その技術分野が異なる。
加えて、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を導き出すためには、引用発明1に引用発明2を適用したものに更に引用発明5、6を適用しなければならず、いわゆる容易の容易となってしまう。
また、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項とする根拠もない。
したがって、上記相違点2を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、2、5、及び6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(3)本願発明2ないし20について
本願発明2ないし18は、本願発明1をさらに限定したものであるし、また本願発明19、及び20は、上記相違点1、2で指摘した本願発明1の発明特定事項と同様の発明特定事項を備えているので、本願発明2ないし20も、本願発明1と同様に、引用発明1、2、5、及び6に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

(4)小括
よって、当審で通知した拒絶理由1によっては、本願を拒絶することはできない。

2.当審拒絶理由2の概要
請求項1、19、20に記載の「作動方式」とは、どのようなことを意味するのかが明りょうではない。
請求項1、2、19、20に記載の「選択的に」の意味が明確ではない。 請求項1、19に記載の「流体モジュールから空気を選択的に受け入れる」とは、どのようなことを意味するのかが明りょうではない。
請求項20の発明は、発明の詳細な説明に記載されている発明であるとはいえず、明りょうではない。
したがって、本件出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

4.当審拒絶理由2の判断
平成28年1月28日に提出された手続補正書において、上記第2のとおり、請求項1、2、19、20の記載は補正されたことにより、請求項1、2、19、20に係る発明は明確となった。
したがって、当審拒絶理由2は解消した。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-07-20 
出願番号 特願2011-518941(P2011-518941)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (A47C)
P 1 8・ 121- WY (A47C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 一浩青木 良憲  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 畑井 順一
黒瀬 雅一
発明の名称 空調されるベッドアセンブリ  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 宮崎 昭夫  

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