• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1316836
審判番号 不服2015-10435  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-03 
確定日 2016-08-02 
事件の表示 特願2010-104566「蛍光強度補正方法、蛍光強度算出方法及び蛍光強度算出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月17日出願公開、特開2011-232259、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成22年4月28日の出願であって、平成26年7月29日付けで拒絶理由が通知され、同年10月6日に意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成27年3月5日付けで同手続補正について補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年6月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成28年4月6日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年5月27日に意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。


第2 本願発明

本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれの発明を「本願発明1」などという。)は、平成28年5月27日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願発明1及び2はそれぞれ以下のとおりである。

「 【請求項1】
蛍光波長帯域の重複する複数の蛍光色素1?Mにより多重標識された微小粒子に光を照射することによって励起された蛍光色素から発生する蛍光を、蛍光色素の数よりも多く配設した、受光波長帯域の異なる光検出器1?Nで受光し、各光検出器から検出値を収集して得られる測定スペクトルを、各蛍光色素を個別に標識した微小粒子で得られる単染色スペクトルの線形和により近似する手順を含み、
前記検出値に無効な値が含まれる場合、前記手順において、無効な検出器での検出値を無効な検出値として予め除外し、該無効な検出値以外の検出値を用いて下記式で示される評価関数が最小値となるパラメータa_(k)(k=1?M)を求めることにより、各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出するフローサイトメトリーにおける蛍光強度補正方法において、
前記無効な検出器は、蛍光色素が理論上発光しない波長に対応する検出器、又は励起波長では蛍光色素が励起されない励起波長に対応する検出器のいずれかである蛍光強度補正方法。

(式中、X_(k)(x_(i))は、k番目の蛍光色素の単染色スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。また、y_(i)は、測定スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。σ_(i)は、i番目の光検出器の検出値に対する重みの逆数を表す。ただし、無効な検出値をy_(i)(i=「N_(1)+1」?N)、有効な検出値をy_(i)(i=1?N_(1))とする。)」

「 【請求項2】
蛍光波長帯域の重複する複数の蛍光色素1?Mにより多重標識された微小粒子に光を照射することによって励起された蛍光色素から発生する蛍光を、蛍光色素の数よりも多く配設した、受光波長帯域の異なる光検出器1?Nで受光し、各光検出器から検出値を収集して得られる測定スペクトルを、各蛍光色素を個別に標識した微小粒子で得られる単染色スペクトルの線形和により近似する手順を含み、
前記検出値に無効な値が含まれる場合、前記手順において、無効な検出器での検出値を無効な検出値として予め除外し、該無効な検出値以外の検出値を用いて下記式で示される評価関数が最小値となるパラメータa_(k)(k=1?M)を求めることにより、各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出するフローサイトメトリーにおける蛍光強度補正方法において、
前記無効な検出器は、蛍光色素が理論上発光しない波長に対応する検出器、又は励起波長では蛍光色素が励起されない励起波長に対応する検出器のいずれかである蛍光強度補正方法。
X’_(k)(x_(i))=X_(k)(x_(i)) (k=1?M、i=1?N_(1))
X’_(k)(x_(i))=0 (k=1?M、i=N_(1)+1?N)

(式中、X_(k)(x_(i))は、k番目の蛍光色素の単染色スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。また、y_(i)は、測定スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。σ_(i)は、i番目の光検出器の検出値に対する重みの逆数を表す。ただし、無効な検出値をy_(i)(i=「N_(1)+1」?N)、有効な検出値をy_(i)(i=1?N_(1))とする。)」


第3 原査定の理由について

1 原査定の理由の概要

本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:再公表特許第2007/097171号
引用文献2:米国特許出願公開第2003/0020908号明細書

引用文献1に記載された発明のアンミックス処理を、引用文献2に記載された発明のフローサイトメータにおいてスペクトルを複数の蛍光染料の強度に分離する処理に適用することに格別の困難は認められない。

2 原査定の理由についての判断

(1)引用文献の記載事項

ア 引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加したものである。)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡などで取得されたスペクトル画像を処理するスペクトル画像処理方法、及びコンピュータ実行可能なスペクトル画像処理プログラムに関する。・・・
【背景技術】
【0002】
生細胞の動態観察では、蛍光試薬や蛍光タンパクなどの蛍光物質で標本を標識し、それを蛍光レーザ顕微鏡等の光学顕微鏡で観察することがある。複数の蛍光物質を同時に使用したときには、波長成分毎の画像(スペクトル画像)を検出する必要がある。
しかし、複数の蛍光物質の発光波長が重複している場合、それら物質毎の画像を光学顕微鏡で分離することはできないので、光学顕微鏡が検出したスペクトル画像をコンピュータへ取り込み、それを物質毎の画像に分離(アンミックス)する解析方法が有効となる(特許文献1等参照)。因みに、このアンミックスでは、試薬メーカ等が公開している各物質の発光スペクトルデータが用いられる。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、実測データであるスペクトル画像には、光学顕微鏡の光源の不安定性、光学顕微鏡の光検出素子の電気ノイズなどが原因で測定ノイズが重畳されており、それはアンミックスの精度に強く影響する。
そこで本発明は、測定ノイズにロバストなアンミックスを行うスペクトル画像処理方法、及びスペクトル画像処理プログラムを提供することを目的とする。」

(イ)「【0010】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態は、スペクトルイメージング蛍光レーザコンフォーカル顕微鏡システムの実施形態である。
・・・
【0011】
・・・標本15は、複数種類(例えば3種類)の蛍光試薬で標識されており、多チャンネル光検出器19は、多数(例えば32個)の波長チャンネルを有している。
・・・
【0014】
多チャンネル光検出器19の各波長チャンネル(ここでは32個の波長チャンネル)は、例えば、510nm?550nmの波長範囲の5nmずつ異なる32種類の波長成分を検出する。それら32個の波長チャンネルから出力される各信号は、コンピュータ20へ並列に取り込まれ、A/D変換回路21_(1),21_(2),…,21_(32)を介してフレームメモリ22_(1),22_(2),…,22_(32)へ個別に入力される。
【0015】
この多チャンネル光検出器19と光スキャナ13とは同期駆動され、これによって、標本15上を集光点で二次元的に走査している期間に、多チャンネル光検出器19から繰り返し信号が出力される。このとき、フレームメモリ22_(1),22_(2),…,22_(32)には、標本15の各波長チャンネルの画像が徐々に蓄積されることになる。フレームメモリ22_(1),22_(2),…,22_(32)に蓄積された各波長チャンネルの画像(チャンネル画像D_(1),D_(2),…,D_(32))は、適当なタイミングでCPU23によって読み出され、1つのスペクトル画像Fに纏められてから、ハードディスクドライブ26へ格納される。
【0016】
なお、コンピュータ20のハードディスクドライブ26には、このスペクトル画像Fの他に、標本15に使用された蛍光試薬の発光スペクトルデータが予め格納されている。・・・」

(ウ)「【0016】
・・・
次に、スペクトル画像Fの取得後のCPU23の動作を説明する。
【0017】
図2は、CPU23の動作フローチャートである。図2に示すとおり、CPU23は、予測スペクトル画像の作成処理(ステップS1)、評価処理(ステップS2)、間引き処理(ステップS3)からなる前処理を実行した後に、アンミックス処理(ステップS4)、表示処理(ステップS5)を実行する。」

(エ)「【0017】
・・・
予測スペクトル画像の作成処理(ステップS1):
本ステップでは、先ず、CPU23は、図3(A)に示すとおり、スペクトル画像Fの各画素のスペクトルを参照する。・・・
【0018】
次に、CPU23は、図3(B)に示すとおり、各画素のスペクトルを、その輝度積分値A(スペクトルカーブと横軸とで囲まれた領域の面積)が1となるように正規化する。・・・
【0019】
続いて、CPU23は、図4(A)に示すとおり、チャンネル画像D_(1)’,D_(2)’,…,D_(32)’の各々に対し平均フィルタ処理を施す。・・・チャンネル画像D’の全体が平滑化される。
【0020】
ここで、図4の左下に示すように、平滑化後の各チャンネル画像をD_(1)”,D_(2)”,…,D_(32)”とおき、それらチャンネル画像D_(1)”,D_(2)”,…,D_(32)”が成すスペクトル画像をF”とおく。・・・
続いて、CPU23は、図4(C)に示すとおり、スペクトル画像F”を構成する各画素のスペクトルを、その輝度積分値が正規化前の輝度積分値(図3(A)参照)に戻るように逆正規化する。・・・
【0021】
ここで、図4の右下に示すように、逆正規化後のスペクトルが成すスペクトル画像を、予測スペクトル画像Eとする。以下、この予測スペクトル画像Eとの区別を図るために、元のスペクトル画像Fを、「観測スペクトル画像F」と称す。」

(オ)「【0021】
・・・
評価処理(ステップS2):
・・・図5(A)に示すとおり、予測スペクトルと観測スペクトルとの間では、スペクトルカーブの両者の大まかな形状は似ているが、前者は平滑化されているのに対し、後者には誤差が乗った状態という相違がある。
【0022】
そこで、CPU23は、図5(B)に示すとおり、観測スペクトルの各波長チャンネルの評価置(当審注:「置」は「値」の誤記と認める。)として、それら各波長チャンネルと、予測スペクトルの対応する波長チャンネルとの距離|d_(1)|,|d_(2)|,…,|d_(32)|を算出する。距離|d_(i)|は、i番目の波長チャンネルの輝度差の絶対値である。この距離|d|の小さい波長チャンネルほど信頼性が高く、距離|d_(i)|の大きい波長チャンネルほど信頼性が低いことになる。よって、以下では、距離|d|を、「評価値|d|」と称す。」

(カ)「【0023】
・・・
間引き処理(ステップS3):
図6(A)には、幾つかの画素の評価値|d|の例を示した。本ステップでは、先ず、CPU23は、或る画素の各波長チャンネルの評価値|d|を、図6(A)に示すとおり予め決められた閾値d_(T)と比較し、その中から閾値d_(T)を超過しているものを見出し、それに対応する波長チャンネルを、この画素の中で特に評価の低い波長チャンネルとみなす。以下、この波長チャンネルを「ノイズチャンネル」と称す。
【0024】
さらに、CPU23は、以上の処理を全ての画素についてそれぞれ行い、全ての画素のノイズチャンネルを見出す。その結果、各画素のノイズチャンネルが、例えば、図6(B)に示すとおりCPU23によって認識される。
・・・
【0025】
続いて、CPU23は、観測スペクトル画像Fの各画素から、ノイズチャンネルとみなされた波長チャンネルのデータを間引く。」

(キ)「【0026】
アンミックス処理(ステップS4):
本ステップでは、先ず、CPU23は、ハードディスクドライブ26から蛍光試薬の発光スペクトルデータを読み出す。
発光スペクトルデータは、図7(A),(B),(C)に示すとおり、3種類の蛍光試薬(第1試薬、第2試薬、第3試薬)の発光スペクトルS_(1),S_(2),S_(3)を表す。これらの発光スペクトルS_(1),S_(2),S_(3)は、式(1)のような一次元行列で表現される。
【0027】
【数1】

【0028】
但し、式(1)中の要素s_(ij)は、第j試薬のi番目の波長の輝度値である。その波長の番号iは、観測スペクトル画像Fの波長チャンネルの番号iに対応している。
一方、観測スペクトル画像Fの或る画素のスペクトルfは、式(2)のような一次元行列で表現される。要素f_(i)は、この画素のi番目の波長チャンネルの輝度値である。
【0029】
【数2】

【0030】
よって、この画素に対する第1試薬の寄与率をp_(1)とおき、第2試薬の寄与率をp_(2)とおき、第3試薬の寄与率をp_(3)とおくと、この画素のスペクトルfと寄与率p_(1),p_(2),p_(3)との間には、式(3)が成り立つ。
【0031】
【数3】
f=S_(1)・p_(1)+S_(2)・p_(2)+S_(3)・p_(3) ・・・(3)
【0032】
さらに、発光スペクトルS_(1),S_(2),S_(3)を、式(4)に示すとおり1つの行列Sで纏めて表し、寄与率p_(1),p_(2),p_(3)を、式(5)に示すとおり1つの行列Pで纏めて表すと、式(3)は式(6)のとおり変形される。
【0033】
【数4】
S=[S_(1) S_(2) S_(3)] ・・・(4)
【0034】
【数5】

【0035】
【数6】
f=S・P ・・・(6)
【0036】
以下、この行列Sを「発光スペクトルS」と称し、この行列Pを「寄与率P」と称す。
よって、観測スペクトル画像Fの或る画素のアンミックスでは、観測スペクトル画像Fに含まれるこの画素のスペクトルfのデータと、発光スペクトルデータが示している発光スペクトルSのデータとを式(6)へ当てはめ、それを寄与率Pについて解けばよい。
但し、本システムでは、波長チャンネルの数(ここでは32)が蛍光試薬の種類数(ここでは3)よりも十分に多く設定されたので、最小二乗法が適用される。
【0037】
最小二乗法は、式(6)において誤差εを考慮した式(7)を用意し、その誤差εの二乗値が最小となるような寄与率Pを求めるものである。
【0038】
【数7】
f=S・P+ε ・・・(7)
【0039】
この最小二乗法による寄与率Pの算出式を具体的に示すと、式(8)の通りである。
【0040】
【数8】
P=(S^(T)S)^(-1)S^(T)f ・・・(8)
【0041】
但し、S^(T)は、Sの転置行列である。
したがって、観測スペクトル画像Fの或る画素のアンミックスでは、CPU23は、観測スペクトル画像Fに含まれるこの画素のスペクトルfのデータと、発光スペクトルデータが示している発光スペクトルSのデータとを式(8)へ当てはめることにより、寄与率Pを算出する。但し、その際にCPU23は、マスク行列M(図6(B)参照)を適用し、その画素のノイズチャンネルに関する項を、式(8)から排除する。これによって、式(8)の項数(式(7)の次数に相当する。)は低減するが、上述した閾値d_(T)(図6(A)参照)が適当に設定されたので、寄与率Pを算出するのに必要な項数(式(7)の次数)は、確保されるものとする。したがって、この画素のアンミックスにより、この画素に関する寄与率Pは、確実に求まる。
【0042】
そして、CPU23は、以上のアンミックスを、観測スペクトル画像Fの各画素についてそれぞれ行い、各画素の寄与率Pをそれぞれ算出する。これによって、本ステップが終了する。
以上、本ステップのアンミックス処理は、周知の最小二乗法によるものであるが、マスク行列M(図6(B))の適用により、観測スペクトル画像Fのうち信頼性の低い成分は、アンミックス処理の演算に全く反映されないことになる。したがって、このアンミックス処理の精度は、従来のそれよりも高くなる。」

(ク)【図2】




(ケ)【図7】




イ 引用文献1に記載された発明の認定

上記ア(ア)ないし(ケ)を含む引用文献1全体の記載を総合すると、引用文献1には、

「 顕微鏡などで取得されたスペクトル画像を処理するスペクトル画像処理方法であって、
蛍光試薬や蛍光タンパクなどの蛍光物質で標本を標識し、それを蛍光レーザ顕微鏡等の光学顕微鏡で観察する際に、複数の蛍光物質を同時に使用し、複数の蛍光物質の発光波長が重複している場合に、波長成分毎のスペクトル画像を検出するために、光学顕微鏡が検出したスペクトル画像をコンピュータへ取り込み、各蛍光物質の発光スペクトルデータを用いて蛍光物質毎の画像にアンミックスする処理における、測定ノイズにロバストなアンミックスを行うスペクトル画像処理方法において、
スペクトルイメージング蛍光レーザコンフォーカル顕微鏡システムを用い、
標本15は、3種類の蛍光試薬で標識されており、多チャンネル光検出器19は、異なる32種類の波長成分を検出する32個の波長チャンネルを有しており、
多チャンネル光検出器19から繰り返し信号が出力され、蓄積された各波長チャンネルの画像は1つの観測スペクトル画像Fに纏められてから、ハードディスクドライブ26へ格納され、
CPU23が、予測スペクトル画像の作成処理(ステップS1)、評価処理(ステップS2)、間引き処理(ステップS3)からなる前処理を実行した後に、アンミックス処理(ステップS4)を実行するものであり、
前記予測スペクトル画像の作成処理(ステップS1)では、観測スペクトル画像Fの各画素のスペクトルを参照し、各画素のスペクトルを正規化し、平均フィルタ処理を施して平滑化し、逆正規化して予測スペクトル画像Eとし、
前記評価処理(ステップS2)では、観測スペクトルの各波長チャンネルの評価値として、それら各波長チャンネルと、予測スペクトルの対応する波長チャンネルとの距離|d_(1)|,|d_(2)|,…,|d_(32)|を算出して、評価値|d|とし、
前記間引き処理(ステップS3)では、画素の各波長チャンネルの評価値|d|を、予め決められた閾値d_(T)と比較し、その中から閾値d_(T)を超過しているものを見出し、それに対応する波長チャンネルを、ノイズチャンネルとし、観測スペクトル画像Fの各画素から、ノイズチャンネルとみなされた波長チャンネルのデータを間引き、
前記アンミックス処理(ステップS4)では、3種類の蛍光試薬(第1試薬、第2試薬、第3試薬)の発光スペクトルS_(1),S_(2),S_(3)を1つの行列Sで纏めて表して発光スペクトルSとし、観測スペクトル画像Fの或る画素のスペクトルfを一次元行列で表現し、画素に対する第1試薬の寄与率をp_(1)とおき、第2試薬の寄与率をp_(2)とおき、第3試薬の寄与率をp_(3)とおき、寄与率p_(1),p_(2),p_(3)を1つの行列Pで纏めて表して寄与率Pとし、観測スペクトル画像Fの或る画素のアンミックスでは、誤差εを考慮した式f=S・P+εを用意し、その画素のノイズチャンネルに関する項を排除して、最小二乗法で誤差εの二乗値が最小となるような寄与率Pを求め、以上のアンミックスを、観測スペクトル画像Fの各画素についてそれぞれ行い、各画素の寄与率Pをそれぞれ算出する、方法。」

の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

(2)本願発明1について

ア 対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

(ア)
a 引用発明の「蛍光物質の発光波長」、「蛍光物質」である「蛍光試薬」、「多チャンネル光検出器19」の「異なる32種類の波長成分を検出する32個の波長チャンネル」、及び、「蓄積された各波長チャンネルの画像」が「1つ」「に纏められ」た「観測スペクトル画像F」は、それぞれ本願発明1の「蛍光波長帯域」、「蛍光色素」、「受光波長帯域の異なる光検出器1?N」、及び、「各光検出器から検出値を収集して得られる測定スペクトル」に相当する。

b 引用発明の「標本15」と、本願発明1の「微小粒子」とは、「検査対象」である点において共通する。

c 引用発明は、「スペクトルイメージング蛍光レーザコンフォーカル顕微鏡システムを用い」るものであるから、標本15にレーザ光を照射することによって励起された蛍光試薬から発生する蛍光を、多チャンネル光検出器19の異なる32種類の波長成分を検出する32個の波長チャンネルで検出することは明らかである。

d 引用発明において、「蛍光試薬」は「3種類」であり、「多チャンネル光検出器19」の「波長チャンネル」は「32個」であるから、「波長チャンネル」の数は「蛍光試薬」の数よりも多くなっている。

e 引用発明の「各蛍光物質の発光スペクトルデータ」と、本願発明1の「各蛍光色素を個別に標識した微小粒子で得られる単染色スペクトル」とは、「各単一の蛍光色素に対応するスペクトル」である点において共通する。

f 引用発明の「アンミックス処理」において、「最小二乗法」で「f=S・P+ε」の「誤差εの二乗値が最小となるような寄与率Pを求め」ることは、発光スペクトルS及び寄与率Pをそれぞれの行列S及び行例Pの成分を用いて画素のスペクトルfを表記すれば、f=S_(1)・p_(1)+S_(2)・p_(2)+S_(3)・p_(3)+εであることから、画素のスペクトルを各蛍光物質の発光スペクトルデータの線形和により近似していることにほかならず、「観測スペクトル画像F」を「各蛍光物質の発光スペクトルデータ」の線形和により近似しているといえる。

g 上記aないしfを踏まえると、引用発明の「スペクトルイメージング蛍光レーザコンフォーカル顕微鏡システム」、「蛍光物質の発光波長が重複している」「3種類の蛍光試薬で標識され」た「標本15」、及び、「異なる32種類の波長成分を検出する32個の波長チャンネルを有」する「多チャンネル光検出器19」を用い、「蓄積された各波長チャンネルの画像」が「1つ」「に纏められ」た「観測スペクトル画像F」を得て、「各蛍光物質の発光スペクトルデータ」である「3種類の蛍光試薬(第1試薬、第2試薬、第3試薬)の発光スペクトルS_(1),S_(2),S_(3)を1つの行列Sで纏めて表して発光スペクトルSとし、観測スペクトル画像Fの或る画素のスペクトルfを一次元行列で表現し、画素に対する第1試薬の寄与率をp_(1)とおき、第2試薬の寄与率をp_(2)とおき、第3試薬の寄与率をp_(3)とおき、寄与率p_(1),p_(2),p_(3)を1つの行列Pで纏めて表して寄与率Pとし、観測スペクトル画像Fの或る画素のアンミックスでは、誤差εを考慮した式f=S・P+εを用意し、最小二乗法で誤差εの二乗値が最小となるような寄与率Pを求め、以上のアンミックスを、観測スペクトル画像Fの各画素についてそれぞれ行い、各画素の寄与率Pをそれぞれ算出する」「アンミックス処理」と、本願発明1の「蛍光波長帯域の重複する複数の蛍光色素1?Mにより多重標識された微小粒子に光を照射することによって励起された蛍光色素から発生する蛍光を、蛍光色素の数よりも多く配設した、受光波長帯域の異なる光検出器1?Nで受光し、各光検出器から検出値を収集して得られる測定スペクトルを、各蛍光色素を個別に標識した微小粒子で得られる単染色スペクトルの線形和により近似する手順」とは、「蛍光波長帯域の重複する複数の蛍光色素1?Mにより多重標識された検査対象に光を照射することによって励起された蛍光色素から発生する蛍光を、蛍光色素の数よりも多く配設した、受光波長帯域の異なる光検出器1?Nで受光し、各光検出器から検出値を収集して得られる測定スペクトルを、各単一の蛍光色素に対応するスペクトルの線形和により近似する手順」である点において共通する。

(イ)
a 引用発明の「ノイズチャンネルとみなされた波長チャンネルのデータ」及び「ノイズチャンネルに関する項」と、本願発明1の「無効な値」及び「無効な検出値」は、「不正な検出値」である点において共通する。

b 引用発明の「その画素のノイズチャンネルに関する項を排除」することは、裏返せば、「その画素のノイズチャンネルに関する項以外の項を用いる」ことであるから、本願発明1の「無効な検出値以外の検出値を用い」ることと、「不正な検出値以外の検出値を用い」ることである点において共通する。

c 引用発明の「寄与率p_(1),p_(2),p_(3)」と、本願発明1の「パラメータa_(k)(k=1?M)」とは、「蛍光色素の影響度」である点において共通する。

d 引用発明の「誤差ε」はε=f-S・Pで表される関数であるから、引用発明の「誤差ε」と、本願発明1の「評価関数」とは、「蛍光色素の影響度を評価する関数」である点において共通する。

e 引用発明の「スペクトルイメージング蛍光レーザコンフォーカル顕微鏡システム」と、本願発明1の「各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出するフローサイトメトリー」とは、「各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出する装置」である点において共通する。

f 引用発明の「測定ノイズにロバストなアンミックスを行うスペクトル画像処理方法」において、「観測スペクトル画像Fの各画素から、ノイズチャンネルとみなされた波長チャンネルのデータを間引き」、「その画素のノイズチャンネルに関する項を排除して」、「アンミックス」を行うことは、蛍光強度の補正をしているといえるから、引用発明の「測定ノイズにロバストなアンミックスを行うスペクトル画像処理方法」は、本願発明1の「蛍光強度補正方法」に相当する。

g 上記aないしfを踏まえると、引用発明の「観測スペクトル画像Fの各画素から、ノイズチャンネルとみなされた波長チャンネルのデータを間引き」、「誤差εを考慮した式f=S・P+εを用意し、その画素のノイズチャンネルに関する項を排除して、最小二乗法で誤差εの二乗値が最小となるような」、「寄与率p_(1),p_(2),p_(3)を1つの行列Pで纏めて表し」た「寄与率Pを求め」る、「スペクトルイメージング蛍光レーザコンフォーカル顕微鏡システム」における「測定ノイズにロバストなアンミックスを行うスペクトル画像処理方法」と、本願発明1の「前記検出値に無効な値が含まれる場合、前記手順において、無効な検出器での検出値を無効な検出値として予め除外し、該無効な検出値以外の検出値を用いて下記式で示される評価関数が最小値となるパラメータa_(k)(k=1?M)を求めることにより、各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出するフローサイトメトリーにおける蛍光強度補正方法」とは、「前記検出値に不正な検出値が含まれる場合、前記手順において、不正な検出値を予め除外し、該不正な検出値以外の検出値を用いて蛍光色素の影響度を評価する関数が最小値となる蛍光色素の影響度を求めることにより、各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出する装置における蛍光強度補正方法」である点において共通する。

イ 一致点及び相違点

よって、本願発明1と引用発明とは、

「 蛍光波長帯域の重複する複数の蛍光色素1?Mにより多重標識された検査対象に光を照射することによって励起された蛍光色素から発生する蛍光を、蛍光色素の数よりも多く配設した、受光波長帯域の異なる光検出器1?Nで受光し、各光検出器から検出値を収集して得られる測定スペクトルを、各単一の蛍光色素に対応するスペクトルの線形和により近似する手順を含み、
前記検出値に不正な検出値が含まれる場合、前記手順において、不正な検出値を予め除外し、該不正な検出値以外の検出値を用いて蛍光色素の影響度を評価する関数が最小値となる蛍光色素の影響度を求めることにより、各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出する装置における蛍光強度補正方法。」

の発明である点で一致し、次の4点で相違する。

(相違点1)
不正な検出値が、本願発明1においては、「蛍光色素が理論上発光しない波長に対応する検出器、又は励起波長では蛍光色素が励起されない励起波長に対応する検出器のいずれかである」「無効な検出器での検出値」であるのに対し、引用発明においては、「観測スペクトルの各波長チャンネル」と、「予測スペクトルの対応する波長チャンネルとの距離」「を算出し」た「評価値|d|」が「閾値d_(T)を超過している」「波長チャンネル」である「ノイズチャンネルとみなされた波長チャンネルのデータ」である点。

(相違点2)
各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出する装置及び検査対象が、本願発明1においては、「フローサイトメトリー」及び「微小粒子」であるのに対し、引用発明においては、「スペクトルイメージング蛍光レーザコンフォーカル顕微鏡システム」及び「標本15」である点。

(相違点3)
単一の蛍光色素に対応するスペクトルが、本願発明1においては、「各蛍光色素を個別に標識した微小粒子で得られる単染色スペクトル」であるのに対し、引用発明においては、「各蛍光物質の発光スペクトルデータ」である点。

(相違点4)
蛍光色素の影響度及び蛍光色素の影響度を評価する関数が、本願発明1においては、「パラメータa_(k)(k=1?M)」及び


(式中、X_(k)(x_(i))は、k番目の蛍光色素の単染色スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。また、y_(i)は、測定スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。σ_(i)は、i番目の光検出器の検出値に対する重みの逆数を表す。ただし、無効な検出値をy_(i)(i=「N_(1)+1」?N)、有効な検出値をy_(i)(i=1?N_(1))とする。)」であるのに対し、引用発明においては、「寄与率p_(1),p_(2),p_(3)」及び「誤差ε」である「ε=f-S・P」である点。

ウ 判断

上記相違点1について検討する。

引用文献2には、段落[0003]ないし[0016]の記載から、フローサイトメータにおいて複数の蛍光色素からのスペクトルを各蛍光色素の蛍光強度に分離することが記載されていると認められるが、蛍光色素が理論上発光しない波長に対応する検出器、又は励起波長では蛍光色素が励起されない励起波長に対応する検出器のいずれかを無効な検出器とし、当該無効な検出器での検出値を無効な検出値として予め除外して、複数の蛍光色素からのスペクトルを各蛍光色素の蛍光強度に分離することは記載されていない。

そして、フローサイトメータにおいて、蛍光色素が理論上発光しない波長に対応する検出器、又は励起波長では蛍光色素が励起されない励起波長に対応する検出器のいずれかを無効な検出器とし、当該無効な検出器での検出値を無効な検出値として予め除外して、複数の蛍光色素からのスペクトルを各蛍光色素の蛍光強度に分離することが、本願出願前において公知であることを示す証拠もない。

してみると、引用文献1及び2に接した当業者といえども、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を容易に想起することはできない。
したがって、上記相違点2ないし4について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)本願発明2について

本願発明2は、本願発明1の評価関数を
「 X’_(k)(x_(i))=X_(k)(x_(i)) (k=1?M、i=1?N_(1))
X’_(k)(x_(i))=0 (k=1?M、i=N_(1)+1?N)

(式中、X_(k)(x_(i))は、k番目の蛍光色素の単染色スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。また、y_(i)は、測定スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。σ_(i)は、i番目の光検出器の検出値に対する重みの逆数を表す。ただし、無効な検出値をy_(i)(i=「N_(1)+1」?N)、有効な検出値をy_(i)(i=1?N_(1))とする。)」
に置き換えたものに相当する。

よって、本願発明2と引用発明とを対比すると、上記(2)の「ア 対比」において記載したものと同様の対比の手法及び結果により、本願発明2と引用発明とは、

「 蛍光波長帯域の重複する複数の蛍光色素1?Mにより多重標識された検査対象に光を照射することによって励起された蛍光色素から発生する蛍光を、蛍光色素の数よりも多く配設した、受光波長帯域の異なる光検出器1?Nで受光し、各光検出器から検出値を収集して得られる測定スペクトルを、各単一の蛍光色素に対応するスペクトルの線形和により近似する手順を含み、
前記検出値に不正な検出値が含まれる場合、前記手順において、不正な検出値を予め除外し、該不正な検出値以外の検出値を用いて蛍光色素の影響度を評価する関数が最小値となる蛍光色素の影響度を求めることにより、各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出する装置における蛍光強度補正方法。」

の発明である点で一致し、次の4点で相違する。

(相違点1)
不正な検出値が、本願発明2においては、「蛍光色素が理論上発光しない波長に対応する検出器、又は励起波長では蛍光色素が励起されない励起波長に対応する検出器のいずれかである」「無効な検出器での検出値」であるのに対し、引用発明においては、「観測スペクトルの各波長チャンネル」と、「予測スペクトルの対応する波長チャンネルとの距離」「を算出し」た「評価値|d|」が「閾値d_(T)を超過している」「波長チャンネル」である「ノイズチャンネルとみなされた波長チャンネルのデータ」である点。

(相違点2)
各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出する装置及び検査対象が、本願発明2においては、「フローサイトメトリー」及び「微小粒子」であるのに対し、引用発明においては、「スペクトルイメージング蛍光レーザコンフォーカル顕微鏡システム」及び「標本15」である点。

(相違点3)
単一の蛍光色素に対応するスペクトルが、本願発明2においては、「各蛍光色素を個別に標識した微小粒子で得られる単染色スペクトル」であるのに対し、引用発明においては、「各蛍光物質の発光スペクトルデータ」である点。

(相違点4)
蛍光色素の影響度及び蛍光色素の影響度を評価する関数が、本願発明2においては、「パラメータa_(k)(k=1?M)」及び
「 X’_(k)(x_(i))=X_(k)(x_(i)) (k=1?M、i=1?N_(1))
X’_(k)(x_(i))=0 (k=1?M、i=N_(1)+1?N)

(式中、X_(k)(x_(i))は、k番目の蛍光色素の単染色スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。また、y_(i)は、測定スペクトルにおけるi番目の光検出器の検出値を表す。σ_(i)は、i番目の光検出器の検出値に対する重みの逆数を表す。ただし、無効な検出値をy_(i)(i=「N_(1)+1」?N)、有効な検出値をy_(i)(i=1?N_(1))とする。)」であるのに対し、引用発明においては、「寄与率p_(1),p_(2),p_(3)」及び「誤差ε」である「ε=f-S・P」である点。

上記相違点1について検討するに、上記(2)の「ウ 判断」で検討したように、引用文献1及び2に接した当業者といえども、上記相違点1に係る本願発明2の発明特定事項を容易に想起することはできない。
したがって、上記相違点2ないし4について検討するまでもなく、本願発明2は、引用発明及び引用文献2に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)本願発明3について

本願発明3は、本願発明1又は本願発明2の特定事項を全て含み、本願発明1又は本願発明2をさらに限定したものであるので、本願発明1又は本願発明2と同様に、引用発明及び引用文献2に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(5)小括

以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。


第4 当審拒絶理由について

1 当審拒絶理由の概要

(1) 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


請求項1及び2の「評価関数が最小値となるパラメータa_(k)(k=1?M)を求めることにより、各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出し、無効な検出値を除外する蛍光強度補正方法」との記載によれば、パラメータa_(k)(k=1?M)を求めることにより、無効な検出値が除外されるものと認められるが、発明の詳細な説明の記載からは、無効な検出値を除外して、評価関数が最小値となるパラメータa_(k)を求めることは把握できるものの、パラメータa_(k)を求めることにより、無効な検出値を除外することが記載されているとは認められない。

(2) 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


請求項1及び2の記載において、「無効な値」、「無効な検出値」及び「有効な検出値」とは、どのような値を意味するのかが不明であり、請求項1ないし3に係る発明は明確でない。

2 当審拒絶理由についての判断

(1)平成28年5月27日になされた手続補正により、補正前の請求項1及び2の
「前記検出値に無効な値が含まれる場合、前記手順において、下記式で示される評価関数が最小値となるパラメータa_(k)(k=1?M)を求めることにより、各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出し、無効な検出値を除外する蛍光強度補正方法」
との記載が、
「前記検出値に無効な値が含まれる場合、前記手順において、無効な検出器での検出値を無効な検出値として予め除外し、該無効な検出値以外の検出値を用いて下記式で示される評価関数が最小値となるパラメータa_(k)(k=1?M)を求めることにより、各蛍光色素から発生した蛍光の強度を算出するフローサイトメトリーにおける蛍光強度補正方法」
と補正されたことにより、本願発明1ないし3は、無効な検出値を除外して、評価関数が最小値となるパラメータa_(k)を求めるものであるから、発明の詳細な説明に記載されたものである。

よって、当審拒絶理由(1)は解消した。

(2)平成28年5月27日になされた手続補正により、請求項1及び2に
「無効な検出器での検出値を無効な検出値として」
「前記無効な検出器は、蛍光色素が理論上発光しない波長に対応する検出器、又は励起波長では蛍光色素が励起されない励起波長に対応する検出器のいずれかである」
との記載が追加されたことにより、「無効な検出値」が定義され、本願発明1ないし3は明確となった。

よって、当審拒絶理由(2)は解消した。


第5 むすび

以上のとおりであるから、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-07-20 
出願番号 特願2010-104566(P2010-104566)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01N)
P 1 8・ 537- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 波多江 進  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 渡戸 正義
▲高▼橋 祐介
発明の名称 蛍光強度補正方法、蛍光強度算出方法及び蛍光強度算出装置  
代理人 渡邊 薫  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ