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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61J
審判 一部申し立て 2項進歩性  A61J
管理番号 1317003
異議申立番号 異議2015-700325  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-12-17 
確定日 2016-07-08 
異議申立件数
事件の表示 特許第5741411号発明「分注装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5741411号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第5741411号の請求項1?4に係る発明についての出願は、平成23年3月28日(パリ条約による優先権主張 2010年10月1日 日本国、2010年3月26日 日本国)を国際出願日とする特願2011-554016号の一部を平成23年12月1日に新たに特許出願(特願2011-263841号)としたものであって、平成27年5月15日に設定登録がなされ、その後、その特許の請求項1に係る発明について、特許異議申立人服部哲宣(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立がされ、当審において平成28年3月15日付けで取消理由を通知し、平成28年5月13日付けで意見書が提出されたものである。

2.本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】
処方データに含まれる薬液を患者用ボトルに注出する分注装置において、
装置本体と、
前記装置本体内に設けられた、複数の薬液ボトルを支持する環状支持体と、
前記環状支持体を回転させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記環状支持体を回転させて、前記薬液ボトルを、前記薬液ボトルに収容された薬液を前記患者用ボトルに注出する薬液注出処理が行われる注出位置と、前記薬液注出処理において前記薬液を前記患者用ボトルに注出するためのノズルを洗浄する洗浄処理が行われる洗浄位置とに移動させることが可能であることを特徴とする分注装置。」

3.取消理由の概要
当審において、本件発明1に対して通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
甲1号証(特開2008-119024号公報、以下「甲1」という。)及び甲2号証(特開2008-150059号公報、以下「甲2」という。)により、本件発明1は特許法第29条第2項の規定に違反する。

4.甲各号証の記載
(1)甲1(特開2008-119024号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(a)「【請求項3】
供給ポンプは、駆動モータの正回転により水薬を水薬ボトルに供給するよう駆動し、駆動モータの逆回転により水薬を水薬ボトル側に戻すようにして供給管から水薬が水薬ボトルに不要に滴下するのを防止するよう駆動する構成であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水薬供給装置。」
(b)「【0011】
本発明の水薬供給装置では、供給ポンプは、駆動モータの正回転により水薬を水薬ボトルに供給するよう駆動し、駆動モータの逆回転により水薬を水薬ボトル側に戻すようにして供給管から水薬が水薬ボトルに不要に滴下するのを防止するよう駆動する構成であることを特徴としている。
【0012】
上記構成の水薬供給装置では、水薬を水薬ボトルに供給する際には駆動モータを正回転させることで行い、水薬の供給が終了すると駆動モータを逆回転させ水薬を水薬ボトル側に戻すようにして供給管内に空気を導入することで、供給管から水薬がこぼれ落ちることを抑えるものであり、被当接面と当接面の歯溝がその底角が直角でない断面二等辺三角形状に形成されているから、被当接面に対する当接面の当接力は、駆動モータの正回転および逆回転の何れの場合も同等の当接力で供給ポンプを駆動できる。」
(c)「【0014】
特に、水薬を水薬ボトルに供給する際には駆動モータを正回転させることで行い、水薬の供給が終了すると駆動モータを逆回転させ水薬を水薬ボトル側に戻すようにして供給管から水薬ボトルに水薬がこぼれ落ちることを抑えるようにした水薬供給装置において、被当接面および当接面をその周方向断面を二等辺三角形状とすることにより、被当接面に対する当接面の当接力は、駆動モータの正回転および逆回転の何れの場合も同等の当接力で供給ポンプを駆動できるようになる。」
(d)「【0016】
以下、本発明に係る水薬供給装置を、図面に基づいて説明する。図1ないし図7は、水薬供給装置の構成図である。これらの図に示すように、水薬供給装置1は、患者に対して処方される水薬2を、処方箋に応じるべく水薬供給ボトル(以下単に「供給ボトル」という)3から水薬供給管(以下単に「供給管」という)29によって導出して、水薬供給ノズル(以下単に「供給ノズル」という)22を介して水薬ボトル4に吐出するよう構成されている。
【0017】
水薬供給装置1は、外枠を構成する本体6を有し、本体6は、天板(天壁)7と底板8と左右の両側板11,11と背板12と前板13とを有する。底板8は本体6の上下方向途中に配置された平板状に形成されている。天板7は中心が円形に中抜きされた平板状に形成されている。
【0018】
水薬供給装置1は、本体6の天板7側に回転駆動部17を介して該本体6内に吊持されて供給ノズル22を取付けるノズル取付け板53、複数の供給ボトル3を載置する載置体5、および複数の供給ポンプ18を有する。供給ポンプ18は、載置体5に周方向に所定間隔置きに配置される供給ボトル3毎に設けられ、この種の水薬供給装置1に一般に用いられるポンプである。あるいは、水薬2の供給圧力を変更できるものであってもよい。
【0019】
ノズル取付け板53および載置体5は平面視して環状に形成されており、供給ポンプ18は、ノズル取付け板53の上方に設けられた複数の取付け枠体36にそれぞれ取付けられている。ノズル取付け板53、載置体5および取付け枠体36は、回転駆動部17の駆動により上下方向軸線16回りに間欠的に回転する構成となっている。」
(e)「【0033】
上記構成において、処方箋に基づいて水薬2を水薬ボトル4に供給する際の、水薬供給動作を説明する。作業者が電源スイッチをオン操作すると、位置検出装置が、供給ボトル3が所定位置にある場合、すなわち、初めに使用しようとする供給ボトル3が載置台24に載置した水薬ボトル4に前後方向(載置体5の径方向)で対向し、その供給ボトル3に対応する供給ノズル22が水薬ボトル4の直上位置であることを検出している場合は、制御装置がポンプ駆動部20を駆動するよう制御する。
【0034】
ポンプ駆動部20の駆動とは、ソレノイド48が駆動してバネ50の弾性に抗してサーボモータ46がその供給ポンプ18の従動歯車41に向けて横方向(径方向)に前進し、駆動歯車47が従動歯車41に係合(噛合)した位置を位置検出センサ51が検出して、サーボモータ46が駆動して駆動歯車47とともに従動歯車41が回転することであり、駆動歯車47の回転により、供給ポンプ18が駆動することになる。そして、供給ポンプ18が駆動すると、供給ボトル3内の水薬2が吸い上げられ、水薬2が水薬供給管21内を通過して供給ノズル22の水薬吐出口部26から水薬2が吐出することになる。
但し、前記位置検出装置が、供給ボトル3が所定位置にないことを検出した場合、制御装置は正面に最も近い位置にある供給ボトル3を正面に対するべく回転駆動部17を駆動させることになる。」
(f)「【0039】
この実施形態の水薬供給装置1では、サーボモータ46の正回転(正駆動)によって供給ポンプ18が水薬2を水薬ボトル4に供給するようになり、ひとつの水薬供給ボトル3からの水薬2の供給が終了すると、水薬供給ノズル22から水薬2が滴下しないようにするために、サーボモータ46を逆回転(逆駆動)させ、供給管29内に空気を導入するようにしている。」
(g)「【0042】
ひとつの供給ボトル3からの水薬2の供給が終わるか、その供給ボトル3内の水薬2を残した状態で別の供給ボトル3内の水薬2を使用する場合には、周方向で隣りにある供給ボトル3が水薬ボトル4の前後方向で対応し周方向の隣りにある供給ノズル22が水薬ボトル4の直上位置に至るまで、制御装置68は回転駆動部17に駆動信号を出力して、載置体5およびノズル取付け板53を上下方向軸線16回りに回動させて、これらを停止させる。続いて制御装置68は、サーボモータ46に駆動信号を出力し、これにより駆動歯車47および従動歯車41が回転し、供給ポンプ18が駆動して、供給ノズル22の水薬吐出部26から水薬ボトル4に水薬2が吐出される。上記のような動作を繰返して、順次載置台24に載置される水薬ボトル4に水薬2を供給するよう動作する。」

上記記載及び図面から、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる(以下、「甲1発明」という。)。
「患者に処方される水薬を水薬ボトル4に供給する水薬供給装置1において、本体6と本体6内に設けられ、複数の供給ボトル3を載置する環状の載置体5と、載置体5を回転させる制御装置とを備え、制御装置は、載置体5を回転させて、供給ボトル3を、該供給ボトル3に収容された水薬を水薬ボトル4に供給する供給処理と、供給処理が終了した後に、供給ボトル3の水薬を水薬ボトル4に供給するための供給ポンプ18を駆動する駆動モータ46を逆回転させて水薬を供給ボトル3側に戻すようにすることで,供給処理において供給ボトル3から水薬ボトル4へ水薬を吐出するための水薬供給ノズル22から水薬が滴下しないようにする滴下防止処理とが行われる位置に移動させる水薬供給装置。」

(2)甲2(特開2008-150059号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている。
(a)「充填ノズルを通して容器に液体を充填する充填機であって、前記充填ノズル及び容器の少なくとも一方に気体が吹き付けられるように気体を噴射する噴射ノズルを備えることを特徴とする充填機。」(【特許請求の範囲】【請求項1】)
(b)「【0003】
容器への液体の充填が完了した後又は容器への液体の充填を開始する前に、充填ノズルの先端から液体が垂れて、充填後の容器又は充填前の容器に付着しうる。糖分を含む液体を容器に充填する場合には、容器の外面にそのような液体が垂れ落ちると、シュガーセメントと呼ばれる糖の塊が形成されうる。
【0004】
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、例えば、充填機において容器の外面に液体が垂れ落ちること、又は、容器に垂れ落ちた液体が容器の外面で固化することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、充填ノズルを通して容器に液体を充填する充填機に係り、前記充填機は、前記充填ノズル及び容器の少なくとも一方に気体が吹き付けられるように気体を噴射する噴射ノズルを備える。」
(c)「【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記充填機は、複数の前記充填ノズルと複数の容器を公転軌道に沿って移動させながら複数の前記充填ノズルを通して複数の容器に対して並行して液体を充填するように構成され、前記噴射ノズルは、前記公転軌道の内側に向けて気体を噴射するように前記公転軌道の外側に配置されうる。」
(d)「【0016】
充填機100は、充填ノズル21を通して容器1に液体を充填するように構成されている。液体の例としては、例えば、梅酒、紹興酒、焼酎等のアルコール飲料、清涼飲料等の非アルコール飲料、薬品等を挙げることができる。
【0017】
充填機100は、容器1を支持する複数の支持部12が円周(公転軌道)に沿って配置された容器側回転部10と、複数の支持部12に対向するように円周(公転軌道)に沿って複数の充填バルブ22が配置された充填バルブ側回転部20とを備える。容器側回転部10及び充填バルブ側回転部20は、同期して回転しながら、複数の支持部12(容器1)及び複数の充填バルブ22を公転させる。複数の支持部12によってそれぞれ支持された複数の容器1には、この公転中に、並行して充填バルブ22の充填ノズル21を通して液体が充填される。」
(e)「【0020】
充填機100は、充填ノズル21及び容器1の少なくとも一方に気体が吹き付けられるように気体を噴射する噴射ノズル50を備える。充填ノズル21に気体を吹き付けることによって充填ノズル21から垂れ落ちそうな液体が吹き飛ばされるので、充填ノズル21から容器1に液体が垂れ落ちることが防止される。容器1に気体を吹き付けることによって、容器1の外面に垂れ落ちた液体を容器1から吹き飛ばすことができ、容器1に垂れ落ちた液体が容器1の外面で固化すること、例えば、液体が糖分を含む場合にはシュガーセメントが形成されることを防止することができる。」
(f)「【0025】
噴射ノズル50は、例えば、図1に例示されるように、支持部12及び充填バルブ22の公転軌道の内側に向けて気体を噴射するように該公転軌道の外側に配置されていることが好ましい。この場合、容器1に充填すべき液体が噴射ノズル50から噴射される気体によって充填機100の外側に飛散することを防止することができる。また、このような液体を吸引する吸引口62を前記公転軌道の内側に配置することができるので、充填機100の設置面積を小さくすることができる。
【0026】
図1、図2に示す構成例では、噴射ノズル50は、容器1への液体の充填が完了し、充填ノズル21と容器1とが離隔(或いは、分離)される位置又はその付近に向けて配置されている。このような配置では、充填を終えた充填ノズル及び容器の両方に気体が吹き付けられるので、充填ノズル及び容器の双方から液体を吹き飛ばすことができる。
【0027】
図4、図5は、噴射ノズル50の他の配置例を示す図である。図4に示す例では、噴射ノズル50は、容器1への充填が完了する位置と支持部12に容器が供給される位置との間の位置に向けて配置されている。このような配置では、充填を終えた充填ノズル21から垂れ落ちそうな液体を当該充填ノズル21の下に新たな容器1が供給される前に吹き飛ばすことができる。図5に示す例では、噴射ノズル50は、充填を完了した容器1が通る位置に向けて配置されていて、充填が完了した容器1に付着している液体を吹き飛ばすことができる。」

上記記載及び図面から、甲2には「充填機において、気体を吹き付ける噴射ノズル50を備え、噴射ノズル50の設置位置において、充填ノズル21及び容器1の少なくとも一方に気体を吹き付け、充填ノズル21から垂れ落ちそうな液体を吹き飛ばす構成」(以下、「甲2事項」という。)が記載されている。

5.当審の判断
(1)対比・判断
ア.本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「水薬供給装置1」、「水薬ボトル4」、「本体6」、「載置体5」、「供給ボトル3」、「制御装置」、「供給処理」は、それぞれ、本件発明1の「分注装置」、「患者用ボトル」、「装置本体」、「環状支持体」、「薬液ボトル」、「制御装置」、「薬液注出処理」に相当する。
また、「制御装置」の制御について、甲1発明の「制御装置は、載置体5を回転させて、供給ボトル3を、該供給ボトル3に収容された水薬を水薬ボトル4に供給する供給処理と、供給処理が終了した後に、供給ボトル3の水薬を水薬ボトル4供給するための供給ポンプ18を駆動する駆動モータ46を逆回転させて水薬を供給ボトル3側に戻すようにすることで,供給処理において供給ボトル3から水薬ボトル4へ水薬を吐出するための水薬供給ノズル22から水薬が滴下しないようにする滴下防止処理とが行われる位置に移動させる」と、本件発明1の「前記制御装置は、前記環状支持体を回転させて、前記薬液ボトルを、前記薬液ボトルに収容された薬液を前記患者用ボトルに注出する薬液注出処理が行われる注出位置と、前記薬液注出処理において前記薬液を前記患者用ボトルに注出するためのノズルを洗浄する洗浄処理が行われる洗浄位置とに移動させることが可能である」とは、「制御装置は、環状支持体を回転させて、薬液ボトルを、前記薬液ボトルに収容された薬液を患者用ボトルに注出する薬液注出処理が行われる注出位置に移動させることが可能である」限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「処方データに含まれる薬液を患者用ボトルに注出する分注装置において、
装置本体と、
前記装置本体内に設けられた、複数の薬液ボトルを支持する環状支持体と、
前記環状支持体を回転させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記環状支持体を回転させて、前記薬液ボトルを、前記薬液ボトルに収容された薬液を前記患者用ボトルに注出する薬液注出処理が行われる注出位置に移動させることが可能である分注装置。」の点では一致するものの、次の点で相違する。
[相違点]
本件発明1では、制御装置は、環状支持体を回転させて、薬液ボトルを、洗浄位置に移動させることが可能であり、前記洗浄位置で、薬液を患者用ボトルに注出するためのノズルを洗浄する洗浄処理が行われるのに対して、甲1発明では、洗浄処理が行われず、制御装置は、薬液ボトルを、洗浄位置に移動させることが可能とされていない点。

イ.相違点についての判断
上記[相違点]について検討すると、甲1発明は、上記4.(1)で検討したとおり、駆動モータ46を逆回転させて水薬供給ノズル22から水薬が滴下しないようにする滴下防止処理を行う構成を備えたものであり、水薬供給ノズル22を洗浄する構成は備えていない。
甲2には、上記4.(2)で検討したとおり、「充填機において、気体を吹き付ける噴射ノズル50を備え、噴射ノズル50の設置位置において、充填ノズル21及び容器1の少なくとも一方に気体を吹き付け、充填ノズル21から垂れ落ちそうな液体を吹き飛ばす構成」が記載されてはいるが、該構成は、充填ノズル21から垂れ落ちそうな液体を吹き飛ばすことで充填ノズル21から容器1に液体が垂れ落ちることを防止するものであり、ノズルを洗浄するものではない。
この点を更に検討すると、本件発明1のノズルの洗浄とは、明細書の段落【0153】に記載のとおり、「周囲雰囲気に触れるノズル部分での薬液を除去し、次の抽出時に患者用ボトルに収容される薬液が汚染されることを防止する」ための構成であるが、甲2における噴出ノズル50による液体の吹き飛ばしは、充填ノズル21から容器1に垂れ落ちた液体が容器1の外面で固化することを防止するものであって、そもそもノズルの洗浄ではないし、その機構の目的も全く異なるものである。
以上のことに鑑みると、甲1発明は、水薬供給ノズル22から水薬が滴下しないようにする滴下防止処理の機構を備えているのだからノズルからの液垂れは生じず甲1発明に甲2の構成を適用する必要性は全くなく、甲1発明及び甲2に接した当業者が甲1発明に甲2の構成を適用することを想到するとは考えられない。仮に甲1発明に甲2に記載された事項を適用できたとしても、それは、甲1発明の水薬供給ノズル22から水薬が滴下しないように、水薬供給ノズル22及び水薬ボトル4の少なくとも一方に気体を吹き付けて、水薬供給ノズル22から滴下する薬液を吹き飛ばす構成が想到できるのみであり、水薬供給ノズル22を洗浄することは想到できず、ましてや、薬液ボトルを洗浄位置に移動させる構成を想到することはできない。
したがって、本件発明1は、甲1発明、及び甲2事項から、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1号証及び甲2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6.むすび
したがって、上記取消理由によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-06-30 
出願番号 特願2011-263841(P2011-263841)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (A61J)
P 1 652・ 537- Y (A61J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 貞光 大樹  
特許庁審判長 山口 直
特許庁審判官 熊倉 強
平瀬 知明
登録日 2015-05-15 
登録番号 特許第5741411号(P5741411)
権利者 株式会社湯山製作所
発明の名称 分注装置  
代理人 山崎 宏  
代理人 前田 厚司  
代理人 田中 光雄  
代理人 前堀 義之  

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