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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F28F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F28F
管理番号 1317008
異議申立番号 異議2016-700347  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-21 
確定日 2016-07-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第5809728号発明「熱交換器用チューブ」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第5809728号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
特許第5809728号の請求項1ないし4に係る特許についての出願は,2011年1月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年1月20日 米国(US))を国際出願日とする特願2011-550922号の一部を平成26年4月14日に新たな特許出願としたものであって,平成27年9月18日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許について,特許異議申立人 葛西文枝により特許異議の申立てがされたものである。

[2]本件発明
本件請求項1ないし4に係る発明は,次のとおりである(以下,それぞれ,「本件発明1」ないし「本件発明4」ということがある。)
「【請求項1】
Al合金押出管の外表面に,Si粉末と,Zn含有フラックスおよびZn非含有フラックスと,バインダとが含まれてなるフラックス層を形成させてなる熱交換器用チューブであって,
前記Al合金押出管に対する前記Si粉末の塗布量が1g/m^(2)以上5g/m^(2)以下の範囲であり,前記Zn含有フラックスの塗布量が3g/m^(2)以上20g/m^(2)以下の範囲であり,
前記Si粉末は,99%粒径(D_(99))が5μm以上,20μm以下であり,さらに粒径が(D_(99))の5倍以上となる粗大粒の含有量が1ppm未満であり,前記Si粉末の50%粒径(D_(50))が,(D_(99))×0.05以上,(D_(99))×0.7以下となることを特徴とする熱交換器用チューブ。
但し,(D_(99))は,それ以下の粒径を有する粒子の累積体積が,全粒子の99%となる粒径を示し,(D_(50))は,それ以下の粒径を有する粒子の累積体積が,全粒子の50%となる粒径を示す。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器用チューブであって,前記Zn含有フラックスは,ZnF_(2),ZnCl_(2),KZnF_(3)のうち少なくとも1種以上のZn化合物を含むものであることを特徴とする熱交換器用チューブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱交換器用チューブであって,前記Al合金押出管はSiを0.05質量%以上1.0質量%以下の範囲で含有し,Mnを0.05質量%以上1.2質量%以下の範囲で含有し,残部がAl及び不可避的不純物であることを特徴とする熱交換器用チューブ。
【請求項4】
前記Zn非含有フラックスが,LiF,KF,CaF_(2),AlF_(3),SiF_(4),K_(1-3)AlF_(4-6),Cs_(1-3)AlF_(4-6),Cs_(0.02)K_(1-2)AlF_(4-5),K_(2)SiF_(6)から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1?請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器用チューブ。」

[3]申立理由の概要
特許異議申立人は,証拠として,
甲第1号証:特開2004-330233号公報(以下「甲1」という。), 甲第2号証:特開2009-106947号公報(以下「甲2」という。),甲第3号証:米国特許出願公開第2010/0116472号明細書及び訳文(以下「甲3」という。), 甲第4号証:特許第5744760号公報(以下「甲4」という。),甲第5号証:甲4の原審時に提出された意見書(以下「甲5」という。), 甲第6号証:商品名「Elkem Bremanger」のカタログデータ,Malverm Instrument社,20.aug.2008(以下「甲6」という。),甲第7号証:甲4の原審時に通知した拒絶査定書(以下「甲7」という。)及び 甲第8号証:甲4の原審時に提出された審判請求書(以下「甲8」という。)を提出し,以下の理由で特許異議を申し立てている。
1.申立理由1
本件発明1ないし4は,甲1に記載された発明に甲2及び甲6に記載された周知技術を適用することにより,当業者が容易に想到することができたものであるから,それらに係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから,請求項1ないし4に係る特許を取り消すべきものである。

2.申立理由2
本件特許請求の範囲の記載が,以下の(1)及び(2)の理由により,本件特許は特許法第36条第6項第2号の規定に違反してなされたものであるから,請求項1ないし4に係る特許を取り消すべきものである。

(1)本件特許請求の範囲に記載された粗大粒の含有量を表す「ppm」が,どの物理量の割合であるのか不明である。

(2)Si粒子中の粗大粒の含有量の値は,その測定方法によって変化する量であるが,特許請求の範囲には測定方法が特定されていない。

[4]判断
1.申立理由1について
(1)甲各号証の記載
(1-1)甲1(特開2004-330233号公報)
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al合金押出管の外表面に,Si粉末とZn含有フラックスとが含まれてなるフラックス層を形成させてなり,
前記Al合金押出管に対する前記Si粉末の塗布量が1g/m^(2)以上5g/m^(2)以下の範囲であり,前記Zn含有フラックスの塗布量が5g/m^(2)以上20g/m^(2)以下の範囲であることを特徴とする熱交換器用チューブ。
【請求項2】
前記Zn含有フラックスは,ZnF_(2),ZnCl_(2),KZnF_(3)のうちの少なくとも1種以上のZn化合物を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用チューブ。
【請求項3】
前記Si粉末の最大粒径が30μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器用チューブ。
【請求項4】
前記Al合金押出管はSiを0.5質量%以上1.0質量%以下の範囲で含有し,Mnを0.05質量%以上1.2質量%以下の範囲で含有し,残部がAl及び不可避的不純物であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の熱交換器用チューブ。」

(1b)「【0012】
また,前記Si粉末の最大粒径は30μm以下の範囲であることが好ましい。最大粒径が30μmを越えるとチューブのエロージョン深さが増加するので好ましくない。尚,Si粉末の最大粒径が0.1μm未満だとSi粉末同士が凝集し,やはりチューブのエロージョンの深さが増加するので,0.1μm以上が好ましい。」

(1c)「【0020】
次にフラックス層には,Zn含有フラックスが少なくとも含まれる。尚,Zn含有フラックスの他に,Znを含まないZn非含有フラックスが含まれていても良い。
Zn含有フラックスには,例えばZnF_(2),ZnCl_(2),KZnF_(3)等のZn化合物が少なくとも1種以上含まれることが好ましい。また,Zn非含有フラックスには,例えば,LiF,KF,CaF_(2),AlF_(3),SiF_(4)などの弗化物や,前記弗化物の錯化合物であるKAlF_(4),KAlF_(3)などが少なくとも1種以上含まれることが好ましい。
熱交換器用チューブのフラックス層にZn含有フラックスを含有させることで,ろう付け後のチューブ表面にZn拡散層(ろう材層)が形成され,このZn拡散層が犠牲陽極層として機能することによりチューブの防食効果を高めることができる。」


(1d)「【表1】



(1e)「【0027】
表1に示すように,実施例1?6のフィン付チューブでは,最大腐食深さがいずれも100μm以下であり,チューブの腐食が抑制されていることが判る。実施例6は,Si粉末の最大粒径が大きいので,エロージョンがやや深くなっている。
一方,比較例1ではフラックスにZnが添加されず,また比較例2ではZn含有フラックス(KZnF_(3))の添加量が2g/m^(2)と少なく,更に比較例3及び4ではSi粉末が添加されなかったためにZn分布が不均一となり,腐食量が大きくなったものと考えられる。」


(1-2)甲2(特開2009-106947号公報)
(2a)「【請求項1】
1?6g/m^(2)のSi粉末,0.5?20g/m^(2)のSi含有フッ化物系フラックス,0.5?20g/m^(2)のZn含有フッ化物系フラックスおよびバインダを含む塗膜が表面に形成されていることを特徴とするアルミニウム合金チューブ。
【請求項2】
前記塗膜に,さらに,1?6g/m^(2)のAl-Si系合金粉末を含むことを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金チューブ。
【請求項3】
前記粉末および前記フラックスは,それぞれ,平均粒径が0.1?10μmで,かつ累積頻度90%以上の粒径が30μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金チューブ。」

(2b)「【0002】
ろう付によって製造されるアルミニウム熱交換器では,これまでAl-Si合金ろう材をクラッドしたブレージングシートが広く使用されてきたが,これを用いなくともAl-Si合金粉未やSi粉末をフラックスとバインダとの混合物の形で押出チューブ(以下チューブ)の表面に塗布したものを使用することによって安価に製品が製造できるようになっている。・・・」

(2c)「【0012】
Si粉末粒径:平均0.1?10μm,累積頻度90%以上の粒径が30μm以下
Si粉末の平均粒径が小さすぎると,凝集して不均一分布となりろう付性が低下し,一方,平均粒径が過大になると,著しいエロージョンが生じ,チューブの強度や耐食性が低下する問題がある。このため,Si粉末の平均粒径は0.1?10μmが望ましい。なお,同様の理由で,下限を1μm,上限を8μmとするのが一層望ましい。
また,累積頻度90%以上の粒径が過大になると,塗膜厚さが厚くなる。塗膜はろう付時に流動し実質的に消滅するため,塗膜厚さ分のろう付前後のチューブ高さ寸法変化が大きくなり,ろう付接合不良が発生する。このため,Si粉末に関し累積頻度90%以上の粒径を30μm以下とするのが望ましい。」

(2d)「【0038】
上記扁平多穴管1とフィン3とは,必要に応じて図示しないヘッダープレートなどとともに互いに組み付けられてろう付けに供される。ろう付けに際しては,不活性雰囲気などの適当な雰囲気で適温に加熱して,ろう付組成物を溶解させる。なお,バインダは通常はろう付加熱によって蒸散する。ろう付の際の加熱温度としては580?620℃が例示される。また,加熱保持時間としては1?10分が挙げられる。・・・」

(1-3)甲6(商品名「Elkem Bremanger」のカタログデータ,Malverm Instrument社,20.aug.2008)
(3a)「



上記グラフ及び表には,Si粉末(商品名「Elkem Bremanger」)の粒度分布が示されており,表中「Size(μm)」,「Vol Under %」の値を,それぞれA,Bとすると,B%粒径(D_(B))=A(μm)であることは明らかである。
そして,(D_(50))は3.1?3.6μmの範囲にあり,(D_(99))は8.9?10.0μmの範囲にあることが看て取れる。

(2)甲1記載の発明
上記記載事項(1a),(1b)及び(1c)によれば,甲1には,次の発明が記載されているものと認められる。
「Al合金押出管の外表面に,Si粉末と,Zn含有フラックスおよびZn非含有フラックスとが含まれてなるフラックス層を形成させてなる熱交換器用チューブであって,
前記Al合金押出管に対する前記Si粉末の塗布量が1g/m^(2)以上5g/m^(2)以下の範囲であり,前記Zn含有フラックスの塗布量が5g/m^(2)以上20g/m^(2)以下の範囲であり,
前記Si粉末の最大粒径は,0.1μm以上30μm以下である熱交換器用チューブ。」(以下,「甲1発明」という。)

(3)対比・判断
(3-1)本件発明1について
本件発明1と甲1発明を対比すると,両者は以下の一致点,相違点を有する。
(一致点)
Al合金押出管の外表面に,Si粉末と,Zn含有フラックスおよびZn非含有フラックスとが含まれてなるフラックス層を形成させてなる熱交換器用チューブであって,
前記Al合金押出管に対する前記Si粉末の塗布量が1g/m^(2)以上5g/m^(2)以下の範囲であり,前記Zn含有フラックスの塗布量が5g/m^(2)以上20g/m^(2)以下の範囲である熱交換器用チューブ。

(相違点1)
本件発明1では,フラックス層にバインダを含むのに対し,甲1発明では,フラックス層にバインダを含むのか明らかではない点。

(相違点2)
本件発明1では,「Si粉末は,99%粒径(D_(99))が5μm以上,20μm以下であり,さらに粒径が(D_(99))の5倍以上となる粗大粒の含有量が1ppm未満であり,前記Si粉末の50%粒径(D_(50))が,(D_(99))×0.05以上,(D_(99))×0.7以下とな」り,「但し,(D_(99))は,それ以下の粒径を有する粒子の累積体積が,全粒子の99%となる粒径を示し,(D_(50))は,それ以下の粒径を有する粒子の累積体積が,全粒子の50%となる粒径を示す」のに対し,甲1発明では,該事項を有するか明らかではない点。

上記相違点について検討する。
(相違点1)について
甲2(上記記載事項(2b))にも記載されるように,アルミニウム熱交換器用チューブ表面のSi粉末とフラックスを含むフラックス層にバインダを含有させることは,通常行われていたことと認められるから,甲1発明に係る同様のフラックス層にバインダを含有させることは,当業者が適宜なし得ることである。

(相違点2)について
甲1には,最大粒径に係る記載はあるものの粒度分布についての記載はない。
甲6には,Si粉末(商品名「Elkem Bremanger」)の(D_(99))は8.9?10.0μmの範囲にあり,(D_(50))は3.1?3.6μmの範囲にあることが看て取れる。
しかし,本件明細書の段落【0056】に「Si粉末は,以下に説明するレーザー回折式粒度分布測定装置にて粒度分布を測定する手段と篩い分けによる粒度選別手段を用いて粒径を調整し,表2に示す試料を調整した。<Si粉末粒度分布の規定方法>(1)市販の粒度分布が分かっているあるグレードのSi粉末を購入する。このままではレーザー回折式粒度分布測定装置を用いてもSiの粗大粒の分布は測定できない。市販Si粉末には粒度分布データが付いているが,粒度分布に該当しないSiの粗大粒を実質的には相当数含んでいる。」と記載されているように,本件発明は,粒度分布のわかっている市販のSi粉末であっても,粒度分布に該当しないSi粗大粒が相当数含まれていることを前提として,熱交換器用チューブのフラックス層に含有させるSi粉末として最適な粒度分布を定めたもの(具体的には,実施例のB1?B36に相当)と解されるから,当該相違点2における「Si粉末は,99%粒径(D_(99))が5μm以上,20μm以下であり,さらに粒径が(D_(99))の5倍以上となる粗大粒の含有量が1ppm未満であり,前記Si粉末の50%粒径(D_(50))が,(D_(99))×0.05以上,(D_(99))×0.7以下であり」との事項が,単に周知技術を示したものであるとはいえない。
特に,甲6には,Si粉末の(D_(99))の5倍以上となる粗大粒の含有量を1ppm未満とする技術的思想が開示されていない。

そして,本件発明が上記粒度分布を備えることにより,本件明細書の段落【0017】に記載の「本発明の熱交換器用チューブによれば,塗膜中のSi粉末の凝集や造粒作用を引き起こすことなく,塗布面にSi粉末を均一に分散させることができる。また,ろう付け時に塗布面にろうを均一に生成でき,局部的に深い腐食を生じることが無く,表面に犠牲陽極層を均一に生成することができる。」との効果を奏するものである。

したがって,本件発明1が,甲1発明と甲2及び甲6に記載された周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また,甲3?5,7?8においては,本件出願日前に頒布された発明または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明ではない。

なお,申立人は,甲1の実施例が甲4の実施例1に相当し,甲4の実施例1が審査過程において「Si粉末粗大粒を含まない場合の理想的な粉末を用いたもの」である旨の説明をもって,甲1が相違点2に係る構成を含む旨を主張をしているが,甲1の実施例が甲4の実施例1に相当したとしても,甲1には,Si粒子の粒径について相違点2に係る構成が開示されてないから,申立人の当該主張は採用できない。

(3-2)本件発明2?4について
本件発明2?4は,本件発明1における発明特定事項を全て含み,更に他の発明特定事項を含むものである。
そして,本件発明1が上記のとおり,甲1発明と甲2及び甲6に記載された周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから,本件発明2-4についても,甲1発明と甲2及び甲6に記載された周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.申立理由2について
(1)本件請求項1には,「前記Si粉末は,99%粒径(D_(99))が5μm以上,20μm以下であり,さらに粒径が(D_(99))の5倍以上となる粗大粒の含有量が1ppm未満であることを特徴とする熱交換器用チューブ」との記載に続いて,「但し,(D_(99))は,それ以下の粒径を有する粒子の累積体積が,全粒子の99%となる粒径を示す。」と記載されており,「99%」との割合は,体積の割合であることから,「1ppm」が,体積の割合であることは明らかである。
よって,請求項1における「前記Si粉末は,99%粒径(D_(99))が5μm以上,20μm以下であり,さらに粒径が(D_(99))の5倍以上となる粗大粒の含有量が1ppm未満であることを特徴とする熱交換器用チューブ」との記載が不明確であるとはいえない。

(2)本件明細書の【0056】?【0057】には,以下の記載がある(下線は,当審にて付した。)。
「【0056】
Si粉末は,以下に説明するレーザー回折式粒度分布測定装置にて粒度分布を測定する手段と篩い分けによる粒度選別手段を用いて粒径を調整し,表2に示す試料を調整した。
<Si粉末粒度分布の規定方法>
(1)市販の粒度分布が分かっているあるグレードのSi粉末を購入する。このままではレーザー回折式粒度分布測定装置を用いてもSiの粗大粒の分布は測定できない。市販Si粉末には粒度分布データが付いているが,粒度分布に該当しないSiの粗大粒を実質的には相当数含んでいる。
(2)(D_(99))×5が目開きのサイズの篩を用いて,Si粉末の「ふるい分け」を行う。
【0057】
(3)ふるい分けによって粒度の層別を行う。
(4)ふるい分け後,ふるいに残った粉は主に粗大粉であるため,レーザー回折式粒度分布測定装置にて粒度分布が測定できるようになる。
(5)ふるい分けにより一定粒度以下になった粉に上記Siの粗大粉を必要量添加することにより,所望の粗大粒含有量を有するSi粉末を作成する。
(6)従って,Si粉末に含まれるSi粗大粒の含有量を計算で求めた数値に厳密に調整することができる。このように粒度分布を調整したSi粉末を試験に使用した。」

また,甲5の第3頁第39?41行に「このように一般市販のSi粒子に大量の粗大粒が含まれる理由は,工業的に生産される粉末は,大量生産のため,サイクロン造粒機が採用されており,サイクロン造粒機を用いる限り,相当量の粗大粒子が混入することは避けられない。」と,製造過程においてSi粒子中の粗大粒の含有量の値が変化することが言及されている。

そうしてみると,本件明細書には,Si粒子の測定方法が記載されており,また,当該測定方法によってSi粒子中の粗大粒の含有量の値が変化する根拠はないことから,請求項1?4に係る発明は不明確とはいえない。

[5]むすび
したがって,上記申立理由1,2によっては,請求項1?4に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-07-07 
出願番号 特願2014-83211(P2014-83211)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (F28F)
P 1 651・ 121- Y (F28F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松井 裕典横溝 顕範  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 鳥居 稔
大山 広人
登録日 2015-09-18 
登録番号 特許第5809728号(P5809728)
権利者 三菱アルミニウム株式会社
発明の名称 熱交換器用チューブ  
代理人 大浪 一徳  
代理人 松沼 泰史  
代理人 寺本 光生  
代理人 細川 文広  
代理人 志賀 正武  
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