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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1317282
審判番号 不服2015-20558  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-18 
確定日 2016-07-07 
事件の表示 特願2014-544372「部品内蔵基板および通信端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月 8日国際公開、WO2014/069107〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、2013年9月12日(優先権主張2012年10月31日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成26年11月27日に手続補正書が提出され、平成27年5月25日付けで拒絶理由が通知され、平成27年7月8日に意見書が提出されたが、平成27年9月2日付け(発送日:平成27年9月8日)で拒絶査定され、これに対し、平成27年11月18日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年11月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「複数の樹脂層を積層した多層基板と、該多層基板に内蔵され、少なくとも一つの主面に複数の端子電極を有する電子部品と、を備えた部品内蔵基板であって、
前記複数の樹脂層は、少なくとも、
前記電子部品を収容する空間が形成された第一樹脂層であって、該電子部品の主面が有する少なくとも三辺それぞれの外側に少なくとも一つずつ設けられ、導電性ペーストが固化されることにより形成される第一層間接続体を有する第一樹脂層と、
前記主面が有する少なくとも三辺それぞれの外側に少なくとも一つずつ設けられ、導電性ペーストが固化されることにより形成される第二層間接続体と、前記複数の端子電極と直接接合し、導電性ペーストが固化されることにより形成される複数の第三層間接続体と、を少なくとも有する第二樹脂層と、を含み、
前記第一樹脂層と前記第二樹脂層は、前記多層基板内で積層方向に隣接しており、前記第一層間接続体と前記第二層間接続体とは直接的に接合されている、部品内蔵基板。」

第3 刊行物に記載された事項と引用発明
1 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2012-15239号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに、以下の(1)ないし(10)の事項が記載されている。(下線は当審が付したものである。)

(1)「【0001】
本発明は、複数の樹脂層を積層してなる絶縁基材に電子部品が埋設されるとともに電子部品がフリップチップ実装された部品内蔵配線基板に関するものである。」

(2)「【0038】
図1及び図2に示す部品内蔵配線基板10(半導体装置とも言う)は、基本的な構成要素として、絶縁基材20、絶縁基材20に設けられた導体パターン30及び層間接続体40、絶縁基材20の内部に埋設された電子部品50、絶縁基材20に設けられた貫通部材60を備えている。さらに、部品内蔵配線基板10は、放熱部材70を備えている。」

(3)「【0043】
本実施形態に係る絶縁基材20は、図2に示すように、厚み方向において、一面20a側から、熱硬化性樹脂フィルム21a、熱可塑性樹脂フィルム22a、熱硬化性樹脂フィルム21b、熱可塑性樹脂フィルム22b、熱硬化性樹脂フィルム21c、熱可塑性樹脂フィルム22cの順に計6枚の樹脂フィルムが積層されてなる。すなわち、熱可塑性樹脂フィルムと熱硬化性樹脂フィルムとが交互に積層されて、絶縁基材20が構成されている。」

(4)「【0047】
一方、層間接続体40は、絶縁層としての樹脂フィルムをそれぞれ貫通する導電部材であり、本実施形態では、樹脂フィルムにおいて、厚み方向に沿って設けられたビアホール(貫通孔)に導電性ペーストが充填され、この導電性ペースト中の導電性粒子を加圧・加熱により焼結して構成されている。層間接続体40も、導体パターン30とともに、電子部品50と外部とを電気的に接続する配線部として用いられるものである。また、上記伝熱経路部や貫通部材60として用いることもできる。
【0048】
本実施形態では、導体パターン30(31,32)と第1層間接続体41とにより、電子部品50の電極51aと外部接続用のパッド33とを電気的に接続する配線部が構成されている。また、上記配線部を構成する第1層間接続体41とは別の第2層間接続体42により、電子部品50のダミー電極51bと放熱部材70とを熱的に接続する伝熱経路部が構成されている。さらには、上記第1層間接続体41,第2層間接続体42とは別の第3層間接続体43と導体パターン30(35)とにより、貫通部材60が構成されている。」

(5)「【0057】
電子部品50の厚み方向における表面のうち、絶縁基材20の一面20a側の表面には電極51aが複数形成されて、これら電極51aは対向配置されたパッド31と接続部52を介して電気的且つ機械的に接続されている。すなわち、電極51a形成面が、電子部品50のフリップチップ実装面となっている。」

(6)「【0067】
本実施形態では、貫通部材60が、複数の樹脂フィルムに配置された第3層間接続体43と導体パターン35により構成されており、隣接する第3層間接続体43が直接接続された部分と、隣接する第3層間接続体43の間に導体パターン35が介在された部分を有している。また、厚み方向において隣接する樹脂フィルムに配置された第3層間接続体43が、垂直方向に沿う平面において少なくとも一部が重なるように配置されている。換言すれば、垂直方向に沿う仮想平面に投影した状態で、隣接する第3層間接続体43が互いに重なるように配置されている。特に本実施形態では、全ての第3層間接続体43の中心が、垂直方向に沿う仮想平面に投影した状態で、互いにほぼ一致するように配置されている。すなわち、貫通部材60が厚み方向に沿う直線形状となるように配置されている。」

(7)「【0110】
このとき、1)複数個の電子部品50が空洞部23(孔部)に配置されて積層方向において互いに同一位置となる、2)1枚の放熱部材70が複数個の電子部品50と対向しつつ積層方向において表層となる、3)各電子部品50におけるフリップチップ実装面(電極51a形成面)の反対面と放熱部材70との間に、各電子部品50と放熱部材70とを熱的に接続するための導電性ペースト40a(後の第2層間接続体42)を有した樹脂フィルムが位置する、4)熱可塑性樹脂フィルムが少なくとも1枚おきに位置しつつ、電子部品50のフリップチップ実装面、該フリップチップ実装面と反対の面、及び放熱部材70における電子部品50との対向面に隣接するように、積層する。」

(8)「【0112】
詳しくは、熱硬化性樹脂フィルム21aの導体パターン形成面上に熱可塑性樹脂フィルム22aを積層し、熱可塑性樹脂フィルム22a上に、半導体ユニット11を、熱硬化性樹脂フィルム21bを搭載面として積層する。半導体ユニット11における熱可塑性樹脂フィルム22b上には、空洞部23内に電子部品50が位置するように、熱硬化性樹脂フィルム21cを積層する。また、熱硬化性樹脂フィルム21c及び電子部品50上に熱可塑性樹脂フィルム22cを積層し、熱可塑性樹脂フィルム22c上に放熱部材70を積層して、1つの積層体を形成する。」

(9)「【0122】
次に、加圧・加熱工程において、層間接続体40による接続について説明する。
【0123】
上記加熱により、導電性ペースト40a中のSn(融点232℃)が溶融し、同じく導電性ペースト40a中のAg粒子に拡散して、Ag-Sn合金(融点480℃)を形成する。また、導電性ペースト40aに圧力が加えられているため、焼結により一体化した合金からなる層間接続体40(41,42,43)がビアホール内に形成される。この第2層間接続体42により、各電子部品50と放熱部材70とを熱的に接続する伝熱経路部が構成される。また、第3層間接続体43により、貫通部材60が構成される。」

(10)「【0207】
本実施形態では、電子部品50の電極51aにスタッドバンプ52aが設けられ、スタッドバンプ52a由来の接続部52により、電極51aと対応するパッド31が電気的に接続される、すなわち電子部品50が基板(熱硬化性樹脂フィルム21b)にフリップチップ実装される例を示した。しかしながら、電子部品50が基板(熱硬化性樹脂フィルム21b)にフリップチップ実装される構成としては、上記スタッドバンプ52aに限定されるものではない。換言すれば、電極51aはファインピッチに限定されるものではない。電子部品50はフリップチップ接続されれば良い。例えば、はんだペーストにより、電極51aとパッド31とが接続されても良い。」

(11)上記記載事項(9)の「また、導電性ペースト40aに圧力が加えられているため、焼結により一体化した合金からなる層間接続体40(41,42,43)がビアホール内に形成される。・・・省略・・・また、第3層間接続体43により、貫通部材60が構成される。」との記載から、貫通部材60を構成する第3層間接続体43は、導電性ペースト40aが焼結されることにより形成されたと認められる。

(12)上記記載事項(1)及び記載事項(2)の「図1及び図2に示す部品内蔵配線基板10」(段落【0038】)との記載に照らせば、【図2】の断面図からは、複数の樹脂層を積層してなる絶縁基材としての多層基板が見て取れる。

(13)上記記載事項(8)に照らせば、電子部品50を、熱硬化性フィルム21cの層の空洞部23に収容した構造が、【図2】及び【図6】の断面図から見て取れる。

(14)【図1】の平面図から、貫通部材60は、電子部品50の面20a側の表面が有する四辺それぞれの外側に複数ずつ設られていることが見て取れる。

(15)上記記載事項(5)に照らせば、【図2】の断面図からは、複数の電極51aが熱可塑性樹脂フィルム22bの層の複数の接続部52と直接接合する構造が見て取れる。

(16)上記記載事項(8)に照らせば、【図2】の断面図からは、熱硬化性フィルム21cの層と熱可塑性樹脂フィルム22bの層とが積層方向で隣接している構造が見て取れる。

(17)上記記載事項(6)の「隣接する第3層間接続体43が直接接続された部分」との記載に照らせば、【図2】の断面図からは、熱硬化性フィルム21cの層の層間接続体43と熱可塑性樹脂フィルム22bの層の層間接続体43とが、直接接続されている構造が見て取れる。

(18)上記定事項(11)及び図示事項(14)から、層間接続体43は、電子部品50の面20a側の表面が有する四辺それぞれの外側に複数ずつ設られていると認められる。

上記記載事項(1)ないし(10)、認定事項(11)及び(18)並びに図示内容(12)ないし(17)を総合して、本願発明に則って整理すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「複数の樹脂層を積層した多層基板と、該多層基板に埋設され、面20a側の表面に複数の電極51aを有する電子部品50と、を備えた部品内蔵配線基板であって、
前記複数の樹脂層は、
前記電子部品50を収容する空洞部23が形成された熱硬化性フィルム21cであって、該電子部品50の面20a側の表面が有する四辺それぞれの外側に複数ずつ設けられ、導電性ペースト40aが焼結により一体化されることにより形成される第三層間接続体43を有する熱硬化性フィルム21cの層と、
前記面20a側の表面が有する四辺それぞれの外側に複数ずつ設けられ、導電性ペースト40aが焼結により一体化されることにより形成される第三層間接続体43と、前記複数の電極51aと直接接合するスタッドバンプ52a由来の複数の接続部52と、を有する熱可塑性樹脂フィルム22bの層と、を含み、
前記熱硬化性フィルム21cの層と前記熱可塑性樹脂フィルム22bの層は、前記多層基板内で積層方向に隣接しており、熱硬化性フィルム21cの層の層間接続体43と熱可塑性樹脂フィルム22bの層の層間接続体43とは直接接続されている、部品内蔵配線基板。」

2 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2007-305674号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに、以下の(19)ないし(22)の事項が記載されている。

(19)「【0001】
本発明は、基板内に内蔵された電子部品の電極と基板表面に設けられた接続部との間を内部配線部で接続した多層配線基板からなる部品内蔵基板及びその配線不良検査方法に関する。」

(20)「【0011】
さて、上記構成の多層配線基板2を製造するための本実施例に係る製造方法について、図3ないし5も参照して述べる。
図3は、図1に示した多層配線基板2の分解図である。多層配線基板2を製造するにあたっては、まず、絶縁層5の元となる基材9を形成する基材形成工程を実行する。この基材9は、絶縁層5を構成する結晶転移型の熱可塑性樹脂からなるフィルム10上に、導体パターン6を形成すると共に、フィルム10の所定部位にビア7を構成するためのビアホール11を形成し、さらにビアホール11内に導電ペースト12を充填して形成されている。」

(21)「【0019】
このような工程の結果、図1に示すように、多層の絶縁層5間に導体パターン6が埋込まれると共に、ビアホール11内の導電ペースト12が硬化してビア7が形成されるようになる。これと同時に、チップ抵抗4が、その各電極が上から3層目と6層目の絶縁層5の導体パターン6に接続された状態で、絶縁層5内に埋込まれるようになり、以て、多層配線基板2が構成されるのである。
【0020】
このとき、チップ抵抗4の電極4aの表面及び裏面においては、チップ抵抗4の電極4aの金属皮膜と、ビアホール11内の導電ペースト12とが相互拡散して合金層を形成し、チップ抵抗4の電気的接続が行われて且つ機械的にも高い接合性を得ることができる。
また、基材9のうち、チップ抵抗4が配置される部分に孔15を形成しておいたことにより、熱プレス工程においてチップ抵抗4が、基材9の材料(熱可塑性樹脂)を押しのけて多層配線基板2の変形を招く等の弊害の発生を未然に防止することができる。」

(22)「【0032】
電子部品としてチップ抵抗4を採用したが、それ以外でも各種の電子部品(センサ類を含む)を多層配線基板2内に埋込んだ形態の基板に適用するようにしてもよい。」

上記記載事項(19)ないし(22)を総合して、本願発明に則って整理すると、刊行物2には、以下の事項が記載されている。

「各電極4aと合金層を形成して接合し、導電ペースト12が硬化されることにより形成される各ビアを有する、結晶転移型の熱可塑性樹脂からなるフィルム10から構成される絶縁層5」

3 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平7-73730号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(23)「【0002】
【従来の技術】導電粉末は有機バインダー、溶剤等に分散して、導電回路、電磁波シールド、電極、スルーホール、導電接着剤、フリップチップボンデイングなどに用いられる導電ペーストや、電極-電極間の導通接続などに用いられている。・・・」

4 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平8-83818号公報(以下、「刊行物4」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(24)「【0002】
【従来の技術】従来のフリップチップ方式の一例は昭和63年12月24日株式会社トリケップスから発行された刊行物「先端高密度表面実装技術」(以下文献1)に示されている。この文献1の第32頁記載の図16(4)にははんだ接続のフリップチップ方式が示され、図16(5)には導電ペースト接着のフリップチップ方式が示されている。・・・」

第4 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「埋設」は、その技術的意義及び機能からみて本願発明の「内蔵」に相当し、以下同様に、「面20a側の表面」は「主面」に、「電極51a」は「端子電極」に、「電子部品50」は「電子部品」に、「部品内蔵配線基板」は「部品内蔵基板」に、「熱硬化性フィルム21cの層」は「第一樹脂層」に、「四辺」は「少なくとも三辺」に、「複数ずつ」は「少なくとも一つずつ」に、「導電性ペースト40a」は「導電性ペースト」に、「焼結により一体化」は「固化」に、「熱硬化性フィルム21cの層」の「層間接続体43」は「第一層間接続体」に、「熱可塑性樹脂フィルム22bの層」は「第二樹脂層」に、「熱可塑性樹脂フィルム22bの層」の「層間接続体43」は「第二層間接続体」に、「接続部52」は「第三層間接続体」に、「直接接続」は「直接的に接合」に、それぞれ相当する。

したがって、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

[一致点]
「複数の樹脂層を積層した多層基板と、該多層基板に内蔵され、主面に複数の端子電極を有する電子部品と、を備えた部品内蔵基板であって、
前記複数の樹脂層は、
前記電子部品を収容する空間が形成された第一樹脂層であって、該電子部品の主面が有する少なくとも三辺それぞれの外側に少なくとも一つずつ設けられ、導電性ペーストが固化されることにより形成される第一層間接続体を有する第一樹脂層と、
前記主面が有する少なくとも三辺それぞれの外側に少なくとも一つずつ設けられ、導電性ペーストが固化されることにより形成される第二層間接続体と、前記複数の端子電極と直接接合する複数の第三層間接続体を有する第二樹脂層と、を含み、
前記第一樹脂層と前記第二樹脂層は、前記多層基板内で積層方向に隣接しており、前記第一層間接続体と前記第二層間接続体とは直接的に接合されている、部品内蔵基板。」

[相違点]
本願発明の複数の第三層間接続体は、「導電性ペーストが固化されることにより形成される」のに対し、引用発明の複数の接続部52は、「スタッドバンプ52a由来」である点。

第5 判断
以下、相違点について検討する。

刊行物2に記載された事項の「各電極4a」は、その技術的意義及び機能からみて本願発明の「複数の端子電極」に相当し、以下同様に、「合金層を形成して接合」は「直接接合」に、「導電ペースト12」は「導電性ペースト」に、「硬化」は「固化」に、「各ビア7」は「複数の第三層間接続体」に、「結晶転移型の熱可塑性樹脂からなるフィルム10から構成される絶縁層5」は「第二樹脂層」に、それぞれ相当する。

したがって、刊行物2に記載された事項を本願発明の用語で表すと、
「複数の端子電極と直接接合し、導電性ペーストが固化されることにより形成される複数の第三層間接続体を有する第二樹脂層」と言いかえることができる。

ここで、刊行物1の記載事項(10)の「例えば、はんだペーストにより、電極51aとパッド31とが接続されても良い。」(段落【0207】)との記載の「はんだペースト」は、本願発明の「導電性ペースト」に相当すると認められるところ、この記載のほか、刊行物3の記載事項(23)や刊行物4の記載事項(24)を併せ見れば、フリップチップ接続に導電性ペーストを用いることは、従来周知の技術手段であるといえる。

そして、刊行物1には、「電子部品50はフリップチップ接続されれば良い。」(段落【0207】)と記載されており、引用発明の接続部52を、従来周知の導電性ペーストを用いたものに置き換えることは、刊行物1に触れた当業者が、通常思考し得る範囲内のことである。

そうであれば、引用発明の、スタッドバンプ52a由来の接続部52を、刊行物2に記載された「ビア7」のように、導電性ペーストを固化したものに置き換えることで、上記相違点の本願発明の構成とすることは、当業者にとって格別の困難性はない。

そして、スタッドバンプ52a由来の接続部52を、導電性ペーストを固化したものに置き換えることで、部品内蔵基板という物として奏する効果は、当業者が予測可能なものにすぎない。
また、総合的に見ても、引用発明、刊行物2に記載された事項及び周知の技術手段から予測できる以上の作用効果を本願発明が奏するとは認められない。

したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された事項及び周知の技術手段から、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


 
審理終結日 2016-05-06 
結審通知日 2016-05-10 
審決日 2016-05-23 
出願番号 特願2014-544372(P2014-544372)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井出 和水  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 小関 峰夫
内田 博之
発明の名称 部品内蔵基板および通信端末装置  
代理人 特許業務法人プロフィック特許事務所  

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