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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G01N 審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G01N |
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管理番号 | 1317407 |
審判番号 | 不服2015-3177 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-19 |
確定日 | 2016-07-20 |
事件の表示 | 特願2012-512066「タキサン型化学療法剤用のインジケータとしてのSER473でのAKTリン酸化反応」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月25日国際公開、WO2010/135671、平成24年11月 8日国内公表、特表2012-527631〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年5月21日(パリ条約による優先権主張日:平成21年5月22日 米国)を国際出願日として出願された外国語国際特許出願であって、平成26年2月14日付けで、意見書提出のための相当の期間としてその発送の日から3か月以内を指定して拒絶の理由が通知(発送日は同月25日)され、その指定期間内に出願人(本件審判請求人)から期間延長請求がなされたが、その請求により延長された指定の期間内に出願人からは何ら応答がなかったため、当該指定の期間経過後の平成26年10月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年2月19日に拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成27年2月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成27年2月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたり補正するものであって、その補正により本件補正前の請求項1ないし34(平成24年1月20日提出の翻訳文提出書に添付された請求の範囲の翻訳文に記載のものであって、特許法第184条の6第2項の規定により同法第36条第2項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲とみなされたもの、以下同じ。)を本件補正後の請求項1ないし18とするものである。 1 請求項10ないし14に係る本件補正事項について (1)本件補正後の請求項10の記載は、つぎのとおりのものである。 「 【請求項10】 乳癌を有する対象の腫瘍を治療するための、タキサン化合物を含む医薬組成物であって、以下: (a)該腫瘍の試料中のリン酸化Akt-Ser473(pAkt)タンパク質の発現状態に関する物理的データを得るために該試料の少なくとも1つの免疫組織化学的アッセイを行い;そして、 (b)該物理的データ該試料中のpAktのタンパク質の発現状態が陽性であることを示す場合には、該腫瘍はタキサン化合物での治療に感受性を有すると予測されること を含む予測方法によって、該対象がタキサン化合物での治療に感受性であると予測された後に、該組成物が該対象に投与される、医薬組成物。」(下線は、請求人の主張する本件補正前の請求項11の記載からの補正箇所を示す。) (2)本件補正後の請求項10に係る発明は、その末尾の記載から明らかなように「医薬組成物」に係る発明と認められるところ、本件補正前の特許請求の範囲には、請求項1ないし10に「癌を有する対象が、タキサン化合物での処置を含む治療レジメから利益を受けそうであるか否かを決定する方法」に係る発明が、請求項11ないし16に「対象における癌の治療方法」に係る発明が、請求項17ないし27に「患者がタキサン化合物での治療からの利益を受けそうであるか否かを決定するキット」に係る発明が、請求項28ないし34に「患者の癌を治療する方法」に係る発明が規定されているのみであって、「医薬組成物」に係る発明について規定する請求項は存在しない。 (3)そして、本件補正後の「医薬組成物」に係る発明を規定する請求項10に係る発明が、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮(以下、「限定的減縮」という。)を目的とするものに該当するためには、本件補正前のいずれかの請求項に記載した発明を限定的減縮するものであることが必要であるが、上記(1)のとおり、本件補正前の特許請求の範囲においては、本件補正後の請求項10に係る発明に対応する「医薬組成物」に係る発明が規定されていないのであるから、本件補正後の請求項10の記載は、本件補正前のいずれかの請求項に規定する発明を限定的減縮することを目的とするものといえないことは明らかである。 また、本件補正後の請求項10に係る発明に対応する発明が、本件補正前の特許請求の範囲に実質的に規定されていないことからすれば、本件補正により請求項10に係る発明が新たに追加されたものであるとも評価され得るものである。 してみると、そのような請求項10についての補正が特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものに該当するものではないことは明らかである。 (4)また、本件補正後の請求項10を直接的及び間接的に引用して記載している本件補正後の請求項11?14についての補正も同様に、特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものに該当するものではないことは明らかなことである。 (5)請求人は、審判請求書において、「(6)旧請求項11において、発明の主題を、本願明細書の例えば段落[0020]の「調製物」に基づいて「医薬組成物」に変更すると共に、旧請求項1に対する補正と同様の補正を行いました。旧請求項12?16についても同様に発明の主題を変更しました。」と主張し、本件補正後の請求項10ないし14は、本件補正前の請求項11ないし16の記載を補正するものである旨主張している。 しかしながら、上記で検討したように、本件補正前の請求項11は、 「対象における癌の治療方法であって、以下: (a) 前記癌がpAkt陽性であるか否かの決定を行い; (b) 前記癌がpAkt陽性であると決定した時に、前記対象がタキサン化合物での治療からの利益を受けそうであることを示すこと、 を含む、方法。」という、「対象における癌の治療方法」に係る方法の発明である。 そのような方法の発明と本件補正後の請求項10に係る「医薬組成物」という物の発明とは、発明のカテゴリーが相違するものであって、当該補正前と補正後のカテゴリーが異なる発明の間において、それらの産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるとはいえない。 してみると、請求人が主張するように、形式的に請求項10に係る本件補正事項が請求項11からの補正であるとしたとしても、その補正の目的は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当するものとはいえないから、請求人の主張は失当である。 2 請求項15?18に係る本件補正事項について 本件補正後の請求項15の記載はつぎのとおりのものである。 「 【請求項15】 乳癌を有する患者の腫瘍を治療するための、アントラサイクリン、シクロホスファミド及びタキサン化合物を含む医薬組成物であって、以下: (a)該腫瘍の試料中のリン酸化Akt-Ser473(pAkt)タンパク質の発現状態に関する物理的データを得るために該試料の少なくとも1つの免疫組織化学的アッセイを行い;そして、 (b)該物理的データ該試料中のpAktのタンパク質の発現状態が陽性であることを示す場合には、該腫瘍は、アントラサイクリン及びシクロホスファミドでの化学療法の使用、続いてタキサン化合物での治療に感受性を有すると予測されること を含む予測方法によって、該患者が、アントラサイクリン、シクロホスファミド及びタキサン化合物での治療に感受性であると予測された後に、該組成物が該患者に投与される、 医薬組成物。」(下線は、請求人の主張する本件補正前の請求項28の記載からの補正箇所を示す。) 本件補正後の請求項15ないし18に係る発明も、上記本件補正後の請求項10に係る発明と同様、「医薬組成物」に係る発明であることから、上記「1 請求項10ないし14に係る本件補正事項」において検討した理由と同様の理由から、本件補正後の請求項15?18に係る補正事項は、特許法第17条の2第5項各号に規定するいずれかの事項を目的とするものに該当しない。 また、請求人は、本件補正後の請求項15ないし18は、本件補正前の請求項28ないし32を補正するものであると主張しているが、請求項28ないし32に係る方法の発明と本件補正後の請求項15ないし18に係る「医薬組成物」という物の発明とは、発明のカテゴリーが相違するものであって、当該補正前と補正後のカテゴリーが異なる発明の間において、それらの産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるとはいえないから、形式的に請求項15ないし18に係る本件補正事項が請求項28ないし32からの補正であるとしても、その補正の目的は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当するものとはいえない。 3 補正の却下の決定の結び 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成27年2月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし34に係る発明(以下、「本願発明1ないし34」などという。)は、平成24年1月20日提出の翻訳文提出書に添付された請求の範囲の翻訳文に記載のものであって、特許法第184条の6第2項の規定により同法第36条第2項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲とみなされた請求項1ないし34に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 本願発明28ないし34について (1)本願発明28は、以下のとおりのものである。(下線は当審で付加した。) 「【請求項28】 アントラサイクリン及びシクロホスファミドでの化学療法の使用、続いてタキサン化合物での治療を含む、患者の癌を治療する方法において、前記癌がpAkt陽性であるか否かの決定を得るステップを含むことを特徴とする、方法。」 (2)本願発明28においては、その発明特定事項として、「アントラサイクリン及びシクロホスファミドでの化学療法の使用」すなわち、「特定の薬剤での化学療法の使用」、それに続いて、「タキサン化合物での治療」という経時的手順を含む「患者の癌を治療する方法」が規定されているから、本願発明28は、人間である患者の癌を治療する手順を含む方法にほかならないから、「人間を手術、治療又は診断する方法」に該当する。 してみると、本願発明28は、産業上利用することができる発明に該当しない。 そして、本願発明28を直接的又は間接的に引用する本願発明29ないし34も同様に、産業上利用することができる発明に該当しない。 3 本願発明11ないし16について (1)本願発明11は、以下のとおりのものである。 「【請求項11】 対象における癌の治療方法であって、以下: (a) 前記癌がpAkt陽性であるか否かの決定を行い; (b) 前記癌がpAkt陽性であると決定した時に、前記対象がタキサン化合物での治療からの利益を受けそうであることを示すこと、 を含む、方法。」 (2)本願発明11における「対象」は、ヒトが除外されているものではないから、ヒトにおける癌の治療方法を包含するので、「人間を手術、治療又は診断する方法」に該当するものに他ならない。 してみると、本願発明11も、産業上利用することができる発明に該当しない。 そして、本願発明11を直接的又は間接的に引用する本願発明12ないし16も同様に、産業上利用することができる発明に該当しない。 4 むすび 上記のとおり、本願発明11ないし16及び28ないし34は、いずれも産業上利用することができる発明に該当するものではなく、特許法第29条第1項柱書きに規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-02-18 |
結審通知日 | 2016-02-23 |
審決日 | 2016-03-07 |
出願番号 | 特願2012-512066(P2012-512066) |
審決分類 |
P
1
8・
14-
Z
(G01N)
P 1 8・ 57- Z (G01N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 草川 貴史 |
特許庁審判長 |
郡山 順 |
特許庁審判官 |
尾崎 淳史 松本 隆彦 |
発明の名称 | タキサン型化学療法剤用のインジケータとしてのSER473でのAKTリン酸化反応 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 渡辺 陽一 |
代理人 | 福本 積 |
代理人 | 古賀 哲次 |
代理人 | 武居 良太郎 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 中村 和美 |