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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F02D
管理番号 1317466
審判番号 不服2015-16589  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-09 
確定日 2016-08-16 
事件の表示 特願2013-542791「筒内圧センサの異常診断装置及びこれを備えた筒内圧センサの感度補正装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月16日国際公開、WO2013/069157、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願(以下、「本願」という。)は、2011年11月11日を国際出願日とする出願であって、平成26年3月19日に国内書面が提出され、平成27年3月23日付けで拒絶理由が通知され、平成27年4月14日に意見書が提出されたが、平成27年6月15日付けで拒絶査定がされ、平成27年9月9日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その後、当審において平成28年3月11日付けで拒絶理由が通知され、平成28年5月11日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年5月31日付けで最後の拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成28年6月24日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成28年6月24日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲並びに出願当初の明細書及び図面からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は次のとおりである。

「 【請求項1】
内燃機関の筒内圧に応じた値を出力する筒内圧センサの異常診断装置であって、
着火時期が圧縮上死点後となるように点火時期を遅角して、着火前と着火後にそれぞれ筒内圧のピークを生じさせる点火時期遅角手段と、
前記点火時期遅角手段により点火時期を遅角した場合に、前記着火前の筒内圧のピークにおける前記筒内圧センサの出力値(以下、着火前出力ピーク値という。)及びそのクランク角の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記着火前出力ピーク値及びそのクランク角の少なくとも一方を用いて筒内圧センサの異常を判定する判定手段と、を備え、
前記検出手段は、少なくとも前記着火前出力ピーク値が検出されるクランク角を検出し、
前記判定手段は、前記着火前出力ピーク値が検出されるクランク角と圧縮上死点との差が所定値以上の場合に、前記筒内圧センサに異常があると判定すること、
を特徴とする筒内圧センサの異常診断装置。
【請求項2】
前記検出手段は、少なくとも前記着火前出力ピーク値を検出し、
前記判定手段は、前記着火前出力ピーク値と判定値との差が所定値以上の場合に、前記筒内圧センサに異常があると判定すること、
を特徴とする請求項1記載の筒内圧センサの異常診断装置。
【請求項3】
吸入空気量およびエンジン回転数に基づくパラメータと、モータリング波形の最大筒内圧との関係を予め記憶する記憶手段と、
前記関係から現在の前記パラメータに応じたモータリング波形の最大筒内圧を取得し、
前記判定値として設定する判定値設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項2記載の筒内圧センサの異常診断装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の筒内圧センサの異常診断装置と、
前記筒内圧センサに異常があると判定された場合に、前記着火前出力ピーク値と前記判定値の差が小さくなるように筒内圧を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする筒内圧センサの感度補正装置。
【請求項5】
請求項1記載の筒内圧センサの異常診断装置と、
前記筒内圧センサに異常があると判定された場合に、前記着火前出力ピーク値が検出されるクランク角と圧縮上死点との差が小さくなるように筒内圧波形の位相を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする筒内圧センサの位相ずれ補正装置。」

第3 原査定の理由について
1.原査定の理由の概要
(1)平成27年3月23日付け拒絶理由の概要
「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

引用文献1:特開昭59-206648号公報
引用文献2:特開昭62-192627号公報
引用文献3:特開平9-195844号公報

・請求項 1-4
・引用文献等 1、2
・備考
引用文献1には、着火時期が圧縮上死点後となるように点火時期を遅角して、着火前と着火後にそれぞれ筒内圧のピークを生じさせることで、モータリング圧力と燃焼圧力とを分離させることが記載されており、モータリング圧力を用いて筒内圧センサの補正を行うことも記載されている(特に、第4ページ左下欄第3行-右下欄第6行、第5図を参照。)。
引用文献2には、モータリング圧力のピーク値(Pm)を用いて筒内圧センサの補正を行うことが記載されている(特に、第3ページ右上欄第14行-左下欄第20行、第5、6図を参照。)。
引用文献1、2に記載の発明は、モータリング圧力を用いて筒内圧センサの補正を行うものである点で共通しており、引用文献1に記載の発明に引用文献2に記載の発明を適用し、モータリング圧力のピーク値を用いて筒内圧センサの補正を行うものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。また、引用文献1において、異常判定を行っているか明らかでないが、検出値と基準値との差に基づいて異常を判定することと、異常を判定した場合に補正を行うことは、常套手段である。
請求項3について、引用文献2には、判定値を設定する際に運転状態に応じることが記載されており、運転状態として負荷率は当業者が通常想起し得るものである。

・請求項 5、6
・引用文献等 1、3
・備考
引用文献3には、モータリング圧力のピーク値が検出されるクランク角を検出し、当該クランク角と圧縮上死点との差に基づいて筒内圧波形の位相を補正する装置が記載されている(特に、段落0022-0026を参照。)。
引用文献1、3に記載の発明は、モータリング圧力を用いて筒内圧センサの補正を行うものである点で共通しており、引用文献1に記載の発明に引用文献3に記載の発明を適用し、モータリング圧力のピーク値が検出されるクランク角を検出し、当該クランク角と圧縮上死点との差に基づいて筒内圧波形の位相を補正するものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。また、引用文献1において、異常判定を行っているか明らかでないが、検出値と基準値との差に基づいて異常を判定することと、異常を判定した場合に補正を行うことは、常套手段である。」

(2)平成27年6月15日付け拒絶査定の内容
「この出願については、平成27年 3月23日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
●理由(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-4
・引用文献等 1、2
出願人は、平成27年 4月14日付け意見書において、引用文献1、2には、着火前出力ピーク値を用いることについての記載がない旨を述べ、請求項1-4に係る発明が引用文献1及び2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではない旨主張している。
しかしながら、着火前のモータリング圧力(波形)を用いることは引用文献1に記載されており、ここに引用文献2に記載されたモータリング圧力のピーク値を用いる点を適用すれば、着火前出力ピーク値を用いるものとなる。
よって、出願人の主張は採用できない。

・請求項 5、6
・引用文献等 1、3
上記拒絶理由通知書を参照。

<引用文献等一覧>
1.特開昭59-206648号公報
2.特開昭62-192627号公報
3.特開平9-195844号公報」


2.原査定の理由についての判断
2.-1 引用文献
(1)引用文献1
(1-1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の記載がある。なお、下線は理解の一助のため当審において付加したものである。

(ア)「(発明の目的)
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、燃焼室内圧力を検出する圧力センサの出力を内燃機関の実働中に自動的に較正する方法を提供することを目的とする。」(第2ページ右下欄第3行目ないし第7行目)

(イ)「次に本発明の圧力センサの出力の較正方法について説明する。
なおこの較正演算は、各種入力信号S1?S7に応じて演算装置17で行なう。
第3図は吸入空気量(吸入空気量信号S1から求める)と圧力センサ16の出力との関係図である。
第3図において、L1は燃焼室内圧力(圧力センサ16の出力そのもの)、L2はモータリング圧力(ピストンの上下によって燃焼室内の気体が圧縮されて生じる圧力)を示し、L1とL2との差が燃焼圧力(混合気の燃焼によって生じる圧力)である。
なお燃焼室内圧力の値はピストンの位置すなわちクランク角および点火時期、EGR量、空燃比に応じて変化するから、第3図のL1の特性は、特定のクランク角および特定の運転状態における値を示す。
第3図から判るように、一定のクランク角および一定の運転状態における吸入空気量と燃焼室内圧力とは比例関係にあるので、吸入空気量を用いて燃焼室内圧力の較正を行なうことが出来る。
また後述のごとく、モータリング圧力は運転状態に関わらず吸入空気量と比例関係にあるから、燃焼室内圧力からモータリング圧力を分離することが出来れば、上記の較正を確実かつ容易に行なうことが出来る。」(第3ページ右下欄第1行目ないし第4ページ左上欄第7行目)

(ウ)「次に第4図は、本発明の演算を示すフローチャートの一実施例図である。
第4図において、まずP1で点火時期、EGR量および空燃比が一定の状態で、特定のクランク角における燃焼室内圧力を測定して記憶する。
なお後述するごとく、燃焼室内圧力から求めたモータリング圧力を用いるときは、点火時期等は一定にする必要はなく、特定のクランク角での値であればよい。
次にP2で、吸入空気量を測定して記憶する。
なおこれは吸入空気量に限らずそれと同等の運転変数、たとえば吸入負圧、スロットル弁開度等でもよい。
次にP3で、吸入空気温度を測定(吸気管2に設けた温度センサたとえばサーミスタ等で測定)し、それによってP2で求めた吸入空気量を基準温度の値に補正する。
次にP4で、前記第3図に示すごとき比例関係を利用して、その形式の内燃機関について予め実験で求めておいた基準値と、P1、P3で求めた燃焼室内圧力と吸入空気量の対応関係とを比較する。
P4で燃焼室内圧力の値が過大側に偏っていた場合にはP5へ行き、基準値との偏差分だけ圧力センサの値を減少させる補正をする。
P4で燃焼室内圧力の値が過小側に偏っていた場合にはP6へ行き、基準値との偏差分だけ圧力センサの値を増加させる補正をする。
上記のごとき演算によって圧力センサの出力を内燃機関の作動中に自動的に較正することが出来る。
上記の演算においては、燃焼室内圧力そのものを用いて較正する方法を示したが、第4図のフローチャートにおいて、燃焼室内圧力の代りにモータリング圧力を用いてもよい。」(第4ページ左上欄第12行目ないし左下欄第6行目)

(エ)「次にモータリング圧力波形と燃焼圧力波形とを識別する方法について説明する。
実際の内燃機関に取付けた圧力センサ16によって検出される燃焼室内圧力波形は、第5図に示すようになる。第5図において、A?Dは点火時期を変えたことによる燃焼室内圧力波形の変化を示し、AからDへゆくに従って次第に点火時期が遅くなった状態を示す。またA1、B1、C1、D1はそれぞれ全体の燃焼室内圧力波形を示し、A2、B2、C2、D2はそれぞれモータリング圧力波形を示す。また斜線部分が燃焼圧力である。
第5図から判るように、燃焼室内圧力波形はモータリング圧力と燃焼圧力とが合成されたものであるから、このままではモータリング圧力と燃焼圧力とを分離して求めることは出来ない。しかしモータリング圧力波形は、その性質上、上死点TDCに対して対称であるから、CまたはDのごとき波形にすれば、モータリング圧力と燃焼圧力とを分離することが可能となる。
すなわちCやDの波形においては、波形の立上り時点(下死点に相当)T0から上死点TDCまでは、モータリング圧力のみであるからこの波形を記憶し、上死点TDC以降はその記憶した値を上死点TDCに対して対称に演算すれば、燃焼圧力を除いたモータリング圧力のみが得られ、その値を全体の燃焼室内圧力から引算すれば、燃焼圧力が求められる。」(第4ページ左下欄第7行目ないし右下欄第14行目)

(オ)「上記のようにして分離したモータリング圧力は点火時期等の他の運転変数に関わらず吸入空気量に比例するから、この値に基づいて第4図の補正演算を行なえば運転状態を特定する必要がなくなり、容易に正確な較正を行なうことが出来る。」(第5ページ右下欄第16行目ないし第20行目)

(1-2)上記(1-1)及び図面の記載から分かること

(カ)上記(1-1)(ア)ないし(ウ)並びに第3及び4図の記載によれば、演算装置17は、内燃機関の燃焼室内圧力そのものに応じた値を出力する圧力センサ16を較正することが分かる。ここで、圧力センサ16を較正することが、圧力センサ16に較正を要する異常があるか否かを判定し、診断することを内包しているのは明らかである。してみると、演算装置17は、内燃機関の燃焼室内圧力そのものに応じた値を出力する圧力センサ16に較正を要する異常があるか否かを判定し、診断し、圧力センサ16を較正することが分かる。

(キ)上記(カ)において、演算装置17が、内燃機関の燃焼室内圧力そのものに応じた値を出力する圧力センサ16に較正を要する異常があるか否かを判定し、診断する機能をつかさどる部分を備えることは明らかであるところ、以下、便宜上、演算装置17の備える当該部分を「圧力センサ16の異常判定診断装置」という。

(ク)上記(1-1)(エ)及び第5図の記載によれば、圧力センサ16の異常判定診断装置は、燃焼開始時期が上死点TDC後となるように点火時期が遅くなった状態に点火時期を変えて、燃焼開始前と燃焼開始後にそれぞれ燃焼室内圧力のピークを生じさせることが分かる。ここで、圧力センサ16の異常判定診断装置が上述したとおりに点火時期を変える手段を備えることは明らかであるところ、以下、便宜上、当該手段を「点火時期変更手段」という。してみると、圧力センサ16の異常判定診断装置は、燃焼開始時期が上死点TDC後となるように点火時期が遅くなった状態に点火時期を変えて、燃焼開始前と燃焼開始後にそれぞれ燃焼室内圧力のピークを生じさせる点火時期変更手段を備えることが分かる。

(ケ)上記(1-1)(ウ)及び(エ)並びに第5図の記載を、上記(ク)とあわせてみると、圧力センサ16の異常判定診断装置は、点火時期変更手段により点火時期が遅くなった状態に点火時期を変えた場合に、圧力センサ16の出力値に基づいて着火前の燃焼室内圧力の波形を記憶し、モータリング圧力の値を得て、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を検出することが分かる。ここで、圧力センサ16の異常判定診断装置が上述したとおりに特定のクランク角でのモータリング圧力の値を検出する手段を備えることは明らかであるところ、以下、便宜上、当該手段を「検出手段」という。してみると、圧力センサ16の異常判定診断装置は、点火時期変更手段により点火時期が遅くなった状態に点火時期を変えた場合に、圧力センサ16の出力値に基づく着火前の燃焼室内圧力の波形を記憶し、モータリング圧力の値を得て、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を検出する検出手段を備えることが分かる。

(コ)上記(1-1)(イ)ないし(オ)及び第3ないし4図の記載を、上記(カ)ないし(ケ)とあわせてみると、圧力センサ16の異常判定診断装置は、検出手段の検出した、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値と、基準値との差がある場合に、圧力センサ16に較正を要する異常があると判定することが分かる。ここで、圧力センサ16の異常判定診断装置が、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を用いて、検出手段の検出した特定のクランク角でのモータリング圧力の値と、基準値との差が0より大きい場合に、圧力センサ16に較正を要する異常があると判定する手段を備えることは明らかであるところ、以下、便宜上、当該手段を「判定手段」という。してみると、圧力センサ16の異常判定診断装置は、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を用いて圧力センサ16に較正を要する異常があると判定する判定手段を備え、検出手段は、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を検出し、判定手段は、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力と基準値との差0より大きい場合に、圧力センサ16に較正を要する異常があると判定することが分かる。

(サ)上記(1-1)(イ)ないし(オ)及び第3ないし4図の記載を、上記(カ)ないし(コ)とあわせてみると、圧力センサ16の異常判定診断装置は、吸入空気量と特定のクランク角におけるモータリング圧力との関係を利用して、測定した吸入空気量を基準温度の値に補正し、この補正後の値に対応する特定のクランク角におけるモータリング圧力の値を求めておき、上記(ケ)における基準値とすることが分かる。ここで、圧力センサ16の異常判定診断装置が、吸入空気量と特定のクランク角におけるモータリング圧力との関係を利用するに当たって、前記関係を予め記憶する手段を備えることは明らかであるところ、以下、便宜上、当該手段を「記憶手段」という。また、圧力センサ16の異常判定診断装置が、前記関係を利用して、測定した吸入空気量を基準温度の値に補正し、この補正後の値に対応する特定のクランク角におけるモータリング圧力の値を求めておき、基準値として設定する手段を備えることは明らかであるところ、以下、便宜上、当該手段を「基準値設定手段」という。してみると、圧力センサ16の異常判定診断装置は、吸入空気量と特定のクランク角におけるモータリング圧力との関係を予め記憶する記憶手段と、前記関係を利用して、測定した吸入空気量を基準温度の値に補正し、この補正後の値に対応する特定のクランク角におけるモータリング圧力の値を求めておき、基準値として設定する基準値設定手段とを備えることが分かる。

(シ)上記(1-1)(ウ)ないし(オ)及び第3ないし4図の記載を、上記(カ)ないし(サ)とあわせてみると、演算装置17は、圧力センサ16の異常判定診断装置を備え、圧力センサ16に較正を要する異常があると判定された場合に、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値と基準値との偏差分だけ圧力センサ16の出力の値を補正することが分かる。ここで、演算装置17が、上述したとおりに圧力センサ16の出力の値を補正する手段を備えることは明らかであるところ、以下、便宜上、当該手段を「補正手段」という。してみると、演算装置17は、圧力センサ16に較正を要する異常があると判定された場合に、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値と基準値との偏差分だけ圧力センサ16の出力の値を補正する補正手段を備えることが分かる。

(1-3)引用発明
したがって、上記(1-1)及び(1-2)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>
「内燃機関の燃焼室内圧力そのものに応じた値を出力する圧力センサ16に較正を要する異常があるか否かを判定し、診断する機能をつかさどる、圧力センサ16の異常判定診断装置であって、
燃焼開始時期が上死点TDC後となるように点火時期が遅くなった状態に点火時期を変えて、燃焼開始前と燃焼開始後にそれぞれ燃焼室内圧力のピークを生じさせる点火時期変更手段と、
点火時期変更手段により点火時期が遅くなった状態に点火時期を変えた場合に、圧力センサ16の出力値に基づいて着火前の燃焼室内圧力の波形を記憶し、モータリング圧力の値を得て、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を検出する検出手段と、
圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を用いて圧力センサ16に較正を要する異常があると判定する判定手段とを備え、
検出手段は、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を検出し、
判定手段は、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力と基準値との差が0より大きい場合に、圧力センサ16に較正を要する異常があると判定するものであって、
吸入空気量と特定のクランク角でのモータリング圧力との関係を予め記憶する記憶手段と、前記関係を利用して、測定した吸入空気量を基準温度の値に補正し、この補正後の値に対応する特定のクランク角でのモータリング圧力の値を求めておき、基準値として設定する基準値設定手段と、
を備える圧力センサ16の異常判定診断装置と、
圧力センサ16に較正を要する異常があると判定された場合に、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値と基準値との偏差分だけ圧力センサ16の出力の値を補正する補正手段と、
を備える、圧力センサ16に較正を要する異常があるか否かを判定し、診断し、圧力センサ16を較正する、演算装置17。」

(2)引用文献2
(2-1)引用文献2の記載事項
引用文献2には、以下の記載がある。なお、下線は理解の一助のため当審において付加したものである。

(ア)「続いて、第4図フロー・チャートを参照しつつ本発明に係る補正方法の実施例を説明する。
先ず、ステップ50において、気筒判別を行ない、気筒アドレス(C/A=n)を付す。これは、前記装置のクランク角センサよりの信号を待機して行なう。云うまでもなく、各気筒に配設されたセンサごとに補正値を求めるためである。
続いて、ステップ52において機関の所定運転状態、実施例の場合非爆発状態を検出する。該状態を検出するには、前記本方法を実現する装置において制御ユニット42よりアクチュエータ44に指令する燃料カット信号を参照しても良く、或いは其れ以前の機関運転状態検出センサ36、38の出力より機関回転数及びマニホルド負圧で決定される燃料カット帯域検出信号を参照する形としても良い。尚、失火の場合には気筒内圧力状態が種々であるので望ましくなく、その点で燃料カットの際にはスロットル弁が所定値以下閉じており気筒内の圧力状態が略均一化されているので、圧力補正用として望ましい。
続いて、ステップ54において、非爆発(非点火)数(N)が所定値k、例えば10回程度に達したか否か判断し、到達するまで回数を更新しつつ(ステップ56)、モータリング圧力Pmを検出して記憶する(ステップ58)(第5図)。この作業は前記装置を例にとれば、圧力センサ22の出力をマルチプレクサ26、ピークホールド回路28を介してA/D変換して制御ユニット42に入力し、其処のメモリ42cに格納して行なう。尚、モータリング圧力はエンジンによる差が少なく、製造バラツキも少ないことは広く知られているところである。
続いて、ステップ60において基準モータリング圧力値Psを読み出す。該基準モータリング圧力値は第6図に示す如く、運転状態、例えば機関回転数、大気圧等に応じて可変とし、前記メモリ内にマップ値として記憶しており、その時点の機関回転数等で検索する。可変とした結果、其の時点の運転条件に対応した基準モータリング圧力値を用いることが出来、補正効果が更に向上する。
続いて、ステップ62においてモータリング圧力値Pmと基準モータリング圧力値Psとの差乃至比率Pff(C/A=n)を算出し、同様に記憶し、続いてステップ64において其の平均値を算出し、補正値Pf(C/A=n)を演算して記憶する。」(第3ページ左上欄第14行ないし左下欄第20行)

(2-2)上記(2-1)及び図面の記載から分かること

(カ)上記(2-1)及び図面の記載から、引用文献2に記載された内燃機関の気筒内圧力の補正方法は、ステップ58においてモータリング圧力を検出し、ステップ60において基準モータリング圧力値Psを読み出し、ステップ62においてモータリング圧力値Pmと基準モータリング圧力値Psとの差乃至比率Pff(C/A=n)を算出し、ステップ64において其の平均値を算出し、補正値Pf(C/A=n)を演算して記憶するものであることが分かる。

(2-3)引用文献2記載の技術
したがって、上記(2-1)及び(2-2)を総合すると、引用文献2には次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。

「モータリング圧力のピーク値Pmを用いて筒内圧センサの補正を行う技術。」

(3)引用文献3
(3-1)引用文献3の記載事項
引用文献3には、以下の記載がある。なお、下線は理解の一助のため当審において付加したものである。

(ア)「【0020】図3のフローチャートは、筒内圧センサ16の検出信号を処理するチャージアンプ等を含んで構成される信号処理系の応答遅れ時間を学習するルーチンを示すものである。まず、ステップ1(図中ではS1としてある。以下同様)では、筒内圧センサ16の検出結果を読み込む。
【0021】ステップ2では、機関が非燃焼状態であるか否かを判別する。具体的には、機関の減速時に行われる減速燃料カット状態を、非燃焼状態として検出すると良い。燃料カット状態である場合には、ステップ3へ進み、圧縮上死点であるか否かをクランク角センサ14に基づいて検出する。
【0022】そして、圧縮上死点になると、ステップ4へ進み、応答遅れ時間を計測するためのタイマーTMPRESをスタートさせる。ステップ5では、筒内圧センサ16で検出される筒内圧Pが最大値となったか否かを、最新の検出値と前回値とを比較して筒内圧の変化方向を検出することで判別する。
【0023】そして、筒内圧Pが最大値となった時点で、ステップ6へ進み、前記タイマーTMPRESを停止させると共に、タイマーTMPRESによる計測時間を、応答遅れ時間の学習値として記憶する。即ち、燃料カット状態等の非燃焼状態では、圧縮上死点で筒内圧が最大となるはずであり、実際に筒内圧が最大値となったタイミングが圧縮上死点から遅れている場合には、かかる遅れ時間は、筒内圧センサ16の信号処理系におけ応答遅れによるものであると判断し、これを学習するものである。
【0024】前記学習された応答遅れ時間は、図4のフローチャートにおいて用いられる。図4のフローチャートは、前記応答遅れ時間に基づいてクランク角に対応する筒内圧の検出値を補正し、該補正された筒内圧を各種の制御用として出力するものである。ステップ11では、前記応答遅れ時間が学習されているか否かを判別し、学習が終了していない場合には、ステップ13へ進んで、筒内圧センサ16からの検出信号をそのままサンプリングして各種制御を実行させる。
【0025】一方、学習が終了している場合には、ステップ12へ進んで、前記図3のフローチャートで学習した応答遅れ時間を、サンプリングタイミングのディレー時間としてセットする。そして、ステップ13では、クランク角に基づくサンプリングタイミングに対して、前記ディレー時間が経過してから実際の筒内圧のサンプリングを行わせる。例えば圧縮上死点における筒内圧を検出する場合には、圧縮上死点が検出されてから前記ディレー時間(応答遅れ時間)が経過してからサンプリングした筒内圧を、圧縮上死点における筒内圧として用いるようにするものである。
【0026】これにより、信号処理系に応答遅れがあっても、クランク角に対応する筒内圧を精度良く検出することができ、以て、筒内圧の検出結果を用いた燃焼状態の検出等を高精度に行わせることが可能となる。」(段落【0020】ないし【0026】)

(3-2)上記(3-1)及び図面の記載から分かること

(カ)上記(3-1)及び図面の記載から、引用文献3に記載された内燃機関の筒内圧検出装置は、クランク角センサ14に基づいて検出された圧縮上死点と、筒内圧センサ16により検出された筒内圧Pが最大値となった筒内圧最大点とを比較することにより、信号処理系のディレー時間(応答遅れ時間)を学習する技術が記載されていることが分かる。

(3-3)引用文献3記載の技術
したがって、上記(3-1)及び(3-2)を総合すると、引用文献3には次の技術(以下、「引用文献3記載の技術」という。)が記載されている。

「クランク角センサ14に基づいて検出された圧縮上死点と、筒内圧センサ16により検出された筒内圧最大点とに基づいて、信号処理系のディレー時間(応答遅れ時間)を学習する技術。」

2.-2 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「内燃機関」、「燃焼室内圧力そのものに応じた値を出力する」、「圧力センサ16」、「圧力センサ16に較正を要する異常があるか否かを判定し、診断する機能をつかさどる、圧力センサ16の異常判定診断装置」、「燃焼開始時期が上死点TDC後となるように点火時期が遅くなった状態に点火時期を変えて、燃焼開始前と燃焼開始後にそれぞれ燃焼室内圧力のピークを生じさせる点火時期変更手段」及び「圧力センサ16に較正を要する異常があるか否かを判定し、診断し、圧力センサ16を較正する、演算装置17」は、その機能、構造又は技術的意義からみて、それぞれ、本願発明1における「内燃機関」、「筒内圧に応じた値を出力する」、「筒内圧センサ」、「筒内圧センサの異常診断装置」、「着火時期が圧縮上死点後となるように点火時期を遅角して、着火前と着火後にそれぞれ筒内圧のピークを生じさせる点火時期遅角手段」及び「筒内圧センサの感度補正装置」に相当する。

前述の相当関係を踏まえると、引用発明における「点火時期変更手段により点火時期が遅くなった状態に点火時期を変えた場合に、圧力センサ16の出力値に基づいて着火前の燃焼室内圧力の波形を記憶し、モータリング圧力の値を得て、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を検出する検出手段」は、その機能、構造又は技術的意義からみて、本願発明1における「点火時期遅角手段により点火時期を遅角した場合に、着火前の筒内圧のピークにおける前記筒内圧センサの出力値(以下、着火前出力ピーク値という。)及びそのクランク角の少なくとも一方を検出する検出手段」に、「点火時期遅角手段により点火時期を遅角した場合に、筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値及びそのクランク角の少なくとも一方を検出する検出手段」という限りにおいて、相当する。

前述の相当関係を踏まえると、引用発明における「圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を用いて圧力センサ16に較正を要する異常があると判定する判定手段」は、その機能、構造又は技術的意義からみて、本願発明1における「着火前出力ピーク値及びそのクランク角の少なくとも一方を用いて筒内圧センサの異常を判定する判定手段」に、「筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値及びそのクランク角の少なくとも一方を用いて筒内圧センサの異常を判定する判定手段」という限りにおいて、相当する。

前述の相当関係を踏まえると、引用発明における「検出手段は、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を検出し」は、その機能、構造又は技術的意義からみて、本願発明1における「検出手段は、少なくとも前記着火前出力ピーク値を検出し」に、「検出手段は、少なくとも筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値を検出し」という限りにおいて、相当する。

前述の相当関係を踏まえると、引用発明における「判定手段は、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値と基準値との差が0より大きい場合に、圧力センサ16に較正を要する異常があると判定する」は、その機能、構造又は技術的意義からみて、本願発明1における「判定手段は、着火前出力ピーク値が検出されるクランク角と圧縮上死点との差が所定値以上の場合に、前記筒内圧センサに異常があると判定する」に、「判定手段は、筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値と判定値との差と所定値との比較に基づいて、筒内圧センサに異常があると判定する」という限りにおいて、相当する。

してみると、本願発明1と引用発明とは、
「内燃機関の筒内圧に応じた値を出力する筒内圧センサの異常診断装置であって、
着火時期が圧縮上死点後となるように点火時期を遅角して、着火前と着火後にそれぞれ筒内圧のピークを生じさせる点火時期遅角手段と、
前記点火時期遅角手段により点火時期を遅角した場合に、筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値及びそのクランク角の少なくとも一方を検出する検出手段と、
筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値及びそのクランク角の少なくとも一方を用いて筒内圧センサの異常を判定する判定手段と、を備え、
検出手段は、少なくとも筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値を検出し、
判定手段は、筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値と判定値との差と所定値との比較に基づいて、筒内圧センサに異常があると判定することとする、
筒内圧センサの異常診断装置。」という点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
(1)本願発明1においては、「検出手段は、少なくとも着火前出力ピーク値が検出されるクランク角を検出し、判定手段は、着火前出力ピーク値が検出されるクランク角と圧縮上死点との差が所定値以上の場合に、筒内圧センサに異常があると判定する」のに対し、引用発明においては、「検出手段は、少なくとも着火前出力ピーク値が検出されるクランク角を検出し、判定手段は、着火前出力ピーク値が検出されるクランク角と圧縮上死点との差が所定値以上の場合に、筒内圧センサに異常があると判定する」のかどうか明らかでない点(以下、「相違点1」という。)。

(2)「検出手段は、少なくとも筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値を検出し」に関し、本願発明1においては「検出手段は、少なくとも前記着火前出力ピーク値を検出し」であるのに対し、引用発明においては、「検出手段は、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値を検出し」である点(以下、「相違点2」という。)

(3)「判定手段は、筒内圧センサの出力値に基づくモータリング圧力の値と判定値との差と所定値との比較に基づいて、筒内圧センサに異常があると判定する」に関し、本願発明1においては「判定手段は、着火前出力ピーク値が検出されるクランク角と圧縮上死点との差が所定値以上の場合に、前記筒内圧センサに異常があると判定する」のに対し、引用発明においては、「判定手段は、圧力センサ16の出力値に基づく特定のクランク角でのモータリング圧力の値と基準値との差が0より大きい場合に、圧力センサ16に較正を要する異常があると判定する」点(以下、「相違点3」という。)。

2.-3 判断
(1)上記相違点1について検討する。
上記のように、引用文献2には、「モータリング圧力のピーク値Pmを用いて筒内圧センサの補正を行う技術。」(引用文献2記載の技術)が記載され、引用文献3には、「クランク角センサ14に基づいて検出された圧縮上死点と、筒内圧センサ16により検出された筒内圧最大点とに基づいて、信号処理系のディレー時間(応答遅れ時間)を学習する技術。」(引用文献3記載の技術)が記載されている。
しかしながら、引用文献2記載の技術は、モータリング圧力のピーク値Pmを用いて筒内圧センサの補正を行う技術であるから、着火前出力ピーク値が検出されるクランク角と圧縮上死点との差を用いるものではない。
また、引用文献3記載の技術は、信号処理系のディレー時間(応答遅れ時間)を学習するものであるから、着火前出力ピーク値が検出されるクランク角と圧縮上死点との差が所定値以上の場合に、筒内圧センサに異常があると判定するものではない。
すなわち、引用文献2記載の技術と引用文献3記載の技術は、どちらも、本願発明1のように「検出手段は、少なくとも着火前出力ピーク値が検出されるクランク角を検出し、判定手段は、着火前出力ピーク値が検出されるクランク角と圧縮上死点との差が所定値以上の場合に、筒内圧センサに異常があると判定する」ものではない。

したがって、引用発明において、引用文献2記載の技術又は引用文献3記載の技術を適用しても、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を当業者が容易に想到することができたとはいえない。

(2)小括
よって、相違点2及び3について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2又は3記載の技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたとはいえない。

また、本願発明2ないし5は、本願発明1をさらに限定するものであるから、引用発明及び引用文献2又は3記載の技術に基づいて当業者が容易に想到することができたとはいえない。

よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。

第4 当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由の概要
当審において平成28年5月31日付けでした最後の拒絶理由は、以下のようなものである。
「本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。(なお、下線は理解の一助のため当審で付した。)

(1)請求項3において、「・・・判定値設定手段と、を特徴とする」と記載されているが、「・・・判定値設定手段と、を備えることを特徴とする」の誤記と認められる。
(なお、請求人は、平成28年5月11日付け意見書において、「(3)請求項3の「判定値設定手段と、を特徴とする」を「判定値設定手段と、を備えることを特徴とする」に補正しております。」(2.補正の説明)と釈明しているが、補正書に反映されていない。)

(2)請求項5において、「筒内圧センサの位相補正装置」と補正されたが、明細書の段落【0047】においては、「筒内圧センサ16の・・・位相ずれ補正」と記載されており、用語が統一されていない。
(請求項5の記載を、「筒内圧センサの位相ずれ補正装置」と補正することが望ましい。)」

2.当審拒絶理由についての判断

平成28年6月24日付け手続補正書による補正により、当審拒絶理由通知において指摘した特許法第36条第6項第1号及び第2号の拒絶理由は解消された。

すなわち、当審拒絶理由については解消された。

3.小括
当審拒絶理由については、平成28年6月24日提出の手続補正書によって解消された。
そうすると、もはや、当審拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-08-01 
出願番号 特願2013-542791(P2013-542791)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F02D)
P 1 8・ 537- WY (F02D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 立花 啓  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 梶本 直樹
金澤 俊郎
発明の名称 筒内圧センサの異常診断装置及びこれを備えた筒内圧センサの感度補正装置  
代理人 高田 守  
代理人 大西 秀和  
代理人 高橋 英樹  

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