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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01S |
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管理番号 | 1317489 |
審判番号 | 不服2015-14210 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-07-29 |
確定日 | 2016-07-25 |
事件の表示 | 特願2011-240386「無線方式レーザスキャナ設定取得方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月20日出願公開、特開2013- 96860〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許出願: 平成23年11月1日 拒絶理由通知: 平成27年2月10日(発送日:同年同月13日) 手続補正: 平成27年4月1日(以下、「補正1」という。) 拒絶査定: 平成27年6月26日(送達日:同年7月1日) 拒絶査定不服審判の請求: 平成27年7月29日 手続補正: 平成27年7月29日 (以下、「本件補正」という。) 第2 補正の却下の決定 [結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正によって、特許請求の範囲は、以下のように補正された。 (各請求項中で「計側部」とある記載は「計測部」の誤記として修正している。以下同様。) (補正前) 「【請求項1】 レーザ光を使用したレーザ計測システムにおけるレーザスキャナのデータ設定及び計測結果の取得を遠隔から行うようにしたレーザスキャナ設定取得方法において、レーザ計測装置として、レーザ光を発射する発射部と、発射したレーザ光の反射光を受光する受光部と、レーザ光の発光時と反射光の受光時との時間差により測定対象物までの距離を計測する距離計測部と、該距離計測部からの計測信号を遠隔制御装置に無線通信によって送信すると共に遠隔制御装置からの制御信号を無線通信によって受信する送受信部とを設け、レーザ光の発光時と反射光の受光時との時間差により測定対象物までの距離を計測する距離計測部からの計測信号を遠隔制御装置に無線通信によって送信する一方、遠隔制御装置からの制御信号をレーザ計測装置に無線通信によって送信することにより、遠隔制御装置で、レーザ計測装置によって計測された計測結果の取得とレーザ計測装置に設定すべき信号の制御とを行うようにしたことを特徴とする無線方式レーザスキャナ設定取得方法。 【請求項2】 レーザ測定装置及び遠隔制御装置に設けられた無線通信による送受信装置は、無線LAN装置の親機と一つ又は複数の子機を互いに通信可能にしたワイヤレスネットワークによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の無線方式レーザスキャナ設定取得方法。」 (補正後) 「【請求項1】 レーザ光を使用したレーザ計測システムにおけるレーザスキャナのデータ設定及び計測結果の取得を遠隔から行うようにしたレーザスキャナ設定取得方法において、測定対象物にレーザ光を発射する一つ又は複数のレーザ計測装置と該レーザ計測装置から遠隔に一つ又は複数の遠隔制御装置を設け、レーザ計測装置は、レーザ光を発射する発射部と、発射したレーザ光の反射光を受光する受光部と、レーザ光の発光時と反射光の受光時との時間差により測定対象物までの距離を計測する距離計測部とを有し、該距離計測部からの計測信号をレーザ計測装置に設けた無線LAN装置の子機による無線通信によって遠隔制御装置に送信する一方、遠隔制御装置からの制御信号を該遠隔制御装置に設けた無線LAN装置の親機による無線通信によってレーザ計測装置に送信することにより、遠隔制御装置で、レーザ計測装置によって計測された計測結果の取得とレーザ計測装置に設定すべき信号の制御とを行うようにしたことを特徴とする無線方式レーザスキャナ設定取得方法。」(下線は補正箇所。) 上記補正は、実質的に補正前の請求項2の内容を請求項1に組み込み、またレーザ計測装置に無線LAN装置の子機を設け、遠隔制御装置に無線LAN装置の親機を設けることを限定するものであって、請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。 2 検討 (1)引用例記載の事項・引用発明 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2008-82707号公報(以下「引用例」という。)には、「測量方法及び測量システム及び測量データ処理プログラム」(【発明の名称】)の発明に関し、次の事項(a)ないし(c)が記載されている。(下線は当審による。以下同様。) (a) 「【0032】 先ず、図1に於いて、本発明で使用されるレーザスキャナについて説明する。 【0033】 本発明に係る測量システムは、図1に示される様に、レーザスキャナ1、デジタルカメラ等に代表される撮像装置81、測量データ処理装置91によって概略構成される。」 (b) 「【0068】 次に、図5?図10に於いて、前記レーザスキャナ1による測定作動、データ作成処理について説明する。 【0069】 前記レーザスキャナ1を既知点に設置し、測定対象物71を含む測定エリア72を概略設定する。図示の場合は、前記測定対象物71は建造物を含む自然の地形となっている。 ・・・ 【0078】 前記操作部57より測距の実行を指令し、或は前記シーケンスプログラムによって測距の実行が指令される。 【0079】 前記高低回動ミラー35の反射面が前記発光素子31に対峙する様に前記高低回動ミラー35の姿勢が設定されると共に前記水平回動モータ20、前記高低回動モータ53が駆動され、前記測定装置本体部7が水平方向に回転され、前記高低回動ミラー35が高低方向に回転される。 【0080】 前記発光素子31から測距光がパルス発光され、前記孔明きミラー33の孔を通過し、前記高低回動ミラー35で偏向され、前記投光光軸36上に投射される。又、前記測定対象物71で反射された反射測距光は前記高低回動ミラー35により前記発光光軸32上に偏向され、前記孔明きミラー33により反射されて前記測距受光部39に受光される。 【0081】 前記水平回動モータ20と前記高低回動モータ53が同期駆動され、パルス発光された前記測距光37により、前記測定エリア72の範囲が走査される。前記測距部4に於いて反射測距光に基づき各パルス毎に距離測定がなされる。 ・・・ 【0085】 前記測距光37による前記詳細測定エリア72′全域の走査が完了することで、画像データ、距離データ、高低角データ、水平角データを含む3次元データ群(点群データ)の取得が完了する。」 (c) 「【0154】 図18に於いて、該測量データ処理装置91の概略について説明する。 【0155】 該測量データ処理装置91は、演算制御部(CPU)92、主記憶部93、入出力制御部94、表示部95、補助記憶部96、操作部97によって概略構成されている。 【0156】 前記主記憶部93にはプログラム格納域、データ格納域が形成され、前記プログラム格納域には、画像処理プログラム、所要の演算を実行する演算プログラム、データ処理を管理進行するシーケンスプログラム等から構成される測量データ処理プログラム、画像表示プログラム等のプログラムが格納され、前記データ格納域にはレーザスキャナ1で取得した点群データ、該点群データに関連付けられた主画像データ、前記撮像装置81により取得された補足画像データ等が格納される。 ・・・ 【0160】 又、前記レーザスキャナ1と前記測量データ処理装置91とを無線LAN等で接続することにより、無線通信を記録媒体とし物理的な記録媒体の授受なく、前記レーザスキャナ1と前記測量データ処理装置91間でデータの授受が可能となる。 【0161】 前記操作部97は、例えばキーボード、マウス等に代表され、測定者が測量の条件の入力、測定開始等所要の指示を前記演算制御部92に与えるものである。」 引用例の段落【0161】に記載されている、測量データ処理装置91の操作部97により演算制御部92に与えられるものは「測量の条件の入力、測定開始等所要の指示」であるから、これらが実際に測量データの取得を行う「レーザスキャナ1」に送られる指示を含むことは明らかである。そうすると、上記記載(a)ないし(c)の記載から、引用例には、次の発明が記載されていると認められる。(対応する引用例中の記載段落を括弧で示す。) 「レーザスキャナ1への指示及びレーザスキャナ1からのデータの授受を行う(【0160】)ようにした測量方法において、測距光がパルス発光される(【0080】)レーザスキャナ1を既知点に設置(【0069】)し、レーザスキャナ1と測量データ処理装置91とを無線LAN等で接続(【0160】)し、レーザスキャナ1は、測距光がパルス発光される発光素子31と、測定対象物71で反射された反射測距光を受光する測距受光部39(【0080】)と、反射測距光に基づき各パルス毎に距離測定がなされる測距部4(【0081】)とを有し、レーザスキャナ1と測量データ処理装置91とを無線LAN等で接続することにより、前記レーザスキャナ1と前記測量データ処理装置91間でデータの授受が可能(【0160】)となり、また測量データ処理装置91の操作部97により測量の条件の入力、測定開始等所要の指示がレーザスキャナ1に送られる(【0161】)ことにより、測量データ処理装置91で、レーザスキャナ1との間でのデータの授受(【0160】)とレーザスキャナ1への測量の条件の入力、測定開始等所要の指示(【0161】)が行われる測量方法。」(以下、「引用発明」という。) (2)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 まず、引用発明は「レーザスキャナ1」により距離測定を行っているものであるから、「レーザ光を使用したレーザ計測システム」における測量方法であることは明らかである。また、引用発明の「レーザスキャナ1への指示」及び「レーザスキャナ1からのデータの授受」は、それぞれ本願補正発明の「レーザスキャナのデータ設定」及び「計測結果の取得」に相当する。そうすると、引用発明の「レーザスキャナ1への指示及びレーザスキャナ1からのデータの授受を行うようにした測量方法」と、本願補正発明における「レーザ光を使用したレーザ計測システムにおけるレーザスキャナのデータ設定及び計測結果の取得を遠隔から行うようにしたレーザスキャナ設定取得方法」とは、共に「レーザ光を使用したレーザ計測システムにおけるレーザスキャナのデータ設定及び計測結果の取得を行うようにしたレーザスキャナ設定取得方法」である点で共通するといえる。 また、引用発明において「測距光がパルス発光されるレーザスキャナ1を既知点に設置」する点は、本願補正発明において「測定対象物にレーザ光を発射する一つ又は複数のレーザ計測装置」を設ける点に相当し、同様に引用発明において「レーザスキャナ1と測量データ処理装置91とを無線LAN等で接続」する点は、本願補正発明において「レーザ計測装置から遠隔に一つ又は複数の遠隔制御装置を設け」る点に相当する。 次に、引用発明の「レーザスキャナ1」が、「測距光がパルス発光される発光素子31」と、「測定対象物71で反射された反射測距光を受光する測距受光部39」とを有する点は、本願補正発明の「レーザ計測装置」が、「レーザ光を発射する発射部」と、「発射したレーザ光の反射光を受光する受光部」とを有する点に相当し、また引用発明の「レーザスキャナ1」が、「反射測距光に基づき各パルス毎に距離測定がなされる測距部4」を有する点と、本願補正発明の「レーザ計測装置」が、「レーザ光の発光時と反射光の受光時との時間差により測定対象物までの距離を計測する距離計測部」を有する点とは、共に「レーザ光により測定対象物までの距離を計測する距離計側部」を有する点で共通する。 さらに、引用発明において「レーザスキャナ1と測量データ処理装置91とを無線LAN等で接続することにより、前記レーザスキャナ1と前記測量データ処理装置91間でデータの授受が可能と」なっている点と、本願補正発明において「該距離計測部からの計測信号をレーザ計測装置に設けた無線LAN装置の子機による無線通信によって遠隔制御装置に送信」して「遠隔制御装置で、レーザ計測装置によって計測された計測結果の取得」を行うようにした点とは、共に「該距離計測部からの計測信号をレーザ計測装置に設けた無線LAN装置による無線通信によって遠隔制御装置に送信」して「遠隔制御装置で、レーザ計測装置によって計測された計測結果の取得」を行うようにした点で共通するし、引用発明において「測量データ処理装置91の操作部97により測量の条件の入力、測定開始等所要の指示がレーザスキャナ1に送られることにより、測量データ処理装置91で」、「レーザスキャナ1への測量の条件の入力、測定開始等所要の指示が行われる」点と、本願補正発明において「遠隔制御装置からの制御信号を該遠隔制御装置に設けた無線LAN装置の親機による無線通信によってレーザ計測装置に送信することにより、遠隔制御装置で、レーザ計測装置によって計測された計測結果の取得とレーザ計測装置に設定すべき信号の制御とを行うようにした」点とは、共に「遠隔制御装置からの制御信号をレーザ計測装置に送信することにより、遠隔制御装置で」、「レーザ計測装置に設定すべき信号の制御とを行うようにした」点で共通する。 してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「レーザ光を使用したレーザ計測システムにおけるレーザスキャナのデータ設定及び計測結果の取得を行うようにしたレーザスキャナ設定取得方法において、測定対象物にレーザ光を発射する一つ又は複数のレーザ計測装置と該レーザ計測装置から遠隔に一つ又は複数の遠隔制御装置を設け、レーザ計測装置は、レーザ光を発射する発射部と、発射したレーザ光の反射光を受光する受光部と、レーザ光により測定対象物までの距離を計測する距離計測部とを有し、該距離計測部からの計測信号をレーザ計測装置に設けた無線LAN装置による無線通信によって遠隔制御装置に送信する一方、遠隔制御装置からの制御信号をレーザ計測装置に送信することにより、遠隔制御装置で、レーザ計測装置によって計測された計測結果の取得とレーザ計測装置に設定すべき信号の制御とを行うようにしたことを特徴とするレーザスキャナ設定取得方法。」 (相違点) 相違点1:本願補正発明において、「距離計測部」は「レーザ光の発光時と反射光の受光時との時間差により測定対象物までの距離を計測する」のに対し、引用発明の「測距部4」は「反射測距光に基づき各パルス毎に距離測定がなされる」ものではあるが、「レーザ光の発光時と反射光の受光時との時間差により」距離測定がなされているか否かは不明である点。 相違点2:本願補正発明は、「遠隔制御装置からの制御信号を該遠隔制御装置に設けた無線LAN装置の親機による無線通信によってレーザ計測装置に送信する」のに対し、引用発明においては、「遠隔制御装置からの制御信号」に相当する「測量の条件の入力、測定開始等所要の指示」が「レーザスキャナ1に送られる」ものではあるが、無線LAN装置の無線通信によって送信されているのか否かは不明である点。またそれにより、引用発明の「レーザスキャナ1への指示」が「遠隔から」行うようにされているのか否か、及び引用発明の「測量方法」が本願補正発明の「無線方式レーザスキャナ設定取得方法」に相当するか否かが不明である点。 相違点3:本願補正発明においては、「レーザ計測装置に設けた無線LAN装置の子機」と「遠隔制御装置に設けた無線LAN装置の親機」とが用いられるのに対し、引用発明は「レーザスキャナ1と測量データ処理装置91とを無線LAN等で接続する」ものではあるが、親機と子機の配置は不明である点。 (3)判断 ア 相違点1について 例えば、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-89865号公報においても、 「【0017】 ・・・ 本発明は、ジブクレーン1のブーム11の左右に夫々取り付けてあるレーザースキャンユニット13より発信されたレーザ光と、物体によって反射された反射光との時間差から物体までの距離を求め、侵入検知装置14によって当該測定距離を予め設定してある監視領域に照らして、物体が監視領域内に侵入したか否かを判定するものである。」 と記載されているように、レーザースキャンユニット(レーザスキャナ)における測距方法として、レーザ光の発光時と反射光の受光時との時間差により測定対象物までの距離を計測するものは周知技術であり、引用発明の測距方法としてこれを採用することは、当業者が容易になし得たものである。またそのことにより、当業者の予想し得ない特段の効果が生じているとも認められない。 イ 相違点2について 引用発明では、レーザスキャナ1と測量データ処理装置91とが無線LANで接続され、データの授受が可能とされているから、引用発明における「測量の条件の入力、測定開始等所要の指示」の制御信号が無線LAN装置により送信可能であることは、当業者にとって自明である。そうすると、引用発明において、上記制御信号の送信手段として該無線LANを用い、レーザスキャナ1への指示を「無線方式」により「遠隔から」行うことは、当業者が容易になし得たものである。またそのことにより、当業者の予想し得ない特段の効果が生じているとも認められない。 ウ 相違点3について 無線LAN技術一般において、接続される端末のいずれを親機もしくは子機とするかは、それぞれの使用条件等に応じて適宜選択されるべき設計事項に過ぎない。引用発明においても、無線LAN等で接続されたレーザスキャナ1と測量データ処理装置91のいずれを親機もしくは子機とするかは設計事項である。そして、測量データ処理装置91がレーザスキャナ1よりも設置場所の自由度が高く、安定した電源や十分なメンテナンスの確保が容易であることや、複数のレーザスキャナ1からのデータを処理する構成も予想されることなどを考慮すれば、測量データ処理装置91を親機とすることが一般的な構成であるといえるから、測量データ処理装置91(遠隔制御装置に相当)を親機とすることは当業者が容易になし得たことであり、またこのことにより当業者の予想し得ない特段の効果が生じているとも認められない。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 まとめ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は前記のとおり却下されたので、本願補正発明に対応する、補正1により補正された請求項2に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項2に係る発明を請求項1と合わせて書き下したものは次のとおりである。 「レーザ光を使用したレーザ計測システムにおけるレーザスキャナのデータ設定及び計測結果の取得を遠隔から行うようにしたレーザスキャナ設定取得方法において、レーザ計測装置として、レーザ光を発射する発射部と、発射したレーザ光の反射光を受光する受光部と、レーザ光の発光時と反射光の受光時との時間差により測定対象物までの距離を計測する距離計測部と、該距離計測部からの計測信号を遠隔制御装置に無線通信によって送信すると共に遠隔制御装置からの制御信号を無線通信によって受信する送受信部とを設け、レーザ光の発光時と反射光の受光時との時間差により測定対象物までの距離を計測する距離計測部からの計測信号を遠隔制御装置に無線通信によって送信する一方、遠隔制御装置からの制御信号をレーザ計測装置に無線通信によって送信することにより、遠隔制御装置で、レーザ計測装置によって計測された計測結果の取得とレーザ計測装置に設定すべき信号の制御とを行うようにし、 レーザ測定装置及び遠隔制御装置に設けられた無線通信による送受信装置は、無線LAN装置の親機と一つ又は複数の子機を互いに通信可能にしたワイヤレスネットワークによって構成されていることを特徴とする無線方式レーザスキャナ設定取得方法。」(以下「本願発明」という。) 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願発明は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2008-82707号公報(引用例)に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3 引用例記載の事項・引用発明 引用例に記載されている事項及び引用発明は、上記「第2 補正却下の決定 2検討 (1)引用例記載の事項・引用発明」に示したとおりである。 4 判断 本願発明は実質的に、前記「第2 補正の却下の決定」の「1 補正の内容」で検討した本願補正発明から、レーザ計測装置に無線LAN装置の子機を設け、遠隔制御装置に無線LAN装置の親機を設けると限定することを省いたものである。 そうすると、本願発明の構成に上記本件補正に係る限定を付加した本願補正発明が、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 検討」における「(3)判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-05-31 |
結審通知日 | 2016-06-01 |
審決日 | 2016-06-14 |
出願番号 | 特願2011-240386(P2011-240386) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01S)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 目黒 大地 |
特許庁審判長 |
清水 稔 |
特許庁審判官 |
中塚 直樹 関根 洋之 |
発明の名称 | 無線方式レーザスキャナ設定取得方法 |
代理人 | 谷山 守 |