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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1317545
審判番号 不服2015-13942  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-24 
確定日 2016-07-27 
事件の表示 特願2012-205772「有機発光ダイオード表示装置およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月18日出願公開、特開2013- 68951〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年9月19日(パリ条約による優先権主張2011年9月20日、韓国)の出願であって、平成25年10月3日付けで拒絶理由が通知され、平成26年2月6日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、同年8月20日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年12月17日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたが、平成27年3月25日付けで平成26年12月17日付けの手続補正の補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされた。
本件は、これに対して、平成27年7月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後、当審において、平成28年2月10日に、請求人に対して、電話で審尋を行ったところ、同年2月15日に、請求人からファクシミリにより回答が提出された。


第2 平成27年7月24日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年7月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成27年7月24日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲の請求項1は、本件補正前の(平成26年2月6日付けの手続補正により補正された)特許請求の範囲の請求項1である、

「基板上に定義され、映像を表示するように構成された表示領域と、
前記表示領域を囲むように定義され、前記表示領域に含まれたピクセルに信号を提供するように構成された非表示領域と、
前記基板の非表示領域に形成された第1薄膜トランジスタと、
前記基板の表示領域に形成された第2薄膜トランジスタと、
前記第1および第2薄膜トランジスタの上部に形成された平坦化膜と、
前記非表示領域内の前記平坦化膜上に形成され、少なくとも1つの第1開口を含む第1電極と、
前記平坦化膜上に形成され、前記第2薄膜トランジスタの電極に連結される第2電極と、
前記第2電極と第1電極の上に形成され、前記第2電極の一部を露出させるように構成され、第1電極に隣接するように配置されたバンクパターンと、
前記第2電極上に形成された有機発光層と、
前記有機発光層上に形成された第3電極と、を含み、
前記第1開口は、前記バンクパターンの下に配置されていることを特徴とする有機発光ダイオード表示装置。」
から、次のように補正された。

「基板上に定義され、映像を表示するように構成された表示領域と、
前記表示領域を囲むように定義され、前記表示領域に含まれたピクセルに信号を提供するように構成された非表示領域と、
前記基板の非表示領域に形成された第1薄膜トランジスタと、
前記基板の表示領域に形成された第2薄膜トランジスタと、
前記第1および第2薄膜トランジスタの上部に形成された平坦化膜と、
前記非表示領域内の前記平坦化膜上に形成され、少なくとも1つの第1開口を含む第1電極と、
前記平坦化膜上に形成され、前記第2薄膜トランジスタの電極に連結される第2電極と、
前記第2電極と第1電極の上に形成され、前記第2電極の一部を露出させるように構成され、第1電極に隣接するように配置されたバンクパターンと、
前記第2電極上に形成された有機発光層と、
前記有機発光層上に形成された第3電極と、を含み、
前記第1開口は、前記バンクパターンの下に配置され、
前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている、有機発光ダイオード表示装置。」
(下線は、請求人が付したものであり、補正箇所である。)

なお、本件補正後の「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」という記載の「完全に覆われている」が示す構成が必ずしも明らかでないところ、当審での、平成28年2月10日の請求人に対する電話での審尋で、特許請求の範囲の請求項1、9の「完全に覆われている」の「完全に」が意味する構成を明らかにするよう、ファクシミリで回答することを要請したところ、該審尋に対する回答として、同年2月15日に請求人から送付されたファクシミリにおいて、請求人は、
「不服2015-13942に関する審判官殿の質問に対する回答

2月10日の電話において、不服2015-13942に関して、審判官殿から受けました質問に対して、回答致します。

[審判官殿の質問]
審判請求時に加えられた記載「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」は、次のいずれのケースを意味しているのかが、不明確である。

(ケース1)第1開口が複数あり、その複数の開口のすべてが、バンクパターンに覆われている。

(ケース2)1つの第1開口の開口領域全体が、バンクパターンに覆われている。

(ケース3)上記ケース1、2の組み合わせ

[審判請求人の回答]
審判請求人は、上記ケース1を意味で、上記記載を用いております。」
(「上記ケース1を意味で」は「上記ケース1の意味で」の誤記であると認める。)と記載していることを参酌すれば、上記本件補正後の請求項1の「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」は、「第1開口」が複数あり、その複数の「第1開口」のすべてが、「バンクパターン」で覆われている構成を意味すると認める。

2 補正の目的
本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1に、「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」という、「第1開口」と「バンクパターン」配置関係を限定する記載が追加されたものであるから、本件補正の請求項1についての補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 新規事項
(1)請求人の主張について
この特許請求の範囲の補正について、請求人は、審判請求書の【請求の理由】において、
「3.補正について
本審判請求書と同時に提出致しました手続補正書により、請求項1、9において、「第1開口」を「バンクパターンにより完全に覆われている」ものに限定する補正を致しました。当該補正は、出願当初の図3の記載などに基づくものであり、新規事項の追加にあたらないと思料致します。」
と主張している。
そこで、本件補正後の請求項1の
「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」
が、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、単に「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであるか否かを、以下に検討する。

(2)当初明細書等の記載
請求人が補正の根拠とする【図3】の他に、当初明細書等に、「第1開口」と「バンクパターン」との配置関係に関連する記載は、「前記GIP領域で前記第1電極175に形成された第1開口H3によって、前記GIP領域の平坦化膜140からアウトガスされた物質を、前記バンクパターン150に排出されるように導くことが可能になる。」(段落【0054】)、「このように、本発明による有機発光ダイオード表示装置は、非表示領域NDA上に少なくとも1つ以上の第1開口H3を形成して、前記非表示領域NDAの平坦化膜140からアウトガスされた物質が前記第1開口H3を介して前記非表示領域NDAのバンクパターン150に排出されるようにする。」(段落【0086】)、「前記非表示領域NDAに前記第1及び第2開口H3、H4が形成されることで、前記非表示領域NDAの平坦化膜140からアウトガスされた物質が、前記第1及び第2開口H3、H4を介して前記非表示領域NDAのバンクパターン150に排出される。」(段落【0093】)及び【図11】の記載がある。(なお、【図8】?【図10】は、「第1開口」と「バンクパターン」との配置関係については、【図3】と同じ事項を開示するものであるから、省略する。)
そして、これらの段落の記載、【図3】及び【図11】の記載と関連する【図1】並びに【図1】、【図3】及び【図11】の簡単な説明は、下記のとおりである。

「【図1】

【図3】

【図11】



「【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の平面図を概略的に現わした図面である。
(略)
【図3】図1のI?I’に沿って切断した断面図である。
(略)
【図11】本発明の別の実施例に係る図1のI?I’領域の断面図である。」

なお、(「第1開口」が設けられた)「第1電極」と「バンクパターン」との配置関係に関連する記載としては、下記のような記載がある。

「第1電極に隣接するように配置されたバンクパターン」(段落【0017】、【0018】、【請求項1】、【請求項7】)

「前記第1電極は、前記平坦化膜からアウトガスされた物質を、前記バンクパターンに排出されるように導く構成である」(段落【0019】、【請求項12】)

「上記に記載した第1電極175の形態は、前記GIP領域の平坦化膜140からアウトガスされた物質を、前記バンクパターン150に排出されるように導く第1電極の一例である。」(段落【0057】)

「図8に示すように、前記第2電極145および第1電極175が形成された基板100
上に、ポリイミドまたはフォトレジスト等の感光性有機材料を全面塗布した後、フォトリ
ソグラフィ工程によって前記有機材料をパターニングして、発光セルを区画するためのバ
ンクパターン150を形成する。」(段落【0080】)

(3)検討
ア まず、本件補正後の請求項1の「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」という記載が、当初明細書等に存在しないことは明らかである。

イ そこで、請求人が、補正の根拠として主張する【図3】の記載を検討する。
【図3】は、「図1のI?I’に沿って切断した断面図であ」り、【図3】からは、「第1電極175」に6つの「第1開口H3」が設けられており、その6つの「第1開口H3」すべてが、「バンクパターン150」に覆われている構成を読み取ることができる。
このことから、【図3】を一見すると、「第1開口」が複数あり、その複数の「第1開口」のすべてが、「バンクパターン」で覆われている構成、すなわち、本件補正後の請求項1の「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」と記載される構成が、当初明細書等に記載されているように思われる。
しかし、【図3】は、「図1のI?I’に沿って切断した断面図であ」るとのみ説明され、【図1】には、「表示領域AA」の4辺を囲む「非表示領域NDA」のうちの特定の1箇所の切断面I?I’が記載されるのみであるから、【図1】の「表示領域AA」の4辺を囲む「非表示領域NDA」のうちの特定の1箇所の切断面I?I’では、【図3】の記載から読み取ることができる上記構成となっていることまでは認められるが、【図1】の「表示領域AA」の4辺を囲む「非表示領域NDA」の他のすべての切断面で、【図3】の記載から読み取ることができる上記構成となっていることまでは読み取ることができない。
さらに、当初明細書等には、【図1】の「表示領域AA」の4辺を囲む「非表示領域NDA」のどの切断面でも、【図3】の記載から読み取ることができる上記構成となっていることの開示や示唆はないし、また、有機EL表示装置一般において、本件補正後の請求項1の「第1電極」に相当する電極の形状が、表示領域の周囲の非表示領域のどの部分でも必ず同じであるというような事情もない。(例えば、国際公開第2011/045911号の[図1]?[図3](下記「第3」「2」「(2)」「ウ」参照)に、本件補正後の請求項1の「第1電極」に相当する「電極板33」の形状が、「表示部52」の全周囲で一定でない(同じ幅ではない)構成が記載されている。)
また、当初明細書等の【図3】以外の他の記載、特に、上記「(2)」で摘記した記載においても、【図1】の「表示領域AA」の4辺を囲む「非表示領域NDA」のどの切断面でも、【図3】の記載から読み取ることができる上記構成となっていることの開示や示唆はないことは明らかである。
すると、当初明細書等には、「第1開口」が複数あり、その複数の「第1開口」のすべてが、「バンクパターン」で覆われている構成、すなわち、本件補正後の請求項1の「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」構成が記載されているとは認められず、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に、「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」を追加する補正は、当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

(4)結論
したがって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に、「前記第1開口は、前記バンクパターンにより完全に覆われている」を追加する補正を含む本件補正は、当初明細書等に記載された範囲内でしたものではないから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

4 むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
平成27年7月24日付けの手続補正は上記のとおり却下され、平成27年3月25日付けで平成26年12月17日付けの手続補正の補正の却下の決定がなされているので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年2月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「第2」「[理由]」「1」の本件補正前の請求項1の記載参照。)により特定されるとおりのものである。

2 引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2011-44417号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

ア 「【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を更に詳細に説明する。
【0022】
図1は、有機電界発光表示装置の一例を示すブロック図である。
【0023】
図1を参照すれば、本発明の有機電界発光表示装置は、走査駆動部10と、発光制御駆動部20と、データ駆動部30と、画素部40と、タイミング制御部60とを含んでいる。
【0024】
走査駆動部10は、タイミング制御部60による制御を受けながら走査線S1?Snに走査信号を順次供給する。すると、画素50は走査信号によって選択されて順次データ信号の供給を受ける。
【0025】
発光制御駆動部20は、タイミング制御部60による制御を受けながら発光制御線E1?Enに発光制御信号を順次供給する。すると、画素50は発光制御信号によって発光が制御される。
【0026】
走査駆動部10及び発光制御駆動部20はチップ状に別途に実装される場合もあるが、画素部40に含まれる駆動素子と共に表示パネル上に内蔵されるように形成されて内蔵回路部を構成することも可能である。
【0027】
一方、図1では走査駆動部10及び発光制御駆動部20が画素部40を間に挟んで互いに対向して異なる側面に形成されるように示したが、これは単なる一例を示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
例えば、これらは画素部40の同じ側面に共に形成されてもよいし、或いは画素部40の両側に走査駆動部10及び発光制御駆動部20をそれぞれ形成することも可能であることはもちろんである。
【0029】
また、画素部40に備えられた画素50の構造によって発光制御駆動部20を省略することも可能である。
【0030】
データ駆動部30は、タイミング制御部60による制御を受けながらデータ線D1?Dmにデータ信号を供給する。データ線D1?Dmに供給されたデータ信号は走査信号が供給される度に走査信号によって選択された画素50に供給される。すると、画素50はデータ信号に対応した電圧を充電する。
【0031】
画素部40は、走査線S1?Sn、発光制御線E1?En及びデータ線D1?Dmの交差部に位置する多数の画素50を含んでいる。このような画素部40は、外部から高電位画素電源ELVDD及び低電位画素電源ELVSSの供給を受け、高電位画素電源ELVDD及び低電位画素電源ELVSSはそれぞれの画素50に伝達される。すると、画素50はデータ信号に対応する輝度で発光して映像を表示する。
【0032】
ここで、高電位画素電源ELVDDは画素50の発光期間に有機発光ダイオード(図示せず)の第1電極(例えば、アノード電極)に伝達され、低電位画素電源ELVSSは有機発光ダイオードの第2電極(例えば、カソード電極)に伝達される。
【0033】
このとき、有機発光ダイオードの第1電極及び第2電極のうち、いずれか1つの電極は画素部40上に全面的に形成されている。
【0034】
特に、有機発光ダイオードの第1電極が画素回路を経由して高電位画素電源ELVDDに連結され、第2電極は画素回路を経由することなく、直接(但し、バスラインなどの連結配線は考慮しないことにする)低電位画素電源ELVSSに連結されている場合、有機発光ダイオードの第2電極が画素部40上に全面的に形成される。
【0035】
このような第2電極は、画素部40の周辺に形成されたバスライン(図示せず)を介して低電位画素電源ELVSSの供給を受けることになる。
【0036】
そして、有機発光ダイオードの第1電極は、画素部40内で画素アレイに対応するようにパターニングされる。
【0037】
タイミング制御部60は、外部から供給される同期信号に対応して制御信号を生成し、これを走査駆動部10、発光制御駆動部20及びデータ駆動部30に供給する。これにより、タイミング制御部60は、走査駆動部10、発光制御駆動部20及びデータ駆動部30を制御する。また、タイミング制御部60は外部から供給されるデータをデータ駆動部30に伝達する。すると、データ駆動部30はデータに対応したデータ信号を生成する。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に係る有機電界発光表示装置の構成を示す平面図である。
【0039】
図2を参照すれば、本発明の実施形態に係る有機電界発光表示装置は、表示パネル100の中央部から外郭方向に順次配列される第1領域?第4領域と、IC実装領域及びパッド領域とに区分される。
【0040】
第1領域は多数の画素が形成される画素部領域であって、表示パネル100の中央部を中心に他の領域に比べて相対的に大きい割合を占めている。それぞれの画素は第1電極、第2電極及び有機発光層を含む有機発光ダイオードを備え、能動型有機電界発光表示装置である場合には、有機発光ダイオードと電気的に連結された薄膜トランジスタを含む画素回路を更に備えている。
【0041】
第2領域は、画素を駆動するための駆動回路が形成される内蔵回路部と、有機発光ダイオードの第2電極を低電位画素電源ELVSSのバスラインに連結する導電性パターンが前記第2電極と連結されるカソードコンタクト部とを含んでいる領域であり、第1領域の外郭に配置されている。
【0042】
ここで、第2領域に含まれる内蔵回路部とカソードコンタクト部は互いに重なるように配置され、これらの構造についての更に詳細な説明は後述する。
【0043】
一方、内蔵回路部は走査駆動部及び/又は発光制御駆動部などのように画素を駆動するための駆動回路が形成される領域であって、場合によっては、検査回路などを更に含むことが可能である。
【0044】
このような内蔵回路部は、第1領域の少なくとも一つの側に形成されるものであり、例えば、第1領域の左側又は右側、或いは互いに対向する左右両側に形成されてもよく、検査回路が含まれる場合などには左右両側と共に上側に配置されてもよい。
【0045】
また、カソードコンタクト部は有機発光ダイオードの第2電極を低電位画素電源ELVSSのバスラインに連結する導電性パターンが形成された領域であって、導電性パターンが第2電極と連結されるコンタクト領域を含んでいる。
【0046】
このようなカソードコンタクト部は、第1領域の少なくとも一つの側に形成されるものであり、例えば、第1領域を取り囲む形態で第1領域の上側及び下側と、左側及び右側の両方に配置される。
【0047】
第3領域は、第1領域の画素に低電位画素電源ELVSSを伝達するための低電位画素電源ELVSSのバスラインが形成されるバス部領域であって、第2領域の外郭に配置されている。例えば、第3領域は、第2領域の外郭を取り囲む形態で第2領域の上側及び下側と、左側及び右側の両方に配置される。
【0048】
第4領域は、少なくとも第1領域を含む領域を封止するためのシーリング剤が形成されるシーリング部領域であって、第3領域の外郭を取り囲む形態で配置される。シーリング剤は、第1基板(蒸着基板200)及び第2基板(封止基板300)を貼り合わせるためのものであって、第3領域に形成されたバスラインと少なくとも一部重なるように配置される。即ち、本実施形態においてシーリング部はバス部と少なくとも一部重なるように配置されている。
【0049】
IC実装領域は、データ駆動部などを含むICチップを実装するための領域であって、第1基板200の封止されていない一つの側(例えば、下側)に配置することができる。
【0050】
パッド領域は、外部からの駆動電源及び駆動信号の伝達を受けるための多数のパッドが形成される領域であって、IC実装領域と隣接した第1基板200の一側縁部(例えば、下側縁部)に配置することができる。
【0051】
上述したような実施形態によれば、表示パネル100内の限定された設計空間を効率的に活用してデッドスペースを減少させながらも、画素に供給される低電位画素電源ELVSSの電圧降下を防止できる。これについての更に詳細な説明は、図3を参照して後述する。
【0052】
図3は、本発明の実施形態に係る有機電界発光表示装置の構造を示す要部断面図である。便宜上、図3では、本発明を説明するために不要な構成要素の図示は省略する。
【0053】
図3を参照すれば、第1基板200上の領域は、画素部(第1領域)と、内蔵回路部及びカソードコンタクド部(第2領域)と、バス部(第3領域)と、シーリング部(第4領域)とに区分されている。
【0054】
画素部は、第1基板200上部のバッファ層210上に形成された薄膜トランジスタ220と、薄膜トランジスタ220上に形成された有機発光ダイオード250とを含んでいる。
【0055】
薄膜トランジスタ220は、バッファ層210上に形成された半導体層220aと、ゲート絶縁膜222を間に挟んで半導体層220a上に形成されたゲート電極220bと、層間絶縁膜224を間に挟んでゲート電極220b上に形成され、コンタクトホールを介して半導体層220aに接続されるソース及びドレイン電極220c、220dとを含んでいる。
【0056】
薄膜トランジスタ220上には平坦化膜240が形成される。このような平坦化膜240は、有機/無機絶縁膜を含む多層膜構造で形成することができる。例えば、平坦化膜240は無機絶縁膜である第1平坦化膜240aと、有機絶縁膜である第2平坦化膜240bとを含んで構成することができる。
【0057】
平坦化膜240上の画素部には平坦化膜240に形成されたビアホールを通じて薄膜トランジスタ220と電気的に連結された有機発光ダイオード250が形成される。
【0058】
有機発光ダイオード250は、平坦化膜240上に形成され、薄膜トランジスタ220のソース及びドレイン電極220c、220dのうちのいずれか1つの電極と電気的に連結される第1電極250aと、第1電極250a上に形成された有機発光層250bと、有機発光層250b上に形成された第2電極250cとを含んでいる。
【0059】
ここで、有機発光ダイオードの第1電極250aは画素単位でパターニングされ、各画素の第1電極の間には画素定義膜270が形成される。画素定義膜270は、第1電極250aの縁領域上部と重なるように形成され、画素の発光領域で第1電極250aを露出するように形成される。
【0060】
有機発光層250bは、第1電極250aの露出した領域を含んだ領域に形成される。
【0061】
そして、有機発光ダイオードの第2電極250cは画素単位でパターニングされず、画素部上に全面的に形成される。このような第2電極250cはカソードコンタクト部で導電性パターン260と連結され、導電性パターン260はバス部で低電位画素電源のバスライン230と連結されている。
【0062】
一方、便宜上、詳細な説明の全般にわたって有機発光ダイオードの第2電極250cがカソード電極であることを仮定して説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、薄膜トランジスタ220のタイプや画素回路などが変更される場合には、第2電極250cをアノード電極に変更実施することも可能である。
【0063】
内蔵回路部は画素を駆動するための駆動回路が形成される領域であって、薄膜トランジスタ220’などの回路素子を含んでいる。ここで、内蔵回路部に形成された薄膜トランジスタ220’は構造上、画素部に形成された薄膜トランジスタ220と同一であるので(但し、他の構成要素との連結関係は考慮しないことにする)、これについての詳細な説明は省略する。
【0064】
内蔵回路部上には導電性パターン260を含むカソードコンタクト部が形成される。即ち、本発明においてカソードコンタクト部は内蔵回路部と重なるように配置される。
【0065】
導電性パターン260は、有機発光ダイオードの第2電極250cと低電位画素電源のバスライン230とを電気的に連結するものであり、有機発光ダイオードの第1電極250aと同じ物質で同じレイヤに形成することができる。例えば、導電性パターン260は平坦化膜240上にアノード電極物質で形成することができる。
【0066】
このようなカソードコンタクト部は、導電性パターン260と有機発光ダイオードの第2電極250cがコンタクトされて連結されるコンタクト領域を含んでいる。
【0067】
即ち、有機発光ダイオードの第2電極250cは、内蔵回路部上のカソードコンタクト部で導電性パターン260と連結される。このために導電性パターン260の一領域上部はコンタクト領域で画素定義膜270が除去されて露出している。
【0068】
バス部は、導電性パターン260を経由して有機発光ダイオードの第2電極250cと連結されるバスライン230を含んでいる。即ち、本実施形態においてバスライン230は有機発光ダイオードの第2電極250cに低電位画素電源ELVSSを伝達するための低電位画素電源のバスラインとして設定することができる。このようなバスライン230は、バス部上で導電性パターン260とコンタクトして連結される。
【0069】
バスライン230は、薄膜トランジスタ220、220’のゲート電極、ソース及びドレイン電極のうちの1つ以上の電極と同じ物質で同じレイヤに形成することができる。
【0070】
例えば、バスライン230は、図3に示すように、薄膜トランジスタ220、220’のソース及びドレイン電極と同じ物質で同じレイヤに形成することができる。
【0071】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、バスライン230は薄膜トランジスタ220、220’のゲート電極と同じ物質で同じレイヤに形成されるか、或いは互いに異なるレイヤに位置する少なくとも2つの配線が連結される構造で形成することも可能である。
【0072】
シーリング部は、図2の第1及び第2基板200、300を貼り合わせるためのシーリング剤280が形成される領域であって、バス部の外郭に配置される。
【0073】
但し、本発明においてシーリング部はバス部と少なくとも一部重なるように配置することができる。即ち、シーリング剤280はバスライン230の少なくとも一領域の上部に位置することができる。そして、シーリング剤280とバスライン230との間には第1平坦化膜240aなどのような絶縁膜を介在させることができる。
【0074】
前述したような本発明によれば、中央部から外郭への方向に画素部、内蔵回路部及びカソードコンタクト部、バス部、シーリング部が順次配置されることによって、低電位画素電源のバスライン230の幅を縮小させることなく、デッドスペースを減少させることができる。
【0075】
更に具体的に説明すると、バス部が画素部と内蔵回路部との間に配置される比較例と比較する時、比較例の場合にはデッドスペースを減少させるためにバス部及び/又は内蔵回路部の領域を縮小することが避けられないが、本発明の場合にはバス部が内蔵回路部の外郭に配置されているので、バス部とシーリング部を少なくとも一部重複させることができるようになる。
【0076】
内蔵回路部はシーリング工程で発生する熱及び静電気ESDに弱いため、内蔵回路部がシーリング部と隣接するように配置されると、シーリング剤280と重ねることができず、設計空間の活用に制約が生じてしまう。さらに、内蔵回路部が表示パネルの外郭に近接して配置されるので、静電気によって損傷し易いという問題点もある。内蔵回路部の損傷は有機電界発光表示装置の不良をもたらすことになる。
【0077】
しかしながら、本発明のような配列構造にすれば、内蔵回路部がバス部の内側に位置するので、静電気による内蔵回路部の損傷が更に防止できることはもちろん、バスライン230をシーリング剤280と一部重複させても駆動不良が発生しないため、デッドスペースを減少させながらもバスライン230の幅を十分に確保できる。これにより、バスライン230を介して伝達される低電位画素電源ELVSSの電圧降下を防止できる。
【0078】
更に、内蔵回路部とバス部が重ならないため、内蔵回路部の薄膜トランジスタ220’を構成するゲート電極220a’、ソース及びドレイン電極220c’、220d’などの電極物質を用いて断層、或いは多層でバスライン230を自由に設計できる。これにより、バスライン230の低抵抗設計が可能になるので、低電位画素電源ELVSSの電圧降下を更に効果的に防止できる。
【0079】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能なことはもちろんであり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。」

イ 「【図1】

【図2】

【図3】



ウ 上記記載事項イの【図2】から、「第2領域」、「第3領域」及び「第4領域」が「第1領域」を囲むように配置されている構成を読み取ることができる。

エ 上記記載事項アの段落【0056】の「薄膜トランジスタ220上には平坦化膜240が形成される。」、段落【0063】の「内蔵回路部に形成された薄膜トランジスタ220’は構造上、画素部に形成された薄膜トランジスタ220と同一であるので(但し、他の構成要素との連結関係は考慮しないことにする)、これについての詳細な説明は省略する。」及び上記記載事項イの【図3】の記載から、薄膜トランジスタ220及び薄膜トランジスタ220’上に平坦化膜240が形成される構成を読み取ることができる。

オ 上記記載事項アの段落【0059】の「有機発光ダイオードの第1電極250aは画素単位でパターニングされ、各画素の第1電極の間には画素定義膜270が形成される。画素定義膜270は、第1電極250aの縁領域上部と重なるように形成され、画素の発光領域で第1電極250aを露出するように形成される。」、段落【0067】の「有機発光ダイオードの第2電極250cは、内蔵回路部上のカソードコンタクト部で導電性パターン260と連結される。このために導電性パターン260の一領域上部はコンタクト領域で画素定義膜270が除去されて露出している。」及び【図3】の記載から、「第1電極250a」と「導電性パターン260」の上に「画素定義膜270」が形成され、画素定義膜270は、画素の発光領域で第1電極250aを露出するように形成される構成を読み取ることができる。

すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「第1基板200上の領域が、画素部(第1領域)と、内蔵回路部及びカソードコンタクド部(第2領域)と、バス部(第3領域)と、シーリング部(第4領域)とに区分されている有機電界発光表示装置であって、
第2領域、第3領域及び第4領域が第1領域を囲むように配置されており、
画素部は、第1基板200上部のバッファ層210上に形成された薄膜トランジスタ220と、薄膜トランジスタ220上に形成された有機発光ダイオード250とを含んでおり、
内蔵回路部は画素を駆動するための駆動回路が形成される領域であって、薄膜トランジスタ220’などの回路素子を含んでおり、
薄膜トランジスタ220及び薄膜トランジスタ220’上に平坦化膜240が形成され、
平坦化膜240上の画素部には平坦化膜240に形成されたビアホールを通じて薄膜トランジスタ220と電気的に連結された有機発光ダイオード250が形成され、
有機発光ダイオード250は、平坦化膜240上に形成され、薄膜トランジスタ220のソース及びドレイン電極220c、220dのうちのいずれか1つの電極と電気的に連結される第1電極250aと、第1電極250a上に形成された有機発光層250bと、有機発光層250b上に形成された第2電極250cとを含んでおり、
内蔵回路部上には導電性パターン260を含むカソードコンタクト部が形成され、
導電性パターン260は、平坦化膜240上に第1電極250aと同じ物質であるアノード電極物質で形成され、
第1電極250aと導電性パターン260の上に画素定義膜270が形成され、画素定義膜270は、画素の発光領域で第1電極250aを露出するように形成されている有機電界発光表示装置。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、国際公開第2011/045911号(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

ア 「技術分野
[0001] 本発明は、表示パネル装置及びその製造方法に関し、特に、有機発光材料を用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル装置に関する。
背景技術
[0002] 有機EL表示装置は、有機化合物の電界発光現象を利用した発光表示装置であり、携帯電話機などに用いられる小型の表示装置として実用化されている。
[0003] 有機EL表示装置は、画素ごとに独立に発光制御可能な複数の有機EL素子を基板上に配置して構成される。典型的な有機EL表示装置は、基板上に、駆動回路、陽極、有機層、陰極を積層することで作製される。有機層には、有機化合物からなる有機EL層とともに、正孔注入層、電子輸送層などの複数の機能層のうちの1つ以上が積層される。このような構成において、陽極および陰極から正孔輸送層などを介して有機EL層へ電荷が注入され、注入された電荷が有機EL層内で再結合することによって、発光が生じる。
[0004] 有機EL表示装置において優れた表示品位を得るために、各画素の有機EL素子に十分な動作電流が供給されることが重要である。動作電流の供給不足は、輝度の低下、輝度むら、およびコントラストの低下を引き起こし、表示品位を損なう1つの原因となるからである。
[0005] 従来、優れた表示品位を指向して、有機EL表示装置における各画素の有機EL素子に十分な動作電流を供給するための構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
[0006] 特許文献1に開示されている発光装置は、発光素子を備えた複数の画素が設けられた有効領域(本明細書では、表示部)の外側に、陰極に接続される陰極用配線が、前記有効領域を囲むように設けられ、前記陰極用配線と前記有効領域との間に画素電極に接続される電源線が設けられている。
[0007] このように構成された発光装置によれば、前記陰極用配線と前記陰極との接触面積を十分に確保し、両者の間の電気抵抗を最小限に抑えることができるので、この電気抵抗に起因する電圧降下によって、発光素子に供給される電流の量が低下するのを防ぐことができる。
先行技術文献
特許文献
[0008] 特許文献1:特開2005-242383号公報
特許文献2:特開2005-338789号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0009] 上記従来技術の発光装置における前記陰極用配線の面積は、有機EL素子に十分な動作電流を供給する観点から、大きいほど好ましいと言える。しかしながら、表示部を囲む広い領域に前記陰極用配線を設置した場合、上記従来技術では以下のような問題が懸念される。
[0010] 即ち、表示装置の製造過程では、一般的に平坦化膜形成後に画素ごとに分離された下部電極をフォトエッチングプロセスにより形成し、その後有機層が積層される。この平坦化膜形成時及び下部電極形成時に、洗浄水や現像液、及び酸などの薬液が用いられることにより、水分や酸などの成分が平坦化膜中に吸収される。そのため、水分や酸などの成分が吸収された状態の平坦化膜を、例えば、陰極用配線として用いる電極板で覆うと、平坦化膜内に水分や酸などの成分が吸収された状態で密閉される。
[0011] その状態で、平坦化膜の上方に有機層が積層すると、平坦化膜に含まれた水分や酸などの成分がアウトガスとなって有機層に漏れ出すことがある。その結果、有機層がアウトガスと反応して有機層の品質が劣化し、画素シュリンクが発生するという問題がある。
[0012] また、平坦化膜内にアウトガスが密閉されることにより、そのガス圧力によって電極板が剥がれ、表示部の周辺部でアウトガスが有機層に漏れ出してしまう。その結果、表示部の周辺部に位置する有機層がアウトガスと反応し、周辺部が白色化するという問題がある。
[0013] 特許文献1には、陰極用配線として用いる電極板を設置し、表示部を囲む広い領域において平坦化膜を覆った場合に懸念されるこのような問題を克服するための有効な解決策は示されていない。
[0014] なお、補助導電層(陰極用配線)に貫通部を形成し、絶縁層(平坦化膜)から発生したガスを前記貫通部から排出し、前記ガスの排出経路を短縮する技術がある(例えば、特許文献2)。
[0015] しかし、かかる従来技術では、円滑にガス排出をするために貫通部を多数の点又は直線で形成する構成を開示するに止まり、前記貫通部が前記補助導電層内での駆動電流の流れを妨げになる点については考慮されていない。
[0016] そのため、単に前記補助導電層内に前記貫通部を形成しただけでは、前記貫通部自体が駆動電流の流れの抵抗となるという問題がある。
[0017] そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、有機EL素子の動作電流を供給するための配線としての電極板を有する表示パネル装置であって、電極板を平坦化膜上の広い領域に設置した場合でも平坦化膜を密閉しにくい構造の表示パネル装置、およびその製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0018] 上述した課題を解決するために、本発明に係る表示パネル装置の1つの態様は、基板と、前記基板上に形成される平坦化膜と、前記平坦化膜上に形成され、下部電極、有機層、及び上部電極を含む画素部と、前記下部電極と電気的に絶縁され前記上部電極と電気的に接続された補助電極と、前記画素部を複数含む表示部と、前記補助電極と電気的に接続され前記表示部外において前記平坦化膜を覆う電極板と、を具備し、前記電極板は、前記平坦化膜の表面の一部を開放する孔部と、前記電極板を介して電流を受ける給電部とを有し、前記孔部は、前記孔部と近接する前記表示部の辺と平行する方向が長い矩形形状に開口し、前記孔部は、前記補助電極と前記電極板との接続部と、前記給電部との間の電流の流れに沿って開口している。
発明の効果
[0019] 本発明に係る表示パネル装置は、電極板が平坦化膜の表面の一部を開放する孔部を有しているので、電極板の下部に配置される平坦化膜に含まれる水分や酸などの成分を、表示パネル装置の製造過程(特に、ベークやアニールといった熱処理を伴う工程)において、電極板の孔部を介してアウトガスとしてあらかじめ排出しておくことができる。
[0020] その結果、電極板によって平坦化膜にアウトガスが密閉されることで生じる不具合を、電極板に孔部を設けない場合と比べて減らすことができる。
・・中略・・
発明を実施するための形態
[0022] 本発明の一態様である表示パネル装置は、基板と、前記基板上に形成される平坦化膜と、前記平坦化膜上に形成され、下部電極、有機層、及び上部電極を含む画素部と、前記下部電極と電気的に絶縁され前記上部電極と電気的に接続された補助電極と、前記画素部を複数含む表示部と、前記補助電極と電気的に接続され前記表示部外において前記平坦化膜を覆う電極板と、前記電極板と電気的に接続された給電部と、を具備し、前記電極板は、前記平坦化膜の表面の一部を開放する孔部を有し、前記孔部は、前記孔部と近接する前記表示部の辺と平行する方向が長い矩形形状に開口し、前記孔部は、前記補助電極と前記電極板との接続部と、前記給電部との間の電流の流れに沿って開口している。
[0023] 本態様によると、前記平坦化膜を覆う電極板に、前記平坦化膜の表面の一部を開放する孔部を設けている。これにより、前記平坦化膜内に水分や酸などの成分が吸収された状態の平坦化膜を電極板で覆ったとしても、前記平坦化膜に含まれるアウトガスは前記孔部を介して排出される。
[0024] そのため、その状態で、前記平坦化膜上に前記画素部が積層すれば、その後に、前記平坦化膜に含まれた水分や酸などの成分がアウトガスとなって前記有機層に漏れ出して、前記有機層が前記アウトガスと反応して前記有機層の品質を劣化するのを防止できる。その結果、前記画素シュリンクが発生するのを防止できる。
[0025] また、前記平坦化膜内に密封された水分や酸などの成分を排出させるので、前記成分がアウトガスとなって、そのガス圧力により前記電極板が剥がれるのを防止できる。そのため、前記アウトガスが前記表示部の周辺部の有機層に漏れ出して、前記有機層が前記アウトガスと反応して前記周辺部が白色化するのを防止できる。
[0026] また、前記孔部を、前記孔部と近接する前記表示部の辺と平行する方向が長い矩形形状に開口させている。そして、前記孔部を、前記補助電極と前記電極板との接続部と、前記給電部との間の電流の流れに沿って開口させている。これにより、前記孔部の開口の矩形形状は、電流の流れる方向に近似するので、前記孔部の開口が電流の流れの抵抗になるのを抑制し、抵抗値の変化を抑えることができる。」

イ 「[0078] 以下、本発明の実施の形態に係る表示パネル装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[0079] 実施の形態の説明では、1つの典型例として、アクティブマトリクス型の有機EL表示パネル装置の例を用いるが、本発明の表示パネル装置は、有機EL表示パネル装置に限定されるものではなく、独立に発光制御可能な複数の画素部を配列してなる表示部と、表示部に配置された画素部の動作電流を供給するための配線としての電極板とを備えた表示パネル装置に広く適用できる。
[0080] (表示パネル装置の概要)
図1は、本発明の実施の形態に係る表示パネル装置1の構造の一例を示す平面図である。なお、図1は説明のための模式図であり、各部の大きさの比は不同に描かれている。また、以下で大まかに言及されている表示パネル装置1の積層構造については、図4?7を参照して、後ほど改めて詳細に説明する。
[0081] 表示パネル装置1は、図1に示されるように、基板10上にTFT層20および平坦化膜30をこの順に積層してなる構造体の上に、独立に発光制御可能な複数の画素部51を配置した表示部52を形成し、封止膜40、樹脂層60、およびガラス基板70にて全面を封止して構成される。
[0082] 表示部52には、画素部51ごとに分離された下部電極31と、一面に設けられた上部電極39とで、電界発光機能を有する有機層を挟んでなる有機EL素子が形成されている。有機層は、例えば、有機材料または無機材料からなる正孔注入層、有機EL層、および電子輸送層の積層構造体である。
[0083] 補助電極32および電極板33は、画素部51の有機EL素子に動作電流を流す配線であり、上部電極39は、表示部52内で補助電極32と接続され、表示部52外で電極板33と接続されている。補助電極32は電極板33と接続され、電極板33は給電部28と接続されている。下部電極31は、TFT層20に設けられた駆動素子と接続されている。理解のため、下部電極31、補助電極32、および電極板33が設置される範囲をハッチングで示している。
[0084] それぞれの画素部51において、駆動素子から下部電極31を介して供給され、上部電極39から電極板33を介して給電部28へ流れる動作電流によって、有機層が発光する。
[0085] 電極板33は、表示部52外で平坦化膜30を覆うように形成され、平坦化膜30からのアウトガスを排出する複数の孔部50を有している。
[0086] このように構成された表示パネル装置1では、上部電極39と接続する電極板33を表示部52外の広い領域に設けることにより、画素部51から給電部28までの電気抵抗を低く抑えることができ、かつ電極板33に孔部50を設けたので、平坦化膜30にアウトガスが密閉されにくくなる。
[0087] その結果、動作電流の供給不足から生じる輝度の低下、輝度むら、およびコントラストの低下が軽減されて表示品位が高まり、かつ平坦化膜30にアウトガスが密閉されることで生じる不具合が低減される。
[0088] 図2は、図1に示される表示パネル装置1の右下隅付近の構造を詳細に示す拡大平面図である。
[0089] 図2に示されるように、電極板33の辺部に設けられる給電部28は、一例として、頂点を表示部52に向けた三角形をしており、また、電極板33の角部に設けられる給電部28は、一例として、平行な一対の辺のうちのより短い一方である上辺を表示部52に向けた台形をしている。給電部28は、例えば導電膜であり、図2に示される三角形および台形の領域において電極板33と接続され、さらに図外へ延設されていてもよい。すなわち、本明細書において給電部の形状とは、電極板33と給電部28とが接続される領域の形状として定義される。
[0090] 隔壁36は、例えば、図面の縦方向に沿って設けられる。補助電極32は、下部電極31が形成されていない領域に、隔壁36と平行する方向に沿って設けられ、有機EL層37は、隣接する隔壁36で仕切られた帯状の領域に配置される。
[0091] 図2に示す構成において、隔壁36で仕切られた帯状の領域ごとに、赤、青、緑で発光する有機EL層37を設けることにより、カラー表示パネル装置を構成できる。この場合、各画素部51はサブ画素に対応し、それぞれ赤、青、緑で発光する3つの隣接する画素部51により1つの画素が構成される。なお、後述するように、隔壁36で仕切られた帯状の領域内における隣接する下部電極31間に絶縁性の材料からなる画素規制層を設けて、隣接する画素部51を区画してもよい。
[0092] 電極板33には、電極板33内に流れる各画素部51の動作電流の向きに沿うように、表示部52の近接する辺と平行する方向が長い矩形の孔部50が設けられる。理解のため、下部電極31、補助電極32、および電極板33が設置される範囲を右下がりのハッチングで示し、隔壁36が設置される範囲を右上がりのハッチングで示している。
[0093] 下部電極31と補助電極32とは所定の間隔を空けて設けられ、孔部50は、下部電極31と補助電極32との間に設けられる間隔に対応する幅で開口している。孔部50の幅は、例えば、下部電極31と補助電極32との間に設けられる間隔と同じであってもよい。
[0094] 図3に示されるように、電極板33の辺部に設けられる給電部28は、上辺を表示部52に向けた台形をしていてもよい。
[0095] (表示パネル装置の詳細な構造)
以下、図4?図7を用いて、表示パネル装置1の詳細な構造について説明する。
[0096] なお、図4?図7は説明のための模式図であり、膜厚、各部の大きさの比、繰り返し配置される要素の個数などは、必ずしも厳密ではない。また、図4?図7に示される表示パネル装置1の構成は代表例であり、表示パネル装置1を限定するものではない。以下では、図1で説明した構成要素には同一の符号を付して、適宜説明を省略する。
[0097] 図4は、図2に示されるAA’線に沿った表示パネル装置1の切断面を示す断面図である。図4に示されるように、図2のAA’線の断面において、基板10の上面には、後述するTFT層20の上面を平坦化する平坦化膜30、画素部51ごとに分離され陽極として用いられる下部電極31、下部電極31とは電気的に分離された補助電極32、補助電極32と電気的に接続されている電極板33、正孔輸送性を持つ有機材料または無機材料からなる正孔注入層34、感光性樹脂からなる隔壁36、電界発光機能を有する有機材料からなる有機EL層37、電子輸送性を持つ有機材料からなる電子輸送層38、導電性の材料からなり陰極として用いられる上部電極39、絶縁性の材料からなる封止膜40が設けられる。
[0098] なお、下部電極31とは電気的に分離された補助電極32とは、下部電極31と補助電極32とが、1つの導電膜をパターニングすることによって、同一層において電気的に分離して形成されていることを意味する。
[0099] 封止膜40の上方にはシール部材61を介してガラス基板70が設けられ、封止膜40とガラス基板との間には樹脂層60が充填される。
[0100] 電極板33は、表示部52外で平坦化膜30を覆うように形成され、平坦化膜30の表面の一部を開放する複数の孔部50を有している。電極板33は、表示部52外に設けられ、平坦化膜30が設置されていない領域において、給電部28と電気的に接続されている。また、電極板33は、表示部52外で隔壁36が設置されていない領域において、上部電極39と電気的に接続されている。
[0101] 前述したように、孔部50は、下部電極31と補助電極32との間に設けられる間隔に対応する幅(例えば、当該間隔と同じ幅)で開口している。これにより、表示パネル装置1の製造工程において、表示部52内と表示部52外とで同程度に、平坦化膜30に含まれるアウトガスは孔部50を介して排出できる。そのため、表示部52以外の領域で平坦化膜30内に水分や酸などの成分が過度に密閉されるのを防止できる。
[0102] 図5は、図2に示されるDD’線に沿った表示パネル装置1の切断面を示す断面図である。図5に示されように、図2のDD’線の断面において、基板10の上面には、ゲート絶縁膜22およびソース・ドレイン電極24を含む薄膜トランジスタである駆動素子25、層間絶縁膜26、およびITO(インジウムスズ酸化物)膜27が設けられる。なお、駆動素子25は、図5の切断面には現れていないが、例えばゲート電極、半導体膜などの構成薄膜トランジスタとして一般的に必要な他の構成を別断面において有している。駆動素子25は、図示しない別の薄膜トランジスタである選択素子や、輝度電圧を保持するキャパシタとともに駆動回路を構成する。基板10と平坦化膜30との間の前記駆動回路が設けられる領域をTFT層20と呼ぶ。
[0103] 画素部51とTFT層20との間には、TFT層20の上面を平坦化する平坦化膜30が設けられる。
[0104] 下部電極31は、平坦化膜30および層間絶縁膜26を貫通して設けられるコンタクトホールを通して、駆動素子25のソース・ドレイン電極24と電気的に接続されている。また、上部電極39は、表示部52内で隔壁36が設置されていない領域において、電子輸送層38を介して補助電極32と電気的に接続されている。
[0105] 電極板33は、表示部52外で平坦化膜30を覆うように形成され、平坦化膜30の表面の一部を開放する複数の孔部50を有している。電極板33は、表示部52外に設けられ、平坦化膜30が設置されていない領域において、給電部28と電気的に接続されている。また、電極板33は、表示部52外で隔壁36が設置されていない領域において、上部電極39と電気的に接続されている。
[0106] なお、下部電極31と正孔注入層34との間に、画素規制層35を設けてもよい。画素規制層35は、絶縁性の材料からなり、下部電極31の非所望の部分を覆うことにより、発光領域を規制する。例えば、コンタクトホールの内部および近傍の下部電極31を画素規制層35で覆うことで、有機EL層37の膜厚が制御しにくく発光が不安定になり易いコンタクトホール部分での発光を禁止することができる。また、図2および図3に示される隔壁36で仕切られた帯状の領域内における隣接する下部電極31間を画素規制層35で覆うことで、隣接する画素部51を区画することができる。
[0107] 図6は、図2に示されるBB’線に沿った表示パネル装置1の切断面を示す断面図である。図6に示されるように、図2のBB’線の断面において、画素部51の端部の断面には、下部電極31および電極板33の孔部50は現れない。
[0108] 図7は、図2に示されるCC’線に沿った表示パネル装置1の切断面を示す断面図である。図7に示されるように、図2のCC’線の断面において、表示部52外の断面には、下部電極31、補助電極32、正孔注入層34、有機EL層37、電子輸送層38は現れない。
[0109] 本態様によると、平坦化膜30を覆う電極板33に、平坦化膜30の表面の一部を開放する孔部50を設けている。これにより、平坦化膜30内に水分や酸などの成分が吸収された状態の平坦化膜30を電極板33で覆ったとしても、平坦化膜30に含まれるアウトガスは孔部50を介して排出される。
[0110] そのため、アウトガスが排出された状態で、平坦化膜30上に画素部51を積層すれば、その後さらに、平坦化膜30に含まれた水分や酸などの成分がアウトガスとなって有機層(有機材料からなる正孔注入層34、有機EL層37、および電子輸送層38の積層構造体を言う。なお、正孔注入層34については、無機材料にて構成してもよい。)に漏れ出して、前記有機層が前記アウトガスと反応して前記有機層の品質を劣化するのを防止できる。その結果、前記画素シュリンクが発生するのを防止できる。
[0111] また、平坦化膜30内に密封された水分や酸などの成分を排出させるので、前記成分がアウトガスとなって、そのガス圧力により電極板33が剥がれるのを防止できる。そのため、前記アウトガスが表示部52の周辺部の前記有機層に漏れ出して、前記有機層が前記アウトガスと反応して前記周辺部が白色化するのを防止できる。」

ウ 「[図1]

[図2]

[図3]

[図4]

[図5]

[図6]

[図7]



エ 上記記載事項イの
「[0090] 隔壁36は、例えば、図面の縦方向に沿って設けられる。補助電極32は、下部電極31が形成されていない領域に、隔壁36と平行する方向に沿って設けられ、有機EL層37は、隣接する隔壁36で仕切られた帯状の領域に配置される。
[0091] 図2に示す構成において、隔壁36で仕切られた帯状の領域ごとに、赤、青、緑で発光する有機EL層37を設けることにより、カラー表示パネル装置を構成できる。この場合、各画素部51はサブ画素に対応し、それぞれ赤、青、緑で発光する3つの隣接する画素部51により1つの画素が構成される。なお、後述するように、隔壁36で仕切られた帯状の領域内における隣接する下部電極31間に絶縁性の材料からなる画素規制層を設けて、隣接する画素部51を区画してもよい。」という記載及び[図1]?[図7]の記載から、「隔壁36」は、「下部電極31」、「補助電極32」及び「電極板33」の上に形成され、「下部電極31」を露出させるように構成され、「孔部50」が「隔壁36」の下に配置されている構成を読み取ることができる。

すると、引用文献2には、以下の技術事項(以下「引用文献2の技術事項」という。)が記載されている。

「水分や酸などの成分が吸収された状態の平坦化膜を、例えば、陰極用配線として用いる電極板で覆うと、平坦化膜内に水分や酸などの成分が吸収された状態で密閉され、その状態で、平坦化膜の上方に有機層が積層すると、平坦化膜に含まれた水分や酸などの成分がアウトガスとなって有機層に漏れ出し、有機層がアウトガスと反応して有機層の品質が劣化し、画素シュリンクが発生したり、また、平坦化膜内にアウトガスが密閉されることにより、そのガス圧力によって電極板が剥がれ、表示部の周辺部でアウトガスが有機層に漏れ出してしまい、表示部の周辺部に位置する有機層がアウトガスと反応し、周辺部が白色化するという問題がある。

この問題に対して、有機EL素子の動作電流を供給するための配線としての電極板を有する表示パネル装置であって、電極板を平坦化膜上の広い領域に設置した場合でも平坦化膜を密閉しにくい構造の表示パネル装置、およびその製造方法を提供することを目的として、下記のような表示パネル装置の構成とした。

基板10上にTFT層20および平坦化膜30をこの順に積層してなる構造体の上に、独立に発光制御可能な複数の画素部51を配置した表示部52が形成された有機EL表示パネル装置1であって、
表示部52には、画素部51ごとに分離された下部電極31と、一面に設けられた上部電極39とで、電界発光機能を有する有機層を挟んでなる有機EL素子が形成されていて、
下部電極31が、TFT層20に設けられたゲート絶縁膜22およびソース・ドレイン電極24を含む薄膜トランジスタである駆動素子25のソース・ドレイン電極24と電気的に接続されていて、
補助電極32および電極板33は、画素部51の有機EL素子に動作電流を流す配線であり、上部電極39は、表示部52内で補助電極32と接続され、表示部52外で電極板33と接続されていて、補助電極32は電極板33と接続され、電極板33は給電部28と接続されていて、
電極板33は、表示部52外で平坦化膜30を覆うように形成され、平坦化膜30からアウトガスを排出する複数の孔部50を有しており、
隔壁36が、下部電極31、補助電極32及び電極板33の上に形成され、下部電極31を露出させるように構成され、孔部50が隔壁36の下に配置されている有機EL表示パネル装置1。

このように構成された有機EL表示パネル装置1においては、平坦化膜30を覆う電極板33に、平坦化膜30の表面の一部を開放する孔部50を設けることにより、平坦化膜30内に水分や酸などの成分が吸収された状態の平坦化膜30を電極板33で覆ったとしても、平坦化膜30に含まれるアウトガスは孔部50を介して排出されるので、前記成分がアウトガスとなって、そのガス圧力により電極板33が剥がれるのを防止できる。そのため、前記アウトガスが表示部52の周辺部の前記有機層に漏れ出して、前記有機層が前記アウトガスと反応して前記周辺部が白色化するのを防止できるという効果を奏し得る。」

(3)本願発明と引用発明との対比
ア 引用発明の「第1基板200」、「画素部(第1領域)」、「画素」、「内蔵回路部及びカソードコンタクド部(第2領域)と、バス部(第3領域)と、シーリング部(第4領域)」、「薄膜トランジスタ220」、「薄膜トランジスタ220’」、「平坦化膜240」、「導電性パターン260」、「薄膜トランジスタ220のソース及びドレイン電極220c、220dのうちのいずれか1つの電極」、「第1電極250a」、「画素定義膜270」、「有機発光層250b」、「第2電極250c」及び「有機電界発光表示装置」が、それぞれ、本願発明の「基板」、「表示領域」、「ピクセル」、「非表示領域」、「第2薄膜トランジスタ」、「第1薄膜トランジスタ」、「平坦化膜」、「第1電極」、「第2薄膜トランジスタの電極」、「第2電極」、「バンクパターン」、「有機発光層」、「第3電極」及び「有機発光ダイオード表示装置」に相当する。

イ 上記「ア」から、引用発明の
「第1基板200上の領域が、画素部(第1領域)と、内蔵回路部及びカソードコンタクド部(第2領域)と、バス部(第3領域)と、シーリング部(第4領域)とに区分されている有機電界発光表示装置であって、
第2領域、第3領域及び第4領域が第1領域を囲むように配置されており、
画素部は、第1基板200上部のバッファ層210上に形成された薄膜トランジスタ220と、薄膜トランジスタ220上に形成された有機発光ダイオード250とを含んでおり、
内蔵回路部は画素を駆動するための駆動回路が形成される領域であって、薄膜トランジスタ220’などの回路素子を含んでおり、
薄膜トランジスタ220及び薄膜トランジスタ220’上に平坦化膜240が形成され、
平坦化膜240上の画素部には平坦化膜240に形成されたビアホールを通じて薄膜トランジスタ220と電気的に連結された有機発光ダイオード250が形成され、
有機発光ダイオード250は、平坦化膜240上に形成され、薄膜トランジスタ220のソース及びドレイン電極220c、220dのうちのいずれか1つの電極と電気的に連結される第1電極250aと、第1電極250a上に形成された有機発光層250bと、有機発光層250b上に形成された第2電極250cとを含んでおり、
第1電極250aと導電性パターン260の上に画素定義膜270が形成され、画素定義膜270は、画素の発光領域で第1電極250aを露出するように形成されている有機電界発光表示装置。」は、
本願発明の
「基板上に定義され、映像を表示するように構成された表示領域と、
前記表示領域を囲むように定義され、前記表示領域に含まれたピクセルに信号を提供するように構成された非表示領域と、
前記基板の非表示領域に形成された第1薄膜トランジスタと、
前記基板の表示領域に形成された第2薄膜トランジスタと、
前記第1および第2薄膜トランジスタの上部に形成された平坦化膜と、」
「前記平坦化膜上に形成され、前記第2薄膜トランジスタの電極に連結される第2電極と、
前記第2電極と第1電極の上に形成され、前記第2電極の一部を露出させるように構成され、第1電極に隣接するように配置されたバンクパターンと、
前記第2電極上に形成された有機発光層と、
前記有機発光層上に形成された第3電極と、を含」む「有機発光ダイオード表示装置。」に相当する。

ウ 引用発明の「内蔵回路部上には導電性パターン260を含むカソードコンタクト部が形成され、導電性パターン260は、平坦化膜240上に第1電極250aと同じ物質であるアノード電極物質で形成され」ることと、本願発明の「前記非表示領域内の前記平坦化膜上に形成され、少なくとも1つの第1開口を含む第1電極と、」「を含」むことは、「前記非表示領域内の前記平坦化膜上に形成された第1電極と、」「を含」むことで一致する。

(4)一致点
してみると、両者は、
「基板上に定義され、映像を表示するように構成された表示領域と、
前記表示領域を囲むように定義され、前記表示領域に含まれたピクセルに信号を提供するように構成された非表示領域と、
前記基板の非表示領域に形成された第1薄膜トランジスタと、
前記基板の表示領域に形成された第2薄膜トランジスタと、
前記第1および第2薄膜トランジスタの上部に形成された平坦化膜と、
前記非表示領域内の前記平坦化膜上に形成された第1電極と、
前記平坦化膜上に形成され、前記第2薄膜トランジスタの電極に連結される第2電極と、
前記第2電極と第1電極の上に形成され、前記第2電極の一部を露出させるように構成され、第1電極に隣接するように配置されたバンクパターンと、
前記第2電極上に形成された有機発光層と、
前記有機発光層上に形成された第3電極と、を含む有機発光ダイオード表示装置。」
で一致し、次の点で相違する。

(5)相違点
本願発明では、「第1電極」が「少なくとも1つの第1開口を含」み、「前記第1開口は、前記バンクパターンの下に配置されている」のに対して、引用発明では、「導電性パターン260」はそのような開口を含まない点。

(6)判断
相違点について
引用文献2の技術事項の「基板10」、「表示部52」、「画素部51」、「表示部52外」、「薄膜トランジスタである駆動素子25」、「平坦化膜30」、「電極板33」、「ソース・ドレイン電極24」、「下部電極31」、「隔壁36」、「電界発光機能を有する有機層」、「上部電極39」及び「有機EL表示パネル装置1」は、それぞれ、引用発明の「第1基板200」、「画素部(第1領域)」、「画素」、「内蔵回路部及びカソードコンタクド部(第2領域)と、バス部(第3領域)と、シーリング部(第4領域)」、「薄膜トランジスタ220」、「平坦化膜240」、「導電性パターン260」、「薄膜トランジスタ220のソース及びドレイン電極220c、220dのうちのいずれか1つの電極」、「第1電極250a」、「画素定義膜270」、「有機発光層250b」、「第2電極250c」及び「有機電界発光表示装置」に相当する。
すると、引用発明と、引用文献2の技術事項の「有機EL表示パネル装置1」は、ともに、表示領域外(「内蔵回路部及びカソードコンタクド部(第2領域)と、バス部(第3領域)と、シーリング部(第4領域)」、「表示部52外」)で、平坦化膜(「平坦化膜240」、「平坦化膜30」)の上に電極(「導電性パターン260」、「電極板33」)が形成された構成で一致するから、引用発明においても、引用文献2の技術事項の「水分や酸などの成分が吸収された状態の平坦化膜を、例えば、陰極用配線として用いる電極板で覆うと、平坦化膜内に水分や酸などの成分が吸収された状態で密閉され、その状態で、平坦化膜の上方に有機層が積層すると、平坦化膜に含まれた水分や酸などの成分がアウトガスとなって有機層に漏れ出し、有機層がアウトガスと反応して有機層の品質が劣化し、画素シュリンクが発生したり、また、平坦化膜内にアウトガスが密閉されることにより、そのガス圧力によって電極板が剥がれ、表示部の周辺部でアウトガスが有機層に漏れ出してしまい、表示部の周辺部に位置する有機層がアウトガスと反応し、周辺部が白色化するという問題がある。」という問題が生じることは、当業者には容易に理解し得るところである。
そこで、引用発明において、これらの問題を解決するべく、引用文献2の技術事項の「有機EL表示パネル装置1」の「電極板33は、表示部52外で平坦化膜30を覆うように形成され、平坦化膜30からアウトガスを排出する複数の孔部50を有しており」という構成を採用し、その際、引用発明では「導電性パターン260の上に画素定義膜270が形成され」ているところ、引用文献2の技術事項の「有機EL表示パネル装置1」の「孔部50が隔壁36の下に配置されている」構成と同様、「導電性パターン260」のうちの「画素定義膜270」が形成されている箇所、すなわち、「画素定義膜270」の下の「導電性パターン260」に孔部を配置することは、当業者が容易になし得ることである。

(7)効果について
請求人は、本願発明により、アウトガスが「平坦化膜」から「第1開口」を介して「バンクパターン」に放出されるという作用を奏し得ると主張するが、引用文献2の技術事項の「有機EL表示パネル装置1」においても、「孔部50が隔壁36の下に配置されている」のであるから、アウトガスが「平坦化膜30」から「孔部50」を介して「隔壁36」に放出されるという作用を奏し得ていることは明らかである。
すると、本願発明が奏し得る上記作用は、引用文献2の技術事項の「有機EL表示パネル装置1」が、既に奏し得ている作用であって、格別なものではない。
また、他に、本願発明が奏し得る効果は、引用発明及び引用文献2の技術事項の「有機EL表示パネル装置1」が、既に奏し得ている効果であるか、又は、引用発明及び引用文献2の技術事項から当業者が予測し得る効果であって、格別なものではない。
なお、請求人が主張する、アウトガスが「平坦化膜」から「第1開口」を介して「バンクパターン」に放出されることにより、アウトガスが有機発光層に影響を及ぼし、有機発光層を劣化させることを防ぐことができるという効果には、次のような疑義があり、直ちに認めることはできない。(なお、アウトガスが「バンクパターン」に放出されると、アウトガスは「バンクパターン」に吸収されると解するのが相当である。)
すなわち、アウトガスが「平坦化膜」から「第1開口」を介して「バンクパターン」に放出され、吸収されたとしても、「バンクパターン」に吸収されたアウトガスは、その後、さらに、「バンクパターン」から放出されるから、最終的に、アウトガスが有機発光層に影響を及ぼし、有機発光層を劣化させることを防ぐことができるとは認めがたい。
したがって、上記請求人の主張は採用することができない。

(8)結論
本願発明は、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-25 
結審通知日 2016-03-01 
審決日 2016-03-14 
出願番号 特願2012-205772(P2012-205772)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09F)
P 1 8・ 561- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐竹 政彦田辺 正樹  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 松川 直樹
伊藤 昌哉
発明の名称 有機発光ダイオード表示装置およびその製造方法  
代理人 園田・小林特許業務法人  
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