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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09B |
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管理番号 | 1317707 |
審判番号 | 不服2015-11068 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-06-10 |
確定日 | 2016-08-03 |
事件の表示 | 特願2010-244483「無線通信ネットワークに基づいた個人学習装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月12日出願公開、特開2011- 95752〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成22年10月29日(パリ条約による優先権主張2009年10月30日 韓国)の出願であって、平成26年11月12日付けで手続補正がなされ、平成27年2月5日付けで拒絶の査定(謄本送達日同年2月10日)がなされ、これに対し、同年6月10日に拒絶査定に対する審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされた。 第2 平成27年6月10日の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否について [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について、本件補正前の請求項1(すなわち、平成26年11月12日付けで手続補正された下記(1)のもの)を、下記(2)に示す請求項1へと補正することを含むものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 【請求項1】 装置の個人学習方法であって、 前記装置による個人学習サービスが可能な領域に進入した少なくとも一つの端末から結合要求(association request)を受信するステップと、 前記少なくとも一つの端末を認証するステップと、 前記認証された端末に学習データを分配するステップと、 前記学習データに基づく学習結果のアップロード要求(uploading request)に応答して、前記認証された端末から学習結果を受信するステップと、 を具備することを特徴とする個人学習方法。 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(下線は審決で付した。以下、同様。) 【請求項1】 装置の個人学習方法であって、 前記装置による個人学習サービスが可能な領域に進入した少なくとも一つの端末から結合要求(association request)を受信するステップと、 前記少なくとも一つの端末を認証するステップと、 前記認証された端末に学習データを分配するステップと、 前記学習データに基づく学習結果のアップロード要求(uploading request)を受信するステップと、 前記認証された端末に学習結果のアップロードを許容する応答メッセージを送信するステップと、 前記認証された端末から学習結果を受信するステップと、 を具備することを特徴とする個人学習方法。 2.補正の目的 本件補正は、補正前の請求項1に係る発明の「前記学習データに基づく学習結果のアップロード要求(uploading request)に応答して、前記認証された端末から学習結果を受信するステップ」に関して、「前記学習データに基づく学習結果のアップロード要求(uploading request)を受信するステップと、 前記認証された端末に学習結果のアップロードを許容する応答メッセージを送信するステップと、 前記認証された端末から学習結果を受信するステップ」とするものであって、アップロード要求に応答するとの事項に対して、アップロード要求の受信、応答メッセージの送信という送受信のステップを限定するものである。よって、補正前の請求項に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、かつ、補正前の前記各請求項に記載された発明と補正後の前記各請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、平成27年6月1日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「1.(2)」に記載したとおりのものである。 (2)引用刊行物 ア 刊行物1 本願の出願日前に頒布された特開2002-230183号公報(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は近距離無線アクセスポイント装置および該装置における情報中継方法に関し、そのなかでも特にネットワークに接続された質問回答プログラム配信サーバから認証情報を取得し、該配信サーバから質問回答クライアントへのプログラム配信を中継し、同様に該ネットワークに接続された集計サーバへ該クライアントが送信しようとする回答情報を中継するか否か認証情報をもとに判定する中継方法および該中継方法を備える近距離無線アクセスポイントに関する。」 (イ)「【0020】次に、図3から図5を使用し本発明を電子受験システムに適用した場合の実施の形態を説明する。図3は、本発明を電子受験システムに適用した場合の受験者が使用する受験端末156?162と受験プログラム配信サーバ152および両者間のデータ送受信を中継する受験会場に設置された近距離無線アクセスポイント150の処理手順を示したフローチャートである。なお、本処理手順を実現する構成図を図4に示す。 【0021】図3において、まず受験プログラム配信サーバ152は、配信するプログラムに固有の認証情報を生成し(ステップ110)、ネットワーク151に接続された近距離無線アクセスポイント150に認証情報を送信する(ステップ111)。配信される受験プログラムは、少なくとも受験者により回答情報が作成される機能を有するが、問題情報は別途紙を使用し配布しても構わない。 【0022】近距離無線アクセスポイント150は該認証情報を受信し、取得する(ステップ112)。 【0023】次に、受験プログラム配信サーバ152は認証情報を組み込んだ受験プログラムを生成する(ステップ113)。受験者は受験端末を持つ。この受験端末は、近距離無線のエリア内である受験会場に入場したのち受験プログラム配信サーバに対し受験プログラムを要求する(ステップ114)。受験会場への入場は、受験者の入力によって検知してもよい。該受験端末は受験者が持ち込む場合と受験会場で配布される場合が考えられるが、どちらの場合においても本発明が適用可能である。 【0024】近距離無線アクセスポイント150は、この要求を、ネットワーク151を介して受験プログラム配信サーバ152に中継する(ステップ115)。 【0025】受験プログラム配信サーバ152は、認証情報を埋め込んだ受験プログラムを送信する(ステップ116)。 【0026】受験会場内の近距離無線アクセスポイント115は、この受験プログラムを中継する(ステップ117)。ステップ115およびステップ117により受験会場にある受験端末にプログラム配信が可能となる。また、受験会場外の不正受験者が有する不正受験端末へのプログラム配信や不正受験者が事前に受験プログラムを入手してしまう等の不公平などを最小限にとどめることが可能となる。例えば、近距離無線アクセスポイント150は、プログラムを送信すべき機器を特定する特定情報を添付して送信し、受験端末が有している特定情報が所定の条件を満たす場合に、受験端末がプログラムを受信するようにしてもよい。所定の条件には、上述した条件を含まれる。なお、近距離無線アクセスポイント150が送信する特定情報は、ステップ114にて受験端末から送信される要求に添付されたものであってもよい。 【0027】各受験端末は認証情報が埋め込まれた受験プログラムを取得し(ステップ118)、受験生による入力に基づいて、受験問題に対する回答である電子答案を作成する(ステップ119)。電子答案作成ステップ119において、該受験プログラムはペン入力やキーボード入力等の人為的入力以外の入力を受け付けないことで、他の不正受験プログラム等を経由した電子答案の作成を防止する。さらに同ステップでは該受験プログラム以外の不正受験プログラムの表示を阻止することで、不正受験プログラムが表示した内容を受験者が記憶し正当な受験プログラムに入力し電子答案を作成することを防止する。 【0028】各受験端末は、近距離無線アクセスポイント150を経由して電子答案作成後は集計サーバに対し電子答案を送信する(ステップ120)。近距離無線アクセスポイント150は、電子答案を中継する際、送られた電子答案に含まれる認証情報が正しいかどうか判定し(ステップ121)、正しくなければ中継を拒否し(ステップ122)、正しければ電子答案を集計サーバへ中継し、集計サーバは電子答案を受信する(ステップ123)。」 (ウ)「【0034】図5は、本発明を電子受験システムに適用した場合の受験端末画面上の表示例である。正当な受験プログラムが動作する受験端末170に対し、受験端末171は不正な受験プログラムが動作している。受験端末171は電子答案を170へ送信し、カンニングを助長しようとする。受験端末170上でも受験端末171が送信してきた電子答案を受信する不正受験プログラム173が動作していたとしても、正当な受験プログラム172が常に前面に表示され、受験者が173に表示された内容を記憶し172に入力する不正行為を防止できる。これは、受験端末170が以下の処理を実行するためである。すなわち、認証情報が添付されたプログラム以外のプログラムの実行を抑止する。例えば、受験端末170が格納している認証情報とプログラムに添付されて送信された認証情報が所定の関係を満たす場合、そのプログラムの処理を実行する。所定の関係は、上述した通りである。」 (エ)図5からは、受験端末170上に、正当な受験プログラム172が表示され、受験プログラムの受験端末への表示内容としてQ1、問2、問3があることが看て取れる。 上記(ア)ないし(エ)から、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「ネットワークに接続された質問回答プログラム配信サーバから認証情報を取得し、該配信サーバから質問回答クライアントへのプログラム配信を中継し、同様に該ネットワークに接続された集計サーバへ該クライアントが送信しようとする回答情報を中継するか否か認証情報をもとに判定する中継方法であって、 電子受験システムに適用した場合の受験者が使用する受験端末156?162と受験プログラム配信サーバ152および両者間のデータ送受信を中継する受験会場に設置された近距離無線アクセスポイント150の処理手順は、 受験端末は、近距離無線のエリア内である受験会場に入場したのち受験プログラム配信サーバに対し受験プログラムを要求し(ステップ114)、 近距離無線アクセスポイント150は、この要求を、ネットワーク151を介して受験プログラム配信サーバ152に中継し(ステップ115)、 受験プログラム配信サーバ152は、認証情報を埋め込んだ受験プログラムを送信し(ステップ116)、 受験会場外の不正受験者が有する不正受験端末へのプログラム配信や不正受験者が事前に受験プログラムを入手してしまう等の不公平などを最小限にとどめることを可能とし、近距離無線アクセスポイント150は、プログラムを送信すべき機器を特定する特定情報を添付して送信し、受験端末が有している特定情報が所定の条件を満たす場合に、受験端末がプログラムを受信し、 各受験端末は認証情報が埋め込まれた受験プログラムを取得し(ステップ118)、 受験生による入力に基づいて、受験問題に対する回答である電子答案を作成し(ステップ119)、 各受験端末は、近距離無線アクセスポイント150を経由して電子答案作成後は集計サーバに対し電子答案を送信し(ステップ120)、集計サーバは電子答案を受信する(ステップ123)ことを含むものであって、 受験プログラムの受験端末への表示内容としてQ1、問2、問3がある、方法。」 イ 刊行物2 本願の出願日前に頒布された特開2004-53766号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【請求項5】 オンラインテストにおける添削サービスのための方法であって、 端末でのオンラインテストのために、前記端末にネットワークを介して配信された、文字・図形の座標情報及び解答欄を設定するための答案データを含む試験問題のデジタルドキュメントデータの示す各設問毎の解答欄上で、受講者による前記端末の操作に従って選択された選択肢を示す解答データを、当該端末から前記ネットワークを介して受け取るステップと、 前記設問毎の解答データを受け取った場合、当該設問毎の解答データを、予め解答データベースに登録されているその設問に対する正解データと照合することにより、当該設問毎の正解/不正解を判定するステップと、 前記設問毎の正解/不正解の判定結果をもとに、前記解答データベースに予め登録されている不正解時の対応する添削内容が、前記デジタルドキュメントデータのコピー上に設定された、前記端末宛ての添削デジタルドキュメントデータを作成するステップと を具備することを特徴とするオンラインテストにおける添削サービスのための方法。」 (イ)「【0037】 試験問題のコンテンツには、解答の時間制限に関する情報、例えばテスト時間の情報が設定されている。端末31は、このテスト時間の経過を検出すると、それまでに入力されている解答のデータが、各設問毎に、その設問のID(クエリーID)と対をなして設定されたXML形式のファイル(解答データファイル)を作成し、その解答データファイルをWWWサーバ11にアップロードする(ステップS6)。この解答データファイル(XMLファイル)には、対応する試験問題のコンテンツIDが付されている。」 上記(ア)及び(イ)から、刊行物2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「オンラインテストにおける添削サービスのための方法であって、 端末でのオンラインテストのために、前記端末にネットワークを介して配信された、文字・図形の座標情報及び解答欄を設定するための答案データを含む試験問題のデジタルドキュメントデータの示す各設問毎の解答欄上で、受講者による前記端末の操作に従って選択された選択肢を示す解答データを、当該端末から前記ネットワークを介して受け取るステップを具備し、端末31は、テスト時間の経過を検出すると、それまでに入力されている解答のデータが、各設問毎に、その設問のID(クエリーID)と対をなして設定されたXML形式のファイル(解答データファイル)を作成し、その解答データファイルをWWWサーバ11にアップロードするものである、方法」 (3)対比 本願補正発明と引用発明1とを対比すると、 ア 引用発明1の「受験端末」は、その機能、作用等からみて本願補正発明の「端末」に相当し、同様に、引用発明1の「受験プログラム配信サーバ152および両者間のデータ送受信を中継する受験会場に設置された近距離無線アクセスポイント150」は、本願補正発明の「装置」に相当する。 そして、引用発明1の「受験」とは、学習の範疇に入るものであり、また、受験者は個人であるから、引用発明1の「電子受験システムに適用した場合の方法」は、「個人学習方法」といえる。また、引用発明1の電子受験システムによる「受験」は、「個人学習サービス」といえる。 イ また、引用発明1の「受験端末は、近距離無線のエリア内である受験会場に入場したのち受験プログラム配信サーバに対し受験プログラムを要求し(ステップ114)」についてみると、受験会場とは近距離無線のエリアであるから、当該電子受験システムによる受験が可能な領域であることは明らかである。また、受験プログラムの要求は、「ネットワーク151を介して受験プログラム配信サーバ152に中継」されるのであるから、当然サーバ側で受信されるものであり、その後、要求を行った受験端末が有している特定情報が所定の条件を満たす場合に、受験端末がプログラムを受信可能とするものであって、当該要求は、受験プログラム配信サーバに受験端末との結合を行わせるための要求といえる。したがって、引用発明1は、本願補正発明の「装置による個人学習サービスが可能な領域に進入した少なくとも一つの端末から結合要求(association request)を受信するステップ」を有するといえる。 エ 引用発明1は、「受験会場外の不正受験者が有する不正受験端末へのプログラム配信や不正受験者が事前に受験プログラムを入手してしまう等の不公平などを最小限にとどめることを可能とし、近距離無線アクセスポイント150は、プログラムを送信すべき機器を特定する特定情報を添付して送信し、受験端末が有している特定情報が所定の条件を満たす場合に、受験端末がプログラムを受信」するとあるから、プログラムを送信すべき機器を特定する特定情報と受験端末が有している特定情報が所定の条件を満たすか否かの判定を行っていることは明らかであり、これにより不正受験者を除外するための所定の条件を満たす特定の受験端末のみプログラム受信が可能となるのであるから、所定の条件を満たすと判定されることは、受験端末が認証されるといえ、引用発明1は「少なくとも一つの端末を認証するステップ」を有するといえる。 また、引用発明1の「受験プログラム」は、受験端末への表示内容としてQ1、問2、問3があることから、問題情報を有していることは明らかであり、本願補正発明の「学習データ」に包含されるものである。そして、引用発明1の「受験プログラム配信サーバ152は、認証情報を埋め込んだ受験プログラムを送信する」ことは、「受験端末がプログラムを受信」するのであるから、「認証された端末に学習データを分配するステップ」といえる。 オ 引用発明1の「電子答案」は、受験問題に対する回答であるから、本願補正発明の「学習データに基づく学習結果」に相当する。そして、引用発明1は「各受験端末は、近距離無線アクセスポイント150を経由して電子答案作成後は集計サーバに対し電子答案を送信し、集計サーバは電子答案を受信する」ステップは、本願補正発明の「認証された端末から学習結果を受信するステップ」に相当する。 したがって、両者は、 「装置の個人学習方法であって、 前記装置による個人学習サービスが可能な領域に進入した少なくとも一つの端末から結合要求(association request)を受信するステップと、 前記少なくとも一つの端末を認証するステップと、 前記認証された端末に学習データを分配するステップと、 前記認証された端末から学習結果を受信するステップと、 を具備する個人学習方法。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明は、「前記学習データに基づく学習結果のアップロード要求(uploading request)を受信するステップ」及び「前記認証された端末に学習結果のアップロードを許容する応答メッセージを送信するステップ」を具備するのに対し、引用発明1においては、そのようなステップが明らかではない点。 (4)判断 以下、上記相違点1について検討する。 引用発明2は、上記「(2)イ」に記載のとおりであり、引用発明2の「オンラインテスト」は、学習の範疇に入るものであり、「受講者」は個人であるから、引用発明2の「オンラインテストにおける添削サービスのための方法」は、本願補正発明の「個人学習方法」に包含される。また、引用発明2の「端末31」は、その機能、作用からみて本願補正発明の「端末」に相当し、同様に、引用発明2の「WWWサーバ」、「試験問題のデジタルドキュメントデータ」はそれぞれ、本願補正発明の「装置」、「学習データ」に相当する。さらに、引用発明2の「解答データ」は、試験問題のデジタルドキュメントデータの示す各設問毎に選択された選択肢を示すものであるから、本願補正発明の「学習データに基づく学習結果」に相当する。 してみると、引用発明2の「端末31は、解答データファイルを作成し、その解答データファイルをWWWサーバ11にアップロードする」ことは、「端末から学習データに基づく学習結果のアップロードをする」ステップといえる。 また、無線通信システムにおいて、送信元と送信先との間で、送信要求(RTS)と、その応答として送信を許容するメッセージ(CTS)を返すことは、例えば、特開2005-197973号公報【0047】-【0049】、特開2007-266697号公報【0002】に示すように、通常採用されている方式であって、無線通信システムにおける技術常識である。 そして、引用発明1及び2はともに、個人学習方法という共通の技術分野に属し、端末から装置への学習結果の送信という共通の作用・機能を有するものであるから、引用発明1の学習結果の送信に対して、引用発明2の端末からのアップロードを採用することに格段の困難性を見いだすことはできない。また、このとき、上記の無線通信の方式に係る技術常識を踏まえれば、端末からのアップロードの要求及びアップロードを許容する応答メッセージの送信は、当然行われるステップにすぎない。 したがって、引用発明1において相違点1に係る発明特定事項となすことは当業者が容易に想到し得るものである。 そして、本願補正発明の発明特定事項の全部によって奏される作用効果は、引用発明1及び2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願補正発明は、引用発明1及び2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4. むすび 以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成26年11月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は上記「第2 1(1)」に記載したとおりのものである。 2.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載内容は上記「第2 3.(2)引用刊行物」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2 3.(1)本願補正発明」で検討した本願補正発明の「前記学習データに基づく学習結果のアップロード要求(uploading request)を受信するステップと、 前記認証された端末に学習結果のアップロードを許容する応答メッセージを送信する テップと、 前記認証された端末から学習結果を受信するステップ」の限定が「前記学習データに基づく学習結果のアップロード要求(uploading request)に応答して、前記認証された端末から学習結果を受信するステップ」と具体的な送受信のステップが省略されるものである。 そうすると、本願発明を特定事項とする事項の全てを含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 3.(3)対比」及び「第2 3.(4)判断」に記載したとおり、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-03-02 |
結審通知日 | 2016-03-08 |
審決日 | 2016-03-22 |
出願番号 | 特願2010-244483(P2010-244483) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09B)
P 1 8・ 575- Z (G09B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柴田 和雄 |
特許庁審判長 |
吉村 尚 |
特許庁審判官 |
山本 一 黒瀬 雅一 |
発明の名称 | 無線通信ネットワークに基づいた個人学習装置及び方法 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |