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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K |
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管理番号 | 1317996 |
審判番号 | 不服2015-7955 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-04-28 |
確定日 | 2016-08-09 |
事件の表示 | 特願2012-553184「発電機の一部の組み立て方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月25日国際公開、WO2011/100987、平成25年 5月30日国内公表、特表2013-520149〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2010年2月16日を国際出願日とする出願であって、平成26年1月17日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成26年1月27日)、これに対し、平成26年5月22日付で意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年12月16日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成27年1月5日)、これに対し、平成27年4月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明 本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年4月28日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 少なくとも1つの磁石(13)と取付板(14)とを有する磁石アセンブリ(11)を、該取付板(14)をベース要素(12)に溶接(15)することにより、該ベース要素(12)に固定する、発電機(6)の一部の組み立て方法であって、 磁化されていない磁石(13)を用い、前記取付板(14)を前記ベース要素(12)に溶接した後に、該磁化されていない磁石(13)を磁化する、方法において、 前記磁石アセンブリ(11)を前記ベース要素(12)に溶接する前に、所定位置に配置し、維持する、 ことを特徴とする発電機(6)の一部の組み立て方法。 【請求項2】 前記取付板(14)を産業用ロボットにより前記ベース要素(12)に溶接する、請求項1記載の方法。」 上記補正は、請求人も審判請求書で認めるとおり、平成26年5月22日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1を削除して請求項2を新たな独立項としたものであるから、特許法第17条の2第5項第1号の「第36条第5項に規定する請求項の削除」に該当する。 なお、本願発明を、1つの請求項として記載し直せば、以下のようになる。 「少なくとも1つの磁石(13)と取付板(14)とを有する磁石アセンブリ(11)を、該取付板(14)をベース要素(12)に溶接(15)することにより、該ベース要素(12)に固定する、発電機(6)の一部の組み立て方法であって、 磁化されていない磁石(13)を用い、前記取付板(14)を前記ベース要素(12)に溶接した後に、該磁化されていない磁石(13)を磁化する、方法において、 前記磁石アセンブリ(11)を前記ベース要素(12)に溶接する前に、所定位置に配置し、維持し、 前記取付板(14)を産業用ロボットにより前記ベース要素(12)に溶接する、 ことを特徴とする発電機(6)の一部の組み立て方法。」 3.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された、特開平9-9538号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 a「永久磁石(15)と台座(13)との間にろう材(20)を介在させて複数の重ね合せ物(21)を得る工程と、それら重ね合せ物(21)を加熱して、前記永久磁石(15)と台座(13)とを前記ろう材(20)よりなる接合層(14)を介して接合した複数の磁石ユニット(4)を得る工程と、ロータ本体(3)の外周部に、各磁石ユニット(4)をその台座(13)を介して取付ける工程と、を用いることを特徴とする回転機用ロータの製造方法。」(【請求項6】) b「本発明は回転機用ロータ、そのロータの製造方法および磁石ユニットに関する。この回転機にはモータおよびジェネレータが含まれる。」(【0001】) c「ロータ1の製造に当っては、図5に示すように、永久磁石15の接合面18と台座13の短平行辺側の接合面19との間に薄板状、箔状等のろう材20を介在させて複数の重ね合せ物21(図7(a)参照)を得る工程と、それら重ね合せ物21を真空加熱炉内に設置し、加熱下で、ろう材20を、例えば液相状態、または固相と液相とが共存する固液共存状態にして永久磁石15と台座13とをろう材20よりなる接合層14を介して接合した複数の磁石ユニット4を得る工程と、図6に示すようにロータ本体3の外周部に存する各あり溝12に、各磁石ユニット4の台座13を嵌合して、各磁石ユニット4をロータ本体3に取付ける工程と、が用いられる。 前記製造方法において、各磁石ユニット4の製造に当っては、各台座13の熱容量が比較的小さいので、接合に必要な加熱温度までの昇温および加熱接合後の冷却を比較的短時間のうちに行うことが可能であり、これにより接合処理に要する時間が短縮される。 またロータ本体3への各磁石ユニット4の取付けを台座13を介して行うので、その取付手段の選択自由度が高く、前記のようなあり(台座13)-あり溝12による嵌合の外に、溶接、ねじ止め、かしめ等の手段を採用することが可能である。したがって、各磁石ユニット4は、その台座13を介してロータ本体3に容易に取付けられる。」(【0029】-【0031】) d「なお、永久磁石2に対する着磁処理は各磁石ユニット4をロータ本体3に取付けた後行われる。」(【0044】) 上記記載及び図面を参照すると、磁石ユニットをロータ本体の外周部に溶接する前に、所定位置に配置し、維持しているといえる。 上記記載事項からみて、引用例1には、 「永久磁石と台座とを有する磁石ユニットを、該台座をロータ本体の外周部に溶接することにより、該ロータ本体の外周部に取付ける、ジェネレータ用ロータの製造方法であって、 永久磁石を用い、前記磁石ユニットを台座を介して前記ロータ本体の外周部に溶接により取付けた後に、該永久磁石を着磁処理する、方法において、 前記磁石ユニットを前記ロータ本体の外周部に溶接する前に、所定位置に配置し、維持し、 前記台座を前記ロータ本体の外周部に溶接する、 ジェネレータ用ロータの製造方法。」 との発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。 4.対比 そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「永久磁石」、「台座」、「磁石ユニット」、「ロータ本体の外周部」、「取付ける」、「ジェネレータ」、「溶接により取付けた後」、「着磁処理」は、それぞれ本願発明の「磁石」、「取付板」、「磁石アセンブリ」、「ベース要素」、「固定する」、「発電機」、「溶接した後」、「磁化」に相当する。 引用発明の「永久磁石と台座とを有する磁石ユニット」は、本願発明の「少なくとも1つの磁石と取付板とを有する磁石アセンブリ」に相当する。 引用発明の「ジェネレータ用ロータの製造方法」は、本願発明の「発電機の一部の組み立て方法」に相当する。 引用発明の永久磁石は、ロータ本体の外周部に溶接により取付けた後に着磁処理しているので、着磁処理前は磁化されていないこととなるから、引用発明の「永久磁石を用い、前記磁石ユニットを台座を介して前記ロータ本体の外周部に溶接により取付けた後に、該永久磁石を着磁処理する」は、本願発明の「磁化されていない磁石を用い、前記取付板を前記ベース要素に溶接した後に、該磁化されていない磁石を磁化する」に相当する。 したがって、両者は、 「少なくとも1つの磁石と取付板とを有する磁石アセンブリを、該取付板をベース要素に溶接することにより、該ベース要素に固定する、発電機の一部の組み立て方法であって、 磁化されていない磁石を用い、前記取付板を前記ベース要素に溶接した後に、該磁化されていない磁石を磁化する、方法において、 前記磁石アセンブリを前記ベース要素に溶接する前に、所定位置に配置し、維持し、 前記取付板を前記ベース要素に溶接する、 発電機の一部の組み立て方法。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 〔相違点〕 本願発明は、取付板を産業用ロボットにより前記ベース要素に溶接するのに対し、引用発明は、取付板をベース要素に溶接しているが、どの様な手段で溶接するかは特定されていない点。 5.判断 引用発明は、取付板をベース要素に溶接してはいるが、どの様な手段で溶接するかは特定されてはいない。しかし、溶接を行うのは、通常、人であるか産業用ロボットであるか(必要があれば、産業用ロボットが溶接を行う点は特開昭61-138308号公報第3頁[従来の技術]欄参照。)であるから、引用発明において、溶接を産業用ロボットによって行うことは当業者が容易に考えられることと認められる。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、他の請求項を検討するまでもなく、本願を拒絶すべきであるとした原査定は妥当である。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-03-08 |
結審通知日 | 2016-03-14 |
審決日 | 2016-03-29 |
出願番号 | 特願2012-553184(P2012-553184) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H02K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 森山 拓哉 |
特許庁審判長 |
藤井 昇 |
特許庁審判官 |
堀川 一郎 矢島 伸一 |
発明の名称 | 発電機の一部の組み立て方法 |
代理人 | 久野 琢也 |
代理人 | 星 公弘 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |