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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H02G
管理番号 1318020
審判番号 不服2016-825  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-19 
確定日 2016-08-30 
事件の表示 特願2011-154989「耐火性配線ボックス」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月 6日出願公開、特開2012-239367、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年7月13日(優先権主張平成23年4月27日)の出願であって、平成27年3月30日付けで拒絶理由が通知され、同年5月27日付けで手続補正がされ、同年10月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年1月19日に拒絶査定不服審判が請求されると共に手続補正がされたものである。

第2 平成28年1月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲を、補正後の特許請求の範囲に変更する補正事項(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。
そして、補正前の特許請求の範囲及び補正後の特許請求の範囲の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。
なお、〈補正後の特許請求の範囲〉における下線は補正箇所を表している。

〈補正前の特許請求の範囲〉
「【請求項1】
底壁と、該底壁の周縁に立設された側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに壁裏に設置され、壁を構築する造営材に固定される合成樹脂製の配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成された金属製のカバー本体を備えることを特徴とする耐火カバー。
【請求項2】
前記カバー本体の側壁には、ケーブルが貫挿されるケーブル貫挿孔が形成され、
前記収容空間において、前記ケーブル貫挿孔が形成された前記側壁と、当該側壁と対向する前記配線ボックスの側壁との間に空間が形成された状態で、前記配線ボックスの前記カバー本体に対する移動が規制されることを特徴とする請求項1に記載の耐火カバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、前記周壁の開口縁から外方に延設されたフランジを備え、
前記フランジは、前記カバー本体の前記壁裏での設置状態で前記造営材の前面に当接するとともに、
前記フランジの厚みは、前記造営材の前面に壁材を設置する際に影響のない厚みになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火カバー。
【請求項4】
前記フランジは、少なくとも対向する側壁に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の耐火カバー。
【請求項5】
前記フランジは前記周壁の開口縁全周に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の耐火カバー。
【請求項6】
前記カバー本体は、前記壁裏での設置状態で前記造営材の側面に当接する当接部を有し、
前記当接部には、前記配線ボックスを前記造営材に固定する固定部材の貫挿孔が形成されるとともに、前記配線ボックスには前記固定部材が挿通される挿通孔が形成されており、
前記配線ボックスが前記収容空間に収容された状態において、前記貫挿孔は、前記挿通孔と対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1?請求項5のいずれか一項に記載の耐火カバー。
【請求項7】
前記カバー本体の側壁には、前記ケーブル貫挿孔から前記収容空間に引き込まれたケーブルを、前記配線ボックスの側壁の外側に沿わせながら前記配線ボックスの側壁に形成されたケーブル挿通孔に向けて配線するためのケーブル配線空間を形成する空間形成部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の耐火カバー。
【請求項8】
前記周壁には、前記配線ボックスが前記収容空間に収容された際に、前記配線ボックスを前記収容空間において位置決めする位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1?請求項7のいずれか一項に記載の耐火カバー。
【請求項9】
壁裏に設置される耐火性配線ボックスであって、
壁を構築する造営材に固定される合成樹脂製の配線ボックスと、
底壁と、該底壁の周縁に立設される側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに壁裏に設置され、前記配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成された金属製のカバー本体を備える耐火カバーとからなることを特徴とする耐火性配線ボックス。
【請求項10】
前記カバー本体の側壁には、ケーブルが貫挿されるケーブル貫挿孔が形成され、
前記収容空間において、前記ケーブル貫挿孔が形成された前記側壁と、当該側壁と対向する前記配線ボックスの側壁との間に空間が形成された状態で、前記配線ボックスの前記カバー本体に対する移動が規制されることを特徴とする請求項9に記載の耐火性配線ボックス。
【請求項11】
複数の造営材の前面に壁材が設置されてなる壁の裏側に設置される耐火性配線ボックスの設置構造であって、
前記耐火性配線ボックスは、前記造営材に固定される合成樹脂製の配線ボックスと、
底壁と、該底壁の周縁に立設される側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに壁裏に設置され、前記配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成された金属製のカバー本体を備え、前記カバー本体に、前記周壁の開口縁から外方に延設されたフランジが、少なくとも対向する側壁に形成された耐火カバーとからなり、
前記フランジが、前記カバー本体を挟む二つの造営材の前面と前記壁材とで挟まれていることを特徴とする耐火性配線ボックスの設置構造。
【請求項12】
前記カバー本体の側壁の外側に沿わせながら前記カバー本体の側壁に形成されたケーブル貫挿孔に向けてケーブルを配線するためのケーブル配線空間が、前記造営材と、該造営材に対向する前記カバー本体の側壁との間に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の耐火性配線ボックスの設置構造。
【請求項13】
造営材の前面に壁材が設置されてなる壁の裏側に設置される耐火性配線ボックスの設置構造であって、
前記耐火性配線ボックスは、前記造営材に固定される合成樹脂製の配線ボックスと、
底壁と、該底壁の周縁に立設される側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに壁裏に設置され、前記配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成された金属製のカバー本体を備える耐火カバーとからなり、
前記側壁のうちの下側壁にケーブル貫挿孔が形成されており、前記ケーブル貫挿孔からケーブルが前記収容空間に引き込まれていることを特徴とする耐火性配線ボックスの設置構造。
【請求項14】
前記カバー本体の側壁に沿わせながら前記ケーブル貫挿孔に向けて前記ケーブルを配線するためのケーブル配線空間が形成されていることを特徴とする請求項13に記載の耐火性配線ボックスの設置構造。
【請求項15】
前記カバー本体の側壁には、ケーブルが貫挿されるケーブル貫挿孔が形成され、
前記収容空間において、前記ケーブル貫挿孔が形成された前記側壁と、当該側壁と対向する前記配線ボックスの側壁との間に空間が形成された状態で、前記配線ボックスの前記カバー本体に対する移動が規制されることを特徴とする請求項11?請求項14のいずれか一項に記載の耐火性配線ボックスの設置構造。」

〈補正後の特許請求の範囲〉
「【請求項1】
壁裏に設置される耐火性配線ボックスであって、
壁を構築する造営材に固定される合成樹脂製の配線ボックスと、
底壁と、該底壁の周縁に立設される側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに壁裏に設置され、前記配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成された金属製のカバー本体を備える耐火カバーとからなり、
前記カバー本体の側壁には、ケーブルが貫挿されるケーブル貫挿孔が形成され、
前記収容空間において、前記ケーブル貫挿孔が形成された前記側壁と、当該側壁と対向する前記配線ボックスの側壁との間に空間が形成された状態で、前記配線ボックスの前記カバー本体に対する移動が規制されていることを特徴とする耐火性配線ボックス。」

2.補正の適否
本件補正の内の補正事項1は、補正前の特許請求の範囲の請求項9を引用する請求項10を独立請求項の請求項1にすると共に、補正前の特許請求の範囲の請求項1?9、11?15を削除するものであるから、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に違反するところはない。

3.むすび
以上のとおり本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合する。

第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成28年1月19日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記〈補正後の特許請求の範囲〉の請求項1に記載したとおりである。

第4 原査定の理由の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項 1-6、9、12
・引用文献等 1-2

引用文献1には、
底壁と、当該底壁の周縁に立設された側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに一対の壁材の間(本願の「壁裏」に相当する)に設置され、柱(本願の「造営材」に相当する)に固定される合成樹脂製の配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成されたカバーであって、
当該カバーの前記周壁の開口縁全周から外方に延設されたフランジを備え、
前記フランジは、前記カバーの前記壁材の間での設置状態で前記柱の前面に当接し、
前記カバーは、前記壁材の間での設置状態で前記柱の側面に当接し、
前記カバーには、前記配線ボックスを前記柱に固定する固定ビス(本願の「固定部材」に相当する)の貫挿孔が形成されるとともに、前記配線ボックスには前記固定ビスが挿通されるビス孔(本願の「挿通孔」に相当する)が形成されており、
前記配線ボックスが前記収容空間に収容された状態において、前記貫挿孔は、前記ビス孔と対応する位置に設けられ、
前記カバーの下側壁には、ケーブルが挿通されるケーブル挿通部(本願の「ケーブル貫挿孔」に相当する)が形成されており、
前記収容空間において、前記ケーブル挿通部が形成された前記側壁と、当該側壁と対向する前記配線ボックスの側壁との間に空間が形成されているカバーを用いた、配線ボックスの設置方法が記載されている(特に段落[0013]-[0024]、[図2]、[図4]を参照されたい。)。
前記フランジが、前記柱の前面に壁材を設置する際に影響のない厚みになっていることは、[図2]等の記載からみて明らかである。
そして、引用文献1には、カバーが金属製であって、耐火を目的とするものであることの記載はないが、引用文献2には、箱状の金属製カバー内に配線器具を取り付ける耐火カバーが記載されており(特に[特許請求の範囲]、[第5図]を参照されたい。)、引用文献1及び引用文献2に記載された発明は、いずれも壁に設置される配線器具を壁裏で覆うカバーに関する技術である点で一致しているから、引用文献1に記載された発明において、カバーとして、金属製の耐火カバーを用いるようにすることは、当業者にとって容易である。

<引用文献等一覧>
1.特開2010-259239号公報
2.特開昭63-087115号公報

・請求項 1-6、9-10、13、15
・引用文献等 1-2

先に通知した引用文献1には、
底壁と、当該底壁の周縁に立設された側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに一対の壁材の間(本願の「壁裏」に相当する)に設置され、柱(本願の「造営材」に相当する)に固定される合成樹脂製の配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成されたカバーであって、
当該カバーの前記周壁の開口縁全周から外方に延設されたフランジを備え、
前記フランジは、前記カバーの前記壁材の間での設置状態で前記柱の前面に当接し、
前記カバーは、前記壁材の間での設置状態で前記柱の側面に当接し、
前記カバーには、前記配線ボックスを前記柱に固定する固定ビス(本願の「固定部材」に相当する)の貫挿孔が形成されるとともに、前記配線ボックスには前記固定ビスが挿通されるビス孔(本願の「挿通孔」に相当する)が形成されており、
前記配線ボックスが前記収容空間に収容された状態において、前記貫挿孔は、前記ビス孔と対応する位置に設けられ、
前記カバーの下側壁には、ケーブルが挿通されるケーブル挿通部(本願の「ケーブル貫挿孔」に相当する)が形成されており、
前記収容空間において、前記ケーブル挿通部が形成された前記側壁と、当該側壁と対向する前記配線ボックスの側壁との間に空間が形成されているカバーを用いた、配線ボックスの設置方法が記載されている(特に段落[0013]-[0024]、[図2]、[図4]を参照されたい。)。
前記フランジが、前記柱の前面に壁材を設置する際に影響のない厚みになっていることは、[図2]等の記載からみて明らかである。
また、前記カバーの側壁と前記配線ボックスの側壁との間に空間が形成された状態で、前記配線ボックスの前記カバーに対する移動が規制されていることも、段落[0023]の記載からみて明らかである。
そして、引用文献1には、カバーが金属製であって、耐火を目的とするものであることの記載はないが、先に通知した引用文献2には、箱状の金属製カバー内に配線器具を取り付ける耐火カバーが記載されており(特に[特許請求の範囲]、[第5図]を参照されたい。)、引用文献1及び引用文献2に記載された発明は、いずれも壁に設置される配線器具を壁裏で覆うカバーに関する技術である点で一致しているから、引用文献1に記載された発明において、カバーとして、金属製の耐火カバーを用いるようにすることは、当業者にとって容易である。

なお、出願人は、平成27年5月27日付け意見書において、引用文献2について、上記拒絶の理由で引用した記載箇所([図5])とは異なる[図6]の記載に基づいて、引用文献2に記載された金属製カバー(1)は、配線器具(A)を直接収容するものであるから、本願発明の「配線ボックス」に相当する部分であり、本願発明の「カバー」と引用文献2に記載された「配線ボックス」とを同一視することは一般的ではないと主張している。しかし、引用文献2の[図5]を参照すると、金属製カバー(1)が、箱状の配線器具(A)を覆う構造であるから、当該金属カバー(1)が、配線器具(A)に対してカバーとしての機能を果たすものであることは明らかであり、引用文献2に記載された金属製カバー(1)をその表現のとおり「カバー」であると認定すべきものであるから、上記出願人の主張は採用することができない。

第5 当審の判断
1.引用例の記載事項と引用例記載の発明
原査定で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2010-259239号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に以下の記載がある。

a)「【0001】
本発明は、気密シートに対して気密に貼着される気密用ボックスカバー、及び気密用ボックスカバーを用いた配線ボックスの設置方法に関する。」(【0001】の記載。下線は、当審で付与。以下、同様。)

b)「【0014】
図1に示すように、配線ボックス11は、合成樹脂材料により一面に開口を有する有底四角箱状に形成されている。詳細には、配線ボックス11は、長方形状をなす底壁12と、該底壁12の周縁から立設された四つの側壁13a?13dとから形成されている。なお、以下の説明において、図1の上下に対向する短側壁を上側壁13a及び下側壁13bとし、図1の左右に対向する長側壁を右側壁13c及び左側壁13dとする。
【0015】
上側壁13a及び下側壁13bには、ケーブル挿通孔15が二つずつ形成されている。一方のケーブル挿通孔15はノック部14によって閉鎖され、他方のケーブル挿通孔15にはノック部14が形成されず開放されている。また、上側壁13a及び下側壁13bの内面には、図示しない配線器具を配線ボックス11に取り付けるために用いられるボス部19が形成されている。左側壁13dの外面には、配線ボックス11を建築物の構築物としての柱31に固定する際、柱31に当接させる当接座部17が突設され、この当接座部17にはビス孔18が複数(実施形態では三つ)形成されている。
【0016】
次に、気密用ボックスカバー20(以下、単に「ボックスカバー20」と記載する)について説明する。
ボックスカバー20は、一面に開口部20aを有する有底四角箱状に形成されたカバー本体21を備えている。詳細には、カバー本体21は、長方形状をなす底部22と、該底部22の周縁から立設された四つの側壁23a?23dとから形成されてなり、底部22と四つの側壁23a?23dによって囲み形成された収容部24を有する。なお、以下の説明において、図1の上下に対向する短側壁を上側壁23a及び下側壁23bとし、図1の左右に対向する長側壁を右側壁23c及び左側壁23dとする。カバー本体21は、透明であるとともに可撓性を有する合成樹脂、例えばポリプロピレンシートをプレス成型や真空成型してなる。そして、四つの側壁23a?23dの各先端が位置する平面をカバー本体21の開口面とし、開口部20aは、四つの側壁23a?23dに囲み形成されるとともに開口面に開口している。また、上側壁23a及び下側壁23bには、ケーブル挿通部27が二つずつ形成されている。このケーブル挿通部27は、ケーブル28(図2参照)を挿通するときに初めて開口され、ケーブル28が挿通されないときは閉鎖されている。
【0017】
四つの側壁23a?23dはそれぞれ底部22から開口部20aに向かうに従い、カバー本体21の長辺方向及び短辺方向へ開口幅を広げるように形成され、収容部24は底部22から開口部20aに向かうに従い広がるように形成されている。
【0018】
図2に示すように、収容部24は、開口部20aから収容部24内に配線ボックス11を収容可能とし、収容部24に収容された配線ボックス11の外面全体を覆う大きさに形成されている。収容部24の大きさは、収容部24に配線ボックス11が収容された状態では、配線ボックス11の右側壁13c及び左側壁13dにおける当接座部17の外面が、対向する各側壁23c,23dの内面に当接し、収容部24内での配線ボックス11の左右方向への移動が規制されるような大きさに設定されている。また、収容部24の深さは、配線ボックス11の底壁12をカバー本体21の底部22に当接させた状態では、配線ボックス11の開口側がカバー本体21の開口面から突出しないように設定されている。
【0019】
カバー本体21における開口部20aの開口縁全周には、四角環状をなす透明のフランジ部26が一体形成されている。このフランジ部26は、開口部20aの開口縁の全周からカバー本体21の外方に向けて延びるように形成されるとともに、フランジ部26の前面はカバー本体21の開口面上に位置している。そして、フランジ部26は、可撓性を有するカバー本体21に一体成形されているため、その基端を中心として底部22側又は底部22から離れる側に向けて傾倒可能に形成されている。
【0020】
フランジ部26の前面には、気密テープとしての帯状をなす両面テープ29が4本貼り付けられている。各両面テープ29は、両面が全面に亘って黒色に形成されている。ここで、本実施形態において、「黒色」とは一般に濃色と判断できる色のことをいい、黒色透明で形成された両面テープも含んでいる。

中略

【0022】
配線ボックス11が設置される壁Wは、図3及び図4に示すように、柱31と、その柱31の前後両面に立設される一対の壁材32とによって構成されるようになっている。また、一対の壁材32の間には中空部33が形成されており、中空部33には発泡ポリスチレン板やグラスウール、硬質発泡ウレタン板等の断熱部材(図示せず)が設けられている。また、中空部33において断熱部材よりも室内側には断熱部材を覆うようにポリエチレンフィルム等の透明の気密シート34が設けられている。
【0023】
次に、ボックスカバー20を用いた配線ボックス11の壁Wに対する設置方法を説明する。
まず、配線ボックス11が収容された状態のボックスカバー20を柱31に固定するには、図2に示すように、ボックスカバー20を、フランジ部26の左側後面が柱31の前面側に位置するように配置する。次に、配線ボックス11のビス孔18に図示しない固定ビスを挿通するとともに、固定ビスをボックスカバー20の左側壁23dを貫通させて柱31に強制的に螺入する。すると、ボックスカバー20が柱31に固定されるとともに、配線ボックス11がボックスカバー20内に収容された状態で柱31に固定される。」(【0014】?【0023】の記載。)

c)「【0027】
両面テープ29と気密シート34との間の流通路35aが確実に遮断されていることを確認した後、気密シート34におけるカバー本体21の開口部20aを覆っている部位を、開口部20aの開口縁に沿って切り取ることで、気密シート34より前側に向けて開口部20aを開口させる。さらに、柱31を挟むように他方の壁材32をボックスカバー20の前面側に立設することにより、図4に示すように、壁Wが構築されるとともに壁W内の中空部33に配線ボックス11が設置される。配線ボックス11の設置状態では、気密シート34と両面テープ29との貼着により、気密シート34とボックスカバー20との間が気密にシールされる。
【0028】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)フランジ部26の前面にはフランジ部26の全周に亘って両面テープ29の裏面が貼着されるとともに、気密シート34に貼着される両面テープ29の表面が黒色に形成されている。よって、気密シート34と両面テープ29との間に流通路35aが形成されていても、黒色の両面テープ29上に流通路35aが浮かび上がり、流通路35aの有無を容易に視認することができる。よって、両面テープ29と気密シート34を貼着する作業時、流通路35aを確実に抹消することができ、流通路35aを確実に遮断することができる。その結果として、気密シート34とボックスカバー20との間を気密にシールして、配線ボックス11を設置したことによる気密性の低下を防止することができる。
【0029】
(2)フランジ部26は透明に形成されるとともに、両面テープ29の両面が黒色からなる。よって、両面テープ29の裏面が貼着されるフランジ部26と両面テープ29との貼着状態をフランジ部26の後面側からフランジ部26を通して視認することができる。したがって、フランジ部26の前面と両面テープ29の裏面との間での流通路35aの有無を容易に視認することができる。よって、両面テープ29をフランジ部26に貼着して一体に設ける際に、流通路35aを確実に抹消することができ、流通路35aを確実に遮断することができる。その結果として、両面テープ29とフランジ部26との間を気密にシールして、配線ボックス11を設置したことによる気密性の低下を防止することができる。」(【0027】?【0029】の記載。)

d)図2には、収容部24に配線ボックス11が収容された状態で、ケーブル挿通部27が形成された上側壁23aと、当該上側壁23aと対向する配線ボックス11の上側壁13aとの間に空間が形成された状態が、図示されている。

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用例1には以下の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されている。
「配線ボックス11は、合成樹脂材料により一面に開口を有する有底四角箱状に、長方形状をなす底壁12と、該底壁12の周縁から立設された四つの側壁13a?13dとから形成され、上側壁13a及び下側壁13bには、ケーブル挿通孔15が形成され、
ボックスカバー20は、一面に開口部20aを有する有底四角箱状に形成されたカバー本体21を備え、カバー本体21は、長方形状をなす底部22と、該底部22の周縁から立設された四つの側壁23a?23dとから形成され、底部22と四つの側壁23a?23dによって囲み形成された収容部24を有し、カバー本体21は、透明であるとともに可撓性を有する合成樹脂を成型してなるものであり、また、上側壁23a及び下側壁23bには、ケーブル挿通部27が形成され、
収容部24は、開口部20aから収容部24内に配線ボックス11を収容可能とし、収容部24の大きさは、収容部24に配線ボックス11が収容された状態では、配線ボックス11の右側壁13c及び左側壁13dにおける当接座部17の外面が、対向する各側壁23c,23dの内面に当接し、収容部24内での配線ボックス11の左右方向への移動が規制されるような大きさに設定され、
収容部24に配線ボックス11が収容された状態で、ケーブル挿通部27が形成された上側壁23aと、当該上側壁23aと対向する配線ボックス11の上側壁13aとの間に空間が形成された状態とされ、
カバー本体21における開口部20aの開口縁全周には、四角環状をなす透明のフランジ部26が一体形成され、フランジ部26の前面には、気密テープとしての帯状をなす両面テープ29が4本貼り付けられており、
配線ボックス11が設置される壁Wは、柱31と、その柱31の前後両面に立設される一対の壁材32とによって構成され、
ボックスカバー20を、フランジ部26の左側後面が柱31の前面側に位置するように配置し、次に、配線ボックス11のビス孔18に固定ビスを挿通するとともに、固定ビスをボックスカバー20の左側壁23dを貫通させて柱31に強制的に螺入し、ボックスカバー20が柱31に固定されるとともに、配線ボックス11がボックスカバー20内に収容された状態で柱31に固定され、柱31を挟むように他方の壁材32をボックスカバー20の前面側に立設することにより、壁Wが構築されるとともに壁W内の中空部33に配線ボックス11が設置される、
配線ボックス。」

原査定で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開昭63-87115号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に以下の記載がある。

e)「(1)箱状の金属製カバー本体からなり、カバー本体の周壁を構成する両側片及び両端片の先端には埋め込み用開口窓を穿孔した壁パネルの裏面開口周辺に当接させる当接片を一体連設し且つ少なくとも一側片にはカバー本体を埋め込み用開口窓を介して壁面内に収納した状態で壁パネルの表面開口周辺に係合する爪片を突出自在に一体形成し、両端片に連設せる上記当接片には配線器具を取り付けた取付枠を螺着する螺子孔を穿設して成ることを特徴とする簡易耐火カバー。」(第1頁左下欄第5?14行の記載。)

f)「次に上述のように組み立てられた本発明簡易耐火カバーの使用方法について説明する。第3図は埋め込みボックスが無い壁面内に配設する場合を示す分解斜視図であり、第4図(a)(b)は組み込み手順を示す斜視図である。
まず壁面に組み込む場合にあたり、爪片4を矢印X方向、つまりカバー本体1の前方方向に引張り出す。このとき伸縮部5のU字状の細片が変形して爪片4の引張り出しを容易にする。また両端片1c又は1dでは切り溝3で囲まれた円部位を切り取って、電線通し用孔3aを穿設する。
次に第4図(a)に示すように電線13を電線通し用孔に通した後、カバー本体1を壁パネル12に穿設しである開口窓14より表側から壁パネル12の裏側の空所内に挿入する。この挿入後壁パネル12の裏面の開口窓14周辺に当接片2a?2dを当接するとともに爪片4の先端を壁パネル12の表面の開口窓14周辺に係止することにより当接片2a?2dと爪片4とで壁パネル12を挟持し、カバー本体1を壁パネル12に固定する。この時上下に位置する突片8を開口窓14の上、下内周面に当接し、下側の突片8によってカバー本体1の落ち込みを防止する。この固定時においてずれを防止するためボックス本体1の4隅を折り曲げである。
さて壁面内にカバー本体1を固定した後に、配線器具Aをカバー本体1に固定するわけであるが、この固定に際してまずプレート枠15に取り付けた金属製取付枠10に固定した配線器具Aに上記電線13を接続し、この接続後プレート枠15の裏面を壁パネル12の表面の開口窓14周辺に当接させた状態で取付枠10の取付孔16に表面側から挿通させたボックス螺子17をカバー本体1の当接片2c、2dに夫々穿設しである螺子孔11に螺合して配線器具A及びプレート枠15とともに取付枠10をカバー本体1に固定する。この固定後プレート枠15表面に化粧プレート18を螺子固定し、化粧プレート18の開口部19に化粧カバー20を係止爪21を利用して嵌め込み固定する。第5図は最終的に各部材を固定した状態を示す断面図である。
以上のように本発明の簡易耐火カバーはカバー本体1を壁面内に収納して当接片2a?2dと爪片4とを用いて壁パネル12を挟持することによりはさみ金具なしで固定することができるのである。」(第2頁左下欄第19業?第3頁右上欄第3行の記載。)

本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2002-209321号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面と共に以下の記載がある。

g)「【0029】この実施の形態1では、開口部7の壁裏側に取付けられた埋込型ボックス8に対し、埋込型ボックス8の裏面および側面を覆い且つ開口部7を塞ぐように、加熱によって膨張可能な熱膨張性耐火材15を取付ける。
【0030】具体的には、図4に示すように、開口部7の壁裏側に埋込型ボックス8を取付けた後、埋込型ボックス8の裏面および側面を覆うように熱膨張性耐火材15を貼付け、且つ、この熱膨張性耐火材15の縁部を開口部7の壁裏側の周縁部に取付け(貼付け)るようにする。
【0031】この熱膨張性耐火材15には、50kW/平方mの加熱条件下で30分加熱した後の体積膨張倍率が3?100倍となって耐火断熱層を形成し得る、厚み0.1?5mmの材料であることなが好ましい。
【0032】具体的には、熱膨張性耐火材15は、熱可塑性樹脂とゴム物質の少なくとも一方、または、エポキシ樹脂100重量部に対し、無機充填剤を50?500重量部含有し、そのうち少なくとも加熱時に膨張する層状無機物を10?350重量部含有するものとする。
【0033】埋込型ボックス8と熱膨張性耐火材15との取付方法は、特に限定されないが、熱膨張性耐火材15が粘着性を有する場合は、その粘着力を利用して積層固定してもよい。熱膨張性耐火材15が熱可塑性樹脂やゴム物質の少なくとも一方からなる材料を含有する場合は可撓性に優れているので、埋込型ボックス8の形状に合わせて被覆することができるので特に好適に用いられる。また、これらの材料を用いて被覆した場合、埋込部分の遮音性能の低下を防止することができるので特に好適に用いられる。
【0034】熱膨張性耐火材15に粘着力がない場合は、接着剤を使用して接着することができる。特に樹脂成分が後述するエポキシ樹脂の場合は、エポキシ樹脂の硬化前に積層すれば硬化時に接着することができる。
【0035】この熱膨張性耐火材15は、少なくとも片面に、金属板、金属箔、並びに、断熱材の少なくとも一つの補助層16を積層したものとするのが好ましい。」(【0029】?【0035】の記載。)

2.対比
本願発明と引用例記載の発明とを対比する。

ア.引用例記載の発明の「配線ボックス11」は「合成樹脂材料により一面に開口を有する有底四角箱状」に形成され、「ボックスカバー20を、フランジ部26の左側後面が柱31の前面側に位置するように配置し、次に、配線ボックス11のビス孔18に固定ビスを挿通するとともに、固定ビスをボックスカバー20の左側壁23dを貫通させて柱31に強制的に螺入し、ボックスカバー20が柱31に固定されるとともに配線ボックス11がボックスカバー20内に収容された状態で柱31に固定され、柱31を挟むように他方の壁材32をボックスカバー20の前面側に立設することにより、壁Wが構築されるとともに壁W内の中空部33に配線ボックス11が設置される」ものであるから、引用例記載の発明の「配線ボックス11がボックスカバー20内に収容された状態で柱31に固定され」たものは、本願発明の「壁裏に設置される耐火性配線ボックスであって、壁を構築する造営材に固定される合成樹脂製の配線ボックス」と「壁裏に設置される配線ボックスであって、壁を構築する造営材に固定される合成樹脂製の配線ボックス」である点で共通するといえる。

イ.引用例記載の発明の「ボックスカバー20」は、「一面に開口部20aを有する有底四角箱状に形成されたカバー本体21を備え、カバー本体21は、長方形状をなす底部22と、該底部22の周縁から立設された四つの側壁23a?23dとから形成され、底部22と四つの側壁23a?23dによって囲み形成された収容部24を有」するものであり、「ボックスカバー20を、フランジ部26の左側後面が柱31の前面側に位置するように配置し、次に、配線ボックス11のビス孔18に固定ビスを挿通するとともに、固定ビスをボックスカバー20の左側壁23dを貫通させて柱31に強制的に螺入し、ボックスカバー20が柱31に固定されるとともに配線ボックス11がボックスカバー20内に収容された状態で柱31に固定され、柱31を挟むように他方の壁材32をボックスカバー20の前面側に立設することにより、壁Wが構築されるとともに壁W内の中空部33に配線ボックス11が設置される」ものであるから、引用例記載の発明の「ボックスカバー20」は、本願発明の「底壁と、該底壁の周縁に立設される側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに壁裏に設置され、前記配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成された金属製のカバー本体を備える耐火カバー」と「底壁と、該底壁の周縁に立設される側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに壁裏に設置され、前記配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成されたカバー本体を備えるカバー」である点で共通するといえる。

ウ.引用例記載の発明の「ボックスカバー20」が備える「カバー本体21」の「上側壁23a及び下側壁23bには、ケーブル挿通部27が形成され」ることは、本願発明の「前記カバー本体の側壁には、ケーブルが貫挿されるケーブル貫挿孔が形成され」ることに相当する。

エ.引用例記載の発明の「カバー本体21」が有する「収容部24に配線ボックス11が収容された状態で、ケーブル挿通部27が形成された上側壁23aと、当該上側壁23aと対向する配線ボックス11の上側壁13aとの間に空間が形成された状態」は、本願発明の「前記収容空間において、前記ケーブル貫挿孔が形成された前記側壁と、当該側壁と対向する前記配線ボックスの側壁との間に空間が形成された状態」に相当する。

オ.引用例記載の発明の「カバー本体21」が有する「収容部24に配線ボックス11が収容された状態では、配線ボックス11の右側壁13c及び左側壁13dにおける当接座部17の外面が、対向する各側壁23c,23dの内面に当接し、収容部24内での配線ボックス11の左右方向への移動が規制されるような大きさに設定され」ることは、本願発明の「前記配線ボックスの前記カバー本体に対する移動が規制されていること」に相当する。

したがって、両者は以下の一致点と相違点を有する。

〈一致点〉
「壁裏に設置される配線ボックスであって、
壁を構築する造営材に固定される合成樹脂製の配線ボックスと、
底壁と、該底壁の周縁に立設される側壁とからなる周壁により前面に開口を有する有底箱状に形成されるとともに壁裏に設置され、前記配線ボックスを収容する収容空間が前記周壁により形成されたカバー本体を備えるカバーとからなり、
前記カバー本体の側壁には、ケーブルが貫挿されるケーブル貫挿孔が形成され、
前記収容空間において、前記ケーブル貫挿孔が形成された前記側壁と、当該側壁と対向する前記配線ボックスの側壁との間に空間が形成された状態で、前記配線ボックスの前記カバー本体に対する移動が規制されている配線ボックス。」

〈相違点〉
本願発明では、「カバー」が「金属製のカバー本体」を備える「耐火カバー」であり、「壁裏に設置される配線ボックス」が「合成樹脂製の配線ボックス」と「耐火カバー」とからなる「耐火性配線ボックス」であるのに対し、引用例記載の発明は、「カバー」が、「透明であるとともに可撓性を有する合成樹脂を成型してなる」「カバー本体21」を備える「ボックスカバー20」であり、「配線ボックス11がボックスカバー20内に収容された状態で柱31に固定され」たものは「耐火性」とはされていない点。

3.判断
〈相違点についての判断〉

引用例1の上記摘記事項c)の段落【0029】記載から明らかなように、引用例記載の発明は、「フランジ部26が一体形成されたカバー本体21を透明である合成樹脂で形成することにより、両面テープ29の裏面が貼着されるフランジ部26と両面テープ29との貼着状態をフランジ部26の後面側からフランジ部26を通して視認することができ、配線ボックス11を設置したことによる気密性の低下を防止することができるもの」ということができ、フランジ部26が一体形成されたカバー本体21を不透明なものとすることに対しては阻害要因を有するものである。
一方、引用例2に「箱状の金属製カバー本体からなり、・・・簡易耐火カバー」(請求項1)と、引用例3に「開口部7の壁裏側に取付けられた埋込型ボックス8に対し、埋込型ボックス8の裏面および側面を覆い且つ開口部7を塞ぐように、加熱によって膨張可能な熱膨張性耐火材15を取付ける」(【0029】)、「熱膨張性耐火材15は、少なくとも片面に、金属板、金属箔、並びに、断熱材の少なくとも一つの補助層16を積層したものとする」(【0035】)と記載されるように、「金属製のカバーを設け耐火性能を持たせること」は、本願優先日前周知技術であったものと認められるものの、上記周知技術の「金属製のカバー」は、一般に不透明なカバーであるものと認められる。
したがって、引用例記載の発明に上記周知技術を適用することについては阻害要因があり、引用例記載の発明に上記周知技術を適用することが当業者にとって容易であったとはいえない。
以上のとおりであるから、引用例記載の発明において、上記周知技術を採用することは、当業者が容易に推考し得たこととはいえない。
ほかに、引用例1?3の記載からは、上記相違点の克服が容易であったといえる根拠を見出すことはできない。
よって、本願発明は、引用例記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-08-18 
出願番号 特願2011-154989(P2011-154989)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H02G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 多胡 滋  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 山澤 宏
山田 正文
発明の名称 耐火性配線ボックス  
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所  

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