• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
管理番号 1318069
異議申立番号 異議2016-700372  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-27 
確定日 2016-08-09 
異議申立件数
事件の表示 特許第5809435号発明「糖蜜分画物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5809435号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5809435号の請求項1ないし2に係る特許についての出願は、平成23年4月13日に特許出願され、平成27年9月18日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成28年4月27日に特許異議申立人 土田裕介により特許異議の申立てがなされたものである。

第2 本件発明
特許第5809435号の請求項1ないし2の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
さとうきび由来の糖蜜類である糖蜜アルコール発酵蒸留残渣より得られる分子量100?2万の消臭作用を有することを特徴とする糖蜜分画物であって、消臭に使用するための糖蜜分画物。
【請求項2】
請求項1記載の糖蜜分画物を含有することを特徴とする食品、嗜好品、化粧品、トイレタリー品、洗剤、医薬部外品、又は環境分野製品であって、消臭に使用するための食品、嗜好品、化粧品、トイレタリー品、洗剤、医薬部外品、又は環境分野製品。」

第3 申立理由の概要
特許異議申立人 土田裕介は、甲第1?5号証(以下、「甲1」?「甲5」という。)を提出し、概略、以下のように主張している。

1 理由1:請求項1?2に係る各発明は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。よって、その特許は同法第113条第2号に該当するため、取り消されるべきものである。

2 理由2:請求項1?2に係る各発明は、甲1に記載された発明又は甲2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。よって、その特許は同法第113条第2号に該当するため、取り消されるべきものである。

3 理由3:請求項1では糖蜜分画物の分子量を特定しているが、発明の詳細な説明を参酌すると、消臭作用が裏付けられた糖蜜分画物として特定の分画分子量を有する限外ろ過膜で処理したのもののみが記載されており、分子量と分画分子量は異なる概念であるから、分子量に関する発明特定事項の技術的意味が不明である。したがって、請求項1?2に係る各発明は、特許請求の範囲の記載が明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。よって、その特許は同法第113条第4号に該当するため、取り消されるべきものである。

4 理由4:請求項1?2は糖蜜分画物の分子量を100?2万に特定しているが、発明の詳細な説明には、分子量が上記範囲に入る糖蜜分画物が消臭作用を有することを裏付ける記載(実施例)は一切なく、そもそも消臭作用の如何に関わらず、分子量が上記範囲に入る糖蜜分画物すら記載されていない。したがって、請求項1?2に係る各発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。よって、その特許は同法第113条第4号に該当するため、取り消されるべきものである。

5 理由5:本件明細書の発明の詳細な説明は、分子量が100?2万の範囲に入る糖蜜分画物すら記載されておらず、ましてや当該糖蜜分画物(物)の製造方法が記載されていないし、またその製造方法が技術常識であったともいえない。したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、請求項1?2に係る各発明を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。よって、その特許は同法第113条第4号に該当するため、取り消されるべきものである。

6 証拠方法
(1)甲1:特開2008-61507号公報
(2)甲2:特開平10-151182号公報
(3)甲3:ダイヤイオン^((R))DIAION^((R)) 1 編集兼発行者 三菱化学株式会社,イオン交換樹脂・合成吸着剤マニュアル,平成20年10月10日,32-35頁
(4)甲4:特開2008-61510号公報
(5)甲5:化学工学便覧, 改訂五版,丸善,平成6年4月5日,924-925頁

第4 甲各号証の記載事項及び甲1、甲2に記載された発明
1 甲1は、甘蔗由来のエキスと補助添加成分を併用する肉臭改善剤に関するものであって
(1a)【請求項1】には「肉類の不快臭を低減化するための肉臭改善剤であって、
甘蔗由来のエキスと、
ヒマワリ種子抽出物、γ-アミノ酪酸、テアニン、ルチン、ルチン誘導体、ヘスペリジン及びヘスペリジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の成分と、
を含有する肉臭改善剤。」が記載され、
【0027】【0028】に、甘蔗由来のエキスの製造方法として、エキスa:原料として、甘蔗汁及び/又は甘蔗由来の糖蜜を使用し、かかる原料を多孔質吸着剤が充填されたカラムに通液することにより、該多孔質吸着剤に吸着した吸着成分を、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する溶媒で溶出させるカラム処理を経て得られるエキスが記載され、【0036】に多孔質吸着剤としてSP-850(商品名、三菱化学株式会社)が特に好ましいことが記載されている。

(1b)また、【0025】には「「甘蔗由来の糖蜜」とは、砂糖の製造過程における結晶化工程で得られた砂糖結晶と母液の混合物を遠心分離にかけ、砂糖結晶と分離して得られる振蜜をいう。例えば、原料糖製造工場における1番蜜、2番蜜、製糖廃蜜、又は、精製糖製造工程における洗糖蜜、1?7番蜜、精糖廃蜜等が挙げられる。更に、これらの糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも甘蔗由来の糖蜜に含まれる。」と記載されている。

(1c)更に、【0083】?【0087】、【0095】?【0098】には、甘蔗の圧搾汁を分画分子量10万の限外ろ過膜で処理し、ろ過液を合成吸着剤(商標:SP-850、三菱化学株式会社)を充填したカラムで処理し、カラムからの溶出液を濃縮、乾燥して甘蔗由来のエキス(「エキス1」)を製造したこと、豚レバーの調理時の不快臭の低減効果の官能試験において、比較例としてではあるが、エキス1を単独で用いた場合(比較例1b)、評価結果が2.2(評価2は「効果が認められ、特有の臭い低減している。」、評価3は「効果があり、特有の臭いが十分に低減している。」)であったことが記載されている。

2 甲2は、消臭物質に関するものであって、
(2a)【請求項1】には「 甘蔗汁、および甘蔗由来の製糖蜜、から選ばれた原料をカラムクロマトグラフィーで処理して得られる消臭物質であって、前記原料を、固定担体として合成吸着剤を充填されたカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノールおよびこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することによって得られる画分であることを特徴とする消臭物質。」が記載され、
【0011】【0012】には、本発明の消臭物質は、上記甘蔗汁および/または製糖蜜を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理し、固定担体としては、合成吸着剤を用い、合成吸着剤としては、SP-850(商品名、三菱化学株式会社製)が特に好ましいことが記載されている。

3 甲3は、三菱化学株式会社発行のイオン交換樹脂・合成吸着剤マニュアルであって、
(3a)「セパビーズSP825L、SP850は、比表面積が約930(m^(2)/dry・g)と大きな比表面積を持った芳香族系合成吸着剤で、分子量1000以下の低分子の吸着精製に優れた性能を発揮」すること記載されている。

4 甲4は、甘蔗由来のエキスと補助添加成分を併用する風味改善剤に関するものであって、
(4a)【0024】には、甘蔗由来のエキスの製造には、甘蔗汁、甘蔗由来の糖蜜及び甘蔗の溶媒抽出液を原料として使用することができることが記載され、
【0026】には、「「甘蔗由来の糖蜜」とは、砂糖の製造過程における結晶化工程で得られた砂糖結晶と母液の混合物を遠心分離にかけ、砂糖結晶と分離して得られる振蜜をいう。例えば、原料製造工場における1番蜜、2番蜜、製糖廃蜜、又は、精製糖製造工程における洗糖蜜、1?7番蜜、精糖廃蜜等が挙げられる。更に、これらの糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも甘蔗由来の糖蜜に含まれる。」と記載されている。

5 甲5は、化学工学便覧であって、限外ろ過膜の分画分子量に関してその求め方等が記載されている。

6 甲1に記載された発明
甲1の記載事項(1a)によれば、甲1には、
「肉臭の改善に用いる甘蔗由来のエキスであって、原料として、甘蔗由来の糖蜜を使用し、かかる原料を多孔質吸着剤としてSP-850(商品名、三菱化学株式会社)が充填されたカラムに通液し、該多孔質吸着剤に吸着した吸着成分を、メタノール及びエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する溶媒で溶出させるカラム処理を経て得られる甘蔗由来のエキス」の発明(以下、「甲1-1発明」という。)が、
また、甲1の記載事項(1c)によれば、甲1には、
「甘蔗の圧搾汁を分画分子量10万の限外ろ過膜で処理し、ろ過液を合成吸着剤(商標:SP-850、三菱化学株式会社)を充填したカラムで処理し、カラムからの溶出液を濃縮、乾燥して製造した、豚レバーの調理時の不快臭の低減効果のある甘蔗由来のエキス」の発明(以下、「甲1-2発明」という。)
がそれぞれ記載されているといえる。

7 甲2に記載された発明
甲2の記載事項(2a)によれば、甲1には、
「甘蔗汁、および甘蔗由来の製糖蜜、から選ばれた原料をカラムクロマトグラフィーで処理して得られる消臭物質であって、前記原料を、固定担体として合成吸着剤を充填されたカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノールおよびこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することによって得られる画分であり、ここで固定担体としては、合成吸着剤を用い、合成吸着剤としてSP-850(商品名、三菱化学株式会社製)を用いるものである、消臭物質」の発明(以下、「甲2発明」という。)
が記載されているといえる。

第5 当合議体の判断
1 理由3(特許法第36条第6項第2号)、理由4(特許法第36条第6項第1号)及び理由5(特許法第36条第4項第1号)について
理由3?5を先に検討する。
(1)分子量と分画分子量について
甲5に記載されるとおり、限外ろ過膜の分画分子量は、溶質の阻止率が大体90%程度となる溶質分子の分子量から求められるものであって、特定の分画分子量の限外ろ過膜で処理した場合の、膜透過液/膜不透過液に含まれるすべての成分の分子量と厳密には一致しないことは、特許異議申立人の主張のとおりである。
しかしながら、天然物等の、その成分が必ずしも明確でない物質を扱う場合、特に、植物からの抽出物等、高分子?低分子にわたって様々な分子量の成分が含まれる試料を扱う場合に、低分子側(あるいは高分子側)の成分を排除して所定の分子量範囲の分画を得る等の目的で、いくつかの異なる分画分子量の限外ろ過膜で試料を分画することは常套手段であり、各分画物に含まれる成分の分子量範囲を分画に用いた限外ろ過膜の分画分子量をもって表すことは、当該技術分野では普通に行われている(必要であれば、下記A、Bの公報等参照)。
A:特開2008-156256号公報(特に、【0042】等参照)
B:特開2011-26525号公報(特に、【0028】、【0029】等参照)

(2)本件明細書の記載
本件明細書【0023】及び【0030】には、糖蜜分画物の分子量を特定する技術的意味が記載され、そのような分子量範囲の分画物を得るために用いられる限外ろ過膜の分画分子量について説明されている。また、【0037】?【0053】には、分画分子量2万及び5千の限外ろ過膜、分画分子量100に相当するナノろ過膜を用いて糖蜜分画物を製造したこと、【0058】、【0059】には、それら糖蜜分画物(本発明品、比較例品)によるメチルメルカプタン減少率による消臭試験を行った結果が記載されている。特に、実施例1(【0040】)の糖蜜分画物(分画分子量5千の限界ろ過膜の膜透過液を減圧濃縮したのもの、茶色の粉末)と実施例3(【0048】)の糖蜜分画物(分画分子量5千の限界ろ過膜の膜透過液を更に分画分子量100に相当するナノろ過膜で処理した膜不透過液を減圧濃縮したもの、白色の粉末)とで、色相の差違、及び、消臭率(【表2】)の差があったことが確認される。

(3)小括
上記(1)のとおり分画に用いた限外ろ過膜の分画分子量をもって分画物の分子量範囲を表すことが本件出願日当時、普通に行われていたことを踏まえれば、本件明細書には上記(2)のとおり記載されているのであるから、請求項1?2に係る発明において、糖蜜分画物の分子量を特定する技術的意味は明らかであり、本件の発明の詳細な説明には、請求項1で特定される分子量範囲の糖蜜分画物の製造方法が記載され、その消臭効果についても確かめられているから、請求項1?2に係る発明は、発明の詳細な説明により裏付けられており、発明の詳細な説明は、請求項1?2に係る発明を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。

(4)理由3?5についてのまとめ
したがって、請求項1?2に係る特許は特許法第36条第6項第1号及び第2号並びに同法同条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるとの取消理由3?5には、理由がない。

2 理由1(特許法第29条第1項第3号)について
(1)請求項1に係る発明について
ア 請求項1に係る発明と甲1-1発明とを対比する。
甲1の記載事項(1a)の「糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも甘蔗由来の糖蜜に含まれる。」との記載から、甲1-1発明の原料となる「甘蔗由来の糖蜜」に「糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液」が包含されるとしても、少なくとも次の点で、請求項1に係る発明と甲1-1発明とは相違する。
<相違点1>請求項1に係る発明が分子量100?2万の糖蜜分画物であるのに対して、甲1-1発明では、多孔質吸着剤SP-850(商品名、三菱化学株式会社)に吸着した吸着成分を溶媒で溶出させて得られるものである点。

イ <相違点1>についての判断
特許異議申立人は、甲3を提出して、「甲3には、三菱化学株式会社製SP850は、分子量1000以下の低分子の吸着精製に優れた性能を発揮することが記載されていることから、(SP-850に吸着した吸着成分を溶媒で溶出させて得られるものは)分子量1000以下である」旨主張する。
そうであるとすれば、逆に、甲1-1発明の甘蔗由来のエキスの成分は吸着精製された分子量1000以下の低分子からなり、分子量1000を超える成分は含まれないということになる。
一方、請求項1に係る発明では、実施例で分画分子量5千の限外ろ過膜の膜透過液を更に分画分子量100に相当するナノろ過膜で処理した膜不透過液の分画物を用いているから、その分画物は様々な分子量の物質の混合物であり、分子量5千以下であって分子量1000を超える成分も当然含まれているといえる。
そうすると、請求項1に係る発明の糖蜜分画物には分子量1000を超える成分も含まれる様々な分子量の混合物である点で、甲1-1発明の甘蔗由来の糖蜜とは成分が相違する。
そして、糖蜜分画物中の消臭作用を有する成分(化合物の種類やその分子量)が具体的に明らかでない(すなわち、糖蜜分画物中の消臭成分が分子量1000以下の低分子に限られるとの根拠は何ら示されていない)以上、分子量1000を超える成分を含む場合と含まない場合とで消臭作用に差異がないといえる証拠もない。
したがって、請求項1に係る発明は、甲1-1発明と同一であるとはいえない。

ウ 請求項1に係る発明と甲1-2発明とを対比すると、少なくとも次の点で相違する。
<相違点2>請求項1に係る発明が「糖蜜アルコール発酵蒸留残渣より得られる」ものであるのに対して、甲1-2発明は「甘蔗の圧搾汁」から製造したものである点。
<相違点3>請求項1に係る発明が分子量100?2万の糖蜜分画物であるのに対して、甲1-2発明では、甘蔗の圧搾汁の限外ろ過膜によるろ過液を合成吸着剤(商標:SP-850、三菱化学株式会社)で処理した溶出液を濃縮、乾燥して製造したものである点。

エ <相違点2>、<相違点3>についての判断
<相違点3>については、上記イで検討したのと同様のことがいえるから、<相違点2>に加え、<相違点3>の点で、請求項1に係る発明は、甲1-2発明と相違する。
したがって、請求項1に係る発明は、甲1-2発明と同一であるとはいえない。

オ 上記イ、エのとおり、請求項1に係る発明は、甲1に記載された、甲1-1発明、甲1-2発明と同一であるとはいえない。

(2)請求項2に係る発明について
上記(1)のとおり、請求項1に係る発明が甲1-1発明、甲1-2発明と同一であるとはいえないのであるから、請求項1に係る発明の糖蜜分画物を含有し、消臭に使用するための食品、嗜好品、化粧品、トイレタリー品、洗剤、医薬部外品、又は環境分野製品である請求項2に係る発明も、甲1-1発明、甲1-2発明と同一であるとはいえない。

(3)理由1についてのまとめ
したがって、請求項1?2に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるとの取消理由1には、理由がない。

3 理由2(特許法第29条第2項)について
(1)請求項1に係る発明について
ア 上記2(1)で検討したとおり、請求項1に係る発明と甲1-1発明又は甲1-2発明とは、少なくとも、上記<相違点1>又は<相違点3>において相違するところ、上記相違点に係る「分子量100?2万の糖蜜分画物」を用いることは、甲1をはじめ、甲2?甲5の何れにも、記載も示唆もされていない。
そして、上記1(2)で確認したとおり、上記相違点に係る構成をとることにより消臭作用にすぐれ色相が良好である等の本件明細書記載の効果を奏するものである。

イ また、請求項1に係る発明と甲2発明とを対比すると、少なくとも次の点で相違する。
<相違点4>請求項1に係る発明が分子量100?2万の糖蜜分画物であるのに対して、甲2発明は、甘蔗汁、および甘蔗由来の製糖蜜、から選ばれた原料を合成吸着剤(商品名、SP-850、三菱化学株式会社製)に吸着された成分を溶媒で溶出することによって得られる画分である点。

ウ 甲2発明で用いられる「合成吸着剤(商品名、SP-850、三菱化学株式会社製)」は甲1-1発明で用いられる「多孔質吸着剤SP-850(商品名、三菱化学株式会社)」に相当することは明らかであるから、<相違点4>についても、上記2(1)イで検討した<相違点1>と同様のことがいえ、「分子量100?2万の糖蜜分画物」を用いることは、甲1?甲5の何れにも、記載も示唆もされておらず、かかる構成により本件明細書記載の効果を奏することは、上記アで述べたとおりである。

エ 以上のとおり、請求項1に係る発明は、甲1に記載された、甲1-1発明又は甲1-2発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえず、また、甲2に記載された発明に基づき甲1?甲5の記載事項を参酌して当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(2)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の糖蜜分画物を含有し、消臭に使用するための食品、嗜好品、化粧品、トイレタリー品、洗剤、医薬部外品、又は環境分野製品であるから、請求項1に係る発明と同様に、甲1に記載された、甲1-1発明又は甲1-2発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえず、また、甲2に記載された発明に基づき甲1?甲5の記載事項を参酌して当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(3)理由2についてのまとめ
したがって、請求項1?2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとの取消理由2には、理由がない。

第6 むすび
以上のとおり、特許異議申立人が主張する取消理由1?5及び証拠方法によっては、請求項1?2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-07-29 
出願番号 特願2011-89625(P2011-89625)
審決分類 P 1 651・ 536- Y (A61K)
P 1 651・ 113- Y (A61K)
P 1 651・ 121- Y (A61K)
P 1 651・ 537- Y (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岩下 直人大島 彰公  
特許庁審判長 内藤 伸一
特許庁審判官 小川 慶子
小久保 勝伊
登録日 2015-09-18 
登録番号 特許第5809435号(P5809435)
権利者 山下 政続 コスメテックスローランド株式会社 株式会社ベスビオ
発明の名称 糖蜜分画物  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 清原 義博  
代理人 清原 義博  
代理人 清原 義博  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ