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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01T
管理番号 1318375
審判番号 不服2015-20906  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-25 
確定日 2016-09-09 
事件の表示 特願2011-141921「放射線検出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月10日出願公開、特開2013- 7712、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年6月27日の出願であって、平成27年3月11日付けで拒絶理由が通知され、同年5月12日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年10月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月25日付けで拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、これと同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成27年11月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「第1端子群を備えて入射面に入射する放射線を検出して電気信号を出力する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルの前記入射面の反対側の面を支持する支持板と、
第2端子群を備えて前記支持板の前記放射線検出パネルの反対側に位置して前記放射線検出パネルを駆動する回路基板と、
前記第1端子群と前記第2端子群との間を前記支持板の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続するフレキシブル基板と、
前記回路基板に沿って延びる板状の固定部と前記回路基板から前記支持板に向かう方向に前記固定部から起立して前記回路基板上に位置する素子の少なくとも一部と前記フレキシブル基板との間を横切って延びる板状の遮蔽部とを有する導電性のノイズ遮蔽体と、
前記フレキシブル基板に実装され、前記放射線検出パネルが出力した電気信号を積分して増幅する積分アンプと、
を具備し、
前記フレキシブル基板と、前記積分アンプとは、前記遮蔽部を挟んで前記素子側とは反対側に設けられていることを特徴とする放射線検出装置。」(下線は、請求人が付与したとおり。)とする補正(以下、「補正事項」という。)を含んでいる。

2 補正の適否
本件補正の補正事項は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、「フレキシブル基板」に「放射線検出パネルが出力した電気信号を積分して増幅する積分アンプ」が「実装され」る点、及び、「フレキシブル基板と、積分アンプと」が、「遮蔽部を挟んで前記素子側とは反対側に設けられている」点について限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)刊行物の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-095166号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審が付した。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を検出する放射線検出装置に関する。」

(イ)「【0024】
このX線検出装置11は、放射線検出パネルとしてのX線検出パネル12、このX線検出パネル12を電気的に駆動しかつX線検出パネル12からの出力信号を電気的に処理する回路基板13、これらX線検出パネル12と回路基板13とを接続する接続基板14、これらX線検出パネル12および回路基板13を支持する支持基板15、および支持基板15を介してこれらを収容する筐体16を備えている。
【0025】
そして、X線検出パネル12は、光電変換基板としての光検出器19を有し、この光検出器19における放射線としてのX線20の入射側に図示しない蛍光体膜を成膜し、さらに蛍光体膜を覆う防湿カバー21を封着した構造となっている。光検出器19は、0.7mm厚のガラス基板上にアモルファスシリコン(a-Si)を基材とした複数の薄膜トランジスタ素子(TFT)と光電変換素子としてのフォトダイオード素子とを形成して構成されている。この光検出器19の外周部には、光検出器19の駆動のための電気信号の入力および出力信号の出力のために外部と接続する複数の端子パッド22が形成されている。
【0026】
また、回路基板13は、X線検出パネル12の光検出器19を電気的に駆動しかつ光検出器19からの出力信号を電気的に処理するものであり、外周部には接続基板14が電気接続されるコネクタ25が配設されている。
【0027】
また、接続基板14は、フレキシブル回路基板28と、集積回路半導体素子29などを搭載したIC搭載基板30とを備え、これらフレキシブル回路基板28とIC搭載基板30とを接続して構成されている。
【0028】
フレキシブル回路基板28は、屈曲性に優れた柔軟性を有する扁平状の回路基板である。フレキシブル回路基板28の両端部には接続部31が形成され、一端の接続部31が光検出器19の端子パッド22に接続され、他端の接続部31がIC搭載基板30に接続されている。このフレキシブル回路基板28の接続部31の接続には、非等方性導電フィルム(以下ACFと記す)による熱圧着法が用いられ、これにより、複数の微細な信号線の電気的接続が確保される。・・・
【0030】
また、支持基板15は、例えばAl合金からなり、一面には光検出器19の光検出器19が粘着性を有するゲルシート35を介して固定され、他面にはX線遮蔽用の鉛プレート37と放熱絶縁シート38とを介して回路基板13が固定されている。また、支持基板15の外周部近傍には光検出器19と回路基板13とを接続する接続基板14のフレキシブル回路基板28を通すための開口部40が形成され、支持基板15の角部には複数の取付孔44が形成されている。・・・
【0032】
そして、回路基板13は、光検出器19を駆動する信号を発生するとともに、光検出器19からの微弱な出力信号を増幅、演算するなどの処理を行う機能を有する。
【0033】
そのため、回路基板13上には、光検出器19の駆動信号を発生するデジタル回路部と、光検出器19からの出力信号を処理するアナログ回路部とが混在し、さらにこれらの回路への電源を供給する電源回路部も搭載される。
【0034】
このようにデジタル回路部とアナログ回路部が混在する場合には、微弱なアナログ信号に対してデジタル回路部などからの過渡的なノイズ成分の混入を抑制する手段が必要である。
【0035】
ところで、回路基板13では、上述のようなアナログ信号への過渡的なノイズ成分の混入を防ぐ手段として、アナログ回路部とデジタル回路部との分離手段や、筐体GNDによる遮蔽手段が考案され、実施されている。
【0036】
ノイズ成分は、回路配線上を伝達するだけでは無く、デジタル回路部などから放射される電磁波としてアナログ信号へ浸入する経路や、デジタル回路部から発信するデジタル信号を導通するデジタル信号配線から放射する電磁波がアナログ信号へ浸入する経路もある。
【0037】
このため、上述のアナログ回路部とデジタル回路部との分離手段や、筐体GNDによる遮蔽手段がのみでは、完全にノイズ成分を防止することはできない。・・・
【0040】
そこで、このフレキシブル回路基板28についても、ノイズ成分の電磁波47を遮蔽し、ノイズ成分の電磁波47の放射作用や吸収作用を防止する構造とした。
【0041】
図1はフレキシブル回路基板28における図2のA-A断面図であり、図2はフレキシブル回路基板28の一部の正面図である。
【0042】
フレキシブル回路基板28は、ポリイミドなどを主材とする柔軟な基材である絶縁樹脂層51を有し、この絶縁樹脂層51上に銅箔などを貼り合せた後、その銅箔をエッチング法などにより信号配線52やGNDパターン(GND電極パターン)53に加工したものを積層して形成されている。さらに、必要に応じて、銅からなる信号配線52やGNDパターン53の少なくとも一部にニッケルメッキや金メッキなどのメッキ層54を施し、電気的接続に対する安定化や腐食に対する耐久性を確保している。
【0043】
本例では、フレキシブル回路基板28の広い面である主要な第1面55とこの第1面55に対向(第1面55に対して反対側)する第2面56との間の中央部に信号配線52が形成され、この信号配線52が2層の絶縁樹脂層51により挟まれ、これら2層の絶縁樹脂層51上の略全域に2層のGNDパターン53が形成され、これら2層のGNDパターン53がフレキシブル回路基板28の端部にてスルーホール配線57を介して導通されている。さらに、これら2層のGNDパターン53の表面にメッキ層54が形成されている。
【0044】
フレキシブル回路基板28の端部の端子部31では、メッキ層54が施された信号配線52およびGNDパターン53が、ACF58によりIC搭載基板30に対して所定の端子同士が接続される。・・・
【0048】
デジタル信号配線用のフレキシブル回路基板28は第1面55側と第2面56側の2層のGNDパターン53が光検出器19のデジタルGNDに接続され、アナログ信号配線用のフレキシブル回路基板28は第1面55側と第2面56側の2層のGNDパターン53が光検出器19のアナログGNDに接続されている。
【0049】
これらの効果としては、前者のデジタル信号配線用のフレキシブル回路基板28ではデジタル信号にともなうノイズ成分の電磁波放射を防止し、後者のアナログ信号配線用のフレキシブル回路基板28ではアナログ信号へのノイズ成分電磁波の入射を防止するものである。」

(ウ)図3は次のものである。


(エ)上記(イ)の記載を踏まえて、上記(ウ)の図3をみるに際して、X線検出パネル12に放射線20が入射する面を入射面とすると、支持基板15は、前記X線検出パネル12の前記入射面の反対側の面を支持する点、回路基板13は、前記支持基板15に対して前記X線検出パネル12の反対側に位置する点、及び、フレキシブル回路基板28は、端子パッド22とコネクタ25との間を支持基板15の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続する点が見てとれる。

(オ)上記(ア)ないし(エ)によれば、引用文献1には、下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「放射線検出パネルとしてのX線検出パネル12、このX線検出パネル12を電気的に駆動しかつX線検出パネル12からの出力信号を電気的に処理する回路基板13、これらX線検出パネル12と回路基板13とを接続する接続基板14、これらX線検出パネル12および回路基板13を支持する支持基板15、および支持基板15を介してこれらを収容する筐体16を備え、
前記X線検出パネル12は、光電変換基板としての光検出器19を有し、前記光検出器19の外周部には、光検出器19の駆動のための電気信号の入力および出力信号の出力のために外部と接続する複数の端子パッド22が形成され、
前記回路基板13は、X線検出パネル12の光検出器19を電気的に駆動しかつ光検出器19からの出力信号を電気的に処理するものであり、外周部には接続基板14が電気接続されるコネクタ25が配設され、
前記接続基板14は、フレキシブル回路基板28と、集積回路半導体素子29などを搭載したIC搭載基板30とを備え、これらフレキシブル回路基板28とIC搭載基板30とを接続して構成され、
前記X線検出パネル12に放射線20が入射する面を入射面とすると、支持基板15は、前記X線検出パネル12の前記入射面の反対側の面を支持し、前記回路基板13は、前記支持基板15に対して前記X線検出パネル12の反対側に位置し、前記フレキシブル回路基板28は、端子パッド22とコネクタ25との間を支持基板15の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続し、
前記フレキシブル回路基板28は、ノイズ成分の電磁波47を遮蔽し、ノイズ成分の電磁波47の放射作用や吸収作用を防止する構造として、絶縁樹脂層51上に銅箔などを貼り合せた後、その銅箔をエッチング法などにより信号配線52やGNDパターン(GND電極パターン)53に加工したものを積層して形成した、2層のGNDパターン53の表面にメッキ層54が形成された、
X線検出装置11。」

イ 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-147822号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
この発明は、検出対象の2次元放射線情報を2次元電荷情報に変換する放射線有感薄層体が、放射線有感薄層体に生じる2次元電荷情報としての電荷を読み出す電荷読み出し用基板の放射線入射側に配設されている検出器本体と、電荷読み出し用基板から読み出された電荷を放射線の検出強度に応じた信号強度を有するディジタル電気信号に変換してから2次元放射線情報に対応する放射線検出信号として出力する電気回路部と、放射線が電気回路部に入射するのを防止する回路保護用放射線遮蔽材とを備えているフラットパネル型の放射線検出器に係り、特に放射線検出器から放射線が漏洩するのを防止するための技術に関する。」

(イ)「【0008】
DC/DC電源は近年の技術が進歩し小型化が進んでいるが、一方でスイッチング電源であるため、伝導性、放射性ノイズ、特に漏洩磁界ノイズが発生し、周辺回路、とりわけパネルセンサ及びアンプICを含めた検出系に磁気結合して誘導ノイズ電圧を発生し、画像品質に影響を及ぼすという問題を有している。」

(ウ)「【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係るX線画像撮影装置は、X線像を検出するパネルセンサと、該パネルセンサを駆動する駆動手段と、該パネルセンサからの信号を読み出す読出手段と、前記駆動手段及び読出手段に電力を供給する電源ユニットとを有し、これらを1個のシールド筐体内に近接して実装したX線画像撮影装置であって、前記シールド筐体内では、電磁界に対してシールド効果を持つ金属で形成した第1、第2の金属体を重ね合わせて密閉した箱体内に前記電源ユニットを収納し、前記第1、第2の金属体間の隙間を第3の金属体により覆ったことを特徴とする。」

(エ)「【0034】
また高周波トランス52では、コイルに流れる電流によって発生した磁束の殆どは、透磁率の高いコア内を通過するが、一部はギャップ等から空中に放射され、この漏洩磁界が周辺回路に電磁誘導ノイズを発生させる。本実施例で示した一般的な降圧型DC/DC電源の場合には、この高周波トランス52で電圧を低下しているため、電圧を1/Nに下げると、電流はN倍となって強い磁界が発生する。
【0035】
更に、回路ループに流れる電流により生ずる磁界ノイズが、周辺回路に電磁誘導ノイズを発生させる。その主なものは、スイッチング部51と高周波トランス52の1次側で構成される回路ループと、高周波トランス52の2次側、整流部53で構成される回路ループであり、これらに流れる電流により磁界ノイズが発生する。
【0036】
このようなDC/DC電源32から発生するノイズ対策として、サージ電圧ノイズについてはスナバ回路等その発生を抑制する素子を、スイッチング部51、整流部53等の回路素子に接続すること等がある。これらは主に伝導性ノイズに対しての対策となるが、回路の接地対策も必要になる。
【0037】
また、放射性ノイズである漏洩電磁界ノイズに対しては、上述した回路ループ開放を小さくする等の放射磁界が発生し難いパターニングを行う工夫、或いは高周波トランス52からの漏洩磁界を抑えるシールドの工夫、更にはDC/DC電源32全体をシールドするなどの様々な対策が考えられる。
【0038】
しかし最も困難なものは、DC/DC電源32からの漏洩磁界に対する対策である。これは上記のような対策で或る程度は低減化できるものの、扱う信号レベルが極めて低い装置の場合には、低減化した漏洩磁界でもX線検出器23及びアンプICを含めた信号検出系回路に電磁誘導を引き起こして、画像上のノイズとなって影響を及ぼすこととなる。特に、撮影部が小型高密度に実装されてくると、相互間の空間距離が短くなるため、影響は益々増大することになる。」

(オ)「【0045】
図5は一部の部材を省略したX線検出器23の断面図、図6は分解斜視図を示し、DC/DC電源32、撮影部ユニットを内蔵している。X線検出器23のシールド筐体61は、X線が入射してくる面側に箱状の前面カバー61aと、反対側の裏面カバー61bとから構成されており、鉄等を素材として電磁束が入らないように、電気的にも接触面で導通をさせると共に、密閉性を高めた構造とされている。そして、裏面カバー61bを取り外すことによって、内部の各電気回路にアクセスすることができるようになっている。
【0046】
シールド筐体61内では、アレイ保持板金62が光検出器アレイ29の周囲を保持しており、光検出器アレイ29の裏側には各種電気回路、DC/DC電源32等を内蔵した密閉箱体が配置されている。
【0047】
即ち、シールド筐体61内には、アルミ箱ケース63を外側、鉄箱ケース64を内側にして重ね合わせた密閉箱体をベースとして、これらの隙間からの漏洩磁界を更に防ぐため、3つ目の鉄箱ケース65を重ね合わせた三重構造の箱体が内蔵されている。ケース63、64、65は共に、一面を開放した箱体であり、アルミ箱ケース63の開放部を鉄箱ケース64により覆い、鉄箱ケース64の開放部側から更に鉄箱ケース65を覆い被せて、磁束の漏れを低減している。
【0048】
これら3つのケース63、64、65は、図5に示すように複数の固定ねじ66によって、重ね合わされたケースの周囲4辺が固定されている。これらの固定ねじ66は3つのケース63、64、65を固定するだけでなく、3つのケース間を密着させており、固定ねじ66の数が多いほど漏洩磁界は低減する。」

(カ)図5は次のものである。


ウ 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-322745号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
この発明は、検出対象の2次元放射線情報を2次元電荷情報に変換する放射線有感薄層体が、放射線有感薄層体に生じる2次元電荷情報としての電荷を読み出す電荷読み出し用基板の放射線入射側に配設されている検出器本体と、電荷読み出し用基板から読み出された電荷を放射線の検出強度に応じた信号強度を有するディジタル電気信号に変換してから2次元放射線情報に対応する放射線検出信号として出力する電気回路部と、放射線が電気回路部に入射するのを防止する回路保護用放射線遮蔽材とを備えているフラットパネル型の放射線検出器に係り、特に放射線検出器から放射線が漏洩するのを防止するための技術に関する。」

(イ)「【0031】
一方、実施例1のFPDの場合、電荷読み出し用基板3により読み出される2次元電荷情報としての電荷は、図1に示すように、増幅機能を有する信号増幅回路4AおよびAD変換機能や読み出し制御機能を有する信号制御回路4Bを含む電気回路部4によって、放射線の検出強度に応じた信号強度を有するディジタル電気信号に変換されてから検出対象の透過放射線像に対応する放射線検出信号として出力される。電気回路部4の場合、信号増幅回路4Aはフレキシブル配線材4aに配設されており、信号制御回路4Bは非フレキシブル配線材4bに配設されている。」

(ウ)図1は次のものである。
【図1】


エ 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平09-152486号公報(以下、「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撮像装置に関し、更に詳しくは、X線やγ線などを含む放射線を可視光などの感度の高い又は実用的な感度のある波長域の光に変換し、この変換された光を受光して電気信号に変換することが可能な撮像装置に関する。」

(イ)「【0021】図1において、1は光電変換素子、2は光電変換素子を形成する基体となる所の光電変換素子基板、3は基板2を光電変換素子の位置関係を必要に応じて考慮し位置決め固定する為の基台、4は放射線を可視光に波長変換する蛍光体、5は放射線を吸収又はその通過を妨げる鉛などの遮蔽材、6は光電変換素子より得た信号を駆動、転送、処理する為のIC、7はICの保持、信号の伝達をする電気回路基板、8は各部品を収納し、光電変換ユニットの外枠になる放射線を透過するフレーム、9は基板2と基台3又は基台3と遮蔽材5とを接着する接着剤、10は放射線、11はフレキシブル配線、Tは光電変換ユニットの厚み寸法である。」

(ウ)図1は次のものである。


オ 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-058999号公報(以下、「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を透過した放射線を放射線画像情報に変換する放射線画像撮影装置に関する。」

(イ)「【0022】
本発明の一形態においては、前記電気処理部及び前記導電部材が電気的に接続されていてもよい。これにより、電気処理部の基準電位を導電部材及び筐体の電位にすることができる。つまり。導電部材及び筐体をグランドとすることができる。よって、電気処理部の電気信号の処理を安定化させて、放射線画像の品質を向上させることができる。」

(ウ)「【0061】
シールド部材60は、板状に構成されている。そして、シールド部材60は、導電性のブラケット76を介して電子回路基板73のグランドパターン75に接しており、ブラケット76及び電子回路基板73は、固定ねじ78によって固定されている。なお、ブラケット76には、固定ねじ78による締め付けを確実にするためにバーリング加工が施されている。但し、電気処理部62及びブラケット76の電気的な接続は、導電テープ、シールドガスケット、又はシールドフィンガー等で行ってもよい。また、シールド部材60及びブラケット76は、例えば、スポット溶接で接合されている。
【0062】
これにより、電気処理部62及びブラケット76の接触抵抗を抑えた状態で電気処理部62をシールド部材60で支持することができると共に、ブラケット76にてシールド部材60及び電気処理部62を電気的に接続することができる。」

(2)対比
本件発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「端子パッド22」、「X線検出パネル12」、「支持基板15」、「コネクタ25」、「回路基板13」、「フレキシブル回路基板28」、「(ノイズ成分を遮蔽する構造としての、表面にメッキ層54が形成された)2層のGNDパターン53」及び「X線検出装置11」は、本件発明の「第1端子群」、「放射線検出パネル」、「支持板」、「第2端子群」、「回路基板」、「フレキシブル基板」、「導電性のノイズ遮蔽体」及び「放射線検出装置」にそれぞれ相当するから、
両者は、
「第1端子群を備えて入射面に入射する放射線を検出して電気信号を出力する放射線検出パネルと、
前記放射線検出パネルの前記入射面の反対側の面を支持する支持板と、
第2端子群を備えて前記支持板の前記放射線検出パネルの反対側に位置して前記放射線検出パネルを駆動する回路基板と、
前記第1端子群と前記第2端子群との間を前記支持板の外縁よりも外側を通って延びて電気的に接続するフレキシブル基板と、
導電性のノイズ遮蔽体と、
を具備している放射線検出装置。」
の点で一致している。
他方、本件発明と引用発明は、下記各点で相違している。

ア 本件発明の「導電性のノイズ遮蔽体」は、「回路基板に沿って延びる板状の固定部と前記回路基板から前記支持板に向かう方向に前記固定部から起立して前記回路基板上に位置する素子の少なくとも一部と前記フレキシブル基板との間を横切って延びる板状の遮蔽部とを有する」構造であるのに対して、引用発明の「2層のGNDパターン53」は、このような構造ではない点(以下、「相違点1」という。)。

イ 本件発明の「放射線検出装置」は、「フレキシブル基板に実装され、前記放射線検出パネルが出力した電気信号を積分して増幅する積分アンプ」を具備し、「前記フレキシブル基板と、前記積分アンプとは、前記遮蔽部を挟んで前記素子側とは反対側に設けられている」のに対して、引用発明の「X線検出装置11」は、「積分アンプ」を具備するとは特定されない点(以下、「相違点2」という。)。

(3)判断
まず記相違点2について検討する。
引用発明の「X線検出装置11」におけるアンプ(増幅)機能について、引用文献1に「回路基板13は、光検出器19を駆動する信号を発生するとともに、光検出器19からの微弱な出力信号を増幅、演算するなどの処理を行う機能を有する。」(上記(1)ア(イ) 段落【0032】)と記載されていることに照らして、回路基板13に設けられているものと理解されるから、引用発明の「フレキシブル回路基板28」にアンプ(増幅)機能を設けることは想定されない。
また、引用発明の「X線検出装置11」は、「フレキシブル回路基板28」が、「ノイズ成分の電磁波47を遮蔽し、ノイズ成分の電磁波47の放射作用や吸収作用を防止する構造として、絶縁樹脂層51上に銅箔などを貼り合せた後、その銅箔をエッチング法などにより信号配線52やGNDパターン(GND電極パターン)53に加工したものを積層して形成した、2層のGNDパターン53の表面にメッキ層54が形成された」ものとされるから、引用発明の「フレキシブル回路基板28」と「集積回路半導体素子29などを搭載したIC搭載基板30」の間にさらに遮蔽部を設けることは想定されない。
そうすると、引用文献2に各種電気回路、DC/DC電源32等を遮蔽する遮蔽部を設けることが記載され、引用文献3及び4にみられるようにフレキシブル配線に増幅回路/ICを設けることが周知の事項であって、さらに、引用文献5に電子回路基板73に板状のシールド部材60を設けることが記載されていても、引用発明において、回路基板13に設けられているアンプ(増幅)機能を「フレキシブル回路基板28」に設けた上で、「フレキシブル回路基板28」とアンプ(増幅)機能をとは当該遮蔽部を挟んで「集積回路半導体素子29などを搭載したIC搭載基板30」側とは反対側に設けられる構成とするための遮蔽部材を設ける動機がなく、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項から、上記相違点2に係る本件発明の構成を容易に想到し得たとはいえない。
したがって、相違点1について判断するまでもなく、本件発明は、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、本件補正の補正事項(「第2」「1」参照)は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。

3 むすび
本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし5に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-08-30 
出願番号 特願2011-141921(P2011-141921)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01T)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青木 洋平長谷川 聡一郎  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 松川 直樹
井口 猶二
発明の名称 放射線検出装置  
代理人 日向寺 雅彦  
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