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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1318417
審判番号 不服2015-13274  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-10 
確定日 2016-08-17 
事件の表示 特願2013-551329「オーディオ・ベースのアプリケーション・アーキテクチャ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月 2日国際公開、WO2012/103321、平成26年 3月20日国内公表、特表2014-507030〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、2012年1月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年1月28日、アメリカ合衆国)の出願であって、平成26年7月4日付けの拒絶理由通知が通知され、平成26年11月12日付けで意見書、手続補正書が提出されたが、平成27年3月3日付けで拒絶査定がなされた。
これに対して、平成27年7月10日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.平成27年7月10日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成27年7月10日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
平成27年7月10日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成26年11月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の

(1-1)「【請求項1】
1つ以上のネットワーク・インタフェースと、
前記1つ以上のネットワーク・インタフェースを介して各ユーザーに関連付けられている複数のユーザー・サイトからオーディオ・ベースの情報を受信するためにオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスによってアクセス可能なクラウド・ベースのアプリケーション・エンジンと、を含むシステムであって、
前記クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、前記オーディオ・ベースの情報を処理してデータを判断し、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、前記ユーザーにサービスを提供する1つ以上のクラウド・ベースのアプリケーションに、前記データを提供する
システム。
【請求項2】
前記オーディオ・ベースの情報は、オーディオ・ストリーム、ユーザーが口頭で発したユーザー・コマンド、または少なくとも一部はオン・プレミスのオーディオから得た環境情報のうち1つ以上を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データは、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、現在のユーザー固有のアクティビティに関する情報を提供する請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、現在のユーザーのメディア消費を判断する請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、少なくとも一部は前記クラウド・ベースのアプリケーションに応答して、家庭内の音声インタフェース・デバイスにオーディオを提供する請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
実行可能な命令で構成された1台以上のコンピューティング・システムの制御下の方法
であって、
複数ユーザーのサイトにあるオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスからオーディオ・ベースの情報を受信するステップと、
現在のユーザー固有の情報を判断するためにオーディオ・ベースの情報を処理するステップと、
前記ユーザー固有の情報を1つ以上のネットワーク・ベースのアプリケーションに提供するステップと、
少なくとも一部は前記ユーザー固有の情報に基づき、前記1つ以上のネットワーク・ベースのアプリケーションを用いて、前記ユーザーにサービスを提供するステップと、を含む方法。
【請求項7】
前記オーディオ・ベースの情報は、各ユーザー・サイト内の前記複数ユーザーから継続的に受信されるオーディオ・ストリームを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記オーディオ・ベースの情報は、オーディオ・ストリームを含み、前記方法は現在のユーザーのメディア消費を特定するために前記オーディオ・ストリームを処理するステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記オーディオ・ベースの情報は、オーディオ・ストリームを含み、前記方法はさらにユーザーのコマンドを特定するために前記オーディオ・ストリームで音声認識を行うステップを含む請求項6に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一部は前記ネットワーク・ベースのアプリケーションに応答して、オーディオを家庭内の音声インタフェース・デバイスに提供するステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項11】
近くのユーザーおよび近くのメディア・デバイスからオーディオを受信するように構成されたマイクロフォンと、
ネットワーク・ベースのアプリケーション・サービスと通信するように構成されたネットワーク・インタフェースと、を含む家庭内の音声インタフェース・デバイスであって 前記家庭内の音声インタフェース・デバイスは、継続的に環境情報を前記ネットワーク・ベースのアプリケーション・サービスに前記ネットワーク・インタフェースを介して送信するように構成され、前記環境情報は、少なくとも一部を前記受信したオーディオに基づき
前記ネットワーク・ベースのアプリケーション・サービスは、前記環境情報を処理してデータを判断し、1つ以上のネットワーク・ベースのアプリケーションに前記データを提供するように構成され、
前記1つ以上のネットワーク・ベースのアプリケーションは、少なくとも一部は前記データに基づき、前記ユーザーにサービスを提供する
家庭内の音声インタフェース・デバイス。
【請求項12】
前記環境情報はオーディオ・ストリームを含む請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
音声認識装置をさらに含み、前記環境情報は少なくとも一部は、前記音声認識装置を用いてユーザーが発する声から得た通知を含む請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、1つ以上のアプリケーション・インタフェースを介して、前記1つ以上のクラウド・ベースのアプリケーションに前記データを提供する請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記ネットワーク・ベースのアプリケーション・サービスは、少なくとも一部を前記環境情報に基づき、どのメディアが現在レンダリングされているかを判断し、前記サービスは、現在レンダリングされているメディアに関連する請求項11に記載のデバイス。」
とあったものを

(1-2)「【請求項1】
1つ以上のネットワーク・インタフェースと、
前記1つ以上のネットワーク・インタフェースを介して各ユーザーに関連付けられている複数のユーザー・サイトからオーディオ・ベースの情報を受信するためにオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスによってアクセス可能なクラウド・ベースのアプリケーション・エンジンと、を含むシステムであって、
前記クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、前記オーディオ・ベースの情報を処理してデータを判断し、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、前記ユーザーにサービスを提供する1つ以上のクラウド・ベースのアプリケーションに、前記データを提供し、前記オーディオ・ベースの情報は、少なくとも一部がオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスから得た環境情報を含み、前記クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、現在の前記ユーザーにより消費されているメディアを判断し、現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するメディアについての情報または現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するプレイリストについての情報、もしくは現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアの購入についての情報が、前記クラウド・ベースのアプリケーションからメディア・デバイスまたはアプリケーション・デバイスへ提供される、
システム。
【請求項2】
前記オーディオ・ベースの情報は、オーディオ・ストリーム、ユーザーが口頭で発したユーザー・コマンドをさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データは、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、現在のユーザー固有のアクティビティに関する情報を提供する請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、少なくとも一部は前記クラウド・ベースのアプリケーションに応答して、家庭内の音声インタフェース・デバイスにオーディオを提供する請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
実行可能な命令で構成された1台以上のコンピューティング・システムの制御下の方法であって、
複数ユーザーのサイトにあるオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスからオーディオ・ベースの情報を受信するステップであり、前記オーディオ・ベースの情報は、少なくとも一部がオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスから得た環境情報を含む、ステップと、
現在のユーザー固有の情報を判断するためにオーディオ・ベースの情報を処理するステップであり、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、現在のユーザーにより消費されているメディアを判断することを含む、ステップと、
前記ユーザー固有の情報を1つ以上のネットワーク・ベースのアプリケーションに提供するステップと、
少なくとも一部は前記ユーザー固有の情報に基づき、前記1つ以上のネットワーク・ベースのアプリケーションを用いて、前記ユーザーにサービスを提供するステップであり、現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するメディアについての情報または現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するプレイリストについての情報、もしくは現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアの購入についての情報をメディア・デバイスまたはアプリケーション・デバイスへ提供することを含む、ステップと、を含む方法。
【請求項6】
前記オーディオ・ベースの情報は、各ユーザー・サイト内の前記複数ユーザーから継続的に受信されるオーディオ・ストリームを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記オーディオ・ベースの情報は、オーディオ・ストリームを含み、前記方法はさらにユーザーのコマンドを特定するために前記オーディオ・ストリームで音声認識を行うステップを含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも一部は前記ネットワーク・ベースのアプリケーションに応答して、オーディオを家庭内の音声インタフェース・デバイスに提供するステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、1つ以上のアプリケーション・インタフェースを介して、前記1つ以上のクラウド・ベースのアプリケーションに前記データを提供する請求項1に記載のシステム。」
と補正しようとするものである。

すると、本件補正は、平成26年11月12日付け手続補正書の特許請求の範囲から、請求項11,12,13,15を削除し、請求項1と請求項5に補正を加えたものである。

請求項1について
「オーディオ・ベースの情報」について、「少なくとも一部がオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスから得た環境情報を含」んでいると限定するもの、「クラウド・ベースのアプリケーション・エンジン」について、「少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、現在の前記ユーザーにより消費されているメディアを判断」すると限定するもの、「ユーザに提供するサービス」について、「現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するメディアについての情報または現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するプレイリストについての情報、もしくは現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアの購入についての情報」と限定するものである。また、「クラウド・ベースのアプリケーションからメディア・デバイスまたはアプリケーション・デバイスへ提供される」という補正も、「クラウド・ベースのアプリケーション」を限定するものであるから、請求項1に対する補正は、限定的減縮に当たる。
また、請求項5についても、同様の補正であり、限定的減縮に当たる。

本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について限定を付加するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。


(2)独立特許要件

ア.本件補正発明
本件補正発明は、上記(1-2)の請求項1に記載されたとおりのものである。

イ.引用例1
原査定の拒絶理由で引用文献1として引用された米国特許出願公開第2007/124756号明細書(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(a)「Mass Personalization Applications
[0017] Mass personalization applications provide personalized and interactive information related to mass media broadcasts (e.g., television, radio, movies, Internet broadcasts, etc.). Such applications include but are not limited to: personalized information layers, ad hoc social peer communities, real-time popularity ratings and video (or audio) bookmarks, etc. Although some of the mass media examples disclosed herein are in the context of television broadcasts, the disclosed implementations are equally applicable to radio and/or music broadcasts.
[0018] Personalized information layers provide complementary information to the mass media channel. Examples of personalized information layers include but are not limited to: fashion, politics, business, health, traveling, etc. For example, while watching a news segment on a celebrity, a fashion layer is presented to the viewer on a television screen or a computer display device, which provides information and/or images related to the clothes and accessories the celebrity is wearing in the news segment. Additionally, personalized layers may include advertisements promoting products or services related to the news segment, such as a link to a clothing store that is selling clothes that the celebrity is wearing.
[0019] Ad hoc social peer communities provide a venue for commentary between users who are watching the same show on television or listening to the same radio station. For example, a user who is watching the latest CNN headlines can be provided with a commenting medium (e.g., a chat room, message board, wiki page, video link, etc.) that allows the user to chat, comment on or read other viewers responses to the ongoing mass media broadcast.
[0020] Real-time popularity ratings provide content providers and users with ratings information (similar to Nielsen ratings). For example, a user can instantaneously be provided with real-time popularity ratings of television channels or radio stations being watched or listened to by the user's social network and/or by people with similar demographics.
[0021] Video or audio bookmarks provide users with low effort ways of creating personalized libraries of their favorite broadcast content. For example, a user can simply press a button on a computer or a remote control device and a snippet of ambient audio and/or video of the broadcast content is recorded, processed and saved. The snippet can be used as a bookmark to refer to the program, or portions of the program, for later viewing. The bookmark can be shared with friends or saved for future personal reference.

Mass Personalization Network
[0022]FIG. 1 is a block diagram of a mass personalization system 100 for providing mass personalization applications. The system 100 includes one or more client-side interfaces 102 , an audio database server 104 and a social application server 106 , all of which communicate over a network 108 (e.g., the Internet, an intranet, LAN, wireless network, etc.).
[0023] A client interface 102 can be any device that allows a user to enter and receive information, and which is capable of presenting a user interface on a display device, including but not limited to: a desktop or portable computer; an electronic device; a telephone; a mobile phone; a display system; a television; a computer monitor; a navigation system; a portable media player/recorder; a personal digital assistant (PDA); a game console; a handheld electronic device; and an embedded electronic device or appliance. The client interface 102 is described more fully with respect to FIG. 2 .
[0024] In some implementations, the client-interface 102 includes an ambient audio detector (e.g., a microphone) for monitoring and recording the ambient audio of a mass media broadcast in a broadcast environment (e.g., a user's living room). One or more ambient audio segments or “snippets” are converted into distinctive and robust statistical summaries, referred to as “audio fingerprints” or “descriptors.” In some implementations, the descriptors are compressed files containing one or more audio signature components that can be compared with a database of previously generated reference descriptors or statistics associated with the mass media broadcast.」
(当審訳)
「 マスパーソナライズアプリケーション
[0017] マスパーソナライズアプリケーションは、マスメディア放送(例えば、テレビジョン、ラジオ、映画、インターネット放送等)に関連付けられたパーソナライズ及び相互作用的な情報を提供する。そのようなアプリケーションは、パーソナライズ情報層、アドホックソーシャルピアコミュニティ、リアルタイム人気度レーティング、及びビデオ(又は音声)ブックマーク、等を具備するが、それに限定されない。本明細書に開示されるマスメディアの実施例のいくつかは、テレビジョン放送のコンテキストであるが、開示された実施は、ラジオ及び/又は音楽放送に同等に適用可能である。
[0018] パーソナライズ情報層は、前記マスメディアチャネルの補完的な情報を提供する。パーソナライズ情報層の実施例は、ファッション、政治、ビジネス、健康、旅行、等を具備するが、それに限定されない。例えば、有名人に関するニュースセグメントを視聴する一方で、テレビジョンスクリーン又はコンピュータ表示装置上で、ファッション層が前記視聴者に表示されており、前記ニュースセグメント内で有名人が着用している衣類及びアクセサリに関連する情報及び/又は画像を提供する。それに加えて、パーソナライズ層は、有名人が着用している衣類を販売する衣類ストアへのリンクのような、ニュースセグメントに関連する製品又はサービスを促進する広告を具備しても良い。
[0019] アドホックソーシャルピアコミュニティは、テレビジョン上の同一のショーを視聴している、又は同一のラジオ局を傾聴しているユーザの間の解説のための場所を提供する。例えば、最新のCNN見出しを視聴しているユーザは、前記ユーザが、チャットする、コメントする、又は進行中のマスメディア放送に対する他の視聴者の反応を読むことを可能にする、コメントメディア(例えばチャットルーム、メッセージボード、ワイルドページ、ビデオリンク、等)が提供されても良い。
[0020] リアルタイム人気度レーティングは、コンテンツプロバイダ及びユーザに、(Nielsenレーティングに類似の)レーティング情報を提供する。例えば、ユーザは、前記ユーザのソーシャルネットワーク及び/又は類似のターゲット層を伴う人々によって視聴又は傾聴されているテレビジョンチャネル又はラジオ局のリアルタイム人気度レーティングを即時に提供されうる。
[0021] ビデオ又は音声ブックマークは、ユーザの好みの放送コンテンツのパーソナライズされたライブラリを生成する、労力の少ない仕方をユーザに提供する。例えば、ユーザは、単にコンピュータ又は遠隔制御装置上のボタンを押下しても良く、かつ環境音断片及び/又は放送コンテンツのビデオが記録され、処理されるとともに保存される。前記断片は、後に視聴のために、前記プログラム、又は前記プログラムの部分を参照するためのブックマークとして使用されても良い。前記ブックマークは、友達と共有しても良く、又は将来の身元保証のために保存されても良い。
マスパーソナライズネットワーク
[0022] 図1は、マスパーソナライズアプリケーションを提供するための、マスパーソナライズシステム100のブロック図である。システム100は、1つ又は複数のクライアント側インターフェース102、音声データベースサーバ104、及びソーシャルアプリケーションサーバ106を具備し、それらの全ては、ネットワーク108(例えば、インターネット、イントラネット、LAN、無線ネットワーク等)上で通信する。
[0023] クライアントインターフェース102は、ユーザが情報を入力及び受信することを可能にするとともに、表示装置上にユーザインターフェースを表示することが可能である任意の装置であっても良く、デスクトップ又はポータブルコンピュータ、電子装置、電話、携帯電話、表示システム、テレビジョン、コンピュータモニタ、ナビゲーションシステム、ポータブルメディアプレーヤー/レコーダ、携帯型情報端末(PDA)、ゲーム機、ハンドヘルド電子装置、及び、組み込み電子装置又は電気製品を具備するが、それに限定されない。前記クライアントインターフェース102は、図2に関して、より充分に説明される。
[0024] いくつかの実施では、クライアントインターフェース102は、放送環境(例えばユーザのリビングルーム)内のマスメディア放送の環境音を監視及び記録するための、環境音検出器(例えばマイクロフォン)を具備する。1つ又は複数の環境音セグメント、又は「断片」は、「音声指紋」又は「記述子」として参照される、示差的(distinctive)かつロバストな統計的な要約に変換される。いくつかの実施では、前記記述子は、以前に生成された基準記述子又は前記マスメディア放送に関連付けられた統計的なデータベースと比較しうる1つ又は複数の音声署名構成要素を具備する圧縮されたファイルである。」
(b)「[0028] In some implementations, the descriptors and an associated user identifier (“user id” ) for identifying the client-side interface 102 are sent to the audio database server 104 via network 108 . The audio database server 104 compares the descriptor to a plurality of reference descriptors, which were previously determined and stored in an audio database 110 coupled to the audio database server 104 . In some implementations, the audio database server 104 continuously updates the reference descriptors stored in the audio database 110 from recent mass media broadcasts.
[0029] The audio database server 104 determines the best matches between the received descriptors and the reference descriptors and sends best-match information to the social application server 106 . The matching process is described more fully with respect to FIG. 4 .
[0030] In some implementations, the social application server 106 accepts web-browser connections associated with the client-side interface 102 . Using the best-match information, the social application server 106 aggregates personalized information for the user and sends the personalized information to the client-side interface 102 . The personalized information can include but is not limited to: advertisements, personalized information layers, popularity ratings, and information associated with a commenting medium (e.g., ad hoc social peer communities, forums, discussion groups, video conferences, etc.).」
(当審訳)
「[0028]いくつかの実施では、前記記述子及びクライアント側インターフェース102を特定するために関連付けられたユーザ識別子(「ユーザID」)が、ネットワーク108を介して音声データベースサーバ104に送信される。音声データベースサーバ104は、前記記述子を、以前に決定されるとともに、音声データベースサーバ104に接続された音声データベース110内に格納されている、複数の基準記述子と比較する。いくつかの実施では、音声データベースサーバ104は、音声データベース110内に格納された基準記述子を、最近のマスメディア放送から継続的に更新する。
[0029]音声データベースサーバ104は、前記受信された記述子及び前記基準記述子との間の最良適合を決定するとともに、最良適合情報を、ソーシャルアプリケーションサーバ106に送信する。前記適合処理は、図4に関してより充分に説明される。
[0030]いくつかの実施では、ソーシャルアプリケーションサーバ106は、クライアント側インターフェース102に関連付けられたWEB閲覧接続を受け付ける。前記最良適合情報を使用して、ソーシャルアプリケーションサーバ106は、前記ユーザのパーソナライズ情報を集約するとともに、前記パーソナライズ情報をクライアント側インターフェース102に送信する。前記パーソナライズ情報は、広告、パーソナライズ情報層、人気度レーティング、及びコメントメディア(例えば、アドホックソーシャルピアコミュニティ、フォーラム、議論グループビデオカンファレンス、等)に関連付けられた情報を具備しうるが、それに限定されない。」
(c)「Ambient Audio Identification System
[0034] FIG. 2 illustrates an ambient audio identification system 200 , including a client-side interface 102 as shown in FIG. 1 . The system 200 includes a mass media system 202 (e.g., a television set, radio, computer, electronic device, mobile phone, game console, network appliance, etc.), an ambient audio detector 204 , a client-side interface 102 (e.g., a desktop or laptop computer, etc.) and a network access device 206 . In some implementations, the client-side interface 102 includes a display device 210 for presenting a user interface (UI) 208 for enabling a user to interact with a mass personalization application, as described with respect to FIG. 5 .
[0035] In operation, the mass media system 202 generates ambient audio of a mass media broadcast (e.g., television audio), which is detected by the ambient audio detector 204 . The ambient audio detector 204 can be any device that can detect ambient audio, including a freestanding microphone and a microphone that is integrated with the client-side interface 102 . The detected ambient audio is encoded by the client-side interface 102 to provide descriptors identifying the ambient audio. The descriptors are transmitted to the audio database server 104 by way of the network access device 206 and the network 108 .」
(当審訳)
「 環境音特定システム
[0034] 図2は、図1内で示されたようなクライアント側インターフェース102を具備する、環境音特定システム200を図説する。システム200は、マスメディアシステム202(例えば、テレビジョンセット、ラジオ、コンピュータ、電子的装置、携帯電話、ゲーム機、ネットワーク電気製品、等)と、環境音検出器204と、クライアント側インターフェース102(例えば、デスクトップ又はラップトップコンピュータ、等)と、ネットワークアクセス装置206と、を具備する。いくつかの実施では、クライアント側インターフェース102は、図5に関して説明されているように、ユーザがマスパーソナライズアプリケーションと相互作用することを可能にするための、ユーザインターフェース(UI)208を表示する表示装置210を具備する。
[0035] 動作中に、マスメディアシステム202は、マスメディア放送の環境音(例えばテレビジョン音声)を生成し、それは環境音検出器204によって検出される。環境音検出器204は、独立したマイクロフォン、及びクライアント側インターフェース102と統合されたマイクロフォンを具備する、環境音を検出可能である任意の装置であっても良い。検出された環境音は、前記環境音を特定する記述子を提供するように、クライアント側インターフェース102によって符号化される。前記記述子は、ネットワークアクセス装置206及びネットワーク108を使用して、音声データベースサーバ104に送信される。」
(下線は、当審による。)

以上の記載事項から、引用例1には
「1つ又は複数のクライアント側インターフェースを具備し、
クライアントインターフェース102は、放送環境(例えばユーザのリビングルーム)内のマスメディア放送の環境音を監視するための、環境音検出器(例えばマイクロフォン)を具備し、1つ又は複数の環境音セグメント、又は「断片」は、「音声指紋」又は「記述子」として参照され、
記述子及びクライアント側インターフェース102を特定するために関連付けられたユーザ識別子(「ユーザID」)が、ネットワーク108を介して音声データベースサーバ104に送信され、音声データベースサーバ104に接続された音声データベース110内に格納されている、複数の基準記述子と比較され、音声データベースサーバ104は、受信された記述子及び基準記述子との間の最良適合を決定するとともに、最良適合情報を、ソーシャルアプリケーションサーバ106に送信し、
ソーシャルアプリケーションサーバ106は、最良適合情報を使用して、ユーザのパーソナライズ情報を集約するとともに、例えば、有名人が着用している衣類及びアクセサリに関連する情報及び/又は画像、有名人が着用している衣類を販売する衣類ストアへのリンクをクライアント側インターフェース102に送信するマスパーソナライズシステム。」の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。

ウ.引用例2
原査定の拒絶理由で引用文献3として引用された「今岡 通博,Androidエンジニアからの招待状,SoftwareDesign 発刊240号,技術評論社,2010年10月18日,第158-163頁」(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(a)「まず、Androidデバイス上で動作する“アプリケーションプログラム”。次はインターネット上に存在し、さまざまなサービスを提供する“クラウド”です。ドロンくんの音声認識機能は、このクラウドの力を借りて実現した一例に過ぎません。」(第158頁右欄第2行?第7行)
(b)「音声認識を行う場合はIntent(インテント)というしくみを用いてネット上で音声認識サービスを利用します。」(第158頁右欄第19行?第21行)
(c)「アプリケーションプログラムからの要請を受けてネット経由でさまざまなサービスを提供します。今回のドロンくんが音声認識を行う場合、インテントを利用してGoogleが提供する音声認識アクティビティ経由でクラウドを利用します。」(第158頁右欄第25行?第158頁左欄第3行)
以上の記載から、引用例2には、「クラウドを利用して、ネット経由で音声認識を行い、サービスを提供すること。」(以下、「引用例2の記載事項」という。)が記載されている。

エ.引用例3
原査定の拒絶理由で引用文献4として引用された特開2003-115929号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(a)「【0022】本実施形態では、音声入力端末装置としては、移動端末10と家庭(固定)端末30とを使用できる。移動端末10としては、PDA10a,携帯電話10b,車載端末10cなどがある。家庭(固定)端末30としては、家庭内での利用を想定した固定電話30a,情報家電としてのテレビシステムTV30b,パーソナルコンピュータPC30cなどがある。移動端末10a?10cは、無線基地局20を介してインターネット網40に接続され、家庭端末30a?30cは、インターネット網40に直接接続されている。
【0023】音声対話全体を制御する音声ポータル50および各種アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)60も、インターネット網40に接続されている。
【0024】ASPとしては、地図情報をサービスするナビゲーション情報ASP60a,音楽情報ASP60b,TV番組情報ASP60c,電話情報ASP60dなどがある。
【0025】音声入力端末10a?10c,30a?30cのいずれかから、音声ポータルサーバ50に接続すると、音声のガイダンスやメニュー表示が音声入力端末に出力され、対応する音声を入力すると、音声はインターネット網40を介して音声ポータルサーバ50に転送される。
【0026】音声ポータルサーバ50は、音声を認識し、音声の内容をコマンドや検索対象物であるオブジェクトとしてコマンド変換処理し、コマンドの内容に対応したASP60に転送する。
【0027】ASP60では、対応するデータベースを検索し、音声ポータルサーバ50を経由して、音声を入力してきた音声入力端末に検索結果を出力する。」
(下線は、当審による。)

以上の記載から、引用例3には、「インターネットに接続された音声入力端末から音声を入力し、音声ポータルサーバは、音声の内容をコマンド変換処理して、コマンドの内容に対応したASPに転送し、ASPは、対応するデータベースを検索し、音声ポータルサーバを経由して、音声入力端末に検索結果を出力する。」(以下、「引用例3の記載事項」という。)が記載されている。

オ.対比、判断
(ア)そこで、本件補正発明と引用例1発明を対比する。
引用例1発明の「1つ又は複数のクライアント側インターフェース」は、本件補正発明の「1つ以上のネットワーク・インタフェース」に相当する。
引用例1発明の「クライアントインターフェース102は、放送環境(例えばユーザのリビングルーム)内のマスメディア放送の環境音を監視及び記録するための、環境音検出器(例えばマイクロフォン)を具備し、」は、家庭のリビングにおけるテレビ放送などを環境音を監視して、特定するために検出していることから、本件補正発明の「前記1つ以上のネットワーク・インタフェースを介して各ユーザーに関連付けられている複数のユーザー・サイトからオーディオ・ベースの情報を受信するためにオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイス」に相当する機能を有している。
引用例1発明のクライアントインターフェース102では、「1つ又は複数の環境音セグメント、又は「断片」は、「音声指紋」又は「記述子」として参照され」ていて、これは、環境音に対する処理が行われることであるから、本件補正発明のクラウド・ベースのアプリケーション・エンジンにおける「オーディオ・ベースの情報を処理」することに相当する。
引用例1発明の「記述子及びクライアント側インターフェース102を特定するために関連付けられたユーザ識別子(「ユーザID」)が、ネットワーク108を介して音声データベースサーバ104に送信され、音声データベースサーバ104に接続された音声データベース110内に格納されている、複数の基準記述子と比較され、音声データベースサーバ104は、受信された記述子及び基準記述子との間の最良適合を決定するとともに、最良適合情報を、ソーシャルアプリケーションサーバ106に送信し」は、音声データベースサーバ104が、記述子の内容を特定する処理であって、記述子に対応するデータを判断し、そのデータをソーシャルアプリケーションサーバ106に送信しているから、本件補正発明の「クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、」「データを判断し、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、前記ユーザーにサービスを提供する1つ以上のクラウド・ベースのアプリケーションに、前記データを提供」することに相当する。
引用例1発明の「放送環境(例えばユーザのリビングルーム)内のマスメディア放送の環境音を監視するための、環境音検出器(例えばマイクロフォン)を具備し」で、「環境音」は、オーディオ・ベースの情報であり、ユーザのリビングルーム内の放送の音声を含むすべての音声をマイクロフォンで収集したものであることから、本件補正発明の「前記オーディオ・ベースの情報は、少なくとも一部がオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスから得た環境情報を含み」に相当する。
引用例1発明の「記述子及びクライアント側インターフェース102を特定するために関連付けられたユーザ識別子(「ユーザID」)が、ネットワーク108を介して音声データベースサーバ104に送信され、音声データベースサーバ104に接続された音声データベース110内に格納されている、複数の基準記述子と比較され、音声データベースサーバ104は、受信された記述子及び基準記述子との間の最良適合を決定する」は、音声データベースサーバ104が、記述子によって音楽等を特定するための処理であることから、本件補正発明の「クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、現在の前記ユーザーにより消費されているメディアを判断し」に相当する。
引用例1発明の「ソーシャルアプリケーションサーバ106は、最良適合情報を使用して、ユーザのパーソナライズ情報を集約するとともに、例えば、有名人が着用している衣類及びアクセサリに関連する情報及び/又は画像、有名人が着用している衣類を販売する衣類ストアへのリンクをクライアント側インターフェース102に送信する」において、「ソーシャルアプリケーションサーバ106」は、環境音に関連したユーザのパーソナライズ情報や、関連する衣類を販売するストアへのリンク情報を、クライアント側インターフェース102に送信しているから、これらの情報は、本件補正発明の「現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するメディアについての情報または現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するプレイリストについての情報、もしくは現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアの購入についての情報」に相当する。
引用例1発明の「クライアント側インターフェース102」は、デスクトップ又はポータブルコンピュータ、電子装置、電話、携帯電話、表示システム、テレビジョン、コンピュータモニタ、ナビゲーションシステム、ポータブルメディアプレーヤー/レコーダ、携帯型情報端末(PDA)、ゲーム機、ハンドヘルド電子装置、及び、組み込み電子装置又は電気製品を具備するが、それに限定されないものであるから、本件補正発明の「メディア・デバイスまたはアプリケーション・デバイス」に相当する。
引用例1発明の「マスパーソナライズシステム」は、環境音を処理して関連情報を提供するシステムであるから、本件補正発明の「システム」に相当する。

(イ)したがって、両発明の一致点、相違点は以下の通りである。

〈一致点〉
「 1つ以上のネットワーク・インタフェースと、
前記1つ以上のネットワーク・インタフェースを介して各ユーザーに関連付けられている複数のユーザー・サイトからオーディオ・ベースの情報を受信するためにオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスを含むシステムであって、
前記オーディオ・ベースの情報を処理してデータを判断し、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、前記ユーザーにサービスを提供する1つ以上のクラウド・ベースのアプリケーションに、前記データを提供し、前記オーディオ・ベースの情報は、少なくとも一部がオン・プレミスのオーディオ・モニタリング・デバイスから得た環境情報を含み、クラウド・ベースのアプリケーション・エンジンは、少なくとも一部を前記オーディオ・ベースの情報に基づき、現在の前記ユーザーにより消費されているメディアを判断し、現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するメディアについての情報または現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアに関連するプレイリストについての情報、もしくは現在の前記ユーザーにより消費されている前記メディアの購入についての情報が、前記クラウド・ベースのアプリケーションからデバイスへ提供される、
システム。


〈相違点〉
(1)本件補正発明では、「クラウド・ベースのアプリケーション・エンジン」がオーディオ・ベースの情報を処理して、メディアを判断するための情報を生成しているのに対して、引用例1発明では、音声記述子等の情報は、「クライアント側インターフェース102」が生成している点。

相違点について検討する。

相違点(1)
一般に、クライアント・サーバにおいて、クライアントまたはサーバのどちらでも可能な処理をどちらに処理させるかは、それぞれの処理能力や通信スピード等の得失を考慮して、当業者が適宜決定し得る事項である。また、引用例2,引用例3の記載事項からも明らかなように、音声情報をネット経由でサーバに送り、当該音声情報に基づく処理を行うことも周知事項である。
そして、引用例1発明の音声記述子等の生成もクライアントまたはサーバのいずれにおいても処理可能なものであることは明らかである。また、上記周知事項を勘案すれば、クライアントから環境音を送り、サーバで音声記述子等の生成処理を行うようにして、相違点(1)の構成とすることは、当業者が容易になしえることである。
そして、上記相違点(1)を総合的に判断しても、本件補正発明が奏する効果は引用例1発明、引用例2、引用例3の記載事項から当業者が十分予測できたものであって格別なものとはいえない。
よって、本件補正発明は、引用発明1及び引用例2,3に基づいて、当業者が容易になしえることであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)平成27年7月10日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項1に係る発明は、平成26年11月12日付けで提出された手続補正書の特許請求の範囲請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)であって、前記2.(1)の(1-1)に記載したとおりのものである。

(2)引用例
原査定の拒絶理由に引用される引用例、およびその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりのものである。

(3)対比、判断
本願発明は、本件補正発明から、「オーディオ・ベースの情報」に対する限定、「クラウド・ベースのアプリケーション・エンジン」に対する限定、「クラウド・ベースのアプリケーション」限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の要件を付加したものに相当する本件補正発明が前記「2.(2)」に記載したとおり、引用例1発明、引用例2、引用例3の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明、引用例2、引用例3の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび

以上のとおり、本願発明は引用例1発明、引用例2、引用例3の記載事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-15 
結審通知日 2016-03-22 
審決日 2016-04-05 
出願番号 特願2013-551329(P2013-551329)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田付 徳雄  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 緑川 隆
石川 正二
発明の名称 オーディオ・ベースのアプリケーション・アーキテクチャ  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

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