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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1318466
審判番号 不服2015-15625  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-21 
確定日 2016-08-18 
事件の表示 特願2013- 63001「タッチパネル用電極基板、及びタッチパネル、ならびに画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 2日出願公開、特開2014-186687〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成25年3月25日の出願であって、平成27年2月6日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月10日付けで手続補正がなされたが、同年5月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月21日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、平成28年4月1日付けで当審で最後の拒絶理由が通知され、同年5月24日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成28年5月24日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成28年5月24日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に変更する補正事項を含むものである。
そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。
なお、〈補正後の請求項1〉における下線は補正箇所を表している。
〈補正前の請求項1〉
「【請求項1】
透明絶縁基板と前記透明絶縁基板の一方の面に第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極と、前記透明絶縁基板の他方の面に第一の方向(X方向)と交差する第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極を有するタッチパネル用電極基板において、厚み方向(Z方向)から透視した際に、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれかが設けられている部分において、透明絶縁基板3のセンサ電極が設けられている対面、及び、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれも設けられていない部分の両面に、前記メッシュ状センサ電極とは電気的に非接触のメッシュ状ダミー電極を形成したことを特徴としたタッチパネル用電極基板。」

〈補正後の請求項1〉
「【請求項1】
面内位相差値ReがRe≧3000nmであるポリエステル樹脂シートである透明絶縁基板と前記透明絶縁基板の一方の面に第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極と、前記透明絶縁基板の他方の面に第一の方向(X方向)と交差する第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極を有するタッチパネル用電極基板において、厚み方向(Z方向)から透視した際に、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれかが設けられている部分において、透明絶縁基板3のセンサ電極が設けられている対面、及び、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれも設けられていない部分の両面に、前記メッシュ状センサ電極とは電気的に非接触のメッシュ状ダミー電極を形成したことを特徴としたタッチパネル用電極基板。
但し、面内位相差値Reは、樹脂シートのシート面内の遲相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率ny、及び厚みdとしたとき、Re=(nx-ny)×dとして定義されるものとする。」

2.本件補正に対する判断
本件補正の内の上記補正事項は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「透明絶縁基板」に関して、「面内位相差値ReがRe≧3000nmであるポリエステル樹脂シート」「但し、面内位相差値Reは、樹脂シートのシート面内の遲相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率ny、及び厚みdとしたとき、Re=(nx-ny)×dとして定義されるものとする。」と限定したものであり、かつ、その補正事項に係る補正の前後において、請求項1の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、当該補正事項に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2-1.本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の〈補正後の請求項1〉の欄に転記したとおりのものである。

2-2.特許法第29条第2項の規定への該当性(進歩性)について

(1)引用例の記載、引用例1記載の発明
(引用例1)
当審の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である、国際公開第2012/169848号(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に以下の記載がある。(引用例1に対応する、日本語ファミリーである特表2014-519663号公報による訳文を示す。なお、引用例1と上記訳文とで段落番号が対応しない部分があるので、その場合は末尾に引用例1の対応箇所を付記した。また、下線は当審で付与した。以下、同様。)

a)「【0005】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決するために導き出されたものであり、透明電極物質(ITO)を用いることなく、伝導性材料の電極からなる検知部とダミー部を用いて電極パターンの視認性を低減させることができるタッチスクリーンセンサー基板を提供することを目的とする。」

b)「【0053】
したがって、本発明は、前記従来技術における検知部110の視認性が増加する問題を解決するために、検知部110と検知部110を連結する連結部120のパターンが同一または類似するタッチスクリーンセンサー基板を提案する。
【0054】
図2aは、本実施形態によるタッチスクリーンセンサー基板の検知部と連結部を示す例示図である。図2aを参照すれば、本実施形態によるタッチスクリーンセンサー基板は、基材の一面に一定の方向のパターンで連結される電極からなる複数の検知部110、および前記パターンの方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、前記検知部110を連結する連結部120を含む。
【0055】
また、図2bを参照すれば、本実施形態において、タッチスクリーンセンサー基板は、検知部110に隣接し、前記パターンの方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、前記検知部110の視認性を低減させる複数のダミー(dummy)部110'を含み、さらには、タッチスクリーンセンサー基板は、前記パターンの方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、前記ダミー部110'を連結する連結部(図示せず)をさらに含むことができる。
【0056】
ここで、検知部110はユーザのタッチ信号を検知するために備えられる電極であり、本発明では伝導性材料からなり、ここでの伝導性材料は不透明性のものであってもよい。
【0057】
また、ダミー部110'は検知部110と隣り合い、または隣接して形成される電極であり、名称から分かるようにダミー(dummy)、すなわち、検知部110と類似する形状のパターンに形成されるが、ユーザのタッチ信号を検知できないように不活性状態に形成される電極またはその組み合わせを意味する。したがって、検知部110とダミー部110'は電気的に絶縁されるように形成される。ダミー部110'を基材に形成する理由は、透明電極物質から形成されない検知部110がタッチスクリーンセンサーに全面に形成され、タッチスクリーンセンサーに照射される外部光によって検知部110が視認される現象を防止するためである。」([76]?[80]の記載。)

c)「【0060】
本実施形態によるタッチスクリーンセンサー基板の検知部110とダミー部110'、および検知部110と検知部110を連結する検知連結部120またはダミー連結部を含む場合、ダミー部110'とダミー部110'を連結するダミー連結部(図示せず)は互いに同一または類似する一定の方向のパターンで連結される電極からなることが好ましい。本実施形態において、一定の方向のパターンとは連続性のあるパターンであり、本実施形態においては、図2に示すように前記一定の方向に形成された線が互いに交差する格子形状のパターンであることが好ましい。」([83]の記載。)

d)「【0075】
また、本実施形態において、傾斜角度は、図4に示された角度の他に線幅およびピッチに応じて異なるように決定される角度を含む。また、本実施形態における一定の方向のパターンは、傾斜したパターンを基準に一定の方向を有するため、検知部110とダミー部110'および、検知連結部120およびダミー連結部が存在する場合、ダミー連結部(図示せず)は傾斜したパターンに対して同一または類似する方向のパターンで連結された電極からなることが好ましい。
図6bを参照すれば、本実施形態によるタッチスクリーンセンサー基板は、基材100b、樹脂層100aおよび電極層112を含む。
【0076】
基材100bは透明基材100bからなることが好ましい。すなわち、一定透明度を有する基材100bであり、透明基材100bはPET(Polyethylene Terephthalate)、PI(Polymide)、アクリル(Acryl)、ポリカーボネート(PC)、トリアセテートセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルホン(PES)、PEN(Polyethylene Naphthalate)、またはガラス(glass)のうち少なくとも1つを用いて透明薄膜の形態で形成されることができる。」([99]?[101]の記載。)

e)「【0081】
図7は、本発明の第2実施形態によるタッチスクリーンセンサーを説明するための例示図である。図7(A)を参照すれば、本実施形態による第1センサー部100と第2センサー部200は互いに接合されてタッチスクリーンセンサーを形成する。すなわち、第1センサー部100と第2センサー部200は上/下部基板となって接合され、これらの間には粘着剤層300が介在することができる。粘着剤層300は光学的透明粘着剤(OCA、Optical Clear Adhesive)にしてタッチスクリーンセンサーの透明性を維持することができる。
【0082】
本実施形態において、第1センサー部100は、基材の一面に第1方向のパターンで連結される電極からなる複数の第1検知部110、および第1方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、第1検知部110を連結する第1検知連結部120を含む。
【0083】
第2センサー部200は、基材の他面に一定の方向の第2方向のパターンで連結される電極からなる複数の第2検知部210、および前記第2方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、前記第2検知部210を連結する第2検知連結部220を含む。図7(B)を参照すれば、本実施形態において、第1センサー部100および第2センサー部200が同一の基材に対して両面に形成される場合、いずれか1つの基板が形成される面を一面とした時、基板が形成されていない基材の他の面を他面という。また、本実施形態において、第1、第2センサー部100,200は互いに背を向けた状態で粘着剤層300を介して接合されたものとして示されているが、これらの基板が互いに向かい合って接合されてもよいことは勿論である。さらに、第1センサー部と第2センサー部は複数の基材に対して各々の一面に形成されることもできる。」([106]?[108]の記載。)

f)「【0089】
この時、第1検知部110と対応する(向かい合う)位置の第2センサー部200には第2ダミー部210'が形成され、第2検知部210と対応する位置の第1センサー部100には第1ダミー部110'が形成される。第1ダミー部110'は前記第2検知部210の位置に対応する前記基材の一面の位置に形成されることが好ましく、その逆に第2ダミー部210'は前記第1検知部110の位置に対応する前記基材の他面の位置に形成されることが好ましい。図7(B)を参照すれば、本実施形態において、タッチスクリーンセンサー上において、X軸方向のタッチ位置を検知する検知部210の位置に垂直方向に対応する位置にはY軸方向のダミー部110'が基材の他面に位置し、その逆にY軸方向のタッチ位置を検知する検知部110の位置に垂直方向に対応する位置にはX軸方向のダミー部210'が基材の一面に位置するようになる。したがって、第1検知部110と第2検知部210は交互に配置され、ユーザのタッチ信号の入力時にその座標を算出できるように形成される。
【0090】
また、本実施形態において、第1センサー部および第2センサー部は、上述したように同一の基材の一面および他面に形成することができ、または各々異なる基材に対して形成されることもできる。
【0091】
異なる基材に対して第1および第2センサー部が形成される場合にも、同一の基材に形成される場合と類似するように、第1センサー部と第2センサー部の接合は、第1センサー部に形成された第1検知部と第2センサー部に形成された第2検知部が互いに直交する方向に接合されるようにすることが好ましい。すなわち、第1検知部の第1方向が座標軸上のy方向であれば、第2検知部の第2方向は座標軸上のx方向になるように互いに接合される。
【0092】
この時、第1検知部と対応する位置の第2センサー部には第2ダミー部が形成され、第2検知部と対応する位置の第1センサー部には第1ダミー部が形成される。第1ダミー部は前記第2検知部の位置に対応する前記基材の一面の位置に形成されることが好ましく、その逆に第2ダミー部は前記第1検知部の位置に対応する前記基材の他面の位置に形成されることが好ましい。
また、本発明の一実施形態によるタッチスクリーンパネルは画像情報表示部およびタッチスクリーンセンサーを含む。」([114]?[118]の記載。)

(引用例1記載の発明)
引用例1の図7(A),(B)には、第1センサー部100が基材である100b、樹脂層である100a、検知部である110及びダミー部である110'により形成されること、第2センサー部200が200a、200b、第2検知部である210及び第2ダミー部である210'により形成されることが示されており、引用例1の図7に示された「タッチスクリーンセンサー」を形成する「第1センサー部100」、「第2センサー部200」はそれぞれ、「タッチスクリーンセンサー基板」であることは明らかである。
また、引用例1の図7(A),(B)には、「第1センサー部100」の「第1方向」と「第2センサー部200」の「第2方向」とが交差すること示されている。
上記図7に示された事項を考慮し、上記摘記事項の下線部の記載及びその他関連箇所の記載を技術的常識に照らすと、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

「透明電極物質(ITO)を用いることなく、伝導性材料の電極からなる検知部とダミー部を用いて電極パターンの視認性を低減させることができるタッチスクリーンセンサー基板であり、
タッチスクリーンセンサー基板は、基材の一面に一定の方向のパターンで連結される電極からなる複数の検知部110、および前記パターンの方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、前記検知部110を連結する連結部120を含み、
タッチスクリーンセンサー基板は、検知部110に隣接し、前記パターンの方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、前記検知部110の視認性を低減させる複数のダミー(dummy)部110'を含み、さらには、タッチスクリーンセンサー基板は、前記パターンの方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、前記ダミー部110'を連結する連結部をさらに含むことができ、
検知部110はユーザのタッチ信号を検知するために備えられる電極であり、伝導性材料からなり、ここでの伝導性材料は不透明性のものであってもよく、
ダミー部110'は検知部110と隣り合い、または隣接して形成される電極であり、検知部110と類似する形状のパターンに形成されるが、ユーザのタッチ信号を検知できないように不活性状態に形成される電極またはその組み合わせであり、
ダミー部110'とダミー部110'を連結するダミー連結部は互いに同一または類似する一定の方向のパターンで連結される電極からなり、
前記一定の方向のパターンとは連続性のあるパターンであり、前記一定の方向に形成された線が互いに交差する格子形状のパターンであり、
タッチスクリーンセンサー基板は、基材100b、樹脂層100aおよび電極層112を含み、
基材100bは透明基材100bからなり、PET(Polyethylene Terephthalate)を用いて透明薄膜の形態で形成されることができるものであり、
それぞれ前記タッチスクリーンセンサー基板である第1センサー部100と第2センサー部200は互いに接合されてタッチスクリーンセンサーを形成し、
第1センサー部100は、基材の一面に第1方向のパターンで連結される電極からなる複数の第1検知部110、および第1方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、第1検知部110を連結する第1検知連結部120を含み、
第2センサー部200は、基材の他面に一定の方向の第2方向のパターンで連結される電極からなる複数の第2検知部210、および前記第2方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、前記第2検知部210を連結する第2検知連結部220を含み、
第1方向と第2方向は交差する方向であり、
第1検知部110と対応する(向かい合う)位置の第2センサー部200には第2ダミー部210'が形成され、第2検知部210と対応する位置の第1センサー部100には第1ダミー部110'が形成され、
第1ダミー部110'は前記第2検知部210の位置に対応する前記基材の一面の位置に形成され、その逆に第2ダミー部210'は前記第1検知部110の位置に対応する前記基材の他面の位置に形成される
タッチスクリーンセンサー。」

(引用例2)
当審の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である、特開2012-243119号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に以下の記載がある。

g)「【0105】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施例では、X電極パターン66とY電極パターン36及びダミーパターン56とを2枚の透明基板60,30に別個に形成した。しかし、X電極パターン(第1電極パターン)、Y電極パターン(第2電極パターン)、及びダミーパターンは、同じ透明基板のうち平面視で対峙した別個の面(例えば表面と裏面)に分かれて形成しても良い。」

(2)対比、一致点、相違点
そこで、本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比する。

あ)引用例1記載の発明の「タッチスクリーンセンサー基板」を構成する「基材100b」は、「透明基材100bからなり、PET(Polyethylene Terephthalate)を用いて透明薄膜の形態で形成される」ものであるから、本願補正発明の「面内位相差値ReがRe≧3000nmであるポリエステル樹脂シートである透明絶縁基板」と「ポリエステル樹脂シートである透明絶縁基板」である点で共通するといえる。

い)引用例1記載の発明の「基材の他面に一定の方向の第2方向のパターンで連結される電極からなる複数の第2検知部210、および前記第2方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、前記第2検知部210を連結する第2検知連結部220」は、「一定の方向のパターンとは連続性のあるパターンであり、前記一定の方向に形成された線が互いに交差する格子形状のパターン」であるから、本願補正発明の「透明絶縁基板の一方の面に第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極」に相当する。

う)引用例1記載の発明の「基材の一面に第1方向のパターンで連結される電極からなる複数の第1検知部110、および第1方向と同一または類似する方向のパターンで連結される電極からなり、第1検知部110を連結する第1検知連結部120」は、「一定の方向のパターンとは連続性のあるパターンであり、前記一定の方向に形成された線が互いに交差する格子形状のパターン」であり、また、「第1方向と第2方向は交差する方向」であるから、本願補正発明の「透明絶縁基板の他方の面に第一の方向(X方向)と交差する第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極」に相当する。

え)引用例1記載の発明の「ダミー部」及び「ダミー部を連結する連結部」と本願補正発明の「メッシュ状ダミー電極」とを比較する。
A.引用例1記載の発明は、「ダミー部110'は検知部110と隣り合い、または隣接して形成される電極であり、検知部110と類似する形状のパターンに形成されるが、ユーザのタッチ信号を検知できないように不活性状態に形成される電極またはその組み合わせであり」、「第1検知部110と対応する(向かい合う)位置の第2センサー部200には第2ダミー部210'が形成され、第2検知部210と対応する位置の第1センサー部100には第1ダミー部110'が形成され、」「第1ダミー部110'は前記第2検知部210の位置に対応する前記基材の一面の位置に形成され、その逆に第2ダミー部210'は前記第1検知部110の位置に対応する前記基材の他面の位置に形成される」ものであるから、引用例1記載の発明の「第1ダミー部110'」及び「第2ダミー部210'」を形成したことは、本願補正発明の「厚み方向(Z方向)から透視した際に、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれかが設けられている部分において、透明絶縁基板3のセンサ電極が設けられている対面、及び、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれも設けられていない部分の両面に、前記メッシュ状センサ電極とは電気的に非接触のメッシュ状ダミー電極を形成した」ことと「厚み方向(Z方向)から透視した際に、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれかが設けられている部分において、透明絶縁基板3のセンサ電極が設けられている対面に、前記メッシュ状センサ電極とは電気的に非接触のダミー電極を形成した」点で共通するといえる。
B.引用例1記載の発明は、「ダミー部110'を連結する連結部をさらに含むことができ」るものであり、上記A.に記載された位置に設けられた「第1ダミー部110'」及び「第2ダミー部210'」に対して「連結部」を形成したことは、本願補正発明の「厚み方向(Z方向)から透視した際に、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれかが設けられている部分において、透明絶縁基板3のセンサ電極が設けられている対面、及び、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれも設けられていない部分の両面に、前記メッシュ状センサ電極とは電気的に非接触のメッシュ状ダミー電極を形成した」ことと「厚み方向(Z方向)から透視した際に、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれも設けられていない部分の両面に、前記メッシュ状センサ電極とは電気的に非接触のダミー電極を形成した」点で共通するといえる。
C.引用例1記載の発明は、「ダミー部110'とダミー部110'を連結するダミー連結部は互いに同一または類似する一定の方向のパターンで連結される電極」であり、「一定の方向のパターンとは連続性のあるパターンであり、前記一定の方向に形成された線が互いに交差する格子形状のパターン」であるから、引用例1記載の発明の「ダミー部」及び「ダミー部を連結する連結部」は、本願補正発明の「メッシュ状ダミー電極」に相当する。
D.上記A.?C.より、引用例1記載の発明の「第1ダミー部110'」、「第2ダミー部210'」、「第1ダミー部110'」を連結する「連結部」及び「第2ダミー部210'」を連結する「連結部」を形成したことは、本願補正発明の「厚み方向(Z方向)から透視した際に、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれかが設けられている部分において、透明絶縁基板3のセンサ電極が設けられている対面、及び、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれも設けられていない部分の両面に、前記メッシュ状センサ電極とは電気的に非接触のメッシュ状ダミー電極を形成したこと」に相当する。

お)引用例1記載の発明の「タッチスクリーンセンサー基板は、基材100b、樹脂層100aおよび電極層112を含」むものであり、「それぞれ前記タッチスクリーンセンサー基板である第1センサー部100と第2センサー部200は互いに接合されてタッチスクリーンセンサーを形成」するものであるから、引用例1記載の発明の「タッチスクリーンセンサー」は、本願補正発明の「タッチパネル用電極基板」に相当する。
もっとも、本願補正発明の「タッチパネル用電極基板」は、単一の「透明絶縁基板」の一方の面に「第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極」と「メッシュ状ダミー電極」を設け、前記単一の「透明絶縁基材」の他方の面に「第一の方向(X方向)と交差する第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極」と「メッシュ状ダミー電極」を形成したものであるのにのに対し、引用例1記載の発明は、「第1検知部110」等を含む基材(透明基板)と「第2検知部210」等を含む基材(透明基板)とは異なる基材(透明基板)である点で両者は相違する。

か)一致点、相違点
以上の対比結果によれば、本願補正発明と引用例記載の発明とは、

〈一致点〉
「ポリエステル樹脂シートである透明絶縁基板と透明絶縁基板の一方の面に第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極と、透明絶縁基板の他方の面に第一の方向(X方向)と交差する第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極を有するタッチパネル用電極基板において、厚み方向(Z方向)から透視した際に、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれかが設けられている部分において、透明絶縁基板3のセンサ電極が設けられている対面、及び、前記第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極、前記第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極のいずれも設けられていない部分の両面に、前記メッシュ状センサ電極とは電気的に非接触のメッシュ状ダミー電極を形成したことを特徴としたタッチパネル用電極基板。」
の点で一致し、次の点で相違する。

〈相違点1〉
「透明絶縁基板」を形成する「ポリエステル樹脂シート」が、本願補正発明は、「面内位相差値Reは、樹脂シートのシート面内の遲相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率ny、及び厚みdとしたとき、Re=(nx-ny)×dとして定義されるもの」としたとき「面内位相差値ReがRe≧3000nm」であるのに対して、引用例1記載の発明は、そのようなものとされていない点。

〈相違点2〉
本願補正発明は、単一の「透明絶縁基板」の一方の面に「第一の方向(X方向)に走向するメッシュ状センサ電極」と「メッシュ状ダミー電極」を設け、前記単一の「透明絶縁基材」の他方の面に「第一の方向(X方向)と交差する第二(Y方向)の方向に走向するメッシュ状センサ電極」と「メッシュ状ダミー電極」を形成したものであるのに対して、引用例1記載の発明は、「第1検出部110」及び「第1ダミー部110’」が形成される基材(透明基板)と、「第2検出部210」及び「第2ダミー部210’」が形成される基材(透明基板)とは、異なる基材(透明基板)である点。

(3)判断
〈相違点1〉について
特許第3947950号公報に、「プラスチックフィルムを用いた透明導電性フィルム、およびこれを用いた透明タッチパネル」(【0001】の記載。)に関して、「また、一軸延伸高分子フィルムは、リタデーション値が4000nm以上、殊に5000nm以上のフィルムが好ましい。4000nm以上あれば可視光領域において干渉縞の間隔が十分広がるため、光学的に等方であるのと同様になる。しかし、4000nmよりも小さい場合には、干渉縞が液晶表示パネルに表れて、表示品位が低下する。また可視光線透過率は、75%以上のものが用いられる。ここで、リタデーション値とは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△N=|Nx-Ny|)とフィルム厚dとの積(△N ×d )である。一軸延伸ポリエステルフィルムとしては、単層のみならず、複層であってもよい。」(【0024】の記載。)と記載され、
特許第4888853号公報に、「液晶表示装置の視認性改善方法、及びそれを用いた液晶表示装置」(【0001】の記載。)に関して、「バックライト光源と、液晶セルと、液晶セルの視認側に配した偏光板とを少なくとも有する液晶表示装置において、
バックライト光源として蛍光体方式の白色発光ダイオードを用いるとともに、
前記偏光板の視認側に、3000?30000nmのリタデーションを有する厚み25?500μmの配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを、前記偏光板の吸収軸と前記配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸とのなす角が凡そ45度となるように配して用いることを特徴とする液晶表示装置の視認性改善方法。」(【請求項1】の記載。)、「上記効果を奏するために、本発明に用いられる高分子フィルムは、3000?30000nmのリタデーションを有していなければならない。リタデーションが3000nm未満では、サングラスなどの偏光板を通して画面を観察した時、強い干渉色を呈するため、包絡線形状が光源の発光スペクトルと相違し、良好な視認性を確保することができない。好ましいリタデーションの下限値は4500nm、より好ましい下限値は6000nm、更に好ましい下限値は8000nm、より更に好ましい下限値は10000nmである。」(【0022】の記載。)、「<リタデーション>
フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△N=|Nx-Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△N×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△N)は、以下の方法により求める。二枚の偏光板を用いて、フィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向が直交するように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(Nx,Ny)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR-4T)によって求め、前記二軸の屈折率差の絶対値(|Nx-Ny|)を屈折率の異方性(△N)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△N)とフィルムの厚みd(nm)の積(△N×d)より、リタデーション(Re)を求めた。なお、前記配向軸のうち、より大きい屈折率を示す軸を遅相軸として定義する。」(【0037】の記載。)と記載されるように、
干渉縞、干渉色による視認性の低下を改善するために、表示装置や表示装置を備えたタッチパネルにおいて、「面内位相差値Reは、樹脂シートのシート面内の遲相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率ny、及び厚みdとしたとき、Re=(nx-ny)×dとして定義されるもの」としたとき「面内位相差値ReがRe≧3000nm」である「ポリエステル樹脂シート」を用いることは、本願の出願日前周知技術であったものと認められる。
そして、「タッチスクリーンセンサー基板」を形成する「基材100b」として、ポリエステル樹脂シートである「PET(Polyethylene Terephthalate)を用いて透明薄膜の形態で形成され」たものを用いる引用例1記載の発明においても、上記周知技術が有用かつ採用可能なものであることは、当業者に明らかである。また、引用例1において、そのようなポリエステル樹脂シートを用いることを妨げる事情はない。
したがって、引用例1記載の発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

〈相違点2について〉
引用例2の上記摘記事項g)に記載されるように、各電極パターン及びダミーパターンを同じ透明基板のうち平面視で対峙した個別の面に形成することは、本願出願前周知技術である。
そして、引用例1の【0083】に「第1センサー部100および第2センサー部200が同一の基材に対して両面に形成される場合」(摘記事項e)参照)と、【0090】に「第1センサー部および第2センサー部は、上述したように同一の基材の一面および他面に形成することができ、または各々異なる基材に対して形成されることもできる。」(摘記事項f)参照)と記載されるように、引用例1には、単一の基材の両面にセンサー部を形成することも示唆されており、引用例1記載の発明において、上記周知技術が有用かつ採用可能なものであることは、当業者に明らかである。また、引用例1において、各電極パターン及びダミーパターンを単一の透明基板の両面に形成することを妨げる事情はない。
したがって、引用例1記載の発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

〈本願補正発明の効果について〉
本願補正発明の効果についてみても、引用例1記載の発明に上記各周知技術を適用したものから予想される効果を超えるものとは認められない。

〈まとめ〉
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用例1記載の発明及び上記各周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年4月10日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2.」の「1.」の欄に補正前の請求項1として転記したとおりのものである。

2.引用例の記載、引用例1記載の発明
当審の拒絶の理由に引用された、引用例1、引用例2は、上記「第2.」の「2.」の「2-2.」の「(1)」の欄に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2.」で検討した本願補正発明から、限定事項の一部を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.」の「2.」の「2-2.」の欄に記載したとおり、引用例1記載の発明及び上記各周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-14 
結審通知日 2016-06-21 
審決日 2016-07-04 
出願番号 特願2013-63001(P2013-63001)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (G06F)
P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮下 誠  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 山田 正文
山澤 宏
発明の名称 タッチパネル用電極基板、及びタッチパネル、ならびに画像表示装置  
代理人 藤枡 裕実  

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