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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B29C
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 B29C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B29C
管理番号 1318467
審判番号 不服2016-4740  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-01 
確定日 2016-08-18 
事件の表示 特願2014-214394「積層造形装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月19日出願公開、特開2016- 83774〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月21日の出願であって、平成27年5月22日付けで拒絶理由が通知され、同年7月13日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月14日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年11月13日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年1月7日付けで平成27年11月13日付け手続補正書でした手続補正が却下されるとともに拒絶査定がされ、平成28年4月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年4月1日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年4月1日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 平成28年4月1日付けの手続補正の内容
平成28年4月1日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年7月13日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載を下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載へ補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
所要の造形領域を覆い且つ所定濃度の不活性ガスで充満されるチャンバと、
前記造形領域に設けられ且つ駆動機構によって上下方向に移動可能に構成された造形テーブルを備え、
前記駆動機構は、ガイドベースと、前記ガイドベースに対して上下方向に駆動可能であり且つ前記造形テーブルの下方に配置されるスライドベースと、前記ガイドベースに支持されるネジ軸と前記スライドベースに固定され前記ネジ軸に螺合するナット部材とでなり前記ガイドベースと前記スライドベースとの間に取り付けられるネジ送り機構と、を有し、
前記造形テーブルは、温度調節可能に構成され、
前記造形テーブルと前記駆動機構の間であって、前記駆動機構の前記スライドベース又は前記ガイドベースの外側又は前記駆動機構の前記スライドベースの内部に、温度が略一定に維持される恒温部が設けられる、積層造形装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
所要の造形領域を覆い且つ所定濃度の不活性ガスで充満されるチャンバと、
前記造形領域に設けられ且つ駆動機構によって上下方向に移動可能に構成された造形テーブルを備え、
前記駆動機構は、ガイドベースと、前記ガイドベースに対して上下方向に駆動可能であり且つ前記造形テーブルの下方に配置されるスライドベースと、前記ガイドベースに支持されるネジ軸と前記スライドベースに固定され前記ネジ軸に螺合するナット部材とでなり前記ガイドベースに取り付けられるネジ送り機構と、を有し、
前記造形テーブルは、温度調節可能に構成され、
前記造形テーブルと前記駆動機構の間であって、前記駆動機構の前記スライドベースの上部に、温度が略一定に維持される恒温部が設けられ、前記スライドベースが熱を蓄える構造であって前記恒温部の熱は前記スライドベースから前記ネジ送り機構に伝わる、積層造形装置。」
(なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。)

2 本件補正の適否
2-1 新規事項に関して
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、「前記スライドベースが熱を蓄える構造であって前記恒温部の熱は前記スライドベースから前記ネジ送り機構に伝わる」という記載を付加する補正を含むものである。
そして、上記記載を付加することにより、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、「恒温部の熱」が「スライドベース」から「ネジ送り機構」に伝わる「積層造形装置」ということになる。
他方、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「図2に示すように、駆動機構31は、ガイドベース85と、ガイドベース85に対して上下方向に駆動可能であり且つ造形テーブル5の下側に配置されるスライドベース86を備える。ガイドベース85には、スライド機構87とネジ送り機構88が取り付けられている。」(段落【0021】)、「図5?図8に示すように、粉体保持壁26は、接続部材89を介してガイドベース85に固定されている。また、図7?図8に示すように、スライド機構87は、レール87aと、レール87aに沿ってスライド移動可能なスライド部材87bを備える。一方、ネジ送り機構88は、ネジ軸88aと、ネジ軸88aに螺合されたナット部材88bと、ネジ軸88aを回転駆動するモーター88cを備える。図8に示すように、4つのスライド部材87bがスライドベース86の取付部86aに固定され、ナット部材88bがスライドベース86の取付部86bに固定される。そして、モーター88cの回転に伴ってナット部材88bがネジ送りされて上下方向に移動すると、それに伴ってスライドベース86がスライド機構87によって案内されながら上下方向に移動し、その結果、造形テーブル5が上下方向に移動する。」(段落【0022】)、「スライドベース86の上部には、梁状の一対の取付部86cが設けられており、取付部86c上に温度が略一定に維持される恒温部91が配置される。恒温部91は、一例では、配管と、その内部を流れる略一定の温度の媒体(例:水)によって構成される。図9に示すように、恒温部91を構成する配管が一対の支持板91a,91bによって挟まれて支持されている。恒温部91と造形テーブル5の間に断熱板90が設けられている。断熱板90を設けることによって造形テーブル5から恒温部91への熱の移動が抑制され、造形テーブル5の効率的な加熱及び冷却が可能になる。なお、冷却器93と同様に、実施形態では、管材を支持板91a,91bの間に挟み込むようにして恒温部91を構成しているが、例えば、支持板91a,91b(板材)の一方または両方に配管穴を形成し支持板91a,91bを合わせることによって支持板91a,91bに直接配管を形成するようにして恒温部91を構成するようにすることができる。」(段落【0024】)、「積層造形の完了後は、加熱器92を停止させ、冷却器93を作動させることによって造形テーブル5の温度を低下させる。本実施形態では、造形テーブル5のスライドベース86の間に恒温部91が設けられているので、加熱器92で発生した熱は、恒温部91に到達すると恒温部91によって除去される。このため、加熱器92からの熱は、ほとんど又は全くスライドベース86に伝達されない。従って、積層造形が数十時間に渡って続けられても、造形テーブル5の熱によってスライドベース86はほとんど又は全く加熱されることがなく、冷却器93を作動させると造形テーブル5の温度が速やかに低下する。一方、従来技術のように恒温部91がない場合には、スライドベース86に大量の熱が蓄えられることになり、冷却器93を作動させた際の造形テーブル5の温度低下にかかる時間が長くなってしまい、その結果、造形物の取り出しに時間がかかり、生産性が低下してしまう。また、恒温部91を設けることによって駆動機構31に流入する熱の量が低減されるので、駆動機構31の熱変形が抑制されて、積層造形の精度が向上する。」(段落【0038】)及び「本実施形態では、造形テーブル5とスライドベース86の間に恒温部91を設けているが、恒温部91は、別の位置に設けてもよい。図5に示すように造形テーブル5がある程度下がった状態では粉体保持壁26で囲まれた空間内に大量の材料粉体が収容されており、造形テーブル5又はレーザ光Lによって材料粉体が加熱されると、材料粉体からの熱は、図6?図8に示すように、粉体保持壁26及び接続部材89を通じてガイドベース85に到達して、ガイドベース85を熱変形させる。このような経路による熱流入によってガイドベース85が熱変形することを抑制すべく、ガイドベース85又は接続部材89に、温度が略一定に維持される恒温部を設けることができる。恒温部は、具体的には、ガイドベース85又は接続部材89に配管を設け、この配管内に略一定温度の媒体を常時流通させることによって構成することができる。なお、接続部材89は必須ではなく、ガイドベース85を粉体保持壁26に直接連結してもよく、その場合、恒温部は、ガイドベース85に設けることができる。」(段落【0039】)と記載されている(なお、これらは、審判請求書において、請求人が本件補正の根拠と主張する記載である。)。
しかし、これらの記載から、当初明細書等には、「恒温部」が「加熱器で発生した熱」を除去し、「加熱器からの熱」は「スライドベース」に伝わらないこと、すなわち「恒温部」が「スライドベース」に「熱」を伝えないものであることは記載されているといえるが、これらの記載を含め当初明細書等全体の記載をみても、「恒温部の熱」が「スライドベース」から「ネジ送り機構」に伝わることは記載されているとはいえないし、「恒温部の熱」が「スライドベース」から「ネジ送り機構」に伝わることが、当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえない。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

2-2 独立特許要件に関して
仮に、本件補正が、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとした場合、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、さらに検討する。

(1)引用文献の記載等
ア 引用文献1の記載等
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2005-89863号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「三次元成形物を製造するための装置と方法」に関して、図面とともにおおむね次の記載(以下、順に「記載1a」ないし「記載1c」という。)がある。

1a 「【0002】
本発明は、複雑な三次元構成要素が粉体の材料から層状に積み上げられる製造方法を取り扱う。本発明の適用分野は、急速プロトタイプ化と、急速ツーリングと急速製造の関連する訓練に加えて、特に一連のツールと機能部品の製造を含む。これらは例えば、表面の近くに冷却通路を有する射出成形型を含み、さらにまた医療技術、機械工学、航空機、自動車両などの製造のための個別部品、および少数の一連の複雑な機能的構成要素も含む。」(段落【0002】)

1b 「【0043】
図1は、微粉成形材料の層を連続的に固めることによって三次元成形物を製造するための、本発明による装置11を概略線図で示す。レーザ融解による成形物の製造は、例えばドイツ特許第19649865C1号に記載されている。装置11は、機械フレーム14の中に配置されたレーザの形の直接ビームを放射するビーム源16、例えば固体レーザを備えている。このビームは、例えば1つまたは複数の作動可能なミラーの形のビーム偏向デバイス18を介して、処理室21における加工平面上に偏向ビームとして集束される。ビーム偏向デバイス18は、第1処理室21と別の処理室24との間の直線ガイド22に沿ってモータ手段によって変位できるように配置されている。ビーム偏向デバイス18は、駆動部の作動によって処理室21、24に対して正確な位置に移動することができる。さらに、機械フレーム14は、装置11を操作するため、および成形物を製造するために使用される加工工程の個別パラメータを設定するための、制御演算ユニット26を設けている。
【0044】
第1処理室21と少なくとも1つの別の処理室24は互いに別に配置され、互いに密封隔離されている。
【0045】
図2は、処理室21を例示的に断面で示す。処理室21はハウジング31を備え、少なくとも1つの閉鎖要素33によって閉じることができる開口部32を通じて接近可能である。閉鎖要素33は、例えばトグル・レバー要素などの、ロック要素34によって閉位置に固定できる回転可能カバーとして設計されることが好ましい。シール36が、ハウジング31の開口部32の近くに備えられ、処理室21を密封している。そのシールはエラストマ・シールとして形成されることが好ましい。閉鎖要素33は、レーザ・ビームの電磁放射を透過させる領域37を有する。上側と下側に反射防止膜を有するガラスまたは石英ガラスで作られた窓38を使用することが好ましい。閉鎖要素33は水冷設計とすることが好ましい。
【0046】
処理室21はベース面41を備えている。成形室42がこのベース面41に向いて下から開いており、成形室42の中にはキャリア43が備えられ、上下動するように案内されている。キャリア43は、リフティング・ロッドまたはリフティング・スピンドル46によって上下方向に駆動される少なくとも1つのベースプレート44を含む。この目的のために、取り付けられたリフティング・スピンドル46を上下動させる駆動部47、例えば歯付きベルト駆動部が備えられている。キャリア43のベースプレート44が流体媒質によって冷却される。この流体媒質は少なくとも製造中にベースプレート44中の冷却通路を流れることが好ましい。機械的に安定した断熱材料によって作られた断熱層48が、ベースプレート44とキャリア43の製造プラットフォーム49との間に配置されている。これは、リフティング・スピンドル46が製造プラットフォーム49の加熱によって加熱されるのを防止し、キャリア43の位置決めに関する効果も伴う。
【0047】
成形材料57を成形室42の中に加える供給レベリング・デバイス56が、処理室21のベース面41に沿って移動する。成形材料57の選択的融解によって成形物52の上に層が形成される。
【0048】
成形材料57は金属またはセラミックの粉体を含むことが好ましい。レーザ融解およびレーザ焼結に適した他の材料も使用される。個別の粉体の材料は、製造しようとする成形物52に応じて選択される。
【0049】
処理室21は、一方の側に、遮蔽ガスまたは不活性ガスを供給するための入口ノズル61を有する。反対側には、供給された遮蔽ガスまたは不活性ガスを除去するための抽出ノズルがある。成形物52の製造中に、成形材料57の融解中の酸化を避けるため、および閉鎖要素33における窓38を保護するため、遮蔽ガスまたは不活性ガスの層流を発生させる。密封ロックされた処理室は、例えば20hPaの大気圧以上の圧力に維持されることは好ましい。より高い圧力も可能である。これは、製造工程中に大気の酸素が外側から処理室21の中に入ることができないことを意味する。遮蔽ガスまたは不活性ガスの循環中に、同時に冷却を実施することも可能である。遮蔽ガスまたは不活性ガスの冷却とろ過は、成形材料57に伴う粒子を除去して処理室21の外側に出すことが好ましい。
【0050】
成形室42は、円筒状の設計であることが好ましい。別の形状とすることもできる。キャリア43または少なくともキャリア43の部品は、成形室42の形状に合致している。成形室42の中では、キャリア43が、層化製造を実施するためにベース面41に対して下向きに移動する。成形室42の高さは、成形物52の製造される高さまたは最大高さに合致している。
【0051】
成形室42の周囲壁83は、ベース面41と直接連結され、下方に延びている。この周囲壁83はベース面41から垂下している。少なくとも1つの入口開口部112が周囲壁83に備えられている。この入口開口部112は、ハウジング31の外側でフィルタ126に接続された給送管路111と連絡している。周囲の空気が、フィルタ126と供給管路111とを介して、入口開口部112を通じて成形室42の中に給送される。さらに、成形室42は周囲壁83の中に少なくとも1つの出口開口部113を有し、この出口開口部に排出管路114が連結され、この排出管路114はハウジング31から出て、分離装置107へ開いている。分離装置107の下流にはフィルタ108があり、このフィルタ108は、連結管路118を介して成形室42から排出された流れを排出する。入口開口部112と出口開口部113が互いに整列していることは有利である。開口部112、113を、高さの点および半径方向の給送位置の点で互いにずらして、または成形室42の縦軸に直角に配置することも可能である。
【0052】
製造プラットフォーム49は、加熱板136と冷却板132から構成されている。加熱素子87が加熱板136の中に点線で示されている。さらに、加熱板136は温度センサ(さらに詳細には図示せず)を備えている。加熱素子87と温度センサが供給管路91、92に連結され、これらの供給管路はリフティング・スピンドル46を通じて製造プラットフォーム49に至っている。1つまたは複数の密封リング82が中に固定されている周囲溝81が、製造プラットフォーム49の外周93に備えられ、1つまたは複数の密封リング82の直径を僅かに変えて、取付け状況と温度の変動に合わせることができる。1つまたは複数の密封リング82は、成形室42の周囲壁83を圧迫する。この密封リング82は、周囲壁83よりも低い表面硬度を有する。周囲壁83が、成形物52のために提供される成形材料57の硬度よりも高い表面硬度を有することは有利である。これによって、長い使用中に周囲壁83に決して損傷を与えないようにすることが可能で、密封リング82のみを摩耗部分としてメンテナンス間隔で取り替えるだけでよくなる。成形室42の周囲壁83を、例えばクロムめっきで表面被覆することは有利である。
【0053】
ベースプレート44は、少なくとも成形物52が製造されている間に動作状態にある水冷システムを含む。冷却液は、リフティング・スピンドル46を通じてベースプレート44に達する冷却管路86を介して、ベースプレート44の中に備えられた冷却通路に給送される。準備される冷却媒体は水であることが好ましい。冷却によって、ベースプレート44を例えば20℃から40℃までにある実質的に一定の温度に設定することができる。
【0054】
成形物52を受け入れるために、キャリア43は、保持手段および/または方向付け支援手段によってキャリア43に固定式または解除可能に位置決められた基板51を有する。成形物52の製造が始まる前に、成形物52を低応力で亀裂なしに製造することができるように、加熱板136は300℃と500℃の間の動作温度にまで加熱される。温度センサ(さらに詳細には図示せず)は、成形物52が製造されている間に加熱温度または動作温度を記録する。」(段落【0043】ないし【0054】)

1c 引用文献1には、図1及び2として、次の図面が記載されている。
【図1】

【図2】

(イ)引用文献1の記載事項
記載1aないし1cから、引用文献1には、次の事項(以下、順に「記載事項1d」ないし「記載事項1h」という。)が記載されていると認める。

1d 記載1bの「処理室21はベース面41を備えている。成形室42がこのベース面41に向いて下から開いており、成形室42の中にはキャリア43が備えられ、上下動するように案内されている。」(段落【0046】)及び「処理室21は、一方の側に、遮蔽ガスまたは不活性ガスを供給するための入口ノズル61を有する。反対側には、供給された遮蔽ガスまたは不活性ガスを除去するための抽出ノズルがある。成形物52の製造中に、成形材料57の融解中の酸化を避けるため、および閉鎖要素33における窓38を保護するため、遮蔽ガスまたは不活性ガスの層流を発生させる。密封ロックされた処理室は、例えば20hPaの大気圧以上の圧力に維持されることは好ましい。より高い圧力も可能である。これは、製造工程中に大気の酸素が外側から処理室21の中に入ることができないことを意味する。」(段落【0049】)並びに記載1cによると、引用文献1には、成形室42を覆い且つ所定濃度の不活性ガスで充満される処理室21が記載されている。

1e 記載1bの「処理室21はベース面41を備えている。成形室42がこのベース面41に向いて下から開いており、成形室42の中にはキャリア43が備えられ、上下動するように案内されている。キャリア43は、リフティング・ロッドまたはリフティング・スピンドル46によって上下方向に駆動される少なくとも1つのベースプレート44を含む。この目的のために、取り付けられたリフティング・スピンドル46を上下動させる駆動部47、例えば歯付きベルト駆動部が備えられている。キャリア43のベースプレート44が流体媒質によって冷却される。この流体媒質は少なくとも製造中にベースプレート44中の冷却通路を流れることが好ましい。機械的に安定した断熱材料によって作られた断熱層48が、ベースプレート44とキャリア43の製造プラットフォーム49との間に配置されている。」(段落【0046】)及び記載1cを記載事項1dとあわせてみると、引用文献1には、成形室42に設けられ且つリフティング・スピンドル46及び駆動部47によって上下方向に移動可能に構成された製造プラットフォーム49が記載されている。

1f 記載1bの「製造プラットフォーム49は、加熱板136と冷却板132から構成されている。加熱素子87が加熱板136の中に点線で示されている。さらに、加熱板136は温度センサ(さらに詳細には図示せず)を備えている。加熱素子87と温度センサが供給管路91、92に連結され、これらの供給管路はリフティング・スピンドル46を通じて製造プラットフォーム49に至っている。1つまたは複数の密封リング82が中に固定されている周囲溝81が、製造プラットフォーム49の外周93に備えられ、1つまたは複数の密封リング82の直径を僅かに変えて、取付け状況と温度の変動に合わせることができる。」(段落【0052】)及び「成形物52を受け入れるために、キャリア43は、保持手段および/または方向付け支援手段によってキャリア43に固定式または解除可能に位置決められた基板51を有する。成形物52の製造が始まる前に、成形物52を低応力で亀裂なしに製造することができるように、加熱板136は300℃と500℃の間の動作温度にまで加熱される。」(段落【0054】)並びに記載1cを記載事項1d及び1eとあわせてみると、引用文献1には、製造プラットフォーム49は、加熱板136と冷却板132から構成されていることが記載されている。

1g 記載1bの「キャリア43は、リフティング・ロッドまたはリフティング・スピンドル46によって上下方向に駆動される少なくとも1つのベースプレート44を含む。この目的のために、取り付けられたリフティング・スピンドル46を上下動させる駆動部47、例えば歯付きベルト駆動部が備えられている。キャリア43のベースプレート44が流体媒質によって冷却される。この流体媒質は少なくとも製造中にベースプレート44中の冷却通路を流れることが好ましい。機械的に安定した断熱材料によって作られた断熱層48が、ベースプレート44とキャリア43の製造プラットフォーム49との間に配置されている。」(段落【0046】)及び「ベースプレート44は、少なくとも成形物52が製造されている間に動作状態にある水冷システムを含む。冷却液は、リフティング・スピンドル46を通じてベースプレート44に達する冷却管路86を介して、ベースプレート44の中に備えられた冷却通路に給送される。準備される冷却媒体は水であることが好ましい。冷却によって、ベースプレート44を例えば20℃から40℃までにある実質的に一定の温度に設定することができる。」(段落【0053】)並びに記載1cを記載事項1dないし1fとあわせてみると、引用文献1には、製造プラットフォーム49とリフティング・スピンドル46及び駆動部47の間であって、リフティング・スピンドル46及び駆動部47の上部に、温度が実質的に一定の温度に設定されるベースプレート44が記載されている。

1h 記載1a、記載1bの「図1は、微粉成形材料の層を連続的に固めることによって三次元成形物を製造するための、本発明による装置11を概略線図で示す。」(段落【0043】)及び記載1cを記載事項1dないし1gとあわせてみると、引用文献1には、微粉成形材料の層を積み上げて三次元成形物を製造するための装置11が記載されている。

(ウ)引用発明
記載1aないし1c及び記載事項1dないし1hを整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「成形室42を覆い且つ所定濃度の不活性ガスで充満される処理室21と、
前記成形室42に設けられ且つリフティング・スピンドル46及び駆動部47によって上下方向に移動可能に構成された製造プラットフォーム49を備え、
前記製造プラットフォーム49は、加熱板136と冷却板132から構成され、
前記製造プラットフォーム49と前記リフティング・スピンドル46及び駆動部47の間であって、前記リフティング・スピンドル46及び駆動部47の上部に、温度が実質的に一定の温度に設定されるベースプレート44が設けられている、微粉成形材料の層を積み上げて三次元成形物を製造するための装置11。」

イ 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2002-103894号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「シート積層式3次元造形装置」に関して、図面とともにおおむね次の記載(以下、順に「記載2a」及び「記載2b」という。)がある。

2a 「【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の主要構成]図1は、本実施形態のシート積層式3次元造形装置10の概略構成を示す斜視図である。図2は、シート積層式3次元造形装置10の要部平面図である。図3は、シート積層式3次元造形装置10の要部左側面図である。図4?図8は、シート積層式3次元造形装置10の動作状態における概略構成を示す全体正面図である。
【0012】シート積層式3次元造形装置10は、それまでに積層された中間積層体Wの上面に素材シートPを送り込む素材シート供給装置20と、その送り込んだ素材シートPを加熱し中間積層体の上面に押圧して接着する加熱押圧装置30と、接着された素材シートPを所定形状に切断する切断装置40と、加熱押圧装置30および切断装置40を所定位置に移動させる移動装置50と、中間積層体Wを昇降させる昇降装置70と、制御装置80とを備えている。
【0013】・・・(略)・・・
【0014】昇降装置70は、造形テーブル71、サドル72、Z方向ガイドレール(Z軸スライド)73a,73b、昇降送り螺子74、昇降モータ75、リミットスイッチ77を備えている。図4?図8に示すように、造形テーブル71はサドル72上に着脱可能に載置固定されている。サドル72の後側は各Z方向ガイドレール73a,73bに対して摺動可能に嵌合されて案内支持されている。各Z方向ガイドレール73a,73bは、造形テーブル71の左右方向に所定間隔をあけて配置されると共に、鉛直方向(Z方向)に延びるように、シート積層式3次元造形装置10の後側の機枠(図示略)に取付固定されている。サドル72における各Z方向ガイドレール73a,73bの中間部分は、昇降送り螺子74に螺子係合されている。昇降送り螺子74は、機枠に取付固定された昇降モータ75のモータ軸と一体化され、鉛直軸線周りに回転駆動される。そのため、制御装置80によって制御される昇降モータ75により昇降送り螺子74が回転駆動されることで、造形テーブル71はその上面を水平に保ちながら各Z方向ガイドレール73a,73bと摺動されて昇降される。」(段落【0011】ないし【0014】)

2b 引用文献2には、図1及び4として、次の図面が記載されている。
【図1】

【図4】

(2)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。

引用発明における「成形室42」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願補正発明における「所要の造形領域」に相当し、以下、同様に、「処理室21」は「チャンバ」に、「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」は「駆動機構」に、「製造プラットフォーム49」は「造形テーブル」に、「加熱板136と冷却板132から構成され」は「温度調節可能に構成され」に、「温度が実質的に一定の温度に設定される」は「温度が略一定に維持される」に、「ベースプレート44」は「恒温部」に、「微粉成形材料の層を積み上げて三次元成形物を製造するための装置11」は「積層造形装置」に、それぞれ相当する。

したがって、両者は、
「所要の造形領域を覆い且つ所定濃度の不活性ガスで充満されるチャンバと、
前記造形領域に設けられ且つ駆動機構によって上下方向に移動可能に構成された造形テーブルを備え、
前記造形テーブルは、温度調節可能に構成され、
前記造形テーブルと前記駆動機構の間であって、前記駆動機構の上部に、温度が略一定に維持される恒温部が設けられる、積層造形装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
本願補正発明においては、「前記駆動機構は、ガイドベースと、前記ガイドベースに対して上下方向に駆動可能であり且つ前記造形テーブルの下方に配置されるスライドベースと、前記ガイドベースに支持されるネジ軸と前記スライドベースに固定され前記ネジ軸に螺合するナット部材とでなり前記ガイドベースに取り付けられるネジ送り機構と、を有し」、「前記造形テーブルと前記駆動機構の間であって、前記駆動機構の前記スライドベースの上部に、温度が略一定に維持される恒温部が設けられ」、「前記スライドベースが熱を蓄える構造であって前記恒温部の熱は前記スライドベースから前記ネジ送り機構に伝わる」ものであるのに対し、引用発明においては、「駆動機構」は「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」であって、本願補正発明のような「ガイドベースと、前記ガイドベースに対して上下方向に駆動可能であり且つ前記造形テーブルの下方に配置されるスライドベースと、前記ガイドベースに支持されるネジ軸と前記スライドベースに固定され前記ネジ軸に螺合するナット部材とでなり前記ガイドベースに取り付けられるネジ送り機構」とを有するものではなく、「恒温部」に相当する「ベースプレート44」は「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」の上部に設けられるものではあるが、本願補正発明のような「前記スライドベース」の上部に設けられるものではなく、「恒温部」に相当する「ベースプレート44」の熱は本願補正発明のような「前記スライドベースから前記ネジ送り機構に伝わる」ものではない点(以下、「相違点1」という。)。

(3)相違点1についての判断
そこで、相違点1について、以下に検討する。

ア 引用技術
まず、引用文献2について、検討する。
記載2a及び2bによると、引用文献2に記載された「昇降装置70」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願補正発明における「駆動機構」に相当し、以下、同様に、「(シート積層式3次元造形装置10の後側の)機枠」は「ガイドベース」に、「造形テーブル71」は「造形テーブル」に、「サドル72」は「スライドベース」に、「昇降送り螺子74」は「ネジ軸」に、それぞれ相当する。
また、記載2aの「サドル72における各Z方向ガイドレール73a,73bの中間部分は、昇降送り螺子74に螺子係合されている。昇降送り螺子74は、機枠に取付固定された昇降モータ75のモータ軸と一体化され、鉛直軸線周りに回転駆動される。そのため、制御装置80によって制御される昇降モータ75により昇降送り螺子74が回転駆動されることで、造形テーブル71はその上面を水平に保ちながら各Z方向ガイドレール73a,73bと摺動されて昇降される。」(段落【0014】)によると、「サドル72」は「Z方向ガイドレール73a,73bの中間部分」において「昇降送り螺子74に螺子係合」し、「昇降送り螺子74が回転駆動されることで」「昇降」するものであるから、「サドル72」には「昇降送り螺子74に螺子係合」する「ナットに相当する部材」(便宜上、こう表現する。本願補正発明における「ナット部材」に相当する。)が固定されていることは明らかである。
さらに、「昇降送り螺子74」は「機枠」に取付固定されているから、「昇降送り螺子74」及び「ナットに相当する部材」(これら2つの組み合わせは、本願補正発明における「ネジ送り機構」に相当する。)は「機枠」または「機枠」と「サドル72」の間に取り付けられているといえる。
さらにまた、本願補正発明における「スライドベース」は、熱を蓄えるための何らかの特殊な構造を必要とするものではないことから、引用文献2に記載された「サドル72」も、熱を蓄える構造であることは明らかであり、「サドル72」から「昇降送り螺子74」及び「ナットに相当する部材」に熱が伝わることも明らかである。

したがって、記載2a及び2bを整理すると、引用文献2には、本願補正発明の用語で表現して、次の技術(以下、「引用技術」という。)が記載されていると認める。

「ガイドベースと、前記ガイドベースに対して上下方向に駆動可能であり且つ造形テーブルの下方に配置されるスライドベースと、前記ガイドベースに支持されるネジ軸と前記スライドベースに固定され前記ネジ軸に螺合するナット部材とでなり前記ガイドベースまたは前記ガイドベースと前記スライドベースとの間に取り付けられるネジ送り機構と、を有する駆動機構であり、スライドベースが熱を蓄える構造であって熱は前記スライドベースから前記ネジ送り機構に伝わる駆動機構。」

イ 判断
引用発明及び引用技術は、いずれも、積層造形装置において成形物が載置されたテーブルを上下方向に移動可能にするものである点で同一の技術分野に属するものであるから、引用発明において、引用技術を適用し、「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」に代えて、「駆動機構」が「ガイドベースと、前記ガイドベースに対して上下方向に駆動可能であり且つ前記造形テーブルの下方に配置されるスライドベースと、前記ガイドベースに支持されるネジ軸と前記スライドベースに固定され前記ネジ軸に螺合するナット部材とでなり前記ガイドベースに取り付けられるネジ送り機構と、を有し」、「スライドベースが熱を蓄える構造であって熱は前記スライドベースから前記ネジ送り機構に伝わる」ものとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、引用発明においては、本願補正発明における「恒温部」に相当する「ベースプレート44」は「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」の上部に設けられているものであるから、引用発明において、引用技術を適用する際には、「ベースプレート44」は「スライドベース」の上部に設けられ、「ベースプレート44」の熱は「前記スライドベースから前記ネジ送り機構に伝わる」ようになるのは当然である。
したがって、引用発明において、引用技術を適用して、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

そして、記載1bの「これは、リフティング・スピンドル46が製造プラットフォーム49の加熱によって加熱されるのを防止し、キャリア43の位置決めに関する効果も伴う。」(段落【0046】)及び「冷却によって、ベースプレート44を例えば20℃から40℃までにある実質的に一定の温度に設定することができる。」(段落【0053】)等によると、引用発明は本願補正発明と同様の効果を奏するものであるから、本願補正発明を全体としてみても、本願補正発明は、引用発明及び引用技術からみて格別顕著な効果を奏するとはいえない。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

2-3 むすび
上記第2[理由]2 2-1のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
また、上記第2[理由]2 2-2のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないので、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものでもある。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたため、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明は、願書に最初に添付した明細書及び図面並びに平成27年7月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)のとおりである。

2 引用文献の記載等
引用文献1の記載、引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2 2-2(1)ア(ア)、(イ)及び(ウ)のとおりである。
また、引用文献2の記載は、上記第2[理由]2 2-2(1)イのとおりである。

3 対比
本願発明と引用発明を対比する。

引用発明における「成形室42」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願発明における「所要の造形領域」に相当し、以下、同様に、「処理室21」は「チャンバ」に、「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」は「駆動機構」に、「製造プラットフォーム49」は「造形テーブル」に、「加熱板136と冷却板132から構成され」は「温度調節可能に構成され」に、「温度が実質的に一定の温度に設定される」は「温度が略一定に維持される」に、「ベースプレート44」は「恒温部」に、「微粉成形材料の層を積み上げて三次元成形物を製造するための装置11」は「積層造形装置」に、それぞれ相当する。
また、上記相当関係を踏まえると、引用発明における「前記リフティング・スピンドル46及び駆動部47の上部」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本願発明における「前記駆動機構の前記スライドベース又は前記ガイドベースの外側又は前記駆動機構の前記スライドベースの内部」と、「前記駆動機構の外側」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「所要の造形領域を覆い且つ所定濃度の不活性ガスで充満されるチャンバと、
前記造形領域に設けられ且つ駆動機構によって上下方向に移動可能に構成された造形テーブルを備え、
前記造形テーブルは、温度調節可能に構成され、
前記造形テーブルと前記駆動機構の間であって、前記駆動機構の外側に、温度が略一定に維持される恒温部が設けられる、積層造形装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点2>
本願発明においては、「前記駆動機構は、ガイドベースと、前記ガイドベースに対して上下方向に駆動可能であり且つ前記造形テーブルの下方に配置されるスライドベースと、前記ガイドベースに支持されるネジ軸と前記スライドベースに固定され前記ネジ軸に螺合するナット部材とでなり前記ガイドベースに取り付けられるネジ送り機構と、を有し」、「前記駆動機構の前記スライドベース又は前記ガイドベースの外側又は前記駆動機構の前記スライドベースの内部に、温度が略一定に維持される恒温部が設けられる」ものであるのに対し、引用発明においては、「駆動機構」は「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」であって、本願発明のような「ガイドベースと、前記ガイドベースに対して上下方向に駆動可能であり且つ前記造形テーブルの下方に配置されるスライドベースと、前記ガイドベースに支持されるネジ軸と前記スライドベースに固定され前記ネジ軸に螺合するナット部材とでなり前記ガイドベースに取り付けられるネジ送り機構」とを有するものではなく、「恒温部」に相当する「ベースプレート44」は「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」の上部に設けられるものであり、本願発明のような「前記駆動機構の前記スライドベース又は前記ガイドベースの外側又は前記駆動機構の前記スライドベースの内部」に設けられるものではない点(以下、「相違点2」という。)。

4 判断
引用発明及び引用技術(引用技術は、上記第2[理由]2 2-2(3)アのとおりである。)は、いずれも、積層造形装置において成形物が載置されたテーブルを上下方向に移動可能にするものである点で同一の技術分野に属するものであるから、引用発明において、引用技術を適用し、「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」に代えて、「駆動機構」が「ガイドベースと、前記ガイドベースに対して上下方向に駆動可能であり且つ前記造形テーブルの下方に配置されるスライドベースと、前記ガイドベースに支持されるネジ軸と前記スライドベースに固定され前記ネジ軸に螺合するナット部材とでなり前記ガイドベースと前記スライドベースとの間に取り付けられるネジ送り機構と、を有」するものとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、引用発明においては、本願発明における「恒温部」に相当する「ベースプレート44」は「リフティング・スピンドル46及び駆動部47」の上部に設けられているものであるから、引用発明において、引用技術を適用する際には、「ベースプレート44」は「スライドベース」の上部、すなわち「スライドベース」の「外側」に設けられるようにするのは当然である。
したがって、引用発明において、引用技術を適用して、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

そして、記載1bの「これは、リフティング・スピンドル46が製造プラットフォーム49の加熱によって加熱されるのを防止し、キャリア43の位置決めに関する効果も伴う。」(段落【0046】)及び「冷却によって、ベースプレート44を例えば20℃から40℃までにある実質的に一定の温度に設定することができる。」(段落【0053】)等によると、引用発明は本願発明と同様の効果を奏するものであるから、本願発明を全体としてみても、本願発明は、引用発明及び引用技術からみて格別顕著な効果を奏するとはいえない。

5 むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び引用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 結語
上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-15 
結審通知日 2016-06-21 
審決日 2016-07-04 
出願番号 特願2014-214394(P2014-214394)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B29C)
P 1 8・ 55- Z (B29C)
P 1 8・ 575- Z (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 徹▲高▼橋 理絵阿川 寛樹今井 拓也  
特許庁審判長 小野寺 務
特許庁審判官 大島 祥吾
加藤 友也
発明の名称 積層造形装置  
代理人 奥野 彰彦  
代理人 SK特許業務法人  
代理人 伊藤 寛之  
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