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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47C
管理番号 1318543
審判番号 不服2015-13237  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-10 
確定日 2016-08-24 
事件の表示 特願2012-527413「シート」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月10日国際公開、WO2011/027245、平成25年 2月 4日国内公表、特表2013-503678〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、2010年8月6日(パリ条約による優先権主張 2009年9月3日、イタリア国)を国際出願日とする出願であって、平成26年8月12日付けで拒絶の理由が通知され、平成27年2月10日付けで拒絶の査定がなされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年3月10日)、これに対して、同年7月10日に拒絶査定不服審判の請求と同時に特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。

第2.平成27年7月10日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は、国際出願翻訳文提出書に添付された特許請求の範囲を補正するもので、特許請求の範囲の請求項1については、補正前に
「【請求項1】
座部(12)と、前記座部(12)を支持することが可能で、脚部の如き少なくとも一つ支持体(16)を備えたフレーム(8)を有し、前記座部(12)と前記フレーム(8)とが互いに個別に作られていて、相互に取外し自在に接続されるようになっているシート(4)において、
前記フレーム(8)が、少なくとも一つの側方プレート(24)を有し、
前記座部(12)が、組立状態において、前記側方プレート(24)に少なくとも部分的に形状カップリングで引っ掛けられる少なくとも一つのタブ(28)を有し、
シート(4)の組立状態において前記座部(12)を前記フレーム(8)に固定させるように前記プレート(24)と前記タブ(28)との関係で可撓性を有するスナップカップリング要素(32)が、前記少なくとも一つのタブ(28)と前記少なくとも一つの側方プレート(24)との間に位置決めされることを特徴とするシート(4)。」
とあるのを、次のとおりに補正するものである。
「【請求項1】
座部(12)と、前記座部(12)を支持することが可能で、脚部の如き少なくとも一つ支持体(16)を備えたフレーム(8)を有し、前記座部(12)と前記フレーム(8)とが互いに個別に作られていて、相互に取外し自在に接続されるようになっているシート(4)において、
前記フレーム(8)が、少なくとも一つの側方プレート(24)を有し、
前記座部(12)が、組立状態において、前記側方プレート(24)に少なくとも部分的に形状カップリングで引っ掛けられる少なくとも一つのタブ(28)を有し、
シート(4)の組立状態において前記座部(12)を前記フレーム(8)に固定させるように前記プレート(24)と前記タブ(28)との関係で可撓性を有するスナップカップリング要素(32)が、前記少なくとも一つのタブ(28)と前記少なくとも一つの側方プレート(24)との間に位置決めされ、
前記少なくとも一つのプレート(24)が、該プレート(24)と前記タブ(28)との関係で可撓性を有する前記スナップカップリング要素(32)を有し、前記タブ(28)が、シート(4)の組立状態において前記座部(12)を前記フレーム(8)に固定させるように前記プレート(24)の前記スナップカップリング要素(32)を受け入れることの可能な連結座部(36)を有しており、
前記座部(12)の前記タブ(28)が、前記座部(12)の下壁(48)と相俟って窪み部(44)を区画形成し、この窪み部(44)が、前記シート(4)の組立状態において、前記側方プレート(24)を少なくとも部分的に収容しており、
前記スナップカップリング要素(32)が、前記フレーム(8)に対する取付けベース(56)と、前記座部(12)の前記タブ(28)の前記連結座部(36)内にスナップ係合することの可能な自由端部(64)を備えた片持ち可撓性アーム(60)を有しているスプリング(52)であること、を特徴とするシート(4)。」
(なお、下線は、補正の内容を明らかにするために、審決で付した。)

上記の補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である、「プレート(24)」、「タブ(28)」、及び「スナップカップリング要素(32)」に関して、上記下線部の限定事項を加えるものであって、特許法第17条の2第5項第2号に規定される「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、前記に記載された事項により特定されるところ、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例
(1)引用例1
原査定に係る拒絶の理由で引用された、本願の上記優先権主張の日前である平成15年2月19日に頒布された刊行物である欧州特許出願公開第1284113号明細書(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(原文の後の括弧{}内に記載したものは、当審での訳文である。また、下線は審決で付した。以下同じ。)
ア.「[0018] With ref er ence to the fig ures, the reference numeral 1 designates a chair that comprises a frame, designated by the reference numeral 2, that is advantageously made of a metallic material that is advantageously tubular and has, in this embodiment, four legs 3 that protrude downward.
[0019] The legs are advantageously mutually associated or rigidly coupled by two transverse elements 4a and by two longitudinal elements, designated by the reference numeral 4b, which constitute a quadrilateral that is arranged on an approximately horizontal plane.
[0020] The frame 2 acts as a support for a seat, designated by the reference numeral 5, with which a backrest 6 and/or two armrests, not shown in thefigure, are optionally associated.」
{「[0018] 図を参照すれば、参照番号1で指定した椅子は、参照番号2で指定のフレームを備えており、このフレームは有利には金属材料で作られ、有利には筒状で、この実施形態では、下向きの脚3を4本有している。
[0019] 前記の脚は、有利には2本の縦方向の要素4a及び参照番号4bで指定の2本の長手方向の要素と相互に取り付けられるか、もしくはしっかりと接続されており、2本の縦方向の要素4aと2本の長手方向の要素4bは、ほぼ水平面上に配置された四辺形を構成している。
[0020] 前記のフレーム2は、参照番号5で指定した座席を支持する機能があり、背もたれ6及び/又は図示していない2個の肘掛けは、必要に応じて座席に取り付けられる。」}
イ.「[0021] Two approximately rectangular wings 7 protrude externally from the pair of longitudinal elements 4b of the frame 2 and constitute means for sliding coupling to complementarily shaped means formed below said seat 5.
[0022] The complementarily shaped means are advantageously constituted by a pair of receptacles 8 formed by the interspaces between the lower surface of the seat 5 and two tabs 9 that protrude from it so as to lie approximately parallel to the seat 5.
[0023] The tabs 9 are associated, or obtained monolithically, with the seat at at least one edge, designated by the reference numeral 10a.
[0024] In the example shown in the figures, the tabs 9 have a first edge 10a and asecond edge 10b, which are contiguous and provide a connection to the seat 5, so that the second edge 10b constitutes stroke limiting means for the sliding of the pair of wings 7 in the respective seats 8.」
{「[0021] ほぼ矩形の2個のウィング7が、フレーム2の一対の長手方向の要素4bから外側に出ていて、座席5の下に形成された相補的形状の手段へスライド結合する手段を構成している。
[0022] 前記の相補的形状の手段は、有利には、座席5の下面と、その下面から座席5とほぼ平行になるように突き出ている2個のタブ9との間の空間に形成された、一対の受け部分8によって構成される。
[0023] 前記のタブ9は、参照番号10aで指定された一つ以上のエッジで、座席に取り付けられるか、もしくは座席と一体に設けられている。
[0024] 図示された例では、前記のタブ9は、第1のエッジ10aと第2のエッジ10bとを備えており、これらは隣接して座席5に接続し、第2のエッジ10bは、それぞれのシート8内にある一対のウィング7のスライドに対するストローク制限手段を構成している。」}
ウ.「[0025] The pair of wings 7 advantageously has first holes, designated by the reference numeral 11, which are preferably threaded for the optional interconnection of screws, not shown, that pass through slots 12a or second holes 12b formed in the tabs 9.
[0026] Advantageously, there are also means suitable to facilitate unidirectional sliding, such as for example lugs 13 that protrude obliquely from the lower surfaces of the two wings 7 and can be optionally associated within said second holes 12b.」
{「[0025] 一対のウィング7は、有利には参照番号11で指定された第1の孔を備えていて、この第1の孔には、タブ9に形成された溝12aもしくは第2の孔12bを通る、図示されていないネジによる選択的な接続のために、螺子溝が切られているのが望ましい。
[0026] 有利には、単一方向のスライドを容易にするための適切な手段が存在しており、この手段は、例えば2個のウィング7の下面から斜めに突き出ている耳状突起13であって、前記の第2の孔12b内に選択的に係合可能とされているものである。」}
エ.「[0027] With reference to Figure 3, it is noted that it is possible to fit the seat on the frame easily and very rapidly: this assembly does not require special knowledge or skills and therefore can optionally be performed even by the user.
[0028] This allows to ship the chairs in a disassembled condition, so that theyoccupy a very small space by being constituted by a frame and a seat (with or without a backrest) that can be stacked separately on other frames and seats.
[0029] The sliding and interlocking connection further allows to save on the cost of the mechanical means that are normally used, particularly avoiding the use of screws and rivets.」
{「[0027] 第3図を参照すると、座席をフレーム上に簡単かつ迅速に取り付けることが可能であり、これを組み立てるには、特別の知識や技能を必要とせず、従ってユーザー自身でも必要に応じて実行できることに注意する必要がある。
[0028] このことによって、フレームと座席のための非常に小さい場所でそれらを別々に積み重ねて(背もたれの有無に関わらず)、椅子を分解した状態で出荷することができるようになる。
[0029] スライド及び固定による接続で、通常用いられる機械的手段、特にネジやリベットを避けられ、これらの費用を更に節約することができる。」}

上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「座席5と、座席を支持する機能があるフレーム2とを備える椅子1であって、
フレーム2は下向きの脚3を4本有し、これらの脚3は、2本(一対)の縦方向の要素4a及び2本(一対)の長手方向の要素4bと相互に取り付けられるか、もしくはしっかりと接続されており、
前記一対の長手方向の要素4bから外側にほぼ矩形の2個のウィング7が出ていて、座席5の下に形成された相補的形状の手段へスライド結合する手段を構成しており、この相補的形状の手段は、座席5の下面と、その下面から座席5とほぼ平行になるように突き出ている2個のタブ9との間の空間に形成された、一対の受け部分8によって構成され、
前記のタブ9には、溝12aと第2の孔12bとが形成されており、一方、2個のウィング7の下面から斜めに耳状突起13が突き出ており、この耳状突起13は前記の第2の孔12b内に選択的に係合可能とされた、単一方向のスライドを容易にするための適切な手段であり、
座席をフレーム上に簡単かつ迅速に取り付けることが可能であると共に、フレームと座席とに分解した状態とすることができる椅子1。」

(2)引用例2
同じく原査定に係る拒絶の理由で引用された、本願の優先日前である平成16年3月2日に頒布された刊行物である米国特許第6698840号明細書(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「Referring to FIGS. 2 to 6 , the preferred embodiment of a chair according to the present invention is shown to include a seat 21 , a backrest 3 , and a coupling unit 4 .
As illustrated, the seat 21 has a rear portion 21" with two opposite sides, a front portion 212 and a footrest 22 disposed frontwardly of the front portion 212 .
The backrest 3 is disposed rearwardly of the seat 21, and has a lower portion 31 with two opposite sides 31" respectively disposed proximate to the opposite sides of the rear portion 21" of the seat 21 .」(第2欄第35?44行)
{「図2から図6を参照すれば、本発明に従った椅子の好ましい実施形態が、座席21と背もたれ3と結合ユニット4を含んで示されている。
図示のように、座席21は二つの対向側面を有する後方部21"と、前方部212と、前記の前方部212の前方に配置された足置きを備えている。
前記の背もたれ3は、前記の座席21の後方に配置されていて、前記の座席21の後方部21"の対向側面に近接してそれぞれ配置された、二つの対向側面31″を有する下方部31を有している。」}
イ 「The coupling unit 4 includes a pair of spaced apart engaging tongues 214 , a pair of brackets 5 , and a pair of fastener clips 6 . The engaging tongues 214 are fixed on and extend outwardly from the opposite sides of the rear portion 21" of the seat 21 , respectively. Each of the engaging tongues 214 has a distal end that is formed with an engaging hole 215 confined by a hole-defining wall 215W. The brackets 5 are respectively fixed on the opposite sides of the lower portion 31 of the backrest 3 . Each of the brackets 5 defines a tongue-retention channel 53 that extends in a longitudinal direction and that has a mounting end 53M and an inlet end 53I opposite to the mounting end 53M. Each of the engaging tongues 214 is snugly insertable into a respective one of the tongue-retention channels 53 of the backrests 5 via the inlet end 53 I. The fastener clips 6 are mounted respectively on the brackets 5 . Each of the fastener clips 6 includes a resilient arm 63 that extends from the mounting end 53M toward the inlet end 53I and that has an inverted U-shaped mounting portion 61 mounted on the mounting end 53M, and a V-shaped engaging end 64 distal from the mounting end 53M and projecting in a transverse direction relative to the longitudinal direction into the tongue-retention channel 53 . The V-shaped engaging end 64 defines an abutment side face 641 and a sliding side face 642 that is opposite to and that extends from the abutment side face 641 and that is inclined relative to the longitudinal direction. The V-shaped engaging end 64 is resiliently movable relative to the respective tongue-retention channel 53 such that the V-shaped engaging end 64 resiliently moves in the transverse direction away from the respective tongue-retention channel 53 when a respective one of the engaging tongues 214 slides over the sliding side face 642 upon insertion of the respective engaging tongues 214 into the respective tongue-retention channel 53 , and such that the V-shaped engaging end 64 resiliently moves toward the respective tongue-retention channel 53 and into the engaging hole 215 when the respective one of the engaging tongues 214 passes over the sliding side face 642 to the abutment side face 641 (see FIG.6). The abutment side face 641 engages the hole-defining wall 215W of the engaging hole 215 when the respective one of the engaging tongues 214 is pulled away from the tongue-retention channel 53 (see FIG. 5). Thus, undesired removal of the engaging tongues 214 from the tongue-retention channels 53 of the backrests 5 is prevented. The backrest 3 can be detached from the seat 21 by simply pulling the V-shaped engaging ends 64 of the resilient arms 63 of the fastener clips 6 from the engaging holes 215 in the engaging tongues 214 so as to permit removal of the engaging tongues 214 from the tongue-retention channels 53 of the backrests 5 . 」(第2欄第45行?第3欄第27行)
{「前記の結合ユニット4は、間隔をおいて配置された一対の係合舌片214と、一対のブラケット5と、一対のファスナークリップ6を含んでいる。前記の係合舌片214は、それぞれ、座席21の後方部21"の対向側面に固定され、そこから外側に延びている。各係合舌片214は、孔画定壁215Wで囲まれた係合孔215を備えた遠位端を有している。前記のブラケット5は、それぞれ背もたれ3の下方部分31の対向側面上に固定される。各ブラケット5は、取付け端53M及び、取付け端53Mと対向する入口端53Iを備え、長手方向に延びる舌片保持用チャネル53を画定する。各係合舌片214は、入口端53Iを介して背もたれ5の舌片保持用チャネル53のうち一つの中に確実に差し込み可能である。前記のファスナークリップ6は、それぞれ前記のブラケット5に取付けられる。それぞれのファスナークリップ6は、取付け端53Mから入口端53Iに向けて延び、取付け端53M上に逆U字形状の取付け部61と、取付け端53M上から遠位にあり、舌片保持用チャネル53の長手方向に対して垂直な方向に突き出しているV字形係合端64を備えた可撓性アーム63を備えている。前記のV字形係合端64は、当接側面641及びそれに対向し、そこから延びるスライド側面642を画定し、前記のスライド側面はその長手方向で傾斜している。V字形係合端64は、各係合舌片214をそれぞれの舌片保持用チャネル53に挿入するに際して、係合舌片214のうち一つがスライド側面642上をスライドする時に、舌片保持用チャネル53から垂直方向に離れる向きに、可撓的に移動出来る。また、V字形係合端64は、係合舌片214のうち一つがスライド側面642上を当接側面641に通過する時に、係合舌片のうち一つの舌片保持用チャネル53に向かって、また、係合孔215内に可撓的に移動する(図6を参照)。係合舌片214のうち一つが舌片保持用チャネル53から引き離される時に、当接側面641は係合孔215の開いた壁215Wと係合する(図5を参照)。このようにして、係合舌片214が、背もたれ5の舌片保持用チャネル53から不必要に移動することが防止される。前記背もたれ3は、ファスナークリップ6の可撓性アーム63のV字形係合端64を、係合舌片214の係合孔215から単純に引っ張るだけで座席21から取り外すことができて、背もたれ5の舌片保持用チャネル53から係合舌片214を移動することができる。」}
ウ「In this embodiment, each of the brackets 5 includes a mounting wall 51 that is fixed on one of the two opposing sides 31" of the backrest 3 , that extends in the longitudinal direction, and that has two side edges, and two spaced-apart generally L-shaped flanges 52 which are fixed on and extend from the side edges of the mounting wall 51 , respectively, to confine the respective tongue-retention channel 53 .」(第3欄第28?34行)
{「この実施形態では、各ブラケット5には、背もたれ3の二つの対向面31″の一つに固定され、長手方向に延びて二つの側縁を有する取付け壁51と、取付け壁51の側縁に固定され、そこから延びて間隔を取って配置された二つのL字形フランジ52がそれぞれ含まれて、各舌片保持用チャネル53を区画している。」}

上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「一対の係合舌片214と、一対のブラケット5と、一対のファスナークリップ6を含んでおり、ブラケット5にはファスナークリップ6を取付け、係合舌片214にはファスナークリップ6と係合する係合孔215を設けた結合ユニット4であって、
ファスナークリップ6はブラケット5に取付ける取付け部61と、V字形係合端64を備えた可撓性アーム63を備え、
前記のV字形係合端64は、当接側面641及びそれに対向し、そこから延びるスライド側面642を画定し、前記のスライド側面はその長手方向で傾斜しており、
係合舌片214をブラケット5に挿入するに際して、V字形係合端64は、係合孔215内に可撓的に移動して係合することができ、このようにして、係合舌片214が、ブラケット5から不必要に移動することが防止される結合ユニット4。」

3.対比
本願補正発明と引用発明1とを対比すると、
後者における「座席5」は、その構造や機能、作用等からみて、前者における「座部(12)」に相当し、以下同様に、「脚3」は「(脚部の如き)支持体(16)」に、「フレーム2」は「フレーム(8)」に、「椅子1」は「シート(4)」に、「ウィング7」は「側方プレート(24)」に、「タブ9」は「タブ(28)」に、それぞれ相当し、後者において「座席をフレーム上に簡単かつ迅速に取り付けることが可能であると共に、フレームと座席とに分解した状態とすることができる」としているところから、後者も前者と同様に、「座部(12)とフレーム(8)とが互いに個別に作られていて、相互に取外し自在に接続されるようになっている」ものといえる。
また、後者の「(座席5の下面と、その下面から座席5とほぼ平行になるように突き出ているタブ9との間の空間に形成された)受け部分8」は、前者の「(座部(12)のタブ(28)が、前記座部(12)の下壁(48)と相俟って区画形成した)窪み部(44)」に相当しており、後者のウィング7とタブ9とは「スライド結合」する関係にある以上、後者も前者と同様に、「座部(12)が、組立状態において、側方プレート(24)に少なくとも部分的に形状カップリングで引っ掛けられる少なくとも一つのタブ(28)を有し」ているといえる。
さらに、後者において、「タブ9には、溝12aと第2の孔12bとが形成されており、一方、2個のウィング7の下面から斜めに耳状突起13が突き出ており、この耳状突起13は前記の第2の孔12b内に選択的に係合可能とされた、単一方向のスライドを容易にするための適切な手段であり、」としていることから、後者の「(耳状突起13と選択的に係合可能とされた)第2の孔12b」は、前者の「(カップリング要素(32)を受け入れることの可能な)連結座部(36)」に相当し、また、後者の「耳状突起13」と前者の「スナップカップリング要素(32)」とは、シートの組立状態において座部をフレームに固定させるように、少なくとも一つのタブと少なくとも一つの側方プレートとの間に位置決めされたものであるから、「カップリング要素」との概念で共通するものである。

したがって、両者は、
「座部と、前記座部を支持することが可能で、脚部の如き少なくとも一つ支持体を備えたフレームを有し、前記座部と前記フレームとが互いに個別に作られていて、相互に取外し自在に接続されるようになっているシートにおいて、
前記フレームが、少なくとも一つの側方プレートを有し、
前記座部が、組立状態において、前記側方プレートに少なくとも部分的に形状カップリングで引っ掛けられる少なくとも一つのタブを有し、
シートの組立状態において前記座部を前記フレームに固定させるカップリング要素が、前記少なくとも一つのタブと前記少なくとも一つの側方プレートとの間に位置決めされ、
前記少なくとも一つの側方プレートが、カップリング要素を有し、前記タブが、シートの組立状態において前記座部を前記フレームに固定させるように前記プレートの前記カップリング要素を受け入れることの可能な連結座部を有しており、
前記座部の前記タブが、前記座部の下壁と相俟って窪み部を区画形成し、この窪み部が、前記シートの組立状態において、前記側方プレートを少なくとも部分的に収容しており、
前記カップリング要素が、前記座部の前記タブの前記連結座部内に係合する、シート。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
カップリング要素に関して、本願補正発明では、「プレート(24)とタブ(28)との関係で可撓性を有するスナップ」カップリング要素であって、「前記スナップカップリング要素(32)が、フレーム(8)に対する取付けベース(56)と、」座部(12)の前記タブ(28)の連結座部(36)内に「スナップ係合することの可能な自由端部(64)を備えた片持ち可撓性アーム(60)を有しているスプリング(52)である」のに対して、引用発明1では、単一方向のスライドを容易にするための適切な手段であって、ウィング7の下面から斜めに突き出ている耳状突起13である点。

4.判断
上記相違点について検討すると、
引用発明2の「ファスナークリップ6」、「取付け部61」、「係合孔215」、「可撓性アーム63」は、それぞれ、本願補正発明の「スナップカップリング要素(32)」、「取付けベース(56)」、「連結座部(36)」、「片持ち可撓性アーム(60)」に相当している。
また、引用発明2の「可撓性アーム63」は、V字形係合端64を備えたものであるから、スナップ係合することの可能な自由端部を備えたものといえ、また、引用発明2の「ファスナークリップ6」は、V字形係合端64が、係合孔215内に可撓的に移動して係合するから、本願補正発明の「スプリング(52)」に相当する。
してみると、引用発明2には、上記相違点に係る本願補正発明の「スナップカップリング要素(32)が、取付けベース(56)と、連結座部(36)内にスナップ係合することの可能な自由端部(64)を備えた片持ち可撓性アーム(60)を有しているスプリング(52)である」との事項が示されているといえる。
そして、引用発明1に係る「耳状突起13」と、引用発明2に係る「ファスナークリップ6」とは、シートにおける2つの部材を係合させるためのカップリング要素である点で、構造や機能が共通しているから、引用発明1に引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
してみれば、引用発明1において、引用発明2を適用して、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得る程度の事項といえる。
なお、引用発明1に引用発明2を適用すれば、必然的に、本願補正発明のように取付けベースは「フレームに対する」ものとなり、及びスナップカップリング要素は「プレートとタブとの関係で可撓性を有する」ものとなる。

そして、本願補正発明の全体構成によって奏される効果も、引用発明1、及び引用発明2から当業者が予測し得る範囲内のものである。

よって、本願補正発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願の発明について
1.本願の発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、国際出願翻訳文提出書に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
座部(12)と、前記座部(12)を支持することが可能で、脚部の如き少なくとも一つ支持体(16)を備えたフレーム(8)を有し、前記座部(12)と前記フレーム(8)とが互いに個別に作られていて、相互に取外し自在に接続されるようになっているシート(4)において、
前記フレーム(8)が、少なくとも一つの側方プレート(24)を有し、
前記座部(12)が、組立状態において、前記側方プレート(24)に少なくとも部分的に形状カップリングで引っ掛けられる少なくとも一つのタブ(28)を有し、
シート(4)の組立状態において前記座部(12)を前記フレーム(8)に固定させるように前記プレート(24)と前記タブ(28)との関係で可撓性を有するスナップカップリング要素(32)が、前記少なくとも一つのタブ(28)と前記少なくとも一つの側方プレート(24)との間に位置決めされることを特徴とするシート(4)。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載内容、並びに引用発明は、上記「第2.2.引用例」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2.1.本件補正の概要」で検討したところから明らかなように、実質的には、上記本願補正発明の
「前記少なくとも一つのプレート(24)が、該プレート(24)と前記タブ(28)との関係で可撓性を有する前記スナップカップリング要素(32)を有し、前記タブ(28)が、シート(4)の組立状態において前記座部(12)を前記フレーム(8)に固定させるように前記プレート(24)の前記スナップカップリング要素(32)を受け入れることの可能な連結座部(36)を有しており、
前記座部(12)の前記タブ(28)が、前記座部(12)の下壁(48)と相俟って窪み部(44)を区画形成し、この窪み部(44)が、前記シート(4)の組立状態において、前記側方プレート(24)を少なくとも部分的に収容しており、
前記スナップカップリング要素(32)が、前記フレーム(8)に対する取付けベース(56)と、前記座部(12)の前記タブ(28)の前記連結座部(36)内にスナップ係合することの可能な自由端部(64)を備えた片持ち可撓性アーム(60)を有しているスプリング(52)であること、」
との限定を省いたものにあたる。

そうすると、本願発明を特定する事項の全てを含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が、上記の「第2.3.対比」及び「第2.4.判断」に記載したとおり、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-28 
結審通知日 2016-03-29 
審決日 2016-04-11 
出願番号 特願2012-527413(P2012-527413)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A47C)
P 1 8・ 121- Z (A47C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 望月 寛  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 黒瀬 雅一
藤本 義仁
発明の名称 シート  
代理人 河野 直樹  
代理人 岡田 貴志  
代理人 砂川 克  
代理人 峰 隆司  
代理人 野河 信久  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 堀内 美保子  
代理人 佐藤 立志  
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