ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H05K 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K |
---|---|
管理番号 | 1318549 |
審判番号 | 不服2015-20172 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-11-10 |
確定日 | 2016-09-20 |
事件の表示 | 特願2011-207693「不良検査装置、部品実装システム、不良検査方法、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月18日出願公開、特開2013- 69889、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年9月22日の出願であって、平成27年5月19日付けで拒絶理由が通知され、平成27年7月17日に手続補正がされ、平成27年8月4日付け(発送日:同年8月11日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成27年11月10日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、その後当審において平成28年5月23日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成28年6月30日に手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1?4に係る発明は、平成28年6月30日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された次のとおりのものである。(以下、「本願発明1」?「本願発明4」という。) 「【請求項1】 半田印刷工程により1つの部品に対応する2つの半田付け箇所である各パッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、 部品装着工程により前記半田が塗布された前記各パッドに対して前記部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、 判定対象部品が接合されるべき2つのパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべき2つのパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて、前記2つのパッドのうちの一方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量と、他方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量との差分を前記判定対象部品が接合されるべき各パッド位置ごとに対応して算出し、当該算出された各パッドについての前記変動量の差分の絶対値と予め設定された閾値との比較に基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部とを備え、 前記不良判定部は、 前記半田面積に基づく不良判定結果が不良有りではない場合、さらに、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対する前記部品装着工程後の半田のはみ出し量に基づいて不良の有無を判定する ことを特徴とする不良検査装置。 【請求項2】 プリント基板のパッドに半田を塗布する半田印刷工程を行う半田印刷装置と、 前記半田印刷装置により1つの部品に対応する2つの半田付け箇所である各パッドに半田が塗布されたプリント基板を撮像して印刷基板画像データを生成する印刷基板撮像装置と、 前記半田印刷装置により半田が塗布された前記プリント基板の前記各パッドに対して部品を装着する部品装着工程を行う部品装着装置と、 前記部品装着装置により前記部品が装着されたプリント基板を撮像して部品装着基板画像データを生成する部品装着基板撮像装置と、 前記部品装着装置により前記部品が装着されたプリント基板を加熱して前記半田を溶融させることにより、装着された前記部品を前記パッドに半田付けするリフロー工程を行うリフロー炉と、 不良検査装置とを備え、 前記不良検査装置は、 前記印刷基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、 前記部品装着基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、 判定対象部品が接合されるべき2つのパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべき2つのパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて、前記2つのパッドのうちの一方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量と、他方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量との差分を前記判定対象部品が接合されるべき各パッド位置ごとに対応して算出し、当該算出された各パッドについての前記変動量の差分の絶対値と予め設定された閾値との比較に基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部とを備え、 前記不良判定部は、 前記半田面積に基づく不良判定結果が不良有りではない場合、さらに、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対する前記部品装着工程後の半田のはみ出し量に基づいて不良の有無を判定する ことを特徴とする部品実装システム。 【請求項3】 半田印刷工程により1つの部品に対応する2つの半田付け箇所である各パッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成ステップと、 部品装着工程により前記半田が塗布された前記各パッドに対して前記部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成ステップと、 判定対象部品が接合されるべき2つのパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべき2つのパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて、前記2つのパッドのうちの一方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量と、他方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量との差分を前記判定対象部品が接合されるべき各パッド位置ごとに対応して算出し、当該算出された各パッドについての前記変動量の差分の絶対値と予め設定された閾値との比較に基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定ステップとを備え、 前記不良判定ステップにおいて、さらに、 前記半田面積に基づく不良判定結果が不良有りではない場合、さらに、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対する前記部品装着工程後の半田のはみ出し量に基づいて不良の有無を判定する ことを特徴とする不良検査方法。 【請求項4】 コンピュータを、 半田印刷工程により1つの部品に対応する2つの半田付け箇所である各パッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田面積を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成手段、 部品装着工程により前記半田が塗布された前記各パッドに対して前記部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成手段、 判定対象部品が接合されるべき2つのパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべき2つのパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて、前記2つのパッドのうちの一方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量と、他方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量との差分を前記判定対象部品が接合されるべき各パッド位置ごとに対応して算出し、当該算出された各パッドについての前記変動量の差分の絶対値と予め設定された閾値との比較に基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定手段 として機能させ、 前記不良判定手段は、さらに 前記半田面積に基づく不良判定結果が不良有りではない場合、さらに、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対する前記部品装着工程後の半田のはみ出し量に基づいて不良の有無を判定する プログラム。」 なお、本願発明2の「前記部品装着基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田面積を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と」との記載における「印刷基板半田情報生成部」は誤記であって、正しくは「部品装着基板半田情報生成部」であると認める。 第3 原査定の理由について 1 原査定の理由の概要 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 刊行物1.特開2007-78533号公報 刊行物2.特開2008-267828号公報 刊行物3.特開2006-324424号公報 部品搭載の前後で差分をとる対象が、本願発明では半田面積であるのに対して、刊行物1に記載された発明では半田の高さである点で相違する。 刊行物2の【0035】に記載されている様に、はんだの状態を判定するパラメータとして、はんだ箇所の高さ及び面積はいずれも当業者に周知の技術事項にすぎない。刊行物1に記載された発明において、周知技術に基づき高さに代えて面積で適否の判定を行うことは、当業者が適宜なし得る事項にすぎない。 刊行物3には、部品実装工程の撮像画像から、半田にじみすなわち部品実装時に半田がつぶれてランドの外にはみ出す現象の有無を判定する(【0107】?【0110】)ことを含んでなる、浮き不良の原因分析処理が記載されている。刊行物3に記載されたランドの外にはみ出しているかの判定を新たに付加することに、格段の困難を要するものではないし、顕著な作用効果を奏するものでもない。 2 原査定の理由の判断 (1) 刊行物の記載事項 刊行物1:特開2007-78533号公報(特に、【請求項1】?【請求項3】、段落【0030】?【0076】、【図1】、【図2】、及び【図5】?【図8】を参照。)には、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、基板検査方法に関して、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「はんだ印刷工程によりチップ部品85が接合されるランド81にクリームはんだを印刷した基板8を撮像した撮像部11からの画像信号から、 基板8における各ランド81のはんだ印刷後のはんだの高さ(z座標)を含むはんだ印刷後の3次元座標を生成するはんだ印刷後検査装置1Aと、 部品実装工程により前記クリームはんだが印刷された各ランド81に対して、チップ部品85を実装した基板8を撮像した撮像部11からの画像信号から、 基板8における各ランド81の部品実装後のはんだの高さ(z座標)を含む部品実装後の3次元座標を生成する部品実装後検査装置1Bと、 チップ部品85が接合されるランド81の位置に対応して、はんだ印刷後のはんだの高さ(z座標)と、部品実装後のはんだの高さ(z座標)とに基づいて、ランド81の部品実装工程前後の高さ(z座標)の変化量を求め、 部品実装工程前後の高さ(z座標)の変化量に基づき各部品の実装状態の適否を判別する制御処理部14とを備えた、 検査装置。」 (2) 対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「はんだ印刷工程」は、本願発明1の「半田印刷工程」に相当する。 以下同様に、「チップ部品85が接合されるランド81」は、「パッド」に、 「ランド81にクリームはんだを印刷した基板8を撮像した撮像部11からの画像信号」は、「パッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データ」に、 「はんだ印刷後検査装置1A」は、「印刷基板半田情報生成部」に、 「部品実装工程」は、「部品装着工程」に、 「前記クリームはんだが印刷された各ランド81に対して、チップ部品85を実装した基板8を撮像した撮像部11からの画像信号」は、「前記半田が塗布された前記各パッドに対して前記部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データ」に、 「部品実装後検査装置1B」は、「部品装着基板半田情報生成部」に、 「各部品の実装状態の適否を判別する制御処理部14」は、「プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部」に、 「検査装置」は、「不良検査装置」に、それぞれ相当する。 また、引用発明の「はんだの高さ(z座標)」と、本願発明1の「半田面積」とは、「半田に関する値」という限りにおいて一致する。 すると、引用発明の「はんだ印刷後のはんだの高さ(z座標)を含むはんだ印刷後の3次元座標」は、「半田に関する値を少なくとも格納する印刷基板半田情報」と、 また、引用発明の「部品実装後のはんだの高さ(z座標)を含む部品実装後の3次元座標」は、「半田に関する値を少なくとも格納する部品装着基板半田情報」と、それぞれ表すことができる。 以上のことから、本願発明1と引用発明とは次の点で一致する。 「半田印刷工程により各パッドに半田を塗布したプリント基板を撮像して得られた印刷基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田に関する値を少なくとも格納する印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、 部品装着工程により前記半田が塗布された前記各パッドに対して前記部品を装着した前記プリント基板を撮像して得られた部品装着基板画像データから、前記プリント基板における各パッド位置の半田に関する値を少なくとも格納する部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、 前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部とを備える、 不良検査装置。」 一方で、両者は次の点で相違する。 [相違点1] 本願発明1では、半田に関する値として「半田面積」が用いられ、「1つの部品に対応する2つの半田付け箇所である各パッド」で、「判定対象部品が接合されるべき2つのパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべき2つのパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて、前記2つのパッドのうちの一方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量と、他方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量との差分を前記判定対象部品が接合されるべき各パッド位置ごとに対応して算出し、当該算出された各パッドについての前記変動量の差分の絶対値と予め設定された閾値との比較に基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する不良判定部」を備えているのに対して、 引用発明では、半田に関する値として「はんだの高さ」が用いられ、「チップ部品85が接合されるランド81の位置に対応して、はんだ印刷後のはんだの高さ(z座標)と、部品実装後のはんだの高さ(z座標)とに基づいて、ランド81の部品実装工程前後の高さ(z座標)の変化量を求め、部品実装工程前後の高さ(z座標)の変化量に基づき各部品の実装状態の適否を判別する制御処理部14」を備えている点。 [相違点2] 本願発明1では、「不良判定部は、前記半田面積に基づく不良判定結果が不良有りではない場合、さらに、前記判定対象部品が接合されるべきパッドに対する前記部品装着工程後の半田のはみ出し量に基づいて不良の有無を判定する」との構成を備えているのに対して、 引用発明では、かかる構成を備えていない点。 (3) 判断 相違点1について検討する。 刊行物2:特開2008-267828号公報(特に、段落【0035】を参照。)には、はんだの状態を量的に判定するものとして、はんだ箇所の高さ、面積、体積、及び欠損等があることが記載されている。(以下、「刊行物2記載の事項」という。) ところで、引用発明では、「チップ部品85が接合されるランド81の位置に対応して、はんだ印刷後のはんだの高さ(z座標)と、部品実装後のはんだの高さ(z座標)とに基づいて、ランド81の部品実装工程前後の高さ(z座標)の変化量を求め、部品実装工程前後の高さ(z座標)の変化量」、すなわち、部品の1箇所のパッド(ランド)での、はんだ高さの変動量(変化量)に基づいて、当該パッドでの不良の有無を判定しているのに対して、 本願発明1では、「1つの部品に対応する2つの半田付け箇所である各パッド」で、「判定対象部品が接合されるべき2つのパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべき2つのパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて、前記2つのパッドのうちの一方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量と、他方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量との差分」、すなわち、1つの部品に対応する2つのパッドの、一方のパッドでの半田面積の変動量と他方のパッドでの半田面積の変動量との差分に基づいて、不良の有無を判定している。 すると、たとえ引用発明において、刊行物2記載の事項を基に「はんだの高さ」に代えて「半田の面積」を採用したとしても、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項のうちの、「1つの部品に対応する2つの半田付け箇所である各パッド」で、「判定対象部品が接合されるべき2つのパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべき2つのパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて、前記2つのパッドのうちの一方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量と、他方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量との差分を前記判定対象部品が接合されるべき各パッド位置ごとに対応して算出し、当該算出された各パッドについての前記変動量の差分の絶対値と予め設定された閾値との比較に基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する」点に、至ることはない。 また、刊行物3:特開2006-324424号公報(特に、段落【0107】?【0110】を参照。)には、不良要因分析システムに関して、部品実装工程の撮像画像から半田にじみの有無を判定すること(以下、「刊行物3記載の事項」という。)について記載されているものの、上記相違点1に係る本願発明1の構成については、記載も示唆もない。 以上のことから、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明1の構成を想到することは容易であるとはいえない。 (4) 小括 上記相違点1に係る本願発明1の構成を想到することは容易であるとはいえないから、上記相違点2について検討するまでもなく、上記相違点1に係る本願発明1の構成を備える本願発明1は、引用発明及び引用文献2?3記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、本願発明2は「部品実装システム」であり、本願発明3は「不良検査方法」であり、本願発明4は「プログラム」であるが、いずれの発明も、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項のうちの、「1つの部品に対応する2つの半田付け箇所である各パッド」で、「判定対象部品が接合されるべき2つのパッド位置に対応して前記印刷基板半田情報から取得した半田面積と、前記判定対象部品が接合されるべき2つのパッドに対応して前記部品装着基板半田情報から取得した半田面積とに基づいて、前記2つのパッドのうちの一方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量と、他方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量との差分を前記判定対象部品が接合されるべき各パッド位置ごとに対応して算出し、当該算出された各パッドについての前記変動量の差分の絶対値と予め設定された閾値との比較に基づいて前記プリント基板の部品実装について不良の有無を判定する」点と同一の構成を有するものである。 したがって、本願発明2?4は、本願発明1と同様に、引用発明及び刊行物2?3記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第4 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由の概要 (1) 請求項1?4における「変動量の差分の絶対値」との記載は、何処の変動量と、何処の変動量との間の差分であるのかが明確でない。 (2) 請求項1?4における「半田のはみ出し量」との記載は、半田印刷工程後の半田のはみ出し量、または部品装着後の半田のはみ出し量の、いずれであるかが明確でない。 (3) 段落【0097】には、差分値の絶対値としてとして、「α2=|Sb2-Sa2|」とすることが記載されている。しかし、上記「α2」の式は、請求項1?4に記載の「変動量の差分」に対応するものではない。 2 当審拒絶理由の判断 平成28年6月30日の手続補正により、本願の請求項1?4は、「第2」に記載した本願発明1?4のように補正された。 この補正により、請求項1?4の「変動量の差分の絶対値」が、「2つのパッドのうちの一方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量と、他方のパッドの半田面積の部品装着工程前後の変動量との差分を前記判定対象部品が接合されるべき各パッド位置ごとに対応して算出し、当該算出された各パッドについての前記変動量の差分の絶対値」であることが明確になり、更に、本願の請求項1?4の「半田のはみ出し量」が、「部品装着工程後の半田のはみ出し量」であることが明確になった。これにより、請求項1?4に係る発明は明確になった。 また、この補正により、段落【0097】に「参考例」との記載が追加され、これにより、段落【0097】の記載が本願発明1?4に関するものではないことが、明確になった。 よって、当審拒絶理由(1)?(3)は解消した。 第5 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-09-05 |
出願番号 | 特願2011-207693(P2011-207693) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H05K)
P 1 8・ 537- WY (H05K) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 井出 和水 |
特許庁審判長 |
森川 元嗣 |
特許庁審判官 |
中川 隆司 小関 峰夫 |
発明の名称 | 不良検査装置、部品実装システム、不良検査方法、プログラム |
代理人 | 森 隆一郎 |
代理人 | 伊藤 英輔 |
代理人 | 棚井 澄雄 |
代理人 | 松沼 泰史 |