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審決分類 |
審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61K |
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管理番号 | 1318630 |
審判番号 | 不服2013-9888 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-05-29 |
確定日 | 2016-08-24 |
事件の表示 | 特願2008-512547「癌の予防及び治療のための、癌細胞におけるテロメア長の薬理学的調節」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月23日国際公開、WO2006/125166、平成20年12月18日国内公表、特表2008-545658〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2006年5月18日(パリ条約による優先権主張 2005年5月18日(US)米国)を国際出願日とする出願であって、平成24年5月11日付けで拒絶理由が通知され、平成24年11月14日に意見書と手続補正書が提出された後、平成25年1月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成25年5月29日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成26年2月24日付けで前置報告書を用いた審尋がなされ、平成26年8月25日に回答書が提出され、平成26年11月6日付けで拒絶理由が通知され、平成27年5月11日に意見書と手続補正書が提出され、平成27年6月30日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成28年1月7日に意見書と手続補正書が提出されたものである。 第2 平成28年1月7日付け手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成28年1月7日付け手続補正を却下する。 [理由] (1)補正内容 平成28年1月7日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、 補正前(平成27年5月11日付け手続補正書参照)に、 「【請求項1】 不適当に若しくは病理的に増殖する細胞又は不死化細胞の存在により生じる障害を治療するための、又は、前記障害若しくは癌に罹患している哺乳類若しくはヒトの癌を治療するための薬剤の製造における、テロメア伸長の調節、抑制又は阻害のために治療上有効量な1以上の非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩を唯一の活性化合物として含む、治療上有効量の組成物の使用であって、 前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞は、テロメラーゼ陽性であるか、又はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し、 前記組成物の使用は、テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に、前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞において、累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発し、 前記非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩は、アシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル及びファムシクロビルからなる群から選択される、使用。」 とあったのを、 「【請求項1】 癌に罹患している哺乳類若しくはヒトの癌を治療するための薬剤の製造における、癌の細胞のテロメア伸長の調節、抑制又は阻害のために治療上有効量な1以上の非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩を唯一の活性化合物として含む、治療上有効量の組成物の使用であって、 前記組成物の使用は、テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に、前記癌の細胞において、累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発し、 前記非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩は、アシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル及びファムシクロビルからなる群から選択される、使用。」 とし、 「【請求項8】 in vitroでの、腫瘍細胞のテロメア伸長の妨害方法であって、前記腫瘍細胞中のテロメア伸長の調節、抑制又は阻害のために、非環状ヌクレオシドのアナログの有効量を唯一の活性化合物として含む組成物を細胞に投与することを含んでなり、 前記非環状ヌクレオシドのアナログは、アシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル及びファムシクロビルからなる群から選択され、 前記腫瘍細胞は、テロメラーゼ陽性であるか、又はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し、 前記組成物の使用は、テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に、前記腫瘍細胞において、累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発する妨害方法。」 とあったのを、 「【請求項8】 in vitroでの、腫瘍細胞のテロメア伸長の妨害方法であって、前記腫瘍細胞中のテロメア伸長の調節、抑制又は阻害のために、非環状ヌクレオシドのアナログの有効量を唯一の活性化合物として含む組成物を細胞に投与することを含んでなり、 前記非環状ヌクレオシドのアナログは、アシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル及びファムシクロビルからなる群から選択され、 前記組成物の使用は、テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に、前記腫瘍細胞において、累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発する妨害方法。」 とするものである。 本件補正の前後の特許請求の範囲の請求項1の記載を対比すると、本件補正は、 「不適当に若しくは病理的に増殖する細胞又は不死化細胞の存在により生じる障害を治療するための、又は、前記障害若しくは癌に罹患している哺乳類若しくはヒトの癌を治療するための薬剤」を「癌に罹患している哺乳類若しくはヒトの癌を治療するための薬剤」に限定して特許請求の範囲を減縮すること、「テロメア伸長の調節、抑制又は阻害のために」を「癌の細胞のテロメア伸長の調節、抑制又は阻害のために」に限定して特許請求の範囲を減縮すること、「前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞」を「前記癌の細胞」に限定して特許請求の範囲を減縮すること、「前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞は、テロメラーゼ陽性であるか、又はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し」なる発明特定事項を削除すること、を目的とするものと認められる。 本件補正前の請求項1に係る発明と、本件補正後の請求項1に係る発明とを対比すると、本件補正により、対象とする細胞は「増殖する細胞、不死化細胞又は癌の細胞のうち、テロメラーゼ陽性であるか、又はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現」しているものに限られていたのが、「癌の細胞」であれば、いかなる細胞であってもよいものとされたと認められる。 また、本件補正の前後の特許請求の範囲の請求項8の記載を対比すると、本件補正は、「前記腫瘍細胞は、テロメラーゼ陽性であるか、又はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し、」なる発明特定事項を削除することを目的とするものと認められる。 (2)判断 ア 当該補正により、対象とする「癌の細胞」について、「テロメラーゼ陽性であるか、又はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現」している癌細胞から、あらゆる癌の細胞に拡張されていることから、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。 イ また、本件補正前の請求項1の記載に不明りょうな点や誤記の存在は認められず、明りょうな記載の釈明ないし誤記の訂正を目的とするものとも認められない。 なお、請求人は、平成28年1月7日に提出した意見書の(3-3)において、 「本願の請求項1において、「前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞は、テロメラーゼ陽性であるか、又はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し」を削除しました。 この補正事項は、本願の請求項1に規定された「テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に」との技術的事項との間の、明瞭でない記載の釈明を目的とするものです。」 と主張している。 しかしながら、「テロメラーゼ陽性であるか、又はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し」なる構成と、「テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に」なる構成との間に技術的な矛盾は存在せず、請求人が主張するような不明りょうな記載であるとは認められない。 (3)むすび 上記(2)に記載のとおり、本件補正の目的は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げるいずれの事項にも該当しないことから、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 本願の請求項1ないし20に係る発明は、平成27年5月11日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 不適当に若しくは病理的に増殖する細胞又は不死化細胞の存在により生じる障害を治療するための、又は、前記障害若しくは癌に罹患している哺乳類若しくはヒトの癌を治療するための薬剤の製造における、テロメア伸長の調節、抑制又は阻害のために治療上有効量な1以上の非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩を唯一の活性化合物として含む、治療上有効量の組成物の使用であって、 前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞は、テロメラーゼ陽性であるか、又はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し、 前記組成物の使用は、テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に、前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞において、累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発し、 前記非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩は、アシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル及びファムシクロビルからなる群から選択される、使用。」 第4 当審による平成27年6月30日付け拒絶理由通知の概要 平成27年6月30日付けで通知した拒絶理由は、本願の請求項1に係る発明は、特願2006-549646号の請求項5に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができないという理由を含むものである。 第5 当審の判断 1 特願2006-549646号について 特願2006-549646号(以下「先願A」という)は、2005年1月18日(パリ条約による優先権主張 2004年1月15日(US)米国)を国際出願日とする出願であり、平成24年7月6日に特許第5032129号として登録され、その特許請求の範囲の請求項1および請求項5に係る発明は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1および請求項5に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認められる。 「【請求項1】 癌に罹患した個体を治療するための医薬組成物の製造のための、ヌクレオシド類似体またはその製薬上許容しうる塩の使用であって、該癌が、該個体のテロメラーゼ陰性細胞中のL-1(LINE-1)レトロトランスポゾンによってコードされる逆転写酵素によって誘導又は仲介されるテロメアの代替的延長を示すテロメラーゼ陰性細胞に起因するものであり、また、該ヌクレオシド類似体が、3'-アジド-2',3'-ジデオキシチミジン(AZT)、2',3'-ジデオキシイノシン(ddI)、2',3'-ジデヒドロ-3'-デオキシチミジン(d4T)、ガンシクロビル若しくはバルガンシクロビル、又はそれらの組合せからなる群から選択され、該テロメラーゼ陰性細胞中でテロメアの延長を阻止するものである、上記使用。 【請求項5】 前記ヌクレオシド類似体がガンシクロビルである、請求項1に記載の使用。」 2 先願A発明について 上記1より、先願Aの請求項5に係る発明は、 「癌に罹患した個体を治療するための医薬組成物の製造のための、ヌクレオシド類似体またはその製薬上許容しうる塩の使用であって、該癌が、該個体のテロメラーゼ陰性細胞中のL-1(LINE-1)レトロトランスポゾンによってコードされる逆転写酵素によって誘導又は仲介されるテロメアの代替的延長を示すテロメラーゼ陰性細胞に起因するものであり、また、該ヌクレオシド類似体が、ガンシクロビルであり、該テロメラーゼ陰性細胞中でテロメアの延長を阻止するものである、上記使用。」 と認められる(以下「先願A発明」という。)。 3 対比・判断 (1)対比 本願発明と先願A発明を対比すると、先願A発明における「癌に罹患した個体を治療するための医薬組成物の製造のための、使用。」は、本願発明1における「(不適当に若しくは病理的に増殖する細胞又は不死化細胞の存在により生じる障害を治療するための、又は、前記障害若しくは)癌に罹患している哺乳類若しくはヒトの癌を治療するための薬剤の製造における、使用。」に相当する。(当審注:括弧書きは、対応関係を分かりやすくするために、当審により加筆。) また、先願A発明の「該癌が、該個体のテロメラーゼ陰性細胞中のL-1(LINE-1)レトロトランスポゾンによってコードされる逆転写酵素によって誘導又は仲介されるテロメアの代替的延長を示すテロメラーゼ陰性細胞に起因するものであり、」は、本願発明1における「前記癌の細胞はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し、」に相当する。(なお、「L-1逆転写酵素を発現する癌の細胞」に「テロメラーゼ陰性細胞中のL-1(LINE-1)レトロトランスポゾンによってコードされる逆転写酵素によって誘導又は仲介されるテロメアの代替的延長を示すテロメラーゼ陰性細胞に起因する癌」が含まれることは技術常識であるし、請求人自身も平成26年8月25日付け回答書において、「本審判請求人は、「L-1(LINE-1)逆転写酵素を発現している細胞」とは、テロメラーゼ陽性細胞ではないことを付言します。」と述べていることからも明らかである。) さらに、先願A発明の「ガンシクロビル」は本願発明1の「前記非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩は、ガンシクロビルであり」に相当する。 そして、先願A発明の「該ヌクレオシド類似体が、テロメアの延長を阻止するもの」は、本願発明1の「テロメア伸長の阻害のために有効な1以上の非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩」に相当し、かつ、その含有量が治療上有効量であることは明らかである。 よって、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 両者はともに、 「癌に罹患している哺乳類若しくはヒトの癌を治療するための薬剤の製造における、テロメア伸長の調節、抑制又は阻害のために治療上有効量な1以上の非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩を含む、治療上有効量の組成物の使用であって、 前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞は、L-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し、 前記非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩は、ガンシクロビルである、使用。」 である点。 【相違点1】 本願発明は「非環状ヌクレオシドのアナログ若しくはかかるアナログの薬学的に許容できる塩を唯一の活性化合物として含む」と特定されているのに対し、先願A発明は、そのような特定はなされていない点。 【相違点2】 本願発明は「組成物の使用は、テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に、前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞において、累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発し」と特定されているのに対し、先願A発明は、そのような特定はなされていない点。 (2)相違点の検討 ア 相違点1について 先願A発明において、ガンシクロビルが唯一の活性化合物であることは、明示的に特定されてはいないものの、他の有効成分を同時に含有することは構成要件とされておらず、実質的に唯一の活性化合物であると認められる。よって、相違点1は、実質的な相違点とは認められない。 イ 相違点2について (ア)本願発明において、「組成物の使用は、テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に、前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞において、累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発する」とは、単に、組成物を使用すれば、テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に、前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞において、累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発するという「組成物」の性質を表すに過ぎず、薬剤の物としての構成や、薬剤の用途を特定するものとは認められない。 (イ)なお、請求人は、平成28年1月7日付け意見書の(4-3)において、 「本願発明によって、アシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル及びファムシクロビルの使用に先だって、癌細胞が、テロメラーゼによってテロメア伸張を示すか又はL-1(LINE-1)レトロトランスポゾンによってコードされる逆転写酵素によって誘導又は仲介されるテロメアの代替的延長を示すことが決定される必要なしに、癌細胞における累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発することが可能になります。 このことは、「組成物の使用」という両者の発明の構成及び効果における大きな相違であると思料致します。」 と主張している。 しかしながら、本願発明は「不適当に若しくは病理的に増殖する細胞又は不死化細胞の存在により生じる障害を治療するための、又は、前記障害若しくは癌に罹患している哺乳類若しくはヒトの癌を治療するための薬剤の製造における、・・・組成物の使用」であり、「治療」に使用されるのは「薬剤」であって、組成物は「薬剤の製造」に使用されることが特定されているに過ぎない。このため、上記(ア)に示したとおり、「組成物の使用は、テロメラーゼの存在又は不存在とは無関係に、前記増殖する細胞、不死化細胞又は前記癌の細胞において、累進的なテロメア損失、G2相停止、染色体異常及び最終的な細胞死を誘発し」とは、薬剤の原料となる「組成物」が有する性質を特定したに過ぎず、先願A発明と本願発明との間に、請求人が主張するような「組成物の使用」において差異が存在するとは認められない。 また、請求人による上記主張を、対象となる細胞(癌)の種類が異なる旨を主張していると解するとしても、上記(1)に示したとおり、先願A発明が対象とする「癌が、該個体のテロメラーゼ陰性細胞中のL-1(LINE-1)レトロトランスポゾンによってコードされる逆転写酵素によって誘導又は仲介されるテロメアの代替的延長を示すテロメラーゼ陰性細胞に起因するもの」は、本願発明が対象とする「癌の細胞はL-1(LINE-1)逆転写酵素を発現し」に相当することから、請求人の主張は採用し得ない。 ウ 小括 以上、ア、イに示したとおり、相違点1、相違点2は、いずれも実質的な相違点とは認められず、本願発明と先願A発明との間に差異はない。 (3)まとめ 以上、(2)ア?ウに示したとおり、本願発明は、特願2006-549646号に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない 第6 むすび 本願請求項1に係る発明は、上記したとおりの理由によって、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-03-22 |
結審通知日 | 2016-03-29 |
審決日 | 2016-04-11 |
出願番号 | 特願2008-512547(P2008-512547) |
審決分類 |
P
1
8・
4-
WZ
(A61K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 關 政立、川口 裕美子 |
特許庁審判長 |
蔵野 雅昭 |
特許庁審判官 |
渕野 留香 辰己 雅夫 |
発明の名称 | 癌の予防及び治療のための、癌細胞におけるテロメア長の薬理学的調節 |
代理人 | 林 一好 |
代理人 | 正林 真之 |