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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1318710
審判番号 不服2015-12296  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-30 
確定日 2016-08-25 
事件の表示 特願2010-263735「照明装置、投影型表示装置および直視型表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月14日出願公開、特開2012-113223〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年11月26日の出願であって、平成25年10月9日に手続補正がなされ、平成26年3月28日付けで拒絶理由が通知され、同年6月2日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年11月28日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成27年1月30日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年3月25日付けで前記平成27年1月30日になされた手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定(謄本送達日 同年同月31日)がなされ、これに対し、同年6月30日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成27年6月30日になされた手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、本件補正前(平成26年6月2日になされたもの)の特許請求の範囲を、以下のとおりに補正する内容を含むものである(下線は請求人が付したとおりである。)。
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1につき、
「単一もしくは複数の発光スポットを含む光射出領域から光を発する固体発光素子をそれぞれ含む1または複数の光源と、
各々が短軸および長軸を有する複数のセルが2次元配置されてなると共に、前記固体発光素子側から入射した光が通過して、短軸および長軸を有する所定の照明範囲へ出射する第1の光学部材と
を備え、
前記固体発光素子は、光を発する単一または複数のチップを含み、
前記1または複数の光源全体として、互いに異なる2以上の波長帯の光が発せられるように、前記発光スポットが3つ以上設けられ、
前記1または複数の光源のうちの少なくとも1つの光源である第1光源における前記固体発光素子が、同一の波長帯の光が発せられる複数の発光スポットを有し、
前記複数の発光スポットから発せられる光におけるファーフィールドパターン(FFP)の各短軸方向と、前記第1の光学部材の光軸と直交する面内における前記複数のセルの各短軸方向と、前記所定の照明範囲における前記短軸方向とがそれぞれ、互いに略一致している
照明装置。」
とあったものを、
「単一もしくは複数の発光スポットを含む光射出領域から光を発する固体発光素子をそれぞれ含む1または複数の光源と、
各々が短軸および長軸を有する複数のセルが2次元配置されてなると共に、外形サイズにおける短軸および長軸を有し、かつ、前記固体発光素子側から入射した光が通過して、短軸および長軸を有する所定の照明範囲へ出射する第1の光学部材と
を備え、
前記固体発光素子は、光を発する単一または複数のチップを含み、
前記1または複数の光源全体として、互いに異なる2以上の波長帯の光が発せられるように、前記発光スポットが3つ以上設けられ、
前記1または複数の光源のうちの少なくとも1つの光源である第1光源における前記固体発光素子が、同一の波長帯の光が発せられる複数の発光スポットを有し、
前記複数の発光スポットから発せられる光におけるファーフィールドパターン(FFP)の各短軸方向と、前記第1の光学部材の光軸と直交する面内における前記第1の光学部材の前記外形サイズの短軸方向と、前記所定の照明範囲における前記短軸方向とがそれぞれ、互いに略一致しており、
前記第1光源が、互いに異なる2以上の波長帯の光を発するものであると共に、前記FFPの長軸方向が、前記2以上の波長帯間で互いに略一致している
照明装置。」
に補正。

2 補正の目的
(1)本件補正は、補正前の請求項1において、下記の各補正を行うものである。
ア 「第1の光学部材」に関して、「外形サイズにおける短軸および長軸を有し」との限定を付加する。

イ 「第1の光学部材の光軸と直交する面内における」「短軸方向」に関して、「複数のセルの各短軸方向」とあったものを、「第1の光学部材の前記外形サイズの短軸方向」と補正する。

ウ 「第1光源」に関して、「互いに異なる2以上の波長帯の光を発するものであると共に、前記FFPの長軸方向が、前記2以上の波長帯間で互いに略一致している」との限定を付加する。

(2)上記(1)ア及びウの補正は、限定を付加する補正であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)上記(1)イの補正は、「複数のセルの各短軸方向」との記載を、「第1の光学部材の前記外形サイズの短軸方向」と補正することで明確にするものであって、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか否か)について検討する。
(1)本願補正発明の認定
本願補正発明は、上記1において、本件補正後のものとして記載したとおりのものと認める。

(2)刊行物の記載及び引用発明
原査定における拒絶理由に引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である国際公開第99/49358号(以下、「引用文献」という。)には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。)。
ア 「技術分野
この発明は、画像表示装置に関するものである。特に、液晶パネルを用いた液晶プロジェクタ装置等の画像表示装置に関するものである。
背景技術
従来の画像表示装置として、特開平8?304739号公報に記載された偏光照明装置が存在している。以下、この公報に記載された図面及び記述を引用して従来の画像表示装置について説明する。
図28は、従来の偏光照明装置の要部を平面的に見た概略構成図である。
本例の偏光照明装置1は、システム光軸Lに沿って配置した光源部2、第1のレンズ板3、第2のレンズ板4から大略構成されている。光源部2から出射された光は、第1のレンズ板3により第2のレンズ板4内に集光され、第2のレンズ板4を通過する過程において、ランダムな偏光光は、偏光方向が揃った1種類の偏光光に変換され、照明領域5に至るようになっている。
光源部2は、光源ランプ201と放物面リフレクター202から大略構成されている。光源ランプ201から放射されたランダムな偏光光は、放物面リフレクター202によって一方向に反射されて、略平行な光束となって第1のレンズ板3に入射される。ここで、放物面リフレクター202に代えて、楕円形リフレクター、球面リフレクターなども用いることができる。光源光軸Rは、システム光軸Lに対して一定の角度だけ傾斜させてある。
図29には、第1のレンズ板3の外観を示してある。
この図に示すように、第1のレンズ板3は、矩形状の輪郭をした微小な矩形集光レンズ301が縦横に複数配列した構成である。第1のレンズ板3に入射した光は、矩形集光レンズ301の集光作用によりシステム光軸Lと垂直な平面内に矩形集光レンズ301の数と同数の集光像を形成する。この複数の集光像は、光源ランプの投写像に他ならないため、以下では2次光源像と呼ぶものとする。
次に、再び図28を参照して、本例の第2のレンズ板4について説明する。
第2のレンズ板4は、集光レンズアレイ410、偏光分離プリズムアレイ420、λ/2位相差板430及び出射側レンズ440から構成される複合積層体であり、第1のレンズ板3による2次光源像が形成される位置の近傍におけるシステム光軸Lに対して垂直な平面内に配置されている。この第2のレンズ板4は、インテグレータ光学系の第2のレンズ板としての機能、偏光分離素子としての機能及び偏光変換素子としての機能を併せ持っている。
集光レンズアレイ410は、第1のレンズ板3とほぼ同様な構成となっている。即ち、第1のレンズ板3を構成する矩形集光レンズ301と同数の集光レンズ411を複数配列したものであり、第1のレンズ板3からの光を集光する作用がある。集光レンズアレイ410は、インテグレータ光学系の第2のレンズ板に相当するものである。
集光レンズアレイ410を構成する集光レンズ411と第1のレンズ板3を構成する矩形集光レンズ301とは、全く同一の寸法形状及ぴレンズ特性を有する必要はない。光源部2からの光の特性に応じて、各々最適化されることが望ましい。しかし、偏光分離プリズムアレイ420に入射する光は、その主光線の傾きがシステム光軸Lと平行であることが理想的である。この点から、集光レンズ411は、第1のレンズ板3を構成する矩形集光レンズ301と同一のレンズ特性を有するものか、或いは、矩形集光レンズ301と相似形の形状をしている同一レンズ特性を有するものとする場合が多い。」(1頁5行?3頁5行)

イ 「実施の形態1.
図1は、この発明の画像表示装置の一例である透過型液晶パネルを用いた液晶プロジェクタを示す図である。
この液晶プロジェクタは、発光器50と平行変換光学系60と光学スイッチ70と表示光学系80により構成されている。発光器50は、赤色を発生するLD(レーザダイオード)アレイ51と緑色を発生するLDアレイ52と青色を発生するLDアレイ53から構成されている。平行変換光学系60は、レンズアレイ61とレンズアレイ62とレンズアレイ63から構成されている。光学スイッチ70は、赤用透過型液晶パネル71と緑用透過型液晶パネル72と青用透過型液晶パネル73から構成されている。表示光学系80は、合成光学系90とプロジェクションレンズ95とスクリーン96から構成されている。合成光学系90は、クロスダイクロイックプリズム91(クロスダイクロイックミラーでもよい)から構成されている。
図1においては、クロスダイクロイックプリズム91を用いているので、R,G,Bの光線が等しい長さになるという利点を有している。
図2は、LDアレイ51とレンズアレイ61を示す図である。
図3は、LDアレイ51の正面図である。
図2及び図3に示すように、LDアレイ51は、M個×N個の半導体レーザ54から構成されている。半導体レーザ54は、図4に示すような構造を持っている。図3に示すLDアレイ51は、図4に示した半導体レーザ54を縦横に重ね、接着等の方法により固定したものである。図4に示したように、半導体レーザ54は、ダブルへテロ構造を有しているものであり、レーザダイオード(LD)とも称されるものである。レーザダイオード(LD)には、青色用としてGaN、緑用としてZnSe、或いは、GaAsP(波長:約1.10μm)の第2高調波(半波長の発生)、赤用としてAlGaInP(波長:658nm前後)などが使用可能である。半導体レーザ54からの出射光は、ヘテロ接合面に平行に偏光された光である。即ち、半導体レーザ54からは、直線偏光(P波又はS波)が発振されることになる。半導体レーザから出力される直線偏光方向と各液晶パネル71,72,73が利用する直線偏光の方向を一致させることにより、従来のように、偏光変換光学系を必要としない。
半導体レーザ54からの出射光は、図4に示すように、広がっていく。即ち、半導体レーザ54からの出射光は、平行光線ではない。出射光の特性は、ファーフィールドパターンを測定することにより得られる。このファーフィールドパターンは、図4に示すように、中心軸に関して対象な吊りがね型の分布、即ち、ガウス分布になることが分かっている。このファーフィールドパターンは、半導体レーザ54からの距離により変化するものである。このファーフィールドパターンの特性に一致するように、レンズアレイ61を配置することにより、半導体レーザ54からの出射光を平行光線に変換できる。即ち、LDアレイ51とレンズアレイ61の距離に合わせてレンズアレイ61のレンズ仕様を決定することにより、平行光線を得ることができる。図2に示すように、隣接する半導体レーザ54からの出射光が丁度重なる所にレンズアレイ61を配置することにより、全体として輝度分布が均一なムラのない平行光線のビームを得ることができる。
以上のように、半導体レーザ54から発振される出射光は、各液晶パネル71,72,73が利用する直接偏光の光であるため、従来のように、偏光変換光学系を必要としない。従って、非常に簡単な構造の光学系で液晶プロジェクタを製造することができる。また、従来のように、インテグレータ光学系も不要になる。従って、小型化、かつ、低コスト化が図れる表示装置を得ることができる。
また、この実施の形態の特徴は、LDアレイ51から出力された光線をレンズアレイ61が直接入力している点である。半導体レーザ54から出力された光は、導波路や光ファイバを全く用いることなく、直接レンズアレイ61に入力される。即ち、各半導体レーザ54は、直接レンズアレイ61に光線が入力できる位置にアレイ状に配置されている。
また、発光器50をアレイ状にしているので、液晶パネルと同一形状、或いは、相似形状の平行光線を生成することができ、生成した全ての光線を利用できるので、光利用率が格段に向上する。
また、図4に示したように、発振領域が2μm(マイクロメートル)以下であるため、ほぼ点光源とみなすことができ、従来の照明器に比べて平行度が格段に向上した平行光線を生成することができる。
また、半導体レーザ54の共振器のサイズは、図4に示すように、200?300μmであり、従来のように、反射鏡を用いていないので、装置全体を小さくすることができる。例えば、サイズが1.3インチ程度の液晶パネルを利用する場合に、主反射鏡の直径は、前述したように、8cm程度必要である。それに対して、この発明によれば、発光器50で、1.3インチ対角のビームを直接生成するときでも、1.3インチ対角の発光器50を用意すればよく、装置が大幅に小型化する。」(23頁21行?26頁13行)

ウ 「実施の形態6.
前述した実施の形態においては、投写型表示装置について説明したが、この実施の形態においては、主として直視型の表示装置について説明する。
図55は、直視型表示装置の構成を示す図である。
図55(a)は、LDアレイ152の正面図である。
LDアレイ152には、赤用と緑用と青用の光を発生する半導体レーザ54R,54G,54Bが1組になって複数配置されている。このように、波長が異なる(色が異なる)半導体レーザを1組にして、かつ、この1組を液晶パネル74の1画素対応に設ける。
図55(b)は、直視型表示装置の側面図である。
LDアレイ152から発生された光は、アレイレンズ153に入射し、平行光線に変換される。この平行光線は、更に、変形曲面レンズ151に入射して輝度分布の均一化が図られる。変形曲面レンズ151から出力された光は、液晶パネル74を照射する。この照射する光は、輝度分布が一様になっており、ムラのない画像表示が行える。
LDアレイ152は、図3、或いは、図6、或いは、図7、或いは、図8に示したようなもので構成される。特に、図8に示した面発光半導体レーザ56を用いることにより、部品点数を少なくすることができる。
次に、動作について説明する。
3つの半導体レーザ54R,54G,54Bは、時分割に順次点灯する。液晶パネル74は、これらの時分割された点灯に同期して発生された光を変調する。
半導体レーザは、数nsの応答速度があり、時分割切り換えが可能である。特に、面発光半導体レーザを使用した場合、10GHzの(即ち、0.1nsの応答速度であり、通常の半導体レーザの応答速度より10倍以上大きい)変調速度があり、各画素を逐次制御するのに十分な速度である。例えば、1280×1024×60(Hz、フレームレート)=0.0786×10^(9)となり、12.7nsに相当する。これを各色で分担しても、1色当たり12.7/3?4.2nsとなり、各画素を逐次制御するのに十分な速度である。
図56は、面発光半導体レーザを使用した直視型表示装置を示す側面図である。
この装置の特徴は、液晶パネルを使用しないことである。面発光半導体レーザを直接変調して画像を表示するものである。前述したように、面発光半導体レーザの変調速度は、各画素を逐次制御するのに十分な速度を有しているため、面発光半導体レーザを直接変調する方式であっても画像を表示することが可能である。
図57は、直視型表示装置の他の構成を示す図である。
図57(a)は、LDアレイ152の正面図である。
LDアレイ152には、赤用と緑用と青用の光を発生する半導体レーザ54R,54G,54Bが1組になって複数配置されている。図55の場合は、波長が異なる(色が異なる)半導体レーザを1組にして、かつ、この1組を液晶パネル74の1画素対応に設けていたが、ここでは、半導体レーザ54R,54G,54Bは、特に、液晶パネル74の1画素に対応してはいない。
図57(b)は、直視型表示装置の側面図である。
LDアレイ152から発生された光は、液晶パネル74を照射する。液晶パネル74上でLDアレイ152から発生された光は互いに重なる。例えば、LDアレイ152と液晶パネル74の距離Lが5?10mmであれば、隣り合う光線は、半分以上重なることになる。こうすることにより、照射する光は、輝度分布が一様になり、ムラのない画像表示が行える。
図58は、図57に示した時分割単板式表示装置を投写型にしたものである。LDアレイ152と液晶パネル74は、両方とも図57と同様に単板であり、かつ、時分割動作をする。液晶パネル74を通過した光線は、アレイレンズ153(平行変換光学系60)により略平行光線に変換される。」(42頁24行?45頁4行)

エ 上記アないしウで言及される、図1ないし4、図28及び29、ならびに、図55ないし58は次のものである。


オ 上記イの記載を踏まえて上記エの図4をみると、半導体レーザ54は、クラッド層の挟まれた活性層の構造を含む青色用としてGaN、緑用としてZnSe、或いは、GaAsP、赤用としてAlGaInPなどの半導体を使用するものであって、中心軸に関して対象な吊りがね型の分布、即ち、ガウス分布になるファーフィールドパターンの光を発するものであることがみてとれる。
そうすると、半導体レーザ54は、中心軸に関して対象な吊りがね型の分布、即ち、ガウス分布になるファーフィールドパターンの光を発する単一の発光スポットを含む光出射領域を有し、半導体レーザ54は、光を発する半導体からなる単一の固体発光素子(チップ)を含むといえる。
また、上記イの記載を踏まえて上記エの図3をみると、LDアレイ51は、M個×N個の半導体レーザ54を含み、図4に示した半導体レーザ54を縦横に重ね、接着等の方法により固定したものであるから、LDアレイ51は、複数の半導体レーザ54から構成されるものであることがみてとれる。
そうすると、LDアレイ51は、複数の固体発光素子(チップ)から構成されるとともに、発光スポットを含む光出射領域を複数有するといえる。

カ 上記ウの記載を踏まえて上記エの図58をみると、「LDアレイ152」に関して、赤用と緑用と青用の(波長が異なる/色が異なる)光を発生する半導体レーザ(54R,54G,54B)が1組になって複数配置されているから、上記オでの検討を踏まえると、LDアレイ152は、全体として、複数の、互いに異なる3の波長帯の(波長が異なる/色が異なる)光を発生する半導体レーザ54R,54G,54Bである固体発光素子(チップ)から構成されるとともに、複数の互いに異なる3の波長帯の(波長が異なる/色が異なる)光を発する発光スポットを含む光出射領域が3つ設けられ、
また、「LDアレイ152」に関して、同一の(波長/色)の光を発生する半導体レーザが複数(1組になって複数)配置されるから、同一の(波長/色)の光が発せられる複数の発光スポットを有するといえる。
また、「アレイレンズ153」に関して、複数のレンズが2次元配置されてなると共に、半導体レーザ(54R、54G、54B)側から入射した光が通過して、所定の照明範囲へ出射する点がみてとれる。

キ 引用発明
上記アないしカによれば、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「単一の発光スポットを含む光出射領域から光を発する半導体レーザ(54R、54G、54B)を含むLDアレイ152と、
複数のレンズが2次元配置されてなると共に、前記半導体レーザ側から入射した光が通過して、所定の照明範囲へ出射するアレイレンズ153を備え、
前記半導体レーザ(54R、54G、54B)は、光を発する単一のチップを含み、
前記LDアレイ152全体として、互いに異なる3つの波長帯の光が発せられるように、発光スポットが3つ以上設けられ、
前記LDアレイ152における半導体レーザ(54R、54G、54B)が1組になって複数配置され、同一の波長帯の光が発せられる複数の発光スポットを有し、
前記LDアレイ152が、互いに異なる3つの波長帯の光を発する
液晶パネルを用いた液晶プロジェクタ装置等の画像表示装置。」

(3)対比・判断
ア 対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の「半導体レーザ(54R、54G、54B)」、「LDアレイ152」、「レンズ」、「アレイレンズ153」及び「液晶パネルを用いた液晶プロジェクタ装置等の画像表示装置」は、本願補正発明の「固体発光素子」、「光源」、「セル」、「第1の光学部材」及び「照明装置」に相当するから、本願補正発明と引用発明は、
「単一の発光スポットを含む光射出領域から光を発する固体発光素子を含む1の光源と、
複数のセルが2次元配置されてなると共に、前記固体発光素子側から入射した光が通過して、所定の照明範囲へ出射する第1の光学部材と
を備え、
前記固体発光素子は、光を発する単一のチップを含み、
前記1の光源全体として、互いに異なる3つの波長帯の光が発せられるように、前記発光スポットが3つ以上設けられ、
前記1の光源のうちの1つの光源である第1光源における前記固体発光素子が、同一の波長帯の光が発せられる複数の発光スポットを有し
前記第1光源が、互いに異なる3つの波長帯の光を発する
照明装置。」
である点で一致し、下記各点で相違する。

(ア)本願補正発明の「第1の光学部材」は、「セル」の「各々が短軸および長軸を有する」ものであって、「外形サイズにおける短軸および長軸を有」し、かつ、「短軸および長軸を有する」所定の照明範囲へ出射するのに対して、引用発明の「アレイレンズ153」は、このように特定されない点(以下、「相違点1」という。)。

(イ)本願補正発明は、「複数の発光スポットから発せられる光におけるファーフィールドパターン(FFP)の各短軸方向」と、「第1の光学部材の光軸と直交する面内における前記第1の光学部材の前記外形サイズの短軸方向」と、「所定の照明範囲における前記短軸方向」とが「それぞれ、互いに略一致している」のに対して、引用発明は、このように特定されない点(以下、「相違点2」という。)。

(ウ)本願補正発明の「第1光源」は、「FFPの長軸方向が、前記2以上の波長帯間で互いに略一致している」のに対して、引用発明の「LDアレイ152」は、このように特定されない点(以下、「相違点3」という。)。

イ 判断
(ア)上記相違点1について検討する。
引用発明の「アレイレンズ153」の「レンズ」の形状に関して、引用文献には、「従来の画像表示装置」として、「第1のレンズ板3は、矩形状の輪郭をした微小な矩形集光レンズ301が縦横に複数配列した構成である」及び「集光レンズアレイ410は、第1のレンズ板3とほぼ同様な構成となつている。即ち、第1のレンズ板3を構成する矩形集光レンズ301と同数の集光レンズ411を複数配列したもの」(上記(2)ア)と記載され、「アレイレンズ153」の個々の「レンズ」を「各々が短軸および長軸を有する」もの(例えば、矩形)とすることは、引用文献に記載されている。
したがって、個々の「レンズ」が矩形であるならば、それを適宜に配置して、「アレイレンズ153」全体を、「外形サイズにおける短軸および長軸を有」するもの(矩形)とすることは設計的事項にすぎない。
さらに、出射する所定の照明範囲が「短軸および長軸を有する」もの(矩形)であるか否かは発明を実施するに際して、当業者が適宜照明範囲を設定して定める事項にすぎない。
したがって、引用発明において、「アレイレンズ153」の「レンズ」の形状、「アレイレンズ153」の外形サイズ、及び、出射する所定の照明範囲をそれぞれ「短軸および長軸を有する」もの(矩形)となし、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことに格別の困難性はなく、当業者が容易になし得たことである。

(イ)上記相違点2について検討する。
引用発明の「アレイレンズ153」に関して、引用文献には、「半導体レーザ54からの出射光」の「ファーフィールドパターンは、」「中心軸に関して対象な吊りがね型の分布、即ち、ガウス分布にな」り、「このファーフィールドパターンの特性に一致するように」「レンズアレイ61のレンズ仕様を決定することにより、平行光線を得ることができる」(上記(2)イ)と記載されるとおり、引用発明の「アレイレンズ153」を「平行光線を得ることができる」ものとするために、半導体レーザからの出射光のファーフィールドパターンの特性に一致するようにレンズアレイのレンズ仕様を決定することが記載されている。
したがって、引用文献の記載に鑑みれば、複数の半導体レーザの発光スポットからの出射光のファーフィールドパターンの各短軸方向と、「アレイレンズ153」の光軸と直交する面内における「アレイレンズ153」の外形サイズの短軸方向とを互いに略一致させることは、当業者が当然に行うことにすぎないといえる。
また、さらに、「所定の照明範囲における短軸方向」と「互いに略一致」させることも当然に行うことである。
したがって、引用発明において、複数の半導体レーザの発光スポットからの出射光のファーフィールドパターンの各短軸方向と、「アレイレンズ153」の光軸と直交する面内における「アレイレンズ153」の外形サイズの短軸方向と、所定の照明範囲における短軸方向を、それぞれ、互いに略一致するものとなし、上記相違点2に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。

(ウ)上記相違点3について検討する。
引用発明の「半導体レーザ(54R、54G、54B)」に関して、引用文献には、「図3に示すように、LDアレイ51は、M個×N個の半導体レーザ54から構成され」、「半導体レーザ54は、図4に示すような構造を持っている」と記載され、ファーフィールドパターンの長短各軸方向にそれぞれ、波長が異なる(色が異なる)半導体レーザ54が配置されるものであるところ、「M個×N個の半導体レーザ54から構成され」るものとなすに際して、当該ファーフィールドパターンの長軸方向を略一致させて配置させることは当然のことにすぎない。
したがって、引用発明において、「半導体レーザ(54R、54G、54B)」を「M個×N個の半導体レーザ54から構成され」るものとなすに際して、ファーフィールドパターンの長軸方向を略一致させて配置して、上記相違点3に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得たことである。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 補正却下の決定についてのむすび
上記3の検討によれば、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の特許請求の範囲の各請求項に係る発明は、平成26年6月2日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、上記「第2」[理由]「1 補正の内容」において、本件補正前のものとして示したとおりのものである。

2 刊行物の記載及び引用発明
上記「第2」[理由]「3 独立特許要件について」「(2)」のとおりである。

3 対比・判断
本願発明について
(1)上記「第2」[理由]「2 補正の目的」のとおり、本件補正は、補正前の請求項1において、下記アないしウの補正を行うものである。
ア 「第1の光学部材」に関して、「外形サイズにおける短軸および長軸を有し」との限定を付加する。
イ 「第1の光学部材の光軸と直交する面内における」「短軸方向」に関して、「複数のセルの各短軸方向」とあったものを、「第1の光学部材の前記外形サイズの短軸方向」と補正する。
ウ 「第1光源」に関して、「互いに異なる2以上の波長帯の光を発するものであると共に、前記FFPの長軸方向が、前記2以上の波長帯間で互いに略一致している」との限定を付加する。

(2)したがって、本願発明は、上記「第2」[理由]「3 独立特許要件について」で検討した本願補正発明を特定するための事項である、「第1の光学部材」に関しての「外形サイズにおける短軸および長軸を有」する点、及び、「第1光源」に関しての「互いに異なる2以上の波長帯の光を発するものであると共に、前記FFPの長軸方向が、前記2以上の波長帯間で互いに略一致している」点の限定を省いたものである。

(3)これに対して、上記「第2、[理由] 3(3)イ」で検討したとおり、上記限定を省いた本願補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、上記「第2」[理由]「3」での検討と同様の理由により、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明し得るものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-27 
結審通知日 2016-06-28 
審決日 2016-07-11 
出願番号 特願2010-263735(P2010-263735)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田辺 正樹佐竹 政彦  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 森林 克郎
松川 直樹
発明の名称 照明装置、投影型表示装置および直視型表示装置  
代理人 田名網 孝昭  
代理人 藤島 洋一郎  
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