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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1319018
審判番号 不服2015-8827  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-13 
確定日 2016-09-05 
事件の表示 特願2013-549747「リンク適応のためのデータ列およびチャネル情報の同時送信および受信のための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月26日国際公開、WO2012/097936、平成26年 2月24日国内公表、特表2014-504828〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,2011年12月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年1月21日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって,平成27年1月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年5月13日に拒絶査定に対する審判請求がなさるとともに手続補正書が提出されたが,当審において同年11月24日付けで拒絶理由通知がなされ,これに対し,平成28年2月19日に意見書および手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成28年2月19日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された,以下のとおりのものと認める。

「ペイロード・データ列およびチャネル情報を同時送信するための方法であって,前記チャネル情報はワイヤレス・ネットワークの無線チャネル上でリンク適応のための情報であり,チャネル・エンコーダを使用して前記ペイロード・データ列をコードワードに符号化するステップと,前記無線チャネルで前記コードワードを送信するステップとを含み,前記チャネル・エンコーダを使用して前記チャネル情報を前記コードワードに符号化するステップをさらに含み,前記コードワードが前記ペイロード・データ列と前記チャネル情報の両方を含む方法。」

3 引用発明と周知技術
(1)引用発明
当審の拒絶の理由に引用された国際公開第2009/118707号(以下,「引用例1」という。)には,「REPORTING CHANNEL STATE INFORMATION(当審仮訳:チャネル状態情報の報告)」(発明の名称)に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「[0024] FIG. 1 is a diagram of a communication system capable of reporting channel state information, according to various exemplary embodiments of the invention. As shown in FIG. 1 , a communication system 100 (e.g., a wireless network) includes one or more user equipment (UEs) 101 that communicate with a base station 103, which is part of an access network (e.g., 3GPP LTE or E-UTRAN, etc.) (not shown). The UE 101 and the base station 103 permit the configuration and reporting of channel state information from the UE 101 to the base station 103 using CSI reporting parameters and a flag to trigger the reporting. As used herein, the term "CSI" includes channel quality information (CQI), pre-coding matrix indicator (PMI), rank indicator (RI), as well as quantized complex channel impulse or frequency response. It is contemplated that any other CSI or similar information may be reported using the approach described herein.
(当審仮訳:
[0024] 図1は,本発明の種々の実施例に従う,チャネル状態情報の報告が可能な通信システムの略図である。図1に示されているように,通信システム100(例えば,無線ネットワーク)は,アクセスネットワーク(例えば,3GPP LTEあるいはE-UTRANなど)(図示せず)の一部である基地局103と通信する1または複数のユーザ装置(UEs)101を含む。UE101と基地局103は,CSI報告パラメータと報告をトリガするフラグとを用いた,UE101から基地局103へのチャネル状態情報の報告と設定に同意している。ここで使用されているように,“CSI”はチャネル品質情報(CQI),プリコーディングマトリックスインデックス(PMI),ランクインジケーター(RI)および量子化された複素チャネルインパルスもしくは周波数応答を含む。ここで述べられた手法を用いて他のどのようなCSIや同様の情報が報告されてもよいことが考慮されている。)」

イ 「[0026] As part of a network planning scheme, the UE 101 and/or the eNB 103 utilize a discontinuous reception and/or transmission (DRX/DTX) mechanism, whereby channel state information (CSI) reporting is supported using, for instance, a CSI reporting module 105 in the eNB 103 and a CSI reporting module 107 in the UE 101.
・・・(中略)・・・
[0027] To facilitate efficient link adaptation and radio channel aware packet scheduling at the eNB 103, the UE 101 transmits channel state information (e.g., in the form of CSI reports) to the base station 101.
(当審仮訳:
[0026] ネットワーク計画の一部として,UE101および/またはeNB103は非連続受信および/または送信(DRX/DTX)メカニズムを利用するが,ここで,チャネル状態情報(CSI)報告は,例えば,eNB103のCSI報告モジュール105とUE101のCSI報告モジュール107を用いてサポートされている。
・・・(中略)・・・
[0027] eNB103における効率的なリンク適応と無線チャネルを意識したパケットスケジューリングを容易にするために,UE101は基地局101にチャネル状態情報を(例えば,CSI報告の形で)送信する。)」

ウ 「[0041] In exemplary embodiments, the UE 101 transmits periodic CSI reports over, for instance, the PUSCH using the following rules: (1) the periodicity parameters for any simultaneous uplink data transmission override the periodicity parameters for the periodic CSI reporting, and (2) the UE 101 transmits periodic CSI reports only together (e.g., piggybacked) with the accompanying uplink data (e.g., no CSI reports are transmitted if there are no data transmissions). It is also contemplated that the system 100 may apply other alternate or additional rules for CSI reporting.
・・・(中略)・・・
[0043] FIG. 4 is a time sequence diagram illustrating the process for reporting channel state information over a physical uplink shared channel (PUSCH), according to an exemplary embodiment. In the diagram, a network process is illustrated by a thin vertical line. A message passed from one process to another is represented by horizontal arrows. The time sequence is indicated by the vertical position of the arrow as it meets the vertical lines representing the network processes. The processes represented in FIG. 4 are the UE 101 and the eNB 103. The process of FIG. 4 is also described with respect to FIG. 5, a diagram of a radio transmission frame for providing PUSCH channel state information, according to an exemplary embodiment.
・・・(中略)・・・
[0049] The UL grant used for starting the reporting indicates the UL resources (e.g., the shaded subframes of FIG. 5) that are to be used for the reporting when the periodic PUSCH CSI reports are sent without simultaneous data transmission. In other words, the UE 101 transmits the periodic CSI reports, at 405 and 407, using the same physical resource blocks (PRBs) and link adaptation parameters as indicated by the UL grant that starts the transmission. In the subframes where the UE 101 sends simultaneously data and periodic PUSCH CSI reports, the UE 101 can utilize the resources and link adaptation parameters indicated in the corresponding UL grant.
(当審仮訳:
[0041] 実施例では,UE101は,以下のルールに従って,例えばPUSCHで定期的なCSI報告を送信する:(1)いかなる同時のアップリンクデータ送信についての周期性パラメータは定期的CSI報告の周期性パラメータに優先し,(2)UE101は同送のアップリンクデータがあるときのみ一緒に(例えば,抱き合わせて)定期的CSI報告を送信する(例えば,データ送信が無い場合にはCSI報告は送信されない)。システム100は,他の代替的なあるいは追加的なCSI報告のためのルールも適用してよいことが考慮されている。
・・・(中略)・・・
[0043] 図4は,一実施例に従って,物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)でチャネル状態情報を報告するためのプロセスを示す時系列図である。図で,ネットワークプロセスは細い垂直線で示されている。あるプロセスから他のプロセスへ渡されるメッセージは水平な矢で表される。時系列は,矢がネットワークプロセスを表す垂直線とぶつかる垂直位置によって示される。図4に示されたプロセスはUE101とeNB103である。図4のプロセスは,一実施例に従う,PUSCHチャネル状態情報提供のための無線送信フレームの略図である図5に関しても記述されている。
・・・(中略)・・・
[0049] 報告を開始するために使われるULグラントは,定期的なPUSCH CSI報告が同時のデータ伝送無しに送られるときに,その報告のために使用されるULリソース(例えば,図5で影が付けられたサブフレーム)を指示する。即ち,UE101は,405と407で,送信を開始させるULグラントによって指示されるのと同じ物理リソースブロック(PRB)とリンク適応パラメータとを用いて定期的なCSI報告を送信する。UE101がデータと定期的なPUSCH CSI報告を同時に送るサブフレームでは,UE101は対応するULグラントで指示されたリソースとリンク適応パラメータを使用できる。)」

エ 「[0084] FIG. 10 is a diagram of exemplary components of a mobile station (e.g., handset) capable of operating in the system of FIG. 1 , according to an exemplary embodiment.
・・・(中略)・・・
[0086] In use, a user of mobile station 1001 speaks into the microphone 1011 and his or her voice along with any detected background noise is converted into an analog voltage. The analog voltage is then converted into a digital signal through the Analog to Digital Converter (ADC) 1023. The control unit 1003 routes the digital signal into the DSP 1005 for processing therein, such as speech encoding, channel encoding, encrypting, and interleaving.
・・・(中略)・・・
[0087] The encoded signals are then routed to an equalizer 1025 for compensation of any frequency-dependent impairments that occur during transmission though the air such as phase and amplitude distortion.
・・・(中略)・・・
Finally, the signal is transmitted via antenna 1017 to a local base station.
(当審仮訳:
[0084] 図10は,一実施例に従う,図1のシステムで動作可能な移動局(例えば,ハンドセット)の例示的な構成要素の略図である。
・・・(中略)・・・
[0086] 使用時に,移動局1001のユーザはマイクロホン1011に向けて話し,彼または彼女の声は,検出された背景ノイズとともにアナログ電圧に変換される。そのアナログ電圧は,その後アナログデジタル変換器(ADC)1023を通ってデジタル信号に変換される。制御ユニット1003は,そのデジタル信号を,音声符号化,チャネル符号化,暗号化,インターリービングなどの処理のためにDSP1005に転送する。
・・・(中略)・・・
[0087] 符号化信号は,その後,大気伝送中に発生する位相や振幅の歪み等の周波数依存性障害を補償するためにイコライザ1025へ転送される。
・・・(中略)・・・
最後に,信号はアンテナ1017を介してローカルな基地局へ送信される。)」

上記引用例1の記載及び図面によれば,上記引用例1には以下の技術事項が開示されている。
a UEは,図5の影が付けられたサブフレームで,データと定期的なPUSCH CSI報告を送信している([0049])
b 基地局における効率的なリンク適応と無線チャネルを意識したパケットスケジューリングを容易にするために,UEは基地局にチャネル状態情報を(例えば,CSI報告の形で)送信する([0027])

上記技術事項およびこの分野における技術常識を考慮すると,上記引用例1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が開示されていると認める。

「アップリンクデータおよびCSIを送信するための方法であって,前記CSIはUEと基地局との間の無線チャネルにおけるリンク適応を効率的にするための情報であり,前記無線チャネルで前記アップリンクデータおよび前記CSIを同じサブフレームで送信するステップを含む方法。」

(2)周知技術
例えば,当審の拒絶の理由に引用された国際公開第2009/102724号(以下,「周知例1」という。)には,「METHOD AND SYSTEM FOR JOINT ENCODING MULTIPLE INDEPENDENT INFORMATION MESSAGES(当審仮訳:複数の独立した情報メッセージを統合符号化するための方法およびシステム)」(発明の名称)に関し図面とともに以下の事項オが記載され,また,原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2008/126623号(以下,「周知例2」という。)には,「移動通信システムにおけるユーザ装置,基地局装置及び方法」(発明の名称)に関し図面とともに以下の事項カ,キが記載されている。

オ 「[0004] In communication systems, it is generally necessary to send multiple independent information messages simultaneously from one entity to another. In a normal situation, these independent information messages are channel coded and transmitted separately. However, in certain circumstances, some independent messages can contribute to a same set of parity symbols via a so-called "joint encoding" procedure. This joint encoding procedure can save the total number of parity symbols and meanwhile get each message error-protected from the shared set of parity symbols. In addition, it can also assign a different level of error correction capabilities to different messages, because each message can still have its own unique channel coding procedure, in addition to the "joint encoding" procedure.
(当審仮訳:
[0004] 通信システムでは,一般に,あるエンティティから別のエンティティに複数の独立情報メッセージを同時に送ることが必要である。普通の状況では,これらの独立情報メッセージは通信路符号化され,別々に送信される。しかし,状況によっては,いくつかの独立のメッセージが,いわゆる「統合符号化」手順によって同じパリティ・シンボル・セットに寄与することも可能である。この統合符号化手順は,パリティシンボルの総数を節約することができ,それと同時に,各メッセージに共用パリティ・シンボル・セットから誤り保護を受けさせることができる。加えて,統合符号化手順は,異なるメッセージに異なるレベルの誤り訂正機能を割り当てることもできる。というのは,各メッセージは,「統合符号化」手順に加えて,引き続き各メッセージ独自の通信路符号化手順も有することが可能であるからである。)」

カ 「[0020] 符号化部305は,多重制御情報をチャネル符号化する。チャネル符号化は,当該技術分野で既知の適切な様々な方式でなされてもよい。例えば,畳み込み符号化,ターボ符号化,リードマーラー(Reed Muller)符号化等が行われてもよい。符号化部305は,必要に応じてチャネル符号化後の信号をパンクチャリングし,伝送レート又は品質を調整してもよい。この場合において,CQIに相当するビットだけが抽出されるように,パンクチャリングが行われてもよい。更にはCQIの下位ビットがなるべく抽出されるようにパンクチャリングが行われてもよい。」

キ 「[0074] 本実施例では,送達確認情報とチャネル状態情報とが結合(多重)され,結合後の信号がまとめてチャネル符号化される。チャネル符号化される情報単位が大きくなるので,符号化利得が大きくなり,誤り訂正能力を高めることができる。本実施例は,送達確認情報の誤り耐性を高める観点から特に好ましい。」

上記摘記事項オ?キに記載されているように,無線通信システムにおいて,パリティシンボル総数の削減や誤り訂正能力の向上を目的として「2種類の制御情報を統合してチャネル符号化すること。」(以下,「周知技術」という。)は周知である。

4 対比・判断
本願発明と引用発明を対比すると,

a 引用発明の「アップリンクデータ」がペイロードデータであることは明らかであって,本願発明の「ペイロード・データ列」に相当する。

b 引用発明の「CSI」は,引用例1に「チャネル状態情報 (CSI)」([0026])とあるように「チャネル状態情報」を意味しており,また,引用発明の「無線チャネルにおけるリンク適応を効率的にするための情報」は「無線チャネル上でリンク適応のための情報」ともいえる。
さらに,引用発明の「UEと基地局」が「ワイヤレス・ネットワーク」を構成することは明らかである。
そうすると,引用発明の「CSI」は本願発明の「チャネル状態情報」に相当し,また,引用発明の「前記CSIはUEと基地局との間の無線チャネルにおけるリンク適応を効率的にするための情報であり」は本願発明の「前記チャネル情報はワイヤレス・ネットワークの無線チャネル上でリンク適応のための情報であり」に相当する。

c 本願発明の「無線チャネルで」「送信」される「コードワード」に関し,本願発明の「前記コードワードが前記ペイロード・データ列と前記チャネル情報の両方を含む」との構成および上記a,bでの検討を参酌すれば,引用発明の「前記アップリンクデータおよび前記CSI」とは「前記ペイロード・データ列およびチャネル情報」の点で共通する。

d 引用発明の「前記アップリンクデータおよび前記CSI」は「同じサブフレームで送信」されるから「同時送信」されることは明らかであって,引用発明の「送信するための方法」は「同時送信するための方法」といえる。

以上をまとめると,本願発明と引用発明は,以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「ペイロード・データ列およびチャネル情報を同時送信するための方法であって,前記チャネル情報はワイヤレス・ネットワークの無線チャネル上でリンク適応のための情報であり,前記無線チャネルで前記ペイロード・データ列およびチャネル情報を送信するステップを含む方法。」

(相違点1)
本願発明が「チャネル・エンコーダを使用して前記ペイロード・データ列をコードワードに符号化するステップ」を含むのに対し,
引用発明はそのようなステップを含まない点。

(相違点2)
「送信するステップ」において送信されるものが,
本願発明では「前記コードワード」であるのに対し,
引用発明では「前記アップリンクデータおよび前記CSI」である点。

(相違点3)
本願発明が「前記チャネル・エンコーダを使用して前記チャネル情報を前記コードワードに符号化するステップ」をさらに含むのに対し,
引用発明はそのようなステップを含まない点。

(相違点4)
本願発明では「前記コードワードが前記ペイロード・データ列と前記チャネル情報の両方を含む」のに対し,
引用発明ではそもそも「コードワード」を扱っていない点。

以下に,上記(相違点1)?(相違点4)をまとめて検討する。
一般に無線通信システムにおいて,伝送するデータの信頼性を高める目的でチャネル符号化が普通に行われており,引用例1においてUEがチャネル符号化を行うことが記載されている([0086],図10)ことも勘案すれば,引用発明において送信するデータである「アップリンクデータおよびCSI」をチャネル符号化することは当業者が普通になし得ることである。
ここで,上記「3 引用発明と周知技術」の項中の「(2)周知技術」の項に記したように,無線通信システムにおいて,パリティシンボル総数の削減や誤り訂正能力の向上を目的として「2種類の制御情報を統合してチャネル符号化すること。」が周知技術であるが,そのようなパリティシンボル総数の削減や誤り訂正能力の向上という効果は,統合される情報が制御情報以外(例えば,ペイロードデータ)の場合にも得られることは当業者にとり明らかである。
そうすると,引用発明において,「同じサブフレームで」送信されるデータである「アップリンクデータおよびCSI」をチャネル符号化する際に,パリティシンボル総数の削減や誤り訂正能力の向上を目的として上記周知技術を採用し,「アップリンクデータ」と「CSI」を「統合してチャネル符号化すること」は,当業者が容易に想到し得たものと認められる。
このとき,「アップリンクデータ」と「CSI」はいずれも符号器である「チャネル・エンコーダ」を使用して「符号化」されることは自明であり,また,上記周知技術の目的(パリティシンボル総数の削減や誤り訂正能力の向上)に鑑みれば,「統合してチャネル符号化」される「アップリンクデータ」と「CSI」とが,誤り訂正符号化の単位である「コードワード」に「符号化」されることも明らかであるから,上記(相違点1)に係る「チャネル・エンコーダを使用して前記ペイロード・データ列をコードワードに符号化するステップ」及び上記(相違点3)に係る「前記チャネル・エンコーダを使用して前記チャネル情報を前記コードワードに符号化するステップ」を引用発明1に付加することは,上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
さらにこの場合,引用発明において送信される「アップリンクデータおよびCSI」は符号化された後のデータである「コードワード」となることは明らかであり,また,該「コードワード」は,もともと「アップリンクデータおよびCSI」が「符号化」されたものであるから,「アップリンクデータおよびCSIの両方を含む」といい得ることも明らかである。
そうすると,引用発明において,「送信するステップ」で送信されるものを「前記コードワード」とすること(相違点2)及び「前記コードワードが前記ペイロード・データ列と前記チャネル情報の両方を含む」ようにすること(相違点4)は,いずれも,引用発明に上記周知技術を適用することで自然に達成されることに過ぎない。

そして,本願発明の作用・効果も引用発明および周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

5 むすび
したがって,本願発明は,引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-04-06 
結審通知日 2016-04-07 
審決日 2016-04-19 
出願番号 特願2013-549747(P2013-549747)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷川 篤男北村 智彦  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 林 毅
新川 圭二
発明の名称 リンク適応のためのデータ列およびチャネル情報の同時送信および受信のための方法および装置  
代理人 吉澤 弘司  
代理人 岡部 讓  

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