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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01V
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01V
管理番号 1319040
審判番号 不服2015-12372  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-30 
確定日 2016-09-08 
事件の表示 特願2012-535947「穿孔時記録音響計測のための装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月 5日国際公開、WO2011/051776、平成25年 3月 7日国内公表、特表2013-508737〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年10月26日(パリ条約による優先権主張 2009年10月26日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成25年10月4日に手続補正書の提出がなされ、平成26年3月18日付けで拒絶理由が通知され、同年9月30日に意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成27年2月25日付けで拒絶査定がなされ、その謄本は同年3月2日に請求人に送達された。
そして、これに対し、平成27年6月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成27年6月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものであって、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
坑井環境における音響計測のための装置であって、
本体を有するダウンホールツールと、
前記本体に配置された複数の送信機と、
前記送信機から離間して前記本体に配置された受信機と、
少なくとも一つの送信機と受信機との間に、前記本体と一体に形成された減衰器と、を備え、
各送信機が、前記受信機から異なる軸方向距離、離間しており、
前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記本体の減衰器区分に配置されている、装置。」

第3 引用例及びその記載事項
1 本願の優先権主張日前に頒布された刊行物であって、原査定の拒絶の理由に引用された英国特許出願公開第02381847号明細書(以下、「引用例1」という。)について

(1)引用例1には、次の事項が記載されている。(下線は当審により付加したものである。)
ア 「Referring to the drawings wherein like characters are used for like parts throughout the several views, Figure 1 is a general illustration of a drilling assembly in accordance with the invention. The drilling assembly includes a drill rig 10 coupled to a drilling string 12 having a downhole acoustic logging tool 100 in accordance with the invention coupled to its distal end for performing acoustic investigations of subsurface formations 14 traversed by a bore hole 16. 」(第7頁第16-21行)
(当審仮訳:同様の符号が、同様の部品に対して用いられる図面を参照すると、図1は、本発明に従ったドリルアセンブリの概略図である。ドリルアセンブリは、坑井16が通過する地下層14について音響による調査を行うために、先端部に本発明に従ったダウンホール音響記録ツール100を有するドリルストリング12につなげられたドリルリグ10を含むものである。)

イ 「Referring to Figure 1A, in one embodiment the acoustic logging tool 100 comprises a hollow longitudinally extending body 101 adapted to be placed in a borehole. The tool 100 also comprises at least one transmitter 102 and at least one receiver 104 mounted on the tool body 101 axially spaced apart from each other. Additionally, the tool 100 comprises an attenuator 105 positioned along the tool body 101 to attenuate acoustic energy traveling through the tool body 101. The attenuator 105 comprises a member having one or more cavities 106 disposed therein and a plurality of particles 108 disposed within the one or more cavities 106. The attenuator 105 may be formed integral with the tool body 101 wherein a section of the tool body 101 comprises the member, such as shown in Figure 1A for example, or the attenuator 105 may be a distinct member coupled to the tool body 101, as shown in Figure 9 for example. 」(第7頁第22行-第8頁第2行)
(当審仮訳:図1Aを参照すると、一実施例においては、音響記録ツール100は、坑井に配置されることに適合した長手方向に伸びる中空の本体101からなる。ツール100は、また、ツール本体101上に、軸方向に互いに離れて固定された少なくとも1つの送信機102と少なくとも1つの受信機104を含む。加えて、ツール100は、ツール本体101を伝搬する音響エネルギーを減衰するために、ツール本体101に沿って配置された減衰器105を含む。減衰器105は、ツール本体101に配置された1つ以上のキャビティ106と当該1つ以上のキャビティ106内部に配置される複数の粒子108とを有する部材からなる。減衰器105は、ツール本体101の一部が、例えば、図1Aで示されるような部材からなる、ツール本体101の一部分として形成されてもよいし、減衰器105は、例えば図9に示されるような、ツール本体101に固定される別個の部材であってもよい。)

ウ 「In the embodiment shown in Figure 1A, the attenuator 105 is disposed between the at least one transmitter 102 and the at least one receiver 104. Those skilled in the art will appreciate that in other embodiments, the attenuator 105 may be disposed proximal to one or more transmitters 102, such as behind or around the transmitter(s) 102, and/or may be disposed proximal to one or more receivers 104, such as above or around the receiver(s) 104, or anywhere along the tool body 101 there between. Additionally, in other embodiments, the attenuator 105 may be disposed along the tool body 101 above or below transmitter-receiver spacing, such as below the transmitter 102 or above the receiver 104 to reduce reflected acoustical energy from tool or borehole discontinuities above and below or to reduce unfavorable acoustical energy coupled from the surrounding formation back to the tool 100. 」(第8頁第3-12行)
(当審仮訳:図1Aに示された実施例においては、減衰器105は、少なくとも1つの送信機102と少なくとも1つの受信機104との間に配置される。当業者は、他の実施例において、減衰器105が、1つ又はそれ以上の送信機102の近傍、例えば、1つ又はそれ以上の送信機102の後方又は周囲に、かつ/又は、1つ又はそれ以上の受信機1-4の近傍、例えば、上方又は周囲に、又はツール本体101の長手方向に沿った送受信器の間のいずれの位置に、配置されてもよいことが理解されよう。加えて、他の実施例においては、減衰器105が、送信機と受信機の間のスペースの上方又は下方に配置されてもよく、例えば、音響記録ツール又は坑井の上方と下方の不連続部から反射された音響エネルギーを低減するため又は周囲の地層からツール100に戻る音響エネルギーと結合された望ましくない音響エネルギーを低減させるために、減衰器105が、送信機102の下方又は受信機104の上方に配置されてもよい。)

エ FIG. 1


オ FIG. 1A


カ FIG. 9


(2)引用例1に記載された発明
ア 上記(1)アにおける「ダウンホール音響記録ツール100」と、上記(1)イにおける「音響記録ツール100」及び「ツール100」が各々同じ部材であることは明らかである。

イ 上記(1)イにおける「長手方向に伸びる中空の本体101」及び「ツール本体101」と、上記(1)ウにおける「ツール本体101」がそれぞれ同じ部材であることは明らかである。

ウ 上記(1)ウの記載から、減衰器105が、1つ又はそれ以上の送信機102の周囲とツール本体101の長手方向に沿った送受信器の間の位置とに、配置される構成が記載されていると理解できる。

エ 上記アないしウを前提に上記(1)アないしウの記載及び同エないしカの図面の記載を総合すると、引用例1には、つぎの発明が記載されているものと認められる。

「坑井16が通過する地下層14について音響による調査を行うために、先端部にダウンホール音響記録ツール100を有するドリルストリング12につなげられたドリルリグ10を含むドリルアセンブリであって、
ダウンホール音響記録ツール100は、坑井に配置されることに適合した長手方向に伸びる中空のツール本体101からなるとともに、ダウンホール音響記録ツール100は、また、ツール本体101上に、軸方向に互いに離れて固定された少なくとも1つの送信機102と少なくとも1つの受信機104を含むものであり、ダウンホール音響記録ツール100は、さらに、ツール本体101を伝搬する音響エネルギーを減衰するために、ツール本体101に沿って配置された減衰器105を含むものであり、
減衰器105は、ツール本体101に配置された1つ以上のキャビティ106と当該1つ以上のキャビティ106内部に配置される複数の粒子108とを有する部材からなるものであり、ツール本体101の一部分として形成され、1つ又はそれ以上の送信機102の周囲とツール本体101の長手方向に沿った送受信器の間の位置とに、配置される
ドリルアセンブリ」(以下、「引用発明」という。)

第4 本願発明と引用発明との対比
1 引用発明の「先端部にダウンホール音響記録ツール100を有するドリルストリング12につなげられたドリルリグ10を含むドリルアセンブリ」は、「坑井16が通過する地下層14について音響による調査を行うため」のダウンホール音響記録ツール100を含むものであるから、本願発明の「坑井環境における音響計測のための装置」に相当する。

2 引用発明の「ダウンホール音響記録ツール100は、坑井に配置されることに適合した長手方向に伸びる中空のツール本体101からなる」ことから、引用発明の「ツール本体101」は、本願発明の「本体を有するダウンホールツール」に相当する。

3 引用発明の「ダウンホール音響記録ツール100は、また、ツール本体101上に、軸方向に互いに離れて固定された少なくとも1つの送信機102と少なくとも1つの受信機104を含むものであ」る。
よって、引用発明の「ツール本体101上に」「固定された少なくとも1つの送信器」は、本願発明の「前記本体に配置された複数の送信器」に相当する。
さらに、引用発明の「ツール本体101上に、」「少なくとも1つの送信機102」と「軸方向に」「離れて固定された」「少なくとも1つの受信機104」は、本願発明の「前記送信機から離間して前記本体に配置された受信機」に相当する。

4 引用発明の「減衰器105は、ツール本体101に配置された1つ以上のキャビティ106と当該1つ以上のキャビティ106内部に配置される複数の粒子108とを有する部材からなるものであり、ツール本体101の一部分として形成され、」「ツール本体101に沿った送受信器の間の位置に、配置される」ものであるから、「減衰器105」が、「ツール本体101の一部分として形成され」ていることは、「減衰器105」が、「ツール本体101」と一体に形成されていることに他ならない。
よって、引用発明の「ツール本体101の一部分として形成され、」「ツール本体101に沿った送受信器の間の位置に、配置される」「減衰器105」は、本願発明の「少なくとも一つの送信機と受信機との間に、前記本体と一体に形成された減衰器」に相当する。

5 本願発明の「前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記本体の減衰器区分に配置されている」という記載は、送信機を減衰器に対してどのように配置したのかが不明であって、把握することができないから、引用発明との対比の前に、その意味内容を、発明の詳細な説明を参酌して、以下検討することとする。
(1)発明の詳細な説明の段落【0039】には、「本実施の形態では、送信機302が減衰器310の隣接する溝520の間の空間に形成される。これに代えて、送信機302は減衰器310の溝520が形成される(当審注:「溝520上に」の誤記である)。」と記載されている。
(2)そして、図5bには、送信機302を減衰器310の隣接する溝520の間の空間に形成することが記載されている。
(3)また、減衰器310のうち、減衰作用を奏する部材は、図5bにおける送信機302の両側の溝520が連続して形成された領域であることは技術的に明らかである。
(4)以上のことから、本願発明の「前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記本体の減衰器区分に配置されている」という記載の意味内容は、少なくとも「送信機のうちの少なくとも一つは、減衰器の減衰作用を奏する部材が配置されている領域内で当該部材の間に配置されている」態様を包含するものであると認められる。

次に、引用発明の「減衰器105」及び「送信機102」について検討する。まず、引用発明の「減衰器105」は、「ツール本体101に配置された1つ以上のキャビティ106と当該1つ以上のキャビティ106内部に配置される複数の粒子108とを有する部材からなるものであ」るから、減衰作用を奏する部材を有するものであるといえる。そして、引用発明の「減衰器105」は、「1つ又はそれ以上の送信機102の」「周囲」に「配置され」ているものであるから、「1つ又はそれ以上の送信機102」は、「減衰器105」の減衰作用を奏する部材が配置されている領域内で当該部材の間に配置されているものといえる。

以上のことからすれば、引用発明の「減衰器105は、」「1つ又はそれ以上の送信機102の」「周囲」に、「配置され」ていることは、本願発明の「前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記本体の減衰器区分に配置されている」ことに相当する。

6 以上のことを踏まえると、本願発明と、引用発明とは、つぎの一致点で一致し、相違点において一応相違する。

<一致点>
「坑井環境における音響計測のための装置であって、
本体を有するダウンホールツールと、
前記本体に配置された複数の送信機と、
前記送信機から離間して前記本体に配置された受信機と、
少なくとも一つの送信機と受信機との間に、前記本体と一体に形成された減衰器と、を備え、
前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記本体の減衰器区分に配置されている、装置。」

<相違点>
「各送信機」が、本願発明は、「前記受信機から異なる軸方向距離、離間して」いるものであるのに対して、引用発明は「前記受信機から異なる軸方向距離、離間して」いるのかが定かでない点

第5 当審の判断
1 相違点について
坑井が通過する地下層について音響による調査する装置において、送信機は装置から地下層の表面に対して音波を放射するものであるところ、送信機が相互干渉しないように、送信機同士を軸方向に対して異なる位置に配置することは、普通に行われている。
そうすると、引用発明の「複数の送信機」においても、送信機同士をツール本体101の軸方向に対して異なる位置に配置することが当然であるといえるし、異なる位置に配置することは、受信機から異なる軸方向距離、離間したものに他ならないから、上記相違点は実質的な相違点とはいえない。

2 したがって、本願発明は、引用発明と相違するところはなく、引用例1に記載された発明である。

3 小括
してみると、本願発明は、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物に記載された発明であるといえるから、特許法29条1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

なお、請求人は、平成28年1月21日付け上申書において、請求項1について、「前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記本体の減衰器区分に配置されている」との記載を、「前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記本体の減衰器区分上に配置されている」と誤訳訂正することを希望している。
しかしながら、引用発明の「送信器102」は、「減衰器105」を一体に形成した「ツール本体101上に」「固定」されるものであるし、上記第4の5で検討したように、引用発明における「送信機」は、減衰器区分に配置されているものであるから、引用発明における「送信器102」は、減衰器区分上に配置されているものといえる。
したがって、上記誤訳訂正を認めたとしても、依然として、本願発明は、引用発明と相違するところはなく、引用例1に記載された発明である。

第6 結論
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当する発明であって特許を受けることができないものであるから、その他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-23 
結審通知日 2016-03-24 
審決日 2016-04-28 
出願番号 特願2012-535947(P2012-535947)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01V)
P 1 8・ 113- Z (G01V)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 東松 修太郎北川 創  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 渡戸 正義
麻生 哲朗
発明の名称 穿孔時記録音響計測のための装置  
代理人 松下 満  
代理人 弟子丸 健  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 辻居 幸一  
代理人 井野 砂里  
代理人 倉澤 伊知郎  
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