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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05B
管理番号 1319069
審判番号 不服2014-21071  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-17 
確定日 2016-09-07 
事件の表示 特願2011-537592号「LED照明コントローラ」拒絶査定不服審判事件〔平成22年5月27日国際公開、WO2010/059753、平成24年6月7日国内公表、特表2012-513075号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年11月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年11月18日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、平成25年9月27日付けで拒絶理由が通知され、平成26年3月31日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともにこれと同時に手続補正がなされ、同年10月27日付けで手続補正指令書(方式)が通知され、同年11月26日に審判請求書を補正する手続補正書(方式)が提出され、その後当審において、平成27年7月30日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月4日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成28年2月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「複数のLED光源と、
互いに直列接続された複数のスイッチモード電源コントローラの一つである第1のスイッチモード電源コントローラと、を備え、
前記第1のスイッチモード電源コントローラは、
前記LED光源への電流を調整する調整部であって、前記LED光源から所定の明るさを得るためのレベルで電流を固定する前記調整部を有する低電圧プログラマブル電流源と、
外部デバイス又は他のスイッチモード電源コントローラからの通信を受信する第1の通信ポートと、
前記複数のスイッチモード電源コントローラ間で上り方向と下り方向の通信機能が提供できるように前記複数のスイッチモード電源コントローラをデイジーチェーン式で接続して、該デイジーチェーン式で接続された他のスイッチモード電源コントローラの第1の通信ポートへの通信を送信する第2の通信ポートと、
ヒートシンク温度センサと、
動きを検出するための手段と、
前記ヒートシンク温度センサにより検出されたジャンクション温度に追随して、前記複数のLED光源が前記所定の明るさの前記レベルで発光できるように前記複数のLED光源のパルス幅を調整するパルス幅変調器と、
前記動きを検出するための手段によって検出された動きに追随して前記複数のLED光源が光を生成するように、前記上り方向と下り方向の通信機能を介した前記複数のスイッチモード電源コントローラによって、前記複数のLED光源のすべてを調整する単一の手段と、
を有する、LED照明制御システム。」

第3 当審が通知した拒絶の理由
当審が通知した平成27年7月30日付けの拒絶の理由の概要は、「この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された刊行物1ないし5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、以下の刊行物1ないし5が示されている。
刊行物1:特表2005-510007号公報
刊行物2:特表2006-525665号公報
刊行物3:特表2008-504654号公報
刊行物4:特開平11-67469号公報
刊行物5:特開2008-186602号公報

第4 当審の判断
1 刊行物
(1)刊行物1の記載事項及び刊行物1に記載された発明
ア 刊行物1の記載事項
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である刊行物1(特表2005-510007号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審において付与。以下同様。)。
(1a)「【請求項1】
第1のデータ・ポートを介してデータ・ストリームを受信し、当該データ・ストリームの少なくとも第1の部分に基づいて少なくとも1つの照明条件を発生させ、第2のデータ・ポートを介して前記データ・ストリームの少なくとも第2の部分を伝達するように適合されたLED照明システムと、
前記LED照明システムを保持し、第1および第2のデータ・ポートを、第1の側と第1の側から電気的に絶縁されている第2の側とを有する少なくとも1つの不連続セクションを持つ電気的導体を備えるデータ接続部と電気的に関連付けるように適合されたハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、第1のデータ・ポートが不連続セクションの第1の側と電気的に関連付けられ、且つ第2のデータ・ポートが不連続セクションの第2の側と電気的に関連付けられるように適合されている、照明システム。」

(1b)「【請求項26】
前記LED照明システムは、前記データ・ストリームの第1の部分に応答して、前記LED照明システムによって生成される光の強さおよび色の少なくとも一つを変化させるように適合されている多色生成LED照明システムを含む請求項1に記載の照明システム。
【請求項27】
前記LED照明システムは、アナログ制御信号、PWM制御信号、および電流制御信号のうち少なくとも1つを使用してLEDを制御する請求項26に記載の照明システム。」

(1c)「【請求項120】
少なくとも1つの照明光源を制御する集積回路であって、
データ受信回路と、
前記データ受信回路に結合されている照明制御信号発生回路と、
前記データ受信回路に結合されているクロック信号発生回路と、を備え、
前記データ受信回路は、前記クロック信号発生回路によって発生したクロックパルスに合わせて、前記集積回路に入力されたシリアル・データから情報を抽出するように適合されており、
前記照明制御信号発生回路は、前記の抽出された情報に基づき少なくとも1つの照明光源を制御する少なくとも1つの照明制御信号を発生するように適合されている、集積回路。」

(1d)「【請求項123】
前記照明制御信号発生回路が少なくとも1つのスイッチング可能定電流制御信号を生成する請求項120に記載の集積回路。
【請求項124】
前記少なくとも1つのスイッチング可能定電流制御信号は、外部構成要素なしで少なくとも1つのLEDを作動させるように予め準備されている請求項123に記載の集積回路。」

(1e)「【請求項137】
データ受信回路と、
データ送信回路と、
照明制御信号発生回路と、
電圧基準回路と、を備え、
前記電圧基準回路が、前記照明制御信号発生回路により供給される電流を調整するように適合されている、集積回路。
【請求項138】
前記電圧基準回路が、前記照明制御信号発生回路から供給される電流を調整するため外部構成要素の電圧値を検知する請求項137に記載の集積回路。
【請求項139】
前記外部構成要素が抵抗器である請求項138に記載の集積回路。
【請求項140】
前記照明制御信号発生回路が、少なくとも1つのスイッチング可能定電流制御信号を発生する請求項139に記載の集積回路。」

(1f)「【請求項163】
外部電力を受け取るように適合されている電力入力ピンと、
集積回路を共通基準電位に接続するように適合されている接地ピンと、
外部構成要素に接続して、少なくとも1つのLEDを調整するための基準を前記集積回路に与えるように適合されている基準ピンと、
シリアル・データを受信するためのシリアル・データ入力ピンと、
シリアル・データを送信するためのシリアル・データ出力ピンと、
前記少なくとも1つのLEDを制御するように適合されている少なくとも1つのスイッチング可能定電流出力ピンと
を備える集積回路。」

(1g)「【0001】
[発明の分野]
本発明は、照明システムに関するものであり、より具体的には、一緒に結合することによりネットワーク化された照明システムを構成することができる各種の光源をコンピュータにより制御するための方法と装置に関するものである。」

(1h)「【0036】
図1は、さらに、プロセッサの出力ポート34を介してネットワーク24_(1)に結合されたプロセッサ22を示している。図1に示されている実施形態の一態様では、さらにプロセッサ22をユーザインターフェイス20に結合することにより、システム・オペレータまたはネットワーク管理者がネットワークにアクセスできるようにする(例えば、コントローラ26A、26B、および26Cのうちの1つまたは複数のコントローラへの情報の送信および/または受信、プロセッサ22のプログラミングなど)。
【0037】
図1に示されているネットワーク化された照明システムは、本質的に、バス・トポロジを使用して構成されている、つまり、各コントローラが共通バス28に結合されているということである。しかし、本発明の他の実施形態により他の種類のネットワーク・トポロジ(例えば、ツリー型、スター型、ディジーチェーン型、またはリング型トポロジ)を実装できるため、本発明はこの点で制限されていないていないことが理解されるであろう。特に、本発明の一実施形態によるネットワーク化された照明システムのディジーチェーンまたはリング型トポロジの実施例について、図3に関して後述する。また、図1に示されているネットワーク照明システムでは、プロセッサ22と1つまたは複数のコントローラ26A、26B、および26Cとの間、またはコントローラ間で、データ29を転送するためにさまざまな異なるアドレス指定方式およびデータ・プロトコルを採用することができることが理解されるであろう。本発明の目的に好適なアドレス指定方式およびデータ・プロトコルのいくつかの例について以下で詳述する。」

(1i)「【0038】
図1の実施形態にも示されているように、ネットワーク化された照明システムのそれぞれのコントローラ26A、26B、および26Cは、それに限定されないが従来の光源(例えば、蛍光灯または白熱灯)、LEDベース光源、制御可能アクチュエータ(例えば、スイッチ、リレー、モーターなど)、および各種のセンサ(例えば、光センサ、熱センサ、音響/圧力センサ、運動センサ)などのさまざまなデバイスのうちの1つまたは複数に結合されている。例えば、図1は、コントローラ26Aが蛍光灯36A、LED40A、および制御可能リレー38に結合され、同様に、コントローラ26Bはセンサ42、蛍光灯光源36B、および3個のLEDからなるグループ40Bに結合され、コントローラ26CはLEDのグループ40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)、さらに蛍光灯光源36Cに結合されている。」

(1j)「【0043】
例えば、図1に示されているネットワーク化された照明システムに基づく本発明の一実施形態では、何らかの入力刺激(例えば、光、音響/圧力、温度、運動など)に応答するセンサ42は、コントローラ26Bのデータ・ポート32を介してネットワーク24_(1)上で(例えば、プロセッサ22により)特にアクセスできる(つまり、独立にアドレス指定可能な)、コントローラ26Bの入力ポート31に信号を供給する。センサ42により出力された信号に応答して、プロセッサ22はネットワーク全体に、コントローラ26A、26B、および26Cのどれか1つに結合されている1つまたは複数の特定の光源および/または他のデバイスを制御する制御情報を含むさまざまなデータを送信ことができる。コントローラはさらに、それぞれデータを受信し、データの一部を適切な出力ポートに送る経路を選択的に指定し、特定の光源および/または他のデバイスの望むとおりの制御を行う。・・・
【0044】
前述のように、本発明の一実施形態によるネットワーク化された照明システムは、各種の空間照明用途のため、さまざまなフィードバック刺激(例えば、ネットワークの1つまたは複数のコントローラに結合されている1つまたは複数のセンサから)に応答して、複数の光源およびデバイスの動作のコンピュータによる自動制御を容易に行えるように実現することができる。例えば、家庭、オフィス、小売店、商業環境などの本発明による自動化ネットワーク化された照明応用は、エネルギー管理、省エネルギ、安全、マーケティングおよび広告、娯楽および環境整備、およびさまざまなその他の目的のため、さまざまなフィードバックの刺激(例えば、温度または自然周囲光の変化、音響または音楽、人間の動き、またはその他の運動など)に基づいて実行することができる。」

(1k)「【0049】
図2は、本発明の一実施形態によるコントローラ26の一例を示す図であり、図1のネットワーク化された照明内のコントローラ26A、26B、および26Cのうちのどれか1つとして採用することができる。図2に示されているように、コントローラ26は、入力端子32Aおよび出力端子32Bを備えるデータ・ポート32を含み、これを介して、データ29がコントローラ26との間でやり取りされる。・・・」

(1l)「【0053】
例えば、一実施形態では、図2に示されているコントローラ26の制御回路50は、出力ポート30の1つまたは複数で、パルス幅変調信号を制御信号として供給することができる。この実施形態では、さまざまな可能な実現形態において、上述のようなデジタル/アナログ変換器を必ずしも制御回路50で採用しないことも可能であることは理解されるであろう。パルス幅変調信号を使用して、LEDベースの光源内の異なる発色のLEDのそれぞれのグループを駆動することについては、例えば、上で参照された米国特許第6016038で説明されている。本発明の一実施形態により、この概念を拡張して、ネットワーク化された照明システムの他の種類の光源および/または他の制御可能デバイスを制御するようにできる。」

(1m)「【0055】
図2に示されているコントローラ26は双方向データ・ポート32を備える(つまり、データを受信する入力端子32Aおよびデータを送信する出力端子32Bを備える)だけでなく、さらに出力ポート30および入力ポート31も備えるが、本発明は図2に示されているコントローラの特定の実装に限られないことは理解されるであろう。・・・
【0056】
図3は、本発明の他の実施形態によるネットワーク化された照明システムを示す図である。図3の照明システムでは、コントローラ26A、26B、および26Cは、直列接続され、ディジーチェーンまたはリング型トポロジを持つネットワーク24_(2)を形成する。3つのコントローラが図3に示されているが、ネットワーク24_(2)を形成するためにコントローラをいくつでも直列接続できるため、この実施形態による本発明はこの点に限られないことは理解されるであろう。・・・」

(1n)図2には、以下の図が示されている。


(1o)図3には、以下の図が示されている。


イ 刊行物1に記載された発明
刊行物1には、「照明システムに関するものであり、より具体的には、一緒に結合することによりネットワーク化された照明システムを構成することができる各種の光源をコンピュータにより制御するための方法と装置」について開示されているところ(摘示(1g))、刊行物1の記載によれば、上記照明システムの実施の形態として、
ネットワーク化された照明システムのそれぞれのコントローラ26A、26B、および26Cは、LEDベース光源、制御可能アクチュエータ(例えば、スイッチ、リレー、モーターなど)、および各種のセンサ(例えば、光センサ、熱センサ、音響/圧力センサ、運動センサ)などのさまざまなデバイスのうちの1つまたは複数に結合され、コントローラ26Aが蛍光灯36A、LED40A、および制御可能リレー38に結合され、同様に、コントローラ26Bはセンサ42、蛍光灯光源36B、および3個のLEDからなるグループ40Bに結合され、コントローラ26CはLEDのグループ40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)、さらに蛍光灯光源36Cに結合されること(摘示(1i))、
図2に示されているコントローラ26は、図1のネットワーク化された照明内のコントローラ26A、26B、および26Cのうちのどれか1つとして採用することができること(摘示(1k)(1n))、
図2に示されているコントローラ26の制御回路50は、出力ポート30の1つまたは複数で、パルス幅変調信号を制御信号として供給し、LEDを駆動すること(摘示(1l)(1n))、
図2に示されているコントローラ26は双方向データ・ポート32を備える(つまり、データを受信する入力端子32Aおよびデータを送信する出力端子32Bを備える)こと(摘示(1m)(1n))、
図3の照明システムでは、コントローラ26A、26B、および26Cは、直列接続され、ディジーチェーンまたはリング型トポロジを持つネットワーク242を形成すること(摘示(1m)(1o))、
コントローラ26Bは、何らかの入力刺激(例えば、光、音響/圧力、温度、運動など)に応答するセンサ42を有し、例えば、家庭、オフィス、小売店、商業環境などの自動化ネットワーク化された照明応用は、さまざまなフィードバック刺激(例えば、温度または自然周囲光の変化、音響または音楽、人間の動き、またはその他の運動など)に基づいて実行することができること(摘示(1j))、
ネットワーク照明システムにおいて、プロセッサ22と1つまたは複数のコントローラ26A、26B、および26Cとの間、またはコントローラ間で、データ29を転送し、プロセッサ22をユーザインターフェイス20に結合することにより、システム・オペレータまたはネットワーク管理者がネットワークにアクセスできるようにする(例えば、コントローラ26A、26B、および26Cのうちの1つまたは複数のコントローラへの情報の送信および/または受信、プロセッサ22のプログラミングなど)こと(摘示(1h))、 が明らかである。

以上の摘示事項、図示内容及び認定事項を総合し、本願発明の記載に則って整理すると、刊行物1には、
「複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)と、
前記LED40Bへパルス幅変調信号を制御信号として供給して駆動する、直列接続された3つのコントローラ26A、26B、26Cのうちの一つである、第1のコントローラ26Bとを備え、
前記第1のコントローラ26Bは、
前記LED40Bへパルス幅変調信号を制御信号として供給して駆動する制御回路50と、
プロセッサ22又は他のコントローラ26A、26Cからのデータを受信する入力端子32Aと、
前記3つのコントローラ26A、26B、26C間でデータを転送できるように前記3つのコントローラ26A、26B、26Cでディジーチェーンを持つネットワークを形成し、該ネットワークを介してデータを送信する出力端子32Bと、
人間の動きに応答するセンサ42と、
前記センサ42が応答したフィードバック刺激に基づいて照明応用を実行するよう、3つのコントローラ26A、26B、26Cによって、前記複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)のすべてを制御するプロセッサ22と、
を有する、照明システム。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。

(2)刊行物2の記載事項
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である刊行物2(特表2006-525665号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(2a)「【0002】
LEDはますますさまざまな用途に用いられるようになってきており、たとえばバックライト、信号機、電飾看板、自動車、照明などに用いられる。LEDの光出力がLEDを流れる電流に直接に依存していることはよく知られている。したがって、あらゆる動作条件の間一定電流を理想的に維持するようLEDを流れる電流を一定にするためにLED電流制御回路が使われている。」

(3)刊行物3の記載事項
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である刊行物3(特表2008-504654号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(3a)「【0017】
本発明は、その中を一定電流が流れるのが望ましい電子デバイス、ならびに動作に制御信号を必要とするデバイスの駆動・制御方法を提供する。例えば、この方法は、パルス幅変調(PWM)信号、パルス符号変調(PCM)信号または当該技術において知られている、その他の任意のデジタル制御方法を用いて制御される、発光素子に対してスイッチング定電流源を提供するのに使用することができる。本発明はさらに、異なる順方向電圧を有する複数の電子デバイスに、スイッチング定電流源を供給する方法を提供する。例えば、複数発光素子列が単一の電力供給装置によって給電される場合には、本発明は、各列の高圧側での個別の電圧と、各発光素子列を通過するスイッチド定電流とを供給する方法を提供する。」

(4)刊行物4の記載事項
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である刊行物4(特開平11-67469号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(4a)「【0018】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)本実施形態では、図1に示すように、複数の照明器具10が信号線Lsを介して互いに接続される。また、各照明器具10にはそれぞれ電源線Lpが接続される。各照明器具10は、蛍光灯のような照明負荷11と人感センサ12とを備え天井に配置されている。照明負荷11は、人感センサ12および通信部14が接続された制御部13からの制御信号に基づいて制御される。通信部14は信号線Lsに接続されており、他の照明器具10との間で信号線Lsを通して人感センサ12による検知情報を授受し、制御部13から出力された情報を信号線Lsに送出したり、信号線Lsからの情報を制御部13に与えたりする。したがって、他の照明器具10に設けた人感センサ12による検知情報に基づいて他の照明器具10と連動して照明負荷11を制御することになる。・・・」

(4b)「【0020】たとえば、図3に示すように、人Mが1人だけであってグループG_(1) のAで示した照明器具10(以下では、「照明器具A」のように記述する)の直下に人Mが来たときには、照明器具Aが点灯するとともに照明器具Aの直下に人Mが存在することをグループG_(1) の他の照明器具10に信号線Lsを介して通知する。他の照明器具10への通知は照明器具Aの直下に人Mが存在する間は定期的に行なわれる。ここで、グループG_(1) 内の他の照明器具10ではグループG_(1) 内で1つの照明器具Aしか人Mを検知していないと認識するから点灯しないと判断する。つまり、この状態では人Mが直下に存在する照明器具Aのみが点灯する(点灯している状態を白抜きで示し、消灯している状態を斜線で示している)。」

(4c)「【0021】ここで、図4のように人Mが照明器具Bの直下に移動すると、照明器具Bが点灯し、照明負荷Aの照明負荷11は点灯保持時間の経過後に消灯する。このとき照明器具BはグループG_(1) 内の他の照明器具10に人の存在を定期的に通知することになる。また、この場合も照明器具Aが消灯した後は照明器具Bのみが点灯することになる。」

(4d)図3には、以下の図が示されている。


(4e)図4には、以下の図が示されている。


2 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明における「複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)」が、本願発明の「複数のLED光源」に相当することは明らかである。

イ 引用発明において、「前記LED40Bへパルス幅変調信号を制御信号として供給して駆動する、直列接続された3つのコントローラ26A、26B、26C」の各「コントローラ」は、「LED40Bへパルス幅変調信号を制御信号として供給して駆動する」ものであり、パルス幅変調信号を生成するためにはスイッチング動作が必要であることは明らかであるから、前記各「コントローラ」は、スイッチモード電源コントローラであるといえる。
したがって、引用発明の「前記LED40Bへパルス幅変調信号を制御信号として供給する、直列接続された3つのコントローラ26A、26B、26Cのうちの一つである、第1のコントローラ26B」は、本願発明の「互いに直列接続された複数のスイッチモード電源コントローラの一つである第1のスイッチモード電源コントローラ」に相当する。

ウ 引用発明における「前記LED40Bへパルス幅変調信号を制御信号として供給して駆動する制御回路50」は、「パルス幅変調信号」である「制御信号」によって「前記LED40B」へ供給する電流を制御し、所定の明るさを得られるよう、「前記LED40B」へ供給する電流を調整する電流源であるといえるから、引用発明における「前記LED40Bへパルス幅変調信号を制御信号として供給して駆動する制御回路50」と、本願発明における「前記LED光源への電流を調整する調整部であって、前記LED光源から所定の明るさを得るためのレベルで電流を固定する前記調整部を有する低電圧プログラマブル電流源」とは、「前記LED光源への電流を調整する調整部であって、前記LED光源から所定の明るさを得るよう電流を調整する前記調整部を有する電流源」の限度で共通するといえる。

エ 引用発明における「プロセッサ22又は他のコントローラ26A、26Cからのデータを受信する入力端子32A」は、その機能、構成からみて、本願発明における「外部デバイス又は他のスイッチモード電源コントローラからの通信を受信する第1の通信ポート」に相当する。

オ 引用発明における「3つのコントローラ26A、26B、26C」で「形成」された「ディジーチェーンを持つネットワーク」において、「データ」は「コントローラ」間で双方向に通信されるものであるから(摘示(1m)(1h)(1o))、引用発明における「前記3つのコントローラ26A、26B、26C間でデータを転送できるように前記3つのコントローラ26A、26B、26Cでディジーチェーンを持つネットワークを形成し、該ネットワークを介してデータを送信する出力端子32B」は、本願発明における「前記複数のスイッチモード電源コントローラ間で上り方向と下り方向の通信機能が提供できるように前記複数のスイッチモード電源コントローラをデイジーチェーン式で接続して、該デイジーチェーン式で接続された他のスイッチモード電源コントローラの第1の通信ポートへの通信を送信する第2の通信ポート」に相当する。

カ 引用発明における「人間の動きに応答するセンサ42」は、本願発明における「動きを検出するための手段」に相当することは明らかである。

キ 引用発明における「パルス幅変調信号」は「前記LED40Bへ」「制御信号として供給」されるものであるから、引用発明における「パルス幅変調信号」のパルス幅が、本願発明における「前記LED光源のパルス幅」に相当するものである。
また、引用発明における「前記LED40Bへパルス幅変調信号を制御信号として供給して駆動する制御回路50」は、「パルス幅変調信号」のパルス幅を調整して供給するものであることは明らかであるから、本願発明における「前記ヒートシンク温度センサにより検出されたジャンクション温度に追随して、前記複数のLED光源が前記所定の明るさの前記レベルで発光できるように前記複数のLED光源のパルス幅を調整するパルス幅変調器」と、「前記複数のLED光源のパルス幅を調整するパルス幅変調器」の限度で共通するものといえる。

ク 引用発明において、「プロセッサ22」は、「前記センサ42が応答したフィードバック刺激に基づいて」「複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)」を「駆動」して光を生成するように、「ネットワークを介してデータを」「転送」した「3つのコントローラ26A、26B、26C」によって、前記「複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)」のすべてを制御するものであり、引用発明の「照明システム」において、ただ1つ、設けられているものであるから、引用発明における「前記センサ42が応答したフィードバック刺激に基づいて照明応用を実行するよう、3つのコントローラ26A、26B、26Cによって、複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)のすべてを制御するプロセッサ22」と、本願発明における「前記動きを検出するための手段によって検出された動きに追随して前記複数のLED光源が光を生成するように、前記上り方向と下り方向の通信機能を介した前記複数のスイッチモード電源コントローラによって、前記複数のLED光源のすべてを調整する単一の手段」とは、「前記動きを検出するための手段によって検出された動きに基づいて前記複数のLED光源が光を生成するように、前記上り方向と下り方向の通信機能を介した前記複数のスイッチモード電源コントローラによって、前記複数のLED光源のすべてを調整する単一の手段」の限度で共通するものといえる。

ケ 引用発明における「照明システム」は、「照明」の光源を「複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)」とするものであるから、本願発明の「LED照明制御システム」に相当することは明らかである。

したがって、本願発明と引用発明とは、
「複数のLED光源と、
互いに直列接続された複数のスイッチモード電源コントローラの一つである第1のスイッチモード電源コントローラと、を備え、
前記第1のスイッチモード電源コントローラは、
前記LED光源への電流を調整する調整部であって、前記LED光源から所定の明るさを得るよう電流を調整する前記調整部を有する電流源と、
外部デバイス又は他のスイッチモード電源コントローラからの通信を受信する第1の通信ポートと、
前記複数のスイッチモード電源コントローラ間で上り方向と下り方向の通信機能が提供できるように前記複数のスイッチモード電源コントローラをデイジーチェーン式で接続して、該デイジーチェーン式で接続された他のスイッチモード電源コントローラの第1の通信ポートへの通信を送信する第2の通信ポートと、
動きを検出するための手段と、
前記動きを検出するための手段によって検出された動きに基づいて前記複数のLED光源が光を生成するように、前記上り方向と下り方向の通信機能を介した前記複数のスイッチモード電源コントローラによって、前記複数のLED光源のすべてを調整する単一の手段と、
前記複数のLED光源のパルス幅を調整するパルス幅変調器と、
を有する、LED照明制御システム。」の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
「第1のスイッチモード電源コントローラ」が有する「電流源」について、本願発明では「前記LED光源から所定の明るさを得るためのレベルで電流を固定する」調整部を有する「低電圧プログラマブル電流源」であるのに対し、引用発明においてはそのような特定がなされていない点。
〔相違点2〕
本願発明において、「単一の手段」が動きを検出するための手段によって検出された動きに「追随して」複数のLED光源が光を生成するように構成されているのに対し、引用発明においてはそのような特定がなされていない点。
〔相違点3〕
本願発明は「ヒートシンク温度センサ」を有し、「パルス幅変調器」が「前記ヒートシンク温度センサにより検出されたジャンクション温度に追随して、前記複数のLED光源が前記所定の明るさの前記レベルで発光できるように前記複数のLED光源のパルス幅を調整する」ものであるのに対し、引用発明においてはそのような特定がなされていない点。

(2)判断
ア 上記相違点1について検討する。
刊行物1には、LEDへパルス幅変調信号を制御信号として供給して駆動する制御回路が、前記LEDへ、「スイッチング可能定電流制御信号」を供給することも、記載ないし示唆されているから(摘示(1c)ないし(1f))、引用発明において「第1のスイッチモード電源コントローラ」が有する「電流源」を、LED光源から所定の明るさを得るためのレベルで電流を固定する(定電流とする)調整部を有する電流源とすることも、当然想定されている。
よって、上記相違点1は実質的な相違点ではない。
また、本願発明と引用発明とが上記相違点1で実質的に相違するとしても、LED光源を用いた照明システムにおいて、LED光源へ電流を供給する電流源を、LED光源から所定の明るさを得るためのレベルで電流を固定する(定電流とする)調整部を有する電流源とすることは、例えば刊行物2,3にも記載のとおり当業者にとって周知の技術的事項であるから(摘示(2a)(3a))、引用発明において前記周知の技術的事項を適用し、第1のスイッチモード電源コントローラが有する電流源を、LED光源から所定の明るさを得るためのレベルで電流を固定する(定電流とする)調整部を有する電流源とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

イ 上記相違点2について検討する。
刊行物1には、
「前述のように、本発明の一実施形態によるネットワーク化された照明システムは、各種の空間照明用途のため、さまざまなフィードバック刺激(例えば、ネットワークの1つまたは複数のコントローラに結合されている1つまたは複数のセンサから)に応答して、複数の光源およびデバイスの動作のコンピュータによる自動制御を容易に行えるように実現することができる。例えば、家庭、オフィス、小売店、商業環境などの本発明による自動化ネットワーク化された照明応用は、エネルギー管理、省エネルギ、安全、マーケティングおよび広告、娯楽および環境整備、およびさまざまなその他の目的のため、さまざまなフィードバックの刺激(例えば、温度または自然周囲光の変化、音響または音楽、人間の動き、またはその他の運動など)に基づいて実行することができる。」(摘示(1j))と記載されているから、引用発明も、「人間の動き」に「基づいて」(すなわち「人間の動き」に追随して)、複数のLED光源が光を生成するように調整するものといえる。
よって、上記相違点2は実質的な相違点ではない。
また、本願発明と引用発明とが、上記相違点2で実質的に相違するとしても、刊行物4には、照明制御システムにおいて、動きを検出するための手段(人感センサ12)によって検出された動きに追随して複数の光源(照明負荷11)が光を生成するように、通信機能(通信部14,通信線Ls)を介した複数のコントローラ(制御部13)によって前記複数の光源を調整するよう構成することが記載されているから(摘示(4a)ないし(4e))、引用発明において刊行物4に記載の技術的事項を適用し、動きを検出するための手段によって検出された動きに追随して複数のLED光源が光を生成するように、前記複数のLED光源のすべてを調整するよう構成することは、当業者であれば容易になし得たことである。

ウ 上記相違点3について検討する。
複数のLED光源を用いた照明に関する技術分野において、複数のLED光源を過熱から保護するために、複数のLED光源のジャンクション温度を検出するヒートシンク温度センサを設けることは当業者にとって周知の技術的事項であり(例えば、特開2004-319595号公報の段落【0024】、【0029】ないし【0031】、国際公開第2008/056321号の第11頁第21行ないし第23行参照)、検出したジャンクション温度に追随して複数のLED光源が所定の明るさのレベルで発光できるように前記複数のLED光源へ供給される電力を制限することも当業者にとって周知の技術的事項である(例えば、特開2004-319595号公報の段落【0028】、【0042】、特開2006-66498号公報の段落【0038】参照)。
LED光源を用いた照明に関する技術分野において、複数のLED光源を過熱から保護することは、LED光源を用いた照明が有するごく一般的な技術課題であるから、LED照明制御システムである引用発明においてもそのような技術課題は当然内在するものといえ、これを解決しようと試みる動機付けも十分存在する。
よって、引用発明において、複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)(本願発明の「複数のLED光源」に相当)を過熱から保護するために、上記周知の技術的事項を適用し、コントローラ26A、26B、26Cにヒートシンク温度センサを設け、前記ヒートシンク温度センサで検出したジャンクション温度に追随して前記複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)が所定の明るさのレベルで発光できるように、前記複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)へ供給される電力を制限することは、当業者であれば容易になし得たことである。またその際、コントローラ26A、26C(本願発明の「他のスイッチモード電源コントローラ」に相当)をコントローラ26B(本願発明の「第1のスイッチモード電源コントローラ」に相当)と同様のものとし、前記複数のLED40A、40B、40C_(1)、40C_(2)、40C_(3)へ供給される電力を、制御回路50(本願発明の「パルス幅変調器」に相当)を用いてパルス幅変調信号のパルス幅を調整して制限することは、当業者にとって格別困難なことではない。

エ 本願発明の作用効果は、引用発明、刊行物1、4に記載の技術的事項及び上記周知の技術的事項から当業者が予測し得る範囲のものといえ、格別顕著なものということはできない。

オ ところで、審判請求人は、平成28年2月4日付け意見書の(4)において、刊行物1?4のいずれにも「前記ヒートシンク温度センサにより検出されたジャンクション温度に追随して、前記複数のLED光源が前記所定の明るさの前記レベルで発光できるように前記複数のLED光源のパルス幅を調整するパルス幅変調器」の開示も示唆もなく、刊行物1?4に記載された発明では、本願発明のような、温度が上限に近づくとLEDの光を弱めることができ、LEDをその定格温度動作範囲内に維持することが可能となるという有利な効果を奏することができないから、本願発明は、刊行物1?4に基いて容易に発明することができたものではない旨主張する。
しかしながら、上記「ウ」で述べたとおり、複数のLED光源を用いた照明に関する技術分野において、複数のLED光源を過熱から保護するために、複数のLED光源のジャンクション温度を検出するヒートシンク温度センサを設けることは当業者にとって周知の技術的事項であり、検出したジャンクション温度に追随して複数のLED光源が所定の明るさのレベルで発光できるように前記複数のLED光源へ供給される電力を制限することも当業者にとって周知の技術的事項といえるから、審判請求人の上記主張は採用できない。

カ まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物1、4に記載の技術的事項及び上記周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものといえるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-31 
結審通知日 2016-04-05 
審決日 2016-04-18 
出願番号 特願2011-537592(P2011-537592)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 惠里加柿崎 拓  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 氏原 康宏
櫻田 正紀
発明の名称 LED照明コントローラ  
代理人 鈴木 壯兵衞  
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