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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1319108
審判番号 不服2015-16655  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-10 
確定日 2016-09-07 
事件の表示 特願2011-145569「タッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月26日出願公開、特開2012-141947〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成23年6月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年12月29日 韓国)の出願であって、平成26年8月26日付けで拒絶理由が通知され、平成27年5月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[結論]
平成27年9月10日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
平成27年9月10日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された

「【請求項1】
第1タッチの発生を感知する過程と、
前記第1タッチの維持を感知する過程と、
前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチの発生を感知する過程と、
前記第1タッチを基準として前記第2タッチの方向を決める過程と、
前記第1タッチに対応する一つ以上のオプションメニューのうち、前記第2タッチの方向に基づいて一つ以上の機能を含む一つのオプションメニューを画面にディスプレイする過程とを含むことを特徴とするタッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を

「【請求項1】
タッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法において、
第1タッチを感知する過程と、
前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチを感知する過程と、
前記第2タッチが感知されると、前記第1タッチの位置がアイコン、背景領域及び実行中の機能画面のうちの1つであるかを確認する過程と、
前記確認された第1タッチの位置に対応して一つ以上の機能を含むオプションメニューを画面にディスプレイする過程とを含むことを特徴とするタッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法。」

という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正する補正事項を含むものである。(下線は補正事項を示している。)

2.補正の適否
(1)補正の目的要件
本件補正のうち上記補正事項は、本願発明に記載された「前記第1タッチを基準として前記第2タッチの方向を決める過程」という発明特定事項を削除すること、及び、本願発明に記載された「前記第1タッチに対応する一つ以上のオプションメニューのうち、前記第2タッチの方向に基づいて一つ以上の機能を含む一つのオプションメニューを画面にディスプレイする過程」を、「第1タッチの位置に対応して一つ以上の機能を含むオプションメニューを画面にディスプレイする過程」として、「ディスプレイする過程」に関する「前記第2タッチの方向に基づいて」という発明特定事項を削除することを少なくとも含むものであり、特許請求の範囲を限定的に減縮するものとはいえない。また、請求項の削除、誤記の訂正または明りょうでない記載の釈明のいずれの事項を目的としていないことは明らかである。
したがって、上記補正事項は特許法第17条の2第5項(補正の目的)の各号のいずれを目的とするものでもない。

(2)独立特許要件について
上記(1)に記載したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項(補正の目的)の各号のいずれにも該当しない補正を含むものであって、却下すべきものであるが、上記補正が、仮に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについても、以下検討する。

ア.補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

イ.引用発明
原査定の拒絶の理由において引用された、特開2009-104268号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審において付加した。)

a.「【0003】
一方で、現在GUI操作用のポインティングデバイスとしてタッチパネルを用いる方法が、液晶ディスプレイなどのディスプレイに表示されているアイコンを直接押下(タッチ)できるため、上記のマウスなどのポインティングデバイスよりもユーザが直感的に操作することができ、且つディスプレイ上で操作できるためマウスの操作に必要であった作業用のスペースが不要であるという点から、注目されるようになった。このため、使用用途によっては、今後情報機器に用いられるポインティングデバイスが、従来のマウスからタッチパネルに置き換えられることが推測される。」

b.「【0008】
本発明では、タッチパネルにおいて、マウスで一般的に使用されるドラッグ&ドロップや左クリック、右クリックなどのボタン操作と同等の機能を提供することを目的とする。」

c.「【0010】
また、2点の座標をそれぞれ検出する場合には、1点目の座標と2点目の座標の位置関係によって、例えば1点目よりも2点目の座標が左側であれば左クリック、右側であれば右クリックしたと識別することが可能となる。」
d.「【0041】
本発明の第3の実施形態による、タッチパネル100の座標検出方法について説明する。尚、本実施形態における座標検出装置は、第1、第2の実施形態と同様に図1の構成である。
【0042】
第1の実施形態では、1点目に押下した座標を、2点目を押下した時点で選択するという単純な座標検出方法であったが、多くのマウスは左右2個のボタンで左クリック、右クリックを使い分ける使用方法が一般的である。
【0043】
そこで本実施形態では、タッチパネル100によってマウスの左クリック・右クリックの機能を実現するための座標検出方法について、図8に示す座標検出部103のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
まずS31において座標算出部101から座標が入力されたかどうか判定し、座標が入力されなかった場合(No)はS32で座標記憶部104をクリアし、S33にて座標が未検出であるという座標検出結果105を出力する。
【0045】
一方で、S31において座標が入力された場合(Yes)は、S34で入力された座標数が1点であるかどうかを判定し、1点のみ座標が入力された場合(Yes)はS35で入力された座標を座標記憶部104に格納した後に、S33で座標データのみを座標検出結果105として出力し座標検出を終了する。
【0046】
また、S34で2点の座標が入力された場合(No)はS36で座標記憶部104にデータがあるか判定を行い、データがなければ(No)S32で座標記憶部104をクリアし、座標検出を終了する。S36で座標記憶部104にデータがあった場合(Yes)は、タッチパネル100において1点目が押下された後に2点目が押下されたことを意味しており、S37で座標記憶部104から前回入力された座標を読み出し、今回入力された2点の座標の中で読み出した座標と近い方を1点目の座標、他方を2点目の座標と識別する。次いでS38にて、S37で1点目と識別した座標に対して2点目と識別した座標が左側にあるかどうか判定し、左側であった場合(Yes)は、S39においてS37で1点目と識別した座標で左クリック操作がされたと判定し、S40(審決注:「S40」とあるのは「S33」の誤記と認める。)においてS37で1点目及び2点目と識別した2点の座標データと1点目として識別した座標が左クリックされたという座標検出結果105を出力する。一方、S38においてS37で1点目と識別した座標に対して2点目と識別した座標が右側であった場合(No)は、S41においてS37で1点目として識別した座標で右クリックがされたと判定し、S40(審決注:「S40」とあるのは「S33」の誤記と認める。)においてS37で1点目及び2点目と識別した2点の座標データと1点目として識別した座標が右クリックされたという座標検出結果105を出力する。
【0047】
以上の過程によって得られた座標検出結果105によって、1点を押下することによる画面内に表示されたポインタ201の移動と、2点目を押下した際の2点間の位置関係によってアイコン202を左クリックしたか、または右クリックしたかの識別を行うことができ、マウスを2個のボタンで操作したときと同様の機能がタッチパネル100によって可能となる。
【0048】
尚、上記座標検出では2点目を1度押下するワンクリック処理を例としたが、タイマー110を用いて2点目が押下される間隔を検出し、一定時間内(例えば1秒以内)に2点目がN回押下されるとN回クリックされたと判定し(例えば2点目が2回押下されればダブルクリックと判定)、クリック回数によって1点目の座標における処理内容を切り換える処理も可能である。」

e.「【0049】
次に、上記の座標検出結果105を用いた具体的なGUIのアプリケーション106の例を、図9を用いて説明する。図9に示すアプリケーション106では、第1の実施形態と同様に、数字が表示されたアイコン400と、ポインタ201が選択したアイコン400に表示されている数字を出力する出力部401がディスプレイ装置108に表示されているものとする。また、マウスをポインティングデバイスとして用いた場合に左クリックするとポインタ201に位置するアイコン400が選択され、右クリックすると図9(c)に示すメニュー902が開く仕様とする。
【0050】
本実施形態におけるアプリケーション106では、図9(a)のように1点目として初めに『1』が表示されたアイコン400を押下し、その後『2』が表示されたアイコン400まで指200をスライドさせただけでは『1』、『2』の何れも出力部401に出力されない。図9(b)のように、ポインタ201がアイコン400上にあり、且つ指900によって押下された2点目が1点目で押下していた座標よりも左側にある場合に、アイコン400が左クリックされたと識別され、左クリックで選択したアイコン400の数字『2』を出力部401に出力する。一方、図9(c)のように、ポインタ201がアイコン400上にあり、且つ指901によって押下された2点目が1点目で押下していた座標よりも右側にある場合に、アイコン400が右クリックされたと識別され、メニュー902を開くことができる。
【0051】
尚、ここではアイコン400に表示された数字を出力するというGUIのアプリケーション106を例としたが、本実施形態の座標検出結果105を用いたアプリケーション106の他の例として、アイコン400に数字の代わりに画像を表示してアイコン400が選択された際に画像を拡大したり、選択されたアイコン400に応じて特定のアプリケーションを起動する利用方法が考えられる。」

上記引用例の記載及び関連する図面ならびにこの分野の技術常識を考慮すると、

(a)上記a.の記載によれば、「ディスプレイ上にタッチパネルを備えた情報機器において、タッチパネルを用いてGUI操作する方法」が記載されている。

(b)上記b.の記載によれば、引用例は、「タッチパネルにおいて、マウスの右クリック操作と同等の機能を実現する」ものである。

(c)上記c.、及び上記d.の段落【0046】の記載によれば、S34で2点の座標が入力された場合、S36で座標記憶部104にデータがあった場合は、タッチパネルにおいて1点目が押下された後に2点目が押下されたことを意味し、1点目と識別した座標に対して2点目と識別した座標が右側であった場合は、1点目として識別した座標が右クリックされたと判定し、1点目と2点目の座標データと1点目として識別した座標が右クリックされたという座標検出結果を出力するのであるから、引用例には、「タッチパネルにおいて、1点目が押下された後に2点目が押下される2点の座標が入力された場合、1点目と識別した座標に対して2点目と識別した座標が右側であったときは、1点目として識別した座標が右クリックされたと判定し、1点目、2点目の座標データと1点目として識別した座標が右クリックされたという座標検出結果を出力」することが記載されている。

(d)上記e.の段落【0049】、【0050】の記載によれば、引用例には、「1点目としてアイコンを押下し、ポインタがアイコン上にあり、且つ2点目が1点目で押下していた座標より右側にある場合に、アイコンが右クリックされたと識別し、メニューを開く」ことが記載されている


したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

「ディスプレイ上にタッチパネルを備えた情報機器において、タッチパネルを用いてGUI操作する方法であって、
タッチパネルにおいて、1点目が押下された後に2点目が押下される2点の座標が入力された場合、1点目と識別した座標に対して2点目と識別した座標が右側であったときは、1点目として識別した座標が右クリックされたと判定し、1点目、2点目の座標データと1点目として識別した座標が右クリックされたという座標検出結果を出力し、
1点目としてアイコンを押下し、ポインタがアイコン上にあり、且つ2点目が1点目で押下していた座標より右側にある場合に、アイコンが右クリックされたと識別し、メニューを開く、
タッチパネルにおいて、マウスの右クリック操作と同等の機能を実現する方法。」


ウ.対比・判断

a.引用発明の「ディスプレイ上にタッチパネルを備えた情報機器」は、補正後の発明の「タッチスクリーン端末機」に相当する。
また、引用発明の「タッチパネルにおいて、マウスの右クリック操作と同等の機能を実現する方法」は、補正後の発明の「タッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法」に相当する。

b.引用発明の「1点目が押下された後に2点目が押下される2点の座標が入力された場合」は、1点目が押下された後に、1点目を押下したままで2点が同時に押下された状態であるから、引用発明の「1点目が押下された後に2点目が押下される2点の座標が入力された場合」は、補正後の発明の「第1タッチを感知する過程と、前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチを感知する過程」に相当する。
また、引用発明において、1点目としてアイコンを押下し、ポインタがアイコン上にあり、且つ2点目が1点目で押下していた座標より右側にある場合に、アイコンが右クリックされたと識別するから、引用発明においても、2点目の押下時に、1点目の押下がアイコン上にあることを確認しているといえる。
したがって、引用発明の「タッチパネルにおいて、1点目が押下された後に2点目が押下される2点の座標が入力された場合、1点目と識別した座標に対して2点目と識別した座標が右側であったときは、1点目として識別した座標が右クリックされたと判定し、1点目、2点目の座標データと1点目として識別した座標が右クリックされたという座標検出結果を出力し、1点目としてアイコンを押下し、ポインタがアイコン上にあり、且つ2点目が1点目で押下していた座標より右側にある場合に、アイコンが右クリックされたと識別し、メニューを開く」ことと、補正後の発明の「第1タッチを感知する過程と、前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチを感知する過程と、前記第2タッチが感知されると、前記第1タッチの位置がアイコン、背景領域及び実行中の機能画面のうちの1つであるかを確認する過程と、前記確認された第1タッチの位置に対応して一つ以上の機能を含むオプションメニューを画面にディスプレイする過程」とは、「第1タッチを感知する過程と、前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチを感知する過程と、前記第2タッチが感知されると、前記1タッチの位置がアイコンであることを確認する過程と、前記確認された第1タッチの位置に対応してメニューを画面にディスプレイする過程」である点で共通する。

したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「タッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法において、
第1タッチを感知する過程と、
前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチを感知する過程と、
前記第2タッチが感知されると、前記1タッチの位置がアイコンであることを確認する過程と、
前記確認された第1タッチの位置に対応してメニューを画面にディスプレイする過程とを含むタッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法。」

(相違点1)
第2タッチが感知された場合の第1タッチの位置の確認について、補正後の発明においては、アイコン、背景領域及び実行中の機能画面のうちの1つであるかを確認するのに対して、引用発明においては、アイコンのみである点。


(相違点2)
画面にディスプレイされるメニューが、補正後の発明では、「一つ以上の機能を含むオプションメニュー」であるのに対して、引用発明ではどのようなメニューかは特定されていない点。

以下、上記各相違点について検討する。
(相違点1)について
コンピュータ端末において、ディスプレイに表示される画面が、アイコン、背景領域、及び実行中の機能画面からなることは周知の事項であって、それぞれの画面の領域をマウスによる右クリックでメニューを表示することは従来から普通に行われていた基本的な事項である。この点、「根本から学ぶパソコン活用講座7?ウィンドウズ95快適操作編?,基本作法 マウスの右ボタンを使いメニューで素早く操作,日経BP社,1999年10月30日,212-217ページ」には、画面にデスクトップ上の何もないところ(背景)、アイコン、ソフトのウィンドウ内(実行中の機能画面)のそれぞれにおいて、マウスでの右クリックによりメニューを表示することが記載されていることからも明らかである。
引用発明は、タッチパネルにおいて、マウスの右クリック機能と同等の機能を実現するためのものであり、ポインタがアイコン上にあるかを確認しているのであるから、画面上でアイコン以外の右クリックの対象となる背景領域、実行中の機能画面についても確認することは当業者が容易に想到し得た事項である。

(相違点2)について
引用発明において表示されるメニューは対応するアイコンに関連した事項であると解され、どのような項目とするかは対象となるアイコンによって決める当業者が適宜決定する事項である。この点、上記「根本から学ぶパソコン活用講座7?ウィンドウズ95快適操作編?,基本作法 マウスの右ボタンを使いメニューで素早く操作」の図1、2、15には、アイコンを右クリックすることによりアイコンに応じたメニューの項目を表示することが記載されていることからも明らかである。
したがって、メニューを一つ以上の機能を含むオプションメニューとすることは当業者が容易に想到し得た事項である。

そして、補正後の発明の効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、補正後の発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


(なお、出願人は平成27年12月10日付けで上申書を提出し、平成27年9月10日付けの手続補正書における上記補正後の発明の「オプションメニューを画面にディスプレイする過程」を、「前記オプションメニューを画面にディスプレイする過程は、前記第1タッチの位置が背景領域に含まれたアイコン上に検出される場合、前記アイコンに対応するオプションメニューを表示し、前記第1タッチの位置が背景領域のアイコンが表示されない領域上に検出される場合、前記背景領域に関連したオプションメニューを表示する過程を含む」とする限定を含む補正案を提示している。
しかしながら、該限定も(相違点1)についてでの検討で示しているように、通常のマウスの右クリックによって実現されている機能であり、引用発明における右クリックの認識時、マウスの右クリックと同等の機能を提供するようにすることによって、当業者が容易に想到し得たものである。)


エ.まとめ
以上によれば、本願補正後の発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.結語
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず,特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

また,仮に本件補正が,限定的減縮を目的とするものであったとしても,「3 独立特許要件について」で指摘したとおり,補正後の請求項1に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明について
1.本願発明
平成27年9月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.1.本願発明と補正後の発明」の項で、「本願発明」として認定した次のとおりである。

「第1タッチの発生を感知する過程と、
前記第1タッチの維持を感知する過程と、
前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチの発生を感知する過程と、
前記第1タッチを基準として前記第2タッチの方向を決める過程と、
前記第1タッチに対応する一つ以上のオプションメニューのうち、前記第2タッチの方向に基づいて一つ以上の機能を含む一つのオプションメニューを画面にディスプレイする過程とを含むことを特徴とするタッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法。」


2.引用発明
引用発明は、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件について」の項中の「イ.引用発明」の項中の「引用発明」として認定した次のとおりである。

「ディスプレイ上にタッチパネルを備えた情報機器において、タッチパネルを用いてGUI操作する方法であって、
タッチパネルにおいて、1点目が押下された後に2点目が押下される2点の座標が入力された場合、1点目と識別した座標に対して2点目と識別した座標が右側であったときは、1点目として識別した座標が右クリックされたと判定し、1点目、2点目の座標データと1点目として識別した座標が右クリックされたという座標検出結果を出力し、
1点目としてアイコンを押下し、ポインタがアイコン上にあり、且つ2点目が1点目で押下していた座標より右側にある場合に、アイコンが右クリックされたと識別し、メニューを開く、
タッチパネルにおいて、マウスの右クリックと同等の機能を実現する方法。」


3.対比・判断
a.引用発明の「ディスプレイ上にタッチパネルを備えた情報機器」は、補正後の発明の「タッチスクリーン端末機」に相当する。
また、引用発明の「タッチパネルにおいて、マウスの右クリック操作と同等の機能を実現する方法」は、補正後の発明の「タッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法」に相当する。

b.引用発明の「1点目が押下された後に2点目が押下される2点の座標が入力された場合」は、1点目が押下された後に、1点目を押下したままで2点が同時に押下された状態であるから、引用発明の「1点目が押下された後に2点目が押下される2点の座標が入力された場合」は、本願発明の「第1タッチの発生を感知する過程と、前記第1タッチの維持を感知する過程と、前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチの発生を感知する過程」に相当する。
また、引用発明において、1点目としてアイコンを押下し、ポインタがアイコン上にあり、且つ2点目が1点目で押下していた座標より右側の方向ににある場合に、アイコンが右クリックされたと識別するから、引用発明においても、1点目を基準として2点目の方向を決め、2点目の方向に基づいてメニューを表示しているといえる。
したがって、引用発明の「タッチパネルにおいて、1点目が押下された後に2点目が押下される2点の座標が入力された場合、1点目と識別した座標に対して2点目と識別した座標が右側であったときは、1点目として識別した座標が右クリックされたと判定し、1点目、2点目の座標データと1点目として識別した座標が右クリックされたという座標検出結果を出力し、1点目としてアイコンを押下し、ポインタがアイコン上にあり、且つ2点目が1点目で押下していた座標より右側にある場合に、アイコンが右クリックされたと識別し、メニューを開く」ことと、本願発明の「第1タッチの発生を感知する過程と、前記第1タッチの維持を感知する過程と、前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチの発生を感知する過程と、前記第1タッチを基準として前記第2タッチの方向を決める過程と、前記第1タッチに対応する一つ以上のオプションメニューのうち、前記第2タッチの方向に基づいて一つ以上の機能を含む一つのオプションメニューを画面にディスプレイする過程」とは、「第1タッチの発生を感知する過程と、前記第1タッチの維持を感知する過程と、前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチの発生を感知する過程と、前記第1タッチを基準として前記第2タッチの方向を決める過程と、前記第1タッチに対応する一つ以上のメニューのうち、前記第2タッチの方向に基づいて一つ以上の機能を含む一つのメニューを画面にディスプレイする過程」である点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「第1タッチの発生を感知する過程と、
前記第1タッチの維持を感知する過程と、
前記第1タッチが維持されている状態で第2タッチの発生を感知する過程と、
前記第1タッチを基準として前記第2タッチの方向を決める過程と、
前記第1タッチに対応する一つ以上のメニューのうち、前記第2タッチの方向に基づいて一つ以上の機能を含む一つのメニューを画面にディスプレイする過程とを含む、タッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法。」

(相違点)
画面にディスプレイされるメニューが、本願発明では、「一つ以上の機能を含むオプションメニュー」であるのに対して、引用発明ではどのようなメニューかは特定されていない点。

上記相違点について検討する。
上記相違点は、補正後の発明と引用発明との相違点2と同一である。
そして、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件について」の項中の「ウ.対比・判断」の項で検討したとおり、補正後の発明と引用発明との相違点2は、当業者が容易に想到できるものである。
そうすると、本願発明と引用発明との相違点も、当業者が容易に想到できるものである。

そして、本願発明の効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-23 
結審通知日 2016-03-29 
審決日 2016-04-18 
出願番号 特願2011-145569(P2011-145569)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野村 和史  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 山澤 宏
稲葉 和生
発明の名称 タッチスクリーン端末機におけるマウス右クリック機能の提供方法及び装置  
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所  

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