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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
管理番号 1319161
異議申立番号 異議2015-700150  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-06 
確定日 2016-06-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5721783号「容器詰清涼飲料」の請求項1?2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第5721783号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?2〕について訂正することを認める。 特許第5721783号の請求項1?2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5721783号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成25年7月2日に特許出願され、平成27年4月3日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人役 昌明により特許異議の申立がされ、当審において平成28年1月26日付けで取消理由を通知され、その指定期間内である平成28年2月15日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
平成28年2月15日の訂正請求書による訂正の請求は、「特許第5721783号の明細書、特許請求の範囲を本請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを求める」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
(1-1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「2mg/100g?100mg/100gのカリウムを含有し」とあるのを、「10mg/100g?35mg/100gのカリウムを含有し」と訂正する。
(1-2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率(ナトリウム量/カリウム量)が0.5?13.0であり」とあるのを、「カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率(ナトリウム量/カリウム量)が0.6?5.0であり」と訂正する。
(2)訂正の適否
(2-1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
上記訂正事項1は、カリウムの含有量について「2mg/100g?100mg/100g」を「10mg/100g?35mg/100g」へとその範囲を限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項1は、上記アのとおり、カリウムの含有量の範囲を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1で限定した事項は、本件特許明細書の段落【0012】の、カリウムの含有量について、「好ましくは2mg/100g?60mg/100g、更に好ましくは10mg/100g?35mg/100g含有すること」との記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(2-2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
上記訂正事項1は、カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率について「0.5?13.0」を「0.6?5.0」へとその範囲を限定するものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項2は、上記アのとおり、カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率の範囲を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2で限定した事項は、本件特許明細書の段落【0011】の、カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率について、「特に0.6?5.0、その中でも特に1.0?5.0であるのが好ましい。」との記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?2〕からなる一群の請求項について訂正を認める。

3.特許異議申立について
(1)本件発明
本件訂正の請求により訂正された請求項1及び2に係る発明(以下「本件発明1及び2」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

【請求項1】糖度が4.0?10.0であり、ナトリウム含有量が20mg/100g?100mg/100gであり、pHが2.2?3.7であり、果汁として梅果汁のみを含有し、透明であることを特徴とする容器詰果汁含有非アルコール性飲料であって、
10mg/100g?35mg/100gのカリウムを含有し、カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率(ナトリウム量/カリウム量)が0.6?5.0であり、酸度が0.02?0.90であり、該梅果汁の含有量が1.0?24.59質量%であることを特徴とする容器詰果汁含有非アルコール性飲料。
【請求項2】非炭酸飲料であることを特徴とする請求項1記載の容器詰果汁含有非アルコール性飲料。

(2)取消理由の概要
請求項1及び2に係る特許に対して平成28年1月26日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

請求項1及び2に係る発明は、中国特許第1298254号明細書(甲第4号証)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、請求項1及び2に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(3)甲号証の記載
甲第4号証には、次の事項が記載されている(特許異議申立書に添付された甲第4号証訳文による。)。
ア 「(請求項1)
青梅スポーツ飲料であって、重量に基づく各成分の配合比率が、青梅天然果汁を3%?10%、ショ糖を4%?8%、アスパルテームを0.001?0.008%又はアセサルフェームを0.001?0.008%又はアスパルテームとアセサルフェームの1:1混合物を0.001%?0.015%、塩化ナトリウムを0.002?0.6%、塩化カリウムを0.001%?0.015%、塩化カルシウムを0.002%?0.005%、塩化マグネシウムを0.002%?0.005%、メントールを0.002%?0.005%、その他水であることを特徴とする。」

イ 「青梅果汁の種類により異なり、酸総量(青梅由来、クエン酸量で、滴定法により測定)は0.2%?0.5%、即ち青梅天然果汁量は3%?10%、可溶性固形分(ハンディ分光光度計で測定)は5%?7%である。」(5頁7?9行)

ウ 「具体的な実施方法
生産品の配合成分(重量比率)、青梅天然果汁約5%、(生産品の酸含有量は0.27%、有機酸青梅由来、酸添加不要)、ショ糖6%、塩化ナトリウム0.043%、塩化カリウム0.012%、塩化マグネシウム0.002%、アスパルテーム0.0065%、アセサルフェーム0.0065%、メントール0.003%。1トンの量の飲料の生産には、青梅天然果汁(仮に酸含有量を5.4%とする)50Kg、ショ糖60Kg、アスパルテーム65g、アセサルフェーム65g、塩化ナトリウム430g、塩化カリウム120g、塩化マグネシウム20g、メントール30g、その他は水が必要である。原料、副材料をろ過又は溶解後に配合缶内に投入し、水を加え成分を測定する。糖酸度を測定し、試飲して製品の品質基準に適合するかどうかを検査した。その後殺菌、ガラス瓶又はブリキ缶を超高温瞬時殺菌機により80度前になるまで殺菌し、60度の温かさで飲料を封入し、スプレー式殺菌機により殺菌(95度/5?10分)した後、冷却した。ペットボトルを超高温瞬時殺菌機により95度になるまで加熱し殺菌し、熱い状態でボトル内に飲料を封入(密封温度85度以上)し、逆さまにして冷却した。殺菌、冷却して製品とした。」(5頁10行?末行)

以上の記載によれば、甲第4号証には以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「青梅天然果汁 5%(生産品の酸含有量は0.27%、有機酸青梅由来、酸添加不要)、
ショ糖 6%、アスパルテーム 0.0065%、アセサルフェーム 0.0065%、
塩化ナトリウム 0.043%、
塩化カリウム 0.012%、
塩化マグネシウム 0.002%、
メントール 0.003%、を含有し、
その他は水であって、
可溶性固形分が5%?7%である
ペットボトルに封入した青梅スポーツ飲料」

(4)対比
ア 甲4発明の「可溶性固形分が5%?7%である」ことは、可溶性固形分は通常糖度(Brix)を表すものであるから、本件発明1の「糖度が4.0?10.0であ」ることに相当する。
イ 甲4発明の「塩化ナトリウム 0.043%」含有することと、本件発明1の「ナトリウム含有量が20mg/100g?100mg/100gであ」ることとは、ナトリウムを含有する点で共通する。
また、甲4発明の「塩化カリウム 0.012%」含有することと、本件発明1の「10mg/100g?35mg/100gのカリウムを含有」することとは、カリウムを含有する点で共通する。
ウ 甲4発明の「ペットボトルに封入した青梅スポーツ飲料」は、果汁として「青梅天然果汁 5%」のみを含み、アルコールを含んでいないから、本件発明1の「果汁として梅果汁のみを含有」する「容器詰果汁含有非アルコール性飲料」に相当する。
エ 甲4発明の「生産品の酸含有量は0.27%」は、「酸度」が「対象に含まれる酸の質量%濃度」であることを踏まえると、本件発明1の「酸度が0.02?0.90」に相当する。
オ 甲4発明の「青梅天然果汁 5%」を含有することは、本件発明1の「該梅果汁の含有量が1.0?24.59質量%であること」に相当する。
カ なお、乙第1号証には、うめの果汁入り清涼飲料のナトリウム、カリウム含有量が記載されているが、うめの果汁入り清涼飲料と本件発明1の「青梅天然果汁」を同視することはできないから、乙第1号証より、甲4発明の「青梅天然果汁」のナトリウム、カリウム含有量を認定することはできない。

そうすると、本件発明1と甲4発明とは、
<一致点>
「糖度が4.0?10.0であり、ナトリウムを含有し、果汁として梅果汁のみを含有する容器詰果汁含有非アルコール性飲料であって、
カリウムを含有し、酸度が0.02?0.90であり、該梅果汁の含有量が1.0?24.59質量%である容器詰果汁含有非アルコール性飲料。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
ナトリウム含有量及びカリウム含有量について、本件発明1では、ナトリウム含有量が20mg/100g?100mg/100gであり、10mg/100g?35mg/100gのカリウムを含有し、カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率(ナトリウム量/カリウム量)が0.6?5.0であるのに対し、甲4発明では、塩化ナトリウム 0.043%(ナトリウム含有量17mg/100gに相当)、塩化カリウム 0.012%(カリウム含有量6mg/100gに相当)、ナトリウム量/カリウム量は約2.8である点。
<相違点2>
本件発明1では、pHが2.2?3.7であるのに対して、甲4発明では、pHが特定されていない点。
<相違点3>
本件発明1では、容器詰果汁含有非アルコール性飲料が透明であるのに対して、甲4発明では、そのように特定されていない点。

(5)判断
以下、相違点について検討する。
<相違点1について>
本件発明1は、甲4発明と比べてナトリウム含有量及びカリウム含有量が多いものであるところ、甲第4号証には、塩化ナトリウムを0.002?0.6%(ナトリウム含有量として0.79mg/100g?237.21mg/100g)、塩化カリウムを0.001%?0.015%(カリウム含有量として0.5mg/100g?7.5mg/100g)(上記摘記事項ア参照。)とすることの記載はあるが、カリウムを10mg/100g以上含有させることまで示唆するものとはいえない。
また、梅の果汁入り清涼飲料(果汁分20%)において、ナトリウムを35mg/100g、カリウムを30mg/100g含むものが周知である(乙第1号証:4訂食品成分表)としても、甲4発明の青梅スポーツ飲料は、上記のとおり、塩化カリウムを0.001%?0.015%、すなわち、カリウム含有量として7.5mg/100g含有するものまでは示唆されているが、それ以上とすることは想定し得ないものであるから、甲4発明において、本件発明と同程度のナトリウム含有量及びカリウム含有量とすることの動機付けは存在しない。

<相違点2について>
甲4発明に用いられている「青梅天然果汁」のpHが低いことは技術常識であり、飲料において風味や保存安定性の観点からpHを適宜調整することは周知である。
そうすると、pHの低いものである甲4発明において、具体的にpHをどの程度とするかは、風味や保存安定性等を考慮して、設計上適宜決定し得ることである。

<相違点3について>
甲4発明は、その配合からみて透明と認められ、相違点3は実質的な相違点でない。また、実質的な相違点であるとしても、スポーツ飲料を透明なものとすることは普通のことであるから、甲4発明に基いて容易に想到し得たものである。

<効果について>
そして、本件発明1は、特有の味を有するナトリウム及びカリウムを、ナトリウム含有量が20mg/100g?100mg/100gであり、10mg/100g?35mg/100gのカリウムを含有し、カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率(ナトリウム量/カリウム量)が0.6?5.0とすることで、ミネラル含有飲料としての機能を保持しつつ、甘味と塩味のバランスがよく味に深みのある、ナトリウムの金属的な異味、カリウム特有の苦味や沈殿物の発生のない飲料とする(【0010】?【0012】)という格別な効果を有するものである。

したがって、請求項1に係る発明は、甲第4号証に記載の発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでない。

(6)請求項2に係る発明について
本件発明2は、請求項1を引用する発明であるから、本件発明2と甲4発明とは、少なくとも上記(4)の相違点1?3の点で相違する。
そして、相違点1については、上記(5)で検討したとおり、甲4発明に基いて当業者が容易に想到することができたものとはいえない。
したがって、請求項2に係る発明は、甲第4号証に記載の発明に基いて当業者が容易に想到することができたものでない。

4.むすび
したがって、上記取消理由によっては、請求項1及び2に係る発明についての特許を取り消すことができない。
また、他に請求項1及び2に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
容器詰清涼飲料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高品質で長期保存が可能であり、発汗等により失われる水分やミネラル成分を補給可能なミネラル含有飲料でありながら、風味が良好な容器詰清涼飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
発汗等により失われた水分やミネラル成分を手軽に補給することを目的とした飲料がここ数年で広く普及するようになっている。これまでは、医療用途にも用いられる経口補水液や、いわゆるスポーツドリンク、アイソトニック飲料などがこのような飲用用途に選ばれてきたが、ここ最近において夏場における熱中症予防が着目されるようになり、これまでにないジャンルに属する飲料においてもミネラル成分、とりわけ塩分を強化する傾向が強くなっている。
しかし、スポーツドリンクやアイソトニック飲料等が水分やミネラル成分を補給する用途として開発されたものであるのに対して、それ以外の清涼飲料については、単にミネラル成分を添加するだけでは飲用時の味覚に悪影響を与えてしまう。とりわけ、ミネラル成分におけるナトリウム(あるいは塩)は、飲料における甘味を不必要に増強する傾向があるため、ミネラル成分を高めながらも甘味の不用意な増強を抑制しなければならないというこれまでにない課題が生じる。
水分やミネラル成分を補給する飲料の風味を向上する試みは従来から行われている。例えば、特許文献1(特開2009-279013号公報)に記載の発明は、マグネシウムイオンの含有量及びナリンギンの添加量を特定の範囲に調整することにより、ミネラルの有する苦味、渋味、えぐ味等を抑制した飲料を提供している。しかしながら、ミネラルを含有する飲料は、長期保存においてミネラル由来による沈殿物が発生するという問題も生じる。とりわけ、内溶液の状態を目視できる透明PET容器においては、このような沈殿物の発生は商品価値を低下させるものであるため避けなければならないが、この問題点の検討はなされていなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2009-279013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、発汗等により失われる水分やミネラル成分を補給可能な機能的飲料でありながら、風味が良好であり、かつ長期保存における品質の低下が抑制された飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、容器詰清涼飲料の糖度及びナトリウム量を特定の範囲に調整した場合には、ミネラルを含有しながらも風味が良好であり、かつ長期保存における品質の低下が抑制された飲料を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
より具体的には、本発明は以下のとおりである。
【0006】
(1)糖度が4.0?10.0であり、ナトリウム含有量が20mg/100g?100mg/100gであることを特徴とする容器詰清涼飲料。
(2)カリウムを含有し、カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率(ナトリウム量/カリウム量)が0.5?13.0であることを特徴とする(1)記載の容器詰清涼飲料。
(3)酸度が0.02?0.90であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の容器詰清涼飲料。
(4)果汁を含有することを特徴とする(1)?(3)のいずれかに記載の容器詰清涼飲料。
(5)果汁が梅及び/又はライチであることを特徴とする(1)?(4)のいずれかに記載の容器詰清涼飲料。
(6)pHが2.0?4.0であることを特徴とする(1)?(5)のいずれかに記載の容器詰清涼飲料。
(7)水色が透明であることを特徴とする(1)?(6)のいずれかに記載の容器詰清涼飲料。
(8)梅以外の果汁の使用量が、飲料全体に対して0?10.0質量%であることを特徴とする(1)?(7)のいずれかに記載の容器詰清涼飲料。
(9)非アルコール性飲料であることを特徴とする(1)?(8)のいずれかに記載の容器詰清涼飲料。
(10)非炭酸飲料であることを特徴とする(1)?(9)のいずれかに記載の容器詰清涼飲料。
(11)糖度を4.0?10.0に調整する工程と、ナトリウム含有量を20mg/100g?100mg/100gに調整する工程とを含むことを特徴とする容器詰清涼飲料の製造方法。
(12)糖度を4.0?10.0に調整する工程と、ナトリウム含有量を20mg/100g?100mg/100gに調整する工程とを含むことを特徴とする、容器詰清涼飲料の保存時品質低下抑制方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の容器詰清涼飲料、その製造方法及び容器詰清涼飲料の保存時品質低下抑制方法は、発汗等により失われる水分やミネラル成分を補給可能な機能的飲料でありながら、風味が良好であり、かつ長期保存における品質の低下が抑制された飲料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(容器詰清涼飲料)
本発明において、容器詰清涼飲料とは、風味や香味が付与された飲料が容器に充填された製品のことをいう。本発明の清涼飲料は、好ましくは果実成分を含有する。果実成分とは、果汁、果実抽出物あるいはそれらを濃縮したエキス等の加工物のことをいう。製品の種類は特に限定されないが、非炭酸の清涼飲料では、果汁入り清涼飲料、果粒入り果実ジュースなど、果汁の使用割合が10%以上の「果実飲料」が代表的なものであり、日本農林規格(JAS)及び果実飲料等の表示に関する公正競争規約によって、濃縮果汁、果実ジュース、果実ミックスジュース、果粒入り果実ジュース、果実・野菜ミックスジュース、果汁入り飲料に区分されている。その他の非炭酸の清涼飲料としては、スポーツ飲料、栄養ドリンクなどが挙げられる。一方、炭酸入りの清涼飲料では、果汁入りのフレーバー系炭酸飲料などが挙げられる。また本発明の清涼飲料には、果実飲料としては規格上認められないカテゴリーの「果汁系ニアウオーター」など、果汁の使用割合が10%に満たない新たなカテゴリーの果実成分含有飲料が含まれる。更に、果汁入り酎ハイなどの果実酒類、リキュール類などのアルコール飲料も、本発明の清涼飲料として挙げられる。また、希釈飲料(家庭飲用用の希釈飲料、自動販売機内の希釈飲料など)も本発明の清涼飲料の一つとして挙げられる。
本発明の容器詰清涼飲料は、好ましくは非アルコール性飲料であり、更に好ましくは非炭酸飲料である。また、本発明の容器詰清涼飲料は、好ましくは透明とすることにより、飲用者に対して更に清涼さや爽やかさを想起させることが可能となる。
また、本発明の容器詰清涼飲料において、「長期保存における品質の低下」とは、経時によるおり・沈殿の析出や液色の変化(褐変)など、飲料としての商品価値に影響を与えるような変化(劣化)を意味するものである。
【0009】
(糖度)
糖度(Brix、Bx)は、溶液中の可溶性固形分濃度を意味するものである。本発明の清涼飲料は、4.0?10.0に調整される。糖度が10.0を超えるとナトリウム(あるいは塩)由来の甘味増強作用により、不必要に飲料を甘くし過ぎることになり、糖度が4.0を下回るとナトリウム(あるいは塩)由来によるエグミが抑制されにくくなる。よりほのかな甘味とそれを引き立てる塩味の絶妙なバランスを楽しむには、糖度は好ましくは4.5?8.5、更に好ましくは5.0?7.5に調整される。糖度は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。固形分濃度の調整は、原料の選択、原料の配合や水分の添加量など、種々の方法で可能であるが、好ましくは糖及び/又は糖度の高い果実を添加することにより調整する。本発明の清涼飲料に配合し得る糖類としては、例えばショ糖、ブドウ糖、果糖、はちみつ、水飴、黒糖、黒糖蜜等の糖質系甘味料、D-プシコースなどの希少糖を含む希少糖シロップ、例えばステビア、グリチルリチン、アスパルテーム、グリチルリチン酸ナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース等の非糖質系甘味料(天然甘味料及び合成甘味料を含む)が挙げられる。これらの糖類は、目的に応じて単独で、又は複数を組み合わせて使用することが出来る。好ましい糖はグラニュー糖である。グラニュー糖は、溶解すると無色透明であるため、清涼飲料の液色に影響を与えないためである。本発明の容器詰果汁含有飲料は、好ましくは透明とすることにより、飲用者に清涼さや爽やかさを想起させることが可能となる。
【0010】
(ナトリウム)
一般的に、ミネラルとは、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム及びモリブデンを包含するものであるが、本発明においては、飲料の風味に影響を与えるナトリウム及びカリウムを意味するものである。
本発明の清涼飲料は、ナトリウムを含有するものである。ナトリウムを本発明の飲料に配合することにより、発汗等により失われたミネラル成分を手軽に効率良く補給することが可能となる。本発明の飲料において、ナトリウム含有量は、20mg/100g?100mg/100gに調整される。ナトリウム量が100mg/100gを超えると、ナトリウム(あるいは塩)由来の塩味が過度に強調されてしまい、不必要に飲料を甘くし過ぎる。更に沈殿物発生の原因にもなる。ナトリウム量が20mg/100gを下回ると、甘味と塩味のバランスが崩れ、ミネラル含有飲料としての機能も果たせないばかりか、飲料における厚みがなくなり、薄っぺらい味になる。好ましくは22mg/100g?90mg/100g、更に好ましくは22mg/100g?65mg/100g、最も好ましくは45mg/100g?55mg/100g含有することで、沈殿を抑制しながら、風味的にも良好な清涼飲料を提供することができる。ナトリウムの調整乃至硬度の調製は、例えば、塩化ナトリウムを蒸留水、天然水、海水、海洋深層水に最終的なナトリウム濃度、乃至は硬度が上記範囲に収まるように適宜配合することによって達成することができる。ナトリウム源としては、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウムを挙げることができ、溶解度や味覚の点から、好ましくは塩化ナトリウムである。
【0011】
(カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率[ナトリウム量/カリウム量])
更に、本発明の清涼飲料は、カリウム含有量に対するナトリウム量の質量比率[ナトリウム量/カリウム量]が0.5?13.0に調整されていることが好ましい。[ナトリウム量/カリウム量]比が0.5を下回る場合、カリウム特有の苦味が前面に出てくる傾向があり、13.0を上回る場合、味に深みを感じにくくなるうえに、ナトリウムの金属的な異味が前面に出てくる傾向にある。特に0.6?5.0、その中でも特に1.0?5.0であるのが好ましい。
【0012】
(カリウム)
本発明の飲料において、カリウム含有量は、前述のカリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率[ナトリウム量/カリウム量]を考慮して、2mg/100g?100mg/100gに調整される。カリウム量が100mg/100gを超えると、カリウム(あるいは塩)由来の甘味増強作用により、不必要に飲料を甘くしすぎたり、カリウム特有の苦味が前面に出てくる傾向があり、更に沈殿物発生の原因にもなる。カリウム量が2mg/100gを下回ると、味に深みを感じにくくなるうえに、ナトリウムの金属的な異味が前面に出てくる可能性があるためである。好ましくは2mg/100g?60mg/100g、更に好ましくは10mg/100g?35mg/100g含有することで、沈殿を抑制しながら、風味的にも良好な清涼飲料を提供することができる。カリウム供給源、すなわちカリウム原料としては、カリウム塩や、カリウムが予め溶存している液体などを挙げることができる。カリウム塩としては、例えば塩化カリウムや、炭酸カリウム、アセスルファムカリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三水素カリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸三カリウム、グルコン酸カリウムなどを挙げることができる。
カリウムが予め溶存している液体としては、ミネラルウォーターなどに用いられるような“カリウムを含有する地下水”などを挙げることができる。
これらに限定されるものではなく、単独もしくは複数を混合して用いてもよい。
【0013】
(酸度)
本発明の清涼飲料の酸度は0.02?0.90に調整される。酸度が0.02以上であれば、爽快感を感じることができ、0.90以下であれば、水分補給として多量に摂取する場合に障害とならない程度の飲みやすい酸味となる。かかる観点から、本清涼飲料における酸度は特に0.30?0.50であるのが好ましい。酸度は、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を用いた電位差滴定法により算出される、クエン酸換算での濃度(%)を意味するものであり、主に果汁の種類と含有量、酸味料の種類と添加量等によって調整することができる。
【0014】
(pH)
本発明の清涼飲料において、最終製品のpHは、2.0?4.0とする。この範囲に調整することにより、酸味や、それに伴う刺激が強すぎると感じることなく、爽快感を感じることができ、本来の風味を維持することが可能となる。好ましくは2.2?3.7、より好ましくは2.4?3.5、更に好ましくは2.5?3.3に調整することにより、品質を安定し、本発明の清涼飲料を安定的に保持することができる。pHの調整は、重曹を添加する等の一般的な方法に基づいて行うことができる。
【0015】
(果汁含有量)
本発明の清涼飲料は、好ましくは果汁を含有する。果汁とは、これら成熟した果実を搾汁して得られる果汁、エキスあるいは、ピューレなどを含むものであり、市販品を使用しても良い。本発明の清涼飲料は、飲料全体に対する果汁量が0.5?30.0質量%であることを特徴とする。このような範囲であれば、果汁感が強すぎず、爽快感を感じることができる。好ましくは、1.0?20.0質量%、更に好ましくは5.0?15.0質量%とする。好ましくは、使用する果汁の種類は1又は複数の混合でもよく、果汁の原料となる果実の種類としては、本発明の効果が発揮される限りにおいて特に限定されることなく、例えば、イチゴ、キウイフルーツ、ブドウ、リンゴ、パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ナシ、ライチ、メロン、西洋ナシ、柑橘類果実類(オレンジ、温州ミカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、シークワーサー、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)等が挙げられるが、甘味及び塩味の適合性の観点から言えば、ライチか又はバラ科サクラ属のものが好ましい。バラ科サクラ属の果実としては、ウメ、アンズ、サクランボ、スモモ類、ネクタリン、プルーン、モモ等を挙げることが出来るが、好ましくはウメである。ウメは、古くから梅干として食されてきたように、塩味に親和性のある酸味を有する果物であり、発明の清涼飲料が演出しようとする「酸味と塩味のバランス」を実現するのに適しているからである。
更に好ましくは、ウメ及びそれ以外の果汁を含有させる場合、ウメ以外の果汁の使用量が、飲料全体に対して0?10.0質量%、より好ましくは0?5.0質量%となるようにする。このようにすることにより、ウメ風味が程よく感じられる飲料となるからである。なお、本発明において、濃縮物を使用した場合は、ストレート換算した値を含有量とする。
【0016】
飲料には、処方上添加して良い成分として、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独、又は併用して配合しても良い。
【0017】
飲料を容器詰飲料にする場合、使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【0018】
以下に、本発明の実施の態様について実施例をあげて説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
後述する市販の各原料を使用し試作品を作製した。果糖ブドウ糖液糖(果糖55%以上、ブドウ糖37%以上)、5倍濃縮梅果汁(酸度15.3%・糖度31%)、濃縮梅酢A(酸度29.8%・糖度40%)、濃縮梅酢B(酸度33.8%・糖度40)、濃縮梅酢C(酸度21.7%・糖度30%)、梅塩A(Na39%、酸度0.6%)、梅塩B(Na35.9%、酸度4.6%)、DL-リンゴ酸を、水100gに表1の配合に基づいて原材料を添加した。これらのサンプルを95度達温加熱殺菌後、直ちに200mLのPET容器にホットパック充填した。下記方法により評価した結果を合わせて表1に示す。
梅果汁とは青梅の実を洗浄後加熱処理し、種を除去した後遠心分離を行い得られた果汁を適宜濾過や濃縮等の処理を行ったものである。
濃縮梅酢とは梅の完熟した実を塩漬し、浸透圧によって浸出した液を濃縮して適宜脱塩、濾過等の処理を行ったものである。
梅塩とは前記濃縮梅酢の濃縮工程で得られた塩である。
【0020】
本試験において分析する成分の分析方法は以下のとおりである。
<ナトリウム量及びカリウム量>
比較例及び実施例で得られた容器詰飲料を秤取し、1%塩酸で抽出し、ろ過した。そのろ液を定容し、原子吸光法により測定した。
<糖度>
光学屈折率計(アタゴ社製、Digital Refractometers、RX5000α-Bev)を用いて、Brixを測定した。
【0021】
<酸度>
自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM-1750)を用い、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液を使用した電位差滴定法に基づいて、クエン酸換算で算出した。
【0022】
<pH>
pHメーターを用いて測定した。
<評価>
5℃で1週間保管後のサンプルについて、8人のパネラーが以下の評価方法に基づいて評価し、最も多かった評価を記載した。品質に関しては、40℃で1週間保管後のサンプルについて、8人のパネラーが沈殿や液色などの品質を目視で評価した。結果を表1に示す。
甘味と塩味のバランス:
◎:甘味と塩味のバランスがちょうど良く、極めて良好
○:甘味と塩味のバランスが適度に取れており、良好
△:甘味と塩味のどちらかが若干強く感じられ、バランスがあまりよくない
×:甘味と塩味のどちらかが強すぎ、バランスに問題あり
品質:
◎:極めて良好(沈殿・液色に変化なし)
○:良好(沈殿又は液色にわずかに変化が見られるが、商品としては問題ない範囲である)
△:あまりよくない(沈殿又は液色に変化が見られ、商品としてあまり好ましくない)
×:問題あり(沈殿・液色にかなりの変化が見られ、商品価値がない)
【0023】
【表1】

【0024】
糖度が4.0?10.0の範囲にあり、ナトリウム量が20mg/100g?100mg/100gの範囲にあり、かつカリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率(ナトリウム量/カリウム量)が0.5?13.0の範囲にある実施例1?6は、一般的なミネラル含有飲料に生じやすい沈殿が抑制され、ミネラル由来の塩味と甘味のバランスが取れており、良好な風味の飲料であった。また、とりわけ糖度が5.0?7.5の範囲にあり、酸度が0.30?0.50の範囲にある実施例2及び3は、絶妙な風味バランスを有し、経時による沈殿も液色の変化も発生しない、品質の良好な飲料であった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の容器詰清涼飲料、その製造方法及び容器詰清涼飲料の保存時品質低下抑制方法は、発汗等により失われる水分やミネラル成分を補給可能な機能的飲料でありながら、ミネラル由来の塩味と甘味のバランスが取れているため、風味が良好であり、かつ長期保存における品質の低下が抑制された飲料を提供することができる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖度が4.0?10.0であり、ナトリウム含有量が20mg/100g?100mg/100gであり、pHが2.2?3.7であり、果汁として梅果汁のみを含有し、透明であることを特徴とする容器詰果汁含有非アルコール性飲料であって、
10m/100g?35mg/100gのカリウムを含有し、カリウム含有量に対するナトリウム含有量の比率(ナトリウム量/カリウム量)が0.6?5.0であり、酸度が0.02?0.90であり、該梅果汁の含有量が1.0?24.59質量%であることを特徴とする容器詰果汁含有非アルコール性飲料。
【請求項2】
非炭酸飲料であることを特徴とする請求項1記載の容器詰果汁含有非アルコール性飲料。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2016-05-23 
出願番号 特願2013-138679(P2013-138679)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小石 真弓  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 紀本 孝
佐々木 正章
登録日 2015-04-03 
登録番号 特許第5721783号(P5721783)
権利者 株式会社 伊藤園
発明の名称 容器詰清涼飲料  
代理人 小西 達也  
代理人 花崎 健一  
代理人 小西 達也  
代理人 花崎 健一  
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