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審決分類 審判 一部申し立て 判示事項別分類コード:なし  G06F
管理番号 1319201
異議申立番号 異議2016-700445  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-17 
確定日 2016-09-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第5822622号発明「測定時間表示装置、測定時間表示方法および測定時間表示プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5822622号の請求項1、2,5および6に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5822622号の請求項1、2,5および6に係る特許についての出願は、平成23年9月30日に特許出願され、平成27年10月16日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人特許業務法人アイザック国際特許商標事務所により特許異議の申立てがされたものである。
2.本件発明
特許第5822622号の請求項1、2,5および6の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、2,5および6に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2.申立理由の概要
(1)特許法第29条第2項について
特許異議申立人特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所は、証拠として特開2003-178137号公報(以下「刊行物1」という。)、特開2005-309805号公報(以下「刊行物2」という。)を提出し、請求項1、2,5および6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、請求項1、2,5および6に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
(2)特許法第17条の2第3項について
請求項1、2,5および6に係る「前記測定時間算出部により算出された前記測定時間を診療点数と関連付けて測定日単位で表示するように制御する表示制御部」は、当初明細書に記載された事項ではないので、特許法第17条の2第3項の規定を満たしていない旨主張している。
(3)特許法第36条第6項第1号について
請求項1、2,5および6に係る「前記測定時間算出部により算出された前記測定時間を診療点数と関連付けて測定日単位で表示するように制御する表示制御部」は、明細書にサポートされていないので、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない旨主張している。
4.刊行物の記載
(1)刊行物1には、「集合型医療テナントにおいて、共同利用される検査機器の診療所毎の利用状況に応じて、診療所毎にその利用料を計算する医療情報システムであって、実際に検査を行う検査機器から、検査情報が、医療情報サーバに送られ、保管される。検査情報には、モダリティ情報、撮影部位情報、撮影方法、検査時間、検査機器使用時間、検査を行った技師の名前や人数などの情報、画像枚数、画像取得の難易度等が含まれ、
医事会計システムは、医療情報サーバから検査情報を受信して、検査情報から課金情報を算出し、表示する表示手段を備えたシステム」の発明が記載されている。
(2)刊行物2には、「配信するべき医療診断装置の動作状況に関する種類・内容を含むレポートを作成するためのログ情報を取得するログ情報取得手段であって、ログ情報には、装置が稼動していた時間、検査を行った時間、検査で何枚の画像を撮ったかを示すものがあり、取得したログ情報を解析して動作状況に関する種類・内容を求める解析手段、直近の一週間の曜日ごとの検査時間を示したグラフまたは表を作成するグラフ・表作成手段を有するシステム」の発明が記載されている。
5.判断
(1)特許法第29条第2項について
ア.対比・判断
(ア)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と刊行物1の発明とを対比する。
刊行物1の「課金情報」は、共同利用される検査機器の利用料として診療部門に課金する料金であるのに対して、請求項1の「診療点数」は、医師が患者を診察したときの診療報酬を計算するための点数であって、刊行物1の「課金情報」と「診療点数」は異なるものであるから、刊行物1には、「診療点数」を計算することは記載されていない。
そうすると、当該刊行物1には、「 前記測定時間算出部により算出された前記測定時間を診療点数と関連付けて測定日単位で表示するように制御する表示制御部」の構成は記載されていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、上記刊行物1に記載の発明から当業者が容易になし得るものではない。

請求項1に係る発明と刊行物2の発明を対比する。
刊行物2の発明において、「患者の生体情報を時系列的に測定する生体情報モニタにより測定された生体情報に基づいて、当該生体情報の測定時間を測定日単位で算出する測定時間算出部」の構成はあるとしても、「測定時間算出部により算出された前記測定時間を診療点数と関連付けて測定日単位で表示するように制御する表示制御部」に関する構成がない。
刊行物1には、「診療点数」を計算することは記載されていないから、刊行物1の記載を刊行物2の発明に適用したところで、「測定時間算出部により算出された前記測定時間を診療点数と関連付けて測定日単位で表示するように制御する表示制御部」の構成を実現することはできない。
したがって、請求項1に係る発明は、刊行物2の発明に対して、刊行物1の発明を適用することによって、当業者が容易になしえるものではない。
(イ)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を更に減縮したものであるから、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、上記刊行物1の発明又は刊行物2の発明によって当業者が容易になし得るものではない。
以上のとおり、請求項1,2に係る発明は、刊行物1又は刊行物2に刊行物1を適用した発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)請求項5および6
請求項5および6に係る発明は、請求項1に係る発明のカテゴリー違いであるから、上記刊行物1又は刊行物2に刊行物1を適用した発明から当業者が容易になし得るものではない。
(2)特許法第17条の2第3項について
ア.判断
図7およびその説明である明細書段落番号0076の記載をみると、診療点数を確定させる測定時間の上限を表すライン700と測定日単位の測定時間をあらす棒グラフが記載されているから、測定時間と診療点数が測定日単位で関連付けられていることは明らかである。
よって、請求項1、2,5および6に係る「前記測定時間算出部により算出された前記測定時間を診療点数と関連付けて測定日単位で表示するように制御する表示制御部」は、当初明細書に記載された事項であるから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものではない。
(3)特許法第36条第6項第1号について
上記「(2)特許法第17条の2第3項について ア.判断」でも述べたように、請求項1、2,5および6に係る「前記測定時間算出部により算出された前記測定時間を診療点数と関連付けて測定日単位で表示するように制御する表示制御部」は、明細書に記載されているから、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしている。
6.むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2,5および6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2,5および6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-09-06 
出願番号 特願2011-216371(P2011-216371)
審決分類 P 1 652・ - Y (G06F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 成瀬 博之  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 野崎 大進
石川 正二
登録日 2015-10-16 
登録番号 特許第5822622号(P5822622)
権利者 フクダ電子株式会社
発明の名称 測定時間表示装置、測定時間表示方法および測定時間表示プログラム  
代理人 鷲田 公一  

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