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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65G
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65G
管理番号 1319209
異議申立番号 異議2016-700500  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-06-01 
確定日 2016-09-27 
異議申立件数
事件の表示 特許第5825485号発明「物品受け渡し装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5825485号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5825485号の請求項1に係る特許(以下、「請求項1に係る特許」という。)についての出願(以下、「本件出願」という。)は、平成24年1月31日に特許出願され、平成27年10月23日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成28年6月1日に特許異議申立人 1条淳(以下、単に「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件特許発明
請求項1に係る特許に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、それぞれ本件特許の明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、当該明細書を「本件特許明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
物品を搬送する搬送コンベヤと、外周部等間隔位置にそれぞれ物品を保持する物品保持部が設けられたスターホイールと、上記搬送コンベヤによって搬送されてきた各物品に係合するとともに、各物品を上記スターホイールに同期させて各物品保持部に供給する同期供給手段とを備えた物品受け渡し装置において、
上記同期供給手段は、上記搬送コンベヤによって搬送される物品の位置を検出する位置検出手段と、上記搬送コンベヤによって搬送される物品とそれぞれ係合する複数の係合手段と、各係合手段をそれぞれ無端状の移動軌跡に沿って循環案内する循環通路と、この循環通路の一部に設けられ、上記係合手段を物品に向けて突出させて該物品に係合させるとともに、該係合手段によって物品を搬送コンベヤに沿って搬送させる係合区間と、上記各係合手段に設けた永久磁石と電磁コイルとのいずれか一方と、上記循環通路に沿って無端状に配置した上記永久磁石と電磁コイルとのいずれか他方と、上記電磁コイルに電流を供給して各係合手段の移動を制御する制御装置とから構成されており、
上記制御装置は、上記位置検出手段からの信号により隣接する物品間で上記係合手段を物品に向けて突出させて該物品に係合させるとともに、スターホイールに同期させて搬送して該物品を上記物品保持部に供給させることを特徴とする物品受け渡し装置。」

第3 特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人は、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出し、次の特許異議申立ての理由を主張している。

1 証拠方法
甲第1号証:特開平9-12144号公報
甲第2号証:特表2007-521662号公報
甲第3号証:特開平02-209315号公報
甲第4号証:実願昭63-45564号(実開平1-149325号)の マイクロフィルム
甲第5号証:特開平11-11417号公報

2 特許異議申立ての理由

理由1(特許法第29条第2項)
本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、または、甲第4号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第3号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。

理由2(特許法第36条第6項第1号)
本件特許発明は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されているものではないから、本件出願は、特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしておらず、請求項1に係る特許は、特許法第113条第4号の規定により取り消すべきものである。

理由3(特許法第36条第6項第2号)
本件特許発明は、明確でないから、本件出願は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしておらず、請求項1に係る特許は、特許法第113条第4号の規定により取り消すべきものである。

第4 当審の判断
1 刊行物の記載
(1)甲第1号証の記載
(1-1)甲第1号証の記載事項
本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第1号証には、「容器供給装置」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

1a 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、容器を所定の間隔で充填装置や洗浄装置等に供給するための容器供給装置に関し、より詳しくは、多様な規格の容器に対応することができる容器供給装置に関する。」(段落【0001】)

1b 「【0006】
【実施例】以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、容器供給装置は容器2を一列状態で連続して搬送する搬送コンベヤ3と、この搬送コンベヤ3の一側に設けられて上記搬送コンベヤ3によって搬送されてくる容器2に係合するロータリストッパ4と、このロータリストッパ4よりも下流側に設けられて回転式充填機6に容器2を受渡す容器受取り手段としてのスターホイール7とを備えている。上記ロータリストッパ4は、搬送コンベヤ3よりも遅い速度で回転駆動されるようになっており、その外周部等間隔位置に半径方向外方にむけて放射状に突出させた多数のストッパ部材8を備え、搬送コンベヤ3によって搬送される容器2を各ストッパ部材8に係合させることにより各容器2に制動を加えることができるようになっている。上記ロータリストッパ4とスターホイール7とは後述する駆動機構によって相互に同期状態を保って駆動されるようになっており、上記ストッパ部材8から離脱されて搬送コンベヤ3によって搬送されてきた容器2は上記スターホイール7のポケット7aに順次係合されて、回転式充填機6内に導入されるようになっている。上記ロータリストッパ4は駆動軸11によって回転駆動されるようになっているが、この駆動軸11は偏心軸12を中心として揺動されるようになっており、それによってロータリストッパ4を搬送コンベヤ3に近接した位置とそれから離れた位置とに移動させることができるようにしている。そして上記ストッパ部材8は、後に詳述するように駆動軸11を中心とする放射方向にそれぞれ進退動可能に設けてあり、それによって各ストッパ部材8の先端部が形成するロータリストッパ4の直径を変更することができるようにしている。したがって小径の容器を用いる場合には、上記各ストッパ部材8を中心側に移動させてロータリストッパ4の直径を小径とするとともに、該ロータリストッパ4を搬送コンベヤ3に近接した位置に移動させればよい。これに対して大径の容器を用いる場合には、上記各ストッパ部材8を突出させてロータリストッパ4の直径を大径とするとともに、該ロータリストッパ4を搬送コンベヤ3から離れた位置に移動させればよい。」(段落【0006】)

(1-2) 甲第1号証の記載事項及び図面に示された内容から分かること

1c 上記(1-1)の1aの記載から、甲第1号証には容器供給装置が記載されていることが分かる。

1d 上記(1-1)の1b及び図1の記載から、容器供給装置は、容器2を搬送する搬送コンベヤ3と、外周部等間隔位置にそれぞれ容器2を係合するポケット7aが設けられたスターホイール7と、搬送コンベヤ3によって搬送されてきた各容器2に係合するとともに、各容器2をスターホイール7に同期させて各ポケット7aに供給するロータリストッパ4とを備えていることが分かる。

1e 上記(1-1)の1b及び図1の記載から、容器供給装置のロータリストッパ4は、搬送コンベヤ3によって搬送される容器2とそれぞれ係合する複数のストッパ部材8を備えていることが分かる。

(1-3) 甲第1号証に記載された発明
したがって、上記(1-1)及び(1-2)を総合すると、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。

「容器2を搬送する搬送コンベヤ3と、外周部等間隔位置にそれぞれ容器2を係合するポケット7aが設けられたスターホイール7と、搬送コンベヤ3によって搬送されてきた各容器2に係合するとともに、各容器2をスターホイール7に同期させて各ポケット7aに供給するロータリストッパ4とを備えた容器供給装置において、
ロータリストッパ4は、搬送コンベヤ3によって搬送される容器2とそれぞれ係合する複数のストッパ部材8とから構成されている、
容器供給装置。」

(2)甲第2号証
(2-1) 甲第2号証の記載事項
本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第2号証には、「自動マテリアル・ハンドリングシステム」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

2a 「【0001】
本発明はマテリアル・ハンドリングシステムに関し、特に処理工程設備においてキャニスタすなわちコンテナを保持する半導体ワークピース(workpiece)を輸送する自動マテリアル・ハンドリングシステムに関する。」(段落【0001】)

2b 「【0016】
図4 には各セグメント(簡潔のため図2には図示せず)の第3軌道23A、23Bが示されており、これにより各セグメントに高速すなわち「フライスルー(fly-through)」搬送路が提供される。既述したように、軌道は隣接するセグメント間の分岐部分36において合流している。図4に示す実施例においては、分岐部分36はターンテーブル202を含んでいるが、任意の好適な軌道切り替え装置を使用しても良い。この場合は、ターンテーブルは3つの位置を有しており、ここにおいて各々の搬送路21A及び19B、23A及び23B、19A及び21Bの正反対の軌道の端部を結合している。ターンテーブルがこれらの位置のうちの1つに位置した時、ターンテーブルを動かすことなく輸送車両200は正反対の軌道端部の間を横断する。他の方法では、輸送車両はターンテーブル上に位置し、ターンテーブルは要望通り回転することによって輸送車両が1つのセグメントの任意の軌道19A、23A、21Aから接続したセグメントの任意の他の軌道19B、23B、21Bに移動するこが可能となる。ターンテーブルの運動は自動化して、システムの中央プロセスから好適なプログラムによって制御されても良い。
【0017】
自動化したオーバーヘッド式輸送車両200(例えば図4及び6A乃至6Bには1つのみが示されている)、例えばアエロローダ(AeroloaderTM、登録商標)システムシャトル、が軌道の1つに搭載されている。輸送車両200は自己推進式であっても良く、よって各移動路を形成する対応するレール上を自立的に移動する。各車両は搬送アルゴリズムに従って所望の搬送路を移動し、該アルゴリズムは車両メモリ(図示せず)に予めプログラムされるか、若しくは自動マテリアル・ハンドリングシステムを操作する中央プロセッサ(図示せず)からロードされる。本実施例においては、任意の他の好適なタイプの輸送車両を使用しても良い。輸送車両200は輸送セクション204(図6A及び6Bを参照)とペイロードセクション206とを有している。輸送セクション240は好適な車輪/ローラ(図示せず)を有しており、よって軌道上で車両を支持して移動せしめる。輸送セクションは軌道に沿って車両を駆動する電源及びモータを更に有しても良い。ペイロードセクション206は輸送セクションに搭載されるか若しくは別の方法では輸送セクションから支持されており、本実施例においては輸送セクションの下部に吊るされている(図6A及び6Bを参照)。ペイロードセクション206はホイスト208を含んでいても良く、本実施例においては、ワークピース把持コンテナ151を掴んで上げ下げすることが可能な把持アームを有するように大概示されている。図6A及び6Bには代表的なワークピース保管コンテナ151が示されており、該コンテナ151はハンドリングシステム10と共に用いられ、輸送車両のホイスト208がコンテナ151に係合可能となる場所に位置している(以下に詳細に説明する)。保管コンテナ151は例えば均一に分散された保管領域等の保管領域(図示せず)であって且つ任意の所望のベイ間若しくはベイ内搬送セグメントの軌道の下に存在しているか(例示として代表的なセグメント22Aが示されている)、若しくは軌道の下に位置する加工処理ツールPのインターフェース(図2参照)に存在している。図2から判るように、ベイ間及びベイ内枝部の軌道は加工処理ツールPのツールインターフェースの上方に位置している。従って、輸送車両200はワークピースコンテナを加工処理ツールPから直接搬送したり拾い上げたりすることが可能である。」(段落【0016】及び【0017】)

2c「【0021】
レールシステム60の中央レール68はコンベア走行路56のリニアモータ62の一部を形成している。上述したように、リニアモータ62は、コンテナ151をレール66O、66I上でX3、X4の方向にコンベア走行路の末端部まで移動せしめることが可能な無限行程を備えた任意の好適なタイプのリニアモータであっても良い(図2参照)。リニアモータ62は一般的に可動部のないソリッドステート構造のモータである。例えば、リニアモータ62はブラシ若しくはブラシレスAC若しくはDCリニアモータ、リニア誘導モータ、又はリニアステッパモータである。好適なリニアモータがバルドー・モーション・プロダクツ社(Baldor Motion Products)若しくはマグネ・モーション社(Magne Motion Inc)から入手可能である。リニアモータ62は一般的に2つの構成要素を有しており、それらは第1若しくは作用(forcer)構成要素と、第2、反作用(reaction)若しくはプラテン構成要素と、からなる。本実施例においては、作用構成要素74はコンベア走行路56の中央レール68にあり、反作用コンポーネント76は以下に詳細に説明するようにワークピース保持コンテナ151内に組み込まれている。代替実施例においては、反作用コンポーネントがコンベアレールに搭載されており、作用構成要素がコンテナに組み込まれていても良い。一例として、リニア誘導モータが図3及び5に示す実施例のリニアモータ62に使用されていた場合は、中央レール68は溝部69を画定する全体としてU形状の構造部材からなる。モータ62の作用構成要素74は溝部内に位置している。リニア誘導モータの場合は、作用部74は鋼板と相巻線とからなるコイルアセンブリである。作用部74は好適な配線(図示せず)によって電源(図示せず)及びコントローラC(図2参照)に接続されており、該コントローラCは作用部74によって生成される移動する磁界を制御する。モータ62は好適な整流装置74Cを備えた閉ループモータであり、例えば整流装置74CはコントローラCと連絡する例えばレール68上に搭載されたホール効果装置である。以下に更に説明するように、整流装置74Cは位置センサの役割を担い、コンテナ151のコンベア走行路56上の正確な位置を検出する。
【0022】
図5から判るように、レールシステム60のレール66I、66O、68はモジュール構造であっても良い。例えば、レール660はモジュール6601、6602を含んでいる(例示目的としてレールモジュール6601、6602のみが図5に示されている)。レールモジュール6601、6602は中間結合部660Iにおいて結合している。レールモジュール6601、6602は任意の好適な係合手段を備えていても良く(例えば連動面、機械的、留め具)、よって図5に示すようにモジュールを末端同士結合することが可能となる。中央レール68、及び外側レール66Iは同様なモジュール式構造を有している。モジュール6601、6602と同様のレールモジュールは任意の好適な長さを有しており、例えば数フィートであり、設置の際のハンドリングが容易になる。レールモジュールは設置の際に結合され、これによりコンベア走行路56のレールシステムのレール66O、661、68が形成する。一例として、モジュール6601、6602に類似するレールモジュールが設備内に設置の際に組み立てられて走行路56の一方の末端56L(図2参照)から他方の末端56Rまでのレール66が形成される。中央レール68、及び他の外側レール66Iが同様に設置されてコンベア走行路56が形成される。例えばモジュール6601、6602等のレールモジュールは、別の方法においてはモジュール方式によってコンベア走行路56が設置される。例えば、全レール66I、66O、68用のモジュールが設置されて1以上のコンベア走行路モジュール56M1、56M2が形成される(図2参照)。コンベア走行路56の設置はその後モジュール毎に行なわれていく。上記においては、コンベア走行路56のモジュール56M1、56M2が単なる例示目的として最初に設置されるように記載されているが、代替実施例においてはコンベア走行路の中央モジュールが最初に設置されても良い。コンベアモジュール56M1、56M2は中間走行路結合部56Iにおいて結合される。一旦設置されれば各コンベア走行路モジュール56M1、56M2は全走行路56を完成する前であっても所望であればすぐに操作し得る。これは1つにはソリッドステート構造のモータ62を使用することによって可能となっており、従来のコンベアシステムとは異なり、該モータ62はコンベア走行路において操作可能となる前に全ての駆動ローラに結合される機械的伝動装置を採用していない。更に、以下から判るように従来のシステムと異なり、モータ62はコンベア走行路56によって搬送されるコンテナを、正確に始動したり停止したりすることが可能である。ソリッドステート構造のモータを使用する輸送システムセクション14によって生じる他の利点は、リニアモータ62と同様、ソリッドステート構造のモータのまさに本質そのものによって、顕著な性能劣化を生じることなく、容易にレールモジュール間の位置のずれを調整することが可能なことである。セクション14のリニアモータ62は、モジュール式構造アセンブリの現場条件下での許容誤差に相応した中央レール68のモジュール間の位置のずれを有したまま運転することが可能である。好対照としては、従来の機械的コンベア駆動システム(例えば図1Aに示されている)は、駆動においてより厳しい機械的許容誤差の制限がある。その結果、従来のコンベア走行路の駆動レールは、走行路のほぼ全長に亘って工場(offsite)において一体もの(one piece)として製作して、その後一体ものとして設備に設置しなければならない。従って、輸送システムセクション14は、従来のシステムに比べて据付け及びスタートアップ時の使用の両方の面においてより高い柔軟性を有している。」(段落【0021】及び【0022】)

2d「【0029】
コンテナのコンベア走行路52、54、56、58上での動き及び位置の制御が正確であることにより、コンベア走行路上での任意の位置を輸送車両200がコンテナ15’をコンベア走行路から離して拾い上げ得る拾い上げ位置Oにすることが可能になる。一例としては、再度図6A及び6Bを参照すると、輸送車両200が輸送システムセクション12の軌道22A上の所定位置αに存在している。例えば、輸送車両は、コンテナをコンベア走行路56上に放出したばかりの位置αに存在している。位置αは軌道22Aに沿った任意の位置であって良い。車両ホイストは図6A及び6B において収縮位置で示されているが、ホイストは伸長位置にあっても良く(図示せず)、このときホイストは走行路56からコンテナ151を拾い上げるか若しくは放出することが可能となる。伸長位置の場合は、ホイスト208は図6Bに示す向きにあり、図6Aに示す向きから90°回転している。図6Bにおいては、ホイストの把持アームは走行路56のレールをまたいで配置されている。コントローラC(図2参照)はリニアモータを制御し、よって所望のコンテナ151を走行路56に沿わせる。コントローラは輸送車両200の軌道22A上の位置αを登録してコンテナ151の位置Oに適合させ、よってこの場合は車両200の下にコンテナが並べられる。コントローラCは走行路56上の位置Oを制御し、よって車両ホイスト208を単に伸長して軌道22A上に車両200を再度位置決めすることなくコンテナ151を拾い上げる。ホイスト208が伸長している場合は(図6Bに示す位置E1)、コンテナは走行路56上を位置Oまで駆動せしめられて、そこにおいてコンテナ151のグリップ位置がホイスト208のグリップアームの間に来る。拾い上げるために、ホイスト208のグリップアームが単に閉じられる。この輸送システムセクション14による「押し込み(drive in)」機能により、セクション14に最多数の拾い上げ位置が設けられる。よってハンドリングシステム10の効率が顕著に向上する。上記においては車両200が静止位置αにあるときについて説明したが、同様のプロセスは車両200が動的位置にある場合にも採用され得る。この場合は、コンテナ151は走行路56に沿って駆動され、よって軌道22A上の車両200に対して位置及び速度の両方が整合する。」(段落【0029】)

(2-2) 甲第2号証の記載事項及び図面に示された内容から分かること

2e 上記(2-1)の2aの記載から、甲第2号証にはマテリアル・ハンドリングシステムが記載されていることが分かる。

2f 上記(2-1)の2c及び図2ないし5の記載から、マテリアル・ハンドリングシステムは、コンベヤ走行路56上のコンテナ151の位置を検出する位置センサの役割を担う整流装置74Cを備えていることが分かる。

2g 上記(2-1)の2b及び2c並びに図2ないし図6からみて、マテリアル・ハンドリングシステムは、コンベヤ走行路56によって搬送されるコンテナ151とそれぞれ係合するホイスト208を有した複数の輸送車両200と、輸送車両200が移動する搬送路とを備えていることが分かる。

2h 上記(2-1)の2d及び図2ないし図6からみて、マテリアル・ハンドリングシステムは、搬送路の一部(軌道22A)に設けられ、輸送車両200の車両ホイスト208を伸長させてコンテナ151を拾い上げる区間を備えていることが分かる。

2i 上記(2-1)の2d及び図2ないし図6からみて、マテリアル・ハンドリングシステムはコントローラCを備えており、コントローラCは、搬送路(軌道22A)上の輸送車両200に対して位置及び速度の両方が整合するようにコンテナ151を走行路56に沿って駆動することが分かる。

(2-3) 甲第2号証に記載された技術
したがって、上記(2-1)及び(2-2)を総合すると、甲第2号証には次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認める。

「コンベヤ走行路56上のコンテナ151の位置を検出する位置センサの役割を担う整流装置74Cと、コンベヤ走行路56によって搬送されるコンテナ151とそれぞれ係合するホイスト208を有した複数の輸送車両200と、輸送車両200が移動する搬送路と、搬送路の一部に設けられ、輸送車両200の車両ホイスト208を伸長させてコンテナ151を拾い上げる区間と、搬送路上の輸送車両200に対して位置及び速度の両方が整合するようにコンテナ151を走行路56に沿って駆動するコントローラCとを備えたマテリアル・ハンドリングシステム。」

(3)甲第3号証
(3-1) 甲第3号証の記載事項
本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第3号証には、「検瓶装置」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

3a 「(産業上の利用分野)
本発明は、検瓶装置に関するものである。」(第1ページ左下欄16及び17行)

3b 「また検瓶機本体(10)が水平軸線に対して上下対称に構成され、検瓶機本体(10)の下部に検瓶機駆動用リニアモータのムーバ(20a)が取付けられるとともにその下方に検瓶機駆動用リニアモータのステータ(30a)が配設され、検瓶機本体(10)の上部に検瓶機駆動用リニアモータのムーバ(20b)が取付けられるとともにその上方に検瓶機駆動用リニアモータのステータ(30b)が配設されており、リニアモータの上下方向の吸引力が相殺されて、検瓶機本体(10)に推力のみが働くようになっている。なお検瓶機本体(10)に取付けた検瓶機駆動用リニアモータのムーバ(20a)(20b)は、複数個の永久磁石(第2図の場合には、2個の永久磁石(21)(22)のN-S極の組み合わせよりなる。また検瓶装置の架台(100)に取付けた検瓶機駆動用リニアモータのステータ(30a)(30b)は、鉄心に巻き付けた複数本の連続したコイル(31a)(31b)・・・よりなる」(第3ページ右上欄11行ないし左下欄8行)

3c 「検瓶機(5a)(5b)・・・(5n)を同検瓶機本体(10)に取付けた検瓶機駆動用リニアモータのムーバ(20a)(20b)と検瓶装置の架台(100)に取付けた検瓶機駆動用リニアモータのステータ(30a)(30b)とにより検査位置A?Gに間歇的に停止させながら移動させた後、戻り移動路(8)を経て検査位置A?Gに循環移動させる。一方、入口瓶コンベア(1)により搬送されてきた空瓶(2a)を入口円錐スクリユーフイーダ(3)の溝から検査位置Aの手前に循環移動してきた検瓶機(第3図の場合には、検瓶機(5a))の瓶支持ローラ(71a)?(71d)間へ渡し((2b)参照)、それからは、床面(81)上の瓶(2b)を瓶支持ローラ(71a)?(71d)と検瓶装置の垂直壁(80)とにより挟持しながら検査位置A?Gへ間歇的に搬送して、所要の検査を行う。」(第3ページ左下欄12行ないし右下欄7行)

(3-2) 甲第3号証の記載事項及び図面に示された内容から分かること

3d 上記(3-1)の3aの記載から、甲第3号証には検瓶装置が記載されていることが分かる。

3e 上記(3-1)の3c並びに第1ないし3図の記載から、検瓶装置は、瓶支持ローラ71を有した各検瓶機5を循環移動させる戻り移動路8を備えていることが分かる。

3f 上記(3-1)の3c及び第1ないし3図の記載から、検瓶装置は、戻り移動路8の一部に設けられ、瓶2bを瓶支持ローラ71と検瓶装置の垂直壁80とにより狭持しながら検査位置A?Gへ間歇的に搬送する区間を備えていることが分かる。

3g 上記(3-1)の3b及び第1図の記載から、検瓶装置は、検瓶機5に取付けた永久磁石21及び22と、架台100に取付けたコイル31とを備えていることが分かる。
また、検瓶機5に取付けた永久磁石21及び22と、架台100に取付けたコイル31とは検瓶機5を駆動するリニアモータの動力として働くものである以上、コイル31の電流を制御することは明らかであるから、検瓶装置は、コイル31に電流を供給して検瓶機5の移動を制御する制御装置を備えているといえる。

(3-3) 甲第3号証に記載された技術
したがって、上記(3-1)及び(3-2)を総合すると、甲第3号証には次の技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されていると認める。

「瓶支持ローラ71を有した各検瓶機5を循環移動させる戻り移動路8と、戻り移動路8の一部に設けられ、瓶2bを瓶支持ローラ71と検瓶装置の垂直壁80とにより狭持しながら検査位置A?Gへ間歇的に搬送する区間と、検瓶機5に取付けた永久磁石21及び22と、架台100に取付けたコイル31と、コイル31に電流を供給して検瓶機5の移動を制御する制御装置とを備えた検瓶装置。」

(4)甲第4号証
(4-1) 甲第4号証の記載事項
本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第4号証には、「スターホイール」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

4a 「また第1図の実施例は、缶蓋供給装置10を図示しないフィラーとシーマ9の間の缶供給コンベヤ3の途中に設けたものである。
今、本考案のスターホイールの1例として缶胴案内スターホイール4について説明すると、その斜視図は第3図の如くポケットの歯先がピッチ円よりも外側に延長されていて、その延長部4bのカーブはサイクロイド歯形形状を有する。更に詳細には第4図(a)から第4図(d)に示す。第4図(a)は缶詰缶2をフィードチェーン15で矢印F方向に搬送して、矢印L方向にチェーン15に同期して回転しているスターホイール4の案内溝4aに受渡す状態を示し、第4図(b)?(d)は缶詰缶2a,2b,2c・・・が順次搬送されていく過程を示している。」(明細書第5ページ7行ないし第6ページ1行)

(4-2) 甲第4号証の記載事項及び図面に示された内容から分かること

4b 上記(4-1)の4aの記載から、甲第4号証には缶蓋供給装置10が記載されていることが分かる。

4c 上記(4-1)の4a及び第4図(a)からみて、缶蓋供給装置10のフィードチェーン15は缶詰缶2に係合していることが看取できる。
したがって、缶蓋供給装置10は、缶詰缶2を搬送する缶供給コンベヤ3と、外周部等間隔位置にそれぞれ缶詰缶2を保持する案内溝4aが設けられたスターホイール4と、缶供給コンベヤ3によって搬送されてきた各缶詰缶2に係合するとともに、各缶詰缶2をスターホイール4に同期させて案内溝4aに受渡すフィードチェーン15を備えていることが分かる。

4d 上記(4-1)の4a及び第4図(a)からみて、缶蓋供給装置10のフィードチェーン15は缶詰缶2とそれぞれ係合する複数の歯先を有していることが看取できる。

(4-3) 甲第4号証に記載された発明
したがって、上記(4-1)及び(4-2)を総合すると、甲第4号証には次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認める。

「缶詰缶2を搬送する缶供給コンベヤ3と、外周部等間隔位置にそれぞれ缶詰缶2を保持する案内溝4aが設けられたスターホイール4と、缶供給コンベヤ3によって搬送されてきた各缶詰缶2に係合するとともに、各缶詰缶2をスターホイール4に同期させて案内溝4aに受渡すフィードチェーン15とを備えた缶蓋供給装置10において、
フィードチェーン15は、缶詰缶2とそれぞれ係合する複数の歯先とから構成されている、缶蓋供給装置10。」

(5)甲第5号証
(5-1) 甲第5号証の記載事項
本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第5号証には、「物品仕分け装置」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

5a 「【0013】図1,7,9示のように前記コンベヤ25とこの滑り板23の両側には物品2,2・・・のラベル位置を避けてセパレータ30,31を上下2段に設ける。図7において上はF側(挿入孔n_(1) ,n_(2) 側),下はM側(雄突起h_(1) ,h_(2) 側)で、これらは左右対象であるので、その一方のみを説明する。図1(イ),(ロ)ではM側のみを2つに分けて示す。これら上下セパレータ30,31は図1示のように夫々水平面内で駆動すべく設けた上下のチェイン32,33に等間隔に設けられ、このセパレータ30,31・・・の前方には前ストッパー34,34・・・を物品2,2・・・に向かって摺動すべく設け、その基部は物品2,2・・・に向かって作動すべくカム35に係合する。図12示のようにセパレータ30,31は四角状でその物品2の外側に係合する面には物品2の丸みに沿った円弧面31aを有する。これら上下のチェイン32,33を掛け渡したチェインホイール36,36・・・はメインモータM1により回動すべく設ける。37,37は上下のチェイン32,33を案内するガイドである。」(段落【0013】)

5b 「【0018】次に図11,12につきこのグルーピング部Cの動作を説明する。物品2,2・・・はスターホイール17,17により前後が隣接した状態でコンベヤ15よりコンベヤ25及び滑り板23上に送り出され、図12示のようにセパレータ30,31はB位置で物品2の後端に係合し、グルーピングを開始するが、セパレータ30,31がB位置になる前に前ストッパー34がカム35によって突出し、位置Aの物品2が倒壜するのを防止する。このセパレータ30,31はコンベヤ25よりその物品2を少し速い速度で前方に送る。従って3個2列の物品2,2・・・は後続する物品2より速く送られ、その間に隙間ができ、物品2は3個2列ずつ仕分けされる。」(段落【0018】)

(5-2) 甲第5号証の記載事項及び図面に示された内容から分かること

5c 上記(5-1)の5b並びに図1、11及び12の記載から、物品仕分け装置は、コンベヤ25によって送られる物品2とそれぞれ係合する複数のセパレータ30、31を備えていることが分かる。

5d 上記(5-1)の5a並びに図1の記載から、物品仕分け装置のチェイン32、33は無端状であることが看取できる。
したがって、物品仕分け装置のセパレータ30、31は、無端状の水平面内で駆動するチェイン32、33に設けられていることが分かる。

5e 上記(5-1)の5a及び5b並びに図1、11及び12の記載を上記5c及び5dとあわせてみると、物品仕分け装置は、無端状の水平面内で駆動するチェイン32、33の水平面内の一部に設けられ、セパレータ30、31を物品2に向けて突出させて物品2に係合させるとともに、セパレータ30、31によって物品2をコンベヤ25より少し速い速度で送る区間を備えていることが分かる。

(5-3) 甲第5号証に記載された技術
したがって、上記(5-1)及び(5-2)を総合すると、甲第5号証には次の技術(以下、「甲5技術」という。)が記載されていると認める。

「コンベヤ25によって送られる物品2とそれぞれ係合する複数のセパレータ30、31と、セパレータ30、31を備えた無端状の水平面内で駆動するチェイン32、33と、無端状の水平面内で駆動するチェイン32、33の水平面内の一部に設けられ、セパレータ30、31を物品2に向けて突出させて物品2に係合させるとともに、セパレータ30、31によって物品2をコンベヤ25より少し速い速度で送る区間を備えた物品仕分け装置。」

2 理由1(特許法第29条第2項)について
(1) 甲1発明を主引用例とした対比・判断

本件特許発明と甲1発明を対比すると、甲1発明における「容器2」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本件特許発明における「物品」に相当し、以下、同様に、「搬送コンベヤ3」は「搬送コンベヤ」に、「係合する」は「保持する」に、「ポケット7a」は「物品保持部」に、「スターホイール7」は「スターホイール」に、「ロータリストッパ4」は「同期供給手段」に、「容器供給装置」は「物品受け渡し装置」に、それぞれ、相当する。

したがって、本件特許発明と甲1発明は、
「物品を搬送する搬送コンベヤと、外周部等間隔位置にそれぞれ物品を保持する物品保持部が設けられたスターホイールと、搬送コンベヤによって搬送されてきた各物品に係合するとともに、各物品をスターホイールに同期させて各物品保持部に供給する同期供給手段とを備えた物品受け渡し装置において、
同期供給手段は、搬送コンベヤによって搬送される物品とそれぞれ係合する複数の係合手段から構成されている、
物品受け渡し装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1-1>
本件特許発明においては「同期供給手段」が、「搬送コンベヤによって搬送される物品の位置を検出する位置検出手段」と「位置検出手段からの信号により隣接する物品間で係合手段を物品に向けて突出させて該物品に係合させるとともに、スターホイールに同期させて搬送して該物品を物品保持部に供給させる」「制御装置」を有しているのに対し、甲1発明においては「ロータリストッパ4」が、このような構成を有しているのか不明な点(以下、「相違点1-1」という。)。

<相違点1-2>
本件特許発明においては「同期供給手段」が、「搬送コンベヤによって搬送される物品とそれぞれ係合する複数の係合手段と、各係合手段をそれぞれ無端状の移動軌跡に沿って循環案内する循環通路と、この循環通路の一部に設けられ、係合手段を物品に向けて突出させて該物品に係合させるとともに、該係合手段によって物品を搬送コンベヤに沿って搬送させる係合区間と、各係合手段に設けた永久磁石と電磁コイルとのいずれか一方と、循環通路に沿って無端状に配置した永久磁石と電磁コイルとのいずれか他方と、電磁コイルに電流を供給して各係合手段の移動を制御する制御装置とから構成」されているのに対し、甲1発明においては「ロータリストッパ4」が、「搬送コンベヤ3によって搬送される容器2とそれぞれ係合する複数のストッパ部材8とから構成」されているが、このような構成を有しているのか不明な点(以下、「相違点1-2」という。)。

なお、特許異議申立書(第16ページ14行ないし第17ページ8行)において、特許異議申立人は相違点として相違点1ないし4を挙げて個々に判断を行っているが、相違点1に挙げた位置検出手段は相違点4に挙げた制御装置と一体不可分の構成であり、該位置検出手段と該制御装置とは有機的に結合しているものであることから、当審においてはまとめて相違点1-1として判断した。
同様に、相違点2に挙げた循環通路は相違点3に挙げた制御装置と一体不可分の構成であり、該循環通路と該制御装置とは有機的に結合しているものであることから、当審においてはまとめて相違点1-2として判断した。

<相違点1-1についての判断>
甲1発明と甲2技術とは、「コンベヤ上の物品と係合する移動する係合部材を有する装置」であることについては共通している。
そして、甲2技術においては、「整流装置74C」により検出する「コンベヤ走行路56上のコンテナ151の位置」が「搬送路上の輸送車両200」の位置に「整合するようにコンテナ151を走行路56に沿って駆動するコントローラC」を備えたものである。
しかしながら、甲第1号証の段落【0006】に「上記ロータリストッパ4は、搬送コンベヤ3よりも遅い速度で回転駆動されるようになっており、その外周部等間隔位置に半径方向外方にむけて放射状に突出させた多数のストッパ部材8を備え、搬送コンベヤ3によって搬送される容器2を各ストッパ部材8に係合させることにより各容器2に制動を加えることができるようになっている。上記ロータリストッパ4とスターホイール7とは後述する駆動機構によって相互に同期状態を保って駆動されるようになっており、上記ストッパ部材8から離脱されて搬送コンベヤ3によって搬送されてきた容器2は上記スターホイール7のポケット7aに順次係合されて、回転式充填機6内に導入されるようになっている。」と記載されているように、甲1発明の「ロータリストッパ4」は「スターホイール7」と同期状態を保って駆動されることにより、「各容器2をスターホイール7に同期させて各ポケット7aに供給する」ものである。
すなわち、甲1発明においては、ロータリストッパ4(ストッパ部材8)の位置は、スターホイール7(ポケット7a)の位置に応じて決まるものであり、容器2の位置に応じて決まるものでは無いから、甲1発明においては、係合を行うために容器2の位置を検出するという課題が存在しない。

また、甲第1号証の段落【0006】に記載されているように、甲1発明の「ロータリストッパ4」は係合することにより「容器2」に制動を加えるものであるのに対し、甲2技術の「輸送車両200」は、「コンベヤ走行路56によって搬送されるコンテナ151とそれぞれ係合するホイスト208を有し」「輸送車両200の車両ホイスト208を伸長させてコンテナ151を拾い上げる」ものであり、物品を係合することによる作用効果が相違している。
したがって、甲1発明における「容器供給装置」には係合を行うために容器2の位置を検出するという課題が存在せず、しかも、物品を係合することによる作用効果においても相違するものであり、甲1発明に甲2技術を適用する動機付けもないから、甲1発明及び甲2技術に基づいて、相違点1-1に係る本件特許発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。
よって、甲1発明に甲2技術を適用し、相違点1-1に係る本件特許発明の発明特定事項とすることを、当業者が容易に想到することができたとはいえない。

<相違点1-2についての判断>
甲1発明と甲3技術とは、「容器と係合する移動する係合部材を有する装置」であることについては共通している。
しかしながら、甲1発明の「ロータリストッパ4」は「スターホイール7」と同期状態を保って駆動されることにより、「各容器2をスターホイール7に同期させて各ポケット7aに供給する」もの、すなわち、スターホイールに同期するために容器を係合するものであるのに対し、甲3技術の「瓶支持ローラ71を有した各検瓶機5」は、「瓶2bを瓶支持ローラ71と検瓶装置の垂直壁80とにより狭持しながら検査位置A?Gへ間歇的に搬送する区間」を設けるもの、すなわち、検査を行うために容器を係合(支持)するものである。
つまり、甲1発明と甲3技術とはその技術分野が、スターホイールに同期するために容器を係合する技術と、検査を行うために容器を係合する技術とで相違するといえる。
また、甲第1号証の段落【0006】に記載されているように、甲1発明の「ロータリストッパ4」は係合することにより「容器2」に制動を加えるものであるのに対し、甲3技術の「瓶支持ローラ71を有した各検瓶機5」は、「瓶2bを瓶支持ローラ71と検瓶装置の垂直壁80とにより狭持」することにより「瓶2b」を間歇的に搬送するものであり、物品を係合することによる作用効果が相違している。
したがって、甲1発明と甲3技術とは技術分野が相違するとともに、物品を係合することによる作用効果においても相違するものであり、甲1発明に甲3技術を適用する動機付けもないから、甲1発明及び甲3技術に基づいて、相違点1-2に係る本件特許発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。
よって、甲1発明に甲3技術を適用し、相違点1-2に係る本件特許発明の発明特定事項とすることを、当業者が容易に想到することができたとはいえない。

したがって、本件特許発明は甲1発明、甲2技術及び甲3技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(2) 甲4発明を主引用例とした対比・判断

本件特許発明と甲4発明を対比すると、甲4発明における「缶詰缶2」は、その機能、構成または技術的意義からみて、本件特許発明における「物品」に相当し、以下、同様に、「缶供給コンベヤ3」は「搬送コンベヤ」に、「案内溝4a」は「物品保持部」に、「スターホイール4」は「スターホイール」に、「受渡す」は「供給する」に、「フィードチェーン15」は「同期供給手段」に、「缶蓋供給装置10」は「物品受け渡し装置」に、「歯先」は「係合手段」に、それぞれ、相当する。

したがって、本件特許発明と甲4発明は、
「物品を搬送する搬送コンベヤと、外周部等間隔位置にそれぞれ物品を保持する物品保持部が設けられたスターホイールと、搬送コンベヤによって搬送されてきた各物品に係合するとともに、各物品をスターホイールに同期させて各物品保持部に供給する同期供給手段とを備えた物品受け渡し装置において、
同期供給手段は、物品とそれぞれ係合する複数の係合手段から構成されている、
物品受け渡し装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点2-1>
本件特許発明においては「同期供給手段」が、「搬送コンベヤによって搬送される物品の位置を検出する位置検出手段」と「位置検出手段からの信号により隣接する物品間で係合手段を物品に向けて突出させて該物品に係合させるとともに、スターホイールに同期させて搬送して該物品を物品保持部に供給させる」「制御装置」を有しているのに対し、甲4発明においては「フィードチェーン15」が、このような構成を有しているのか不明な点(以下、「相違点2-1」という。)。

<相違点2-2>
本件特許発明においては「同期供給手段」が、「搬送コンベヤによって搬送される物品とそれぞれ係合する複数の係合手段と、各係合手段をそれぞれ無端状の移動軌跡に沿って循環案内する循環通路と、この循環通路の一部に設けられ、係合手段を物品に向けて突出させて該物品に係合させるとともに、該係合手段によって物品を搬送コンベヤに沿って搬送させる係合区間と、各係合手段に設けた永久磁石と電磁コイルとのいずれか一方と、循環通路に沿って無端状に配置した永久磁石と電磁コイルとのいずれか他方と、電磁コイルに電流を供給して各係合手段の移動を制御する制御装置とから構成」されているのに対し、甲4発明においては「フィードチェーン15」が、「缶詰缶2とそれぞれ係合する複数の歯先とから構成」されているが、このような構成を有しているのか不明な点(以下、「相違点2-2」という。)。

なお、特許異議申立書(第21ページ末行ないし第22ページ下から2行)において、特許異議申立人は相違点として相違点1ないし5を挙げて個々に判断を行っているが、相違点1に挙げた位置検出手段は相違点5に挙げた制御装置と一体不可分の構成であり、該位置検出手段と該制御装置とは有機的に結合しているものであることから、当審に置いてはまとめて相違点2-1として判断した。
同様に、相違点2に挙げた係合手段、相違点3に挙げた循環通路及び相違点4に挙げた制御装置は一体不可分の構成であり、該循環通路と該制御装置とは有機的に結合しているものであることから、当審においてはまとめて相違点2-2として判断した。

<相違点2-1についての判断>
甲4発明と甲2技術とは、「物品と係合する移動する係合部材を有する装置」であることについては共通している。
そして、甲2技術においては、「整流装置74C」により検出する「コンベヤ走行路56上のコンテナ151の位置」が「搬送路上の輸送車両200」の位置に「整合するようにコンテナ151を走行路56に沿って駆動するコントローラC」を備えたものである。
しかしながら、甲4発明の「フィードチェーン15」は「スターホイール4」と同期することにより、「各缶詰缶2をスターホイール4に同期させて案内溝4aに受渡す」ものである。
すなわち、甲4発明においては、フィードチェーン15(歯先)の位置は、スターホイール4(案内溝4a)の位置に応じて決まるものであり、缶詰缶2の位置に応じて決まるものでは無いから、甲4発明においては、係合を行うために缶詰缶2の位置を検出するという課題が存在しない。

また、甲4発明の「フィードチェーン15」は「スターホイール4」と同期することにより、「各缶詰缶2をスターホイール4に同期させて案内溝4aに受渡す」もの、すなわち、スターホイールに同期するために物品を係合するものであるのに対し、甲2技術の「輸送車両200」は、「輸送車両200の車両ホイスト208を伸長させてコンテナ151を拾い上げ」てコンテナ151を搬送するもの、すなわち、物品(コンテナ151)を拾い上げて搬送するために物品(コンテナ151)を係合するものである。
つまり、甲4発明と甲2技術とはその技術分野が、スターホイールに同期するために物品を係合する技術と、物品を拾い上げて搬送するために物品を係合する技術とで相違するといえる。
したがって、甲4発明における「容器供給装置」には係合を行うために缶詰缶2の位置を検出するという課題が存在せず、しかも、甲4発明と甲2技術とは技術分野が異なっており、甲4発明に甲2技術を適用する動機付けもないから、甲4発明及び甲2技術に基づいて、相違点2-1に係る本件特許発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。
よって、甲4発明に甲2技術を適用し、相違点2-1に係る本件特許発明の発明特定事項とすることを、当業者が容易に想到することができたとはいえない。

<相違点2-2についての判断>
甲4発明と甲3技術とは、「物品と係合する移動する係合部材を有する装置」であることについては共通している。
しかしながら、甲4発明の「フィードチェーン15」は「スターホイール4」と同期状態を保って駆動されることにより、「各缶詰缶2をスターホイール4に同期させて案内溝4aに受渡す」もの、すなわち、スターホイールに同期するために容器を係合するものであるのに対し、甲3技術の「瓶支持ローラ71を有した各検瓶機5」は、「瓶2bを瓶支持ローラ71と検瓶装置の垂直壁80とにより狭持しながら検査位置A?Gへ間歇的に搬送する区間」を設けるもの、すなわち、検査を行うために容器を係合(支持)するものである。
つまり、甲4発明と甲3技術とはその技術分野が、スターホイールに同期するために容器を係合する技術と、検査を行うために容器を係合する技術とで相違するといえる。
また、甲4発明の「フィードチェーン15」は係合することにより「缶詰缶2」を(連続的に)搬送するものであるのに対し、甲3技術の「瓶支持ローラ71を有した各検瓶機5」は、「瓶2bを瓶支持ローラ71と検瓶装置の垂直壁80とにより狭持」することにより「瓶2b」を間歇的に搬送するものであり、物品を係合することによる作用効果が相違している。
したがって、甲4発明と甲3技術とは技術分野が相違するとともに、物品を係合することによる作用効果においても相違するものであり、甲4発明に甲3技術を適用する動機付けもないから、甲4発明及び甲3技術に基づいて、相違点1-2に係る本件特許発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到できたものであるとすることはできない。
また、甲5技術は「永久磁石と電磁コイルとのいずれか他方と、電磁コイルに電流を供給して各係合手段の移動を制御する制御装置」に関する構成を有していない。
よって、甲4発明に甲3技術及び甲5技術を適用し、相違点2-2に係る本件特許発明の発明特定事項とすることを、当業者が容易に想到することができたとはいえない。

したがって、本件特許発明は甲4発明、甲2技術、甲3技術及び甲5技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3) 小括
以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当するものではない。

3 理由2(特許法第36条第6項第1号)について

(1)特許異議申立人の主張

理由2に関する主張として、特許異議申立書の第25ページ12ないし末行には、「請求項1には、「上記制御装置は、上記位置検出手段からの信号により隣接する物品間で上記係合手段を物品に向けて突出させて該物品に係合させる」と記載する。
一方本特許は、「物品の破損や転倒」を課題として、制御装置によって、「物品の搬送位置を検出しながら該物品に接触することないように係合手段を搬送コンベヤ上に突出させる」([0015])制御を行うことしか開示されていない。

さらに、前記接触することないように係合手段を搬送コンベヤ上に突出させる制御としては、「該係合手段を待機区間から係合区間へと移動させ、該係合手段の位置を検出しながら、該係合手段を搬送される物品の移動に同期させて、該物品よりも最適な量だけ前方となる位置で、係合区間から同期区間へ移行させる」([0014]-[0015])制御しか開示されていない。

他方上記記載は「物品の搬送位置を検出しながら該物品に接触することないように係合手段を搬送コンベヤ上に突出させる」以外の制御や、「該係合手段を待機区間から係合区間へと移動させ、該係合手段の位置を検出しながら、該係合手段を搬送される物品の移動に同期させて、該物品よりも最適な量だけ前方となる位置で、係合区間から同期区間へ移行させる」以外の制御を含んでいる。

したがって上記記載は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものであり、発明の詳細な説明に記載したものではない。」と記載されている。

(2)当審の判断

本件特許明細書の段落【0015】には「係合手段15の係合部15aは、物品1に接触することなく、搬送コンベヤ2上に突出されるようになる」と記載されており、係合手段15の係合部15aが物品1に接触しない以上、隣接する物品1間で係合手段15を物品1に向けて突出させていることが分かる。
また、本件特許明細書の段落【0016】には「搬送コンベヤ2によって搬送される物品1は当該係合手段15の係合部15aに係合して、該係合部15aにより制動を受けながら、該係合部15aと一体的に搬送されるようになる」と記載されていることから、物品1は係合手段15の係合部15aに係合していることが分かる。
したがって、本件特許明細書には、隣接する物品1間で係合手段15を物品1に向けて突出させて物品1に係合させることが記載されているといえる。

そして、本件特許明細書の段落【0004】には解決しようとする課題として「上記搬送コンベヤによって搬送されてきた物品は、タイミングスクリューの螺旋溝の入口側端部から該螺旋溝内に進入するようになり、その際、できるだけタイミングスクリューの入口側端部と物品とを円滑に係合させるために、物品をタイミングスクリューの入口側端部の上流に一定量貯めた状態で運転させる必要がある。しかしながら、物品を貯めることにより物品同士が接触して破損したり転倒することがあった」ことが、記載されている。
すなわち、物品の破損や転倒は、タイミングスクリューの入口側端部の上流に物品を貯めることにより物品同士が接触することにより生じる課題でもあり、本件特許発明においては「同期供給手段」を備えることにより、タイミングスクリューを不要とし、物品の破損や転倒を防止することにより、その課題を解決しており、また、その同期供給手段は明細書に記載されている。
よって、本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないとまではいえない。

4 理由3(特許法第36条第6項第2号)について

(1)特許異議申立人の主張

理由3に関する主張として、特許異議申立書の第26ページ2ないし7行には、「請求項1には「上記制御装置は、上記位置検出手段からの信号により隣接する物品間で上記係合手段を物品に向けて突出させて該物品に係合させる」と記載するが、制御装置の上記される制御によって係合手段を突出させるのか、制御装置の上記される制御に限らない制御によって係合手段を突出させるのか、曖昧であるから、位置検出手段からの信号による制御が不明確な記載となっている。」と記載されている。

(2)当審の判断

請求項1に係る発明において、「制御装置」は「電磁コイルに電流を供給して各係合手段の移動を制御する」ものである。
そして、「制御装置」が「電磁コイルに電流を供給して各係合手段の移動を制御する」ことにより、「位置検出手段からの信号により隣接する物品間で係合手段を物品に向けて突出させて該物品に係合させる」ものである。
そうすると、「制御装置」の「電磁コイルに電流を供給して各係合手段の移動を制御」によって係合手段を突出していることは明確である。
よって、本件特許発明が、明確でないとまではいえない。

第5 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-09-13 
出願番号 特願2012-18577(P2012-18577)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B65G)
P 1 651・ 537- Y (B65G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大野 明良  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 梶本 直樹
槙原 進
登録日 2015-10-23 
登録番号 特許第5825485号(P5825485)
権利者 澁谷工業株式会社
発明の名称 物品受け渡し装置  
代理人 神崎 真一郎  
代理人 神崎 真  
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