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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) G06F
管理番号 1319216
判定請求番号 判定2016-600003  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 判定 
判定請求日 2016-02-03 
確定日 2016-09-15 
事件の表示 上記当事者の特許第3437373号の判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びその説明書に示す「情報利用状況把握方法およびその方法を利用した情報提供システム」は,特許第3437373号発明の技術的範囲に属しない。 
理由
第1 請求の趣旨

本件判定請求の趣旨は,イ号図面及びその説明書に示す方法(以下,「イ号方法」という。)が,特許第3437373号発明の技術的範囲に属する,との判定を求めたものである。

なお,本件判定請求は,被請求人が存在しないものであり,その理由として,請求人は,請求人自身が将来実施することを現在検討中の実施行為をイ号として,判定請求するものであると述べている。


第2 本件特許発明

1.本件特許発明について

特許請求の範囲の請求項1の記載に従って,本件特許発明を構成要件A?Dに分説する。(A?Dは,請求人が付した記号「(1)」?「(4)」に対応している。)

「【請求項1】
A 情報提供コンピュータは,情報利用者の要求に応じて利用報告プログラムを呼び出す命令文を記載したプログラムまたはデータを情報受領コンピュータに送り,
B 前記情報受領コンピュータは,前記プログラムまたはデータを参照または実行することにより,前記利用報告プログラムを呼び出す命令文を実行し,その命令文に記載されたコンピュータから利用報告プログラムを取り出して実行し,
C 前記情報受領コンピュータは,前記利用報告プログラムを実行することにより,前記利用報告プログラムに記載されたコンピュータへ,プログラムまたはデータの利用状況データを送信することを特徴とする
D インターネットにおけるプログラムまたはデータの提供・受領に関する情報利用状況把握方法。」


2.本件特許の明細書の記載について

本件特許の明細書の発明の詳細な説明においては,本件特許発明の課題及び目的に関し,
「【0011】しかし,最近めざましく普及しているインターネット(オープンネットワークの代表的な例であるため,以降の説明はインターネットを例に説明するが,今後形成されるかもしれない同種のオープンネットワークでも全く同様である)を介して行われる情報の提供・受領の情報利用状況の把握は,従来のクローズドコンピュータネットワークほど簡単ではない。
…(中略)…
【0013】図4に,例としてそれぞれクライアントサーバーシステムからなる情報提供コンピュータ41と情報受領コンピュータ42が,インターネット43を介して情報を提供および受領するシステムとその情報の流れを示す。
【0014】情報提供は,情報提供コンピュータ41,最も典型的には情報提供サーバー44によってなされる。もちろん,情報提供サーバー44を介した情報提供クライアントPC45a,45b,45c,45d,…による場合もある。一方,情報受領コンピュータ42は,情報受領サーバー46を有し,この情報受領サーバー46にクライアントPC47a,47b,47c,47d,…が接続されている。上記情報提供コンピュータ41と情報受領コンピュータ46とはインターネット43によって接続されている。
…(中略)…
【0020】また,仮にサーバーを介さずにインターネットと接続されているPCなどのコンピュータがあり,これによって情報を受領しようとする場合も基本的には上記と全く同様の問題が生じた。すなわち,当該PCからの接続要求があった場合は,情報提供コンピュータは接続要求があった時刻のみを把握することができたが,それ以外の例えば如何なる情報をどの程度の時間にわたって閲覧したか等は把握することができないことには変わりはなかった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】以上の説明から解るように,従来のインターネットを介する情報の提供と受領は,提供している情報の情報利用者名,情報の利用時間,利用されている情報の内容を正確に把握することができなかった。
【0022】たとえば上述したように,インターネット上で有償で情報を提供するサービスを行っている場合に,情報利用者が一つのサーバーによってその情報を受領し,その後多数の情報利用者がクライアントPCを介してそのサーバーから無制限に情報を得ることができた。このような場合には,情報提供者はそのような二次的な情報の利用を知ることができず,情報の利用に対して正当な報酬を受けられないという問題があった。
【0023】また,上述したように,従来のインターネットにおけるwwwサーバープロトコル上のアクセス・ログ解析ツールでは,情報提供コンピュータと情報受領コンピュータとが接続されたときの最初の接続時刻のみを記録することができ,接続の終了時刻を把握することができなかった。つまり,接続した後に,情報受領コンピュータが実際にどの位の時間長さで情報を閲覧したかを把握することができなかった。
…(中略)…
【0025】さらに,すでに説明したように,従来は複数の情報が一時的に情報提供側のサーバー(情報提供サーバー)に記憶され,情報利用者は,それら情報を選択的に繰り返し利用することができた。この場合,情報提供コンピュータは,実際にどの情報が繰り返し利用されたかを把握することができなかった。しかし,最近は情報利用者の利用した情報の内容を把握することにより,重要な情報とそれほど重要でない情報間で課金の額に格差を設ける課金方法に対する要求が高まっていた。
【0026】また,インターネットに無償の情報提供を行っている場合にも,提供している情報の利用されている状況を把握することにより,その情報の対象商品等の売れ行きの打診や,情報利用者層の特定等を行うなど,マーケットリサーチに利用しようとする要求が高まっていた。このためには,情報提供者側において,どの情報が頻繁に利用されたかを把握することは重要であった。そこで,従来の情報利用状況の把握方法より正確な情報利用状況把握方法の開発が待たれていた。
…(中略)…
【0029】そこで,本発明が解決しようとする課題は,オープンネットワークを介して情報を提供・受領する場合に,その情報の情報利用者,利用時間,利用情報の内容等を正確に把握できる情報利用状況把握方法およびその方法を利用した情報提供システムを提供することにある。」
と記載されている。

また,本件特許発明の効果に関しては,
「【0088】
【発明の効果】 以上の説明から明らかなように,本発明による「情報利用状況把握方法およびその方法を利用した情報提供システム」によれば,オープンネットワークに提供している情報の利用者,利用時間,利用情報の内容等を正確に把握することができる。
【0089】これにより,たとえば,情報利用者が一つのサーバーによってその情報を受領し,その後多数の情報利用者がクライアントPCを介してそのサーバーに格納された情報を参照する場合にも,利用報告プログラムによって上記のような二次的な情報利用の状況を報告させることができるので,情報提供者はそのような二次的な利用を正確に把握することができ,これに対して正当な課金や利用状況の情報の収集を行うことができる。
…(中略)…
【0092】さらに,情報利用状況取得者を介して行うオープンネットワークにおける情報提供システムによれば,情報利用状況取得者が情報提供者と情報利用者間の情報のやり取りを監視し,情報の利用状況データを集計・解析することにより,著しく増加する情報利用者と情報提供者双方の個別の管理の手間と時間を軽減し,近い将来錯綜するであろう情報の提供と利用を効果的に管理することができる。」
と記載されている。

これらの記載によれば,クライアントサーバーシステムからなる情報提供コンピュータと情報受領コンピュータとが,インターネットを介して情報を提供および受領するシステムにおいて,インターネット上で有償で情報を提供するサービスを行っている場合には,情報提供者が情報の利用に対して正当な報酬を受けられるようにするために情報利用者の利用した情報の内容を把握する必要があり,また,インターネットに無償の情報提供を行っている場合にも,情報提供者側において,どの情報が頻繁に利用されたかを把握することが重要であるところ,従来,情報提供コンピュータは,情報受領コンピュータからの接続要求があった時刻のみであれば把握することができたが,それ以外の例えば如何なる情報をどの程度の時間にわたって閲覧したか等は把握することができなかったことから,本件特許発明はこの課題を解決するため,「利用報告プログラム」を実行する情報受領コンピュータからの報告によって,インターネットを介して情報を提供され受領される情報についての情報利用者,利用時間,利用情報の内容等を正確に把握しようとするものであり,そのことにより,情報提供者が二次的な利用を含め情報利用者の利用状況の詳細な情報を収集することができるため,正当な課金や利用状況を正確に把握することができるとともに,情報の提供と利用を効果的に管理することができるというものである。


第3 イ号方法

イ号図面及びその説明書に示されたイ号方法は,以下のとおりである。

「(a)Webサーバは,ユーザの要求に応じて所定のJavaScriptプログラムを呼び出す命令文を記載したHTMLファイルをユーザPCに送信し,
(b)前記ユーザPCは,前記HTMLファイルを読み込むことにより,前記所定のJavaScriptプログラムを呼び出す命令文を実行し,前記命令文に記載されたサーバ1から前記所定のJavaScriptプログラムをダウンロードして実行し,
(c)前記ユーザPCは,前記所定のJavaScriptプログラムを実行することにより,前記所定のJavaScriptプログラムに記載されたサーバ2へユーザ閲覧URL若しくはリファラーURLを送信する,又は,前記HTMLファイルに係るオブジェクトを対象としたユーザの操作に基づき前記所定のJavaScriptプログラムに記載されたサーバ2へ前記ユーザの操作に関する情報を送信する
(d)インターネットにおけるプログラムまたはデータの提供・受領に関する方法。」

なお,イ号方法の構成(c)の「ユーザ閲覧URL若しくはリファラーURL」は,ユーザPCに記録されるURLであって,ユーザが閲覧したデータに直接または間接に関係したURLの閲覧履歴であり,他方の「HTMLファイルに係るオブジェクトを対象とした」「ユーザの操作に関する情報」は,ユーザPCに表示されているオブジェクトに対するユーザの操作(例えば,クリック,マウスアウトなど)の履歴である(判定請求書の第4?5頁の「イ号方法の説明」「(c)の説明」)。


第4 判断

構成要件A?Dについての充足判断に先立ち,構成要件A?Cに含まれる「利用報告プログラム」,「情報提供コンピュータ」,「情報受領コンピュータ」及び「情報利用者」について検討する。

1.本件特許発明の「利用報告プログラム」等について

(1)本件特許発明の「利用報告プログラム」について

本件特許発明の「利用報告プログラム」は,構成要件Cの記載からみて,「情報受領コンピュータ」によって実行され,「プログラムまたはデータの利用状況データを送信する」ものであるものの,ここでいう「プログラムまたはデータ」は如何なるものか,「利用状況データ」とは如何なる利用に係るものかは,特許請求の範囲の記載からのみでは明らかでない。
そこで,本件特許の明細書の発明の詳細な説明を参酌すると,上記「第2 本件特許発明について」の「2.本件特許の明細書の記載について」において示したところに照らせば,本件特許発明の「利用報告プログラム」が送信する「プログラムまたはデータの利用状況データ」は,情報受領コンピュータが情報提供コンピュータに接続したときの最初の時刻などの簡単な履歴データにとどまらず,情報提供コンピュータと情報受領コンピュータとが,インターネットを介して情報を提供および受領するシステムにおいて,提供された情報の情報利用者,利用時間,利用情報の内容等を正確に把握できる程度に詳細なデータであることを要するものである。
これに対して,イ号方法の「所定のJavaScriptプログラム」(構成(c))は,「サーバ2へユーザ閲覧URL若しくはリファラーURLを送信する」又は「HTMLファイルに係るオブジェクトを対象としたユーザの操作に基づき」「サーバ2へ前記ユーザの操作に関する情報を送信する」機能を有するものであり,イ号方法の「所定のJavaScriptプログラム」が「サーバ2」へ送信する情報は,「ユーザPC」における閲覧履歴又は操作履歴に係る簡単なデータであって,「ユーザ閲覧URL若しくはリファラーURL」や「HTMLファイルに係るオブジェクトを対象とした」「ユーザの操作に関する情報」が,提供された情報の情報利用者,利用時間,利用情報の内容等を正確に把握できる程度に詳細なデータではないから,本件特許発明の課題を解決し得る手段となっていないことは明らかである。
してみると,イ号方法の「所定のJavaScriptプログラム」は,本件特許発明の「利用報告プログラム」が「利用報告プログラムに記載されたコンピュータ」へ送信する「プログラムまたはデータの利用状況データ」を送信するものではないから,本件特許発明の「利用報告プログラム」であるとはいえないものである。

(2)本件特許発明の「情報提供コンピュータ」,「情報受領コンピュータ」,「情報利用者」について

本件特許発明の「情報提供コンピュータ」は,「情報利用者」の要求に応じて「利用報告プログラム」を呼び出す「プログラムまたはデータ」を「情報受領コンピュータ」に送信するものであり,「情報受領コンピュータ」は,「利用報告プログラム」を実行することによって「プログラムまたはデータの利用状況データ」を送信するものであり,「情報利用者」は,「情報提供コンピュータ」に対して,「利用報告プログラム」を呼び出す「プログラムまたはデータ」を要求するものである。
これに対して,上記(1)で示したとおり,イ号方法の「所定のJavaScriptプログラム」は,本件特許発明の「利用報告プログラム」であるとはいえないから,イ号方法において「所定のJavaScriptプログラム」に関連して特定される「Webサーバ」,「ユーザPC」及び「ユーザ」はそれぞれ,本件特許発明の「情報提供コンピュータ」,「情報受領コンピュータ」及び「情報利用者」とはいえないし,イ号方法の「Webサーバ」,「ユーザPC」及び「ユーザ」の間の関係も,本件特許発明の「情報提供コンピュータ」,「情報受領コンピュータ」及び「情報利用者」の間の関係とは異なるものである。

2.構成要件Aについて

イ号方法の構成(a)の「Webサーバ」は,「ユーザ」の要求に応じて「HTMLファイル」を「ユーザPC」に送信するものではあるが,上記1で示したとおり,イ号方法の「Webサーバ」,「ユーザPC」及び「ユーザ」はそれぞれ,本件特許発明の「情報提供コンピュータ」,「情報受領コンピュータ」及び「情報利用者」とはいえないものである。
また,イ号方法の「所定のJavaScriptプログラムを呼び出す命令文を記載したHTMLファイル」は,「HTMLファイル」が「プログラムまたはデータ」の態様の一つであるとみることはできるものの,上記1で示したとおり,イ号方法の「所定のJavaScriptプログラム」は,本件特許発明の「利用報告プログラム」とはいえないから,イ号方法の「所定のJavaScriptプログラムを呼び出す命令文を記載したHTMLファイル」は,本件特許発明の「利用報告プログラムを呼び出す命令文を記載したプログラムまたはデータ」ではない。
してみると,イ号方法の構成(a)である「Webサーバは,ユーザの要求に応じて所定のJavaScriptプログラムを呼び出す命令文を記載したHTMLファイルをユーザPCに送信」するステップは,本件特許発明の構成要件Aの「情報提供コンピュータは,情報利用者の要求に応じて利用報告プログラムを呼び出す命令文を記載したプログラムまたはデータを情報受領コンピュータに送」るステップとは異なる処理であり,イ号方法は構成要件Aを充足しない。

3.構成要件Bについて

イ号方法の構成(b)の「ユーザPC」は,「前記HTMLファイル」を読み込むことにより,「命令文」を実行するものではあるが,上記1,2で示したとおり,イ号方法の「ユーザPC」,「前記HTMLファイル」はそれぞれ,本件特許発明の「情報受領コンピュータ」,「前記プログラムまたはデータ」とはいえないものである。
また,上記1で示したとおり,イ号方法の「所定のJavaScriptプログラム」は,本件特許発明の「利用報告プログラム」とはいえないから,イ号方法の「前記ユーザPCは,前記HTMLファイルを読み込むことにより,前記所定のJavaScriptプログラムを呼び出す命令文を実行」することは,本件特許発明の「前記情報受領コンピュータは,前記プログラムまたはデータを参照または実行することにより,前記利用報告プログラムを呼び出す命令文を実行」することではない。
加えて,イ号方法の構成(b)の「命令文に記載されたサーバ1」は「その命令文に記載されたコンピュータ」の態様の一つであり,「プログラムをダウンロード」することは本件特許発明の「プログラムを取り出して実行」することに相当するものの,上記1で示したとおり,イ号方法の「所定のJavaScriptプログラム」は,本件特許発明の「利用報告プログラム」とはいえないから,イ号方法の「前記命令文に記載されたサーバ1から前記所定のJavaScriptプログラムをダウンロードして実行」することは,本件特許発明の「その命令文に記載されたコンピュータから利用報告プログラムを取り出して実行」することではない。
してみると,イ号方法の構成(b)である「前記ユーザPCは,前記HTMLファイルを読み込むことにより,前記所定のJavaScriptプログラムを呼び出す命令文を実行し,前記命令文に記載されたサーバ1から前記所定のJavaScriptプログラムをダウンロードして実行」するステップは,本件特許発明の構成要件Bの「前記情報受領コンピュータは,前記プログラムまたはデータを参照または実行することにより,前記利用報告プログラムを呼び出す命令文を実行し,その命令文に記載されたコンピュータから利用報告プログラムを取り出して実行」するステップとは異なる処理であり,イ号方法は構成要件Bを充足しない。

4.構成要件Cについて

イ号方法の構成(c)の「サーバ2」はコンピュータの態様の一つであることは明らかであり,イ号方法の「プログラムに記載されたサーバ2」は本件特許発明の「プログラムに記載されたコンピュータ」であるといえるものの,上記1で示したとおり,イ号方法の「ユーザPC」,「所定のJavaScriptプログラム」はそれぞれ,本件特許発明の「情報受領コンピュータ」,「利用報告プログラム」とはいえないから,イ号方法の「前記ユーザPCは,前記所定のJavaScriptプログラムを実行することにより,前記所定のJavaScriptプログラムに記載されたサーバ2へ」所定の情報「を送信する」ことは,本件特許発明の「前記情報受領コンピュータは,前記利用報告プログラムを実行することにより,前記利用報告プログラムに記載されたコンピュータへ,」所定の情報「を送信すること」ではない。
また,イ号方法の構成(c)の「ユーザ閲覧URL若しくはリファラーURL」は,上記1で示したとおり,ユーザPCに記録されるURLであって,ユーザが閲覧したデータに直接または間接に関係したURLの簡単な閲覧履歴であり,本件特許発明の「プログラムまたはデータの利用状況データ」とはいえないものである。
加えて,イ号方法の構成(c)の「前記ユーザの操作に関する情報」は,上記1で示したとおり,「ユーザPC」での「前記HTMLファイルに係るオブジェクトを対象とした」ユーザの簡単な操作履歴であって,本件特許発明の「プログラムまたはデータの利用状況データ」とはいえないものであるから,イ号方法の「前記HTMLファイルに係るオブジェクトを対象とした」「ユーザの操作に関する情報」は,本件特許発明の「プログラムまたはデータの利用状況データ」ではない。
してみると,イ号方法の構成(c)である「前記ユーザPCは,前記所定のJavaScriptプログラムを実行することにより,前記所定のJavaScriptプログラムに記載されたサーバ2へユーザ閲覧URL若しくはリファラーURLを送信する,又は,前記HTMLファイルに係るオブジェクトを対象としたユーザの操作に基づき前記所定のJavaScriptプログラムに記載されたサーバ2へ前記ユーザの操作に関する情報を送信する」ステップは,本件特許発明の構成要件Cの「前記情報受領コンピュータは,前記利用報告プログラムを実行することにより,前記利用報告プログラムに記載されたコンピュータへ,プログラムまたはデータの利用状況データを送信する」ステップとは異なる処理であり,イ号方法は構成要件Cを充足しない。

5.構成要件Dについて

イ号方法の構成(c)は「前記所定のJavaScriptプログラムに記載されたサーバ2へユーザ閲覧URL若しくはリファラーURLを送信する,又は,前記HTMLファイルに係るオブジェクトを対象としたユーザの操作に基づき前記所定のJavaScriptプログラムに記載されたサーバ2へ前記ユーザの操作に関する情報を送信する」ことから,イ号方法の構成(d)の「プログラムまたはデータの提供・受領」は「ユーザPC」おける情報利用状況の把握の対象となる場合を含むことは明らかである。
そうすると,イ号方法の構成(d)である「インターネットにおけるプログラムまたはデータの提供・受領に関する方法」は本件特許発明の構成要件Dの「インターネットにおけるプログラムまたはデータの提供・受領に関する情報利用状況把握方法」であるといえるから,イ号方法は構成要件Dを充足する。

6.上記1?5で示したとおり,イ号方法は本件特許発明の構成要件A,B,Cにおいて構成が相違するものであるから,イ号方法は本件特許請求の範囲の請求項1に係る発明の技術的範囲に属しない。


第5 むすび

以上のとおりであるから,イ号図面及びその説明書に示されるイ号方法は,本件特許発明の技術的範囲に属しない。

よって,結論のとおり判定する。

 
判定日 2016-09-06 
出願番号 特願平8-94288
審決分類 P 1 2・ 1- ZB (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中野 裕二  
特許庁審判長 高木 進
特許庁審判官 石井 茂和
辻本 泰隆
登録日 2003-06-06 
登録番号 特許第3437373号(P3437373)
発明の名称 情報利用状況把握方法およびその方法を利用した情報提供システム  
代理人 渡邊 喜平  
代理人 岡野 功  

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