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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16C
管理番号 1319444
審判番号 不服2015-17334  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-24 
確定日 2016-09-15 
事件の表示 特願2011-207739「ころ軸受」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月18日出願公開、特開2013- 68281〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯、本願発明
本願は、平成23年9月22日の出願であって、平成27年6月22日付けで拒絶査定(発送日:同年6月30日)がされ、これに対し、平成27年9月24日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、その後当審において平成28年3月15日付けで拒絶の理由を通知したところ、平成28年5月23日に意見書とともに手続補正書が提出されたものである。

そして、本願の各請求項に係る発明は、平成28年5月23日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「内周面に円筒形の外輪軌道を有する外方部材と、外周面に円筒形の内輪軌道を有する内方部材と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けた複数のころと、このころ周方向に所定間隔で保持する樹脂保持器とからなり、樹脂保持器が、ころを収容するポケットを周方向に所定間隔で形成した全体が円筒状で、周方向に隣り合う各ポケット間に柱部と、この柱部の軸方向の両側に円環部を備え、柱部の軸方向両側の内径側と外径側とに、ころの抜け落ちを防止する内側突起部と外側突起部を設けた、潤滑油が流入する遊星歯車減速装置における遊星歯車を外方部材、支持ピンを内方部材とするころ軸受において、外輪軌道径と、内輪軌道径と、樹脂保持器の内外径と、柱部の内側突起部及び外側突起部との位置並びに寸法関係を、外輪軌道径と内輪軌道径の間にころと樹脂保持器とを組み込んだ状態において、ころの外周面と、柱部に設けた内側突起部及び外側突起部とが非接触状態となるように、外輪軌道径をA、保持器の外径寸法をB、内輪軌道径をF、保持器内径寸法をG、ころをポケットの中央に位置させた状態でころと柱部との周方向隙間をL、L=0の時の外側突起部ところの最小隙間をD、内側突起部ところの最小隙間をEとした時に、下記式を満足するように規定したことを特徴とするころ軸受。
A-B=C、G-F=H、D>C、E>C、C≠0、H≠0」

2 引用文献及びその記載事項
当審の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-167135号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端の円環部及び該円環部各々と一体に円周方向に並設されて該円環部と共にポケットを画定する複数の柱部を有する略円筒状の保持器と、該保持器の肉厚よりも大径にして前記ポケット各々に挿入されたころとからなり、前記柱部各々はその略全長にわたって外側面が前記円環部の外周面と略一致するようになされ、前記柱部の軸方向中央若しくはその近傍に、ころ案内面が円周方向両側に形成された案内部がころのピッチ円径の外側から内側にわたって厚肉に設けられていることを特徴とする保持器付きころ。
【請求項2】 前記案内部は、前記柱部の軸方向中央に関して対称に少なくとも2箇所設けられていることを特徴とする請求項1記載の保持器付きころ。
【請求項3】 前記柱部の外側の一部に、前記ポケットと連通する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の保持器付きころ。
【請求項4】 前記案内部の一部が前記ポケットに臨むように突出して前記ころの内外への脱落を規制する内側保持用突出部及び外側保持用突出部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1記載の保持器付きころ。」

(2) 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は保持器付きころに関する。」

(3) 「【0017】
【実施例】次に、本発明の実施例を添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】図1乃至図5に、本発明の第1実施例としての保持器付きころを示す。
【0019】図示のように、当該保持器付きころは、略円筒状にして複数のポケット1aが円周方向において等間隔にて形成された保持器1と、該各ポケット1aに挿入された針状ころ2とからなる。なお、各ポケット1aはその幅寸法が、後述の各保持用突出部間の寸法を除いてころ2の外径寸法よりも僅かに大きい。また、各ころ2の直径は保持器1の肉厚よりも大となっている。
【0020】保持器1は、両端の2つの円環部1bと、該両円環部1bを互いに結合しかつ該各円環部1bと共に上記各ポケット1aを画定すべく円周方向に並設された複数の柱部1cとを、一体に成形してなる。この柱部1cはその略全長にわたって外側面が両円環部1bの外周面と一致するようになされ、該両円環部1bに各々連なる両端の薄肉部1dと、該円環部1bとの間に該薄肉部1dを挟むように配設された1対の厚肉部1eと、該厚肉部1e間に介在する他の薄肉部1fとを有している。
【0021】上記のように柱部1cの軸方向中央近傍に2箇所設けられた厚肉部1eは、ころ2を案内する案内部として作用し、その円周方向両側に上記薄肉部1d、1fよりも突出した平滑なころ案内面1gが形成されており、該ころ案内面1gにてころ2に円滑に摺接して案内する。図2及び図5から明らかなように、この厚肉部1eは、ころ2のピッチ円径P.C.D.の外側から内側にわたって設けられている。また、図1、図2及び図4に示すように、該厚肉部1eは、両側の薄肉部1d、1fよりも内側に突出した部位の軸方向両側がテーパ面1hとなっており、この突出した部位が略台形状となされている。
・・・(中略)・・・
【0025】なお、上記各厚肉部1eには、その内面側両側に1対の内側保持用突出部1iが形成されており、また、外面側の該内側保持用突出部1iに対応する部位に1対の外側保持用突出部1jが形成されている。これら内側保持用突出部1i及び外側保持用突出部1jはポケット1aに臨むように突出しており、円周方向において隣り合う柱部1cの該保持用突出部同士の間隔がころ2の直径よりも僅かに小さいように設定されている。これによってころ2が保持され、ポケット1aからの内外への脱落が規制されている。
【0026】上記内側保持用突出部1i及び外側保持用突出部1jは、上記厚肉部1eの内外両面に円周方向に伸長するように2条ずつのカシメ溝を設けることにより形成してもよいし、また、該カシメ溝を設けることなく形成してもよい。但し、このように、カシメ溝を設ける場合、各保持用突出部がカシメ加工のみにて形成されるため、量産性に富み、安価に製作することができる。また、これらカシメ溝はいわゆるオイルグループ(油溜り)として作用するので、効率のよい潤滑が行われる。
【0027】図5に、当該保持器付きころをコネクティングロッドの大端部26a(図15参照)とピン30に嵌合させた使用状態を示すが、この使用状態においては、ころ2が上記厚肉部1eの両側に形成されたころ案内面1gと接触し、ほぼころ2のピッチ円径P.C.D.上で案内され、内側及び外側保持用突出部1i、1jに接触しないような寸法設定がなされている。更に、保持器1の内周面とピン30とが接触する前に大端部26aの転走面と保持器1の外周面とが接触するような寸法設定がなされている。」

(4) 図5には、内周面に円筒形の外輪軌道を有するコネクティングロッド26の大端部26aと、外周面に円筒形の内輪軌道を有しているピン30とを備えており、大端部26aの転走面の径と、ピン30の径の間に、ころ2と保持器1とを組み込んだ状態のものが記載されており、
ここで、「大端部26aの転走面」の径を「a」、「保持器1の外周面」の径を「b」、「ピン30」の径を「f」、「保持器1の内周面」の径を「g」とし、更に、(a-b)=c、(g-f)=hとおくと、c≠0、h≠0がいえる。

上記の記載事項及び図面の記載を総合すると、引用文献には、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、「保持器付きころ」に関して、その第1実施例として、次の発明(以下「引用発明という。)が記載されている。
「内周面に円筒形の外輪軌道を有するコネクティングロッド26の大端部26aと、
外周面に円筒形の内輪軌道を有しているピン30と、
これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数のころ2と、
ころ2を、周方向に所定間隔で保持する保持器1とからなり、
保持器1が、ころ2を収容するポケット1aを周方向に所定間隔で形成した全体が円筒形で、周方向に隣り合う各ポケット1a間に柱部1cと、この柱部1cの軸方向の両側に円環部1bを備え、柱部1cの圧肉部1eの軸方向両側の内径側と外径側とに、ころ2のポケット1aからの脱落を規制する内側保持用突出部1iと外側保持用突出部1jを設けた、
エンジンのコネクティングロッドにおける、コネクティングロッド26の大端部26aを外方部材、ピン30を内方部材とする保持器付きころにおいて、
大端部26aの転走面の径と、ピン30の径と、保持器1の外周面の径と、保持器1の内周面の径との寸法関係を、
大端部26aの転走面の径と、ピン30の径の間に、ころ2と保持器1とを組み込んだ状態で、
大端部26aの転走面の径をa、保持器1の外周面の径をb、ピン30の径をf、保持器1の内周面の径をgとすると、
(a-b)=c、(g-f)=h、c≠0、h≠0
であり、
使用状態においては、ころ2が上記厚肉部1eの両側に形成されたころ案内面1gと接触し、ほぼころ2のピッチ円径P.C.D.上で案内され、内側及び外側保持用突出部1i、1jに接触しないような寸法設定がなされており、保持器1の内周面とピン30とが接触する前に大端部26aの転走面と保持器1の外周面とが接触するような寸法設定がなされている、
保持器付きころ。」

3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「ころ2」は、本願発明の「ころ」に相当する。
以下同様に、「保持器1」は、「保持器」に、
「コネクティングロッド26の大端部26a」は、「外方部材」に、
「ピン30」は、「内方部材」に、
「ポケット1a」は、「ポケット」に、
「柱部1c」は、「柱部」に、
「円筒形」は、「円筒状」に、
「円環部1b」は、「円環部」に、
「柱部1cの圧肉部1eの軸方向両側の内径側と外径側」は、「柱部の軸方向両側の内径側と外径側」に、
「ころ2のポケット1aからの脱落を規制する」は、「ころの抜け落ちを防止する」に、
「内側保持用突出部1i」は、「内側突起部」に、
「外側保持用突出部1j」は、「外側突起部」に、
「保持器付きころ」は、「ころ軸受」に、
「大端部26aの転走面の径と、ピン30の径の間に、ころ2と保持器1とを組み込んだ状態」は、「外輪軌道径と内輪軌道径の間にころと保持器とを組み込んだ状態」に、
「大端部26aの転走面の径」である「a」は、「外輪軌道径」である「A」に、
「保持器1の外周面の径」である「b」は、「保持器の外径寸法」である「B」に、
「ピン30の径」である「f」は、「内輪軌道径」である「F」に、
「保持器1の内周面の径」である「g」は、「保持器内径寸法」である「G」に、
「(a-b)=c、(g-f)=h、c≠0、h≠0」は、「A-B=C、G-F=H、C≠0、H≠0」に、それぞれ相当する。

以上のことから、本願発明と引用発明とは次の点で一致する。
「内周面に円筒形の外輪軌道を有する外方部材と、外周面に円筒形の内輪軌道を有する内方部材と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けた複数のころと、このころ周方向に所定間隔で保持する保持器とからなり、保持器が、ころを収容するポケットを周方向に所定間隔で形成した全体が円筒状で、周方向に隣り合う各ポケット間に柱部と、この柱部の軸方向の両側に円環部を備え、柱部の軸方向両側の内径側と外径側とに、ころの抜け落ちを防止する内側突起部と外側突起部を設けた、ころ軸受において、外輪軌道径と、内輪軌道径と、保持器の内外径との寸法関係を、外輪軌道径と内輪軌道径の間にころと保持器とを組み込んだ状態において、外輪軌道径をA、保持器の外径寸法をB、内輪軌道径をF、保持器内径寸法をGとした時に、下記式を満足するように規定したころ軸受。
A-B=C、G-F=H、C≠0、H≠0」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点1]
ころ軸受に関して、本願発明では、「潤滑油が流入する遊星歯車減速装置における遊星歯車を外方部材、支持ピンを内方部材とする」ものであるのに対して、
引用発明では、「エンジンのコネクティングロッドにおける、コネクティングロッド26の大端部26aを外方部材、ピン30を内方部材とする」ものである点。

[相違点2]
保持器の材質に関して、本願発明では、材質は「樹脂」であるのに対して、
引用発明では、材質は明らかでない点。

[相違点3]
本願発明では、「外輪軌道径と、内輪軌道径と、樹脂保持器の内外径と、柱部の内側突起部及び外側突起部との位置並びに寸法関係を」、「ころの外周面と、柱部に設けた内側突起部及び外側突起部とが非接触状態となるように」、「ころをポケットの中央に位置させた状態でころと柱部との周方向隙間をL、L=0の時の外側突起部ところの最小隙間をD、内側突起部ところの最小隙間をEとした時に、下記式を満足するように規定した」、「D>C、E>C」であるのに対して、
引用発明では、「使用状態においては、ころ2が上記厚肉部1eの両側に形成されたころ案内面1gと接触し、ほぼころ2のピッチ円径P.C.D.上で案内され、内側及び外側保持用突出部1i、1jに接触しないような寸法設定がなされており、保持器1の内周面とピン30とが接触する前に大端部26aの転走面と保持器1の外周面とが接触するような寸法設定がなされている」点。

4 判断
上記相違点について検討する。
[相違点1]について
引用発明は、エンジンのコネクティングロッドにおける、保持器付きころであるものの、引用文献では、その「【産業上の利用分野】」として「本発明は保持器付きころに関する。」(前記「2(2)」を参照。)と、また、特許請求の範囲の請求項1?4の末尾には「保持器付きころ」(前記「2(1)」を参照。)と、それぞれ記載されているように、保持器付きころを適用する分野(用途)を特定しているものではない。
そして、ころ軸受(保持器付きころ)において、「潤滑油が流入する遊星歯車減速装置における遊星歯車を外方部材、支持ピンを内方部材とする」ものは、例えば、当審の拒絶の理由に引用し本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-293569号公報(特に、段落【0041】、【0062】、図1及び図14を参照。)に記載されているように、本願出願前に周知の技術である。(以下「周知の技術1」という。)
すると、引用発明を、「潤滑油が流入する遊星歯車減速装置における遊星歯車を外方部材、支持ピンを内方部材とする」ものに適用することにより、本願発明の上記相違点1に係る構成とすることは、上記周知の技術1から、当業者が容易になし得たことである。

[相違点2]について
保持器の材質を樹脂とすることは、当審の拒絶の理由に引用し本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-293569号公報(特に、段落【0041】を参照。)、及び同じく当審の拒絶の理由に引用し本願出願前に頒布された刊行物である特開2008-196589号公報(特に、段落【0014】を参照。)に記載されているように、本願出願前に周知の技術である。(以下「周知の技術2」という。)
すると、引用発明において、保持器の材質を樹脂とすることにより、本願発明の上記相違点2に係る構成とすることは、上記周知の技術2から、当業者が容易になし得たことである。

[相違点3]について
引用発明は、「使用状態においては、・・・保持器1の内周面とピン30とが接触する前に大端部26aの転走面と保持器1の外周面とが接触するような寸法設定がなされている」構成を備えているから、使用状態では、大端部26aの転走面に保持器1の外周面が接触するまで偏芯することが想定されており、その接触が起こる際の偏芯量は、(a-b)/2、すなわち(c/2)である。

引用発明では、「使用状態においては、ころ2が上記厚肉部1eの両側に形成されたころ案内面1gと接触し、ほぼころ2のピッチ円径P.C.D.上で案内され、内側及び外側保持用突出部1i、1jに接触しないような寸法設定がなされて」いる。
引用発明において、使用状態(保持器1が偏芯した状態を含む)において、上記のように、ころ2が内側及び外側保持用突出部1i、1jに接触しないようになっている(本願発明の「ころの外周面と、柱部に設けた内側突起部及び外側突起部とが非接触状態となるように」することに相当。)ためには、ころ2と、内側及び外側保持用突出部1i、1jとの間は、少なくとも、前記偏芯量(c/2)よりも、大きな隙間を有しているものと認められる。

ここで、引用発明において、「ころ2が上記厚肉部1eの両側に形成されたころ案内面1gと接触し」ている状態(本願発明の「ころをポケットの中央に位置させた状態でころと柱部との周方向隙間をL、L=0の時」に相当。)で、外側保持用突出部1jと、ころ2とが取り得る最小隙間を「d」(本願発明の「外側突起部ところの最小隙間」である「D」に相当。)とし、内側保持用突出部1iと、ころ2とが取り得る最小隙間を「e」(本願発明の「内側突起部ところの最小隙間」である「E」に相当。)とすると、ころ2と、内側及び外側保持用突出部1i、1jとの間の隙間は、「d>c/2」及び「e>c/2」である。

ところで、上記「d>c/2」及び「e>c/2」は、ころが内側及び外側保持用突出部に接触しないための必要最小限の条件であって、この条件を設定することは当業者における設計事項にすぎず、「d>c」及び「e>c」(本願発明の「D>C、E>C」に相当。)とすることにより、本願発明の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

なお、樹脂製の保持器が熱により収縮及び膨張することは、例えば、特開平3-144110号公報(特に、4ページ左上欄14行?16行、及び4ページ右上欄1行?2行。)、実願昭58-100350号(実開昭60-7423号)のマイクロフィルム(特に、7ページ9行?10行。)、特開2000-170773号公報(特に、段落【0003】を参照。)、及び特開2009-168108号公報(特に、段落【0045】を参照。)に記載されているように、本願出願前に周知の事項であり、当業者であれば、上記条件を、熱による収縮及び膨張を考慮して設定するといえる。

そして、本願発明により奏される作用効果も、引用発明、周知の技術1及び2、並びに周知の事項から当業者であれば予測できる程度のものであって、格別のものとはいえない。
以上のことから、本願発明は、引用発明、周知の技術1及び2、並びに周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明、周知の技術1及び2、並びに周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-07-07 
結審通知日 2016-07-19 
審決日 2016-08-01 
出願番号 特願2011-207739(P2011-207739)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上谷 公治  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 中川 隆司
小関 峰夫
発明の名称 ころ軸受  
代理人 鳥居 和久  

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