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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04R |
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管理番号 | 1319548 |
審判番号 | 不服2015-17954 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-10-02 |
確定日 | 2016-10-11 |
事件の表示 | 特願2012-525313「音響機器および発振ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 1月26日国際公開、WO2012/011255、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年7月14日(優先権主張 2010年7月23日 日本国(JP))を国際出願日とする出願であって、手続きの概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 :平成26年10月28日(起案日) 意見書 :平成26年12月25日 手続補正 :平成26年12月25日 拒絶査定 :平成27年 7月 8日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成27年10月 2日 第2 本願発明 本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成26年12月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本願発明1ないし4」という。)は以下のとおりである。 「 【請求項1】 指向性を有しているスピーカユニットと、 利用者が発声した音声が入力される複数のマイクロフォンと、 複数の前記マイクロフォンの入力結果から前記利用者の少なくとも方向を検出し、当該検出結果に基づいて前記スピーカユニットの音声出力の方向を制御する指向性制御手段と、 を有し、 前記マイクロフォンは、第1の圧電素子と、前記第1の圧電素子を支持する第1の弾性部材とを有しており、 前記スピーカユニットにおいて、第2の圧電素子を第2の弾性部材で支持した圧電振動子が、複数、前記マイクロフォンとともにマトリクスを構成するように配列されており、 前記マトリクスの四隅のうち、第1の隅に第1の前記マイクロフォンが配置されており、前記第1の隅と異なる第2の隅に第2の前記マイクロフォンが配置されており、 前記マトリクスにおいて、第1の前記マイクロフォンと第2の前記マイクロフォンとの間には、前記マイクロフォンが配置されておらず、前記圧電振動子が配置されている音響機器。 【請求項2】 複数の前記マイクロフォンの間に前記スピーカユニットが配置されている請求項1に記載の音響機器。 【請求項3】 前記マイクロフォンは、前記利用者の通話音声の入力を受け付け、 前記マイクロフォンに入力された前記通話音声を無線送信する通話送信手段を、さらに有し、 前記指向性制御手段は、無線送信された前記通話音声から前記利用者の発声位置を検出する請求項1又は2に記載の音響機器。 【請求項4】 第1の圧電素子を第1の弾性部材で支持した圧電振動子と、 第2の圧電素子を第2の弾性部材で支持したマイクロフォンと、 を備え、 複数の前記圧電振動子と、前記マイクロフォンとが、同一のマトリクスを構成するように配置されており、 前記マトリクスの四隅のうち、第1の隅に第1の前記マイクロフォンが配置されており、前記第1の隅と異なる第2の隅に第2の前記マイクロフォンが配置されており、 前記マトリクスにおいて、第1の前記マイクロフォンと第2の前記マイクロフォンとの間には、前記マイクロフォンが配置されておらず、前記圧電振動子が配置されている発振ユニット。」 第3 原査定の理由の概要 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 請求項1ないし3に対して引用文献1ないし6 請求項4に対して引用文献2ないし6 引用文献1:特開2007-266754号公報 引用文献2:特開2006-114990号公報 引用文献3:特開2010-148102号公報 引用文献4:特開2008-17433号公報 引用文献5:特開2006-67386号公報 引用文献6:特開平2-265398号公報 第4 当審の判断 1.引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(平成19年10月11日公開)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。) (1)「【0001】 本発明は、車両用音声入出力装置および音声入出力装置用プログラムに関する。」 (2)「【0005】 本発明は上記点に鑑み、車内の発話者の位置に向けてスピーカの指向性を変化させる技術を提供することを目的とする。」 (3)「【0006】 上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両に搭載される車両用音声入力装置であって、姿勢に応じた方向に指向性を有する指向性スピーカと 当該指向性スピーカの姿勢を変える駆動部と、当該車両の車室内の複数位置に配置された複数のマイクと、制御部とを備える。そして、当該制御部は、当該複数のマイクが受けた音声に基づいて、当該指向性スピーカから話者の頭部への方向(以下、目標方向という)を推定し、さらに、推定した当該目標方向に当該指向性スピーカの指向性を向けるよう、当該駆動部を制御する。」 (4)「【0020】 天井マイク群13は、複数のマイクユニットを有している。図3に、車室内の天井22における天井マイク群13の配置を示す。この図に示す通り、天井マイク群13の各マイクユニット13a?cは、天井22の中央部に、一直線でない配置、より詳しくは正三角形の配置で同一面上に並べられている。マイクユニット13a?cの相互間の距離は、例えば10センチメートルである。」 (5)「【0071】 なお、天井マイク群13の位置と狭指向性スピーカ15の位置は、ほぼ同じであってもよい。その場合、前部マイク群12は必ずしも必要でない。この場合には、制御部10は、ステップ110および125では、話者の耳位置でなく、前部マイク群12から話者の耳位置への方向を算出すればよい。そして、ステップ115および135では、算出されたこの方向に、狭指向性スピーカ15の指向性を向けるよう制御すればよい。」 上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。 (a)引用文献1には、「車両用音声入出力装置」が記載されている(摘示事項(1))。 (b)「車両用音声入出力装置」は、車両に搭載される車両用音声入力装置であって、姿勢に応じた方向に指向性を有する指向性スピーカと、当該指向性スピーカの姿勢を変える駆動部と、当該車両の車室内の複数位置に配置された複数のマイクと、制御部とを備える。そして、当該制御部は、当該複数のマイクが受けた音声に基づいて、当該指向性スピーカから話者の頭部への方向(以下、目標方向という)を推定し、さらに、推定した当該目標方向に当該指向性スピーカの指向性を向けるよう、当該駆動部を制御する(摘示事項(3))。 (c)天井マイク群13は、複数のマイクユニットを有しており、各マイクユニット13a?cは、天井22の中央部に、一直線でない配置で並べられている(摘示事項(4))。 (d)天井マイク群13の位置と狭指向性スピーカ15の位置は、ほぼ同じであってもよい。その場合、前部マイク群12は必ずしも必要でない(摘示事項(5))。 以上を総合勘案すると、引用文献1には、天井マイク群13の位置と狭指向性スピーカ15の位置が、ほぼ同じである場合について、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認める。 「車両に搭載される車両用音声入力装置であって、 姿勢に応じた方向に指向性を有する指向性スピーカと、 当該指向性スピーカの姿勢を変える駆動部と、 当該車両の車室内の一直線上にない複数位置であって、指向性スピーカとほぼ同じ位置に配置された複数のマイクと、 制御部とを備え、 当該制御部は、当該複数のマイクが受けた音声に基づいて、当該指向性スピーカから話者の頭部への方向(以下、目標方向という)を推定し、さらに、推定した当該目標方向に当該指向性スピーカの指向性を向けるよう、当該駆動部を制御する車両用音声入力装置。」 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(平成18年4月27日公開)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。) (6)「【0001】 この発明は、スピーカ機能とマイクロフォン機能とを切り替えて動作させることができる放集音素子を複数配列形成してなる音響装置に関するものである。」 (7)「【0007】 したがって、この発明の目的は、集音する音の周波数帯域が動的に変化しても継続して最適な指向性で音を集音および放音することができる音響装置を提供することにある。」 (8)「【0008】 この発明の音響装置は、切り替えによりマイクロフォンまたはスピーカとして機能する放集音素子を複数配列した放集音素子アレイと、マイクロフォンとして機能させる放集音素子、および、スピーカとして機能させる放集音素子を放集音素子毎に独立して切り替える切替手段と、マイクロフォンとして機能させる放集音素子とスピーカとして機能させる放集音素子との放集音素子アレイ上の配列パターンを入出力する音声信号の周波数帯域に応じて複数パターン記憶したパターン記憶手段と、周波数帯域に応じた配列パターンを選択する選択手段と、選択された配列パターンをパターン記憶手段から読み出して切替手段に設定する制御手段と、を備えたことを特徴としている。」 (9)「【0023】 また、これら、スピーカ配列行SM1、スピーカ配列行SM2、スピーカ配列行SM3、スピーカ配列行SM4は、この順(記載した順)に垂直方向上側から下方向に間隔をあけることなく配列されている。さらに、スピーカ配列行SM1およびスピーカ配列行SM3と、スピーカ配列行SM2およびスピーカ配列行SM4とでは、各行を構成するスピーカの中心位置が水平方向にズレている。図1に示す例では、このズレ量は、後述する基本となるスピーカの水平方向の長さの1/2である。すなわち、スピーカアレイ1全体としては各スピーカがちどり状に配列されている。 【0024】 ここで、スピーカSM21,SM2n+1,SM4,SM4n+1を除く全てのスピーカは、正面視した形状が略正方形状の静電型平面板スピーカにより形成されており、これを基本スピーカ形状とする。一方、スピーカSM21,SM2n+1,SM4,SM4n+1は、正面視した形状が前記略正方形の半分の略長方形状、すなわち基本スピーカ形状のハーフサイズに形成されている。そして、スピーカSM11,SM21,SM31,SM41の話者200から向かって左端面が水平方向に対して一致し、スピーカSM1n,SM2n+1,SM3n,SM4n+1の話者200から向かって右端面が水平方向に対して一致しており、スピーカアレイ1全体の外形形状は長方形である。そして、この長方形状のスピーカアレイ1が壁100に設置されている。ここで、各スピーカSMが本発明の「放集音素子」に相当し、スピーカアレイ1が本発明の「放集音素子アレイ」に相当する。」 (10)「【0064】 この場合、まず、スピーカとマイクロフォンとの配列パターンは広周波数帯域の音に対応するパターンとして集音する。そして、周波数検出部で集音された音の周波数スペクトルを解析し、広周波数帯域の音であることが検出されれば、そのままの配列パターンを維持する。一方、周波数スペクトルから低周波数帯域の音のみであることが検出されれば、低周波数帯域に対する最適な集音特性および放音特性を有する配列パターンに変更する。さらに、集音した音声信号間の遅延関係を検出することで、音声信号の伝来方向が検出できる。これを用いて所定の指向性を形成することもできる。」 上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。 (e)引用文献2には、「スピーカ機能とマイクロフォン機能とを切り替えて動作させることができる放集音素子を複数配列形成してなる音響装置」が記載されている(摘示事項(6))。 (f)「音響装置」は、切り替えによりマイクロフォンまたはスピーカとして機能する放集音素子を複数配列した放集音素子アレイと、マイクロフォンとして機能させる放集音素子、および、スピーカとして機能させる放集音素子を放集音素子毎に独立して切り替える切替手段と、マイクロフォンとして機能させる放集音素子とスピーカとして機能させる放集音素子との放集音素子アレイ上の配列パターンを入出力する音声信号の周波数帯域に応じて複数パターン記憶したパターン記憶手段と、周波数帯域に応じた配列パターンを選択する選択手段と、選択された配列パターンをパターン記憶手段から読み出して切替手段に設定する制御手段と、を備える(摘示事項(8))。 (g)スピーカアレイ1全体としては各スピーカがちどり状に配列されており、スピーカは、静電型平面板スピーカにより形成されている(摘示事項(9))。 (h)集音した音声信号間の遅延関係を検出することで、音声信号の伝来方向を検出し、これを用いて所定の指向性を形成する(摘示事項(10))。 以上を総合勘案すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。 「切り替えによりマイクロフォンまたはスピーカとして機能する放集音素子を複数配列した放集音素子アレイと、 マイクロフォンとして機能させる放集音素子、および、スピーカとして機能させる放集音素子を放集音素子毎に独立して切り替える切替手段と、 マイクロフォンとして機能させる放集音素子とスピーカとして機能させる放集音素子との放集音素子アレイ上の配列パターンを入出力する音声信号の周波数帯域に応じて複数パターン記憶したパターン記憶手段と、 周波数帯域に応じた配列パターンを選択する選択手段と、 選択された配列パターンをパターン記憶手段から読み出して切替手段に設定する制御手段と、 を備え、 スピーカアレイ1全体としては各スピーカがちどり状に配列されており、スピーカは、静電型平面板スピーカにより形成されており、 集音した音声信号間の遅延関係を検出することで、音声信号の伝来方向を検出し、これを用いて所定の指向性を形成する音響装置。」 2.対比 そこで、本願発明1と引用発明1とを対比する。 (1)音響機器 引用発明1は、「車両用音声入力装置」であるから、「音響機器」といえる。 (2)スピーカユニット 引用発明1の「指向性スピーカ」は、「指向性を有しているスピーカユニット」といえる。 (3)複数のマイクロフォン 引用発明1の「複数のマイク」は、話者の音声を受けるから、本願発明1と引用発明1とは、「利用者が発声した音声が入力される複数のマイクロフォン」を有する点で一致する。 (4)指向性制御手段 引用発明1の「制御部」は、複数のマイクが受けた音声に基づいて、指向性スピーカから話者の頭部への方向(以下、目標方向という)を推定し、さらに、推定した目標方向に指向性スピーカの指向性を向けるよう、駆動部を制御するから、本願発明1と引用発明1とは、「複数の前記マイクロフォンの入力結果から前記利用者の少なくとも方向を検出し、当該検出結果に基づいて前記スピーカユニットの音声出力の方向を制御する指向性制御手段」を有する点で一致する。 (5)マイクロフォンの構成 「マイクロフォンの構成」について、本願発明1は、「第1の圧電素子と、前記第1の圧電素子を支持する第1の弾性部材とを有して」いるのに対し、引用発明1は、特定がない点で相違する。 (6)スピーカユニットの構成 「スピーカユニットの構成」について、本願発明1は、「第2の圧電素子を第2の弾性部材で支持した圧電振動子が、複数、前記マイクロフォンとともにマトリクスを構成するように配列されて」いるのに対し、引用発明1は、「姿勢に応じた方向に指向性を有する」点で相違する。 (7)マイクロフォンの配置 「マイクロフォンの配置」について、本願発明1は、「前記マトリクスの四隅のうち、第1の隅に第1の前記マイクロフォンが配置されており、前記第1の隅と異なる第2の隅に第2の前記マイクロフォンが配置されており、前記マトリクスにおいて、第1の前記マイクロフォンと第2の前記マイクロフォンとの間には、前記マイクロフォンが配置されておらず、前記圧電振動子が配置されている」のに対し、引用発明1は、「一直線上にない複数位置であって、指向性スピーカとほぼ同じ位置に配置された」ものである点で相違する。 そうすると、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。 <一致点> 「指向性を有しているスピーカユニットと、 利用者が発声した音声が入力される複数のマイクロフォンと、 複数の前記マイクロフォンの入力結果から前記利用者の少なくとも方向を検出し、当該検出結果に基づいて前記スピーカユニットの音声出力の方向を制御する指向性制御手段と、 を有する音響機器。」の点。 そして、次の点で相違する。 <相違点> (1)「マイクロフォンの構成」について、本願発明1は、「第1の圧電素子と、前記第1の圧電素子を支持する第1の弾性部材とを有して」いるのに対し、引用発明1は、特定がない点。 (2)「スピーカユニットの構成」について、本願発明1は、「第2の圧電素子を第2の弾性部材で支持した圧電振動子が、複数、前記マイクロフォンとともにマトリクスを構成するように配列されて」いるのに対し、引用発明1は、「姿勢に応じた方向に指向性を有する」点。 (3)「マイクロフォンの配置」について、本願発明1は、「前記マトリクスの四隅のうち、第1の隅に第1の前記マイクロフォンが配置されており、前記第1の隅と異なる第2の隅に第2の前記マイクロフォンが配置されており、前記マトリクスにおいて、第1の前記マイクロフォンと第2の前記マイクロフォンとの間には、前記マイクロフォンが配置されておらず、前記圧電振動子が配置されている」のに対し、引用発明1は、「一直線上にない複数位置であって、指向性スピーカとほぼ同じ位置に配置された」ものである点。 3.判断 そこで、上記相違点(3)について検討する。 引用発明1において、「姿勢に応じた方向に指向性を有する指向性スピーカ」と、「当該車両の車室内の一直線上にない複数位置であって、指向性スピーカとほぼ同じ位置に配置された複数のマイク」とを、引用発明2における「切り替えによりマイクロフォンまたはスピーカとして機能する放集音素子を複数配列した放集音素子アレイ」により置き換えたとしても、さらに、 マトリクスの四隅のうち、第1の隅に第1のマイクロフォンが配置されており、第1の隅と異なる第2の隅に第2のマイクロフォンが配置されており、マトリクスにおいて、第1のマイクロフォンと第2のマイクロフォンとの間には、マイクロフォンが配置されておらず、スピーカが配置されている構成を採用することは、引用発明2の目的である、集音する音の周波数帯域が動的に変化しても継続して最適な指向性で音を集音および放音することができる音響装置を提供すること(摘示事項(7))と相容れないから、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 引用文献3、4は、弾性部材で支持した圧電素子をマイクロフォンやスピーカとして採用することが周知であることを示すものであり、引用文献5、6は、指向性制御が可能なパラメトリックスピーカが周知であることを示すものであり、いずれも、相違点(3)についての判断を左右するものではない。 したがって、上記相違点(1)、(2)について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 本願発明2、3は、本願発明1に新たな構成を付加したものであるから、新たな相違点について判断するまでもなく、本願発明2、3は、引用発明1、2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 本願発明4は、マイクロフォンの配置について、本願発明1と同じ構成を有する発信ユニットであるから、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1ないし3に係る発明は、当業者が引用文献1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、請求項4に係る発明は、当業者が引用文献2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-09-26 |
出願番号 | 特願2012-525313(P2012-525313) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04R)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 正宏 |
特許庁審判長 |
森川 幸俊 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 酒井 朋広 |
発明の名称 | 音響機器および発振ユニット |
代理人 | 速水 進治 |