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審決分類 |
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正しない H05B |
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管理番号 | 1319611 |
審判番号 | 訂正2016-390029 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2016-02-24 |
確定日 | 2016-09-12 |
事件の表示 | 特許第5797413号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第5797413号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成23年1月25日の出願であって、平成27年8月28日に特許権の設定登録がされたものであって、平成28年2月24日に本件訂正審判の請求がされ、これに対して平成28年4月8日付けで訂正拒絶理由が通知されたところ、平成28年5月23日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本件審判請求の内容 本件審判請求は、特許第5797413号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2?4、6?9について訂正(以下「本件訂正」という。)することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正拒絶理由の概要 平成28年4月8日付けで当審が通知した訂正拒絶理由の概要は以下のとおりである。 請求項2に係る訂正は、訂正前の請求項2係る発明を実質的に拡張するものであるから、特許法第126条第6項の規定に違反するものである。 第4 平成28年5月23日の手続補正による補正の適否 1 平成28年5月23日の手続補正による補正(以下「本件補正」という。)の内容 本件補正の内容は以下のとおりである。 訂正審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項2に 「【請求項2】 前記フィルタ及び前記透光部材を支持する支持部材をさらに備えた請求項1に記載のヒータユニット。」 とあるのを、 「【請求項2】 前記フィルタ及び前記透光部材を支持する支持部材をさらに備え、当該支持部材は、前記フィルタ及び前記透光部材を互いの間に前記空間を設けて支持する請求項1に記載のヒータユニット。」 と補正するものである。 2 補正に対する当審の判断 上記補正は、支持部材について、「前記フィルタ及び前記透光部材を互いの間に前記空間を設けて支持する」ことの限定を付加するものである。 したがって、上記補正は、軽微な瑕疵の補正等の微修正に止まるものではなく、訂正事項の同一性を失わせるものである。 また、訂正事項の削除でもない。 そうすると、本件補正は請求の要旨を変更するものであるから、特許法第131条の2第1項の規定を満たさず、本件補正は認められない。 第5 本件審判請求に対する当審の判断 1 訂正内容 上記第4に示したとおり、本件補正は認められないから、本件訂正の内容は訂正審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載されたとおりのものであって、以下のとおりである。なお、下線は当審で付した。 請求項2に 「【請求項2】 前記フィルタ及び前記透光部材が、前記支持部材によって互いの間に前記空間を設けて支持する支持部材をさらに備えた請求項1に記載のヒータユニット。」 とあるのを、 「【請求項2】 前記フィルタ及び前記透光部材を支持する支持部材をさらに備えた請求項1に記載のヒータユニット。」 と訂正するものである(以下「訂正事項」という。)。 <参考> 【請求項1】 赤外線を放射する熱源と、 前記熱源に隣接して配置され、所定波長以上の赤外線をカットするフィルタと、 前記フィルタに対向して前記熱源と反対側に離隔配置され、前記フィルタを透過した赤外線を透過させる透光部材と、 を有し、 前記フィルタと前記透光部材との間に真空断熱された空間を形成したヒータユニット。 2 当審の判断 (1)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 上記訂正は、訂正前の「支持部材によって互いの間に前記空間を設けて」支持するとの事項を削除する訂正である。 ここで、「支持部材によって互いの間に前記空間を設けて」支持するとは、支持部材自体によって「前記フィルタと前記透光部材との間に真空断熱された空間」を設けてフィルタ及び透光部材を支持することを特定するものである。 そして、「支持部材によって互いの間に前記空間を設けて」の記載を削除することは、「前記フィルタと前記透光部材との間に真空断熱された空間」を設けることが支持部材によらないもの、例えば、スペーサによって設けたものやフィルタ及び透光部材を一体のユニットで設けられたものを含むことになるから、上記訂正は訂正前の請求項2に係る発明を実質的に拡張するものである。 また、請求項2を引用する請求項3、4、6?9も同様である。 したがって、上記訂正は、特許法第126条第6項の規定する要件を満たしていない。 (2)平成28年5月23日の意見書における請求人の主張について 請求人は、平成28年5月23日の意見書において、 「しかし、請求項1における『前記フィルタと前記透光部材との間に真空断熱された空間を形成した』との記載と、請求項2の『前記フィルタ及び前記透光部材を支持する支持部材』との記載から、請求項2の『支持部材』が、『前記フィルタと前記透光部材との間に真空断熱された空間を形成』するように『前記フィルタ及び前記透光部材を支持する』ものであることは明白であり、訂正後の請求項2に係る発明が『支持部材』以外のものによって『前記フィルタと前記透光部材との間に真空断熱された空間を形成』するように支持するものを含むとまでは言えないと思います。 また、明細書には、スペーサ、フィルタ及び透光部材を一体のユニットとした構成等の支持部材以外の部材によってフィルタと透光部材とを支持する構成については記載も示唆もなく、本発明が『支持部材によって前記フィルタと前記透光部材との間に真空断熱された空間を形成するように前記フィルタと前記透光部材とを支持する』もののみを対象としていることは明らかであり、拒絶理由は合理的ではないと思います。」と主張している。 しかし、本件特許明細書の【発明の課題】、【課題を解決するための手段】及び【発明の効果】(【0005】?【0015】)の記載を総合すると、本件特許に係る発明は、フィルタを用いた赤外線による熱処理装置において、フィルタの加熱による発火の危険性を回避することを目的として、フィルタとの間の空間が真空断熱される透光部材を設け、フィルタ表面から放熱される熱が透光部材に伝わらないようにするものであると理解できる。 そして、請求項1に記載の発明は、上記空間を形成するための部材を何ら特定しないものであり、周知である様々な構造を用いることが可能であると解され、また、訂正後の請求項2に係る発明は、フィルタや透光部材を支持する構造として、支持部材を用いることを特定するものの、支持部材で空間を形成することまで特定していないことは明らかである。 また、請求人が主張するように本件特許明細書には、具体的にスペーサ、フィルタ及び透光部材を一体のユニットとした構成等の支持部材以外の部材によってフィルタと透光部材を一体のユニットとした構成については記載されていないが、その他の自明な構成を排除するものでないことは明らかであるから、本件特許明細書の実施例等に限定して解釈すべき理由はない。 よって、上記請求人の主張は採用できない。 第6 むすび したがって、本件訂正は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-07-11 |
結審通知日 | 2016-07-21 |
審決日 | 2016-08-02 |
出願番号 | 特願2011-13267(P2011-13267) |
審決分類 |
P
1
41・
854-
Z
(H05B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 礒部 賢 |
特許庁審判長 |
鳥居 稔 |
特許庁審判官 |
佐々木 正章 窪田 治彦 |
登録日 | 2015-08-28 |
登録番号 | 特許第5797413号(P5797413) |
発明の名称 | ヒータユニットおよび熱処理装置 |
代理人 | 特許業務法人 楓国際特許事務所 |