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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G21C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G21C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G21C
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G21C
管理番号 1319632
審判番号 不服2015-14624  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-04 
確定日 2016-10-11 
事件の表示 特願2013- 78064「原子炉における燃料供給方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 9日出願公開、特開2013-178250、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2007年(平成19年)11月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年11月28日、米国)を国際出願日とする特願2009-539290号の一部を平成25年4月3日に新たな特許出願としたものであって、平成26年4月11日付け(同年同月15日発送)で拒絶理由が通知され、同年10月15日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされたが、平成27年3月31日付け(同年4月7日送達)で拒絶査定(以下、「原査定」という)がなされ、これに対して、平成同年8月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審より平成28年4月26日付け(同年5月10日発送)で拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、同年8月10日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成28年8月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「伝搬核分裂爆燃波原子炉を運転する方法であって、
第1核点火部を用いて、核分裂爆燃波を誘起する工程と、
核分裂爆燃波原子炉の第1領域を介して上記核分裂爆燃波原子炉の第2領域まで伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる工程と、
上記第2領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる工程と、
上記第2領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させた後、上記第2領域を介して上記第1領域まで伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる戻し伝搬工程と、
上記第2領域を介して上記第1領域まで上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させた後、上記第1領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を再伝搬させる工程と、を含む、方法。」

第3 原査定の拒絶理由について
1 原査定の拒絶理由の概要
(1)(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開2002-071866号公報(以下、「引用例」という。)
請求項1-7に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものである。

(2)(実施可能要件明確性)この出願は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

特許請求の範囲及び発明の詳細な説明に記載された「核分裂爆燃波」が不明である。
よって、請求項1-7に係る発明は明確でない。また、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。

2 原査定の拒絶理由(1)の判断
(1)引用例の記載事項
ア 引用例には次の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。)
引用例には、以下の記載がある。
「【0045】図4(a)に示すように、原子炉の炉心1は、円柱形状をしており、図4(b)に示すように、燃料材11として上部は天然ウランを含むペレットからなる天然ウラン部15となっており、下部は例えばプルトニウムと天然ウランを含むペレットからなる燃焼開始部16を構成している。
【0046】燃焼開始部16はプルトニウムと天然ウランを含むペレットからなるが、プルトニウムの量は炉心を臨界にするには十分な量があり、核分裂連鎖反応で余分の中性子の一部を隣接する天然ウラン部15のU-238に与え、これをプルトニウムに変換する。なお、燃焼開始部16は、プルトニウムと天然ウランのみに限らず、濃縮ウラン、またはプルトニウム、天然ウラン、天然ウランを適宜混合したものであっても良い。
【0047】天然ウラン部15の下端部ではプルトニウムが蓄積を続け、やがて燃焼部(出力部)は燃焼開始部16から軸に沿って上方に移動していく。燃焼開始部16は十分な量のプルトニウムが必要であるが、図示しない加速器で発生させた中性子を天然ウランに供給することにより十分な量のプルトニウムを生成させても良い。」

「【0102】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態を図9を用いて説明する。
【0103】図9は本実施の形態に係る原子炉の炉心における核燃料物質の取替方法を示す模式図である。
【0104】すなわち、本実施の形態に係る原子炉の炉心1における核燃料物質の取替方法では、第1の実施の形態で説明した原子炉の炉心1における燃焼部Bが図9(a)に示すように、炉心下端部と炉心上端部とを結ぶ軸に沿って炉心上端部にまで移動した場合には、核分裂連鎖反応を停止させる。
【0105】核分裂連鎖反応を停止させた後に、図9(b)に示すように、燃焼部Bをそのまま再利用核燃料物質RFとして図9(c)に示すように、次の運転サイクルの燃焼開始部16として炉心下端部に置き換える。
【0106】更に、図9(c)に示すように、この再利用核燃料物質RFの上部から、炉心上端部まで軸に沿って再利用核燃料物質RFと一体化するように天然ウランを追加新核燃料物質NFとして配置して原子炉の炉心1を構成する。」

イ 引用発明
以上の記載事項を総合すると、引用例には、以下の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用発明」という。)なお、参考のために括弧内に、引用した箇所の段落番号を付記する。

「(【0045】)原子炉の炉心1は、円柱形状をしており、燃料材11として上部は天然ウランを含むペレットからなる天然ウラン部15となっており、下部は例えばプルトニウムと天然ウランを含むペレットからなる燃焼開始部16を構成し、
(【0047】)燃焼部(出力部)は燃焼開始部16から軸に沿って上方に移動していき、
(【0104】)燃焼部Bが炉心下端部と炉心上端部とを結ぶ軸に沿って炉心上端部にまで移動した場合に、燃焼部Bをそのまま再利用核燃料物質RFとして、次の運転サイクルの燃焼開始部16として炉心下端部に置き換え、
(【0106】)更に、再利用核燃料物質RFの上部から、炉心上端部まで軸に沿って再利用核燃料物質RFと一体化するように天然ウランを追加新核燃料物質NFとして配置して原子炉の炉心1を構成する、
(【0103】)原子炉の炉心における核燃料物質の取替方法。」

(2)対比
本願発明と引用発明とを対比する。

本願明細書には、「【0007】・・・一方、原子炉10の多くの実施形態を検討し、原子炉10について検討した多くの実施形態における共通の特徴として、核分裂爆燃波、すなわち「燃焼前線」の発生および伝搬を挙げることができる。」と記載されているから、本願明細書に記載されている「核分裂爆燃波」とは、「燃焼前線」の発生および伝搬を意味すると解される。
そして、引用発明における「燃焼部(出力部)は燃焼開始部16から軸に沿って上方に移動してい」くことは、「燃焼前線」の発生および伝搬であるといえるから、引用発明の「燃焼部」、燃焼部(出力部)を移動させる「原子炉」は、それぞれ本願発明の「伝搬核分裂爆燃波」、「伝搬核分裂爆燃波原子炉」に相当する。
そして、引用発明において、「燃焼部(出力部)は燃焼開始部16から軸に沿って上方に移動していき、燃焼部Bが炉心上端部にまで移動した場合に、燃焼部Bをそのまま再利用核燃料物質RFとして、次の運転サイクルの燃焼開始部16として炉心下端部に置き換え、更に、再利用核燃料物質RFの上部から、炉心上端部まで軸に沿って再利用核燃料物質RFと一体化するように天然ウランを追加新核燃料物質NFとして配置して原子炉の炉心1を構成する、原子炉の炉心における核燃料物質の取替方法」は、燃焼部を移動させることを含む、つまり、原子炉の運転も含む方法の発明であるから、本願発明の「伝搬核分裂爆燃波原子炉を運転する方法」に相当する。

引用発明の「燃焼開始部16」は、本願発明の「第1核点火部」に相当する。そして、引用発明の「燃焼部(出力部)は燃焼開始部16から軸に沿って上方に移動していき、燃焼部Bが炉心下端部と炉心上端部とを結ぶ軸に沿って炉心上端部にまで移動」していくことにおいて、炉心下端部側の領域と炉心上端部側の領域は、本願発明の「第1領域」と「第2領域」に相当するから、引用発明の引用発明の「燃焼部(出力部)は燃焼開始部16から軸に沿って上方に移動していき、燃焼部Bが炉心下端部と炉心上端部とを結ぶ軸に沿って炉心上端部にまで移動」していくことは、本願発明の「第1核点火部を用いて、核分裂爆燃波を誘起する工程と、核分裂爆燃波原子炉の第1領域を介して上記核分裂爆燃波原子炉の第2領域まで伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる工程と、上記第2領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる工程」に相当する。

引用発明の「燃焼部Bが炉心下端部と炉心上端部とを結ぶ軸に沿って炉心上端部にまで移動した場合に、燃焼部Bをそのまま再利用核燃料物質RFとして、次の運転サイクルの燃焼開始部16として炉心下端部に置き換え」ることと、本願発明の「上記第2領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させた後、上記第2領域を介して上記第1領域まで伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる戻し伝搬工程」は、共に「上記第2領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させた後、上記第2領域から上記第1領域に伝搬核分裂爆燃波を戻す工程」で共通する。
また、引用発明において、「次の運転サイクル」は、再び燃焼部Bが炉心下端部と炉心上端部とを結ぶ軸に沿って炉心上端部にまで移動(伝搬)することを意味するから、引用発明の「燃焼部Bをそのまま再利用核燃料物質RFとして、次の運転サイクルの燃焼開始部16として炉心下端部に置き換え、」その後「次の運転サイクル」とすることと、本願発明の「上記第2領域を介して上記第1領域まで上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させた後、上記第1領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を再伝搬させる工程」とは、共に、「上記第2領域から上記第1領域に伝搬核分裂爆燃波を戻す工程の後に、上記第1領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を再伝搬させる工程」で共通する。

してみると、本願発明と引用発明とは、
「伝搬核分裂爆燃波原子炉を運転する方法であって、
第1核点火部を用いて、核分裂爆燃波を誘起する工程と、
核分裂爆燃波原子炉の第1領域を介して上記核分裂爆燃波原子炉の第2領域まで伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる工程と、
上記第2領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる工程と、
上記第2領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させた後、上記第2領域から上記第1領域に伝搬核分裂爆燃波を戻す工程と、
上記第2領域から上記第1領域に伝搬核分裂爆燃波を戻す工程の後に、上記第1領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を再伝搬させる工程と、を含む、方法。」の点で一致し、次の点で相違する。

本願発明は、「上記第2領域を介して上記第1領域まで伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる戻し伝搬工程」を含むのに対し、引用発明は、「燃焼部Bをそのまま再利用核燃料物質RFとして、次の運転サイクルの燃焼開始部16として炉心下端部に置き換え」ている点。(以下、「相違点1」という。)

(3)判断
以下、上記相違点1について検討する。
引用発明の「燃焼部Bが炉心下端部と炉心上端部とを結ぶ軸に沿って炉心上端部にまで移動した場合に、燃焼部Bをそのまま再利用核燃料物質RFとして、次の運転サイクルの燃焼開始部16として炉心下端部に置き換え」ることは、炉心上端部側の領域(第2領域)から、炉心下端部側の領域(第1領域)に、燃焼部Bの核燃料物質を移動することであり、燃焼部Bが「伝搬」することにより移動するものではない。また、引用発明は、「燃焼部Bが炉心下端部と炉心上端部とを結ぶ軸に沿って炉心上端部にまで移動した場合に、燃焼部Bをそのまま再利用核燃料物質RFとして、次の運転サイクルの燃焼開始部16として炉心下端部に置き換え、更に、再利用核燃料物質RFの上部から、炉心上端部まで軸に沿って再利用核燃料物質RFと一体化するように天然ウランを追加新核燃料物質NFとして配置して原子炉の炉心1を構成する、原子炉の炉心における核燃料物質の取替方法」についての発明であるから、次の運転サイクルのために追加新核燃料物質NFを炉心上端部(第2領域)に配置することを前提にしており、燃焼部Bが炉心上端部にまで移動した場合に、炉心上端部(第2領域)から燃焼部Bの核燃料物質を移動させておくことは、引用発明において次の運転サイクルのために必須である。よって、引用発明は、燃焼部Bの核燃料物質を移動させずに燃焼部Bを「伝搬」により移動させることを想定していない。
そして、燃焼部Bが「伝搬」することにより、炉心上端部側の領域(第2領域)から、炉心下端部側の領域(第1領域)に移動すること、つまり本願発明の「戻し伝搬工程」について、引用例には、示唆する記載もない。また、引用例の他に「戻し伝搬工程」について開示又は示唆する証拠もない。

そして、本願発明は、上記の相違点1に係る構成を備えることによって、燃焼部の核燃料物質の移動を伴うことなく、第1領域に伝搬核分裂爆燃波を再度伝搬させることができるという顕著な効果を奏する。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものということはできない。
また、請求項2ないし10に係る発明は、本願発明の発明特定事項の全てを有し、さらに限定した発明であり、いずれも引用発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるとすることはできない。

3 原査定の拒絶理由(2)の判断
「核分裂爆燃波」については、本願明細書の段落【0007】に「核分裂爆燃波、すなわち「燃焼前線」の発生および伝搬を挙げることができる」と記載され、段落【0068】には、「伝搬燃焼前線140(すなわち、上記に説明したような、伝搬する核分裂爆燃波燃焼前線)が誘起され、矢印144で示される方向に、核燃料130(図1I)を通過し伝搬する。上記に説明したように、最大反応度の領域150は、伝搬燃焼前線140の周囲に形成される。伝搬燃焼前線140は、矢印144で示される方向に、未燃焼の核燃料154を経て伝搬し、伝搬燃焼前線140の後には、核分裂生成物164(上記説明では「核分裂生成物の灰」と称される)を含む燃焼済みの核燃料160を残していく。」と記載されている。また、図1Eから図1Hまでに、比出力を表しているピークを有する波形が中央付近から両端部に向かって伝搬する様子が記載されている。
してみると、「核分裂爆燃波」とは、少なくとも核分裂反応(燃焼)度が高い領域を周囲に形成し波のように伝搬(移動)していくものであるとはいえることから、「核分裂爆燃波」について不明とまではいえない。
また、燃焼部が移動する原子炉が引用例に記載されているように、本願優先日前に当業者において知られていることを踏まえると、核分裂反応(燃焼)度が高い領域を周囲に形成し波のように伝搬(移動)していく「核分裂爆燃波」を伴う「伝搬核分裂爆燃波原子炉を運転する方法」について、本願の発明の詳細な説明に、当業者が実施することができる程度に記載されていないとまではいえない。

4 原査定の拒絶理由についてのまとめ
原査定の拒絶理由(1)及び(2)ついての判断は、上記2及び3のとおりであるから、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
(1)(新規性)本願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)(進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

特開2002-71866号公報(引用例)
請求項1-4,6,7に係る発明は、引用例に記載された発明である。
また、請求項1-7に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものである。

(3)(明確性)本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


ア 請求項1について
(ア)請求項1に記載された「方法」の発明は、複数の「工程」を含むものであるが、「上記核分裂爆燃波は、上記第2領域から上記第1領域に移動する」については、他の工程との技術的な関係や時系列的な関係が不明である。

(イ)請求項1に「上記核分裂爆燃波原子炉の第1領域から上記核分裂爆燃波原子炉の第2領域まで、燃料を通って燃焼する工程」と記載されているものの、該「燃料を通って燃焼する」とは主語および目的語が記載されていないため、何が「通って」何を「燃焼」するのか日本語として明確でない。

イ 請求項6について
請求項6には、「上記伝搬核分裂爆燃波を再伝搬させる工程において、上記核分裂爆燃波は、燃焼前線が移動するとき、燃料に対して移動し、略空間的に実質的に固定されるように、該燃料が移し替えられるか、移動し、上記第1および第2領域は、上記伝搬核分裂爆燃波に対して移動する」と記載されている。
ここで、上記核分裂爆燃波は、(a)燃焼前線が移動するとき、燃料に対して移動し、(b)略空間的に実質的に固定されるように、該燃料が移し替えられるか、移動し、(c)上記第1および第2領域は、上記伝搬核分裂爆燃波に対して移動する、という3つの移動に関する記載があると考えられるところ、この(a)(b)(c)の各移動は、それぞれどの様な移動を意味し、それぞれがどの様に関連するものであるのか不明である。

ウ 請求項7について
請求項7に「燃料は静止したままであり」と記載されている。
ところで、請求項7が引用する請求項1は複数の工程を含む方法の発明であるところ、この燃料が静止することと、請求項1に記載された各工程との技術的な関係や時系列的な関係が不明である。

(4)(サポート要件)本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


ア 請求項3について
請求項3に記載されている「核分裂生成物を」「除去する工程」とは、発明の詳細な説明のどの工程に対応するものなのか不明である。(審判請求の理由に段落0026の記載に基づく補正である旨記載されているが、段落0026に記載された何に対応するものであるのか具体的に指摘されたい。)

イ 請求項7について
請求項7に「燃料は静止したままであり、上記伝搬核分裂爆燃波は、上記燃料を介して伝搬する」と記載されているが、発明の詳細な説明のどの工程に対応するものなのか不明である。(審判請求の理由に段落0124の記載に基づく補正である旨記載されているが、段落0124に記載された何に対応するものであるのか具体的に指摘されたい。)

2 当審拒絶理由の判断
(1)当審拒絶理由(1)及び(2)について
当審拒絶理由(1)及び(2)で引用した刊行物は、特開2002-71866号公報であり、原査定の拒絶理由で引用した引用例であるから、本願発明と引用発明との対比及び判断については、上記「第3」「2」に記載したとおりである。
よって、本願発明と引用発明とは、相違点1を有するから、本願発明は、引用発明ではなく、また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものということはできない。
また、請求項2ないし10に係る発明は、本願発明の発明特定事項の全てを有し、さらに限定した発明であり、いずれも引用発明ではなく、また、引用発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるとすることはできない。

(2)当審拒絶理由(3)について
当審拒絶理由(3)アで指摘した点については、平成28年8月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、補正前の請求項1の「上記核分裂爆燃波は、上記第2領域から上記第1領域に移動する」との記載は、「上記第2領域を介して上記伝搬核分裂爆燃波を伝搬させた後、上記第2領域を介して上記第1領域まで伝搬核分裂爆燃波を伝搬させる戻し伝搬工程」と補正され、時間的関係が明らかになった。また、補正前の請求項1の「上記核分裂爆燃波原子炉の第1領域から上記核分裂爆燃波原子炉の第2領域まで、燃料を通って燃焼する工程」は、削除された。

また、当審拒絶理由(3)イ及びウで指摘した、補正前の請求項6及び7については、本件補正により削除された。

(3)当審拒絶理由(4)について
当審拒絶理由(4)アの「請求項3に記載されている「核分裂生成物を」「除去する工程」とは、発明の詳細な説明のどの工程に対応するものなのか不明である。(審判請求の理由に段落0026の記載に基づく補正である旨記載されているが、段落0026に記載された何に対応するものであるのか具体的に指摘されたい。)」との指摘に対し、意見書において、「この工程は、段落0120に記載された「領域1410における再誘起は、…、領域1410における核燃料物質からの核分裂生成物の崩壊および/または除去の結果行われてもよく」に対応するもの」であるとの回答があった。

また、当審拒絶理由(4)イで指摘した、補正前の請求項7については、本件補正により削除された。

3 当審拒絶理由についてのまとめ
当審拒絶理由(1)ないし(4)ついての判断は、上記2(1)ないし(3)のとおりである。
したがって、当審拒絶理由は解消した。

第5 結論
以上のとおりであり、原査定の拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。また、他に、本願を拒絶する理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-09-26 
出願番号 特願2013-78064(P2013-78064)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G21C)
P 1 8・ 121- WY (G21C)
P 1 8・ 537- WY (G21C)
P 1 8・ 536- WY (G21C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青木 洋平  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 井口 猶二
森 竜介
発明の名称 原子炉における燃料供給方法およびシステム  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  
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