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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1319750 |
審判番号 | 不服2015-17826 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-09-30 |
確定日 | 2016-09-23 |
事件の表示 | 特願2011-186627「装置、方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月 7日出願公開、特開2013- 47921〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成23年8月29日を出願日とする出願であって、平成26年12月18日付けで拒絶理由が通知され、平成27年2月23日付けで手続補正がなされたが、同年6月26日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年9月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされた。 その後、当審において、平成28年4月12日付けで拒絶理由を通知し、同年6月20日付けで意見書が提出されたものである。 2.本願発明 本願の請求項1?5に係る発明は、平成27年2月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「複数のアイコンを配置可能なホーム画面を表示するタッチスクリーンディスプレイと、 複数の配置パターンの中から選択された配置パターンに基づいて前記複数のアイコンを配置するコントローラと、を備え、 前記複数の配置パターンの各々は、前記複数のアイコンを優先して配置する順序が異なる装置。」 3.引用文献及び引用発明 (1)当審が平成28年4月12日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)において、引用した特開2008-40771号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、ア.ないしオ.のとおりの記載がある。 ア.「【請求項1】 電子ファイルを表象する複数の表象画像を画面に表示処理する表示処理手段と、 複数の表象画像を配置する形状の指定を利用者から受け付ける配置条件受付手段と、 複数の表象画像を前記形状に沿って配置して前記表示処理手段により表示させる再配置手段と、 を備えたことを特徴とする表象画像再配置装置。」 イ.「【0002】 複数の電子文書を管理/表示可能な電子文書処理装置において、現実の机を画面上に仮想的に表現して電子文書を扱うことが行われている。これらの電子文書処理装置においては、仮想的に表現した机上空間(作業領域)を利用者に提供し、電子文書を表象する表象画像(例えばアイコン)を利用者が作業領域上の自由な位置に配置可能にすることで、利用者にアイコンの配置や整理方法を任せ、現実の机の感覚を画面上に表現する手法が知られている。」 ウ.「【0034】 画面3は、液晶ディスプレイ等により構成されており、当該画面3に表現された作業領域上に各アイコン画像が表示される。 入力機器4は、マウス等のポインティングデバイス等により構成されており、利用者は当該入力機器4を用いて各情報の入力を行う。 【0035】 表示処理部5は、アイコン情報保持部2が保持する各アイコン画像を、画面3に表現された作業領域上の対応する位置座標に表示する。 形状テーブル6は、予め設定された複数の形状を保持している。また、利用者が独自に描画した形状を新たに追加して保持することもできる。 【0036】 配置条件受付部7は、利用者が入力機器4を用いて行った操作に応じて、各アイコンを配置する形状の指定を受け付ける。本例では、形状テーブル6に設定された各形状からの選択を受け付ける「形状選択」、及び、マウス等のポインティングデバイスの操作により描画された形状を受け付ける「形状描画」が可能であり、どちらで形状を指定するかは利用者が選択できる。 【0037】 また、配置条件受付部7は、各アイコンを並べる順番を決定する条件として用いる電子ファイルの属性情報の指定を受け付けている。本例では、電子ファイルの作成日時、ファイル名、更新日時、ファイルサイズ、製作者、ファイル種別、文書の電子ファイルの総ページ数、文書の電子ファイルの文書表題、電子ファイルについて利用者が予め設定した情報、のいずれか1つ又はこれらの組合せを条件として受け付ける。」 エ.「【0053】 次に、本例の表象画像再配置装置による所定の並び順でのアイコン再配置処理を、図6を例にして、図7に示す処理手順に従って説明する。 【0054】 利用者は、マウス等のポインティングデバイス(入力機器4)を操作してアイコンを選択する。本例では、図6(a)中の各アイコン20(ファイル名:A?F)が選択されており、再配置する対象のアイコンとして対象アイコン受付部8で受け付ける(ステップS21)。 【0055】 対象アイコン受付部8は、複数の対象アイコンを選択した状態で所定の操作(マウスの右クリック等)がなされたことに応じて、各アイコンを並べる順番を決定する各条件を示す順序指定メニュー22を表示し、利用者から並び順の条件の指定を受け付ける(ステップS22)。本例では、順序指定メニュー22に示された「名前順」、「日付の古い順」、「日付の新しい順」等の各条件から「名前順」が利用者に指定されている。 【0056】 つづいて、利用者は、「形状描画」による形状の指定を選択し、マウス等のポインティングデバイス(入力機器4)を操作して形状を描画する。配置条件受付部7は、形状の入力の開始指示から終了指示までのポインティングデバイスの動作を検知し(ステップS23、ステップS24)、その間のポインティングデバイスの動作に伴って移動したカーソルの軌跡が示す移動経路を計算し(ステップS25)、当該経路を利用者に描画された形状として受け付ける。本例では、図6(a)に符号21で示す破線矢印に従ってカーソルが移動しており、当該移動の経路を各アイコンを配置する形状として受け付けている。 【0057】 その後、再配置処理部9が、配置条件受付部7で受け付けた経路の経路長を対象のアイコン数で除算して各アイコンの位置座標間の間隔を計算し、当該間隔毎の前記経路上の座標を各アイコンの位置座標として算出する(ステップS26)。ここで、本例では、各アイコンを並べる順番を「名前順」とすることが利用者に指定されているため、前記経路の始点から終点に向けて、電子ファイルの属性「ファイル名」の順番に従って各アイコンの位置座標を算出する。 【0058】 そして、再配置処理部9が、当該算出した各アイコンの位置座標で、アイコン情報保持部2中の該当するアイコン情報を更新すると、表示処理部5により、当該更新されたアイコン情報の内容で作業領域(画面3)上のアイコンが再表示される(ステップS27)。これにより、図6(b)に示すように、利用者が指定した形状に各アイコンがファイル名の並び順で再配置して表示される。」 オ.「【0066】 上記説明したアイコン再配置処理は、いずれも「形状描画」による形状の指定がなされた場合を例に説明したが、「形状選択」による形状の指定がなされた場合は、本例の配置条件受付部7は、図10に示すような、予め設定された形状の選択を受け付ける形状選択画面を表示する。同図によると、「右方向」が選択され、左から右に向かう線分がアイコンを配置する形状として指定されている。なお、本例では、選択された形状を示す画像を作業領域上の規定の位置に規定の変換率に基づいて変換して一旦表示し、利用者による位置や変換率の変更を受け付けている。」 ここで、【請求項1】の記載によれば、引用文献1には、 「電子ファイルを表象する複数の表象画像を画面に表示処理する表示処理手段と、 複数の表象画像を配置する形状の指定を利用者から受け付ける配置条件受付手段と、 複数の表象画像を前記形状に沿って配置して前記表示処理手段により表示させる再配置手段と、 を備えた表象画像再配置装置。」が記載されている。 段落【0002】の記載によれば、上記請求項1でいう「電子ファイルを表象する表彰画像」は、「アイコン」のことであり、段落【0002】の記載によれば、画面に表示されものは、「アイコンが配置された仮想的に表現した机上空間」である。 また、段落【0034】の記載によれば、上記請求項1でいう「画面」は、「液晶ディスプレイ」から構成されてもよいものである。 また、段落【0036】、【0066】、図10の記載によれば、上記請求項1でいう「配置条件受付手段」は、「形状テーブルに設定された複数のアイコンを配置する各形状からの選択を利用者から受け付ける」ものである。 また、段落【0035】の記載によれば、上記「形状テーブル」は、予め設定された複数の形状を保持しており、段落【0066】、図10の記載によれば、上記「形状テーブル」には、形状選択画面で表示される「左方向、右方向、上方向、下方向、正方形、平行四辺形、三角形、円、楕円」に対応する、複数のアイコンを配置する各形状が予め設定されている。 そうすると、引用文献1には、 「複数のアイコンが配置された仮想的に表現した机上空間を液晶ディスプレイに表示処理する表示処理手段と、 形状テーブルに設定された各形状から複数のアイコンを配置する形状の指定を利用者から受け付ける配置条件受付手段と、 複数のアイコンを前記形状に沿って配置して前記表示処理手段により表示させる再配置手段と、 を備え、 前記形状テーブルには、左方向、右方向、上方向、下方向、正方形、平行四辺形、三角形、円、楕円に対応する複数のアイコンを配置する各形状が予め設定されているアイコン再配置装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (2)当審拒絶理由において、引用した特開2011-164676号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、カ.ないしク.のとおりの記載がある。下線は、注目箇所に当審が付した。 カ.「【0001】 本発明は、表示装置の持ち方に応じた表示制御に関する。 【背景技術】 【0002】 タッチスクリーン(タッチパネルともいう。)を有する電子機器を片手で持った場合のデータ入力について、特許文献1には、入力ボタン群を表示すべきタッチパネル上の領域を入力者に指などであらかじめ指定させる技術が記載されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】特開2008-152441号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、画像の表示に際し、タッチパネルに対する事前の指定を要するのでは、使い勝手が悪い。 そこで、本発明の目的は、ユーザが表示装置を持つと、その持ち方に応じた画像が表示されるようにすることにある。」 キ.「【0011】 表示面11Dは、画像が表示される面であり、タッチスクリーンを構成している。表示面11Dは、例えば、液晶表示素子や、有機EL(electro luminescence)表示素子で構成される複数の画素によって画像を表示する。なお、表示面11Dは、ここでは長方形の領域であるとする。センサ面11S1及び11S2は、ユーザの手指の接触を検知する面である。センサ面11S1及び11S2は、ユーザによる接触を検知するセンサを有する。ここでいうセンサは、例えば、圧力を検知するセンサや、接触している位置とそうでない位置とを電圧によって区別する抵抗膜などである。なお、センサ面11S1及び11S2を構成するセンサの検知対象は、指等の物体の接触に応じて変化する物理量であれば、上述した圧力や電圧に限定されない。センサ面11S1及び11S2は、それぞれ、表示面11Dの長辺に沿って複数の領域に分割され、各々の領域において接触を個別に検知する。この領域は、本発明に係る検知領域に相当する。」 ク.「【0029】 このような判定処理を終えると、制御部110は、判定結果に応じた画像を表示部130に表示させる(ステップS4)。ここで表示される画像は、ユーザによる指示を受け付けるための画像であり、例えば、ボタンの形状を有していたり、あるいはアイコンや絵文字などである。ステップS4において表示される画像のことを、以下においては「第1の画像」という。制御部110は、判定処理の結果に応じて第1の画像の表示態様を制御する。ここにおいて、表示態様には、画像の表示位置や、後述する展開の態様などが含まれ、さらには、画像の色や形状も含まれ得る。なお、第1の画像は、指示を受け付ける画像であれば足り、必ずしも展開を要するものではない。 【0030】 制御部110は、第1の画像が表示部130に表示されると、第1の検知情報に基づいて、表示面11Dに対するユーザの指示があるか否かを判断する(ステップS5)。制御部110は、かかる指示があれば、ユーザに指示され、第2検知部150により検知された位置に応じた処理を実行する(ステップS6)。なお、ステップS6において実行される処理には、処理実行部114が実行する処理と、表示制御部113による画像の表示制御とが含まれる。ステップS6において表示される画像のうち、第1の画像を操作することにより表示される画像のことを、以下においては「第2の画像」という。第2の画像は、第1の画像において指示された位置に従って表示内容が決まるものである。第2の画像は、本実施形態においてはユーザの指示を受け付けるための画像であるとするが、かかる画像に限定されるものではない。 【0031】 図9は、第1の画像の第1の表示例を示す図である。図9(a)は、持ち手が左手であると検知された場合の表示例であり、図9(b)は、持ち手が右手であると検知された場合の表示例である。同図において、第1の画像I11及びI12は、それぞれ、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」で表される5つの項目に相当する領域を有する。ここにおいて、項目は、特定の機能に割り当てられており、例えば、「A」が“電話”、「B」が“電子メール”、「C」が“Webブラウザ”、「D」が“ゲーム”、などといった具合である。 【0032】 また、第1の画像I11及びI12は、左右方向に展開するように表示される画像である。ここにおいて、「展開」とは、所定の決められた方向に広がりを有することをいい、ここでは、広がりが項目の数に応じている。ここでいう展開は、アニメーション表示によって、例えば、項目A、B、C、D、Eの順番で徐々に表示されるような視覚効果を有するものであってもよい。この第1の表示例において、第1の画像I11と第1の画像I12とでは、その展開の方向が異なっている。具体的には、第1の画像I11は、左から右へと項目が展開され、第1の画像I12は、これとは逆に、右から左へと項目が展開される。このようにすると、両者の画像が鏡像の関係になり、ユーザが指示に用いる指を基準とした場合の各項目の相対的な位置が右手持ちの場合と左手持ちの場合とで同じようになるため、ユーザの持ち手が異なっても操作感が同じようになる。 なお、第1の画像I11及びI12は、展開の方向だけでなく、位置が異なってもよい。例えば、表示装置10は、第1の画像I11を左寄りに表示し、第1の画像I12を右寄りに表示してもよい。 【0033】 図10は、第1の画像の第2の表示例を示す図である。図10(a)は、ユーザが表示装置10を上方寄りに持っていると検知された場合の表示例であり、図10(b)は、ユーザが表示装置10を下方寄りに持っていると検知された場合の表示例である。第1の画像I13及びI14は、その展開方向が上下方向である点において第1の表示例と相違する。また、第1の画像I13は、第1の画像I14よりも上寄りに表示され、第1の画像I14は、第1の画像I13よりも下寄りに表示される。」 したがって、下線部の記載によれば、引用文献2には、「アイコンなどの画像の配置を変更可能な、表示面とセンサ面とから構成されるタッチスクリーンを備えた電子機器」が記載されている。 4.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア.引用発明の「複数のアイコンが配置された仮想的に表現した机上空間」は、一般に「デスクトップ画面」ともいわれるものであり、本願発明と同様の「複数のアイコンを配置可能なホーム画面」ともいい得るものである。 また、引用発明の「液晶ディスプレイ」と本願発明の「タッチスクリーンディスプレイ」とは、いずれも、「ディスプレイ」である点で共通する。 よって、引用発明の「複数のアイコンが配置された仮想的に表現した机上空間」が表示処理される「液晶ディスプレイ」と、本願発明の「複数のアイコンを配置可能なホーム画面を表示するタッチスクリーンディスプレイ」とは、いずれも、「複数のアイコンを配置可能なホーム画面を表示するディスプレイ」である点で共通する。 イ.引用発明の「形状テーブルに設定された各形状から複数のアイコンを配置する形状の指定」を受け付け、「複数のアイコンを前記形状に沿って配置して前記表示処理手段により表示させる」ことは、本願発明の「複数の配置パターンの中から選択された配置パターンに基づいて前記複数のアイコンを配置する」ことに相当する。 よって、引用発明は、本願発明の「複数の配置パターンの中から選択された配置パターンに基づいて前記複数のアイコンを配置するコントローラ」に相当する構成を有しているといえる。 ウ.引用発明の形状テーブルに予め設定された複数のアイコンを配置する各形状は、「左方向、右方向、上方向、下方向」というアイコンを形状に沿って配置する方向が含まれているものであって、「左方向」と「右方向」とは、アイコンを優先して配置する順序が異なっており、また、「上方向」、「下方向」とは、アイコンを優先して配置する順序が異なっているといえる。 よって、引用発明の「前記形状テーブルには、左方向、右方向、上方向、下方向、正方形、平行四辺形、三角形、円、楕円に対応する複数のアイコンを配置する各形状が予め設定されている」ことは、本願発明の「前記複数の配置パターンの各々は、前記複数のアイコンを優先して配置する順序が異なる」ことに相当する。 エ.引用発明の「アイコン再配置装置」は、本願発明と同様に「装置」ともいえるものである。 したがって、本願発明と引用発明とは、次の一致点、相違点を有する。 [一致点] 「複数のアイコンを配置可能なホーム画面を表示するディスプレイと、 複数の配置パターンの中から選択された配置パターンに基づいて前記複数のアイコンを配置するコントローラと、を備え、 前記複数の配置パターンの各々は、前記複数のアイコンを優先して配置する順序が異なる装置。」 [相違点] ディスプレイが、本願発明ではタッチスクリーンディスプレイであるのに対し、引用発明ではタッチセンサのない液晶ディスプレイである点。 5.当審の判断 (1)上記[相違点]について 引用発明のディスプレイとしてどのようなものを採用するかは、既存のものから選択し得るものであり、ディスプレイとしてタッチスクリーンディスプレイを採用することは一般に行われていることである。 そして、タッチスクリーンディスプレイを備えた電子機器において、アイコンの配置を変更することも、例えば、引用文献2に記載されているように周知であるから、引用発明のディスプレイをタッチスクリーンディスプレイとすることは当業者が容易に想到し得た事項である。 (2)本願発明の効果について 本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用文献1、2の記載事項から当業者が予測し得る範囲を超えるものとはいえない。 (3)請求人の平成28年6月20日付け意見書の主張について 請求人は、当審拒絶理由に対し、平成28年6月20日付け意見書において、次のア.の主張をしているが、下記イ.のとおり、採用できないものである。 ア.引用文献1(引用発明1)には、「形状テーブルに設定された各形状から複数のアイコンを再配置する形状の選択を受け付ける」ことが開示されています。 また、引用文献1(引用発明1)には、「対象アイコン受付部8は、複数の対象アイコンを選択した状態で所定の操作(マウスの右クリック等)がなされたことに応じて、各アイコンを並べる順番を決定する各条件を示す順序指定メニュー22を表示し、利用者から並び順の条件の指定を受け付ける(ステップS22)。本例では、順序指定メニュー22に示された「名前順」、「日付の古い順」、「日付の新しい順」等の各条件から「名前順」が利用者に指定されている。」ことが開示されています。 本願発明の構成は、「複数の配置パターンの中から選択された配置パターンに基づいて前記複数のアイコンを配置する・・・前記複数の配置パターンの各々は、前記複数のアイコンを優先して配置する順序が異なる」ことに特徴があります。 これに対し、引用発明1は、形状に沿ってアイコンを配置するものですが、上述の通り、配置順序を別の条件指定によって決定するものであって、形状には配置順序に関する情報を含んでいません。よって、引用発明1は、上述した本願発明の構成に対応する直接的な記載やこれを示唆する記載ではありません。 また、引用発明2は、上述した本願発明の構成に対応する直接的な記載やこれを示唆する記載はありません。 上述のような相違点に起因して、本願発明は、引用発明に比べ、複数の配置パターンの中から配置パターンを選択するだけで、簡単に、アイコンを異なる配置順序で配置することができる、という顕著な効果を奏します。 イ.上記「4.ウ.」のとおり、引用発明の形状テーブルに設定された形状は、「左方向、右方向、上方向、下方向」というアイコンを形状に沿って配置する方向が含まれているものであり、「左方向」の場合は、アイコンの配置パターンの形状は、横であり、順序は、左から順にアイコンが配置され、「右方向」の場合は、アイコンの配置パターンの形状は、横であり、順序は、右から順にアイコンが配置されるのであるから、「複数のアイコンを優先して配置する順序」を含んでいる。 請求人の主張における引用文献1の段落【0055】に記載された「順序指定メニュー22に示された「名前順」、「日付の古い順」、「日付の新しい順」等の各条件から「名前順」が利用者に指定されている」ことは、「アイコンの優先度」であって、配置パターンが含む配置順序とは異なるものである。このことは、本願明細書の段落【0063】に図7Aに関して「アイコン配置領域53は、アイコン50の配置を示す領域であり、例えば、四角形の枠として表される。各アイコン配置領域53の枠の中の数字は、アイコンの配置の優先度を表している。」との記載からも明らかである。 したがって、引用発明の形状には配置順序に関する情報を含んでいないという請求人の主張は採用できない。 (4)小括 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-07-13 |
結審通知日 | 2016-07-19 |
審決日 | 2016-08-09 |
出願番号 | 特願2011-186627(P2011-186627) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 海江田 章裕 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
高瀬 勤 千葉 輝久 |
発明の名称 | 装置、方法、及びプログラム |
代理人 | 酒井 宏明 |