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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1319836
審判番号 不服2015-17246  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-18 
確定日 2016-09-20 
事件の表示 特願2013-255164「多入力多出力送信モードでのユーザー端末機からの制御情報及びデータ情報をマルチプレキシングする装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月 8日出願公開、特開2014- 82774〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯と本願発明
本願は,2011年6月8日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年6月8日 米国,2010年10月29日 米国)とする特願2013-514116号(以下,「親出願」という。)の一部を平成25年12月10日に新たな特許出願としたものであって,平成26年12月16日に拒絶理由が通知され,平成27年3月19日に意見書と手続補正書が提出されたが同年5月11日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年9月18日付けで審判請求がなされたものであって,その請求項2に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成27年3月19日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりのものであるが,該請求項2は,請求項1を引用する従属請求項形式で記載されているから,これを独立請求項形式に書き改めると,本願発明は次のとおりのものと認められる。

「アップリンク物理共有チャネル(PUSCH)を通じてアップリンク制御情報(UCI)を送信する方法であって,
データビットとUCIビットを各々コーディングするステップと,
前記コーディングされたデータビットとUCIビットをマルチプレキシングして送信するステップと,を含み,
前記PUSCHは二つの送信ブロック(TB)を含み,
前記UCIの各階層でコーディングされた変調シンボルの個数は,第1のTBの少なくとも一つのコードブロックに含まれたビットの個数と,前記第1のTBの単一キャリア周波数分割多重接続(SC-FDMA)シンボルの個数と,前記第1のTBのためにスケジューリングされたバンド幅と,第2のTBの少なくとも一つのコードブロックに含まれたビットの個数と,前記第2のTBのSC-FDMAシンボルの個数と,前記第2のTBのためにスケジューリングされたバンド幅と,前記UCIのビット数と,オフセットに基づいてUCIの各階層別コーディング変調シンボルの個数が決定されることを特徴とするアップリンク制御情報送信方法であって,
前記各階層別コーディング変調シンボルの個数を示すパラメータQ’_(temp)は,次の数式
【数1】

に基づいて決定され,前記数式で
【数2】

は対応する数を最も近いその数より大きな整数に変換するシーリング関数を示し,Oは前記UCIのビットの個数を示し,
【数3】

は該当送信ブロックのための初期PUSCH送信のためにスケジューリングされた帯域幅を示し,
【数4】

は同一の送信ブロックのための初期PUSCH送信でサブフレーム当たりSC-FDMAシンボルの個数を示し,
【数5】

はPUSCHのオフセットを示し,CはTBのコードブロックの全体個数を示し,
【数6】


でコードブロックrのためのビットの個数を示し,jは送信ブロックを示すものでj=1,2であることを特徴とするアップリンク制御情報送信方法。」

2 本願の優先日
本願は,米国特許仮出願第61/352631号(出願日:2010年6月8日,以下「本願第1優先基礎出願」という。)と米国特許仮出願第61/408293号(出願日:2010年10月29日,以下,「本願第2優先基礎出願」という。)をパリ優先権に基づく優先権主張の基礎とする出願であるところ,本願発明がこれらの出願の明細書や図面等の出願書類(以下,「出願書類等」という。)に記載されているか否かを検討する。

本願発明で【数3】として記載された「該当送信ブロックのための初期PUSCH送信のためにスケジューリングされた帯域幅」および【数4】として記載された「同一の送信ブロックのための初期PUSCH送信でサブフレーム当たりSC-FDMAシンボルの個数」はそれぞれ次のとおりである。
【数3】

【数4】

ここで,jは送信ブロックを示すものでj=1,2である。
このように,本願発明では,二つの送信ブロックの各々について別々に「該当送信ブロックのための初期PUSCH送信のためにスケジューリングされた帯域幅」,「同一の送信ブロックのための初期PUSCH送信でサブフレーム当たりSC-FDMAシンボルの個数」を規定している。

いっぽう,本願第1優先基礎出願の出願書類等には,「該当送信ブロックのための初期PUSCH送信のためにスケジューリングされた帯域幅」,「同一の送信ブロックのための初期PUSCH送信でサブフレーム当たりSC-FDMAシンボルの個数」として,それぞれ次の「数」が記載されているのみであって,これらの「数」は送信ブロック毎に区別されていない(本願第1優先基礎出願の明細書5頁11-13行等参照)。
【数】


【数】


このことからも明らかなように,本願第1優先基礎出願では,二つの送信ブロックが同じ「該当送信ブロックのための初期PUSCH送信のためにスケジューリングされた帯域幅」と同じ「同一の送信ブロックのための初期PUSCH送信でサブフレーム当たりSC-FDMAシンボルの個数」を有することが開示されているのみである。

これに対して,本願第2優先基礎出願の出願書類等には,「該当送信ブロックのための初期PUSCH送信のためにスケジューリングされた帯域幅」,「同一の送信ブロックのための初期PUSCH送信でサブフレーム当たりSC-FDMAシンボルの個数」として,それぞれ次の「数」が記載されている。
【数】

【数】

ここで,
「CW_(0) is assumed to use modulation order Qm^(0) and coding rate

while CW_(1) is assumed to use modulation order Qm^(1) and coding rate

where C_(j)(j=0,1) is the total number of code blocks for CW_(j) and Kr^(j) is the number of bits for code block r and CW_(j).
(当審仮訳:
CW_(0)は変調次数Qm^(0)と符号化率

を使用すると仮定されており,CW_(1)は変調次数Qm^(1)と符号化率

を使用すると仮定されており,
ここで,C_(j)(j=0,1)は CW_(j)のコードブロックの総数であり,Kr^(j)はCW_(j)のコードブロックrのビット数である。)」(本願第2優先基礎出願の明細書5頁11-14行)」
の記載,および
「The objective is to determine the UCI resources in case both CWs are transmitted in the PUSCH subject to the design constraint that the UCI is replicated across all layers of both CWs and the UCI symbols are time-aligned across all layers as depicted in FIG.6. For rank-2 and rank-4 PUSCH transmissions, it is assumed that the same number of layers is allocated among CWs as depicted in FIG.5.
(当審仮訳:
目的は,図6に記載されたように,UCIが両方のCWの全レイヤにわたって複製され,かつ,UCIが全レイヤにわたって時間的に整列しているとの設計制限に従ってPUSCHで両方のCWが送信されるケースにおけるUCIリソースを決定することである。ランク2とランク4のPUSCH送信では,図5に記載されたように,各CWに対して同じ数のレイヤが割り当てられる。)」(本願第2優先基礎出願の明細書5頁19-22行)
の記載等を参酌すれば,上記各「数」における上付き文字「(0)」および「(1)」は,異なるレイヤで送信される二つの送信ブロック(TB)のそれぞれを区別して示すものと認められるから,本願第2優先基礎出願では,二つの送信ブロックの各々について別々に「該当送信ブロックのための初期PUSCH送信のためにスケジューリングされた帯域幅」,「同一の送信ブロックのための初期PUSCH送信でサブフレーム当たりSC-FDMAシンボルの個数」を規定することが開示されていると認められる。

そうすると,『二つの送信ブロックの各々について別々に「該当送信ブロックのための初期PUSCH送信のためにスケジューリングされた帯域幅」,「同一の送信ブロックのための初期PUSCH送信でサブフレーム当たりSC-FDMAシンボルの個数」を規定する』という本願発明の技術的事項は,本願第1優先基礎出願の出願書類等に記載された技術的事項の範囲内ではなく,本願第2優先基礎出願の出願書類等で初めて開示された技術的事項である。

これに関し,請求人は審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」の項において,本願請求項1に記載の発明の構成要件と本願第1優先基礎出願に記載された発明の構成要件とを逐一対比したうえで,本願の請求項1-16に係る発明は本願第1優先基礎出願に記載されている旨主張している。
しかしながら,本願請求項1以外の請求項に係る発明については,これらが本願第1優先基礎出願の出願書類等に記載されていることについて何ら具体的な根拠を挙げていないため,本願発明(本願請求項2に係る発明)が第1優先基礎出願の出願書類等に記載されていると認めることはできず,請求人の上記主張は採用することはできない。

したがって,本願発明の優先基準日は,パリ条約による優先権主張の基となる本願第2優先基礎出願の出願日である2010年10月29日である。

3 先願発明
原査定の拒絶の理由で先の出願1として引用された2011年5月3日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年5月3日 米国,2010年8月16日 米国,2011年5月2日 米国)とする国際特許出願(PCT/US2011/035028)であって,本願の親出願の出願日後の2011年11月10日に国際公開され(国際公開第2011/140109号),その後,特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文が提出された国際特許出願(以下,「先願」という。)の国際出願日における明細書又は図面(以下,「先願明細書」という。)には,「METHOD AND APPARATUS FOR CONTROL AND DATA MULTIPLEXING IN WIRELESS COMMUNICATION(当審仮訳:無線通信における制御およびデータの多重化のための方法および装置)」(発明の名称)に関して,以下のア?エの事項が記載されている。
そして,上記ア?エの事項は,いずれもこの先願の2番目の優先基礎出願である米国特許仮出願第61/374169号(出願日:2010年8月16日)の明細書の[0023],[0024]-[0025],[0026]-[0028],[0029]-[0033]にそれぞれ実質的に記載された事項である。

ア 「[0062] FIG. 10 is a block diagram representation of a portion of a wireless communication apparatus 1000. The module 1002 is for receiving a transmission comprising a number of coded modulation symbols for UCI multiplexed with data. For example, the multiplexed UCI with data may be sent on multiple spatial layers on uplink by a UE. The coded modulation symbols for the UCI may be time aligned across each of the layers, and the number of the coded modulation symbols on each of the layers may be based on a spectral resource parameter. The module 1004 is for processing the received transmission to recover the UCI and data sent by the UE.
(当審仮訳:
[0062] 図10は無線通信装置1000の一部のブロック図表現である。モジュール1002は,データと多重化されるUCIの数多くのコード化された変調シンボルを有する送信を受信するためのものである。例えば,データと多重化されたUCIはUEによってアップリンクの複数の空間レイヤで送信されてもよい。UCIのコード化された変調シンボルは各レイヤにわたって時間的に整列されてもよく,各レイヤ上のコード化された変調シンボルの数はスペクトルリソースパラメータに基づいてもよい。モジュール1004はUEによって送信されたUCIとデータを回復するために受信された送信を処理するためのものである。)」

イ 「[0063] FIG. 11 is a block diagram representation of an exemplary timeline of transmissions on a horizontal axis 1100, representing linearly increasing time. As previously discussed, the number of coded modulation symbols for UCI on each of the layers may be determined based on one or more spectral efficiency parameters. For example, the number of UCI symbols on each CW and each layer for HARQ-ACK/RI, in the case of a single beta value, may be determined as follows:
[0064]

Eq (1)
[0065] Table 1 lists the various parameters used in Eq (1).
Table1

(当審仮訳:
[0063] 図11は線形的に増加する時間を表現する水平軸1100上で,例示的な送信のタイムラインのブロック図表現である。先に議論したように,各レイヤ上のコード化された変調シンボルの数はスペクトル効率パラメータに基づいてもよい。例えば,各CWおよび各レイヤ上のHARQ-ACK/RIのためのUCIシンボルの数は,単一のベータ値の場合,次のように決定されても良い。:
[0064] 略
[0065] 略)」

ウ 「[0067] However, the accuracy of the computation of the number coded modulation symbols Q' may be improved in certain scenarios. For example, when a UL grant from the eNodeB 1 10 schedules new transmissions of two transport blocks simultaneously, the formula for computing the number of UCI symbols on each CW and each layer for HARQ-ACK or RI shown in Eq (1) works accurately because the two TBs have the same transmission bandwidth in their corresponding initial grants. However, as further explained below, it is possible that one UL grant could schedule two TBs whose initial grants are not synchronous, in which case the computation of Q' may be improved.
[0068] For example, at time tl , transmissions 1 102, 1 104 may be scheduled for transport blocks TB0 and TB I using the PDCCH. Without loss of generality, it is assumed that the transmissions at time tl take 10 resource blocks (RBs). In certain scenarios, at time t2, the transmissions may be repeated (blocks 1 106, 1 108) due to changes in the channel. For example, PHICH may trigger a non-adaptive retransmission for both TB0 and TB I . For example, the transmissions 1 106, 1 108 will also have 10 RBs as their initial bandwidth. However, the initial transmission bandwidth is different for the two scheduled TBs 1 1 10 and 1 1 14 (e.g., 6 RBs for TBI while still lORBs for TB2), when HARQ-ACK is to be multiplexed with PUSCH at time t3.
[0069] Alternatively, the bandwidth calculation of TB0 and TBI at time t3 may differ if a sounding reference signal (SRS) is transmitted at time tl , then the number of available data SC-FDM symbols for the initial transmission of the two TBs turns out to be different at time t3 (because a symbol is used for the SRS at time tl). Therefore, the

variable in me enumerator of Eq (1) may be different for an initial transmission and a retransmission of a transport block.
(当審仮訳:
[0067] しかしながら,あるシナリオにおいてはコード化された変調シンボル数Q’の計算の正確さが改善する。例えば,eNodeB110からのULグラントが2つの送信ブロックの送信を同時にスケジュールするとき,式(1)に示されたHARQ-ACKあるいはRIのための各CWおよび各レイヤ上でのUCIシンボルの数を計算するための式は正確に働く。なぜならば,対応する最初のグラントにおいて,2つの送信ブロックは同じ送信帯域幅を持つからである。しかしながら,次に説明するように,ある一つのグラントが,その最初のグラントが同時ではない2つのTBをスケジュールする可能性があり,その場合,Q’の計算は改善される。
[0068] 例えば,時間t1で,PDCCHを使って送信ブロックTB0とTB1がスケジュールされる。一般性を失うこと無く,時間t1においてそれらの送信は10個のリソースブロック(RBs)を有している。あるシナリオにおいて,時間t2で,チャネルにおける変化のために送信が反復される(ブロック1106,1108)。例えば,PHICHがTB0とTB1の両方について非適応的な再送をトリガする。例えば,送信1106,1108も最初の帯域幅として10RBsを有している。しかしながら,HARQ-ACKがPUSCHとマルチプレクスされる場合,スケジュールされた2つのTBs110と1114では最初の送信帯域幅は異なる(例えば,時間t3でTB2が依然として10RBsであるのに対してTB1が6RBs)。
[0069] あるいは,サウンディング参照信号(SRS)が時間t1で送信されるならば,時間t3でのTB0とTB1の帯域幅計算は異なり,このとき,2つのTBsの最初の送信のための可能なデータSC-FDMシンボルの数は時間t3で異なることになる(時間t1で1つのシンボルがSRSのために使用されるから)。したがって,式1の分子の

変数は最初の送信と送信ブロックの再送で異なるかもしれない。」

エ 「[0070] Thus, when the initial uplink (UL) grants for the two TBs are not scheduled at the same time, guidance on how to choose the parameters

and

in eq.(1) may be required.
[0071] For example, the following modified formula may supersede eq. (1) for determining the number of UCI symbols on each CW and each layer for HARQ-ACK/RI:

[0072] In Eq(2),

represents scheduled bandwidth in the initial for TBx (x = 0, 1) and

represents a number of SC-FDMA symbols per subframe for initial PUSCH transmission for TBx.
[0073] As may be appreciated, the denominator in Eq (2) attempts to compute the aggregate spectral efficiency over all spatial layers from the individual initial grant separately for each of the scheduled TBs.
[0074] It may be appreciated that Eq (2) falls back to Eq (1) when the two TBs were scheduled for their initial transmission simultaneously.
(当審仮訳:
[0070] このように,2つのTBsの最初のアップリンク(UL)グラントが同時にスケジュールされない場合には,式(1)のパラメータ



をどのように選ぶかについてのガイダンスが必要とされる。
[0071] 例えば,次の修正された式が,HARQ-ACK/RIのための各CWおよび各レイヤ上でのUCIシンボル数を決定するための式(1)に優先する。

[0072] 式(2)において,

はTBx(x=0,1)のための最初のグラントにおけるスケジュールされた帯域幅を表し,

はTBxのための最初のPUSCH送信のサブフレーム毎のSC-FDMAシンボルの数を表す。
[0073] おわかりのように,式(2)の分母は,スケジュールされた各TBのための個々の別々の最初のグラントから,全ての空間レイヤにわたるアグリゲートされたスペクトル効率を計算しようとしている。
[0074] 2つのTBsが,その最初の送信が同時にスケジュールされたものであったなら,式(2)は式(1)に戻ることが分かるであろう。)」

上記記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると,
a アップリンク制御情報(UCI)シンボルとデータは多重化されてPUSCHで送信される。これらの情報がコード化されていることは技術常識である。
b PUSCHは二つの送信ブロック(TB_(0)およびTB_(1))を含むが,送信番号をx=1,2と表記するとそれぞれ送信ブロックTB_(1),TB_(2)となる。
c 上記二つの送信ブロックがそれぞれ送信される各階層のUCIのコード化された変調シンボルの個数は,各TBに含まれたビットの個数と、各TBの単一キャリア周波数分割多重接続(SC-FDMA)シンボルの個数と、各TBのためにスケジューリングされた帯域幅と,UCIのビットの個数と,オフセットに基づいて,つぎの式2のとおり決定される。

d 各階層でのUCIシンボルの個数Q’を示す上記式2において,右辺のmin関数が引数で指定された値の中から最小値を選ぶ関数であることは技術常識であるところ,各階層でのUCIシンボル数Q’は,TBのためにスケジューリングされたバンド幅の4倍を上限として,次のパラメータで与えられる。

そして,これが

と変形できることは数学的に明らかである(なお,送信番号をx=1,2と表記している。)。

以上を総合すれば,上記先願明細書には,以下の発明(以下,「先願発明」という。)が開示されていると認める。

「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)を通じてアップリンク制御情報(UCI)を送信する方法であって,
データビットとUCIビットを各々コード化するステップと,
前記コード化されたデータビットとUCIビットをマルチプレキシングして送信するステップと,を含み,
前記PUSCHは二つの送信ブロック(TB)を含み,
前記UCIの各階層でコード化された変調シンボルの個数は,第1のTB(TB_(1))のC^((1))個のコードブロックに含まれたビットの個数と,前記第1のTB(TB_(1))の単一キャリア周波数分割多重接続(SC-FDMA)シンボルの個数と,前記第1のTB(TB_(1))のためにスケジューリングされたバンド幅と,第2のTB(TB_(2))のC^((2))個のコードブロックに含まれたビットの個数と,前記第2のTB(TB_(2))のSC-FDMAシンボルの個数と,前記第2のTB(TB_(2))のためにスケジューリングされたバンド幅と,前記UCIのビット数と,オフセットに基づいてUCIの各階層でコード化された制御情報シンボルの個数が決定されるアップリンク制御情報送信方法であって,
前記各階層でコード化された制御情報シンボルの個数を示すパラメータQ’_(temp)は,次の数式
【数1】

に基づいて決定され,前記数式で
【数2】

は対応する数を最も近いその数より大きな整数に変換するシーリング関数を示し,Oは前記UCIのビットの個数を示し,
【数3】

は該当送信ブロックのための初期PUSCH送信のためにスケジューリングされた帯域幅を示し,
【数4】

は同一の送信ブロックのための初期PUSCH送信でサブフレーム当たりSC-FDMAシンボルの個数を示し,
【数5】

はPUSCHのオフセットを示し,
C^((j))
はTB_(j)のコードブロックの全体個数を示し,
【数6】

でコードブロックrのためのビットの個数を示し,jは送信ブロックを示すものでj=1,2であるアップリンク制御情報送信方法。」

4 対比・判断
本願発明と先願発明とを比較すると,
a 先願発明の「物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)」,「コード化」は,それぞれ本願発明の「アップリンク物理共有チャネル(PUSCH)」,「コーディング」と同義である。
b 先願発明の「C^((j))」個の「コードブロック」は,本願発明の「少なくとも一つのコードブロック」といえる。

そうすると,本願発明と先願発明との間に相違は無く,本願発明は先願発明と同一であるから,本願発明は,特許法第29条の2の規定により,特許を受けることができない。

5 むすび
以上のとおりであるから,この出願の請求項2に係る発明は,その優先日(2010年10月29日)前の優先日(2010年8月16日)を有する国際特許出願(PCT/US2011/035028)であって,本願出願日(2011年6月8日)後の2011年11月10日に国際公開され(国際公開第2011/140109号),その後,特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文が提出された国際特許出願の国際出願日における明細書又は図面に記載された発明と同一であると認められ,しかも,この出願の発明者が上記国際特許出願に係る上記の発明をした者と同一であるとも,またこの出願の時において,その出願人が上記国際特許出願の出願人と同一であるとも認められないので,特許法第184条の13で読み替えて適用する特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-04-20 
結審通知日 2016-04-25 
審決日 2016-05-10 
出願番号 特願2013-255164(P2013-255164)
審決分類 P 1 8・ 16- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡 裕之  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 新川 圭二
萩原 義則
発明の名称 多入力多出力送信モードでのユーザー端末機からの制御情報及びデータ情報をマルチプレキシングする装置及び方法  
代理人 木内 敬二  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 崔 允辰  

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