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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1319880 |
審判番号 | 不服2015-11875 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-06-24 |
確定日 | 2016-09-29 |
事件の表示 | 特願2010-238889「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月17日出願公開、特開2012- 95000〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年10月25日を出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 :平成26年11月 4日(起案日) 手続補正 :平成26年12月11日 拒絶理由通知(最後) :平成27年 1月 5日(起案日) 手続補正 :平成27年 2月25日 補正却下 :平成27年 3月19日(起案日) 拒絶査定 :平成27年 3月19日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成27年 6月24日 手続補正 :平成27年 6月24日 拒絶理由(当審・最初) :平成28年 5月10日(起案日) 手続補正 :平成28年 6月27日 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年6月27日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。((A1)ないし(C)は当審が付与した。以下、構成要件(A1)、構成要件(B)・・などという。) 【請求項1】 (A1)画像データを入力する入力手段と、 (A2)前記画像データに基づき形成された画像を出力する出力手段と、 (A3)前記入力手段から入力される画像データを蓄積する蓄積手段とを備えるとともに、 (A4)前記蓄積手段に蓄積された画像データに基づいて表示画像を生成する表示画像生成手段と、 (A5)前記表示画像生成手段により生成された表示画像を表示するプレビュー領域を備える表示手段と、 (A6)前記入力手段から入力される画像データの入力状況を、前記表示手段上で前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開することで案内する表示制御手段とを具備する (A7)画像表示操作装置を備える画像形成装置において、 (B)前記表示制御手段は、前記画像データの入力状況を案内する前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開することを停止する機能と、画像データの入力が停止されたことを報知する機能とを備え、 (C)画像データの入力中に画像データの入力が途中停止した場合に、前記画像データの入力状況を案内する前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開することを停止して、画像データの入力が停止されたことを報知するコメントを、停止した状態のプレビュー表示された表示画像の一部を隠すように重ねて表示することを特徴とする画像形成装置。 第3 刊行物の記載事項 (1)刊行物1の記載 当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2010-171780号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 【0001】 この発明は、画像処理装置とそのプログラムとに関し、特に読み取った画像をLCD(Liquid Crystal Display)などのモニタに表示することに関する。 【0014】 図1?図5に、実施例を示す。図1に、画像処理装置としての複合機2の構成を示す。複合機2は、複写機として原稿を読み取ってその画像データを自機にてプリントしたり、ネットワークスキャナとして画像データを他機へと送信する。また複合機2は、公衆電話回線網(PSTN)に接続され、G3ファクシミリとして機能し、またLAN4を介してメールサーバ6やルータ8等と接続され、メールサーバ6やルータ8を介してインターネット10と接続して電子メール等の送受信を行う。12は、LAN4に接続されたパーソナルコンピュータ等の通信端末装置で、14は、LAN4に接続されたプリンタである。 【0015】 図1において、20は主制御部で、22はLANインターフェース、24はG3ファクシミリ機能処理部で、公衆電話回線網(PSTN)を介し、G3ファクシミリ等の送受信などを行う。26はインターネットファクシミリ機能処理部で、例えば電子メール形式でインターネットファクシミリの送受信を処理する。28はネットワークススキャナ機能処理部で、30はネットワークプリンタ部、32はコピー機能処理部である。また34はタッチパネルで、LCD等の表示部35と位置入力部36とを備え、読み取り画像を表示すると共にユーザの入力を受付ける。 【0016】 38は画像データの取得部で画像データを読み取り、画像記憶制御部40は取得した画像データをRAM44などに記憶する。画像生成部42は、RAM44などから読み出した画像データ、あるいはスキャンした画像データに、縮小/拡大などの編集を施してプレビュー画像とサムネイル画像とを生成してLCD35に表示する。 【0017】 RAM44は、取得した画像データやその他のデータを記憶する。またROM46は、複合機2に必要なプログラムを記憶し、特に読み取り画像のプレビュー表示とサムネイル表示とを表示し、ユーザによる画像の選択などの指示を受け付けるために必要な読み取り画像の表示プログラム50を記憶する。 【0018】 実施例の複合機2では、例えばスキャンして取り込んだ画像データをプリントし、他機へと送信し、あるいは編集して保存する場合に、読み取り画像のプレビュー画像とサムネイル画像とを複合機2のLCD35に表示する。そしてプリント開始前にユーザがプレビュー表示で読み取り画像を確認し、擦れやゆがみが無く正しく読み取りできていることを確認した後に、プリントを行う。実施例では、読み取りが終了して1ページ分のプレビュー画像が表示された画像について、その画像の縮小画像をサムネイルとして追加して表示する。プレビュー画像と同一画面にサムネイル画像を表示するので、ユーザは全体の読み取り具合を確認できる。またユーザは、サムネイル画像からプレビューを表示したい画像を選択できる。なお、読み取り画像のプレビュー表示及びサムネイル表示は、複合機2のLCD35で表示するほかに、パーソナルコンピュータ12のCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどに表示しても良い。 【0020】 図3に、実施例の複合機2で画像データを読み取り中の、LCD35の表示画面69を示す。LCD35の表示画面69は、読み取り画像をプレビュー表示するためのプレビュー表示領域70と、読み取り画像のサムネイル画像を表示するためのサムネイル表示領域72とを備える。なお実施例では、プレビュー表示領域70は、XGA(eXtended Graphics Array)規格やVGA(Video Graphics Array)規格の表示装置の縦サイズに合わせた正方形の表示領域とし、サムネイル表示領域72はプレビュー表示領域70の縦サイズに合わせて縦長の表示領域とする。サムネイル表示領域72の表示は、例えばサムネイル画像を横方向に並べたり、プレビュー表示領域70を取り巻くように配置するなどしても良い。 【0021】 図において、1ページ目は読み取りが終了しており、1ページ目の読み取り画像の縮小画像をサムネイル表示領域72に表示する。そして2ページ目の原稿の読み取りを開始して読み取った画像データをプレビュー画像74として生成し、1ページ目のサムネイル画像76と共に表示する。読み取り画像はプレビュー表示領域70の上部から下部へと移動するように動的にプレビュー表示して、読み取り動作を表現する。そして読み取りが終了しプレビュー画像の1ページ分78を表示した後に、2ページ目のサムネイル画像80をサムネイル表示領域72に表示する。次に画像78を表示画面から消去して、次ページの読み取り時のプレビュー表示に備える。そして最終ページである9ページ目の読み取りを終了して、全てのページのサムネイル画像を表示する。 【0022】 実施例では、原稿を読み取る状態を画像を上から下へ移動して表示するが、下から上へ移動させるようにしても良く、さらに左から右、あるいは右から左への移動でなどで表現しも良い。なお図において、82,84はタッチパネル34上に表示するボタンで、これにタッチしてサムネイル画像を上下にスクロールする。 【0025】 さらに図4に示すように、表示画面69にプリント指示ボタン86と、ゴミ箱ボタン88とを設ける。印刷ボタン86を用い、ユーザはサムネイル画像から選択した画像をプレビュー画像で確認した後に印刷の指示を行う。また不要な画像や読み取りを失敗した画像を、ゴミ箱ボタン88へとドラッグ&ドロップなどして削除できる。ユーザはプレビュー画像で確認しながら、読み取りを失敗したページを再読み取りできる。 【0026】 図5に、実施例の複合機での読み取り画像の表示を示す。図において、複合機が画像データをスキャンして読み取り(S10)、読み取った画像データをプレビュー画像としてLCDに表示する(S11)。このとき1ページ分の読み取りが終了するまで画像データの読み取りを動的に表現するように、プレビュー画像の表示面積を例えば上から下へと拡大するように移動させる。そして1ページ分の読み取りが終了してそのプレビュー画像を表示した後に(S12)、読み取りが終了したページのサムネイル画像をサムネイル表示領域に追加する(S13)。続けて次のページを読み取るときは、表示中のプレビュー画像を消去し、次の読み取り画像のプレビュー表示に備える(S14,S15)。原稿を最終ページまで継続して読み取って画像データの読み取りは終了する(S14)。読み取り中、あるいは読み取り終了後に、サムネイル画像からユーザが特定の画像を選択した場合に、その選択を受付けて(S16)選択されたページをプレビュー画像として表示する(S17)。なお、ユーザは、サムネイル画像から不要な画像を選択してゴミ箱へ移したり、サムネイル画像から選択した画像をプレビューで確認した後に、保存したりプリントすることができる (2)刊行物2の記載 当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2009-207023号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 【0001】 本発明は、コピー機能を有するデジタル複写機、ファクシミリ又は複合装置等の画像形成装置に関する。 【背景技術】 【0002】 下記特許文献1では、自動原稿搬送装置を備えた複合機を用いて一連の原稿を読み取っているときにジャムが発生した場合、読み取り途中の原稿の画像データ及びその直前の原稿の画像データを表示する、発明が開示されている。 【0003】 この発明によれば、ユーザは、ジャム解除後に、一連の原稿のうちどの原稿を先頭として上記自動原稿搬送装置に再セットすればよいか視覚的に判断することができる。 【特許文献1】特開2005-274941号公報 【0027】 図1は、本発明の実施例1に係わる画像形成装置のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。 【0028】 この画像形成装置10は、コピー、プリント、スキャナ及びファクシミリ機能を有する複合機で、主に、コントローラ部20と、パネル部30と、スキャナ部40と、プリンタ部50と、を備える。 【0029】 コントローラ部20では、MPU21にインタフェース22を介してEEPROM23E1、EEPROM23E2、DRAM23D、ファクシミリモデム24、CODEC25、画像メモリ26、パネル部30、スキャナ部40、及び、プリンタ部50が結合されている。図1では、簡単化のため、複数のインタフェースを1つのブロックで示している。 【0030】 EEPROM23E1及び23E2は、例えばフラッシュメモリである。EEPROM23E1には、BIOS(Basic Input Output System)が格納されている。EEPROM23E2には、OS(Operating System)と、このOS上で動作する各種プログラムと、各種デバイスドライバと、各種設定値とが格納されている。 【0031】 DRAM23Dはワークエリア用である。ファクシミリモデム24は、ファクシミリ送受信用である。 【0032】 CODEC25は、画像データを符号化若しくは復号化し、又は、圧縮若しくは伸張するために用いられる。画像メモリ26には、スキャナ部40で読み取った画像データがCODEC25で符号化されて格納される。 【0033】 パネル部30は、操作画面又は画像形成装置10の機器状態等を表示するLCD(液晶ディスプレイ)を有する表示部31と、設定値又は指示を入力するための複数のハードウェアキーを有する指示入力部32と、から構成される。 【0034】 スキャナ部40は、スキャン、コピー及びファックス機能で用いられ、原稿積載トレイ41と、自動原稿搬送装置42と、原稿読取部43と、から構成される。原稿積載トレイ41にセットされる一連の原稿Pは、自動原稿搬送装置42により1枚ずつ原稿読取位置まで搬送される。そして、画像読取位置まで搬送された原稿に、ハロゲンランプ又は蛍光灯で光を当てその反射光をCCD(電荷結合素子)センサで読み取り、このアナログ信号をA/D変換でデジタル信号に変換し、画像処理してDRAM23Dに展開され、コピー機能においては、このDRAM23Dに展開された画像はCODEC25で符号化されて画像メモリ26に格納される。 【0035】 プリント部50は、プリントエンジン、定着器並びに用紙の給紙部、搬送部及び排紙部を備え、DRAM23D上に展開されるビットマップデータに基づいてプリントエンジンの感光ドラムに静電潜像を形成し、これをトナーで現像し、用紙に転写し定着させた後に排紙する。 【0040】 (S4)自動原稿搬送装置42を制御して、原稿積載トレイ41から一連の原稿Pのうち先頭原稿を1枚給紙搬送する。 【0041】 (S5)原稿読取部43を制御して、読み取り位置まで搬送された原稿を読み取っていく。このとき原稿読取部43で読み取られたアナログ画像信号はA/D変換されてデジタル画像信号となり、画像処理がされて上記DRAM23Dに展開されていく。このDRAM23Dに展開された画像データは、CODEC25により符号化されて画像記憶メモリ26に格納される。 【0042】 (S6)給紙された原稿を読み取り中に、自動原稿搬送装置42でジャム又は給紙トレイがオープンされる等、搬送を中断する原因が発生したか否かを判断する。肯定した場合にはステップS11に進み、否定した場合にはステップS7に進む。 【0043】 (S7)1枚の原稿について全て読み取りが完了したか否かを判断する。肯定した場合にはステップS8に進み、否定した場合にはステップS5に戻る。 【0044】 (S8)読み取り済みページ数をカウントする。 【0045】 (S9、S10)原稿積載トレイ41に原稿があるか否かを判断する。肯定した場合にはステップS4に戻り、否定した場合には上記条件設定に従ってプリント部50を制御して印刷を行う。なお、このフローでは、一連の原稿Pを全て読み取った後に印刷を開始しているが、読み取り済みの原稿から随時印刷を開始してもよい。 【0046】 (S11)上記中断原因がジャムである場合には、表示部31を制御して、自動原稿搬送装置42内でジャムした原稿を取り除くべき旨の表示をする。他にも、給紙トレイがオープンされた場合には、給紙トレイをクローズすべき旨の表示をする。 【0047】 (S12)中断原因が解除されたか否かを判断する。肯定した場合にはステップS20に進み、否定した場合にはステップS11に戻る。 【0048】 (S20)両面読み取り設定がされているか否かを判断する。本実施例1では片面読み取りコピーを行うので、否定判断してステップS21に進む。なお、肯定判断した場合の説明は、後述の実施例2で説明する。 【0049】 (S21)カウントした読み取り済みページ数を取得する。 【0050】 (S22)取得した読み取り済みページ数に基づき、ジャム等の中断原因が発生する直前に読み取りを完了し、画像メモリ26に格納された原稿の画像データを、CODEC25によって復号化してDRAM23Dに展開する。次に、展開されたビットマップデータの画像を表示部31に表示するためにサイズを調整して、表示用データを生成し、これをDRAM23Dに格納する。 【0051】 (S23)表示部31を制御して、図4に示すような原稿再セット要求画面を表示する。この原稿再セット要求画面100には、読み取り済みページ数及びカレントページ番号101と、上記ステップS22で生成した表示用データに基づいた最終読み取り原稿のイメージ画像102と、再セットすべき先頭原稿のページ番号を示して原稿を再セットするように促すコメント103と、コピーを再開する再開ボタン104と、ページ戻しボタン105と、ページ送りボタン106と、が含まれる。ユーザは、この画面100に従ってコピー対象である一連の原稿Pのうち残りの原稿を、表示されているイメージ画像102に対応するページ番号の次のページ番号の原稿を先頭として原稿積載トレイ41にセットすることができる。なお、表示部31がタッチパネル式でない場合には、再開ボタン104、ページ戻しボタン105及びページ送りボタン106に対応するハードウェアキーの押下を促すガイド(アイコン等)を表示する。 【0052】 (S24)上記再開ボタン104、ページ戻しボタン105又はページ送りボタン106のうち何れかの押下を受け付けたか否かを判断する。再開ボタン104の押下を受け付けた場合にはステップS25に進み、ページ戻しボタン105の押下を受け付けた場合にはステップS26に進み、ページ送りボタン106の押下を受け付けた場合にはステップS28に進む。 【0053】 (S25)原稿積載トレイ41に原稿がセットされているか否かを判断し、肯定した場合にはステップS4に戻り、否定した場合にはステップS23に戻る。 【0054】 (S26)原稿再セット要求画面100に表示されているイメージ画像102に対応するページ番号の、1つ前のページ番号が存在する場合には、その1つ前に該当する原稿の画像データを、CODEC25によって復号化してDRAM23Dに展開する。次に、展開されたビットマップデータを表示部31に表示するためにサイズを調整して表示用データを生成し、これをDRAM23Dに格納する。 【0055】 (S27)上記1つ前の原稿のイメージ画像102が表示されるように、ステップS26で生成した表示用データに基づき、原稿再セット要求画面100を更新し、ステップS23に戻る。 【0056】 (S28)原稿再セット要求画面100に表示されているイメージ画像102に対応するページ番号の、1つ後のページ番号が存在する場合には、その1つ後に該当する原稿の画像データを、CODEC25によって復号化してDRAM23Dに展開する。次に、展開されたビットマップデータを表示部31に表示するためにサイズを調整して表示用データを生成し、これをDRAM23Dに格納する。 【0057】 (S29)上記1つ後の原稿のイメージ画像102が表示されるように、ステップS28で生成した表示用データに基づき、原稿再セット要求画面100を更新し、ステップS23に戻る。 (3)刊行物3の記載 当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2008-219735号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 【請求項1】 各種の設定処理項目の中から選択された処理を画像データに対して設定した結果を示すプレビュー画像を生成して表示する画像処理装置において、 前記画像データの入力に先立って、前記画像データに対して設定可能な設定処理項目のうちコンテンツに依存しない設定処理項目と予め記憶されたサンプル画像データとを含む入力画面情報を表示する画面表示手段と、 前記コンテンツに依存しない設定処理項目について受け付けた設定入力を反映した前記サンプル画像データを前記プレビュー画像として表示するサンプル設定表示手段と、 を備えることを特徴とする画像処理装置。 【0001】 本発明は、画像処理装置、プログラムおよびプレビュー画像表示方法に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、原稿画像を読み取るスキャナ、スキャナで読み取った原稿画像を印刷する複写機、外部から入力された画像データを印刷するプリンタやファクシミリ装置、あるいは、これらの機能を兼ね備えたいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称される複合機が用いられている。 【0003】 この種の複合機にあっては、余白サイズなどの各種画像処理に関する設定、スタンプ押印処理、ステープル処理あるいはパンチ孔あけ処理といった仕上げ処理に関する設定など、様々な機能に関する設定をユーザは行うことができる。 【0004】 しかしながら、従来の複合機では、このような仕上げ機能を設定してコピーを開始すると、印刷結果を得るまで仕上がり状態を確認できない。例えば、パンチ孔をあけた仕上がり状態において、パンチ孔の位置と出力画像とが重なっていたとしても、実際に印刷してみるまで結果を知ることができないため、ミスコピーとなり、用紙を無駄に使用してしまうという問題が生じる。 【0005】 そこで、このような問題を解決するために、実際のコピー印刷に先だって、プレスキャンした原稿イメージに対して仕上げ機能などの各種機能による処理を施した仕上がり状態のプレビュー画像を表示し、必要に応じて印刷の設定を変更することができる情報処理装置が特許文献1で提案されている。 【0006】 【特許文献1】特開2001-67347号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 ところで、特許文献1で提案されているような複合機の操作部のプレビュー表示上で各種機能設定を行い、その設定を反映したプレビュー画像を表示し、仕上がり状態を確認した後に印字するような場合においては、実際のコピー印刷に先だって、原稿を必ずプレスキャンして画像データを読み込まなければ処理ができない、という問題がある。 【0008】 具体的には、出力カラー、出力濃度、用紙、拡大/縮小、片面/両面、集約、ソート/スタックおよび地肌などのコンテンツに依存しない機能のみを使用したい場合には、プレスキャンして画像データを読み込まなくとも機能設定ができるにもかかわらず、機能設定の前に必ず原稿をスキャンしなければならないという制約が設けられてしまっている、という問題である。 【0009】 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各種項目の設定処理の高速化を図ることができる画像処理装置、プログラムおよびプレビュー画像表示方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、各種の設定処理項目の中から選択された処理を画像データに対して設定した結果を示すプレビュー画像を生成して表示する画像処理装置において、前記画像データの入力に先立って、前記画像データに対して設定可能な設定処理項目のうちコンテンツに依存しない設定処理項目と予め記憶されたサンプル画像データとを含む入力画面情報を表示する画面表示手段と、前記コンテンツに依存しない設定処理項目について受け付けた設定入力を反映した前記サンプル画像データを前記プレビュー画像として表示するサンプル設定表示手段と、を備える。 【0056】 また、グレイアウトした状態で表示されている場所や原稿方向に依存したメニュー402aについての設定入力を受け付けたことを検知した場合には(ステップS4のYes)、仕上がり情報生成部131は、図8に示すように、「これらの機能を設定するためには、原稿を読み込ませる必要があります。」旨のメッセージMをサンプル画像500上にオーバレイ表示する。ここに、メッセージ表示手段が実現されている。実際には、サンプル画像データ12aを用意する際に、メッセージMを重ね描きしても良いエリアを明示する、あるいは、バックが無地の部分を自動的に検出するなどの方法でメッセージ表示エリアを特定し、特定したメッセージ表示エリアにメッセージMをオーバレイ表示する。図8に示すように、サンプル画像500上にメッセージ表示エリアを設けて、メッセージMをサンプル画像500上に重ねて表示するようにしたのは、ユーザの注目が最も集中するのがサンプル画像500(プレビュー画像)だからである。例えば、画面上部などにメッセージを表示する専用のメッセージ表示エリアを設けることも可能ではあるが、確実にユーザに伝える必要があるメッセージは、このサンプル画像500(プレビュー画像)上に表示するのが最も効果的である。 第4 刊行物に記載された発明 以上の記載によれば、刊行物1には次の発明(以下、刊行物1発明という。)が記載されている。 4a.刊行物1の【0001】、【0014】の記載によれば、刊行物1には画像処理装置としての複合機に関する発明が開示されている。 4b.刊行物1の【0016】には「38は画像データの取得部で画像データを読み取り」とあるから、刊行物1に記載された複合機は画像データを読み取る画像データの取得部を有している。 4c.刊行物1の【0014】には「複合機2は、複写機として原稿を読み取ってその画像データを自機にてプリントしたり」、【0018】には「実施例の複合機2では、例えばスキャンして取り込んだ画像データをプリントし」の記載がそれぞれあるから、刊行物1に記載された複合機は、読み取った画像データをプリントする手段を有している。 4d.刊行物1の【0016】には「38は画像データの取得部で画像データを読み取り、画像記憶制御部40は取得した画像データをRAM44などに記憶する。」とあるから、刊行物1に記載された複合機は、読み取った画像データを記憶するRAMを有している。 4e.刊行物1の【0016】には「画像生成部42は、RAM44などから読み出した画像データ、あるいはスキャンした画像データに、縮小/拡大などの編集を施してプレビュー画像とサムネイル画像とを生成してLCD35に表示する。」とあるから、刊行物1に記載された複合機は、RAM44などから読み出した画像データに編集を施してプレビュー画像を生成する画像生成部を有している。 4f.刊行物1の【0016】には「画像生成部42は、RAM44などから読み出した画像データ、あるいはスキャンした画像データに、縮小/拡大などの編集を施してプレビュー画像とサムネイル画像とを生成してLCD35に表示する。」、【0020】には「図3に、実施例の複合機2で画像データを読み取り中の、LCD35の表示画面69を示す。LCD35の表示画面69は、読み取り画像をプレビュー表示するためのプレビュー表示領域70と、読み取り画像のサムネイル画像を表示するためのサムネイル表示領域72とを備える。」とあるから、刊行物1に記載された複合機は、画像生成部で生成されたプレビュー画像を表示するためのプレビュー表示領域を備えたLCDを有している。 4g.刊行物1の【0021】、【0026】の記載によれば、刊行物1に記載された複合機は、原稿の読み取りを開始して読み取った画像データをプレビュー画像としてプレビュー表示領域に表示するとき、プレビュー表示領域の上部から下部へとプレビュー画像の表示面積が拡大するように移動することで動的にプレビュー表示するように制御しているから、当該制御を行う制御手段を有しているといえる。 4h.刊行物1の【0020】、【0025】の記載によれば、刊行物1に記載された複合機の表示画面はLCDに設けられたものであり、上記表示画面には、サムネイル画像から選択した画像をプレビュー画像で確認した後に印刷の指示を行うプリント指示ボタンを有している。 4i.まとめ 以上まとめると、刊行物1発明として、以下のとおりのものを認定することができる。((a)ないし(h)は当審において付与し、以下「構成要件(a)」等として引用する。) (a)画像処理装置としての複合機であって、 (b)画像データを読み取る画像データの取得部と、 (c)読み取った画像データをプリントする手段と、 (d)読み取った画像データを記憶するRAMと、 (e)RAM44などから読み出した画像データに編集を施してプレビュー画像を生成する画像生成部と、 (f)画像生成部で生成されたプレビュー画像を表示するためのプレビュー表示領域を備えたLCDと、 (g)原稿の読み取りを開始して読み取った画像データをプレビュー画像としてプレビュー表示領域に表示するとき、プレビュー表示領域の上部から下部へとプレビュー画像の表示面積が拡大するように移動することで動的にプレビュー表示するように制御する制御手段と、 (h)LCDに設けられた表示画面には、サムネイル画像から選択した画像をプレビュー画像で確認した後に印刷の指示を行うプリント指示ボタンを有する複合機。 第5 対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する。 5a.本願発明の構成要件(A1)と刊行物1発明の構成要件(b)とを対比する。 刊行物1発明の「画像データを読み取る画像データの取得部」は、画像データを入力する入力手段といえるから、刊行物1発明は本願発明の構成要件(A1)を備えている。 5b.本願発明の構成要件(A2)と刊行物1発明の構成要件(c)とを対比する。 刊行物1発明の「読み取った画像データをプリントする手段」の「読み取った画像データ」は、上記5a.で検討した、入力手段に相当する取得部で取得した画像データであるから「前記画像データ」といえ、この画像データをプリントするのであるから、「前記画像データに基づき形成された画像を出力」しているといえる。そうすると、刊行物1発明の「プリントする手段」は、刊行物1発明は本願発明の構成要件(A2)と相違がない。 5c.本願発明の構成要件(A3)と刊行物1発明の構成要件(d)とを対比する。 刊行物1発明の「読み取った画像データを記憶するRAM」の「読み取った画像データ」は、上記5a.で検討した、入力手段に相当する取得部で取得した画像データであるから「前記画像データ」といえることは、上記5b.で検討したことと同じであり、刊行物1発明の「読み取った画像データを記憶するRAM」は、「前記入力手段から入力される画像データを蓄積する蓄積手段」といえるから、刊行物1発明は本願発明の構成要件(A3)を備えている。 5d.本願発明の構成要件(A4)と刊行物1発明の構成要件(e)とを対比する。 刊行物1発明の「RAM」が、本願発明の「蓄積手段」に相当することは、上記5c.のとおりであるから、刊行物1発明の「RAM44などから読み出した画像データに編集を施してプレビュー画像を生成する画像生成部」は、「前記蓄積手段に蓄積された画像データに基づいて表示画像を生成する表示画像生成手段」といえる。 5e.本願発明の構成要件(A5)と刊行物1発明の構成要件(f)とを対比する。 刊行物1発明の「画像生成部」が、本願発明の「表示画像生成手段」に相当することは、上記5d.のとおりであるから、刊行物1発明の「画像生成部で生成されたプレビュー画像を表示するためのプレビュー表示領域を備えたLCD」は、本願発明の「前記表示画像生成手段により生成された表示画像を表示するプレビュー領域を備える表示手段」といえる。 5f.本願発明の構成要件(A6)と刊行物1発明の構成要件(g)とを対比する。 刊行物1発明では「原稿の読み取りを開始して読み取った画像データをプレビュー画像としてプレビュー表示領域に表示するとき、プレビュー表示領域の上部から下部へとプレビュー画像の表示面積が拡大するように移動することで動的にプレビュー表示」している。 上記刊行物1発明における、「プレビュー表示領域の上部から下部へとプレビュー画像の表示面積が拡大するように移動する」プレビュー表示は、プレビュー表示領域において、「画像データを読み取る画像データの取得部」で取得した画像データのプレビュー画像を、その表示面積が拡大するように移動することで動的に表示を変更しているから、本願発明の「前記入力手段から入力される画像データの入力状況を、前記表示手段上で前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開」することに相当する。 そして、そのような表示を行うことにより、「画像データを読み取る画像データの取得部」における画像データの取得の状況を案内していることは明らかであるから、刊行物1発明の、「原稿の読み取りを開始して読み取った画像データをプレビュー画像としてプレビュー表示領域に表示するとき、プレビュー表示領域の上部から下部へとプレビュー画像の表示面積が拡大するように移動することで動的にプレビュー表示するように制御する制御手段」は、本願発明の「前記入力手段から入力される画像データの入力状況を、前記表示手段上で前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開することで案内する表示制御手段」に相当する。 5g.本願発明の構成要件(A7)と刊行物1発明の構成要件(a)、(h)とを対比する。 本願発明の「画像表示操作装置」は、本願明細書の【0025】の記載「本発明の実施形態は、図1に示すように、画像データを入力する原稿読取部(入力手段)102と、原稿読取部102により入力された画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部104と、画像データに基づいてプレビュー画像を表示する表示パネル(表示手段)132と原稿読取部102から入力される画像データの入力状況を表示パネル132上で案内表示する操作ユニット側制御部(表示制御手段)131(図9を参照)とを具備する操作ユニット(画像表示操作装置)120とを備える画像形成装置100において、」、【0032】の記載「操作ユニット120は、タッチパネルディスプレイ130と表示操作部140とで構成される。タッチパネルディスプレイ130は、液晶パネル等で構成された表示パネル132と、表示パネル132に重ねて配置されたユーザの指で押圧された位置を検出するタッチパネル(タッチ操作認識手段)134とで構成される。表示操作部140は、表示灯142と、電源キー144と、省エネルギーキー(以下「省エネキー」と記載)146と、動作モードを選択するホーム画面ヘタッチパネルディスプレイ130の表示画面を戻すためのホームキー148とで構成される。」を参酌すると、タッチパネルディスプレイ130と表示操作部140とで構成される操作ユニット(画像表示操作装置)であるといえる。 この点、刊行物1発明では、LCDに設けられた表示画面には、サムネイル画像から選択した画像をプレビュー画像で確認した後に印刷の指示を行うプリント指示ボタンを有しているから、画像を表示し操作する手段を備えていることは明白である。 もっとも、刊行物1発明では、上記「画像を表示し操作する手段」が、「画像表示操作装置(タッチパネルディスプレイ130と表示操作部140とで構成される操作ユニット)」であることは特定されていないから、この点で、本願発明と刊行物1発明とは相違する。 刊行物1発明の複合機は、画像処理装置としての複合機であり、上記画像処理の内容として、「複写機として原稿を読み取ってその画像データを自機にてプリント」(【0014】)していることからみて、読み取った画像からプリントする画像を形成していることは明らかであるから、画像形成装置ともいえることは明らかである。 以上まとめると、刊行物1発明は、「画像を表示し操作する手段を備える画像形成装置」である点で、本願発明と対応する。 もっとも、「画像を表示し操作する手段」が、本願発明では「画像表示操作装置」であるのに対し、刊行物1発明では、「画像表示操作装置」であることが特定されていない点で相違する。 5h.本願発明の構成要件(B)、(C)と刊行物1発明とを対比する。 刊行物1発明は、画像データの入力が(途中)停止されたことに対する構成を有していないから本願発明の構成要件(B)、(C)を有していない。 5i.まとめ(一致点・相違点) 以上まとめると、本願発明と刊行物1発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。 (一致点) 画像データを入力する入力手段と、 前記画像データに基づき形成された画像を出力する出力手段と、 前記入力手段から入力される画像データを蓄積する蓄積手段とを備えるとともに、 前記蓄積手段に蓄積された画像データに基づいて表示画像を生成する表示画像生成手段と、 前記表示画像生成手段により生成された表示画像を表示するプレビュー領域を備える表示手段と、 前記入力手段から入力される画像データの入力状況を、前記表示手段上で前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開することで案内する表示制御手段とを具備する 画像表示し操作する手段を備える画像形成装置。 (相違点) 相違点1 「画像を表示し操作する手段」が、本願発明では「画像表示操作装置」であるのに対し、刊行物1発明では、「画像表示操作装置」であることが特定されていない点。 相違点2 刊行物1発明は、 「前記表示制御手段は、前記画像データの入力状況を案内する前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開することを停止する機能と、画像データの入力が停止されたことを報知する機能」 および、 「画像データの入力中に画像データの入力が途中停止した場合に、前記画像データの入力状況を案内する前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開することを停止して、画像データの入力が停止されたことを報知するコメントを、停止した状態のプレビュー表示された表示画像の一部を隠すように重ねて表示する」 の構成を有していない点。 第6 判断 上記相違点について検討する。 6a.相違点1について 刊行物1発明では、「画像を表示し操作する手段」が「画像表示操作装置」であることは特定されていないが、「画像を表示し操作する手段」を有する複合機において、上記「画像を表示し操作する手段」が、「画像表示操作装置」であることは、慣用手段であり(例えば、拒絶理由通知書にて当審が記載した特開2010-20688号公報の図4等参照。)刊行物1発明おいて、当該構成を有するようにすることは、当業者であれば普通に想起しえたことである。 6b.相違点2について 刊行物1発明では、画像の読み取りが失敗する(ジャムが発生する)ことが想定されていないが、画像を読み取るときジャムが発生することは、当業者が普通に想定することである。 そして、刊行物2には、画像を読み取っている最中に画像の読み取り(搬送)の中断が発生したか判断し、上記中断原因がジャムである場合には、表示部31を制御して、自動原稿搬送装置42内でジャムした原稿を取り除くべき旨の表示をすることが開示されているから、当該技術事項を刊行物1発明に適用することは当業者が普通に想定しえたことである。 刊行物1発明に刊行物2に記載された上記技術事項を適用したとき、ジャムにより画像の読み取りが中断すれば、新たな画像データの入力がないのであるから、「前記画像データの入力状況を案内する前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開することを停止する」ことは明らかであり、「ジャムした原稿を取り除くべき旨の表示をすること」は、ジャムにより画像データの入力が中断されていることを表示しているともいえるから、「画像データの入力が停止されたことを報知」しているといえ、これらの機能を有することは普通に想起できたことであるといえる。 したがって、構成要件(B)は、刊行物1発明に刊行物2に記載された技術事項を適用したとき、当業者が普通に想起できたことである。 また、構成要件(C)の「画像データの入力中に画像データの入力が途中停止した場合に、前記画像データの入力状況を案内する前記画像データに基づく表示画像のプレビュー表示を展開することを停止して、画像データの入力が停止されたことを報知するコメントを表示すること」も、上記構成要件(B)での検討と同様に、刊行物1発明に刊行物2に記載された技術事項を適用したとき、当業者が普通に想起できたことであるといえる。 上記(画像データの入力が停止されたことを報知するコメントの)表示の態様として、本願発明では、「画像データの入力が停止されたことを報知するコメントを、停止した状態のプレビュー表示された表示画像の一部を隠すように重ねて表示する」ことを特定事項としているが、刊行物1発明と同じ複合機に関する発明が開示された刊行物3には、プレビュー画像の代わりとなるサンプル画像が表示されている際に、何らかのダイアログを表示しようとするとき、上記サンプル画像に重ねてダイアログを表示することが最も効果的であることが開示されており、上記刊行物1発明に刊行物2に記載された技術事項を適用したものにおいて、刊行物3に記載される表示の態様を採用することは、当業者が適宜なしえたことである。 請求人は、平成28年6月27日付け意見書において、 『引用文献3記載の発明は、コメントをプレビュー表示に重ねて表示していますが、サンプル画像上に「メッセージ表示エリア」を設けて、メッセージMを重ね描きしても良いエリアを明示したり、あるいは、バックが無地の部分を自動的に検出するなどの方法でメッセージ表示エリアを特定し、メッセージを表示し易くするようにしたりするものです(図8を参照)。 ・・・中略・・・ (3)本願発明と引用文献との比較 すなわち、引用文献1?4記載の発明は、本願発明のように、コメント(または、メッセージ)を「停止した状態のプレビュー表示された表示画像の一部を隠すように重ねて表示する」ことで、コメントが表示されたことをユーザに明確に主張するようにしたものではありません。』 と述べているが、刊行物1発明においてプレビュー画像に必ずしも余白があることは想定されず、このような刊行物1発明に対して、刊行物3に記載された、「メッセージMをサンプル画像500上に重ねて表示するようにしたのは、ユーザの注目が最も集中するのがサンプル画像500(プレビュー画像)だからである。例えば、画面上部などにメッセージを表示する専用のメッセージ表示エリアを設けることも可能ではあるが、確実にユーザに伝える必要があるメッセージは、このサンプル画像500(プレビュー画像)上に表示するのが最も効果的である。」(【0056】)の技術思想を転用したとき、当業者であれば、「画像データの入力が停止されたことを報知するコメントを、停止した状態のプレビュー表示された表示画像の一部を隠すように重ねて表示する」ことは普通に想起しえたことであり、また上記のように表示することは、例えば特開2008-42417号公報(図15、図17、図20)等にあるように普通のことであるから、当該表示の態様を採用することは当業者が容易になしえたことである。 したがって、上記各相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記各相違点に係る構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1ないし刊行物3に記載された発明および本願出願前周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、残る請求項2ないし請求項6に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-07-28 |
結審通知日 | 2016-08-02 |
審決日 | 2016-08-15 |
出願番号 | 特願2010-238889(P2010-238889) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松永 隆志 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
戸次 一夫 渡邊 聡 |
発明の名称 | 画像形成装置 |
代理人 | 藤本 英介 |
代理人 | 馬場 信幸 |
代理人 | 神田 正義 |
代理人 | 宮尾 明茂 |