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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C03C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C03C
管理番号 1319964
審判番号 不服2015-8193  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-01 
確定日 2016-09-28 
事件の表示 特願2010-519207「ダウンドロープロセスに適合したガラス組成物およびその製造方法と使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年2月5日国際公開、WO2009/017633、平成22年11月18日国内公表、特表2010-535146〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2008年7月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年7月31日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成25年 2月15日付け:拒絶理由の通知
同年 5月23日 :意見書、手続補正書の提出
平成26年 1月20日付け:拒絶理由の通知
同年 5月27日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月24日付け:拒絶査定
平成27年 5月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成27年5月1日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定

1.補正の却下の決定の結論
平成27年5月1日にされた手続補正を却下する。

2.理由
(1)補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおり補正された。(下線部は補正箇所である。)

【請求項1】
酸化物基準のモルパーセントで表して、67.0?70.0のSiO_(2)、8.5?10.5のB_(2)O_(3)、9.5?12.0のAl_(2)O_(3)、1.0?<3.7のMgO、5.5?11.2のCaO、≦2.2のSrO、≦2.2のBaO、≦0.7のMgO/CaOを有してなる無アルカリガラスであって、
(a) 1.0≦Σ(MgO+CaO+SrO+BaO)/(Al_(2)O_(3))≦1.25、ここで、Al_(2)O_(3)、MgO、CaO、SrO、およびBaOは、表示の酸化物成分のモルパーセントを表しており、
(b) 2.5MgO+5CaO+6SrO+7BaO≦59、
(c) 前記ガラスが、0から300℃の温度範囲に亘り、36×10^(-7)/℃以下の熱膨張係数を有し、
(d) 前記ガラスが、2.46g/cc以下の密度を有し、
(e) 前記ガラスが、90℃から200℃までの、液相線温度から軟化点を引いた温度を有し、
(f) 前記ガラスが、酸化物基準で、多くとも0.005モルパーセントのAs_(2)O_(3)しか有さず、および多くとも0.005モルパーセントのSb_(2)O_(3)しか有さず、さらに
(g) 前記ガラスが、酸化物基準で、少なくとも0.01モルパーセントのSnO_(2)を有することを特徴とするガラス。

これに対し、本件補正前の、平成26年5月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。

【請求項1】
酸化物基準のモルパーセントで表して、67.0?70.0のSiO_(2)、8.0?11.0のB_(2)O_(3)、9.5?12.0のAl_(2)O_(3)、0<?<3.7のMgO、5.5?11.2のCaO、≦2.2のSrO、≦2.2のBaO、≦0.7のMgO/CaOを有してなる無アルカリガラスであって、
(a) 1.0≦Σ(MgO+CaO+SrO+BaO)/(Al_(2)O_(3))≦1.25、ここで、Al_(2)O_(3)、MgO、CaO、SrO、およびBaOは、表示の酸化物成分のモルパーセントを表しており、
(b) 2.5MgO+5CaO+6SrO+7BaO≦59、
(c) 前記ガラスが、0から300℃の温度範囲に亘り、36×10^(-7)/℃以下の熱膨張係数を有し、
(d) 前記ガラスが、2.46g/cc以下の密度を有し、
(e) 前記ガラスが、200℃までの、液相線温度から軟化点を引いた温度を有し、さらに
(f) 前記ガラスが、酸化物基準で、多くとも0.05モルパーセントのAs_(2)O_(3)しか有さず、および多くとも0.05モルパーセントのSb_(2)O_(3)しか有さないことを特徴とするガラス。
・・・
【請求項8】
酸化物基準で、少なくとも0.01モルパーセントのSnO_(2)を有することを特徴とする請求項1記載のガラス。

(2)補正の目的
上記補正は、補正前の請求項1を引用する、同請求項8に記載した発明を特定するために必要な事項である、「無アルカリガラス」の、「酸化物基準のモルパーセントで表し」た組成の、「B_(2)O_(3)」、「MgO」、「As_(2)O_(3)」及び「Sb_(2)O_(3)」の含有量の数値範囲を減縮し、また、「液相線温度から軟化点を引いた温度」の数値範囲を減縮したものである。

そして、補正前の請求項8に記載された発明と、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)との産業上の利用分野、及び解決しようとする課題は同一であると認められるから、上記補正は、特許法第17条の2第5項2号に掲げる、いわゆる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当する。

したがって、本件補正発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、すなわち、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。

(3)独立特許要件
ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記(1)に記載されたとおりのものである。

イ 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日(2007年7月31日)前に頒布された刊行物である、米国特許出願公開第2006/0293162号明細書(以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。

a 「[0075] ...Σ[RO] equals the sum of the mole percents of MgO, CaO, SrO, and BaO,...」

当審訳:「【0075】 ・・・Σ[RO]は、MgO,CaO,SrOおよびBaOのモルパーセントの合計と等しい・・・」

b 「[0103] In particular, Table 1 lists examples of the glasses of the invention and comparative glasses in terms of mole percents which are either calculated on an oxide basis from the glass batches in the case of the crucible melts or determined from measurements on the finished glass for the compositions prepared using the continuous melter (see below). Table 1 also lists various physical properties for these glasses, the units for these properties being as follows:
-----------------------------------------------
Density grams/centimeter^(3)
CTE ×10^(-7)/°C. (0-300°C.)
Strain Point °C.
Young's Modulus ×10^(+6) psi
Melting Temp. °C.
Liquidus Temp. °C.
Liquidus Viscosity poises
-----------------------------------------------


当審訳:「【0103】 特に、表1は、るつぼ溶融物の場合においては、ガラスバッチから酸化物基準で計算された、連続溶融装置(下記参照)を用いて調製された組成物においては、完成したガラスの測定から決定された、モルパーセントで表した本発明のガラスと比較ガラスの具体例を列記している。表1はまた、これらのガラスに関する様々な物理的性質を列記しており、これらの性質に関する単位は以下のとおりである:
-----------------------------------------------
密度 グラム/立方センチメートル
CTE ×10^(-7)/℃(0?300℃)
歪点 ℃
ヤング率 ×10^(+6)psi
溶融温度 ℃
液相線温度 ℃
液相線粘度 ポアズ
-----------------------------------------------


c 「[0108] The glass properties set forth in Table 1 were determined in accordance with techniques conventional in the glass art. ...The melting temperature in terms of °C. (defined as the temperature at which the glass melt demonstrates a viscosity of 200 poises) was calculated employing a Fulcher equation fit to high temperature viscosity data measured via rotating cylinders viscometry (ASTM C965-81). ...The liquidus viscosity in poises was determined from the liquidus temperature and the coefficients of the Fulcher equation. ...」

当審訳:「【0108】 表1に挙げられたガラスの性質は、ガラス技術分野において慣習的な技法にしたがって決定した。・・・℃で表した溶融温度(ガラス溶融物が200ポアズの粘度を示す温度として定義される)は、回転シリンダ粘度測定法(ASTM C965-81)により測定した高温粘度データにフィッティングしたFulcherの式を用いて計算した。・・・ポアズで表した液相線粘度は、液相線温度およびFulcherの式の係数から決定した。・・・」

d 「



引用発明の認定
上記摘示箇所b、dより、引用例には、「Composition 4」として、「酸化物基準のモルパーセントで、SiO_(2)が68.95%、Al_(2)O_(3)が10.49%、B_(2)O_(3)が9.90%、MgOが2.00%、CaOが8.09%、SrOが0.50%、SnO_(2)が0.07%で、Σ[RO]/[Al_(2)O_(3)]が1.01、密度が2.381g/cm^(3)、0?300℃の熱膨張係数(CTE)が30.5×10^(-7)/℃、歪点が688℃、溶融温度が1645℃、液相線温度が1140℃、液相線粘度が370000ポアズであるガラス」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

エ 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明は、本件補正発明の、「酸化物基準のモルパーセントで表して、67.0?70.0のSiO_(2)、8.5?10.5のB_(2)O_(3)、9.5?12.0のAl_(2)O_(3)、1.0?<3.7のMgO、5.5?11.2のCaO、≦2.2のSrO」「を有してなる」「ガラス」、及び「(g) 前記ガラスが、酸化物基準で、少なくとも0.01モルパーセントのSnO_(2)を有する」「ガラス」に相当する。

(イ)引用発明で特定された、「SiO_(2)」、「Al_(2)O_(3)」、「B_(2)O_(3)」、「MgO」、「CaO」、「SrO」及び「SnO_(2)」の合計は100.00モル%であるから、引用発明が、表1に記載のない「BaO」やアルカリ金属を有意に含まないことは明らかである。
したがって、引用発明は、本件補正発明の、「≦2.2のBaO」「を有してなる」「ガラス」、及び「無アルカリガラス」に相当する。

(ウ)引用発明の「MgO/CaO」を計算すると、2.00/8.09≒0.247であるから、本件補正発明の、「≦0.7のMgO/CaOを有してなる」ことに相当する。

(エ)引用発明は、「Σ[RO]/[Al_(2)O_(3)]が1.01」であり、上記摘示箇所aより、上記「Σ[RO]」は、「Σ(MgO+CaO+SrO+BaO)」であるから、本件補正発明の、「(a) 1.0≦Σ(MgO+CaO+SrO+BaO)/(Al_(2)O_(3))≦1.25、ここで、Al_(2)O_(3)、MgO、CaO、SrO、およびBaOは、表示の酸化物成分のモルパーセントを表しており、」に相当する。

(オ)引用発明の「2.5MgO+5CaO+6SrO+7BaO」を計算すると、2.5×2.00+5×8.09+6×0.50+7×0=48.45であるから、本件補正発明の、「(b) 2.5MgO+5CaO+6SrO+7BaO≦59」に相当する。

(カ)引用発明は、「0?300℃の熱膨張係数(CTE)が30.5×10^(-7)/℃」であるから、本件補正発明の、「(c) 前記ガラスが、0から300℃の温度範囲に亘り、36×10^(-7)/℃以下の熱膨張係数を有し、」に相当する。

(キ)引用発明は、「密度が2.381g/cm^(3)」であり、「g/cm^(3)」が「g/cc」と等価であることは技術常識であるから、本件補正発明の、「(d) 前記ガラスが、2.46g/cc以下の密度を有し、」に相当する。

(ク)上記(イ)のとおり、引用発明は、表1に記載のない成分を有意に含まないことが明らかであるから、本件補正発明の、「(f) 前記ガラスが、酸化物基準で、多くとも0.005モルパーセントのAs_(2)O_(3)しか有さず、および多くとも0.005モルパーセントのSb_(2)O_(3)しか有さず、」に相当する。

以上のことから、本件補正発明と引用発明とは、下記の点で一致し、下記の点で一応相違する。

・一致点
「酸化物基準のモルパーセントで表して、67.0?70.0のSiO_(2)、8.5?10.5のB_(2)O_(3)、9.5?12.0のAl_(2)O_(3)、1.0?<3.7のMgO、5.5?11.2のCaO、≦2.2のSrO、≦2.2のBaO、≦0.7のMgO/CaOを有してなる無アルカリガラスであって、
(a) 1.0≦Σ(MgO+CaO+SrO+BaO)/(Al_(2)O_(3))≦1.25、ここで、Al_(2)O_(3)、MgO、CaO、SrO、およびBaOは、表示の酸化物成分のモルパーセントを表しており、
(b) 2.5MgO+5CaO+6SrO+7BaO≦59、
(c) 前記ガラスが、0から300℃の温度範囲に亘り、36×10^(-7)/℃以下の熱膨張係数を有し、
(d) 前記ガラスが、2.46g/cc以下の密度を有し、
(f) 前記ガラスが、酸化物基準で、多くとも0.005モルパーセントのAs_(2)O_(3)しか有さず、および多くとも0.005モルパーセントのSb_(2)O_(3)しか有さず、さらに
(g) 前記ガラスが、酸化物基準で、少なくとも0.01モルパーセントのSnO_(2)を有することを特徴とするガラス。」

・相違点
本件補正発明は、「(e) 前記ガラスが、90℃から200℃までの、液相線温度から軟化点を引いた温度を有」するのに対し、引用発明は、ガラスの液相線温度が「1140℃」であることは明らかであるものの、軟化点が不明であり、「液相線温度から軟化点を引いた温度」が不明である点。

オ 判断
以下、上記相違点について検討する。

本願明細書【0046】には、「・・・報告の際に、℃で表される溶融温度(ガラス溶融物が200ポアズの粘度を示す温度として定義される)は、円筒形回転粘度計により測定した高温粘度データにフィッティングしたファルチャー(Fulcher)の式を用いて計算した。・・・ポアズで表される液相線粘度は、液相線温度およびファルチャーの式の係数から決定した。」旨記載され、引用例の摘示箇所cにも、溶融温度や液相線粘度の決定において、Fulcherの式を用いた旨記載されているところ、下記参考文献Aにも記載のとおり、Fulcherの式は、ガラスの粘度-温度関係を表す式として当業者に周知である。

Fulcherの式
log η=A+B/(T-T_(0))
(η:粘度 A,B,T_(0):定数 T:絶対温度)

参考文献A:「ガラス工学ハンドブック」、初版、株式会社朝倉書店、1999年7月5日、第355?356頁

また、上記参考文献Aには、「たとえガラス組成が未知であっても粘性測定の実験結果として適当な3点があれば,式(4.2)(当審注:Fulcherの式)の連立方程式を解くことによって3つの定数を求めることができて,そのガラス全域の粘性計算ができることである.これらの計算には多少の時間がかかるが,計算結果はlog η=2?log η=15の広い範囲にわたって測定値とよく一致することが,NBS710標準ガラスによる検定やLillieの実験結果との比較により証明されており,推定精度は±0.5%といわれている.」旨記載されている。
そこで、当審において、引用例の摘示箇所d(表1)から温度が既知であり、同摘示箇所c、d及び参考文献Aから粘度も既知である「溶融温度」(1645℃(1918K)、粘度は摘示箇所cより200ポアズ)、「液相線温度」(1140℃(1413K)、粘度は摘示箇所dより370000ポアズ)、及び「歪点」(688℃(961K)、粘度は参考文献Aよりlog η=14.6)の3点を用い、請求人が平成26年5月27日に提出した意見書の添付資料と同様に、Fulcherの式へのフィッティングを行い、得られた定数A、B、T_(0)と、軟化点の粘度(参考文献Aよりlog η=7.65)から引用発明におけるの軟化点の温度を計算したものが下記の表である。

(当審において作成)

上記のとおり、Fulcherの式から、引用発明のガラスの軟化点は「約1244K」と計算される。
そして、引用発明のガラスの液相線温度は「1413K」であることから、「液相線温度から軟化点を引いた温度」は「約169K」、すなわち「約169℃」であり、本件補正発明の「90℃から200℃まで」に相当する。

したがって、上記相違点は、実質的な相違点ではなく、本件補正発明は引用例に記載された発明といえる。
よって、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、引用例の表1には、「Composition 4」のほか多くのガラス組成が開示されているが、それらのうち、液相線粘度が最も高い530000ポアズである「Composition 13」をはじめ、表1に開示された、液相線粘度が高い他のガラス組成を引用発明とした場合も、同様の結論に至る。

(4)まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、その余について検討するまでもなく、本件補正は、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 原査定の理由について

1.原査定の理由
本件補正前の請求項8に係る発明に対する原査定の理由は、上記引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないというものである。

2.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?12に係る発明は、平成26年5月27日にされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項8に係る発明(以下、「本願発明8」という。)は、以下のとおりである。

【請求項1】
酸化物基準のモルパーセントで表して、67.0?70.0のSiO_(2)、8.0?11.0のB_(2)O_(3)、9.5?12.0のAl_(2)O_(3)、0<?<3.7のMgO、5.5?11.2のCaO、≦2.2のSrO、≦2.2のBaO、≦0.7のMgO/CaOを有してなる無アルカリガラスであって、
(a) 1.0≦Σ(MgO+CaO+SrO+BaO)/(Al_(2)O_(3))≦1.25、ここで、Al_(2)O_(3)、MgO、CaO、SrO、およびBaOは、表示の酸化物成分のモルパーセントを表しており、
(b) 2.5MgO+5CaO+6SrO+7BaO≦59、
(c) 前記ガラスが、0から300℃の温度範囲に亘り、36×10^(-7)/℃以下の熱膨張係数を有し、
(d) 前記ガラスが、2.46g/cc以下の密度を有し、
(e) 前記ガラスが、200℃までの、液相線温度から軟化点を引いた温度を有し、さらに
(f) 前記ガラスが、酸化物基準で、多くとも0.05モルパーセントのAs_(2)O_(3)しか有さず、および多くとも0.05モルパーセントのSb_(2)O_(3)しか有さないことを特徴とするガラス。
・・・
【請求項8】
酸化物基準で、少なくとも0.01モルパーセントのSnO_(2)を有することを特徴とする請求項1記載のガラス。

3.引用例の記載事項、引用発明の認定
引用例の記載事項は、前記「第2 2.(3)イ」に記載したとおりであり、該引用例に記載された発明、すなわち引用発明は、同「第2 2.(3)ウ」に記載したとおりである。

4.対比、判断
本件補正発明は、前記「第2 2.(2)」で検討したとおり、本願発明8を特定するために必要な事項を減縮したものであるから、本願発明8は、本件補正発明を包含するものである。
そして、前記「第2 2.(3)エ、オ」に記載したとおり、本願発明8の特定事項を全て含み、その数値範囲を減縮したものである本件補正発明は、引用例に記載された発明であるから、同様の理由により、本願発明8も、引用例に記載された発明である。

5.むすび
以上のとおり、本願発明8は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-04-28 
結審通知日 2016-05-06 
審決日 2016-05-17 
出願番号 特願2010-519207(P2010-519207)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (C03C)
P 1 8・ 113- Z (C03C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉川 潤  
特許庁審判長 大橋 賢一
特許庁審判官 永田 史泰
後藤 政博
発明の名称 ダウンドロープロセスに適合したガラス組成物およびその製造方法と使用方法  
代理人 佐久間 剛  
代理人 柳田 征史  

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