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審決分類 |
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 H04W 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W |
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管理番号 | 1320031 |
審判番号 | 不服2016-4434 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-03-24 |
確定日 | 2016-10-25 |
事件の表示 | 特願2014- 4372「高速ダウンリンクパケットアクセスを介してパケットを送信し、受信する方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月10日出願公開、特開2014- 64332、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成19年(2007年)12月12日(パリ条約による優先権主張 2006年12月12日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2009-541351号の一部を平成26年1月14日に新たに特許出願したものであって、平成26年10月2日付けで最初の拒絶理由が通知され、平成27年4月7日付けで手続補正がされ、平成27年6月22日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成27年11月16日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年3月24日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2.原査定の理由 原査定の理由である平成27年6月22日付けで通知された最後の拒絶理由は、平成27年4月7日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないというもので、その具体的な指摘は下記のとおりである。 「・請求項1、6 ・備考 a.前記タイマは、前記MAC-hs SDUの第2のセグメントを受信するとリセットするように構成され、前記MAC-hs SDUの前記セグメントをリアセンブリのために格納することと、前記MAC-hs SDUの前記第2のセグメントが受信される前に前記満了タイマが満了するという条件で、前記MAC-hs SDUの前記格納されたセグメントを破棄することは、明細書に記載がなく、新規事項である。出願人は、[0052]- [0054]に記載されていると主張するが、上記の記載はなく、上記箇所を読んでも請求項の範囲が記載されているとは読み取れない。 ・請求項2-5、7-12 b.請求項1または請求項6を引用しており、拒絶理由a.が存在する。」 第3.当審の判断 1.特許請求の範囲の記載 平成27年4月7日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の記載は以下のとおりである。(下線は手続補正書のとおり。) 「 【請求項1】 高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)を介してパケットを受信する方法であって、 前記方法は、 複数のHSDPAメディアアクセス制御(MAC-hs)プロトコルデータユニット(PDU)を受信することであって、各MAC-hs PDU は、少なくとも1つのMAC-hsサービスデータユニット(SDU)のセグメントを含む、ことと、 MAC-hs SDUのセグメントを受信するとタイマをセットすることであって、前記タイマは、前記MAC-hs SDUの第2のセグメントを受信するとリセットするように構成される、ことと、 前記MAC-hs SDUの前記セグメントをリアセンブリのために格納することと、 前記MAC-hs SDUの前記第2のセグメントが受信される前に前記タイマが満了するという条件で、前記MAC-hs SDUの前記格納されたセグメントを廃棄することと を備える方法。」 2.願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲の記載 (1)「【0053】 WTRUは、送信が特定のセグメントについて失敗したことを自律的に判定する。あるセグメントについてH-ARQプロセスが失敗したと判定されたならば、WTRUは、リアセンブリを待っているバッファ内の同一のMAC-hs SDUの全セグメントを削除する。 【0054】 次の機構を、セグメントが失われたことを判定するために個別にまたは任意の組合せで使用することができる。WTRUは、タイマベースの機構を使用することができる。WTRUは、タイマをセットし、同一のMAC-hs SDUの全セグメントが受信される前にタイマが満了する場合に、WTRUは、リアセンブリを待っているそのMAC-hs SDUの全セグメントをフラッシュ(掃き出し)する。タイマを、WTRUがそのMAC-hs SDUの一部であるセグメントを受信するたびに、リセットすることができる。その代わりに、タイマを、MAC-hs SDUの最初のセグメントの受信時に1回だけリセットすることができる。タイマの持続時間は、上位レイヤ(たとえば、無線リソース制御(RRC)シグナリング)によって構成可能とすることができる。」 (2)「【請求項1】 高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)を介してパケットを受信する方法であって、 前記方法は、 複数のHSDPAメディアアクセス制御(MAC-hs)プロトコルデータユニット(PDU)を受信するステップであって、各MAC-hs PDUは、MAC-hsサービスデータユニット(SDU)の少なくとも1つのセグメントを含む、ステップと、 MAC-hs SDUのセグメントをリアセンブリのために格納するス テップと、 タイマをセットするステップであって、前記タイマは、前記MAC-hs SDUの一部であるセグメントを受信したときにセットされる、ステップと、 前記MAC-hs SDUの少なくとも一つの他のセグメントが受信される前に前記タイマが満了するという条件で、前記MAC-hs SDUの前記格納されたセグメントを廃棄するステップと を備えることを特徴とする方法。」 3.当審の判断 段落【0054】には「タイマを、WTRUがそのMAC-hs SDUの一部であるセグメントを受信するたびに、リセットすることができる。」と記載されており、請求項1でいう「MAC-hs SDUの第2のセグメント」は「MAC-hs SDUの一部であるセグメント」であるから、請求項1の「前記タイマは、前記MAC-hs SDUの第2のセグメントを受信するとリセットするように構成され」とすることは、当初明細書等に記載された事項である。 段落【0054】には「タイマを、WTRUがそのMAC-hs SDUの一部であるセグメントを受信するたびに、リセットすることができる。」と記載されているが、WTRUがそのMAC-hs SDUの一部であるセグメントを受信する前に、そのタイマが満了する場合についての直接の記載はない。 しかし、「タイマを、WTRUがそのMAC-hs SDUの一部であるセグメントを受信するたびに、リセットすることができる。」とするときにおいても、受信の失敗である、WTRUがそのMAC-hs SDUの一部であるセグメントを受信する前に、そのタイマが満了する場合があることは明らかであり、その場合に、「あるセグメントについてH-ARQプロセスが失敗したと判定されたならば、WTRUは、リアセンブリを待っている バッファ内の同一のMAC-hs SDUの全セグメントを削除する。」 (段落【0053】)や「WTRUは、タイマをセットし、同一のMAC-hs SDUの全セグメントが受信される前にタイマが満了する場合に、WTRUは、リアセンブリを待っているそのMAC-hs SDUの全セグメントをフラッシュ(掃き出し)する。」(段落【0054】)と同様の処理を行うことも、当業者に自明のことであり、直接の記載がないのは、煩雑な記載を避ける等のために、省略されたものと考えられる。 したがって、「前記MAC-hs SDUの前記セグメントをリアセンブリのために格納すること」及び「前記MAC-hs SDUの前記第2のセグメントが受信される前に前記満了タイマが満了するという条件で、前記MAC-hs SDUの前記格納されたセグメントを破棄すること」も、当初明細書等の記載を総合すれば、その範囲内の事項である。 また、上記(2)のように願書に最初に添付した特許請求の範囲には、 「前記MAC-hs SDUの少なくとも一つの他のセグメントが受信される前に前記タイマが満了するという条件で、前記MAC-hs SDUの前記格納されたセグメントを廃棄するステップ」と記載されており、「前記MAC-hs SDUの前記第2のセグメントが受信される前に前記満了タイマが満了するという条件で、前記MAC-hs SDUの前記格納されたセグメントを破棄すること」は、上記(2)の「少なくとも一つの他のセグメント」を一つの他のセグメントである「第2のセグメント」に限定したものとみることもできる。 以上のように、平成27年6月22日付けで通知された拒絶理由で新規事項であると指摘された点は、いずれも当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 また、請求項6についても同様であり、平成27年4月7日付けの手続補正の他の補正についても、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、平成27年4月7日付けの手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。 第4.平成26年10月2日付けで通知された拒絶理由について 1.平成26年10月2日付けで通知された拒絶理由 上記のとおり、本願は原査定の理由である平成27年6月22日付けで通知された拒絶理由によって拒絶することはできないが、平成26年10月2日付けの拒絶理由についても検討する。 平成26年10月2日付けで通知された拒絶理由は、本願の請求項1-12に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1-3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 2.刊行物 (1)刊行物1 刊行物1として引用されたQualcomm,Need for MAC-hs segmentation mechanism,3GPP TSG-RAN WG2 meeting #28,R2-020769(2002年4月12日)には、HSDPAにおいて、MAC-hsレベルでのセグメンテーションを行い、受信側では、セグメントの組み立てを行い、伝送に失敗して、いくつかのセグメントが受信されない場合には、全体のPDUを廃棄することが記載されている。(1.Introduction、4.2 Proposed Algorithm の Receiver) (2)刊行物2 刊行物2として引用された国際公開第93/19544号には、セグメントに対応するフラグメントについて、新しいデータ・パケットのフラグメントが初めて受信されると、フラグメントのフラグメント番号に関わらず、パケット開始割込が生成される。次に、新たに受信されたデータ・パケットに関わるすべてのフラグメントを受信しなければならない時間内に再組立タイマを設定するが、そうでない場合は再組立は中止されることが記載されている。(明細書第16頁第16-19行) (3)刊行物3 刊行物3として引用された国際公開第2006/064047号には、セグメントに対応するフラグメントについて、IPフラグメント・リアセンブリは、リアセンブリ・タイマを使って、もし識別されたパケットの全フラグメントがリアセンブリ・タイマ期間内に受信されなければ、フラグメントを捨てることが記載されている。(明細書第4頁第29-33行) 3.判断 本願の請求項1に係る発明は、平成27年4月7日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであり、その記載は上記「第3.当審の判断 1.特許請求の範囲の記載」のとおりである。 本願の請求項1に係る発明は、「前記タイマは、前記MAC-hs SDUの第2のセグメントを受信するとリセットするように構成される、こと」及び「前記MAC-hs SDUの前記第2のセグメントが受信される前に前記満了タイマが満了するという条件で、前記MAC-hs SDUの前記格納されたセグメントを破棄すること」を発明を特定する事項とするが、上記刊行物1-3には、それらの事項は記載も示唆もされておらず、また、当業者が容易にできることともいえない。 したがって、本願の請求項1に係る発明は、上記刊行物1-3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 本願の請求項6、及び請求項1又は6を引用する請求項に係る発明についても同様である。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-10-11 |
出願番号 | 特願2014-4372(P2014-4372) |
審決分類 |
P
1
8・
55-
WY
(H04W)
P 1 8・ 121- WY (H04W) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石原 由晴、望月 章俊 |
特許庁審判長 |
近藤 聡 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 佐藤 智康 |
発明の名称 | 高速ダウンリンクパケットアクセスを介してパケットを送信し、受信する方法および装置 |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |