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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1320578
審判番号 不服2015-14383  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-30 
確定日 2016-10-11 
事件の表示 特願2012-552804「三つの表示部を有する端末のデータ運用方法及びそれを支援する端末」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月18日国際公開、WO2011/099784、平成25年 5月30日国内公表、特表2013-519913〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年2月10日(パリ条約に基づく優先権主張 2010年2月12日(以下、「優先日」という。) 韓国)を国際出願日とする出願であって、平成24年8月13日付けで、国際出願日における国際特許出願の明細書、請求の範囲、図面の翻訳文が提出され、平成26年7月18日付けで拒絶理由が通知され、平成26年10月29日付けで手続補正がなされたが、平成27年3月24日付けで拒絶査定がなされ(送達日:平成27年3月30日)、これに対して平成27年7月30日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成27年7月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[手続補正の決定の結論]
平成27年7月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
折り畳み可能な端末であって、前記折り畳み可能な端末は、折り畳み面に配置された第1表示部と第2表示部並びに外側面に配置された第3表示部を含む、三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に供給される電源を制御する表示部電源制御モードと、アプリケーションの活性化によって生成されたデータを前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するように指示するデータ出力方向制御モードを設定するステップと、
現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータを、前記設定に基づき、前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するステップと、
を含む端末のデータ運用方法であって、
前記三つの表示部は、
互いに隣接するように配置される前記第1表示部及び前記第2表示部と、前記第1表示部及び前記第2表示部と異なる側面上に配置される前記第3表示部とからなり、
前記表示部電源制御モードを設定するステップは、
前記三つの表示部に電源を供給するように制御する全体表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部の電源供給を遮断し、前記第2表示部及び前記第3表示部に電源を供給するように制御する第1部分表示モードを設定するステップと、
前記第2表示部の電源供給を遮断し、前記第1表示部及び前記第3表示部に電源を供給するように制御する第2部分表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部及び前記第2表示部の電源供給を遮断し、前記第3表示部に電源を供給するように制御する第3部分表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部及び前記第2表示部にのみ電源を供給するように制御する標準電源表示モードを設定するステップとのうち、少なくとも一つのステップを含み、
前記データ出力方向制御モードを設定するステップは、
前記第1表示部及び前記第2表示部にのみデータを出力するように制御する標準出力表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部に出力されるデータと同一のデータを前記第3表示部に出力する第1両方向表示モードを設定するステップと、
前記第2表示部に出力されるデータと同一のデータを前記第3表示部に出力する第2両方向表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部及び前記第2表示部に出力されるデータを前記第3表示部に出力する第3両方向表示モードを設定するステップと
のうち、少なくとも一つのステップを含み、
前記現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータ出力するステップは、前記第1表示部と前記第2表示部との一つにユーザからの入力を受信するユーザインターフェースを含むウィンドウを出力することと、少なくとも前記第3表示部に前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力することとを含む、
ことを特徴とする三つの表示部を有する端末のデータ運用方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成26年10月29日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
端末の三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に供給される電源を制御する表示部電源制御モードと、アプリケーションの活性化によって生成されたデータを前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するように指示するデータ出力方向制御モードを設定するステップと、
現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータを、前記設定に基づき、前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するステップと、
を含む端末のデータ運用方法であって、
前記三つの表示部は、
互いに隣接するように配置される第1表示部及び第2表示部と、前記第1表示部及び前記第2表示部と異なる側面上に配置される第3表示部とからなり、
前記表示部電源制御モードを設定するステップは、
前記三つの表示部に電源を供給するように制御する全体表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部の電源供給を遮断し、前記第2表示部及び前記第3表示部に電源を供給するように制御する第1部分表示モードを設定するステップと、
前記第2表示部の電源供給を遮断し、前記第1表示部及び前記第3表示部に電源を供給するように制御する第2部分表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部及び前記第2表示部の電源供給を遮断し、前記第3表示部に電源を供給するように制御する第3部分表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部及び前記第2表示部にのみ電源を供給するように制御する標準電源表示モードを設定するステップとのうち、少なくとも一つのステップを含み、
前記データ出力方向制御モードを設定するステップは、
前記第1表示部及び前記第2表示部にのみデータを出力するように制御する標準出力表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部に出力されるデータと同一のデータを前記第3表示部に出力する第1両方向表示モードを設定するステップと、
前記第2表示部に出力されるデータと同一のデータを前記第3表示部に出力する第2両方向表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部及び前記第2表示部に出力されるデータを前記第3表示部に出力する第3両方向表示モードを設定するステップと
のうち、少なくとも一つのステップを含む、
ことを特徴とする三つの表示部を有する端末のデータ運用方法。」

(3)上記補正は、
ア 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「端末」について、「折り畳み可能な端末であって、前記折り畳み可能な端末は、折り畳み面に配置された第1表示部と第2表示部並びに外側面に配置された第3表示部を含む」との限定を付し、
イ 上記アの限定に伴い、本件補正前の請求項1における「互いに隣接するように配置される第1表示部及び第2表示部と、前記第1表示部及び前記第2表示部と異なる側面上に配置される第3表示部とからなり」との記載について、「第1表示部及び第2表示部」、「第3表示部」とあったところを、それぞれ「前記第1表示部及び前記第2表示部」、「前記第3表示部」と補正し、
ウ 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータを、前記設定に基づき、前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するステップ」について、「前記現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータ出力するステップは、前記第1表示部と前記第2表示部との一つにユーザからの入力を受信するユーザインターフェースを含むウィンドウを出力することと、少なくとも前記第3表示部に前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力することとを含む」との限定を付すものである。

2 補正の適否
2-1新規事項の追加の有無について
そこで、本件補正が、特許法第184条の12第2項により読み替える同法第17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か、即ち、本件補正が、平成24年8月13日付けで提出された明細書、請求の範囲、及び図面(図面の中の説明に限る。)の日本語による翻訳文、及び、国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でなされたものであるかについて、以下に検討する。

平成24年8月13日付けで提出された明細書の翻訳文(以下、「当初明細書」という。)には、段落【0039】?【0045】に、次のとおり記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0039】
図4A及び図4Bは、本発明の第1実施形態によるデータの運用によるユーザインターフェースを示す図である。
【0040】
図4A及び図4Bに示されるように、ユーザは、端末100の電源を供給し、起動が完了すれば、特定のアプリケーション、例えば、メモ作成プログラムを活性化させることができる。このとき、前記ユーザは、端末100の複合表示運用モードを全体表示モード及び第1両方向表示モードに設定することができる。すなわち、ユーザは、端末100を運用するときに、第1表示部210ないし第3表示部230に電源が供給されるように制御するモードを選択するとともに、データを出力するときに、第1表示部210及び第3表示部230に同一のデータが出力されるように制御するモードを選択することができる。
【0041】
それにより、前記端末100は、メモ作成プログラムが選択され、活性化のための入力信号が発生すれば、図4Aに示されるように、メモ作成窓を第1表示部210に出力するように制御し、メモを作成するための入力機能のためのユーザインターフェース、例えば、Qwertyキーマップを第2表示部220に出力するように制御することができる。この過程で、前記端末100は、第1表示部210に設けられたタッチパネルの電源供給を遮断するか、または第1表示部210に設けられたタッチパネルから発生するタッチイベントを無視するように制御することができる。そして、前記端末100は、第2表示部220にQwertyキーマップを運用するためのタッチパネルをセットすることができる。
【0042】
一方、前記端末100は、複合表示運用モード値を確認して、図4Bに示されるように、第1表示部210に出力されるメモ作成窓を第3表示部230に出力するように制御することができる。そのために、前記端末100は、表示手段140に割り当てられたメモリ領域を第1表示部210ないし第3表示部230に対応するように分割し、それぞれの分割されたメモリ領域にそれぞれの表示部に出力されるデータを配列するように制御することができる。ここで、前記複合表示運用モード値に設定された第1両方向表示モードによって第1表示部210及び第3表示部230に同一のデータを出力する。それにより、前記端末100は、前記表示手段140のための割り当てられたメモリ領域を、第2表示部220のためのメモリ領域と前記第1表示部210及び第3表示部230のための共通メモリ領域とに区分することができる。
【0043】
図4A及び図4Bに示されるように、ユーザが、第2表示部220に出力されたQwertyキーマップを利用して“The current agenda is”を入力する場合、第1表示部210及び第3表示部230に当該テキストが同時に出力される。前記端末100は、ユーザが第2表示部220を介して特定の文字を入力すれば、当該文字を前記共通メモリ領域に書き込み、共通メモリ領域に書き込まれた文字を前記第1表示部210及び第3表示部230にそれぞれ出力するように制御することができる。
【0044】
一方、前述のように、前記端末100は、第1表示部210及び第3表示部230のための共通メモリ領域の設定及びデータの出力を説明したが、第1表示部210と第3表示部230のサイズが異なる場合、それぞれ表示手段140に割り当てられたメモリ領域上で当該表示部のための区分されたメモリ領域を定義することができる。また、前記端末は、第1表示部210だけのためのメモリ領域を割り当て、第1表示部210に書き込まれたデータを第3表示部230に出力するときに、第3表示部230の特性に関する情報を参照して、当該データのサイズを変更した後、第3表示部230に出力するように制御することもできる。前記表示部の特性は、前記端末100の起動中に初期化を行いつつ、当該表示部に関する情報を収集することができる。
【0045】
前述のように、本発明の実施形態による三つの表示部を有する端末のデータ運用方法及び装置は、設定された複合表示運用モードによって特定のアプリケーションの活性化によるデータを多様な方式で出力することができるように支援する。それにより、ユーザは、第2表示部220の運用によるデータを第1表示部210を介して確認しつつ第3表示部230に出力して、他人に当該データを迅速かつ容易に確認させることができる。」

これに対し、本件補正後の請求項1には「前記第1表示部と前記第2表示部との一つにユーザからの入力を受信するユーザインターフェースを含むウィンドウを出力することと、少なくとも前記第3表示部に前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力することとを含む」ことが記載されているが、該記載は、「第2表示部にユーザからの入力を受信するユーザインターフェースを含むウィンドウを出力することと、第3表示部に前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力すること」(「前記」の記載は省いた。)を発明特定事項として含むものである。

しかし、当初明細書の上記段落【0039】?【0045】の記載によれば、
(1)ユーザが、端末100の複合表示運用モードを全体表示モード及び第1両方向表示モードに設定する。すなわち、ユーザは、端末100を運用するときに、第1表示部210ないし第3表示部230に電源が供給されるように制御するモードを選択するとともに、データを出力するときに、第1表示部210及び第3表示部230に同一のデータが出力されるように制御するモードを選択する。
(2)メモを作成するための入力機能のためのユーザインターフェース、例えば、Qwertyキーマップを第2表示部220に出力するように制御する。
(3)ユーザが、第2表示部220に出力されたQwertyキーマップを利用して“The current agenda is”を入力する場合、第1表示部210及び第3表示部230に当該テキストが同時に出力される。それにより、ユーザは、第2表示部220の運用によるデータを第1表示部210を介して確認しつつ第3表示部230に出力して、他人に当該データを迅速かつ容易に確認させることができる。
こと、つまり、「第2表示部にユーザからの入力を受信するユーザインターフェース」を「出力することと、第1表示部及び前記第3表示部に前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力」を「出力すること」が読み取れるにすぎず、本件補正に係る次の技術的事項ア、イは何ら記載されていない。
ア 第1表示部と第2表示部との一つ、及び第3表示部に「ウィンドウを出力」すること。
イ 第1表示部に「前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力」せずに、「第3表示部に前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力する」こと。

また、当初明細書等には「ウィンドウを出力」することについて何ら示唆する記載がなく、また、第1表示部に「前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力」させないことは、当初明細書の段落【0045】の「それにより、ユーザは、第2表示部220の運用によるデータを第1表示部210を介して確認しつつ第3表示部230に出力して、他人に当該データを迅速かつ容易に確認させることができる。」との記載と相容れないことから、上記「ア」「イ」の技術的事項は、当業者にとって自明なことでもない。

よって、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

2-2 独立特許要件について
仮に、本件補正が特許法第17条の2第3項の規定を満たすものであるとして、更に検討する。
本件補正は、上記「1」「(3)」「ア」及び「ウ」の点で、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項に限定を付加するものであって、特許法第17条の2第5項第2号(特許請求の範囲の減縮)に掲げる事項を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記「1」「(1)」に記載したしたとおりのものである。

(2)引用例の記載事項
(引用例1)
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2005-215453号公報(平成17年8月11日出願公開。以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付与した。)。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複数の表示部を有した機器に搭載される表示制御装置であって、特に、表示部毎の表示情報を任意に設定できる表示制御装置に関する。」

「【0008】
それゆえに、この発明の目的は、複数の表示部を用いた情報の表示に関する自由度を有する表示制御装置を提供することである。」

「【0049】
この発明のさらに他の局面に従う表示制御方法は、複数の異なる表示部を有する機器において実施されて、複数の表示部における表示を制御するための表示制御方法であって、与えられる表示先の指定に基づき、複数の表示部のうち情報の表示先となる1つ以上の表示部を決定する表示部決定ステップと、与えられる表示情報の指定に基づき、決定された表示部に表示すべき情報を決定する表示情報決定ステップとを備えて、表示部決定ステップにより決定された表示部に、表示情報決定ステップにより決定された情報を表示する。」

「【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0064】
本実施の形態では、複数の表示部を有する電子機器として携帯電話を例示しているがこれに限定されず、デジタルカメラやPDA(Personal Digital Assistants)等であってもよい。該携帯電話では全ての表示内容をテキストであればHTML(HyperText Mark-Up Language)やXML(eXtensible Mark-up Language)などの言語フォーマットに従い、画像であればJPEG(Joint Photographic Experts Group)やCIF(Common Intermediate Format)といった画像フォーマットで制御し、それぞれの表示部に表示させる。
【0065】
図1(A)には携帯電話(以下、端末と称する)10のキー操作部16とメイン表示部13を有する表面からの概観が示されて、図1(B)にはその背面からの概観が示される。図1(A)と(B)を参照して端末10は、ヒンジ部9、ヒンジ部9を介して回動する筐体11および12を備える。筐体11と12はヒンジ部9を介して開閉可能である。筐体11はアンテナ14、表面側にメイン表示部13および受話などの音声出力のためのスピーカ7、背面側にメイン表示部13よりも表示領域の小さいサブ表示部15および被写体を撮影するためのカメラ部18を有する。筐体12は表面側に送話のためのマイク8、各種情報を入力するために操作されるキー操作部16および詳細ボタン17を有する。端末10は図示しないがメモリカードを着脱自在に装着可能であり、装着するためのスロット部も有する。
【0066】
ここではサブ表示部15はメイン表示部13よりも表示領域が小さいとしているが同じ大きさであってもよく、メイン表示部13よりも表示領域が大きくてもよい。また、表示部は2つとしているが3つ以上であってもよい。さらに被写体撮影のためのカメラ部18は1つとしているが同一筐体に2つ以上または異なる筐体に2つ以上設けるようにしてもよい。」

「【0079】
本実施の形態による表示切替えに関する手順について図6のフローチャートに従い説明する。該手順は図1(A)の状態で端末10を携帯したユーザが、メイン表示部13に表示される情報(選択肢の一覧)を参照しながらキー操作部16を操作して所望の選択肢を選択することにより実行されるので、各ステップでは表示部に表示される選択肢の一覧を示している。
【0080】
まず、ユーザがキー操作部16を操作して表示選択モードを指示すると、制御部32は該指示に応答して表示選択モードに移行して(ステップS(以下、単にSと略す)1)、A1:表示切替、A2:表示情報編集およびA3:アイコン詳細(アイコンの詳細を表示するためのモード)の選択肢一覧を表示する(S2)。
【0081】
ユーザがキー操作部16を操作してA1:表示切替を選択すると、表示部決定部34はB1:サブ表示部を常時ON、B2:全表示部を常時ON、B3:メイン表示部ON時にはサブ表示部をOFF、B4:メイン表示部OFF時にはサブ表示部をON、およびB5:切替えの選択肢一覧を表示する(S3)。該一覧を参照したユーザがキー操作部16を操作して所望の選択肢を選択すると表示部決定部34は選択された選択肢に応じて表示部の実行を制御する(S6)。
【0082】
具体的には、選択肢B1を選択すると表示部決定部34はサブ表示部15を常時表示可能となるように制御し、選択肢B2を選択すると表示部決定部34はメイン表示部13及びサブ表示部15同時に常時表示可能となるように制御し、選択肢B3あるいはB4を選択すると表示部決定部34はメイン表示部13とサブ表示部15のどちらかが表示可能となるように制御する。そして選択肢B5を選択すると表示部決定部34はユーザのキー操作部16のキー操作内容に応じてメイン表示部13とサブ表示部15の表示内容をユーザが所望に応じて切替るよう制御する。
【0083】
ユーザがキー操作部16を操作して選択肢A2:表示情報編集を選択すると、表示情報編集部36によりメイン表示部13には表示情報の編集対象としてC1:メイン表示部の表示情報を選択、C2:サブ表示部の表示情報を選択、およびC3:第3表示部の表示情報を選択などの選択肢の一覧が表示される(S4)。該一覧を参照したユーザがキー操作部16を操作して所望の選択肢を1つ以上選択すると、選択された選択肢の表示部(メイン表示部13、サブ表示部15、第3表示部39および第4表示部41などの1つ以上)に表示する情報を選択するための処理に移行して、表示情報決定部35は選択された表示部において表示すべき情報の種類を選択させるための選択肢の一覧を表示する(S7)。
【0084】
一覧表示においてはE1:電池残量アイコン23、E2:アンテナアイコン24、E3:メモリカードアイコン26、E4:メールアイコン(電子メールの受信を報知するためのアイコン)27、E5:時計、E6:壁紙(画面の背に用いる絵など)、E7:メッセージ(電子メールなどのメッセージ)のみ表示、E8:サブ表示部15を表示(ウインドウ26としてサブ表示部15を表示)、E9:カメラ画像を表示、E10:電子メールを表示、E11:全ての種類の情報を表示、E12:サブ表示部15の表示情報と同じ種類の情報は表示させない、およびE13:何も表示させないなどの選択肢が表示される。
【0085】
ユーザはこのような選択肢一覧から1つまたは複数の選択肢をキー操作部16を操作して選択するので、表示情報決定部35は選択された情報を選択された表示部に表示するように実行を制御する(S8)。これによりメイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示することもできる。」

「【0087】
なお、ここでメイン表示部32の表示がONと選択された場合であっても、筐体状態検出部42により筐体11と12が閉じた状態であると検出されるときは、制御部32はメイン表示部13の表示をOFFする。メイン表示部13と複数のサブ表示部(サブ表示部15、第3表示部39、第4の表示部41)の組合わせを図6の手順と同じ選択方法で自由に選択できどの情報をどの表示部に表示させるか、どの表示部の表示情報を同時に表示させるか、ある表示情報をどの順番でそれぞれの表示部に切替えて表示させるかが可能となる。」

「【0094】
1つの応用例として筐体11と12それぞれに2つの表示部を持つ端末の場合、筐体11の表示部をそれぞれ第1表示部37および第2表示部38とし、筐体12の表示部をそれぞれ第3表示部39おおび第4表示部41と想定する。この場合に図6の手順に従えば、第1表示部37には電子メールのメッセージや画像(カメラ部18の撮影画像または外部からの受信画像など)などの情報を表示させ、第2表示部38には電池残量アイコン23やアンテナアイコン24などのアイコンを専用に表示させ、第3表示部39には時計29の時間情報を表示させ、そして第4表示部40にはユーザお気に入りの壁紙を表示させることが可能となる。」(なお、「おおび」は「および」の誤記と認められる。)

ア 段落【0065】、【0066】、図1より、
「携帯電話(以下、端末と称する)10は、ヒンジ部9、ヒンジ部9を介して回動する筐体11および12を備え、筐体11は、表面側にメイン表示部13、背面側にサブ表示部15を有し、筐体12は表面側に各種情報を入力するために操作されるキー操作部16を有し、表示部は3つ以上であってもよい。」
との技術事項を読み取ることができる。

イ 段落【0094】より、筐体12の表面に、第3表示部39又は第4表示部41のどちらかが取り付けられていることは明らかであるから、筐体12の表面にある表示部を、便宜的に第3表示部39とすれば、段落【0094】より、「筐体11の表示部をそれぞれ第1表示部37および第2表示部38とし、筐体12の表面の表示部を第3表示部39と想定する。」との技術事項を読み取ることができる。

ウ 段落【0049】に記載された「複数の異なる表示部を有する機器」は、上記「ア」で認定した技術事項における「メイン表示部13およびサブ表示部15を含む複数の表示部を有」する「携帯電話(以下、端末と称する)10」に対応するから、段落【0049】より、
「メイン表示部13およびサブ表示部15を含む複数の表示部を有」する「携帯電話(以下、端末と称する)10において実施されて、複数の表示部における表示を制御するための表示制御方法であって、与えられる表示先の指定に基づき、複数の表示部のうち情報の表示先となる1つ以上の表示部を決定する表示部決定ステップと、与えられる表示情報の指定に基づき、決定された表示部に表示すべき情報を決定する表示情報決定ステップとを備えて、表示部決定ステップにより決定された表示部に、表示情報決定ステップにより決定された情報を表示する、表示制御方法。」
との技術事項を読み取ることができる。

エ 段落【0079】?【0081】より、便宜のため「(表示切替)」との見出しを付与すると、
「表示切替えに関する手順は、
(表示切替)
ユーザがキー操作部16を操作してA1:表示切替を選択すると、表示部決定部34はB1:サブ表示部を常時ON、B2:全表示部を常時ON、B3:メイン表示部ON時にはサブ表示部をOFF、B4:メイン表示部OFF時にはサブ表示部をON、およびB5:切替えの選択肢一覧を表示し(S3)、該一覧を参照したユーザがキー操作部16を操作して所望の選択肢を選択すると表示部決定部34は選択された選択肢に応じて表示部の実行を制御する(S6)」
との技術事項を読み取ることができる。

オ 【0083】?【0085】より、便宜のため「(表示情報編集)」との見出しを付与すると、
「(表示情報編集)
ユーザがキー操作部16を操作して選択肢A2:表示情報編集を選択すると、表示情報編集部36によりメイン表示部13には表示情報の編集対象としてC1:メイン表示部の表示情報を選択、C2:サブ表示部の表示情報を選択、およびC3:第3表示部の表示情報を選択などの選択肢の一覧が表示され(S4)、該一覧を参照したユーザがキー操作部16を操作して所望の選択肢を1つ以上選択すると、選択された選択肢の表示部(メイン表示部13、サブ表示部15、第3表示部39の1つ以上)に表示する情報を選択するための処理に移行して、表示情報決定部35は選択された表示部において表示すべき情報の種類を選択させるための選択肢の一覧を表示し(S7)、
一覧表示においてはE1:電池残量アイコン23、E2:アンテナアイコン24、E3:メモリカードアイコン26、E4:メールアイコン(電子メールの受信を報知するためのアイコン)27、E5:時計、E6:壁紙(画面の背に用いる絵など)、E7:メッセージ(電子メールなどのメッセージ)のみ表示、E8:サブ表示部15を表示(ウインドウ26としてサブ表示部15を表示)、E9:カメラ画像を表示、E10:電子メールを表示、E11:全ての種類の情報を表示、E12:サブ表示部15の表示情報と同じ種類の情報は表示させない、およびE13:何も表示させないなどの選択肢が表示され、
ユーザはこのような選択肢一覧から1つまたは複数の選択肢をキー操作部16を操作して選択するので、表示情報決定部35は選択された情報を選択された表示部に表示するように実行を制御し(S8)、これによりメイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示することもできる。」
との技術事項を読み取ることができる。

上記ア?オより、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」)という。)が記載されているものと認められる。
「メイン表示部13およびサブ表示部15を含む複数の表示部を有する携帯電話(以下、端末と称する)10において実施されて、複数の表示部における表示を制御するための表示制御方法であって、与えられる表示先の指定に基づき、複数の表示部のうち情報の表示先となる1つ以上の表示部を決定する表示部決定ステップと、与えられる表示情報の指定に基づき、決定された表示部に表示すべき情報を決定する表示情報決定ステップとを備えて、表示部決定ステップにより決定された表示部に、表示情報決定ステップにより決定された情報を表示する、表示制御方法であって、
携帯電話(以下、端末と称する)10は、ヒンジ部9、ヒンジ部9を介して回動する筐体11および12を備え、筐体11は、表面側にメイン表示部13、背面側にサブ表示部15を有し、筐体12は表面側に各種情報を入力するために操作されるキー操作部16を有し、表示部は3つ以上であってもよく、筐体12の表面の表示部を第3表示部39と想定し、
表示切替えに関する手順は、
(表示切替)
ユーザがキー操作部16を操作してA1:表示切替を選択すると、表示部決定部34はB1:サブ表示部を常時ON、B2:全表示部を常時ON、B3:メイン表示部ON時にはサブ表示部をOFF、B4:メイン表示部OFF時にはサブ表示部をON、およびB5:切替えの選択肢一覧を表示し(S3)、該一覧を参照したユーザがキー操作部16を操作して所望の選択肢を選択すると表示部決定部34は選択された選択肢に応じて表示部の実行を制御し(S6)、
(表示情報編集)
ユーザがキー操作部16を操作して選択肢A2:表示情報編集を選択すると、表示情報編集部36によりメイン表示部13には表示情報の編集対象としてC1:メイン表示部の表示情報を選択、C2:サブ表示部の表示情報を選択、およびC3:第3表示部の表示情報を選択などの選択肢の一覧が表示され(S4)、該一覧を参照したユーザがキー操作部16を操作して所望の選択肢を1つ以上選択すると、選択された選択肢の表示部(メイン表示部13、サブ表示部15、第3表示部39の1つ以上)に表示する情報を選択するための処理に移行して、表示情報決定部35は選択された表示部において表示すべき情報の種類を選択させるための選択肢の一覧を表示し(S7)、
一覧表示においてはE1:電池残量アイコン23、E2:アンテナアイコン24、E3:メモリカードアイコン26、E4:メールアイコン(電子メールの受信を報知するためのアイコン)27、E5:時計、E6:壁紙(画面の背に用いる絵など)、E7:メッセージ(電子メールなどのメッセージ)のみ表示、E8:サブ表示部15を表示(ウインドウ26としてサブ表示部15を表示)、E9:カメラ画像を表示、E10:電子メールを表示、E11:全ての種類の情報を表示、E12:サブ表示部15の表示情報と同じ種類の情報は表示させない、およびE13:何も表示させないなどの選択肢が表示され、
ユーザはこのような選択肢一覧から1つまたは複数の選択肢をキー操作部16を操作して選択するので、表示情報決定部35は選択された情報を選択された表示部に表示するように実行を制御し(S8)、これによりメイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示することもできる、
表示制御方法。」

(引用例2)
原査定の拒絶の理由に、周知例として引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2009-288430号公報(公開日:平成21年12月10日。以下、「引用例2」という。)には、次の記載がある。
「【請求項5】
請求項1記載の情報処理装置において、
前記表示オフ状態は、前記表示部への電源供給をオフする状態を含むことを特徴とする情報処理装置。」

(3)引用発明との対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「携帯電話(以下、端末と称する)10」は、「ヒンジ部9、ヒンジ部9を介して回動する筐体11および12を備え」ているから、本願補正発明の「折り畳み可能な端末」に相当する。
(イ)引用発明において、「端末10」の「筐体11は、表面側にメイン表示部13、背面側にサブ表示部15を有し」、「表示部は3つ以上であってもよく、筐体12の表面の表示部を第3表示部39と想定」することが、本願発明の「前記折り畳み可能な端末は、折り畳み面に配置された第1表示部と第2表示部並びに外側面に配置された第3表示部を含む」ことに相当する(なお、便宜のため対応関係を整理して示せば、引用発明の「メイン表示部13」が、本願補正発明の「第1表示部」に相当し、引用発明の「サブ表示部15」が、本願補正発明の「第3表示部」に相当し、引用発明の「第3表示部」が、本願補正発明の「第2表示部」に相当する。)。
(ウ)次に、引用発明の「表示切替えに関する手順」では「ユーザがキー操作部16を操作してA1:表示切替を選択すると、表示部決定部34はB1:サブ表示部を常時ON、B2:全表示部を常時ON、B3:メイン表示部ON時にはサブ表示部をOFF、B4:メイン表示部OFF時にはサブ表示部をON、およびB5:切替えの選択肢一覧を表示し(S3)、該一覧を参照したユーザがキー操作部16を操作して所望の選択肢を選択すると表示部決定部34は選択された選択肢に応じて表示部の実行を制御し(S6)」している。
ここで、引用発明の端末10は、「メイン表示部13およびサブ表示部15を含む複数の表示部を有し」、「表示部は3つ以上であってもよ」いことを踏まえると、引用発明の「表示切替えに関する手順」で「ユーザがキー操作部16を操作して「A1:表示切替」を選択し、上記選択肢「B1?B4」を選択して指示されるモードと、本願補正発明における「三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に供給される電源を制御する表示部電源制御モード」とは、「三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部のON/OFFを制御する表示部ON/OFF制御モード」の点で共通する。
次に、引用発明において、上記選択肢「B1?B4」を選択して指示することで「与えられる表示先の指定に基づき、複数の表示部のうち情報の表示先となる1つ以上の表示部を決定する表示部決定ステップ」と、本願補正発明における「前記表示部電源制御モードを設定するステップは、前記三つの表示部に電源を供給するように制御する全体表示モードを設定するステップと、前記第1表示部の電源供給を遮断し、前記第2表示部及び前記第3表示部に電源を供給するように制御する第1部分表示モードを設定するステップと、前記第2表示部の電源供給を遮断し、前記第1表示部及び前記第3表示部に電源を供給するように制御する第2部分表示モードを設定するステップと、前記第1表示部及び前記第2表示部の電源供給を遮断し、前記第3表示部に電源を供給するように制御する第3部分表示モードを設定するステップと、前記第1表示部及び前記第2表示部にのみ電源を供給するように制御する標準電源表示モードを設定するステップとのうち、少なくとも一つのステップを含」むこととは、
「表示部ON/OFF制御モードを設定するステップは、複数の表示部をON/OFFするように制御するモードを設定するステップを含む」点で共通する。
(エ)引用発明では「ユーザがキー操作部16を操作して選択肢A2:表示情報編集を選択」し、「表示情報の編集対象」として「C1:メイン表示部の表示情報」「C2:サブ表示部の表示情報」、および「C3:第3表示部の表示情報」の選択肢を1つ以上選択すると、選択された選択肢の表示部(メイン表示部13、サブ表示部15、第3表示部39の1つ以上)に表示する情報を選択するための処理に移行して、表示情報決定部35は選択された表示部において表示すべき情報の種類を選択させるための選択肢の一覧を表示し(S7)」ている。
ここで、「カメラ画像」、及び「電子メール」は、電子メール、カメラ等のアプリケーションの活性化によって生成されたデータであることは明らかであるから、
(i)引用発明において、選択肢一覧における「E7:メッセージ(電子メールなどのメッセージ)のみ表示」、「E9:カメラ画像を表示、E10:電子メールを表示」が、本願補正発明における「アプリケーションの活性化によって生成されたデータ」を「表示部に出力するように指示する」ことに相当する。
(ii)引用発明において、「与えられる表示情報の指定に基づき、決定された表示部に表示すべき情報を決定する表示情報決定ステップ」では、上記のとおり選択肢の一覧が表示され、「ユーザはこのような選択肢一覧から1つまたは複数の選択肢をキー操作部16を操作して選択」し、これにより「表示情報決定部35は選択された情報を選択された表示部に表示するように実行を制御」することになるから、引用発明における「与えられる表示情報の指定に基づき、決定された表示部に表示すべき情報を決定する表示情報決定ステップ」が、本願補正発明における「アプリケーションの活性化によって生成されたデータを前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するように指示するデータ出力方向制御モードを設定するステップ」に相当し、引用発明における「表示情報決定部35は選択された情報を選択された表示部に表示するように実行を制御」することが、本願補正発明における「現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータを、前記設定に基づき、前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するステップ」に相当する。
(オ)引用発明における「端末10」の「表示制御方法」が、次の相違点は除いて、本願補正発明の「端末のデータ運用方法」に相当する。
(カ)引用発明において、「端末10」の「筐体11は、表面側にメイン表示部13、背面側にサブ表示部15を有し」、「表示部は3つ以上であってもよく、筐体12の表面の表示部を第3表示部39と想定」することが、本願補正発明における「前記三つの表示部は、互いに隣接するように配置される前記第1表示部及び前記第2表示部と、前記第1表示部及び前記第2表示部と異なる側面上に配置される前記第3表示部とからな」ることに相当する(詳しい対応関係については、上記「(イ)」にて「(なお・・・に相当する。)」と述べたとおり。)。
(キ)引用発明の「表示情報編集」において、「メイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示すること」ができるように「ユーザがキー操作部16を操作して選択肢A2:表示情報編集を選択」し、「C1:メイン表示部の表示情報」「C2:サブ表示部の表示情報」、および「C3:第3表示部の表示情報」の選択肢を1つ以上選択すると、選択された選択肢の表示部(メイン表示部13、サブ表示部15、第3表示部39の1つ以上)に表示する情報を選択するための処理に移行して、表示情報決定部35は選択された表示部において表示すべき情報の種類を選択させるための選択肢の一覧を表示し(S7)」、「ユーザはこのような選択肢一覧から1つまたは複数の選択肢をキー操作部16を操作して選択する」ことが、本願補正発明の「前記データ出力方向制御モードを設定するステップ」における「前記第1表示部に出力されるデータと同一のデータを前記第3表示部に出力する第1両方向表示モードを設定するステップ」に相当する。
よって、引用発明において、「与えられる表示情報の指定に基づき、決定された表示部に表示すべき情報を決定する表示情報決定ステップ」が、「メイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示すること」ができるように「選択された選択肢の表示部(メイン表示部13、サブ表示部15、第3表示部39の1つ以上)に表示する情報を選択するための処理」を含むことが、本願補正発明における「前記データ出力方向制御モードを設定するステップは、前記第1表示部及び前記第2表示部にのみデータを出力するように制御する標準出力表示モードを設定するステップと、前記第1表示部に出力されるデータと同一のデータを前記第3表示部に出力する第1両方向表示モードを設定するステップと、前記第2表示部に出力されるデータと同一のデータを前記第3表示部に出力する第2両方向表示モードを設定するステップと、前記第1表示部及び前記第2表示部に出力されるデータを前記第3表示部に出力する第3両方向表示モードを設定するステップとのうち、少なくとも一つのステップを含」むことに相当する。
(ク)引用発明の「選択された選択肢の表示部(メイン表示部13、サブ表示部15、第3表示部39およびの1つ以上)に表示する情報を選択するための処理」において、「C1:メイン表示部の表示情報」及び「C2:サブ表示部の表示情報」として、共に「E7:メッセージ(電子メールなどのメッセージ)のみ表示」、又は「E10:電子メールを表示」を選択すれば、「これによりメイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示することもできる」ことは明らかであるから、引用発明において、「表示情報決定ステップ」における「選択された選択肢の表示部(メイン表示部13、サブ表示部15、第3表示部39の1つ以上)に表示する情報を選択するための処理」において、上記のような表示情報編集を選択し、「これによりメイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示する」ことと、本願補正発明における「前記現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータ出力するステップは、前記第1表示部と前記第2表示部との一つにユーザからの入力を受信するユーザインターフェースを含むウィンドウを出力することと、少なくとも前記第3表示部に前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力することとを含む」こととは、「前記現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータ出力するステップは、少なくとも前記第3表示部に出力することとを含む」点で共通する。

イ 以上のことから、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「折り畳み可能な端末であって、前記折り畳み可能な端末は、折り畳み面に配置された第1表示部と第2表示部並びに外側面に配置された第3表示部を含む、三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部のON/OFFを制御する表示部ON/OFF制御モードと、アプリケーションの活性化によって生成されたデータを前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するように指示するデータ出力方向制御モードを設定するステップと、
現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータを、前記設定に基づき、前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するステップと、
を含む端末のデータ運用方法であって、
前記三つの表示部は、
互いに隣接するように配置される前記第1表示部及び前記第2表示部と、前記第1表示部及び前記第2表示部と異なる側面上に配置される前記第3表示部とからなり、
表示部ON/OFF制御モードを設定するステップは、複数の表示部をON/OFFするように制御するモードを設定するステップを含み、
前記データ出力方向制御モードを設定するステップは、
前記第1表示部及び前記第2表示部にのみデータを出力するように制御する標準出力表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部に出力されるデータと同一のデータを前記第3表示部に出力する第1両方向表示モードを設定するステップと、
前記第2表示部に出力されるデータと同一のデータを前記第3表示部に出力する第2両方向表示モードを設定するステップと、
前記第1表示部及び前記第2表示部に出力されるデータを前記第3表示部に出力する第3両方向表示モードを設定するステップと
のうち、少なくとも一つのステップを含み、
前記現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータ出力するステップは、少なくとも前記第3表示部に出力することとを含む、
ことを特徴とする三つの表示部を有する端末のデータ運用方法。」

(相違点1)
本願補正発明では、「三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に供給される電源を制御する表示部電源制御モード」を設定するステップを含み、「前記表示部電源制御モードを設定するステップは、前記三つの表示部に電源を供給するように制御する全体表示モードを設定するステップと、前記第1表示部の電源供給を遮断し、前記第2表示部及び前記第3表示部に電源を供給するように制御する第1部分表示モードを設定するステップと、前記第2表示部の電源供給を遮断し、前記第1表示部及び前記第3表示部に電源を供給するように制御する第2部分表示モードを設定するステップと、前記第1表示部及び前記第2表示部の電源供給を遮断し、前記第3表示部に電源を供給するように制御する第3部分表示モードを設定するステップと、前記第1表示部及び前記第2表示部にのみ電源を供給するように制御する標準電源表示モードを設定するステップとのうち、少なくとも一つのステップを含」むのに対し、引用発明の「与えられる表示先の指定に基づき、複数の表示部のうち情報の表示先となる1つ以上の表示部を決定する表示部決定ステップ」では、「A1:表示切替」を選択すると、「表示部決定部34はB1:サブ表示部を常時ON、B2:全表示部を常時ON、B3:メイン表示部ON時にはサブ表示部をOFF、B4:メイン表示部OFF時にはサブ表示部をON、およびB5:切替えの選択肢一覧を表示し(S3)、該一覧を参照したユーザがキー操作部16を操作して所望の選択肢を選択すると表示部決定部34は選択された選択肢に応じて表示部の実行を制御し(S6)」ているものの、表示部のON/OFFが、表示部に電源を供給するように制御することであるとは明記されておらず、また、「A1:表示切替」を選択したときに表示される選択肢として「第3表示部39」のON/OFFが含まれた選択肢も明示されていない点。

(相違点2)
本願補正発明では、「前記現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータ出力するステップは、前記第1表示部と前記第2表示部との一つにユーザからの入力を受信するユーザインターフェースを含むウィンドウを出力することと、少なくとも前記第3表示部(サブ表示部15)に前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力することとを含む」のに対し、引用発明では、「選択された選択肢の表示部(メイン表示部13、サブ表示部15、第3表示部39の1つ以上)に表示する情報を選択するための処理」において、「C1:メイン表示部の表示情報」及び「C2:サブ表示部の表示情報」として、「E7:メッセージ(電子メールなどのメッセージ)のみ表示」、又は「E10:電子メールを表示」を選択すれば、「これによりメイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示することもできる」ことは明らかであるものの、第3表示部39(本願補正発明の「第2表示部」に相当する。)にユーザからの入力を受信するユーザインターフェースを含むウィンドウを出力することも、サブ表示部15(本願補正発明の「第3表示部」に相当する。)に表示される電子メールが、ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むことも、メイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示する際、「出力を含むウィンドウ」を出力することも示されていない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
表示オン、オフの状態を、表示部への電源供給をオン、オフする状態とすることは、周知の事項である(例えば、引用例2参照。)。
また、引用例1の段落【0087】には、「メイン表示部13と複数のサブ表示部(サブ表示部15、第3表示部39、第4の表示部41)の組合わせを図6の手順と同じ選択方法で自由に選択できどの情報をどの表示部に表示させるか、どの表示部の表示情報を同時に表示させるか、ある表示情報をどの順番でそれぞれの表示部に切替えて表示させるかが可能となる。」と記載されているから、引用発明における「与えられる表示先の指定に基づき、複数の表示部のうち情報の表示先となる1つ以上の表示部を決定する表示部決定ステップ」において「A1:表示切替」を選択したときに表示される選択肢一覧として、メイン表示部13と複数のサブ表示部(サブ表示部15、第3表示部)とを組み合わせた選択肢、例えば、「B2:全表示部(メイン表示部及びサブ表示部(サブ表示部15及び第3表示部39))を常時ON」(本願補正発明の前記三つの表示部に電源を供給するように制御する全体表示モード」に相当する。)や、「B4:メイン表示部OFF時にはサブ表示部(サブ表示部15及び第3表示部39)をON」(本願補正発明の「前記第1表示部の電源供給を遮断し、前記第2表示部及び前記第3表示部に電源を供給するように制御する第1部分表示モード」に相当する。)といった選択肢を表示するようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。
よって、引用発明において、表示部のON/OFFを、表示部に電源を供給するように制御することとし、また、引用発明の「A1:表示切替」における切替えの選択肢一覧として、「B2:全表示部(メイン表示部及びサブ表示部(サブ表示部15及び第3表示部39))を常時ON」、「B4:メイン表示部OFF時にはサブ表示部(サブ表示部15及び第3表示部39)をON」を少なくとも1つ含む選択肢を表示し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について
表示部をタッチパネル方式としてユーザが信号の入力ができるようにすることは、周知の事項である(例えば、特開2001-189783号公報(段落【0029】、【0036】、図1(b)、図3の記載参照。)、特開2008-71300号公報(【背景技術】欄の記載参照。))。
また、表示部に情報をする際、該情報を含む「ウィンドウ」を出力して表示することも、周知の事項である。
そして、携帯電話(端末)には、電子メールの受信表示だけでなく、電子メール作成のためのアプリケーションが備わっており、表示画面に、メッセージの入力内容が表示されることは、本願の優先日において、普通に知られていることであるから、引用発明の端末10(携帯電話)において、「筐体12の表面側」の「第3表示部39」を周知の事項に倣って「タッチパネル方式」の表示部とし、電子メール作成のためのアプリケーションを活性化させてメッセージを入力する際、メッセージ入力を、「筐体12」の「表面側」の「キー操作部16」に代え、該「タッチパネル方式」の「第3表示部39」を用いて行い、入力されたメッセージについて「メイン表示部13とサブ表示部15に同じ種類の情報を表示する」ようにして、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に本件補正が、特許法第17条の2第3項の規定を満たすものであるとしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?11に係る発明は、平成26年10月29日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記「第2[理由]1(2)」に記載のとおりのものである。

2 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1,引用例2及びその記載事項は、前記「第2[理由]2」「2-2(2)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]2」「2-2」で検討した本願補正発明から、「端末」についての、「折り畳み可能な端末であって、前記折り畳み可能な端末は、折り畳み面に配置された第1表示部と第2表示部並びに外側面に配置された第3表示部を含む」との限定を省き、「前記第1表示部及び前記第2表示部」、「前記第3表示部」と補正された箇所を、それぞれ「第1表示部及び第2表示部」、「第3表示部」とし、「現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータを、前記設定に基づき、前記三つの表示部のうち少なくとも一つの表示部に出力するステップ」についての「前記現在活性化しているアプリケーションによって生成されたデータ出力するステップは、前記第1表示部と前記第2表示部との一つにユーザからの入力を受信するユーザインターフェースを含むウィンドウを出力することと、少なくとも前記第3表示部に前記ユーザインターフェースを介して受信されたユーザ入力に対応する出力を含むウィンドウを出力することとを含む」との限定を省いたものである。

すると、上記「第2[理由]2」「2-2(3)」「ア」の「(イ)」?「(キ)」を踏まえれば、本願発明と引用発明との相違点は、上記「第2[理由]「2-2(3)」「イ」に「(相違点1)」として記載したとおりのものである。
そして、該相違点1が、引用例1に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易になし得たものであることは、上記「第2[理由]2」「2-2(4)」にて述べたとおりである。
よって、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-05-13 
結審通知日 2016-05-16 
審決日 2016-05-30 
出願番号 特願2012-552804(P2012-552804)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 55- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武田 悟  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 関根 洋之
清水 稔
発明の名称 三つの表示部を有する端末のデータ運用方法及びそれを支援する端末  
代理人 阿部 達彦  
代理人 崔 允辰  
代理人 木内 敬二  
代理人 実広 信哉  

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