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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1320603
審判番号 不服2015-3422  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-23 
確定日 2016-10-12 
事件の表示 特願2013- 64786号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 6日出願公開、特開2014-188088号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月26日の出願であって、平成26年11月19日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成27年2月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされ、これに対して、当審において、平成28年2月16日付けで拒絶理由を通知し、同年4月15日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年5月11日付けで最後の拒絶理由を通知し、同年7月4日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年7月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年7月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
遊技者による操作手段に対して行なわれた特定の操作を受け付け可能な受付手段と、
判定条件の成立により遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行なう特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定の結果に基づいて、図柄表示手段に図柄を変動表示させる変動パターンを決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された変動パターンに応じて、前記図柄表示手段に図柄を変動表示させてから前記特別遊技判定の結果を停止表示させる図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動表示されているときに、演出手段に変動パターンに応じた変動演出を行なわせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記変動パターン決定手段により特定の変動パターンが決定されると、前記受付手段によって前記特定の操作を受け付け可能な有効時間を設定する設定手段と、
前記特定の変動パターンに応じた変動演出における前記有効時間内に前記受付手段によって前記特定の操作が受け付けられると、当該操作が前記有効時間内の何れのタイミングで受け付けられたものであっても、当該変動演出において前記特別遊技判定の結果を示唆する示唆演出を行なわせる示唆演出制御手段と、
を有し、
前記設定手段は、
同一の前記特定の変動パターンに応じた変動演出に対して、長さの異なる前記有効時間を設定可能であることを特徴とする遊技機。」
から、
「【請求項1】
遊技者による操作手段に対して行なわれた特定の操作を受け付け可能な受付手段と、
判定条件の成立により遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行なう特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定の結果に基づいて、図柄表示手段に図柄を変動表示させる変動パターンを決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された変動パターンに応じて、前記図柄表示手段に図柄を変動表示させてから前記特別遊技判定の結果を停止表示させる図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動表示されているときに、演出手段に変動パターンに応じた変動演出を行なわせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記変動パターン決定手段により特定の変動パターンが決定されると、前記受付手段によって前記特定の操作を受け付け可能な有効時間を設定する設定手段と、
前記特定の変動パターンに応じた変動演出における前記有効期間内に前記受付手段によって前記特定の操作が受け付けられると、当該変動演出において前記特別遊技判定の結果を示唆する示唆演出を行わせる示唆演出制御手段と、
を有し、
前記設定手段は、
同一の前記特定の変動パターンに応じた変動演出に対して、長さの異なる有効時間を設定可能であり、
前記示唆演出制御手段は、
前記長さの異なる有効時間のうちの何れの有効時間が設定され当該有効時間内の何れのタイミングで前記特定の操作が受け付けられた場合であっても、前記示唆演出を行わせることを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

2 補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「示唆演出制御手段」に関して「当該操作が前記有効時間内の何れのタイミングで受け付けられたものであっても」「示唆演出を行なわせる」を「長さの異なる有効時間のうちの何れの有効時間が設定され当該有効時間内の何れのタイミングで前記特定の操作が受け付けられた場合であっても、前記示唆演出を行わせる」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)刊行物1に記載された発明
当審における最後の拒絶理由に引用文献1として引用された特開2012-223472号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(1-a)「【0006】
本発明の目的は、始動条件の成立に基づき複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを実行し、該変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生する遊技機において、操作部の操作演出に継続的な興味を抱くことができるようにすることである。」

(1-b)「【0057】
始動入賞口36への入賞球及び普通変動入賞装置37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出される。始動入賞口36へ入賞した遊技球は第1特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第1始動記憶として4個を限度に記憶されるとともに、普通変動入賞装置37へ入賞した遊技球は第2特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第2始動記憶として4個を限度に記憶される。また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器、特図2保留表示器)に表示されるとともに、センターケース40の表示装置41においても飾り特図始動記憶表示として表示される。
【0058】
遊技制御装置100は、始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、特図表示器(変動表示装置)51又は52で第1又は第2特図変動表示ゲームを行う。第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置41(変動表示装置)にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして、特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器51若しくは特図2表示器52の表示態様が特別結果態様(特別結果)となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。また、これに対応して表示装置41の表示態様(停止結果態様)も特別結果態様となる。
【0059】
表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば、まず前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)を左変動表示領域(第一特別図柄)、右変動表示領域(第二特別図柄)、中変動表示領域(第三特別図柄)のそれぞれにおいて各図柄を識別困難な速さで変動表示(高速変動)する。そして、所定時間後に変動している図柄を左変動表示領域、右変動表示領域、中変動表示領域の順に順次停止させて、左変動表示領域、右変動表示領域、中変動表示領域の各々で停止表示された識別情報により構成される停止結果態様により特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、表示装置41では、特図始動記憶数に対応する飾り特別図柄による変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。」

(1-c)「【0103】
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、上記の第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、特図1表示器51や特図2表示器52に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。また、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、表示装置41で特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。さらに、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、演出状態(演出モード)の設定や、スピーカ19a,19bからの音の出力、各種LEDの発光を制御する処理等を行う。すなわち、演出制御装置300が、遊技(変動表示ゲーム等)に関する演出を制御する演出制御手段をなす。」

(1-d)「【0111】
しかし、本発明の遊技機では、図6に示すように演出ボタン25の操作タイミングが指定され、この操作タイミングで操作を行ったか否かにより演出の内容が変化するようになっている。この演出では、図6(a)に示すように、遊技者に演出ボタン25の操作を促す表示が行われるとともに、演出ボタン25の操作の有効期間を示す有効期間表示41aがなされる。演出ボタン25の操作タイミングは、有効期間表示41aにおける操作タイミングに対応する位置にタイミング表示41bを表示することで報知されるようになっている。これにより、図6(b)に示すように、有効期間表示41aにおける有効期間の開始からの経過時間を示す表示が、タイミング表示41bの表示位置に達したことで演出ボタン25の操作タイミングとなったことが報知される。
【0112】
そして、図6(c)に示すように、この操作タイミングで遊技者が演出ボタン25を操作すると、特定演出として遊技に関する情報(例えば大当りとなる可能性の高さ)を示唆するキャラクタが表示される。さらに、図6(e)に示すように、2回目の操作タイミングでも遊技者が演出ボタン25を操作すると、さらに特定演出として遊技に関する情報(例えば大当りとなる可能性の高さ)を示唆するキャラクタが表示される。これに対して、図6(f)から(j)に示すように、遊技者が操作タイミングで演出ボタン25を操作しなかった場合は、図6(h)や(j)に示すように特定演出が行われず、遊技に関する情報を示唆しないキャラクタが表示されるようになっている。
【0113】
このような演出とすることで、演出ボタン25の操作演出に継続的な興味を抱かせることができ、遊技の興趣が向上する。すなわち、特定演出を実行するようにするためには、単に有効期間内に操作を行えば良いのではなく、有効期間において所定条件を満たすように操作を行わなければならないため、有効期間中における演出ボタン25の操作に対して継続的な興味を抱かせることができる。また、操作タイミングを有効期間表示41aにおける操作タイミングに対応する位置を示すことで報知するので、有効期間と操作タイミングを一つの表示でわかりやすく報知できる。また、まとめて表示を行うことができるので、表示装置41に表示する他の表示を邪魔することがない。」

(1-e)「【0162】
一方、ステップA302にて、第2特図保留数が0でない(ステップA302;No)と判定すると、特図2変動開始処理(ステップA311)を行い、特図変動中処理移行設定処理(特図2)(ステップA312)を行う。特図2変動開始処理(ステップA311)では、第2特図変動表示ゲームが大当りであるか否かの判定や、停止図柄、変動パターンの設定を行う。ここで設定された情報は、特図変動表示ゲームの変動パターンに関する情報を含む変動パターンコマンド、飾り特図変動表示ゲームに係る停止図柄パターン(停止結果態様)情報に対応する飾り特図コマンド、表示装置41に表示される飾り特図始動記憶表示に係る飾り特図2保留数コマンド(飾り特図保留数コマンド)として後に演出制御装置300に送信される。
・・・
【0164】
また、ステップA304にて、第1特図保留数が0でない(ステップA304;No)と判定すると、特図1変動開始処理(ステップA313)を行い、特図変動中処理移行設定処理(特図1)(ステップA314)を行う。特図1変動開始処理(ステップA313)では、特図2変動開始処理(ステップA311)と同様に、第1特図変動表示ゲームが大当りであるか否かの判定や、停止図柄、変動パターンの設定を行う。ここで設定された情報は、特図変動表示ゲームの変動パターンに関する情報を含む変動パターンコマンド、飾り特図変動表示ゲームに係る停止図柄パターン(停止結果態様)情報に対応する飾り特図コマンド、表示装置41に表示される飾り特図始動記憶表示に係る飾り特図1保留数コマンド(飾り特図保留数コマンド)として後に演出制御装置300に送信される。
・・・
【0167】
また、遊技制御装置100が、始動入賞記憶手段(遊技制御装置100)に記憶された乱数を当該始動記憶に基づく変動表示ゲームの開始時に判定する開始時結果判定手段をなす。また、遊技制御装置100が、第1始動入賞口(始動入賞口36)での遊技球の検出に基づいて変動表示ゲームとして第1変動表示ゲームを実行し、第2始動入賞口(普通変動入賞装置37)での遊技球の検出に基づいて変動表示ゲームとして第2変動表示ゲームを実行する変動表示ゲーム実行手段をなす。また、遊技制御装置100が、開始時結果判定手段(遊技制御装置100)による判定結果に基づき変動表示ゲームの実行を制御する変動表示ゲーム実行制御手段をなす。
・・・
【0170】
次に、メインループ処理としてループの処理を行う。このループの処理では、まず、WDT(watchdog timer)をクリアし(ステップB18)、演出ボタン25の操作に基づく入力信号(立ち上がりエッジ)から入力情報を作成する演出ボタン入力処理(ステップB19)を行う。その後、遊技制御コマンド解析処理(ステップB20)を行う。この遊技制御コマンド解析処理(ステップB20)では、遊技制御装置100から送信される遊技に関するコマンドを正しく受信したかを判定し、正しく受信していた場合にはコマンドを確定して、後述するシーン制御処理のためのコマンドの区分けをする処理を行う。」

(1-f)「【0178】
また、変動パターンコマンドを受信した場合は飾り特図変動表示ゲームの実行に関する処理等を行う変動中処理(ステップB71)を行う。この変動中処理(ステップB71)では、飾り特図変動表示ゲームを行うために必要な情報の設定を行う。この飾り特図変動表示ゲームを行うために必要な情報の設定では、例えば、遊技制御装置100から送信された変動パターンコマンドに含まれる情報(大当りか否か、モード情報、変動パターン情報など)に基づき演出(変動パターンや変動時間など)の設定を行う。また、特図変動表示ゲームの変動時間が終了した場合には、飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動表示の停止や停止表示時間の設定等を行う。
・・・
【0182】
〔変動中処理〕
図17には、図16に示す1stシーン制御処理における変動中処理(ステップB71)を示した。この変動中処理では、まず、演出リクエストフラグがあるか否かを判定する(ステップB91)。演出リクエストフラグは、有効なコマンドを受信した場合に設定されるフラグであって、このフラグがある場合は受信したコマンドに基づく処理を行う。
【0183】
この演出リクエストフラグがある場合(ステップB91;Yes)は、演出ボタン25の入力に関する情報であるPB情報をクリアし(ステップB92)、可動体リクエストセット処理(ステップB93)を行う。次に、時短状態とする期間などを演出制御装置300で管理するための変動回数管理処理(ステップB94)を行い、飾り特図変動表示ゲームの実行態様を設定するための変動パターン情報設定処理(ステップB95)を行う。
【0184】
そして、設定された変動パターン情報を取得し、PB(プッシュボタン)演出を実行する変動パターンであるかを判定する(ステップB97)。PB演出を実行する変動パターンとは、PB演出を実行するのに十分な変動時間を有する特定の変動パターンである。PB演出を実行する変動パターンである場合(ステップB97;Yes)は、PB演出実行フラグをセットして(ステップB98)、乱数シード初期化処理(ステップB99)を行う。また、PB演出を実行しない変動パターンである場合(ステップB97;No)は、乱数シード初期化処理(ステップB99)を行う。
・・・
【0190】
PB演出実行フラグがない場合(ステップB116;No)は、シーンシーケンステーブル設定処理を終了する。また、PB演出実行フラグがある場合(ステップB116;Yes)は、設定された変動パターンに対応するPB演出制御データを設定する(ステップB117)。設定された変動パターンに対応するPB演出制御データを設定する処理(ステップB117)では、図19に示すPB演出設定テーブルの何れかを選択し、選択したPB演出設定テーブルから演出パターンを選択する。PB演出設定テーブルの選択割合は、特図変動表示ゲームの結果や変動パターンの種類により予め設定されている。特図変動表示ゲームの結果が特定の大当り(例えば高確率状態となる大当り)の場合は、特図変動表示ゲームの結果が特定の大当りでない場合よりもPB演出設定テーブルBが選択される割合が高くなっている。また、変動パターンが特定リーチ(例えばSP3リーチ)である場合は、変動パターンが特定のリーチでない場合よりもPB演出設定テーブルCの選択割合が高くなっている。
【0191】
例えば、PB演出設定テーブルAにより演出パターンAが選択された場合は、有効期間が5秒であり、有効期間表示41aが10目盛りで表示される。また、演出ボタン25の操作タイミングは、有効期間表示41aの5、9、10目盛りの位置となる。なお、何れの演出パターンでも演出ボタン25の操作を行いやすい有効期間表示41aの最後の目盛り位置に操作タイミングが設定されており、遊技に関する情報を報知する特定演出が一度は行われるようにするとともに、PB演出の最後まで期待感を持って演出を楽しむことができるようにしている。また、操作タイミングが多いほど大当りとなる可能性が高いことが示唆されるように設定されている。このように、演出ボタン25の操作タイミングを、特図変動表示ゲームの結果や変動パターンの種類、乱数による選択などの特定条件に基づいて設定することで、操作タイミングを変化させて操作が単調にならないようにしている。
【0192】
図18に戻り、設定された変動パターンに対応するPB演出制御データを設定する処理(ステップB117)を行った後、前回のPB演出において演出ボタン25を操作しなかった場合に設定される操作なしフラグがあるかを判定する(ステップB118)。そして、操作なしフラグがない場合(ステップB118;No)はシーンシーケンステーブル設定処理を終了する。また、操作なしフラグがある場合(ステップB118;Yes)は、保存されたPB演出制御データを取得し(ステップB119)、ステップB117で設定された今回のPB演出制御データを取得する(ステップB120)。
【0193】
その後、取得したデータをもとに今回の有効期間表示の長さを変更設定し(ステップB121)、今回の有効期間を設定して(ステップB122)、操作なしフラグをクリアする(ステップB123)。そして、変更されたPB演出制御データを設定し(ステップB124)、シーンシーケンステーブル設定処理を終了する。」

(1-g)「【0202】
〔演出ボタン入力処理〕
図22には、図15に示す1stメイン処理における演出ボタン入力処理(ステップB19)を示した。この演出ボタン入力処理では、まず、PB操作有効期間であるか(PB操作有効フラグがあるか)をチェックし(ステップB161)、PB操作有効期間でない場合(ステップB162;No)は、演出ボタン入力処理を終了する。また、PB操作有効期間である場合(ステップB162;Yes)は、PB操作入力があるかをチェックする(ステップB163)。
【0203】
PB操作入力がない場合(ステップB164;No)は、演出ボタン入力処理を終了する。また、PB操作入力がある場合(ステップB164;Yes)は、コマンド識別子に基づき特図変動表示ゲームの変動中かをチェックする(ステップB165)。そして、変動中でない場合(ステップB166;No)は、対応する状態に基づくPB演出設定処理を行い(ステップB172)、演出ボタン入力処理を終了する。対応する状態に基づくPB演出設定処理(ステップB172)では、例えば、客待ち状態中の演出ボタン25の操作に基づく演出として、演出モードの変更や遊技の履歴情報(大当り回数やリーチ回数など)の表示を設定する。
【0204】
また、変動中である場合(ステップB166)は、演出ボタン25の操作タイミングとして指定されたシーンである特定シーンであるかを判定する(ステップB167)。この特定シーンであった場合(ステップB167;Yes)、すなわち指定された操作タイミングでの操作であった場合は、遊技に関する情報を示唆、報知する特定演出の実行を設定する特定演出実行設定処理(ステップB168)を行い、操作ありフラグをセットする(ステップB170)。また、特定シーンでない場合(ステップB167;No)、すなわち指定された操作タイミング以外での操作であった場合は、遊技に関する情報を示唆、報知しない演出である通常演出の実行を設定する通常演出実行設定処理(ステップB169)を行い、操作ありフラグをセットする(ステップB170)。その後、PB無効設定処理(ステップB171)を行い、演出ボタン入力処理を終了する。」

(1-h)「【0224】
なお、操作タイミング以外で演出ボタン25を操作した場合には遊技に関する情報を示唆、報知しない通常演出を行うとしたが、特定演出の場合よりも低い信頼度で遊技に関する情報を示唆、報知する演出を行うようにしても良い。また、逆に演出を行わないようにしても良い。また、有効期間表示41aの長さや操作タイミングはPB演出設定テーブルに基づき設定されるようにしているが、抽選等によりランダムに設定するようにしても良い。また、連続する複数回の有効期間中に演出ボタン25の操作を行わずに操作なしカウンタの値が所定値を超えた場合は、遊技に関する情報をまったく報知しないなどの何らかのペナルティ演出を行うようにしても良い。」

(1-i)段落【0170】から、演出制御装置300は、演出ボタン25の操作に基づく演出ボタン入力処理を行うといえる。

(1-j)段落【0058】から、遊技制御装置100は、始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、特図表示器51又は52で複数の特別図柄を変動表示したのち、所定の結果態様で停止する第1又は第2特図変動表示ゲームを行わせているといえる。また、段落【0162】、【0164】から、遊技制御装置100は、第1又は第2特図変動表示ゲームにおいて、大当たりであるか否かの判定や、変動パターンの設定を行うといえる。

(1-k)段落【0103】、【0178】、【0059】から、演出制御装置300は、演出制御装置100から送信された変動パターンコマンドに基づき、表示装置41で前記第1又は第2特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを行うとともに、キャラクタの出現など多様な演出表示を行うといえる。

(1-l)段落【0184】、【0190】?【0193】から、演出制御装置300は、遊技制御装置100で設定された変動パターンが、PB(プッシュボタン)演出を実行する特定の変動パターンであると判定されると、設定された変動パターンに対応するPB演出テーブルから選択された演出パターンをもとに演出ボタン25の操作可能な有効期間を設定するといえる。

(1-m)段落【0204】、【0112】、【0224】から、演出制御装置300は、有効期間において設定された操作タイミングで演出ボタン25の操作があった場合には、大当たりとなる可能性の高さ等の遊技に関する情報を示唆、報知する特定演出を実行し、操作タイミング以外で演出ボタン25を操作した場合には、特定演出よりも低い信頼度で遊技に関する情報を示唆、報知する演出を実行するといえる。

(1-n)図19には、長さの異なる有効期間が設定された複数の演出パターンからなるPB演出設定テーブルが示されており、段落【0190】には、PB演出設定テーブルから演出パターンを選択すると記載されている。
よって、演出制御装置300における設定された変動パターンに対応するPB演出設定テーブルは、長さの異なる有効期間が設定された複数の演出パターンからなるといえる。

上記(1-a)?(1-h)の記載事項及び上記(1-i)?(1-n)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。

「演出ボタン25の操作に基づく演出ボタン入力処理を行う演出制御装置300と、
始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、特図表示器51又は52で複数の特別図柄を変動表示したのち、所定の結果態様で停止する第1又は第2特図変動表示ゲームを行わせ、該第1又は第2特図変動表示ゲームが大当たりであるか否かの判定や、該第1又は第2特図変動表示ゲームの変動パターンの設定を行う遊技制御装置100と、
演出制御装置100から送信された変動パターンコマンドに基づき、表示装置41で前記第1又は第2特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを行うとともに、キャラクタの出現など多様な演出表示を行う演出制御装置300と、
を備え、
前記演出制御装置300は、
遊技制御装置100で設定された変動パターンが、PB(プッシュボタン)演出を実行する特定の変動パターンであると判定されると、設定された変動パターンに対応するPB演出設定テーブルから選択された演出パターンをもとに演出ボタン25の操作可能な有効期間を設定し、
前記有効期間において設定された操作タイミングで演出ボタン25の操作があった場合には、大当たりとなる可能性の高さ等の遊技に関する情報を示唆、報知する特定演出を実行し、操作タイミング以外で演出ボタン25を操作した場合には、特定演出よりも低い信頼度で遊技に関する情報を示唆、報知する演出を実行し、
設定された変動パターンに対応するPB演出設定テーブルは、長さの異なる有効期間が設定された複数の演出パターンからなる遊技機。」

(2)刊行物2に記載された事項
(2-a)「【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、演出用操作手段の操作により、遊技者に積極的に遊技を行っているという感覚を抱かせ、遊技への参加意識を高めさせることができる遊技機を提供することにある。」

(2-b)「【0044】
また、統括CPU27aは、大当りフラグに「1」が設定されている場合、図柄組み合わせゲームの開始後、所定時間の経過時に演出用ボタン25の操作が有効となる操作有効期間を設定する。詳しく言えば、統括CPU27aは、所定時間が経過すると、RAM27cに設定される操作有効期間設定フラグに「1」を設定するとともに、操作有効期間を設定したことを示す期間設定コマンドを表示制御基板28に出力する。操作有効期間設定フラグは、演出用ボタン25の操作が有効であるか否かを示すフラグである。また、統括制御プログラムには変動パターン毎の変動時間が定められており、統括CPU27aは、統括制御プログラムにしたがって図柄組み合わせゲームの開始とともに経過時間を計時する。そして、統括CPU27aは、大当り演出用の変動パターン毎に定められた仮の大当りの図柄組み合わせが一旦停止表示される迄の時間(所定時間)を計時すると、操作有効期間設定フラグの設定とともに期間設定コマンドを出力する。例えば、統括CPU27aは、変動パターン指定コマンドで指示される変動パターンが変動パターンP1の場合、時間TR1の経過時に操作有効期間設定フラグに「1」を設定するとともに期間設定コマンドを出力する。本実施形態では、統括CPU27aが、期間設定手段として機能する。
【0045】
また、統括CPU27aは、演出用ボタン25からの操作信号を入力したか否かを判定する。操作信号は、演出用ボタン25の操作時に該演出用ボタン25から出力される信号である。統括CPU27aは、操作有効期間設定フラグに「1」が設定されている場合に操作信号を入力すると、演出用ボタン25の操作を有効とする。そして、統括CPU27aは、確変大当りフラグに「1」が設定されている場合、確変昇格演出を行うか否かを抽選で決定する。一方、統括CPU27aは、確変大当りフラグに「0」が設定されている場合、確変昇格演出を行うか否かの抽選を行わない。以下、この抽選を「予告抽選」と示す。具体的に言えば、統括CPU27aは、予告抽選用乱数の値をRAM27cから読み出し、該値と予告判定値とを比較して予告抽選を行う。予告判定値は、図3に示すように変動パターンP1?P4毎の予告出現率に対応するように定められている。このため、統括CPU27aは、変動パターン指定コマンドで指示される変動パターンに対応する予告判定値をROM27bから読み出し、予告抽選を行う。予告判定値は、例えば、予告抽選用乱数の値が「0」?「9」までの全10通りの整数を取り得る場合、変動パターンP2であれば、全10個の数値の中から4個の値が定められ、予告出現率40%に対応している。本実施形態において統括CPU27aは、操作有効期間設定フラグに「1」が設定されている間、演出用ボタン25の操作を有効とし、予告抽選を行う。本実施形態では、統括CPU27aが、予告抽選手段として機能する。
【0046】
統括CPU27aは、操作信号の入力時に読み出した予告抽選用乱数の値と予告判定値が一致する場合、予告抽選に当選したので、確変昇格演出の実行を指示する予告実行指示コマンドを表示制御基板28に出力する。そして、統括CPU27aは、確変昇格演出が実行されるので、操作有効期間を終了させるために操作有効期間設定フラグに「0」を設定するとともに期間終了コマンドを表示制御基板28に出力する。すなわち、統括CPU27aは、確変昇格演出が実行される場合、以降、演出用ボタン25の操作を無効とする。」

(2-c)「【0050】
このとき、サブCPU28aは、期間設定コマンドを入力すると、演出用ボタン25の操作を促す報知を行わせるように可変表示器Hに「PUSH」の文字画像IN(図5(d)に示す)を画像表示させる。そして、サブCPU28aは、予告実行指示コマンドを入力すると、キャラクタKY(図5(e)に示す)を画像表示させて確変昇格演出を行わせるとともに文字画像INを非表示させるように可変表示器Hを制御する。また、サブCPU28aは、期間終了コマンドを入力すると、文字画像INを非表示させるように可変表示器Hを制御する。サブCPU28aは、期間終了コマンドを入力する迄の間、文字画像INを継続表示させ、演出用ボタン25の操作を促す報知を継続させる。本実施形態では、サブCPU28aが、予告制御手段として機能する。また、本実施形態では、可変表示器Hが、報知手段及び予告手段として機能する。
【0051】
以下、大当りとなる図柄組み合わせゲームが行われる態様を図5にしたがって説明する

図5は、確変大当りとなる図柄組み合わせゲーム中に演出用ボタン25が操作されて確変昇格演出が行われる場合の態様と、演出用ボタン25は操作されたが予告抽選に当選せずに確変昇格演出が行われなかった場合及び演出用ボタン25が操作されなかった場合の態様とを示している。また、図5は、仮図柄として図柄「4」が決定され、大当り図柄として「7」が決定された場合を示している。
【0052】
可変表示器Hでは、各列の図柄が変動を開始することにより、図柄組み合わせゲームが開始する(図5(a))。そして、可変表示器Hでは、図柄組み合わせゲームの開始後、所定の時間の経過時にリーチが形成され、リーチ演出が行われる(図5(b))。図5では、非確変図柄(仮図柄)である図柄「4」によってリーチが形成される。その後、可変表示器Hでは、リーチ演出の結果、中列の図柄として左右2列の図柄「4」と同一種類の図柄「4」が導出され、大当りの図柄組み合わせが一旦停止表示される(図5(c))。この状態で、遊技者は、図柄「4」による大当りの図柄組み合わせが導出されたことにより、大当りになったことを認識し得る。
【0053】
続いて、可変表示器Hでは、図柄「4」による大当りの図柄組み合わせを形成する各列の図柄が再び変動し、再抽選演出が行われる(図5(d))。また、可変表示器Hでは、再抽選演出の開始とともに「PUSH」の文字画像INが画像表示され、演出用ボタン25の操作が促される。文字画像INの画像表示により、遊技者は、演出用ボタン25の操作が有効となっていることを認識し得る。そして、遊技者が演出用ボタン25を操作し、予告抽選に当選すると、可変表示器Hでは、キャラクタKYが画像表示され、確変昇格演出が行われる。本実施形態の確変昇格演出は確変確定演出となるので、キャラクタKYの出現により、遊技者は非確変図柄が確変図柄に昇格し、確変大当りになることを認識し得る。すなわち、遊技者は、確変昇格演出により、最終的な大当りの図柄組み合わせ(再抽選演出の結果)が導出される前に確変大当りを認識し得る。」

上記(2-a)?(2-c)の記載事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されていると認められる(以下「刊行物2記載の事項」という。)。

「演出用ボタン25の操作が有効であることを示す操作有効期間設定フラグが設定されているときに、演出用ボタン25を操作し、予告抽選に当選すると、キャラクタKYが画像表示され、最終的な大当たりの図柄組み合わせが導出される前に確変大当たりを認識し得る確変昇格演出を行う遊技機。」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。

ア 刊行物1発明の「演出ボタン25の操作」は、本願補正発明の「遊技者による操作手段に対して行なわれた特定の操作」に相当するから、刊行物1発明の「演出ボタン25の操作に基づく演出ボタン入力処理を行う演出制御装置300」は、刊行物1発明の「遊技者による操作手段に対して行なわれた特定の操作を受け付け可能な受付手段」に相当する。

イ 刊行物1発明の「遊技制御装置100」が行う「第1又は第2特図変動表示ゲームが大当たりであるか否かの判定」は、「始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて」行うものであることは、自明な事項であるから、刊行物1発明の「遊技制御装置100」は、本願補正発明の「特別遊技判定手段」としての機能を有している。
また、「遊技制御装置100」は、「第1又は第2特図変動表示ゲームの変動パターンの設定」を行うとともに、「複数の特別図柄を変動表示したのち、所定の結果態様で停止する第1又は第2特図変動表示ゲームを行わせ」るものであるから、本願補正発明の「変動パターン決定手段」及び「図柄表示制御手段」としての機能を有している。
よって、刊行物1発明の「始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、特図表示器51又は52で複数の特別図柄を変動表示したのち、所定の結果態様で停止する第1又は第2特図変動表示ゲームを行わせ、該第1又は第2特図変動表示ゲームが大当たりであるか否かの判定や、該第1又は第2特図変動表示ゲームの変動パターンの設定を行う遊技制御装置100」は、本願補正発明の「判定条件の成立により遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行なう特別遊技判定手段」、「前記特別遊技判定の結果に基づいて、図柄表示手段に図柄を変動表示させる変動パターンを決定する変動パターン決定手段」及び「前記変動パターン決定手段により決定された変動パターンに応じて、前記図柄表示手段に図柄を変動表示させてから前記特別遊技判定の結果を停止表示させる図柄表示制御手段」に相当する。

ウ 刊行物1発明の「表示装置41」は、本願補正発明の「演出手段」に相当する。
そして、刊行物1発明において「表示装置41で前記第1又は第2特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを行う」ことは、「前記第1又は第2特図変動表示ゲーム」において、特図表示器51又は52で複数の特別図柄を変動表示しているときに、表示装置41で飾り特図変動表示ゲームを行うことを意味するものである。
よって、刊行物1発明の「演出制御装置100から送信された変動パターンコマンドに基づき、表示装置41で前記第1又は第2特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを行うとともに、キャラクタの出現など多様な演出表示を行う演出制御装置300」は、本願補正発明の「前記図柄が変動表示されているときに、演出手段に変動パターンに応じた変動演出を行なわせる演出制御手段」に相当する。

エ 刊行物1発明の「演出制御装置300」は、「変動パターンが、PB(プッシュボタン)演出を実行する特定の変動パターンであると判定されると」、「PB演出設定テーブルから選択されたPB演出制御データをもとに演出ボタン25の操作可能な有効期間を設定」するものであり、「PB演出設定テーブル」は、「長さの異なる有効期間が設定された複数の演出パターンを選択可能」であるから、本願補正発明における「設定手段」としての機能を有している。
よって、刊行物1発明の「演出制御装置300は、遊技制御装置100で設定された変動パターンが、PB(プッシュボタン)演出を実行する特定の変動パターンであると判定されると、設定された変動パターンに対応するPB演出設定テーブルから選択されたPB演出制御データをもとに演出ボタン25の操作可能な有効期間を設定」する点は、本願補正発明の「演出制御手段は、変動パターン決定手段により特定の変動パターンが決定されると、受付手段によって前記特定の操作を受け付け可能な有効時間を設定する設定手段」に相当する。

オ 刊行物1発明の「大当たりとなる可能性の高さ等の遊技に関する情報を示唆、報知する特定演出」は、本願補正発明の「特別遊技判定の結果を示唆する示唆演出」に相当する。
また、刊行物1発明の「有効期間」は、PB(プッシュボタン)演出を実行する特定の変動パターンであると判定されると設定されるものであるから、特定の変動パターンに応じた変動演出における有効期間であるといえる。
刊行物1発明の「有効期間において設定された操作タイミングで演出ボタン25の操作があった場合には、大当たりとなる可能性の高さ等の遊技に関する情報を示唆、報知する特定演出を実行し、操作タイミング以外で演出ボタン25を操作した場合には、特定演出よりも低い信頼度で遊技に関する情報を示唆、報知する演出を実行」する「演出制御手段300」と、本願補正発明の「特定の変動パターンに応じた変動演出における前記有効期間内に前記受付手段によって前記特定の操作が受け付けられると、当該変動演出において前記特別遊技判定の結果を示唆する示唆演出を行わせる示唆演出制御手段」とは、「特定の変動パターンに応じた変動演出において受付手段によって特定の操作が受け付けられると、当該変動演出において特別遊技判定の結果を示唆する示唆演出を行わせる示唆演出制御手段」という点で共通する。

カ 刊行物1発明において「PB演出設定テーブルは、長さの異なる有効期間が設定された複数の演出パターンからなる」ものであり、演出パターンは
PB演出設定テーブルから選択されるものであるから、演出制御手段300は、長さの異なる有効時間を設定可能であるといえる。
よって、刊行物1発明の演出制御手段300における「設定された変動パターンに対応するPB演出設定テーブルは、長さの異なる有効期間が設定された複数の演出パターンからなる」点は、本願補正発明の「設定手段は、同一の前記特定の変動パターンに応じた変動演出に対して、長さの異なる有効時間を設定可能」である点に相当する。

キ したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「遊技者による操作手段に対して行なわれた特定の操作を受け付け可能な受付手段と、
判定条件の成立により遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行なう特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定の結果に基づいて、図柄表示手段に図柄を変動表示させる変動パターンを決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された変動パターンに応じて、前記図柄表示手段に図柄を変動表示させてから前記特別遊技判定の結果を停止表示させる図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動表示されているときに、演出手段に変動パターンに応じた変動演出を行なわせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記変動パターン決定手段により特定の変動パターンが決定されると、前記受付手段によって前記特定の操作を受け付け可能な有効時間を設定する設定手段と、
前記特定の変動パターンに応じた変動演出において前記受付手段によって前記特定の操作が受け付けられると、当該変動演出において前記特別遊技判定の結果を示唆する示唆演出を行わせる示唆演出制御手段と、
を有し、
前記設定手段は、
同一の前記特定の変動パターンに応じた変動演出に対して、長さの異なる有効時間を設定可能である遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
示唆演出制御手段に関して、
本願補正発明は、「有効期間内に受付手段によって特定の操作が受け付けられると」示唆演出を行わせ、「長さの異なる有効時間のうちの何れの有効時間が設定され当該有効時間内の何れのタイミングで特定の操作が受け付けられた場合であっても、示唆演出を行わせる」のに対し、
刊行物1発明は、有効期間において設定された操作タイミングで演出ボタン25の操作があった場合には、大当たりとなる可能性の高さ等の遊技に関する情報を示唆、報知する特定演出を実行する点。

(4)判断
ア 上記相違点1について検討する。
刊行物1発明は、「演出制御装置300は、遊技制御装置100で設定された変動パターンが、PB(プッシュボタン)演出を実行する特定の変動パターンであると判定されると、設定された変動パターンに対応するPB演出設定テーブルから選択された演出パターンをもとに演出ボタン25の操作可能な有効期間を設定し」「設定された変動パターンに対応するPB演出設定テーブルは、長さの異なる有効期間が設定された複数の演出パターンからなる」との構成を有するものである。
よって、刊行物1発明においては、長さの異なる有効期間が設定された複数の演出パターンからなるPB演出設定テーブルから選択された演出パターンをもとに演出ボタン25の操作可能な有効期間を設定し、有効期間において設定された操作タイミングで演出ボタン25の操作があった場合には、特定演出を実行するから、「長さの異なる有効期間のうち何れの有効期間が設定され」ても、特定演出(示唆演出)を実行するものであるといえる。
そして、刊行物1発明は、「操作タイミング以外で演出ボタン25を操作した場合には、特定演出よりも低い信頼度で遊技に関する情報を示唆、報知する演出を実行」するから、刊行物1発明は、操作タイミングでない場合に操作ボタン25を押した場合でも演出を行うことを示唆している。
一方、遊技機の技術分野において、有効期間内の何れのタイミングで操作が受け付けられた場合であっても示唆演出を行うことは、本願出願前において周知の技術である。
(例えば、特開2007-105105号公報には、操作有効期間中に演出スイッチ26が操作される毎にキャラクタ体1の右腕が操作する示唆演出を実行する点、及び操作有効期間の長さが演出が行われる毎に変更される点が記載されており(段落【0052】?【0059】参照)、
特開2011-147607号公報には、遊技者の押下操作を有効に検出する期間である押下検出期間に、プッシュボタン31Bの押下操作が検出された場合に、可変表示結果が「大当たり」となる可能性を報知する点が記載されている(段落【0350】?【0357】参照)、
平成28年5月11日付けの拒絶理由で刊行物2として引用した特開2006-311961号公報には、操作有効期間内に遊技者が演出用ボタン25を操作し、予告抽選に当選すると、キャラクタKYが表示されて確変昇格演出を行う点が記載されている(段落【0044】、【0045】、【0053】参照)。)
よって、刊行物1発明に上記周知の技術を適用し、長さの異なる有効時間のうちの何れの有効時間が設定され当該有効時間内の何れのタイミングで特定の操作が受け付けられた場合であっても、示唆演出を行うように構成し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明及び周知の技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

ウ 請求人の主張について
請求人は、平成28年7月4日付けの意見書において、「刊行物2、3のいずれにも、示唆演出を行うための操作の有効期間として、長さの異なる有効期間を設けることは記載されてなく、勿論、長短ある有効期間のうちの何れの長さの有効期間が設定され何れのタイミングで操作されたときでも示唆演出を行うことについては、何ら開示も示唆もされていない。したがって、刊行物1記載の発明に刊行物2、3に記載された事項を適用しても、本願発明に、容易に想到し得るとはいえない。」(第2頁第44?49行)と主張する。
しかしながら、上記(3)アで検討したとおり、刊行物1発明は、長さの異なる有効期間のうち何れの有効期間が設定されても示唆演出を実行するものであり、このような刊行物1発明に、有効期間内の何れのタイミングで操作が受け付けられた場合であっても示唆演出を行うという周知の技術を適用することにより、長短ある有効期間のうちの何れの長さの有効期間が設定され何れのタイミングで操作されたときでも示唆演出を行うように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
よって、請求人の主張は採用できない。

(5) まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明、及び周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年4月15日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
遊技者による操作手段に対して行なわれた特定の操作を受け付け可能な受付手段と、
判定条件の成立により遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行なう特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定の結果に基づいて、図柄表示手段に図柄を変動表示させる変動パターンを決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された変動パターンに応じて、前記図柄表示手段に図柄を変動表示させてから前記特別遊技判定の結果を停止表示させる図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動表示されているときに、演出手段に変動パターンに応じた変動演出を行なわせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記変動パターン決定手段により特定の変動パターンが決定されると、前記受付手段によって前記特定の操作を受け付け可能な有効時間を設定する設定手段と、
前記特定の変動パターンに応じた変動演出における前記有効時間内に前記受付手段によって前記特定の操作が受け付けられると、当該操作が前記有効時間内の何れのタイミングで受け付けられたものであっても、当該変動演出において前記特別遊技判定の結果を示唆する示唆演出を行なわせる示唆演出制御手段と、
を有し、
前記設定手段は、
同一の前記特定の変動パターンに応じた変動演出に対して、長さの異なる前記有効時間を設定可能であることを特徴とする遊技機。」

2 当審の平成28年5月11日付けの拒絶理由の概要
当審の平成28年5月11日付けの拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された特開2012-223472号公報(刊行物1)に記載された発明に、特開2006-311961号公報(刊行物2)、又は特開2006-158493号公報(刊行物3)に記載された事項を適用することにより、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 刊行物
刊行物1、2及びその記載事項、並びに刊行物1発明及び刊行物2記載の事項は、上記「第2 3(1)」及び「第2 3(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
(1)対比
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から「示唆演出制御手段」に関して「長さの異なる有効時間のうちの何れの有効時間が設定され当該有効時間内の何れのタイミングで前記特定の操作が受け付けられた場合であっても、前記示唆演出を行わせる」る点を「当該操作が前記有効時間内の何れのタイミングで受け付けられたものであっても」「示唆演出を行なわせる」としたものである。
本願発明と刊行物1発明を対比すると、
「遊技者による操作手段に対して行なわれた特定の操作を受け付け可能な受付手段と、
判定条件の成立により遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定を行なう特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定の結果に基づいて、図柄表示手段に図柄を変動表示させる変動パターンを決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された変動パターンに応じて、前記図柄表示手段に図柄を変動表示させてから前記特別遊技判定の結果を停止表示させる図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動表示されているときに、演出手段に変動パターンに応じた変動演出を行なわせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記変動パターン決定手段により特定の変動パターンが決定されると、前記受付手段によって前記特定の操作を受け付け可能な有効時間を設定する設定手段と、
前記特定の変動パターンに応じた変動演出において前記受付手段によって前記特定の操作が受け付けられると、当該変動演出において前記特別遊技判定の結果を示唆する示唆演出を行なわせる示唆演出制御手段と、
を有し、
前記設定手段は、
同一の前記特定の変動パターンに応じた変動演出に対して、長さの異なる前記有効時間を設定可能であることを特徴とする遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1’]
示唆演出制御手段に関して、
本願補正発明は、「有効期間内に受付手段によって特定の操作が受け付けられると、当該操作が有効時間内の何れのタイミングで特定の操作が受け付けられた場合であっても」「示唆演出を行わせる」のに対し、
刊行物1発明は、有効期間において設定された操作タイミングで演出ボタン25の操作があった場合には、大当たりとなる可能性の高さ等の遊技に関する情報を示唆、報知する特定演出を実行する点。

(2)判断
上記相違点1’について検討する。
刊行物2記載の事項において、操作有効期間設定フラグが設定されているときに、演出用ボタン25を操作することは、「操作が有効期間内の何れのタイミング」でも受け付けられることを意味するものであり、最終的な大当たりの図柄組み合わせが導出される前に確変大当たりを認識し得る確変昇格演出とは、「示唆演出」であるといえる。
一方、上記「第2 3(4)」で検討したとおり、遊技機の技術分野において、有効期間内の何れのタイミングで操作が受け付けられた場合であっても示唆演出を行うことは、本願出願前において周知の技術でもある。
よって、刊行物1発明に刊行物2記載の事項、又は上記周知の技術を適用し、有効期間内に受付手段によって特定の操作が受け付けられると、当該操作が有効時間内の何れのタイミングで特定の操作が受け付けられた場合であっても示唆演出を行わせるように構成し、上記相違点1’に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-08-01 
結審通知日 2016-08-09 
審決日 2016-08-22 
出願番号 特願2013-64786(P2013-64786)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 山崎 仁之
平城 俊雅
発明の名称 遊技機  
代理人 飯田 昭夫  
代理人 江間 路子  
代理人 安藤 敏之  
代理人 上田 千織  

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