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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1320610
審判番号 不服2015-8561  
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-08 
確定日 2016-10-12 
事件の表示 特願2013-200366「入力装置及び入力装置を備えた電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月19日出願公開、特開2013-254529〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年(平成21年)8月21日(国内優先権主張平成20年9月17日)を国際出願日とする特願2010-529703号の一部を平成25年9月26日に新たな特許出願としたものであって、平成26年6月17日付けで拒絶理由が通知され、同年9月1日付けで手続補正がなされたが、平成27年2月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月8日に拒絶査定不服の審判が請求されたものである。
その後、当審において、平成28年1月14日付けで最後の拒絶理由を通知し、応答期間内である同年4月4日に意見書及び手続補正書が提出された。

第2 平成28年4月4日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年4月4日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に変更する補正事項を含むものである。
そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。
なお、〈補正後の請求項1〉における下線は補正箇所を表している。
〈補正前の請求項1〉
「情報を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示面側に配置され、入力面を有しこの入力面での接触を検知して接触情報を出力する入力パネルと、
前記入力パネルの四隅に配置され、前記入力パネルの前記入力面に押圧力が印加されたときに前記押圧力が印加されたことを示す検出信号を出力する複数の検出手段と、
前記入力パネルが出力した前記接触情報に基づき前記入力パネル上での接触位置を検出し、前記表示手段の前記接触位置に対応する位置の表示情報を選択状態に設定し、前記入力パネルが前記接触を検知しつづけている状態で前記検出手段のうちの少なくともいずれかが前記検出信号を出力した場合、この検出信号に基づいて前記表示情報に関連する処理を実行する制御手段と、
を含み、
前記入力パネルは、前記入力面に所定以上の前記押圧力が印加された場合に、前記表示手段の前記表示面の方向に移動し、
前記検出手段のうちの少なくともいずれかは、前記入力パネルの前記移動を検出し、前記検出信号を出力し、
前記入力パネルは、前記表示手段の前記表示面に対して傾いた状態で移動し、また、水平を保持した状態でも移動する入力装置。」

〈補正後の請求項1〉
「特定の機能に関連する2以上の情報を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示面側に配置され、入力面を有しこの入力面での接触を検知して接触情報を出力する入力パネルと、
前記入力パネルの四隅に配置され、前記入力パネルの前記入力面に押圧力が印加されたときに前記押圧力が印加されたことを示す検出信号を出力する検出手段と、
前記入力パネルが出力した前記接触情報に基づき前記入力パネル上での接触位置を検出し、前記表示手段に表示されている前記特定の機能に関連する2以上の情報のうち、前記表示手段の前記接触位置に対応する位置に表示される1の前記特定の機能に関連する情報を選択可能な状態を示すように強調表示し、前記入力パネルが前記接触を検知しつづけている状態で前記検出手段のうちの少なくともいずれかが前記検出信号を出力した場合、この検出信号に基づいて前記特定の機能に関連する情報に関連する処理を実行する制御手段と、
を含み、
前記入力パネルは、前記入力面に所定以上の前記押圧力が印加された場合に、前記表示手段の前記表示面の方向に移動し、
前記検出手段は前記入力パネルの前記移動を検出するものであって、前記検出手段のうちの少なくともいずれかが前記入力パネルの前記移動を検出したとき、前記検出信号を出力し、
前記入力パネルは、該入力パネルの四隅を支持し、該入力パネルの垂直方向への移動を案内する支持部を設けない場合、前記表示手段の前記表示面に対して傾いた状態で移動し、また、前記支持部を設ける場合、水平を保持した状態でも移動する入力装置。」
と補正された。

2.本件補正に対する判断
(1)本件補正による補正後の請求項1の「前記入力パネルは、該入力パネルの四隅を支持し、該入力パネルの垂直方向への移動を案内する支持部を設けない場合、前記表示手段の前記表示面に対して傾いた状態で移動し、また、前記支持部を設ける場合、水平を保持した状態でも移動する」という記載(以下、「記載事項1」という。)は、「支持部を設けない場合」については、「傾いた状態で移動」という表現が使われているのに対し、「支持部を設ける場合」については、「水平を保持した状態でも移動」という表現が使われていることからみて、「入力パネルは、支持部を設けない場合には、常に傾いた状態で移動し、支持部を設ける場合には、傾いて移動する場合も、水平を保持した状態で移動する場合もある」といった程度の技術的事項、換言すれば、「入力パネルは、支持部を設けない場合には、水平を保持した状態では移動しない」という技術的事項と、「入力パネルは、支持部を設ける場合に、傾いた状態で移動する場合もある」という技術的事項の両方を表すものと解するのが自然である。
これに対し、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0079】?【0081】、図8には、入力パネルの入力面に押圧力が偏って印加している状態について記載されているが、同【0076】?【0077】に記載されているように、押圧力が偏って印加されていない場合に、入力パネルが表示手段の表示面に対して水平を保持した状態で移動することは明らかであるので、支持部を設けない場合、入力パネルが水平を保持した状態で移動しないことは、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、記載されていないし、当初明細書等に記載された事項から自明な事項でもない。
また、願書に最初に添付した明細書の段落【0082】?【0084】、図9には、タッチパネルの四隅を支持するガイドレールを設け、タッチパネルの入力面に押圧力が偏って印加される場合であってもタッチパネルは表示部の表示面に対して水平を保持することが記載されているが、支持部(ガイドレール)を設ける場合、入力パネルが表示手段の表示面に対して傾いた状態で移動することは、当初明細書等には記載されていないし、当初明細書等に記載された事項から自明な事項でもない。
したがって、記載事項1を導入する本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(2)予備的判断
記載事項1は、上記(1)のように解釈され、当初明細書等に記載された事項でないが、発明の詳細な説明を参酌すると、「前記入力パネルは、該入力パネルの四隅を支持し、該入力パネルの垂直方向への移動を案内する支持部を設けない場合、前記表示手段の前記表示面に対して傾いた状態でも移動し、前記支持部を設ける場合、水平を保持した状態で移動する」という記載の誤記であったと解する余地もあるので、以下、そのように解釈した場合についても念のため検討する。
本件補正前の請求項1に記載された発明は、「検出手段」が「複数」あり、「入力パネルは、表示手段の表示面に対して傾いた状態で移動し、また、水平を保持した状態でも移動する」とされていたから、明細書の段落【0079】?【0081】、図8の実施例に対応するものであった。そして、明細書の段落【0082】?【0084】、図9に記載された、ガイドレールを設け、検出手段が1つであり、入力パネルが表示手段の表示面に対して水平方向を保持した状態でのみ移動する実施例は、補正前の請求項1には含まれていなかった。
一方、本件補正により、請求項1の「検出手段」について「複数」が削除されたため、本件補正後の請求項1には検出手段が「1つ」のものも含まれ、また、支持部材を設け、入力パネルが表示手段の表示面に対して水平を保持した状態で移動し、傾いた状態では移動しない明細書の段落【0082】?【0084】、図9に記載された実施例が本件補正後の請求項1に記載された発明に含まれることとなった。
このことは、本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しないことを意味する。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものとはいえない。特許法第17条の2第5項第1号、第3号、第4号に掲げる請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明の何れを目的とするものにも該当しないことは明らかである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反する。
よって、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
上述のとおり平成28年4月4日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成26年9月1日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?4の記載により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記「第2 〈補正前の請求項1〉」により特定される次のとおりのものである。
「情報を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示面側に配置され、入力面を有しこの入力面での接触を検知して接触情報を出力する入力パネルと、
前記入力パネルの四隅に配置され、前記入力パネルの前記入力面に押圧力が印加されたときに前記押圧力が印加されたことを示す検出信号を出力する複数の検出手段と、
前記入力パネルが出力した前記接触情報に基づき前記入力パネル上での接触位置を検出し、前記表示手段の前記接触位置に対応する位置の表示情報を選択状態に設定し、前記入力パネルが前記接触を検知しつづけている状態で前記検出手段のうちの少なくともいずれかが前記検出信号を出力した場合、この検出信号に基づいて前記表示情報に関連する処理を実行する制御手段と、
を含み、
前記入力パネルは、前記入力面に所定以上の前記押圧力が印加された場合に、前記表示手段の前記表示面の方向に移動し、
前記検出手段のうちの少なくともいずれかは、前記入力パネルの前記移動を検出し、前記検出信号を出力し、
前記入力パネルは、前記表示手段の前記表示面に対して傾いた状態で移動し、また、水平を保持した状態でも移動する入力装置。」

第4 当審において通知した拒絶理由
当審において、平成28年1月14日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、以下のとおりである。

「1.(明確性)本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2.(進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(明確性)について
(1)請求項1について
請求項1の「前記検出手段のうちの少なくともいずれかは、前記入力パネルの前記移動を検出し、前記検出信号を出力し、」との記載は、「検出手段のうちのいずれかが、移動を検出するものであれば足り、それ以外の検出手段は移動を検出しないものであってもよい」という事項を規定しているのか、「4つの検出手段はいずれも移動を検出するものであり、そのうちのいずれかが移動を検出した場合に検出信号を出力する」という事項を規定しているのか、明確でない。

●理由2(進歩性)について
・請求項1
・引用文献等 1?3
・備考
請求項1には、理由1で指摘した明確でない点があるものの、該点は「前記検出手段のうち少なくともいずれかが、前記入力パネルの移動を検出した場合に、前記検出信号を出力し、」の意味であると解釈して、対比、判断を行う。
引用文献1には、
「表示装置23と、位置入力装置22とからなる入力表示部2(段落[0027],図3参照)と、
入力表示部23の本体側に配置される複数個(4個)の内部ボタン4であって、入力表示部を一定の力以上で押下するとオンとなる内部ボタン4と(段落[0027],[0039],図3,図12参照)、
位置入力装置22によって指接触領域を検出し、指接触領域に基づきユーザが選択しているデータを判定し(段落[0031]参照)、選択されたデータを指接触領域の近くの良く見える位置に拡大して表示し(段落[0033]参照)、ユーザの指が所定の大きさ以上の力で入力表示部2を押下して4つの内部ボタン4のいずれかがオンになれば、拡大して表示されているデータを入力データとする(段落[0034],[0039],[0041]参照)CPU10(段落[0030]参照)とを含み、
入力表示部2は、押下により本体側に移動し(段落[0026]参照)、
4つの内部スイッチのいずれかが移動を検出した場合にスイッチがオンとなり(段落[0039],[0041]参照)、
入力表示部2はヒンジ部3を中心に回動する(段落[0026]参照)データ入力装置。」(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(1)引用発明の「入力表示部2」と本願発明の「入力パネル」とは、「パネル」である点で共通する。
(2)引用発明の「内部ボタン4」は、本願発明の「検出手段」に相当する。
(3)引用発明の「拡大して表示する」ことは、本願発明の「選択状態」に相当する。
(4)引用発明の「入力データとする」ことは、本願発明の「表示情報に関連する処理を実行する」ことに相当する。
(5)引用発明の「CPU10」は、本願発明の「制御手段」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「入力面を有しこの入力面での接触を検知して接触情報を出力するパネルと、
前記パネルに配置され、前記パネルの前記入力面に押圧力が印加されたときに前記押圧力が印加されたことを示す検出信号を出力する複数の検出手段と、
前記パネルが出力した前記接触情報に基づき前記パネル上での接触位置を検出し、前記接触位置に対応する位置の表示情報を選択状態に設定し、前記パネルが前記接触を検知しつづけている状態で前記検出手段のうちの少なくともいずれかが前記検出信号を出力した場合、この検出信号に基づいて前記表示情報に関連する処理を実行する制御手段と、
を含み、
前記パネルは、前記入力面に所定以上の前記押圧力が印加された場合に、本体内側の方向に移動し、
前記検出手段のうちの少なくともいずれかが、前記パネルの前記移動を検出すると、前記検出信号を出力する、
入力装置。」

(相違点)
パネルが、本願発明では、表示手段と入力パネルとが別体であり、入力パネルに検出手段が配置されるのに対し、引用発明では、表示手段と位置入力装置とが一体の入力表示部であり、入力表示部に検出手段が配置される点。(相違点1)
複数の検出手段が、本願発明では四隅に配置されるのに対し、引用発明ではそうではない点。(相違点2)
パネルの移動が、本願発明では、傾いた状態で移動し、また、水平を保持した状態でも移動するのに対し、引用発明では、回動により移動する点。(相違点3)

相違点1?3について検討する。
(相違点1)について
引用発明において、入力パネルと表示手段との関係はパネルの押下を検出するものであれば足るものであり、入力パネルと表示手段とを一体とするか否かは当業者が適宜決定し得る事項である(引用文献3の段落[0030]参照)から、例えば、引用文献2(段落[0012],図1参照)に記載されているような入力パネル単体にクリック式タクトスイッチ(検出手段)を配置する構成、引用文献3(段落[0027]-[0030],図1参照)に記載されているような表示パネル2と別体のタッチパネル4に押圧検出スイッチ20を配置する構成を採用することは当業者にとって容易である。
(相違点2,3)について
引用文献1の段落[0005]-[0006]から把握される引用発明が解決しようとした課題に照らせば、引用発明において、パネルの移動を回動以外のものとできない理由はなく、また、引用発明における検出手段(内部ボタン4)の個数や配置は、複数の検出手段のうち、いずれかがオンとなることにより、入力画面全面でより確実なユーザの指の押下を検出するため(引用文献1の段落[0041]参照)という複数検出手段を設けたことの技術上の意義を没却しない範囲で当業者が適宜決定し得ることと考えられるから、引用文献2(段落[0014],図2,3参照)に記載されている、四隅に配置されたクリック式タクトスイッチのいずれかがオンしたときに動作する構成を採用して、パネルが傾いた状態で移動し、また、水平を保持した状態でも移動する構成とすることは当業者にとって容易である。
(まとめ)
以上のとおり、本願発明は、引用文献1?3に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。

<引用文献等一覧>
1. 特開2003-271294号公報
2. 特開2006-323457号公報
3. 特開平10-293644号公報 」

第5 当審拒絶理由の理由1(明確性)について
本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記検出手段のうちの少なくともいずれかは、前記入力パネルの前記移動を検出し、前記検出信号を出力し、」との記載は、「検出手段のうちのいずれかが、移動を検出するものであれば足り、それ以外の検出手段は移動を検出しないものであってもよい」という事項を規定しているのか、「4つの検出手段はいずれも移動を検出するものであり、そのうちのいずれかが移動を検出した場合に検出信号を出力する」という事項を規定しているのか、明確でない。
したがって、本願発明は明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第6 当審拒絶理由の理由2(進歩性)について
6.1 引用例
(1)平成28年1月14日付けの拒絶の理由に引用した特開2003-271294号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次のア.ないしオ.のとおりの記載がある。

ア.「【請求項1】 データ一覧を表示可能な入力表示手段と、入力可能なデータを記憶する記憶手段と、前記データ一覧が表示された前記入力表示手段に対する接触に基づき入力データを選択する選択手段と、接触位置のデータを拡大表示する表示制御手段と、前記入力表示手段に所望のデータが拡大表示されている状態での前記入力表示手段の押下に伴い、前記拡大表示されているデータを入力データとして確定する確定手段とを具備することを特徴とするデータ入力装置。」(下線は当審にて付与した。以下、同様。)

イ.「【0014】
本発明の実施の形態は、携帯情報端末において、片手で持って自由な姿勢で操作でき、選択中のデータを常時確認しながら選択して誤ったデータが入力されることを防止でき、入力の確定に対する応答をクリック感によって確認できるので疲れることなく使用できるようにするものである。また、小画面に入力データの一覧を表示し、ユーザが触れた位置のデータを拡大表示することにより、小画面でも大画面と同様の操作性を実現するものである。」

ウ.「【0026】
図2は携帯情報端末における内部ボタンを単数設けた場合の図であり、(a)は携帯情報端末の寸法を示す正面図、(b)は(a)のA-A線に沿う断面図である。本携帯情報端末は、高さ105.0mm、幅55.0mm、厚さ12.0mmのサイズに構成されている。入力表示部2は、押下に伴い、反撥弾性をもったヒンジ部3によってわずかに本体1側に回動可能であり、本体1との間に構成された内部ボタン4により、押下に対してクリック感を生成する。従って、本体1を片手で保持したまま入力表示部2を押下すると、入力表示部2全体が一つのボタンとして作用し、押下が検出される。また、本体1と入力表示部2を固定して結合し、本体1をプラスチックなどの弾性をもった部材で構成し、本体1を持って入力表示部2を押下すると、本体1が入力表示部2の側に湾曲して内部ボタン4がオンになるように構成してもよい。
【0027】
図3は携帯情報端末の入力表示部2及び内部ボタン4の構造を示す図である。入力表示部2は、硬い基盤24上に、表示装置23、位置入力装置22、保護シート21が積層して構成される。内部ボタン4は、入力表示部2の背面の突起部41と、金属ドーム接点43、固定接点44、金属ドーム接点43を覆うボタンカバー42とから構成される。入力表示部2を一定の力以上で押下すると、突起部41を介して金属ドーム接点43が押下されて固定接点44に接触し、内部ボタン4がオンになると共にクリック感を生成する。
【0028】
図4は本携帯情報端末をユーザが片手で持って操作している状態を示す図である。ユーザは携帯情報端末の入力画面6に表示されたデータの一覧を見ながら親指で所望のデータを触れて選択し、所望のデータが拡大表示された時点で入力表示部2を押下することによって入力データを確定する。」

エ.「【0030】
CPU10は、携帯情報端末各部を制御するものであり、ROM12に格納されたプログラムに基づき、後述の図7(第1の実施の形態)、図14(第3の実施の形態)、図17(第6の実施の形態)のフローチャートに示す処理を実行する。RAM11は、CPU10の作業領域や一時記憶領域として使用する。ROM12は、プログラムや固定データ等を格納する。接触位置算出部13は、入力表示部2の入力画面6に対するユーザの指の接触中心位置を算出する。表示制御部14は、入力表示部2に対する表示制御を行う。入力画面記憶部15は、入力表示部2の入力画面6における入力データを記憶する。テキスト編集部16は、後述のテキスト編集ルーチンにおけるテキスト編集処理を行う。辞書17は、携帯情報端末における文字入力に使用する漢字等を記憶している。
【0031】
図6は携帯情報端末の入力表示部2の入力画面6における位置検出領域の一例を示す図である。入力画面6は、ほぼ格子状に分割されており、各格子領域に入力データが割り当てられている。例えば五十音を表示する各格子のサイズは縦3.5mm×横4.3mmであり、指先の大きさより小さい。ここでは五十音のデータの例を示すが、アルファベットや記号などでもよい。入力画面6は、位置入力装置22によって指接触領域7をオン/オフの2値で検出する。検出された指接触領域7から接触中心71が接触位置算出部13(図5)において算出され、接触している指の接触中心位置が何れの格子領域内にあるか求められる。このように指の接触中心71が何れの格子領域にあるかを算出し、狭い領域に表示されたデータ一覧の中から何れのデータをユーザが選択しているかを判定する。また、指接触領域7の上端の位置にあるデータをユーザの選択データとみなしてもよい。
【0032】
図7は携帯情報端末のテキスト編集ルーチンR100の流れ図である。本テキスト編集ルーチンR100は、携帯情報端末のCPU10がROM12に格納されたプログラムに基づき携帯情報端末各部を制御することで実行する。
【0033】
ステップS101において、携帯情報端末のCPU10は、ユーザの指が入力表示部2の入力画面6に触れたかどうかを判定する。ユーザの指が入力表示部2の入力画面6に触れたと判定した場合は、ステップS102において、携帯情報端末のCPU10は、接触位置算出部13により入力画面6の指接触領域7から接触中心71(図6)を算出する。ステップS103において、携帯情報端末のCPU10は、表示制御部14により接触中心71にあるデータを入力画面6の指接触領域7の上または右上または左上などの良く見える位置に拡大して表示する。
【0034】
ステップS104において、携帯情報端末のCPU10は、ユーザの指が所定の大きさ以上の力で入力表示部2を押下して内部ボタン4がオンになったかどうかを判定する。内部ボタン4がオンになれば、ステップS105において、携帯情報端末のCPU10は、入力表示部2に拡大表示されているデータを入力する。ステップS106において、携帯情報端末のCPU10は、テキスト編集部16によるテキスト編集処理が終了かどうかを判定する。テキスト編集処理が終了していない場合は、上記ステップS101からの処理を繰り返し、テキスト編集処理が終了した場合は、本処理を終了する。」

オ.「【0039】
[第2の実施の形態]
図12は本発明の第2の実施の形態に係る携帯情報端末における内部ボタンを複数個設けた場合の図であり、(a)は携帯情報端末の寸法を示す正面図、(b)は(a)のA-A線に沿う断面図である。図12に示すように、携帯情報端末の入力表示部2の入力画面6の内側に内部ボタン4を複数個(本例では4個)設けることにより、何れかの内部ボタン4がオンになれば入力表示部2がユーザにより押下されたとみなす。よって、入力表示部2の入力画面6全面でより確実なユーザの指の押下を検出することができる。尚、第2の実施の形態に係る携帯情報端末の制御系の構成は第1の実施の形態と同様であり(図5参照)、説明を省略する。」

ここで、引用例1の【請求項1】、段落【0027】の記載によれば、引用例1には、「データ一覧を表示可能な入力表示部2であって、表示装置23と、位置入力装置22とを積層して構成された入力表示部2と、データ一覧が表示された入力表示部2に対する接触に基づき入力データを選択する選択手段と、接触位置のデータを拡大表示する表示制御手段と、前記入力表示部2に所望のデータが拡大表示されている状態での前記入力表示部2の押下に伴い、前記拡大表示されているデータを入力データとして確定する確定手段とを備えるデータ入力装置。」が記載されている。
引用例1の図3、図12、段落【0026】、【0027】、【0039】の記載によれば、引用例1のデータ入力装置は、本体1を備え、入力表示部2の押下は、入力表示部2と本体1との間に設けられた内部ボタン4により検出し、内部ボタン4は4つでもよいから、引用例1には、「入力表示部2と本体1との間に設けられた4つの内部ボタン4であって、入力表示部2を一定の力以上で押下するとオンとなる内部ボタン4」が記載されているといえる。
また、引用例1の段落【0026】、図3の記載によれば、引用例1に記載された入力表示部2は、ヒンジ部3を中心に本体1側に回動するものである。
また、引用例1の段落【0031】、【0033】の記載によれば、引用例1には、「位置入力装置22によって指接触領域を検出し」、「当該指接触領域から接触中心位置を求め、接触中心位置に基づいてデータ一覧の中からユーザが選択しているデータを判定し、選択されたデータを指接触領域の近くの良く見える位置に拡大して表示するCPU10」が記載されている。
また、引用例1の【請求項1】、段落【0033】、【0039】の記載によれば、引用例1のCPU10は「データが拡大表示されている状態で、ユーザの指が所定の大きさ以上の力で入力表示部2を押下して4つの内部ボタン4のいずれかがオンになれば、拡大して表示されているデータを入力データとする」ものである。

したがって、引用例1には、
「データ一覧を表示可能な入力表示部2であって、表示装置23と、位置入力装置22とを積層して構成された入力表示部2と、
入力表示部2と本体1との間に設けられた4つの内部ボタン4であって、入力表示部2を一定の力以上で押下するとオンとなる内部ボタン4と、
位置入力装置22によって指接触領域を検出し、当該指接触領域から接触中心位置を求め、接触中心位置に基づいてデータ一覧の中からユーザが選択しているデータを判定し、選択されたデータを指接触領域の近くの良く見える位置に拡大して表示し、データが拡大表示されている状態で、ユーザの指が所定の大きさ以上の力で入力表示部2を押下して4つの内部ボタン4のいずれかがオンになれば、拡大して表示されているデータを入力データとするCPU10とを、備え、
入力表示部2はヒンジ部3を中心に本体1側に回動するデータ入力装置。」(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(2)平成28年1月14日付けの拒絶の理由に引用した特開2006-323457号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次のカ.のとおりの記載がある。

カ.「【0011】
使用者にパネルをタッチした実感を確実に得ることができると共に、パネルが押された場所を精度よく検出する目的を、静電容量検出型入力装置を構成するパネル(保護板)の背面の4隅に例えばクリック式タクトスイッチを配置することによって実現した。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る静電容量検出型入力装置(タッチパネル)の構成を示した側面図である。タッチパネルは静電容量式で、ガラス若しくはアクリル板製の保護板11の下部に静電容量膜(タッチフィルム)12が貼り付けてあり、更に、保護板11の4隅にクリック式タクトスイッチ13が配置される構成を有している。図2は上記タッチパネルを上から見た斜視図である。
【0013】
(中略)
【0014】
次に本実施形態の動作について説明する。使用者が静電容量検出型入力装置の保護板11の目標の場所にタッチすると、その時の押圧力により保護板11の4隅に配置されている4個のクリック式タクトスイッチ13のいずれか1個以上がオンする。この時、使用者にはクリック式タクトスイッチ13をオンした際のクリック感が保護板11を通して伝達され、タッチパネルをタッチしたことが実感される。また、同時に、クリック式タクトスィッチ13(SW1?SW4)のいずれか1個以上がオンになると、アナログスイッチSWx,SWyに接続された制御信号線300が接地レベルになり、アナログスイッチSWx,SWyに制御信号が印加されてオンにするため、これらアナログスイッチSWx,SWyを通してX軸、Y軸信号生成部22により生成されたX軸信号100、Y軸信号200が外部に出力される。即ち、使用者がタッチパネルをタッチしたことを実感した時に、タッチ位置を情報であるX軸信号100、Y軸信号200が外部に出力される。」(下線は、当審にて付与した。)

(2)平成28年1月14日付けの拒絶の理由に引用した特開平10-289061号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、次のキ.のとおりの記載がある。

キ.「【0027】
まずタッチパネル周りの構造を図1を参照して説明すると、このタッチパネル付表示装置は、ケース8内に、具体的にはこの例では前述したタッチパネル4とその下のタッチパネル支持板6との間に、タッチパネル4が所定の押圧力以上で押圧されたことを検出して押圧検出信号SS(図2参照)を出力する押圧検出スイッチ20を備えている。
【0028】
この押圧検出スイッチ20は、一つでも良いし、タッチパネル4の周縁部の複数箇所にそれぞれ設けても良い。この押圧検出スイッチ20は、接点スイッチのような接触式のものでも良いし、光電スイッチのような非接触式のものでも良いし、その他、圧電素子のような感圧式のもの等でも良い。この押圧検出スイッチ20は、この例以外の場所、例えばタッチパネル支持板6とそれを支持する駆動部10との間、あるいはタッチパネル支持板6(またはタッチパネル4)とケース8との間等に設けても良い。要は、タッチパネル4が所定の押圧力以上で押圧されたことを検出できれば良い。
【0029】
なお、前述した表示パネル2は、要は情報表示機能を有しておれば良く、表示する情報が固定情報であるか可変情報であるか、自発光であるか否か、バックライト等を有しているか否か、等は問わない。例えば、この表示パネル2は、典型的には液晶ディスプレイであるが、その他、EL(エレクトロルミネッセント)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、薄型CRT、LEDアレイ、情報を表示する記銘板や液晶シャッターとそれを照らす発光体や反射板とを組み合わせたもの、更には情報を記載した単なる紙や板等でも良い。この内、液晶ディスプレイは、比較的安価であり、しかもタッチパネル4のスイッチ使用領域4a(図2参照)の数、大きさ、配置等の設定・変更に容易に対応することができる。
【0030】
表示パネル2が例えば紙やシート等のように極く薄いものの場合は、それをタッチパネル4の裏面に取り付けても良い。
【0031】
表示パネル2には、タッチパネル4の各スイッチ使用領域4aの下部付近に、当該スイッチ使用領域4aの操作によって選択される内容を表示するようにするのが好ましく、そのようにすれば所望のスイッチ使用領域4aの選択・操作が容易になる。」(下線は、当審にて付与した。)

6.2 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(1)引用発明の「データ入力装置」は、「入力装置」ともいい得るものである。
(2)引用発明の「入力表示部2」の「表示装置23」は、データ一覧を表示可能なものであるから、引用発明は、本願発明の「情報を表示する表示手段」に相当する構成を備えている。
(3)引用発明の「入力表示部2」は、「位置入力装置22」を備え、位置入力装置は、指接触領域を検出するものであるから、引用発明の「入力表示部2」と本願発明の「入力パネル」とは、いずれも、「入力面を有しこの入力面での接触を検知して接触情報を出力するパネル」である点で共通する。
(4)引用発明の「入力表示部2と本体1との間に設けられた4つの内部ボタン4であって、入力表示部2を一定の力以上で押下するとオンとなる内部ボタン4」と、本願発明の「前記入力パネルの四隅に配置され、前記入力パネルの前記入力面に押圧力が印加されたときに前記押圧力が印加されたことを示す検出信号を出力する複数の検出手段」とは、いずれも「パネルの入力面に押圧力が印加されたときに押圧力が印加されたことを示す検出信号を出力する複数の検出手段」である点で共通する。
(5)引用発明の「位置入力装置22によって指接触領域を検出し、当該指接触領域から接触中心位置を求め」ることと、本願発明の「前記入力パネルが出力した前記接触情報に基づき前記入力パネル上での接触位置を検出」することとは、「前記パネルが出力した前記接触情報に基づき前記パネル上での接触位置を検出」することである点で共通する。
(6)引用発明の「接触中心位置に基づいてデータ一覧の中からユーザが選択しているデータを判定し、選択されたデータを指接触領域の近くの良く見える位置に拡大して表示」することは、本願発明の「前記表示手段の前記接触位置に対応する位置の表示情報を選択状態に設定」することに相当する。
(7)引用発明において、データが拡大表示されている状態は、図7のフローチャートのS101?S104をみれば、パネルに接触し続けている状態であることは明らかであるから、引用発明の「データが拡大表示されている状態で、ユーザの指が所定の大きさ以上の力で入力表示部2を押下して4つの内部ボタン4のいずれかがオンになれば、拡大して表示されているデータを入力データとする」ことと、本願発明の「前記入力パネルが前記接触を検知しつづけている状態で前記検出手段のうちの少なくともいずれかが前記検出信号を出力した場合、この検出信号に基づいて前記表示情報に関連する処理を実行する」こととは、いずれも「前記パネルが前記接触を検知しつづけている状態で前記検出手段のうちの少なくともいずれかが前記検出信号を出力した場合、この検出信号に基づいて前記表示情報に関連する処理を実行する」という点で共通する。
(8)引用発明の「CPU10」は、本願発明の「制御手段」と同様に「制御手段」ともいい得るものである。
(9)引用発明において、「入力表示部2はヒンジ部3を中心に本体1側に回動」し、「ユーザの指が所定の大きさ以上の力で入力表示部2を押下して4つの内部ボタン4のいずれかがオン」する構成は、本願発明の「前記入力パネルは、前記入力面に所定以上の前記押圧力が印加された場合に、前記表示手段の前記表示面の方向に移動し、前記検出手段のうちの少なくともいずれかは、前記入力パネルの前記移動を検出し、前記検出信号を出力し、前記入力パネルは、前記表示手段の前記表示面に対して傾いた状態で移動し、また、水平を保持した状態でも移動する」構成と、「パネルは、前記入力面に所定以上の前記押圧力が印加された場合に、本体側の方向に移動し、前記検出手段のうちの少なくともいずれかは、前記パネルの前記移動を検出し、前記検出信号を出力し、前記パネルは、前記表示手段の前記表示面に対して移動する」という点で共通する。

したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
〈一致点〉
「情報を表示する表示手段と、
入力面を有しこの入力面での接触を検知して接触情報を出力するパネルと、
前記パネルの前記入力面に押圧力が印加されたときに前記押圧力が印加されたことを示す検出信号を出力する複数の検出手段と、
前記パネルが出力した前記接触情報に基づき前記パネル上での接触位置を検出し、前記表示手段の前記接触位置に対応する位置の表示情報を選択状態に設定し、前記パネルが前記接触を検知しつづけている状態で前記検出手段のうちの少なくともいずれかが前記検出信号を出力した場合、この検出信号に基づいて前記表示情報に関連する処理を実行する制御手段と、
を含み、
前記パネルは、前記入力面に所定以上の前記押圧力が印加された場合に、本体側の方向に移動し、
前記検出手段のうちの少なくともいずれかは、前記パネルの前記移動を検出し、前記検出信号を出力する入力装置。」

〈相違点1〉
パネルが、本願発明では、表示手段と別体で構成され、表示手段の表示面側に配置される入力パネルであり、入力面に押圧力が印加された場合、前記表示手段の表示面の方向に移動するものであるのに対し、引用発明では、表示装置と位置入力装置とが積層され、入力表示部を構成するパネルであり、入力面に押圧力が印加された場合に、入力表示部が本体側の方向に移動するものである点。
〈相違点2〉
検出手段の垂直方向の配置が、本願発明では入力パネルと表示手段の間であるのに対し、引用発明では、入力表示部2と本体1との間である点。
〈相違点3〉
複数の検出手段の水平方向の配置が、本願発明では入力パネルの四隅であるのに対し、引用発明ではそうではない点。
〈相違点4〉
本体側の方向へのパネルの移動が、本願発明では、「表示手段の表示面に対して、傾いた状態で移動し、また、水平を保持した状態でも移動する」という態様であるのに対し、引用発明では、「ヒンジ部を中心に回動により移動」という態様である点。

6.3 判断
上記〈相違点1〉?〈相違点4〉について検討する。
(1)〈相違点1〉〈相違点2〉について
引用発明において、入力パネルと表示手段との関係はパネルの押下を検出するものであれば足るものであり、引用例3の図1、段落【0027】、【0028】には、タッチパネルと表示パネルとを別体とし、表示パネルを本体側に設け、タッチパネルが表示パネルに対して移動する構成が記載され、また、同段落【0030】には、タッチパネルと表示パネルとを一体化し、表示パネルをタッチパネルの裏面に取り付けてもよいことが記載されているように、入力パネルと表示手段とを一体とするか否かは当業者が適宜決定し得る事項であるから、入力パネルと表示手段とを別体として、入力パネルを表示手段の表示面側に配置し、入力パネルが表示手段の表示面に対して移動するよう構成することは当業者が適宜なし得た事項である。
また、そのようにする場合に、検出手段(内部ボタン)の垂直方向の配置を、入力パネルと表示手段の間とすべきことは、検出手段(内部ボタン)の役割からみて当然のことである。

(2)〈相違点3〉〈相違点4〉について
引用例1の段落【0005】?【0006】から把握される引用発明が解決しようとした課題に照らせば、引用発明において、パネルの移動がヒンジ部の回動に限定されるものではない。このことは、引用例1の段落【0026】の末尾に、ヒンジ部の回動以外に本体側のたわみによって内部ボタンをオンとするように構成してもよい旨の記載があることからも明らかある。また、引用発明における検出手段(内部ボタン4)の個数や水平方向の配置は、複数の検出手段のうち、いずれかがオンとなることにより、入力画面全面でより確実なユーザの指の押下を検出するため(引用例1の【0041】参照)という複数検出手段を設けたことの技術上の意義を没却しない範囲で当業者が適宜決定し得ることと考えられるから、引用文献2の段落【0014】、図2、3に記載されている、四隅に配置されたクリック式タクトスイッチのいずれかがオンしたときに動作する構成を採用して、パネルが傾いた状態で移動し、また、水平を保持した状態でも移動する構成とすることは当業者にとって容易である。

(3)総合判断
以上判断したとおり、本願発明における上記相違点1ないし4に係る構成はいずれも当業者が容易に想到し得たものであり、また、各相違点を総合しても本願補正発明は当業者が想到することが困難なものとはいえない。
そして、本願発明の作用効果も、引用例1?3から当業者が予測できる範囲のものである。

6.4 小括
したがって、本願発明は、引用例1?3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は明確でないから、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明は、引用例1?3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-05-11 
結審通知日 2016-05-17 
審決日 2016-05-30 
出願番号 特願2013-200366(P2013-200366)
審決分類 P 1 8・ 572- WZ (G06F)
P 1 8・ 121- WZ (G06F)
P 1 8・ 561- WZ (G06F)
P 1 8・ 537- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 慎一  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 高瀬 勤
千葉 輝久
発明の名称 入力装置及び入力装置を備えた電子機器  
代理人 丸山 隆夫  
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